Asian Railway Plaza

アジア各国の鉄道やJR南武線の話題などをお届けします

フィリピン国鉄(PNR)の現状について

2024年04月22日 11時42分07秒 | フィリピン
フィリピン国鉄(PNR)の現在の状況について簡単ながら述べていきたいと思います。
マニラ首都圏の運行は3月27日で終了し、翌日から完全に運行を中止しています。
現在の運行区間は、Calamba-Lucena間、Sipocot-Naga間及びNaga-Legazpi間の3区間で、マニラ首都圏で使用されていた車輛は現在運行休止中のLucena-Sipocot間や現在運行中の区間で使用される予定です。

現在の運行区間における列車時刻は大雑把に以下の通りです。
Calamba-San Pablo-Lucena(使用車輛はDMU INKA 8001編成)
IPC500 Lucena5:00→San Pablo6:32 6:33→Calamba7:33
IPC1745 Calamba17:45→San Pablo18:45 18:46→Lucena20:18

Sipocot-Naga(使用車輛はDMU INKA 8002編成)
BCT-02 Naga5:20→Sipocot6:32
BCT-01 Sipocot6:40→Naga7:52
BCT-04 Naga10:40→Sipocot11:52
BCT-03 Sipocot12:00→Naga13:12
BCT-06 Naga15:30→Sipocot16:42
BCT-05 Sipocot16:50→Naga18:02

Naga-Ligao-Legazpi(使用車輛はDHL9000+PC8300の3両)
BCT-538 Naga5:38→Ligao7:44 7:45→Legazpi8:42
BCT-545 Legazpi5:45→Ligao6:42 6:43→Naga8:49
BCT-1730 Naga17:30→Ligao19:36 19:37→Legazpi20:42
BCT-1747 Legazpi17:47→Ligao18:44 18:45→Naga20:51
朝夕ともに列車の交換はPolanguiである模様?

ちなみに1日でこの3区間の全列車を乗車することは無理ですね。


現在、マニラ首都圏では南北通勤鉄道(NSCR)の整備促進、高速道路のNLEX Connector Rd.の整備により、PNRの南方線では鉄道敷地界にフェンスの設置、レールや枕木の撤去作業が着々に実施されています。
PNRは5年間の運行休止と報道などでは伝えていますが、将来の予定については詳細に伝えておらず、NSCRがある程度整備されたあとはPNRがNSCRの下や脇を通ることになる予定ですが、およそ10年後の街づくりを考慮すると危険要素や阻害要素が多く、おそらくその計画の実現は困難を要するのではないかと個人的には思っています。
また、5年で全区間の整備は困難かと予測され、現在、建設が実施されているTutuban〜Malolos間の南部区間は基礎工事も実施されていませんので、完成には大幅な遅れが見込まれます。
下の写真はTambay Ng Daang Bakal氏から許可をいただき、掲載させていただきましたが、Alabang駅の様子で、フェンスの設置とレールや枕木の撤去が徐々に実施されており、Blumentritt駅周辺や他の区間でも同様な作業が実施されています。


続いて使用可能な車輛で、今後、Calamba以東でのCalabarzon及びBicol地方で活躍できる車輛の一覧表と編成表をまとめてみました。
DLは一部のみの車輛の掲載であり、報道等によるとDHLを含めて13両程度が使用可能なこと、使用されているPC8300はNaga〜Legazpi間において現在3両編成で使用されていること、組成についても定かではありませんので、その点ご注意いただけたらと思います。
また、Calambaに留置されているKoganeのキハ59は長年稼働しておらず、状態は不調ということを聞いておりますので、この編成表には入れておりません。
この他、DMU ROTEM DMR1の06編成は昨年夏頃から使用されておらず、05編成も昨年末頃から不調のようで、DHL9001もコンプレッサー等に異常があるとのことで長い間使用されていません。


先日も述べましたように、PNR運行部長兼スポークスマンのJoseline氏は7月中にマニラ首都圏で使用された10〜12編成をCalabarzon及びBicol地方で使用予定と述べており、今後はこれらの車輛の移送が実施されるものと思われるものの、それだけの需要があるのかどうかと言うと不安要素が多いところもありますが、203系やDHL9000+PC8300にしても、DMUにおいても編成を短くすることは可能ですので、これらの車輛がCalamba以東で活躍できることを願いたいものです。

