中田人材経営サロン

元ソニー人事部長であり、青山学院大学客員教授の中田研一郎より、企業の視点と個人の視点で「キャリア」「生き方」を語ります。

【SLG&Parnters セミナーIN 上海のご紹介】

2008-11-19 09:33:30 | パブリシティー
皆様こんにちは。人材経営サロン主宰者の中田研一郎です。
中国高級理工系人材の採用に関し、2009年1月9日に上海交通大学で行われるセミナー
におきまして講演を行うことになりました。日本におきましては質の高い理工
系人材を採用することは年々難しくなっていますが、その解決策の一つとして中国の
有力大学の新卒採用があります。グローバル人事戦略の具体化の一方策として是非ご
検討を賜りますよう宜しくお願い申し上げます。

中田研一郎

以下、SLG&ParntersセミナーIN 上海のご紹介を致します。


各位様
平素より格別のお引き立てを賜り誠に有難う御座います。

この度弊社(SLG&Parnters)では、株式会社インテリジェンス及びインテリジェン
ス上海殿と業務提携し、中国新卒理工系人材の採用と日中R&D連携に関するセミナー
を、当社提携先で中国主要大学のひとつである上海交通大学メインキャンパスにて来
年1月9日執り行うことになりました。

本セミナー及びセミナーツアーには弊社リソースを総動員し、中国で実績のあるオラ
ンダ・フィリップス社セミコンダクター事業のR&Dマネジメントを長年勤めている
Charles Wang氏をはじめ、元ソニー人事部長で、日本の海外有力大学キャンパスリ
クルーティングのパイオニアである弊社顧問兼パートナー中田研一郎の講演とブレッ
クファースト・セッションなどを予定しております。

また日本からの参加者の方々には、上海で2つの著名なサイエンスパーク(ハイテク
企業集積地)を訪問いただき、ダイナミックに成長する中国ハイテク領域ビジネスの
息吹を感じていただきます。

新年早々の企画ですが、新しい年の幕開けを是非アジアン・ダイナミズムの上海でお
迎えください。

ご質問、いつでも本メールshoji.naohisa@gmail.com
にご返信或いは庄司宛携帯(090-6102-6814)まで一報くださいませ。

宜しくお願いいたします。

SLG&Partners
代表 庄司 直久



グローバル競争時代を勝ち抜く人材獲得戦略
~優秀人材獲得の戦略とノウハウ~
SLG・インテリジェンス上海共同セミナーのご案内

拝啓 深秋の候、貴社ますますご清栄のこととお慶び申し上げます。平素は格別のご高配を賜り、
厚く御礼申し上げます。
この度、SLG&パートナーズとインテリジェンス上海は、来たる1 月9日(金)、
「グローバル競争時代を勝ち抜く人材獲得戦略 ~優秀人材獲得の戦略とノウハウ~」と題し、グ
ローバルな人事・採用分野に精通した著名講師を招いてセミナーを開催いたします。
今回のセミナー開催は、中国理工系有力大学出身者で高度な技術力を持った中国人技術者活用の
ご提案を目的としております。昨今、中国人技術者の活用が徐々に進んでおりますが、まだまだ本
格的な技術協力、グローバル採用という観点での人材活用は進んでおらず、飽くまでも“安価な労
働力”という観点での中国人活用に留まっています。欧米企業は、“高度な技術力”という観点で
活用しており、日本は大幅に遅れを取っているのが実態です。
本セミナーでは、グローバル競争が過熱する中国において、技術系人材の現状分析から、より優
秀な人材採用手法と同時に中国市場で如何にビジネスを成功させてゆくのかを、人材採用における
各プロセスに精通した講師陣よりご講演いただきます。
中国を技術系人材供給基地として戦略的に活用しながら持続的に事業を成長、発展させている企
業の事例を紹介しながら、具体的な人事ノウハウをお伝え致します。
ご多忙のこととは存じますが、万事お繰り合わせの上、ぜひご来場賜りますようお願い申し上げ
ます。
大変お手数ではございますが、ご出席の有無を、1 月5 日(月)までに、FAX もしくはメールにて
ご返信いただければ幸いでございます。
末筆ながら貴社の益々のご発展をお祈り申し上げます。
敬具


グローバル競争時代を勝ち抜く人材獲得戦略
~優秀人材獲得の戦略とノウハウ~
日時 :2009年1月9日(金) 13:00~17:00
会場 :上海交通大学徐家汇キャンパス
(上海市華山路 1954 号)
参加費 :無料
第一部
13:00~13:15 基調講演
上海交通大学教授 李湛博士
13:15~13:45 高級人材を逃さないために
インテリジェンス上海 常務副総経理 金鋭
・高級人材の置かれている現状
・高級人材を逃さないための5 つのポイント
13:45~14:25 中国国家重点大学・理工系学科の現状とキャンパスリクルーティング
SLG&パートナーズ取締役 王偉
・中国国家重点大学・技術系学部の現状
・キャンパスリクルーティング活動の手法と実例
14:25~14:40 グローバル人材採用に関する包括的サービスについて
SLG&パートナーズ代表取締役 庄司直久
・SLG が提供するR&D・理工系人材採用のグローバル化支援サービスについて
休憩
第二部
15:00~17:00 R&Dを機軸とする新時代の日中グローバル人材戦略
青山学院大学客員教授、清華大学継続教育学院顧問
SLG&パートナーズ 顧問兼パートナー 中田研一郎
・日中R&Dの展望と中国高級人材採用戦略
~プロセス・実践と課題~
誠に恐れ入りますが、定員になり次第締め切らせていただきますのでご了承ください。

