開演前に僕のスタッフが小山さんに聞いた
「曲目とかはだいぶ前に決めてるんですか?」
小山さんはこう答えたらしい。
「いつもはね。でも、今日は浜田君のリハを聴いて決めた。」
小山さん、あなたのその熱い思い、プライド。
ちゃんと受け取りましたよ。
ステージは浄めて来ました。あとはよろしくお願いします。
01.『花を育てたことがあるかい』
アコギで演奏されるこの曲は、僕は初めて聴きました(随分ライブに行っ
てなかったので)
開放弦の響きを生かした、地味だけど粋なコードワーク。
あの、タカミネも心地よく鳴ってます。
小山さんのトレードマークのタカミネですが、実は昔のとは変わってるん です。あのタカミネは
’80年代の前半、まだエレアコが市民権を得てな かった頃に発売されたのですが、とにかく素晴
らしいギターだった。
あの頃だと五十嵐浩晃さんが使ってました。
最近のモデルは「川本真琴」モデルらしい(笑)
でも、他のタカミネと同じで、音の方は随分悪くなってて、
小山さんは古いピックアップをマウントしてるそうです。
02.『汚れたバスケットシューズ』
なんか、僕へのメッセージっていうか、あいさつなのかな?って思いまし
た。
ここでMC。この日のMCのテーマは「浜田の脂肪の文学的な意味」(笑)
本当に、小山さんが楽しそうなのがとにかく嬉しい。
03.『真夜中のボードビル』
この曲のアコースティックバージョンも初めて聴きました。
バリ渋!
主に低音弦(5、6弦)のみをダウンストロークで弾くという、
実にストイックな奏法が、この曲の世界観と見事にマッチ。
04.『Yellow Center Line』
ピアノでしっとりと。
なんか、あの頃が蘇って来ました。
僕はいつもあなたの背中を追いかけてました。
今夜、横に並べた感慨。すべては旅の途中。
05.『Gallery』
小山節炸裂の名曲です。
僕が彼の歌に出会って最初に衝撃を受けたのが、この曲にも顕著に現れてる、
このストーリーテリングです。
今、僕が自分の中で最も自信のある分野です。あなたのおかげです。
06.『最初の奇跡』
これは、現時点で一番新しいアルバム『種』からのセレクト。
『結晶』とか『Shadow Land』とか、こういう曲好きなんだよなあ。
07.『天国のドアノブ*』
圧巻でした。最近のライブでは目玉なのかな?
もっとも新しい曲です。
多分個人的に起きたであろう出来事を、見事に作品として昇華してます。
このあたりが、小山さんがおっしゃってた、二人の曲の共鳴なんだと思います。
空気がどんどん浄化されていくのを感じました。
なんて素敵な夜なんだ!!
08.『こわれた自転車』
ピアノで。
確か、当時キンタ(金山一彦)に向けて作られた曲でしたよね?
今夜は、僕が一人占めさせていただきました。
09.『最終電車』
やっぱプロですね。しんみりだけでは終わりません。
あっという間に、一気にボルテージ上げちゃいました。
この曲、客席から何度声を張り上げたでしょう?
ミスチルの櫻井君がカバーした曲です。
10.『PARADISE ALLEY』
初めて聴いた20歳の時から大好きな曲です。
くじけそうな時、何度この曲をくちずさんで乗り越えて来たことか。
小山さん、僕はあの頃、あなたの歌に出会えて本当に良かったと、心から思います。
確かに、僕が売れない歌ばっかり歌ってるのは、あなたの責任は大きいですけど(爆)
小山さんが一旦楽屋に引き上げて、さあ、アンコール。
ここで、実はいろいろありまして。
実は、当初の予定では、4曲全部を一度のアンコールでやるはずでした。
ところが、小山さんが急に、
「2回に分けよう!ラストに『傷天!』」だって。
「ちょ、ちょっと待って下さいよ。2回目アンコールなかったらどうするんですか?」
と泣きそうな僕。
「弱気になるな。大丈夫。来なかったらそれまで。それが本当のアンコール」
説得されて、僕は内心びびりながらアンコールへ。
E1.『祈り 』(w/ 浜田裕介)
僕の中で、絶対一緒に歌いたかった曲。
浜田裕介の世界と見事にシンクロしてます。
所詮、歌うたいに出来るのは、「祈ること」「願うこと」
ならば、ありったけの思いを込めて歌い続けたい。
E2.『長い手紙』 (w/ 浜田裕介)
今回、事前に小山さんが選んでくれた僕の曲は、
「ヒヤシンス」「雨を待つ人」そして「長い手紙」
このあたりからも小山さんの本気度が伝わりました。
小山さんの「祈り」僕の「小さな戯言」
そんな歌の種達がみんなに伝わったなら、本当に幸せです。
E3.『種の歌』 (w/ 浜田裕介、福井大輔)
そして今回のメインテーマです。
チラシには、みんなで歌えるように歌詞を載せました。
福井さんは名古屋のミュージック界の重鎮(笑)で、
僕は15年ほど前に名古屋で対バンした仲です。
小山さんとも親交があることから、ゲストとして登場してもらいました。
これからは彼とも、いろんな波を起こしていきたいです。
さあ、ここで1回目のアンコール終了!
楽屋で耳を澄ます・・・。き、き、来た!!
「小山さん、アンコール来てますよ!さあ、行きましょう!!」
「浜田、慌てるな!!もう少し引っ張るのが礼儀だ!」
「そんなん言うてて、アンコールやまったらどうするんです!」
そんなしょぼい会話を、福井君は優しく見守ってました。
E4.『傷だらけの天使』 (w/ 浜田裕介、福井大輔)
みなさんごめんなさい!!幸せ一人占めです!!
客席からどれだけこの曲を叫んだことでしょう!
「その日俺達は兄弟になった」ですよ。
二人でアイコンタクトですよ!!
ラストは小山さんもいっちゃってます!!
うわ!嘘みたい!俺、生きてるの?本当に?まだ、歌い続けていいの?
2時間半、実に濃い、素晴らしい夜でした。
その後、CD販売の時も、打ち上げの時も、小山さんは上機嫌。
本当に、最高の夜でした。
小山さん、そしてみんな本当にありがとう!!
後日、小山さんから個人的に送られて来たメールの一節を紹介します。
「歌い続けるということが、人が思うよりもずっと大変なことを僕も知っています。
でも、僕がひとつだけ、信念のように思い続けてることがあります。
それは、客席の最後の一人が背を向けるまで僕は歌い続けるということです。
どうか、君も歌い続けて下さい」
歌えること。聴きたいと思ってくれてる人がいるってこと。
それがいかに素晴らしく、そして幸せなことなのか、
もう、見失わないです。みなさんが「もういいよ」っていうまで、
僕は歌い続けます。