次回は、鉄道雑誌に海外で活躍する日本の中古車輛について記事を20年程掲載されている方のことについて述べることを予定しておりますが、現在もその方が書かれた記事がフィリピンも含まれて掲載されており、過去のミスと思われる記述に対してのちの正誤表等でお知らせすることもなく、新たな記事が掲載されていることに資料的価値を求めている読者の方々にとっては甚だ憤りを感じているのではないでしょうか。
一言でご説明しますと校正能力に問題がある、また、過去の記事を見てミスがあった場合には真摯に読者に正誤表でお伝えする努力もしないライターが現在も書き続けていることに大きな問題があると思いますが、私が過去に経験してきたことを元にこの件について、まとまり次第述べていきたいと思っています。
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フィリピン国鉄(PNR)、Calabarzon及びBicol地方での今後の予定について

2024年04月16日 11時14分39秒 | フィリピン
4月3日、フィリピンInquirerによりますと、フィリピン国鉄(PNR)の今後のCalabarzon及びBicol地方での車輛計画について報道されています。
取材に応じたのは度々テレビのニュース番組にも出演されるPNRの運行部長兼スポークスマンであるJoseline A. Geronimo氏ですが、マニラ首都圏で使用されていた10から12編成を上記の地方へ7月中までに移送する計画であることを述べています。


ここでマニラ首都圏で使用されていた車輛を移送し、上記の地方で使用される予定の車輛について考えてみたいと思いますが、現在、既に使用されているCalabarzonとBicol地方の車輛も含めると下記の車輛が考えられます。

DL13両(DHL9000、3両も含む)
7編成の客車セット、203系4編成ないし5編成、PC8300系3編成
8編成のDMU、8100系4編成、8000系2編成、DMR1の2編成

今年1月中旬のPNR車輛課部長に対しての取材においては、マニラ首都圏で使用された車輛の移送は5月中までに、その後の調整や整備については8月中の予定で、9月からLucena〜Gumaca間77.55kmで運行を開始し、Gumaca〜Ragay間101.82kmについては12月を目処に運行開始が計画され、最後に残るRagay〜Sipocot間28.09kmの運行開始予定は来年頃のようで、Ragay〜Sipocot間はSipocot〜Naga間に運行されている列車がRagayまで延長されるのかどうかは不明です。

Lucena〜Gumaca間、Gumaca〜Ragay間についてもそれぞれの区間で単独運行とするのか、またはLucena〜Ragay間の列車として運行されるのか、こちらも不明ですが、Gumacaは大きな街ではなく2区間に分ける必要性もないかと感じますので、Lucena〜Ragay間で運行されるのかもしれません。
なお、Lucena〜Ragay間の運行に際して使用される形式は計画上203系4本程度(予備編成も含めて)となっていますが、マニラ首都圏のような需要はないことから編成両数も5両ではなく3両程度、列車本数は1往復程度が予想されます。


この他、区間によっては列車増発の計画もあり、かつ不測の事態に備えて予備車輛の確保もありますので、基本的にはマニラ首都圏で使用されていたほとんどの車輛がこれらの地域に移送され今後も活躍するのではないかと予想されますが、私個人的には203系がのどかな田舎を走る姿を見たいものです。

報道は以下参照
https://newsinfo.inquirer.net/1925343/pnr-trains-on-halted-metro-line-moving-to-s-luzon-bicol-routes?fbclid=IwAR3NRmGliWIBigZNWYdepSr6eZFIlnmVrefBvNrQkV_zKr6iR56N-SWkxBk

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フィリピン国鉄(PNR)、マニラ首都圏の状況の続報について

2024年04月12日 11時15分27秒 | フィリピン
前回、このブログでもお知らせしましたとおり、南北通勤鉄道(NSCR)の整備を促進すべく、フィリピン国鉄(PNR)のマニラ首都圏の運行休止は3月27日が最終日となり、翌28日より完全に運行を休止しました。

運行休止直後はNSCRの整備、PNRの施設資材を運搬する目的なのか、ほんの数日のみDL+203系が回送列車として運行されましたが、ホリーウィーク後の4月に入ってから各所でフェンスの設置、レールや枕木の軌道の撤去などが実施されているようで、Tutuban〜Alabang間については列車の走行は完全に無理なようです。
また、北方線の途中にあるCaloocan workshop(Caloocan工場)とTutubanの間については軌道の撤去が現在も実施されていないようで、時々、この区間を行き来する列車が目撃されているようです。