<講演者プロフィール>
第一部
■上海交通大学教授 李湛博士
上海交通大学教授、博士課程学生の指導教官。29 歳という若さで大学教授となる。
教育指導の傍ら、同大学サイエンスパークの董事長や副総経理としても活躍。国家レベルの科学技術企
業のビジネスインキュベーター審査専門家や協会の副理事長等も務める。
(上海交通大学の科学技術創業研究センター主任、上海慧谷ハイテク創業センター主任、上海慧谷情報
産業股分有限公司董事長、上海交通大学科技園(サイエンスパーク)有限公司副総経理、上海交通大学
科技園(嘉興)有限会社董事長、上海科学技術企業孵化協会副理事長、上海市の投資コンサルティング
専門家、国家級の科学技術企業孵化器審査専門家)*企業孵化器:Business Incubator/Innovation Center
■インテリジェンス上海(英創人材服務(上海)有限公司)、常務副総経理 金鋭
1989 年㈱リクルート入社。1996 年に中国新規事業担当として中国ビジネスに携わる。
1999 年よりインテリジェンス上海の前身で日系企業向け人材紹介会社の草分けでも
ある上海創価諮詢に共同経営者として経営参加。12 年にわたる中国HR ビジネス経験
からセミナー等でも幅広い活躍を行う。
■SLG&パートナーズ取締役 王 偉
中国教育部(日本の文部科学省に相当)にて海外留学プログラム開発のプロジェクト
マネージャを勤め、イギリスへ国費留学後、同部国際機関、国際協力局の副局長に就
任。2001 年北京ワイズウェイ社を設立。中国現役大学生を対象とした国際経験豊かな
人材開発ビジネスに乗り出し、成功を収める。現在中国全域に7 つの支店を展開して
いる。2008 年(株)SLG&パートナーズ設立と同時に経営参画。中国全土に跨る約800
の大学・大学院・研究機関ネットワークを背景に、日本企業に付加価値高いコンサル
ティングを提供している。上海交通大学工学部卒 英国マンチェスター大学人材開発
学修士
■株式会社SLG&パートナーズ、 代表取締役 庄司 直久
2007 年、中国国家重点大学ネットワークを背景に日中間の人材ビジネスを立ち上げ
るため株式会社SLG&パートナーズを設立。1993 年からASEAN、UNDP 等国際機関
に勤務し、東京、ニューヨーク、マレーシアで多国籍環境下での業務に勤しむ。その
後日本の一部上場企業にて対米事業戦略投資の担当となり、国籍・文化・人種の多様
性に富んだ現地ベンチャー企業のマネジメントに精通する。SLG&パートナーズでは
中国筆頭にアジアを通じて日本企業のグローバリゼーションを支援する活動を行って
いる。
講演者プロフィール
第二部
■青山学院大学客員教授、清華大学継続教育学院顧問
SLG&パートナーズ 顧問兼パートナー 中田研一郎
元ソニー(株)人事センター リソースマネジメント部および東アジア人事戦略部統括
部長。
一橋大学法学部卒業後、ソニー(株)入社。
1980 年ソニー・アメリカ赴任(米国法務担当)、1988 年法務部次長、1989 年通商部統
括部長、1992 年ソニー・ヨーロッパ赴任(法務・知的財産担当 Director)、1999 年知
的財産部統括部長、2001 年人事センター・エレクトロニクス人事戦略部統括部長を経
て、2004 年ソニー・ニューマンキャピタル(株)執行役員兼務。
ソニーにおける人事の構造改革に着手し、人事制度全般にわたり改革を実施。
採用部・研修部・人事情報システム部、Business Process Outsourcing 部等の個別業
務を歴任。
<著書>
『ソニー 会社を変える採用と人事 』(角川学芸出版)
『就職活動に勝つ!』(角川学芸出版)等


SLG&Parnters セミナーIN 上海
問い合わせ先:SLG&Partners
代表 庄司 直久
shoji.naohisa@gmail.com

第13回 中田人材経営サロンのお知らせ

2008-11-17 11:26:27 | パブリシティー
「中田人材経営サロン」からのお知らせです。

皆様より大変ご好評をいただいております、青山学院大学客員教授
中田研一郎が主宰する第13回「中田人材経営サロン」を以下のとお
り開催致します。


日時:12月3日(水)18:30~20:45

会場:一橋クラブ 如水会館14階

会費:5,000円※学生の方は3,000円
(ご参加当日領収書を発行致します)

講演ゲスト:加藤 康輔氏
(ソニーNEC オプティアーク株式会社 執行役員CFO)

