北大路機関

京都防衛フォーラム:榛名研究室/鞍馬事務室(OCNブログ:2005.07.29~/gooブログ:2014.11.24~)

【G3X撮影速報】岐阜基地航空祭2023【7】岐阜基地北側会場!ブルーインパルス展示飛行(2023-11-12)

2024-04-25 20:15:43 | 陸海空自衛隊関連行事詳報
■航空祭大団円
 岐阜基地航空祭も大団円へ向かう。

 ブルーインパルスの飛行展示もいよいよ最終盤にはいってきます、いろいろありましたが航空祭名物お化粧室渋滞に巻き込まれて一時はブルーインパルス撮影も難しいかと危惧したのですが、まあ、何とかなったということで由としなければならない。

 垂直系の展示飛行は曇天では視界不良により中止されてしまいますから、それでもまわりから、わあっ、というような歓声が上がる様子とともにT-4練習機の限界を示す最大限の飛行展示をみていますと、航空祭が日常に戻ってきたことを実感できるのだ。

 航空祭というのは天候に左右されるのだなあ、ということは毎回知識として走っているのですけれども、曇天の航空祭でも苦い経験はいつしか上書きされて快晴の航空祭という記憶がのこるものでして、しかし改めて曇天の航空祭を探訪しますと、ああ。

 曇天、南側会場は順光というのが売りなのだから、滑走路回って曇天のままだと残念な気分となるのですが、それでも人口密度はメイン会場ほど凄いことにはなっていませんので、ほぼほぼ最前列を確保できましたが、メイン会場の混雑は凄いですよね。

 岐阜基地航空祭、実のところ航空祭全般にいえることなのですけれども、ブルーインパルスが飛行展示を行う場合は、ざっと四万から五万ほど来場者が増える、という印象です。一万の誤差は周辺人口により左右されるというところなのですけれども。

 混雑の度合いは、南側会場からも有る程度みえていました、滑走路に着陸した航空機と管制塔やメイン会場の地上展示航空機を構図に含めて航空祭らしさを演出しようとしますと、おお混雑が凄いんだなあ、というのはと梅にもわかりますから。

 滑走路脇の最前列、というものをこのメイン会場で狙いますと、それはもう大変なことになるのですが、岐阜基地と小牧基地、日常的に撮影する基地の場合は無理に最前列へ行かずとも後ろのほうから撮影すると、混雑している航空祭、という情景が。

 満員御礼、そんな言葉がありますが実際のところここまで混雑していると、いろいろな視点を通り越してもはや潔い、いや心地よいなんていう情感がわき起こります、けれども地上展示航空機を撮影するにはここを横断しなければならないのだなあ。

 T-4練習機の続々と着陸する様子を望見する。岐阜基地航空祭はなにが公開されているのか、地上展示のなかにXASM-3やJDAMなんかが初公開された場所が岐阜ですから、地上展示をしっかり撮影しなければ後々に、出ていたのか、と驚き残念に思うことも。

 格納庫のなかを順番にみてから、そして航空機の方をみるか。あまりのんびりしていると格納庫の一般公開が終わってしまうけれども、問題はこの観衆をかき分けて移動するのは難しいので混雑していない側を、凪をみて撮影に移動することかなあ。

 岐阜基地航空祭、基地の規模としては巨大すぎるものではないのですが、なにしろ見所が覆い基地ですし、それ以上に滑走路の北側と南側を移動できる航空祭というのはそれほど多くありません、それでいて南北とも見所がおおいだから忙しい。

 航空祭は体力を使うのですけれども、配備されている航空機の種類も多いものですし、異機種大編隊というここでしかみられない展示もありますから、帰路にいっぱいやりに寄ってみてグラスを片手に写真をカメラでみるだけでも、達成感を感じられるのです。

北大路機関:はるな くらま ひゅうが いせ
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【京都幕間旅情】立本寺-観桜,洛中法華二十一寺は松本問答を経た天台宗と日蓮宗の全面対決