マニラ首都圏で活躍を続けてきた203系やINKA製のDMU8100系、同じくINKA製のDHL9000+PC8300の1編成、ROTEMのDMUであるDMRの使用可能な05と06編成はTutuban yardに集結し、下の写真のとおり留置されていますが、PNRの修繕担当の方々が時折、車輛の整備や清掃活動を実施しているようです。
下の写真2枚はRailway Pilipinas 8104様から許可をいただき、掲載させていただきました。


上の写真の姿は4月上旬に撮影されたものですが、203系はTutuban駅の各番線に留置され、2015年の脱線事故後の運休以来見られない姿を見せているようです。
また、Tutuban yardの北方にある最初の踏切は下の写真のとおり、ゲートで閉ざされ、警備員がゲート入口に現在も常駐し、PNR関係者以外の入出場は規制されているようです。


なお、列車の運行休止に伴いHM Transportがバスの運行を2月中旬から運行されているようです。
4月1日改正によるバスの運行時刻はTutuban発の始発が5:00、最終が21:30、一方、Alabang発の始発が5:00、最終が20:00で、バス運行間隔は30分毎で運行され、基本的にはPNRの各駅の最寄に停車しているようですが、駅によっては利用が困難なところもあるようです。

最後にBlumentritt駅やSta.Mesa駅付近では既にレールや枕木の撤去、鉄道敷地界においては高いフェンスの設置が沿線全体で実施されているようで、列車の運行の合間に沿線住民のために違法ながら運行されていたスケーターも、これらの工事により徐々にできなくなるのかもしれません。
下の写真は今年の1月にSan Pedro駅で撮影したものです。


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フィリピン国鉄(PNR)マニラ首都圏の運行休止及びCalamba〜Lucena間で運行再開

2024年04月01日 18時46分36秒 | フィリピン
カトリックの国、フィリピンでは先週はホリーウィークに入り週末を中心に公共交通機関の輸送はストップしましたが、フィリピン国鉄(PNR)はこのホリーウィークに乗じて、マニラ首都圏の運行を3月27日の運行をもって終了し、28日より南北通勤鉄道(NSCR)の建設工事を促進するため運行が休止されました。

当初、PNR、マニラ首都圏の運行最終日は各メディア報道でもあるように今年1月中旬と報道され、PNR運行部の方からも暫定ながら今年1月15日と知らせをいただき、私もその暫定日を最終運行と信じて訪比しましたが、実際には運行最終日は延びてしまい3月27日となりました。
マニラ首都圏における運行区間については、南方線、Tutuban〜Alabang間の28.08km、北方線、Tutuban〜Gov.Pascual間の8.80km、北方線のSolis〜南方線のBlumentrittを結ぶ短絡線の数百mが営業区間であります。
運行最終日の運行体系としては、主にTutuban〜Alabang間に1日22本の列車が運行され、その他、Tutuban〜Gov.Pascual〜Bicutan間に1日8本(列車番号別に)の列車が運行されており、1日の合計列車本数は30本でした。

下の写真は2018年5月30日にPandacan〜Sta.Mesa間にあるマニラの母なる川であるPasig Riverの橋梁から撮影した203系です。


2月下旬、PNRの運行部の方に運行最終日に尋ねてみたところホリーウィークの3月27日が最終日になるという知らせをいただきましたが、やはり仕事の関係上休みを取ることは困難であり、静かに運行最終日を見守ることにしました。
となると運行最終日にどの列車がファイナルトレインになるのか興味深いところですが、通常ではAlabang駅では夜間滞泊する列車が2本あり、Alabang行き最終1本前と最終列車がAlabang駅で夜間滞泊し、それぞれ翌日朝のTutuban行き1番列車と2番列車になります。
昨年7月のCalamba〜Biñan間、Biñan〜Alabang間の運行休止時において、翌朝はTutubanへ戻す列車だけが運行されましたので、今回も同様な措置かと私は推測していたところ、27日の夜、通常最終列車になる列車番号MSC2038、Tutuban20:36発、Alabang22:11着がファイナルトレインになり、Alabang到着後はTutubanへ回送列車として最後の運行となりました。
(最終1本前の列車もAlabang到着後、Tutubanに向けて回送列車となりました。また、この時刻表は標準時刻表であり、今年1月13日からデータイムを中心に列車が減便されました。

