新イタリアの誘惑

ヨーロッパ・イタリアを中心とした芸術、風景。時々日本。

心ふるえる風景 イタリア編㊸ ミラノ中央駅で 人々は出会い、また別れる

2024-04-19 | 心ふるえる風景

 ミラノ中央駅は ここに到着する電車すべてが終点となる終着駅の形式をとっている

 ローマやヴェネツィアなど イタリア国内の主要駅も同様だ

 24番線まであり ホームは大きなドーム型の屋根で終われる

 

 リバティ様式とアールデコ様式の混合した 鋼鉄のドームは

 ムッソリーニ時代に完成したものだ

 

 半円形の空間には 毎日人々がこの地に到着し

 またこの地から 旅立ってゆく

 それが日常の人 だけではない

 人生の大きな分岐点 となる人も含まれる

 

 駅はドラマの出発点であり また終着点でもある

 全長341m 66000㎡の駅構内で

 出会いと別れの感慨が 日々繰り返され

 そんな悲喜こもごもの思いを 飲み込みながら

 ミラノ中央駅はいつしか 歴史を紡ぎ続けて行く

  

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心ふるえる風景 イタリア編㊷ ルネサンスから現代へ ミラノの街は常に驚きを提供する

2024-04-15 | 心ふるえる風景

 ヴィットリオ・エマヌエーレ2世ガレリアを通りすぎると スカラ座のあるスカラ広場に出る

 ここには レオナルド・ダ・ヴィンチの像が建っている

 言うまでもなく 15世紀ルネサンスを代表する天才だ

 彼は1482年から1499年までミラノに滞在し あの壁画「最後の晩餐」を完成させた

 芸術はもちろん 科学技術にも才能を発揮した人らしく

 ピエトロ・マグニ作の肖像は 深い思索にいる哲学的な表情に表現されている

 

 やっぱりなあ・・・ うなずきながら回廊の別の側に出たとたん

 全く異次元の像に ぶつかった

 巨大でふくよかな女性像が ドーンと現れた

 重量感あふれる肢体を 誇るように微笑むのは「マドンナ像」

 南米コロンビアの代表的な芸術家 フェルナンド・ボテロの作品だ

 

 短期間の特別展示だったが 思索にふけるルネサンスの偉人像から

 19世紀の華やかでスマートな ガレリアを通り抜けて

 現代を大らかに表現した 女性像へ

 数百年の歳月を数分間で体験した 驚きと戸惑いとが

 しばらく頭の中を 駆け巡る1日だった

 

 

 

 

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心ふるえる風景 イタリア編㊶ ミラノの中心 黄金の回廊に「モナ・リザ」が出現した

2024-04-12 | 心ふるえる風景

 ミラノ大聖堂の横に ひときわ目立つ屋根付き回廊がある

 ヴィットリオ・エマヌエーレ2世ガレリア

 イタリアの初代統一国王の名を冠した回廊は 19世紀後半に完成した

 産業革命がもたらした 当時の最新技術

 ガラスのアーチと 鉄の屋根を持つアーケードだ

 中央十字路部分 直径38mのガラス製ドームから

 外光が注ぎ込む スマートな回廊

 天井にはフレスコ画 床にはモザイク画も施されている

 さらに夜照明が灯されると 内部は黄金色に彩られ

 宝石箱の中にいるような 気分を味わえる

 

 通りにはプラダ本店を始めとして 一流ブランドの店が

 その美を競うようにして並ぶが

 ブランド店の看板はすべて 金と黒だけを使った装飾で統一されており

 一層黄金のきらめきが 際立つ

 

 そんな通りの中で ルイ・ヴィトンのショウウインドウで

 実に意外な女性像が 目に止まった

 中央に飾られたバッグには 何とレオナルドの代表作「モナリザ」の神秘の笑顔!

 何百年もの歳月を超えて 芸術とモードとのドッキングが

 こんな回廊の中心で 展開されようとは

 

 さすがのミラネーゼたちも ちょっとした驚きの表情とともに

 ショウウインドウをのぞき込む姿が 何度も見受けられた

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心ふるえる風景 イタリア編㊵ 大聖堂の屋上では 136の聖人が街を見守り続けている

2024-04-09 | 心ふるえる風景

 ミラノ大聖堂の天井まで昇った

 高さ100mを越す高さだけに 見晴らしは満点だ

 

 ローマ・サンピエトロ大聖堂に次ぐ 世界的な大聖堂をという

 ミラノ領主ビスコンティ家の 壮大な夢で始められた建築

 屋根の中央に通路があり そこを歩きながら左右を見渡す

 

 南側には モード・ファッションの街であるとともに

 先進的な建築物が並ぶ 現代イタリアの姿が広がる

 一方北側には 緑豊かな湖水地方の自然に加えて

 スイスから北方ヨーロッパに続く 雄大なアルプスの山並みを見渡せる

 

 そんな風景を見つめるのは 我々人間だけではないのに気付いた

 屋根の両側に ずらりと尖塔が並び そのすべての塔の先に

 キリスト教の歴史を紡いできた幾多の聖人像が 取り付けられていたのだ

 その数 実に136体

 聖人たちはこうして ミラノ市民 イタリア国民の安寧と繁栄のために

 常に眼下の人々の暮らしを見守り支えるという 役割を果たしているのだ

 

 ミラノ大聖堂が ただ単に堂内での祈りの場であるだけでなく

 堂外からも 尊厳の思いで見上げられるのも

 こうしたトータルな意味を 持ち続けているせいなのかも知れない

 

 

 

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心ふるえる風景 イタリア編㊴ あの豪快なミラノ大聖堂は 実は繊細な装飾細工で覆われていた

2024-04-06 | 心ふるえる風景

 あの壮大な建築物の てっぺんに昇ってみたい!

 初めてミラノのドゥオモの前に立った時 

 胸の内に ふつふつと沸き上がるものを感じた

 とにかく大きい 全長158m 高さ108mのゴシック大聖堂

 穏やかな木造建築の中で育った者にとっては 異次元の構造物だった

 

 聴いてみると 屋上に昇ることが出来る

 しかもエレベーターまでついているという

 なら 昇らない手はない 早速エレベーターの列に並んだ

 エレベーターの終点から 屋上までまだもう少し

 いくつかの階段を上る途中 想像外の光景が目に飛び込んだ

 建築構造の各所に立ち並ぶ石細工の群れが すごい

 階段 壁面の至る所に 丁寧な装飾が隅々まで施されている

 立ち止まって眺めているうちに ある意味突飛な連想に取りつかれた

 「これはまるで絹織物のようだ」

 「それとも 剛と柔の綾なすタペストリー」 

 14世紀に始まり幾度もの中断を経て 19世紀にやっと完成した大聖堂は

 間近かで見つめることによって初めて

 意外性に富んだ繊細な姿を たっぷりと見せてくれた

 

 

 

 

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