2024-04-25 07:00:11 | 写真
■いまはさくらが誇る
 こころと信仰の解釈を巡る対立というものは今なお世界を巡りますが中世には日本でも例外ではなかった実情があります。

 立本寺、このお寺の歴史を深く知るには日蓮宗の理解も開山となりました鎌倉時代の日像さんの歴史も一通り興味深い歴史を讃えているのですが、なにより洛中法華二十一寺と天文法華の乱という歴史を踏まえておきますと奥深さと難しい日本史の一端がみえる。

 松本問答という、今でいえば問答という話し合い的な要素ではなくこれは暴行に入るのではないかなあ、論破しただけでさやに収めればよかったもの、ともいえる一つの事件を契機に天台宗と日蓮宗が全面対決となります、天台宗は日蓮宗の法華宗自称も反発していた。

 天文5年こと1536年、天台宗からの報復を恐れた日蓮宗宗徒は相国寺を占領し陣地構築を開始、この陣地構築は塹壕を掘り櫓や障害物を増強、野戦築城というに相応しいもので、同時に天台宗もこの暴挙を含め室町幕府へ仲裁と武装解除を求めるも幕府は動きません。

 山科本願寺の戦い、というこの遡ること五年前に勢力を伸ばしていました浄土宗の勢力が一向一揆に打って出た際、日蓮宗は幕府に呼号し、細川晴元や茨木長隆の軍勢とともに本願寺攻撃に参加しており、幕府としては天台宗の要請を受け入れられない事情があった。

 幕府の係争に対する慎重姿勢は、熟考を重ねているうちに状況が悪化する危機管理上の禁忌でもあり、60年前に勃発した応仁の乱と似た構図とともに広がったものなのですが、この結果、日蓮宗の寺院は京都を追放、これが立本寺の形成させる背景となっています。

 本願寺と興福寺及び三井寺と東寺はこの動きに対して中立を宣言、他者の介入がないことを確信するとともに比叡山は僧兵の動員を開始、この時の兵力は6万とも15万ともいわれます、これに対して日蓮宗は洛中法華二十一寺から兵力を動員し2万を集めていた、と。

 陣地構築で先行した日蓮宗側は、遊里を活かすべく先制攻撃をかけたとされています。鹿苑日録記など当時の日記にしるされている一方、近江より六角定頼の軍勢3万が延暦寺に増援を出し、当時係争中であった三井寺も3千の増援を派遣し戦闘加入で兵力増強へ。

 洛中法華二十一寺、陣地構築で先行していた分は有利であったのだけれども兵力差は如何ともし難く、開戦から五日を経て比叡山僧兵は六角氏とともに洛中まで到達、洛中法華二十一寺への攻撃に移りました。日蓮宗も激しく応じ、応仁の乱以来の市街戦となった。

 四条口から洛中に進出した比叡山僧兵は洛中法華二十一寺を構成する本圀寺以外の20の寺院を焼き討ちし、戦闘七日目には本圀寺を包囲し焼き討ち、これにより日蓮宗側の戦死者は一万ともいわれます、しかしこの焼き討ちによる火は留まるところなく延焼してゆく。

 応仁の乱では京都の寺社仏閣の大半が焼け落ち、と説明されますが当時動員された足軽は現地雇用の傭兵に近く多くが下町に住居を構えていました、この為に応仁の乱の主戦場に広大な下町は含まれず、現在の市域に置き換えればおおくが焼け残っていましたが。

 天文法華の乱では焼き討ちされた洛中法華二十一寺は町衆の支持を集めたこともあり下町に隣接する寺院も多く、ここが焼き討ちされ大火を招いた。結果論ですが焼失面積は応仁の乱よりも広範な地域が焦土となり、幕府はこれをうけ日蓮宗の京都追放を決定します。