この他、前回、記述しましたファイナルトレインの予想、ハズレましたので上記のとおり訂正いたします。)

このファイナルトレインに充当された車輛はDL921+203系07編成の5両で、Alabang発車時は運転士が何度も警笛を鳴らし、数人の鉄道マニアを乗せた回送列車は静かに別れを告げ、Tutubanには翌日深夜1時頃に到着したようです。
運休後は下の写真のようにTutuban駅各ホーム発着番線に車輛が留置されているようですが、運休後も資材搬入等でTutuban〜Alabang間で列車が運行されているようです。


この他、今までマニラ首都圏で使用されてきた車輛の今後はCalamba以東のCalabarzonとBicol地方で使用される予定で、早くて今年9月頃から車輛をCalambaへ移送されるものと予想されますが、PNRの車両課では各形式の使用予定区間、列車本数等の計画はあるものの、全ては旅客需要に応じて変更される可能性がありますので、その計画については示さず今後のお楽しみということで、何か動きや予定があれば随時ご報告させていただきたいと思います。


その他の話題ですが、昨年12月下旬にCalamba〜San Pablo間で突如と列車の運行が休止されましたが、4月1日からCalamba〜San Pablo〜Lucena間で、列車が運行開始されました。
San Pablo〜Lucena間は従来の運行スケジュールでは、朝、San PabloからLucenaへ、夕方、LucenaからSan Pabloへ列車が運行されていましたが、4月1日から以下のようになります。
IPC500 Lucena5:00→San Pablo6:32 6:33→Calamba7:33
IPC1745 Calamba17:45→San Pablo18:45 18:46→Lucena20:18

使用される車輛はSan Pablo〜Lucena間で使用されているINKAのDMU8000系3両編成のようですが、運行時刻から考慮するとSan Pablo〜Lucena間での利用者にとっては非常に利用しづらいものであることから乗客は極めて少ないのではないかと推測されますので、数ヶ月後にはSan Pabloで運転打ち切りもしくはこの運行も休止になってしまうことも予想されます。
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マニラ首都圏におけるフィリピン国鉄(PNR)の最終運行は3月27日、28日から運行停止

2024年03月25日 20時25分16秒 | フィリピン
マニラ首都圏におけるフィリピン国鉄(PNR)の運行は3月27日で終了し、翌日28日からは完全に運行が停止されるようです。

通常、Alabangで2本の列車の夜間滞泊があり、その2本の列車は翌日朝にTutubanへ営業列車として返しますが、翌日28日から完全に列車の運行は停止されるようです。
ですので、ファイナルトレイン(最終列車)は27日夜の列車番号MSC1818、Tutuban18:16発→Alabang19:51着が下りの最終、列車番号MSC2131、Alabang20:03発→Tutuban21:38着が上りの最終となるようです。
使用される予定の形式についてはEMUの203系ですが、場合によってはINKAのDMU8100系が使用されることも想定されます。
また、最終日の27日、Tutuban-Gov.Pascual-Bicutanルートの列車も運行されるようですが、同ルートの列車が運行された場合、Gov.Pascualからの列車はTutuban着が20:53ですので、実質のファイナルトレインはMSC2131になります。


1892年、約350年のスペイン植民地支配から開放されようとしていた時期に米西戦争によりアメリカが新たな支配者となり、そのような時期に開業したのがフィリピン国鉄でしたが、132年にもおよぶ長い歴史の中で、フィリピン国鉄は新たな場面を迎えます。
マニラ首都圏においてはClark〜Manila中心部〜Calambaを通る南北通勤鉄道(NSCR)の整備が実施されていますが、今後はこの南北通勤鉄道がマニラ周辺の大きな大動脈になりうる鉄道として生まれ変わる予定です。
また、今まで活躍してきたフィリピン国鉄の203系をはじめとする車輛はCalamba以遠のCalabarzonやBicol地方で活躍が期待されていますので、今後もこれらの車輛の動向に注目しておきたいところです。
まずは、ファイナルデーに向けて残り2日間のフィリピン国鉄の終焉に注目です。


写真は今年1月に撮影したもので、ファイナルトレインには非常に残念ながら乗車ができませんので、私なりにお別れということで、私が作成したヘッドマークを飾ってみました。
ヘッドマークはフィリピン国鉄のエンブレムにフィリピン語でさよならを意味する「Paalam」、日本語の「さよなら」と添えて作成してみました。


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