講演テーマ:ジョイントベンチャー事業運営の鍵

お申込対象:人事戦略、企画、人材育成等の企業人事、あるいは経営
戦略等の経営課題に関心のある方であれば、どなたでも参加自由です。
皆様の仕事関連のお客様、ご友人もお誘いあわせの上、ご参加下さい。


・・・・・・・・・▼講演ゲストからのコメントです▼・・・・・・・・・

講演のお話を頂戴した時は少々戸惑いましたが、めったにない機会でもござい
ますので、私の体験をお伝えしたいと思います。
ソニーエリクソンは、スウェーデンを代表する通信関連企業エリクソン社と
ソニーの携帯電話合弁事業ですが、内実は、日本・スウェーデンに軸を置いた
日本・欧州・米国・中南米・アジアの人種や組織がグローバルに絡み合った国
際企業体です。現在は、世界的に広く認知されている企業ですが、ここに至る
までの社員やTop Management の努力の軌跡をご紹介したいと思います。
一方、現在勤務しているソニーNEC オプティアークは、NECとソニーのPC
向け光ディスクドライブ事業に関するジョイントベンチャーです。
会社がスタートしてからまだ2年半強ですが、日本人同士のジョイント
ベンチャーであるが故のハードルや、先日発表になった親会社側の業績悪化の
状況下での困難などをお伝えしたいと思います。
今後の皆さんの活動にとって何らかのヒントになれば幸いです。

加藤康輔氏より
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

CFOとしてご活躍されている加藤氏より貴重なお話を伺える機会となります。
多忙なスケジュールの中、当日も上海出張から直接会場にお越し頂く予定です。
皆様のご参加申込をお待ちしておりますので、どうぞよろしくお願い致します。


お申込方法:御社名・所属部署・お役職名・ご芳名・ご連絡先メールア
ドレス・ご連絡先電話番号を下記の事務局宛にE-maiにてお申込下さい。
お申込後、開催日前に事務局より詳細をご案内させて頂きます。
E-mail:nakata-salon@reile.co.jp
尚、なるべく多くの方と親しく懇談していただく為に、40名以下のご出
席者となるよう先着順で受け付けていますので、お早めの申し込みをお
願い致します。



中田人材経営サロン運営事務局(株式会社レイル内)
申し込み先:nakata-salon@reile.co.jp
担当:前田 飯塚 ℡03-5964-0011

今なぜグローバル人事? その2

2008-08-10 23:28:26 | パブリシティー
今なぜグローバル人事? その2

真のグローバル企業とは何か?その定義は何なのだろうか?
先日、青山学院大学においてトヨタの張会長の講演を聴く機会があった。その中で、張会長はピーター・ドラッカーとの会談において、ドラッカーが「グローバル企業とはグローバル人材を擁している企業」という定義に言及されたことを紹介されていた。私もこの定義は正鵠を得ていると思う。工場や販売拠点を海外に展開しただけではグローバル企業とはいえない。海外で資金調達することもグローバル化の一施策ではあるが、それだけでは十分ではない。その企業において日本人であるかどうかを問わず、日本と海外の拠点をグローバルな共通プラットフォームとしてグローバル人材が、国籍を問わず自由に動き、マネジメントに参画している企業をグローバル企業というべきであろう。また、そのような企業構造を持つ企業を、私は「グローバル・オープン・アーキテクチャー」企業と称している。

それではグローバル人材をどのように育成したらいいのであろうか?
人材のグローバル化のためには、三つの普遍的なインフラが必要と考える。
まず、①マネジメント力・インフラ
次に②人材の人間力・インフラ
最後に③コミュニケーション・インフラである。

図表4

上記図表4に従って説明をすると、マネジメント・インフラは(1)マネジメント力(2)グロール共通評価・格付け制度(3)Retention制度(給与、Stock option, Benefit) (4)外国人の採用(日本と現地)(5)経営トップへの登用(6)グローバル・サクセッション・プラン(7)グローバル・ローテーション(日本人、外国人)などから構成される。

まずマネジメント力は、これらの中でも最も重要である。ここで言うマネジメント力とは、人種、国籍、年齢、文化を超えて通用する人と組織をマネジメントし、リーダーシップを発揮する能力であり、スキルである。それはまさに「グローバルマネジメント職」ともいうべき専門職であり、誰にでもできるというものではない。しかし、「グローバルマネジメント職」人材がいない限り、真のグローバル企業にはなりえない。クローズド・コミュニティの日本企業において、階層別管理職研修を受けただけで、突然海外に行って日本流の知識と経験に基づいて外国人を相手に日本流マネジメントを押し付けても通用しない。それを強引に実行すればまず優秀な外国人は採用できないし、採用できてもすぐに辞めてしまうであろう。そのような例は中国の日系企業において特に顕著であるが、他の国においても具体例は枚挙に暇がない。
「雇った外国人社員がすぐに辞めてしまうのをどう解決すればいいか?」という質問を筆者は良く受けるが、辞める原因が全面的に外国人にあるという思い込みがそもそも間違っている。日本の会社がまさに"クローズド・コミュニティ"になっていることに原因があることに気づかない限り、この問題は解決しないであろう。
オープン・アーキテクチャーの企業になるためには、日本人が「グローバルマネジメント職」人材になるだけでなく、外国人の「グローバルマネジメント職」人材が数多く必要である。日本企業はまだ内なる国際化、すなわち日本の組織に外国人を受け入れるという段階で大半の議論が終わってしまっているが、目指すべきは多数の日本人と外国人の双方の「グローバルマネジメント職」人材を日本と海外の拠点に配置した組織形態である。もちろん、そのような姿になるためには相当の年月を要するであろう。「人材育成は一日にして成らず」である。