 幕府の禁令は厳しく、日蓮宗からほかの宗派へ移籍することや還俗し一般に戻ることを禁止、京都とその周辺への立ち入り禁止、そして破壊された寺院の再建を禁じました。これは勅許により許されるまで六年間続き、日蓮宗ではこれを天文法難と呼ぶほどでした。

北大路機関:はるな くらま ひゅうが いせ まや
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【京都幕間旅情】立本寺-観桜,洛中法華二十一寺は天文法華の乱と妙顕寺そして三宝尊を奉じる寺院を巡る

2024-04-24 20:22:49 | 写真
■満開の桜
 ここは静けさの寺院なのですが拝観の際に観桜とともにその歴史まで辿りますと成程感慨深いものが有ります。

 立本寺、ここは上京区七本松通仁和寺街道上ル一番町という市電横丁とこどもたちには縁が遠い日活映画館あたりからぐっと住宅地のほうに入りました、ほんとうの街中の寺院です。梅花の季節には梅は香と思いましたが、数が多かれば桜並木も桜は香るのです。

 桜花の季節にはどうしてもここに歩みを進めたくなる、というのはこの堂宇を巡り合いましたのは、ふっとした偶然の向こうに出会ったような経緯がありまして、それほど混雑しない、というよりも混雑とは無縁の堂宇は激しく感受性を揺さぶる情感にみちている。

 上京区七本松通、静かな一角ですので観光客というのは、もしかしたらばいるのかもしれませんが静かな拝観者だけが歩み進めているという印象で、桜花の季節には花弁が音を吸収するためなのでしょうか、山寺のようなしんとした静寂と微かな蜂の羽音が響くのみ。

 COVID-19のいちばん猛威を振るったころ、いや日本では静観していても国際報道では世界中が欧州だけで毎日数千が死亡し、北米大陸もひどいが人口比で南米大陸がひどく、アジアでは集計さえできない地域があったなか、ふと桜を見上げていましたようなお堂だ。

 宿坊と高齢者施設とを運営しています立本寺さん、本堂の方へ桜並木が続いているのですが、伽藍の堂宇が哲学的な直線と桜花の曲線とを交響詩のように織り込んだ風景を醸していまして、そう歩けばそれほど長い距離ではないのだけれども、奥深さを感じさせる。

 由緒寺院という日蓮宗の本山にあたる寺院の一つで、門構えは入っていいのかな、とおもいつつ観光でなく拝観ならばと但し書きがありまして、凛とした方に力を入れて拝観することとしました。これは遊興の場としないためなのか、過去に何かあったのか、とも。

 天文法華の乱、何かあったのかといいますとお寺の歴史については何かあった寺院であり、このお寺は日像さんが開いた寺院という、妙顕寺を開きましたあの日像さんです。創建は1321年、元亨元年に当たる寺院でこの創建年間というものもやはり妙顕寺とおなじ。

 妙顕寺さんは上京区寺之内通新町西入妙顕寺前町、堀川通沿いにありますので若干距離はあるのですが、三宝尊を奉じる寺院という点も同じでして、少し調べてみますと、ここはもともと妙顕寺さんでもありまして、洛中法華二十一寺としてもかぞえられています。

 天文法華の乱、洛中法華二十一寺といいますのは室町時代と安土桃山時代の狭間という戦国乱世の時代に京都で影響力を増していた日蓮宗と京都遷都の時代は桓武天皇の時代より京都の奉護を自認する天台宗との対立が、とうとう全面衝突に至った際の寺院のこと。

 洛中法華二十一寺は大半が現存しているのですが、天文法華の乱では松本問答という日蓮宗と天台宗の問答の末に論破を自称した日蓮宗の僧侶が上壇の天台宗僧侶から法衣を剥ぎ取る暴行を加え、これを基に反発した天台宗との全面戦争に発展した、というもので。

 立本寺のいろいろあった歴史、というものはここを示しています。詳細は後述しますが、一時京都から離れていた一つの寺院が、京都に戻った際の時差などから二つの寺院に分かれてしまった、という。日本の宗教史を遡れば意外と多い出来事なのですけれどもね。

