怠惰なひな菊

漫画家・萩原玲二(はぎわられいじ)の怠惰なブログ(2006~2019)

stray sheep

2019-05-25 19:07:07 | 漫画



商業漫画界では、かつてのエロ漫画の縄張りはすっかりグルメ漫画に置き換わってしまい、全然グルメ志向のない自分は、「このネット時代、まあそりゃそうだろう」とクリティカルな視線を向けるのみなのであった。

最近、編集者無用論みたいな寝言をよく聞くが、自分の気持ちとしては唯一「エロ漫画」というジャンルのみは編集者無用というか、編集者邪魔諭の寝言を表明しておきたいのであった。

エロの嗜好はとことんマッドでニッチなダイバーシティで(?)、漫画家がわざわざ作品にしたくなるようなエロにいたっては、そのフェティシズムを編集と共有できる可能性は皆無で、いかに優秀な編集でもそこに踏み込むのは無茶というか、まっとうな修正指導は必ず作品を台無しにしてしまう。

ウェルメイドなエロなど、凡庸なグルメ漫画よりたちが悪い。

自分が、pixivFANBOXなどの支援サイトで漫画家がエロをやるのはよさげだな?と思うのはそういう理由が大きいのだった。

(ここだけの話ですが、自分の90年代前半の水谷零G名義の作品群はネームチェック一切なしだったのを思い出し‥‥‥)

‥‥‥

ところで、ついさっきひらめいたエロ漫画のネタが、「そういえば漱石の『三四郎』ってラヴコメなのは間違いないが、じらしまくりのエロ漫画でもあるな?」と気づいて、三四郎が美禰子に懸想する妄想シーンのみでつなげていったらどうだろうかという‥‥‥

ストレイシープがセクシャルな象徴的表象として幻視され‥‥‥毎度、三四郎は趣向を凝らした舞台設定で美禰子さんと妄想の中で関係するのである。

副題は「淫夢十夜」か‥‥‥(???)


三四郎 (新潮文庫)
夏目 漱石
新潮社


麻雀新撰組

2018-11-04 00:11:00 | 漫画
色川武大



大和証券Mリーグ、楽しく観ているが、現行の7という抜け番3チームという半端さは、あたかももう1チームフィクションでこさえてみれと促されているようにも感じる!(パート2!/パート1)。

往年の昭和漫画脳としては、もう1チームが麻雀新撰組(!)になってしまうのはいたしかたないことで、当然選手は朝倉徹也と花島タケオと蟹江凱という並びにならざるをえない。

と、ここまで考えて、モデルのお三方はすでに鬼籍に‥‥‥そこで、妄想が止まってしまうのが昭和漫画脳の限界で、平成漫画脳においては、むろんそのお三方が女子高生に転生しているのはいうまでもないことなのだ(?)。

その「三JK」がいかに出会い対立し仲間となるかが漫画家の抽斗の引き出しどころで、自分だったら『七人の侍』のプロットを大いにパクってなんとかしたいものである。
「この半荘おろそかには打たんぞ‥‥‥」


ところで、現在映画化で話題の『ノーマーク爆牌党』は、平成版『はっぽうやぶれ』というべき作品で、片山さんがどのくらい意識していたかはともかく、麻雀漫画史の系譜としてはそれでおおむね合ってると思う。

なので、『はっぽうやぶれ』を未読で『ノーマーク爆牌党』を激賞するのは、ちばてつや先生を知らずに福本伸行氏を語るようなものだから、そういう意味でも『はっぽうやぶれ』は昭和だの平成だのを超えてきちんと再評価されるべきだろう。

闘牌の演出において『はっぽうやぶれ』は、いまだに麻雀漫画のテンプレートとして君臨していると思うので。

(とかいいつつ自分は、漫画史上の重要作品をかなりの確率で読んでいないが‥‥‥)





はっぽうやぶれ(6) (かわぐちかいじ傑作選)


トラスト・ツー


[まとめ買い] ノーマーク爆牌党(近代麻雀コミックス)




麻雀狂の詩

2018-10-30 04:02:24 | 漫画
野球狂の詩



大和証券Mリーグ、楽しく観ているが、現行の7というチーム数の半端さは、あたかももう1チームフィクションでこさえてみれと促されているようにも感じる(!)。

往年の昭和漫画脳としては、もう1チームが東京メッツ(!)になってしまうのはいたしかたないことで、当然選手は水原勇気と岩田鉄五郎と火浦健という並びにならざるをえない。