しかし、最初に述べたような日本企業を取り巻く環境を考えると、いま早急に手を打たなければ、時間との競争で手遅れになるという危機意識が何よりも大事である。バブル崩壊後、日本企業では「茹蛙現象」になっているという自戒をこめた言葉が聞かれたが、日本的な“しがらみ”を断ち切れず、日本のクローズド・コミュニティの穴の中に潜んでしまっているのでは「茹蛙」はおろか「化石」になってしまうであろう。そのために、グローバル企業を目指す企業は「グローバルマネジメント職」人材の育成をまず始めなければならない。

二つ目の普遍化は「人材の人間力・インフラ」である。異なる人種、言語、文化の外国人と共に働くうえで一番大事なのは、それらの違いを超えて「人間」という共通基盤で相互の理解と信頼を構築することである。それは単に市井人として人間的であるということではない。人柄が良くて人間的な人は数多くいるが、厳しい国際ビジネスを行う上で要求される「グローバルマネジメント職」人材の人間力は、人格が立派で人間として魅力があるというだけでは成り立たない。海外で外国人とビジネスの中で信頼関係を構築するためには、その人がビジネスを行う上でプロフェッショナルとしての「Identity」を確立してなくてはならない。「プロフェッショナルビジネスマン」としての普遍的な要件を具備することが求められるのである。

「人材の人間力・インフラ」を構築するためには、異文化理解も必須である。文化の違いとは異質性そのものである。異質性を理解しなければ普遍性は獲得できない。異質性の中で、いかに受容と寛容に基づいて相互の共通理解の土俵を築いていくかが大事である。しかし、この部分は「知らなければ始まらない」世界なので、適切な研修の形で「形式知」を学び、ビジネスの実際の場面で現地の人から暗黙知を学ぶということになるであろう。

最後の普遍化はコミュニケーション・インフラである。
コミュニケーション・インフラは(1)社内公用語としての英語によるコミュニケーション」、(2)コア・バリューの共有、(3)コーポレート・ユニバーシティの三つから構成される。
「グローバルマネジメント職」人材を育成する上で最も時間がかかり、かつ日本企業の大きなハンディキャップになっているのは「社内公用語としての英語によるコミュニケーション」である。英語はインターネットの時代においてビジネスの世界では完全に公用語となった。今や世界中どこへ出張してもビジネスマンであれば英語を話すことは常識になった。英語を話さないということは、自らの活躍の舞台を日本に制約することに他ならない。コミュニケーションに必要な受信も発信も英語で行うことが、謂わば“Rule of the Game"なのである。通訳を介して会議をしたのでは、1時間の会議は2時間以上となり結果としての相互理解はかなり低いレベルとなるし、信頼関係の構築も中途半端となる。ソニー、日本板硝子、日産のCEOは外国人である。彼らは日本語を挨拶程度には話すが、ビジネスの場面ではすべて英語を使用している。あなたの上司が外国人で英語しか話さないとき、あなたはどうするのかということを考えれば、事の重要性は明らかであろう。

次に「コア・バリューの共有」について。
グローバル企業の社員が人種、言語、文化の差を超えて共通の価値観を共有することは、トップマネジメントがリーダーシップを発揮する上で必須である。社員が異質性を超えて共通性と普遍性を共有できなければ組織のチームワークは成り立たない。異質性と多様性は遠心力として機能し“組織のダイナミズム”を強化する。それに対して、価値観の共有は求心力であり、異質性と多様性を維持しながらもそれと矛盾することなく、“組織の堅固性”を強化する。
ジョンソン&ジョンソンの“クレド経営“、トヨタの"トヨタウェイ”などグローバル企業は、経営理念のエッセンスを「コア・バリュー」として経営の求心力の源泉にしていることは夙に有名である。

最後に「コーポレート・ユニバーシティ」は、すべてのグローバル企業に必要という訳ではないが、トップマネジメントがグローバルに活躍する人材を育成する上で、日本人のみならず海外の幹部候補生を「グローバルマネジメント職」人材として育成し、また次世代経営者を発掘する上で、極めて有用な“器”として機能するであろう。そのような“器”の有無にかかわらず、「グローバルマネジメント職」人材の育成プログラムをトップマネジメントが直接関与して実行に移すことが肝要である。グローバル企業のトップマネジメントの重要なミッションの一つは、「グローバルマネジメント職」人材の後継者を発掘し育成することであり、グローバル企業としてはそのミッションをグローバルな視野の中で実施しなければならないからである。