 並木一面さくら色という風情とともに、立本寺には庭園も拝観できるという事なのですけれども、ここを見上げますと余韻は花吹雪までだよなあ、と今一度見上げるのです。刹堂は階段がありまして、少し腰かけて、春が来たのだなあ、今年も実感し時を過ごすのです。

北大路機関:はるな くらま ひゅうが いせ まや
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【京都幕間旅情】醍醐寺観桜-五重塔は五分咲き七分咲き枝垂れ桜に透ける京都最古の建築物

2024-04-24 20:00:16 | 写真
■桜すく醍醐寺五重塔
 こういう写真は年に何枚も撮影できるものではないというものがあるのですが絶景という情景を逃さないよう。

 枝垂桜、染井吉野、山桜、八重桜、此処にもう一つ御室桜でも加われば完璧なのでしょうけれども、醍醐寺には開花時期の異なる幾種類ものさくらの木々が植えられ大切にされていまして、さくらの観桜という季節を長く楽しめるようになっています。

 五重塔と枝垂桜、いやもっと早咲きのものに河津桜がありましたか、早々と大輪の花を春に添えてくれます枝垂桜を、こう曇天というのが残念だなあ、と思いつつ五重塔とともに見上げて構図に含めますと、これ、年に一枚で会うか、という情景に仕上がる。

 枝垂桜と五重塔、ここ醍醐寺の五重塔は京都でも数少ない平安時代の建築物となっています、もうひとつは千本釈迦堂の堂宇ですが、なにより京都市内の建物は悉く応仁の乱を乗り切ることができませんでしたから、平安時代の建物は例外的といえるのだ。

 醍醐寺の枝垂桜、染井吉野、山桜、八重桜、そんな情景に在って透けて見える桜の花々という無効に確たる五重塔の情景が映りこんでいる様子は、もう少し開花してしまうと花々に隠れてしまいますし、咲いていないと単なる遅れた冬景色となってしまう。

 春らしいといいますか、五分咲き七分咲きの枝垂れ桜を透かしてこの情景を撮影できたというのは。もちろん多くの方々が写真に記録する瞬間なのですが露出と圧縮効果とが、こういうのを絶妙というのか撮影できた、これこそ写真の醍醐味、というのかなあ。

 五重塔は、醍醐天皇の冥福を祈り代明親王が建立を発願したという歴史がありまして、その造営は二十年の時間を要しましたが天暦5年こと西暦951年に落成を迎えました、このころ天皇は既に村上天皇の時代、平安朝末期の混乱も始まったころとなっている。

 醍醐寺五重塔は応仁の乱の戦災も免れている一方、災害による被害は幾度も乗り越えているものの大破することも多く、例えば天正地震、天正13年こと西暦1586年の天正地震では大破し全壊直前にまで追い込まれるものの、倒壊だけは免れています。

 能登半島地震、今年は元日に、ちょうど親類のあいさつ参りという最中に地震が発生しまして、過疎地域故に傷跡は多い楽し難い大きな被害を及ぼしました、が、醍醐寺の五重塔を見上げますと、復興というものは意志があればできるのだ、という印象も。

 染井吉野の桜花は淡い白にややさくら色が薄曇りの印象を湛えていまして、しかし花弁は最もひろくひらき、これは不思議と空気中の振動、つまり雑音、音を吸収してしまうのか街中に在って静寂という、思想の探求に適した情感を醸してくれて好きです。

 山桜、日本に多く植樹された染井吉野の樹齢には人と同じくらいの限界があるとのことですが、江戸彼岸桜と並んでこの山桜は樹木としての寿命が長く、つまり大樹の桜を形成します、けれども開花と同時に若葉が茂るために独特の白さがなにか不思議だ。