と、ここまで考えて、このキャラクターのラインナップのバランス(女子、老、クールガイ)にあてはまるチームがすでにあるな?と気づく。
「KONAMI 麻雀格闘倶楽部」がそれで、「北の狼」に比定する寿人Pには滝沢Pという「南の虎」が「EX風林火山」に在籍することもどんぴしゃといえる(?)。

なので、2018年の漫画作品としては、もうちょっとひねらざるをえず、VTuberのチームなどキワモノとして順当だろうかと思ったりする。


そういえば2004年くらいに近代麻雀で『スヰート』というタイトルでシリーズ連載的な漫画を描いたことがあり(担当T橋氏)、その設定が―――

謎のネット最強雀士の正体が、実はトップ女子アイドルで、その地位を投げ捨てて麻雀プロとしてデビューする

―――というもので、今般のMリーグになぞらえると、朝倉Pと萩原Pを足して性別を逆転させたみたいな感じなのであった。
(今ならYUIMETAL氏がイメージにぴったり!である)

当時は、そういった鳴り物入りのプレイヤーが登場したとしても相応しい場が麻雀界に乏しく、ニコニコ動画も天鳳もまだなく、女流プロはようやく二階堂姉妹以外の顔ぶれが台頭してきたくらいの時期で、初代女流雀王を獲った手塚紗掬Pに渋谷ラブラブボンバーに取材に伺ったりしたりしたのだった。


Mリーグの重要さは、フィクションにおいてもそうした場を提供したという意味でパトロンの藤田CA社長はなんというか恩人であり、つまりスタジオジブリが徳間康快という大パトロンの豪腕なくして存在しえなかった事実とまったく同様だと思うのだ。
(宮崎さんが唯一墓前に頭を垂れる資本家ではないか)




テヅコミ

2018-10-04 01:31:03 | 漫画



↑のテヅコミ創刊号に、さすらい?の編集氏に振られた「手塚作品を読んだことのない人に最初に薦める作品」というアンケートに回答したコメントがこっそり載ってます。

まわりの漫画家諸氏と比べると、ずいぶん賢しらな言及では?と感じましたが、漫画家といえどいい歳なのでこのくらいはいっておくべきじゃないかと。

自分が推したのは『火の鳥 復活編』であります。

このテヅコミ、紙質が自分はすごい好みで、オフセットだろう印刷もすこぶる美麗、フィジカルの漫画本としてなかなかの魅力にあふれております!


テヅコミ 創刊号 Vol.1 限定版


マイクロマガジン社


KNGSNNN2018

2018-01-07 13:55:00 | 漫画
AKOM
KTYR
ぺこり。

戌年ということで、自分の漫画家としての決定的原点である菊池規子先生の『わが輩はノラ公』(月刊少年ジャンプ・70年代連載)を!

が、ぼろぼろの単行本は実家の書庫で手元になく、ネットの曠野ではその画像はマケプレ界隈で散見され‥‥‥




「犬が人語を話す」という設定のみを橋頭保に展開する小市民ドラマ『ノラ公』に小学生のおれがなぜ魅入られたのかはわかるようなわからないようなだが、自分が『けものフレンズ』をはじめ、いわゆる「擬人化もの」に全然感心がない理由であるような気持ちもある。

というわけで、横滑りしつつ戌年ということで、ジョンジーのスティールギターのうねりがきもい「ブラック・ドッグ」の実演を貼るのだ↓

John Paul Jones - Black Dog (Lap Steel Guitar)


‥‥‥
『ポプテピピック』のアニメ、よいのでは(無論、断片的にGIF!を見ただけであるきちんと#1全編鑑賞)。

たしかに『ウゴウゴルーガ』(1992~94年放映)を連想し、『ウゴウゴルーガ』が「ファミコン脳」の展開図だったとしたら、本作は「ニコニコMAD脳」の展開図ということになるのだろうか(?)。

パロディの切れに、押井守(犬)の『オンリー・ユー』〔1983〕や『BD』〔1984〕を思い出した。


わが輩はノラ公 [マーケットプレイス コミックセット]


集英社