以上


今なぜグローバル人事? ~その一~

2008-07-26 22:00:15 | パブリシティー
今なぜグローバル人事?
~その一~



日本の総人口は、2006年に12、779万人とピークアウトし、長期予測の2100年には多く見積もっても、6、400万人少ない場合には3、770万人となると予想されている。(税制調査会「第10回基礎問題小委員会資料」)また経済活動に直接的な影響を持つ就労人口を見ると現在の8、442万人が2055年には46%減の4、995万人になると予測されている。(国立社会保障・人口問題研究所『日本の人口将来推計人口(平成18年12月推計)による隔年10月1日現在の推計人)。また、2007年12月の雇用問題研究会の検討によれば、育児制度の充実などの施策によって女性の仕事と家庭の両立を支援することにより、またニートやフリーターなど若者の就業を支援し、また高齢者への就業支援をするなどの諸施策をすることにより就労人口の減少を緩和する措置が有効に機能したとしても、中長期的に日本において経済活動を担う人材が産業界において絶対的に不足すると予測されている。ここまで急速に労働力が不足していくという現象は、最早予測の問題というべきではなく、現実的な「見えたる危機」というべきであろう。

さらにこのような労働力の量的な不足以上に深刻なのは、人材の質の変化である。日本の大学進学において若者の理系離れが言われて久しいが、大学で理科系を志望する生徒の数を見ると1990年代の60万人台に対し、2007年には30万人以下に減少している。もっとも医科、歯科などの理科系はむしろ50%増と増加しており、減少が甚だしいのはエレクトロニクスや、情報系などいわゆる製造業を支える分野の学生である。産業構造がハードからソフト移行するにつれて大学で電気、情報や機械を専攻しても就職はコンサルタント会社や銀行というケースもかなり増えている。このような理系の不人気もあいまって関東6大学の電気系学科の偏差値が50を下回るというような現象も出ている。(河合塾)すなわち、日本において製造業の基盤を支えるエンジニアの人材供給力が過去10数年の間に急速に低下しつつあるのである。

これは数字の統計を見るまでもなく、筆者が旧職のソニー株式会社の採用の責任者をしていたときに、電気学科の新卒採用は毎年採用予定数を質的な裏づけを持って十分に確保することが難しかったという経験からも実感できる変化である。ソニーのような就活学生の間で人気のある企業でさえ人材の確保は容易ではなくなっているのであるから、産業界全体として近年必要人材の確保が困難になっていることを否定する企業の採用担当者は殆どいないであろう

日本企業はバブル崩壊後十数年を経て人と債務と設備の三大過剰を解消することにより体質強化を行ってきた。今後、日本経済を再度健全な成長路線にのせるには、経営資源の中で一番重要な人的資源を十分に確保することが何よりも大きな課題である。過去2年の新卒採用は、求人倍率が2倍を超えるような積極的な動きとなっているが、1990年前後のバブル期の採用と比べると、上記のような変化により、人材の供給サイドの量と質の制約条件がある点で本質的に異なっている。

長期的に日本の人口の動態変化を見ると、2100年の日本の人口(中位推計で4、771万人)は1900年のころの人口(4、385万人)に戻るので、100年かけて人口が倍増し、同じく100年かけて半減するということになる。(税制調査会基礎問題小委員会・平成16年4月23日)日本の総人口の推移を200年通期で見るとちょうど富士山のような形となる。今は富士山の8合目付近にいて90年かけて御殿場口まで下山していくのである。

このまま行くと何が起こるのであろうか?生産年齢人口の伸びとGDPの伸びは密接な相関関係がある。

図表1

上記図表1に明らかなように5年毎の両者の関係を見ると生産年齢人口の伸び率は既に2000年にゼロとなっているので、今後の日本のGDPの伸び率に大きな期待が出来ないことは、この過去の相関関係の実績が教えるところである。



図表2

これを各国比較に置き直してみると、上記図表2でみるように、2015年の今から僅か7年後には中国のGDPが日本を追い抜くというにわかに信じがたい予測もある。更に中国のGDPは2040年には米国を追い抜くという予測を考えると、日本の停滞や衰退以上にBRICs諸国の成長が甚だしいと考えるべきなのであろう。日本は現状維持しているつもりでもそれは同じ所にとどまるということではなく、成長している国との比較では退歩しているということになるのである。

日本企業は日本においては、ほぼ100%日本人を採用し、日本人が経営をしてきた。いわば日本人に閉じたクローズド・コミュニティを形成して、密度の高いコミュニケーションを行い人材の同質性を強みにして経済成長を実現してきた。人材の採用と活用が日本人中心で終身雇用体制という閉じた系の中にあることは、バブル崩壊まではその価値を疑う余地がないほど強力な成功モデルであった。しかし、日本の経済成長のピークは遠く昔に終えて、経済活動の担い手である人材群も富士山の頂上に達したあと、いまやひたすら下山をするベクトルに入った。この現実を直視すると“日本人に閉じたクローズド・コミュニティ”の日本企業は、強力な“成功モデル“と真逆の“自沈モデル"になる恐れのあることに気付かなければならない。

人材のダイバーシフィケーション(多様化)は、ここ数年企業人事の主要な問題意識になりつつあるが、その実態を見ると“日本人に閉じたクローズド・コミュニティ"に多様性を取り込み、世界に開かれた”オープン・アーキテクチャー”に変化させているとはとても言いがたい。せいぜい女性活性化の方針を打ち出し育児制度の改善や女性の経営幹部への登用を推進する動きが少し見られるという程度で、その実態は先進諸国と比較すべくもない。(図表23)



ましてや外国人の採用や幹部への登用ということになると統計上の数字として意味のあるレベルにはまったく達していないといっても過言ではないだろう。人材の多様化を基本方針に掲げている会社でも「うちの会社にもこんな外国人社員がいます」ともの珍しげに宣伝しているのが実態である。

グローバル化というとすぐに「人材の多様化」を考え、外国人の採用をすればいいと短絡化した結論になるきらいがあるが、そもそも企業にとってグローバル化とは何なのかということの本質を今一歩深く考える必要がある。

1990年代のインターネットの爆発的な普及により、世界経済は情報インフラが国単位からボーダレス化したグローバル単位になった。また共産圏の崩壊により30億人の労働力は一気に資本主義社会に参画し、大競争時代が始まった。これらの要因によって、企業の経済活動は「国際化」の時代から「グローバル化」の時代に急速に移行した。

『国際化』の時代には日本企業は、日本から海外に輸出し、更に生産拠点を海外にシフトさせることにより価格競争力をつけ、海外販売ネットワークを海外に展開してその競争力を維持できた。
しかし、『グローバル化』の時代の成長の主役はいわゆるBRICs諸国に交代しつつある。中国をはじめとしてこれらの諸国は、製品あるいは原材料、資源を圧倒的な競争力を持って輸出しているが、注目すべきなのは、これらBRICsの国内マーケットの成長である。第二次大戦後、米国が世界中から資源と製品を購買することにより世界経済は成長発展してきた。しかし、いまや中国が携帯電話、テレビ、冷蔵庫などの製品あるいは穀物、肉、石炭、鉄鋼、肥料などの原材料について米国を追い抜いて世界一の消費大国になり、インドもその次に控えている。中国の国内マーケットはその規模において今世紀半ばには間違いなく米国を追い越すといわれている。ロシアは中東に並ぶ原油の輸出国として世界中から膨大な資金が流入している。ブラジルも農産物や鉱物資源を輸出し国内の経済基盤が急速に強くなりつつある。すなわち、かつてはもっぱら生産拠点であったBARICsは今や著しい経済成長に支えられて、一大国内マーケットを形成する動きとなっており、先進国対発展途上国という半世紀にわたって続いてきた20世紀型の経済格差の構図には、地殻変動にも似た大変動が起きつつある。

このような経済のグローバル化の大変動の中にあって日本企業は“日本人に閉じたクローズド・コミュニティ”をそのまま維持して生き残ることが出来るのであろうか?答えは明らかである。このままいくと経営資源の最たる人的資源の欠乏が、経済活動の制約条件となることは避けられないであろう。
従来内需型産業といわれた食品、日用品、衣料、製薬業界も人口減で内需の伸びが期待できない日本国内マーケットに見切りをつけて、内需依存から海外に成長の軸足を移している。日本鉄鋼大手も世界マーケットで地盤沈下し、2007年度の粗鋼生産の世界シェアーは13.6%から9.1%に落ち込んだ。一方、中国の粗鋼生産量は過去15年間で6倍となり日本の4倍の規模となった。そのため日本の鉄鋼大手も高炉を海外に建設し、グローバル マーケットでシェアーの奪回を図ろうとしている。(2008年4月9日日経新聞)すなわち、経済活動のグローバル化は待ったなしの状況に立ち至っており、企業も急速にその対応策に追われている。

それでは、グローバル化時代の組織と個人はこのようなグローバル経済の変化に呼応してどのように変化すべきなのであろうか?

まず、個人のレベルでいうと「画一性、同質性」から「多様性、異質性」の取り込みへの変化を迫られるであろう。
また、組織のレベルでいうと、クローズド・コミュニティからオ-プン・アーキテクチャーへの変化が必須である。世界が同時多発的に多様なサービス、商品を求める時代にあっては、経済のシステムは物理的、時間的制約条件の消失により資金、人、もの、情報などの経営資源の使い方に巨大な変化が生じるであろう。経営資源の調達を国内に限定するのではなく、広くグローバルに求めていかなければならない。資金、もの、情報などの経営資源については、多くの大企業は既にグローバルなオペレーションに変化している。しかし、最大の課題は、経営資源の中で一番大事な「人的資源」だけは、日本企業は世界に開かれていないということである。これをいかにして世界に開かれたオ-プン・アーキテクチャーにするかということが真のグローバル企業になれるかどうかの試金石である。

第12回 開発・技術マネジメント革新大会

2008-04-20 15:53:47 | お知らせ
下記カンファレンスの中で、講演いたします。

◆特別講演1
『今後の日中R&D連携は新時代に』
青山学院大学経営学部 客員教授
中国清華大学継続教育学院 顧問
株式会社イノベーションズ 代表取締役社長 中田 研一郎

○内容:
質的にも量的にも中国にナレッジワーカーが多数輩出している現実を踏まえ、
中国は「アセンブリ工場中心」、「安価な労働力」という既成観念に囚われず、
今後は日中間で多層的に人材戦略を展開する必要があります。
R&D領域の多くの分野においてソフト開発力強化が必要という現状において、
software, firmwareを中心に強みを持つマンパワーが急速に増大し、
人材の一大供給源になった中国の人材マーケットには、人材構成の変革の中にある
日本企業にとって、そのニーズをマッチングさせる大きなチャンスが存在します。
今回は、急速に拡大、進展しつつあるグローバル化の時代に、
今、東アジアで起こりつつあるパラダイムシフトが何であるかを理解した上で、
R&D人材の育成と登用を日中間でどのように連携していいのかについて考えたいと思います。

※カンファレンス全体については、下記になります。

「潮流を読み、R&Dの革新能力を高める」

○日時:2008年6月11日(水) 9:45~18:30
○会場:東京コンファレンスセンター品川 
東京都港区港南1-9-36 アレア品川
○定員:300名※満員の場合はお申し込み順に締め切らせていただく場合がございます。
○参加料:31,500円(資料・昼食・パーティ・消費税込み)
※早期申込み割引料金(5月9日(金)まで) 25,200円

○詳しくはURLをご参照ください。

次回「中田人材経営サロン」のご案内

2008-04-20 15:46:10 | セミナー
次回の中田人材経営サロンのご案内です。
今回で、第10回になります。

今回のゲストスピーカー、IBM Business Consulting Services Human Capital Management 
パートナー 佐藤武久氏のプロフィールです。

1978年3月 大阪大学情報工学研究科卒
1978年4月 日本アイ・ビー・エム株式会社入社(1983年~1985年IBM New York本社勤務)
1986年1月 IBM Asia Pacific Technical Operations 大和研究所にてPC独立事業部の立ち上げに参画
1993年6月 日本研修サービス株式会社(現在のIBM Human Capital Services Co.) e-ラーニングサービスの立ち上げ実施、取締役
2003年7月 IBM Business Consulting Services  人材育成コンサルティングに従事、パートナー

・・・・・・・・・・・・・詳細・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

○第10回例会テーマ:IBMにおけるリーダー人材育成の取り組み
○日時: 2008年5月12日(月)18:30開場 
○対象: 人事戦略、企画、人材育成等の企業人事、あるいは経営戦略等の経営課題に関心のある方であれば、
どなたでも参加自由です。皆様の仕事関連のお客様、ご友人もお誘いあわせの上、ご参加下さい。

※但し、なるべく多くの方と親しく懇談していただく為に、
40名以下のご出席者となるよう先着順で受け付けていますので、
お早めの申し込みをお願いいたします。

○会場 : 一橋クラブ 東京都千代田区一ツ橋2-1-1 如水会館14F 03-3261-1101(代)
○参加費用: 3,000円(領収書を発行いたします)

○内容
18:30  開場(講演開始まで飲食をお楽しみください) 
19:00  ゲストスピーカーによる講演(60分)
20:00  フリータイム
(お酒と軽いお食事を取りながらの懇談をお楽しみください)
20:30  中田よりご挨拶(10分)
20:45  閉会

○お申し込み方法:御社名・所属部署・お役職名・ご芳名・ご連絡先(e-mail)を明記の上、
下記アドレスまでご連絡下さい。詳細をご案内させて頂きます。
中田人材経営サロン事務局 担当:飯塚・松本 nakata-salon@reile.co.jp

お申し込み、お待ちしています。

日経ビジネスアソシエに掲載されました

2008-04-01 11:46:45 | パブリシティー
今日4月1日発売の日経ビジネスアソシエの特集
”ビジネス検定力特集“に私の取材記事が掲載されていますので、
ぜひご覧ください。

内容は「失敗に学ぶ就活テクニック 内定編」において
元ソニー人事部長が甘い就活生に”渇”― 「競争体験」の
欠如が生んだ自己中心的ないまどきの学生たち。
教えるのは、アソシエ世代だけ」という表題記事です。
結論として「社会人になったら社内にメンターや師匠を持つこと」を
薦めています。

若いときは、自分を客観的に見ることや人間関係の機微を理解することは、
自分ひとりではなかなか難しいものです。
そこで自分の鏡になるような人から日ごろから厳しく言われることが
大事だと思います。


日経ビジネスアソシエ
http://business.nikkeibp.co.jp/article/skillup/20080325/151120/

日経ビジネスアソシエオンラインも
模様替えしたようです。
http://business.nikkeibp.co.jp/associe/index.html

表のコミュニケーションと裏のコミュニケーション、基本は語学力

2008-03-29 00:57:09 | パブリシティー
日本企業は中国人を採用するときに、日本語は能力として要求していることか大半である。
そのため人材の選択の幅が著しく狭くなる。
中国人も英語なら自由にしゃべれる人が多いので、
アメリカ系企業だったら翌日からコミュニケーションで悩むことはない。

表のコミュニケーションと裏のコミュニケーション、やはり両方必要だ。
実は中国の会社はコーポレートカルチャー的には1970年代の感じである。
200~300人の大宴会、例えば忘年会が大好きで、会社の旅行も人気がある。
コミュニケーションとして大事だ。現在の日本の若い社員は
このような行事には冷淡だが、中国人大好きである。

給与体系として年功序列は不評だ。
業績連動型報酬がなければモチベーションにつながらない。
研修制度を充実することも重要なことである。
OJTでシンガポールや日本やアメリカに行かせる。
中国企業ではまずボスを入れて、部下はそのボスに採用させるとチームができる。
上位ポジションから優秀人材を入れないと、いい組織はつくれない。
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次回は「ヘッドハンティングによる中国海外組人材の獲得困難性」です。

日本的経営の単純な移植をやめて、ローカライズした人事制度に

2008-03-29 00:54:44 | パブリシティー
サムスンは、ここ10年日本企業が手抜きをしていた間に、中国に深く食い込んでいる。
サムスン人事とのミーティングで、参加11人全員、日本語を話せた。
同社は中国に留学生を中国語言大学などへ年間80名出している。
それだけの中国地域のプロがいて、そういう人材が全社にばらまかれている。

日系企業が、なぜ不人気なのか。
まずシニアマネジメントは全て日本人で、中国人にチャンスがないこと。
次に、年功序列制で短期間に昇進の可能性がないこと。
さらに、日系企業は個人のキャリアを築く場にならないこと、などが挙げられる。

上述の昇進に関連していえば、アメリカ企業に入った場合、
約3年でマネジャーになれる期待が持てる。日本企業では難しい。
中国に進出して、そこに日本の人事制度を輸出している。
ほとんどの場合が日本の制度のモディフィケーションだ。

一方アメリカに日本の子会社をつくって、日本の人事制度を輸出しているかケースはゼロ。
ほとんどアメリカの人事制度をそのまま採用している。
ここに根本的なポリシーの違いがある。これでは中国のトップ大学の卒業生は来ない。

日本企業は中国人の目線から見ると働きにくいようだ。
アメリカ企業のほうが中国人にフィットしている。
それがアメリカ企業の人気につながっている。

結局ローカライズした人事制度の導入をしない限り、
一流の中国人を採用できないし、採用しても居着かないのではないかと思う。
日本的経営の単純な移植をやめて、ローカライズした人事制度に徹すべきである。

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次回は「表のコミュニケーションと裏のコミュニケーション、基本は語学力」です。

日本的経営の単純な移植をやめて、ローカライズした人事制度に

2008-03-29 00:52:21 | パブリシティー
ソニーに在職当時、パンアジア人材の活用をスローガンに約3年その方針を貫いてきた。
その採用活動を支えるためにプラットホームを作ろうと考えた。
一般論として海外のオペレーションは独立した子会社を設立するため、
中国や韓国それぞれで独自に行われる。しかし人材育成を考える場合、
ビジネスの垂直的なオペレーションだけではなく、やはり横ぐし機能が必要である。

そこで東アジアを一つのリージョンととらえ、
水平的な横ぐし機能のプラットホームの形成に腐心した。
具体的にソウル、北京、上海、台湾、香港をワンプラットホームにする
構想の下に、東アジア人時戦略を司る組織を作った。

中国は世界市場の中で唯一、コンスタントにどのビジネスセクターも伸びている。
日本は、人口縮小、マーケット縮小によって何もしなければ縮小均衡になってしまう。
したがって、経営戦略として中国マーケットを日本国内マーケットと同じように
重視せざるを得ない。そういう背景の中、いかに人材面での戦略と組み合わせるかが、大きな問題であった。

人事オペレーションに一定の整合性を持たせなければならない。
中国も韓国もそれぞれ勝手に勧めるのではなく、東アジア全体として人材を循環、
還流させるという観点の戦略が必要と考え、それがプラットホーム作成につながったのである。

人的リソースの再編を加速する狙いで中国、韓国、日本をプラットホーム上に置き、
横ぐし機能を駆使してみた。中国人は見事に融和した。韓国人も全く問題がない。
しかしインド人は日本で採用すると、現場に溶け込むのは課題が多くあり、
解決策を容易に見出せなかった。

ソニーの中国人の契約社員の年収は日本人の正規社員と同等である。
法律上、国籍で給与を差別することが許されないことは当然であるが、
もし、それらのことで揉めると、そういう情報はすぐにインターネットで
中国に伝わる。

彼らのコミュニケーションネットワークはすごい。
彼らは給料日には全部給料袋を開けて見せ合う。だから一切隠せない。

9.11事件以降、外国人に対するアメリカのビザの発給は非常に厳しくなった。
アメリカに行きたくても行けない。日本だったらビザは取れる。
中曽根内閣の10万人留学プロジェクト以来大勢やって来る。

チャイナHRドットコムの04年アンケートによる、「中国で人気の高い雇用主」は
第1位がハイアールで、以下は給料が圧倒的に高い外資企業ばかりである。
特にIBMは学生の間で圧倒的な人気がある。
日系企業で当時人気企業はソニーだったが、やがてサムスンに抜かれた。

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次回は、「日本的経営の単純な移植をやめて、ローカライズした人事制度に」をお伝えします。