 八重桜、強い鮮やかな色彩が何か紅梅の季節を思い出すような印象で、しかし遅咲き故に観桜の季節を多忙やほかの行事撮影などで逃してしまった残念な新年度の始まりという頃合いには、そうまさにこれ干天の慈雨のような情感を味わうことができます。

 醍醐寺、伏見区なのだけれども若干交通が不便ではあるところ、しかし豊臣秀吉以来の観桜という伝統を有する寺院であるために、これが今風の賑やかな花見の原型なのだ、という原点回帰的なひと時を、満喫できる寺院でもあるお勧めしたい祈りの場です。

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ウクライナ情勢-アメリカ議会下院ウクライナ追加支援予算案可決,ロシア軍チャシブヤールを狙う

2024-04-24 07:00:57 | 防衛・安全保障
■防衛情報-ウクライナ戦争
 弾薬とミサイルの供給再開の目処というものは大きいでしょう。

 ロシア軍は僅かながら前進を続けているがアメリカ下院はウクライナ支援法案を可決した、ISWアメリカ戦争研究所が4月20日に発表したところによれば、ロシアはクレミンナ南方のビロホリフカ地域、チャシフヤール南東地域、そしてアウディイフカ北西地域のオチェレティネ地域において前進し、アウディイフカ周辺の兵力再配置を実施した。

 アメリカ議会下院はこうした状況下で20日、ウクライナ追加支援予算案を可決しました。これは2023年11月より懸案となっているものの、アメリカ共和党一部の頑強な反対により成立しなかったものが漸く可決したとの構図で、これによりアメリカが欧州へ配備した物資の提供が可能に。数週間以内にウクライナ軍の前線に影響を与える事となる見通し。

 ロシア軍は六月にも大規模な構成を準備しているものと分析されていますが、ウクライナ軍の防衛体制は6月までに相当強化される見通しであり、ISWの分析ではロシア軍は6月に行うであろう大規模攻勢の内容を変更する可能性についても触れています。ただ、ウクライナ軍の体制が整う前にロシア軍が戦果を挙げるべく攻撃を強化する可能性も高い。
■チャシブヤール
 弾薬不足解消までに攻勢に出られる可能性が。

 ロシア軍が5月9日までにチャシブヤールを占領する計画とされる、ウクライナ軍のシルスキー総司令官が4月14日に述べた内容を4月21日付イギリス国防省ウクライナ戦況報告が紹介しています。5月9日はロシアにとり対独戦勝記念日という重要な国威発揚の記念日であり、毎年大規模なパレードを実施してきましたが昨年は大幅縮小されていた。

 チャシブヤール攻略はその延長線上に位置するクラマトルスク攻略の前段であるとシルスキー総司令官は分析しており、これはウクライナ東部における要塞化された都市群への攻撃の第一歩となる可能性があります。また早期に攻撃を開始するという点ではISWアメリカ戦争研究所のウクライナ軍支援強化前の攻撃可能性の分析とも矛盾しません。

 シルスキー総司令官の分析ですが、しかしチャシブヤールは高所に位置しており防御を強化した要塞都市の一つです。一方、ウクライナ軍作戦部のホルティツイア司令官はロシア軍の最近の状況として、航空攻撃として毎日20発から30発の爆弾を投下、Su-34戦闘爆撃機の滑空爆弾とSu-25攻撃機の近接航空支援が継続されていると説明しました。

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【防衛情報】アメリカ空軍2025会計予算年度調達の戦闘機攻撃機約150機減勢

2024-04-23 20:12:59 | 先端軍事テクノロジー
■防衛フォーラム
 アメリカ軍の2025会計年度予算の話題ですが自衛隊と比較しますとその能力の在り方への思い切った視座と共に金額ではなく切り込んでいる様子が印象的です。

 KC-46空中給油機RVS2.0給油システム開発が大幅に遅延する模様です。KC-46はアメリカ空軍が導入し航空自衛隊も運用する新鋭機ですが、アメリカ国防省のアンドリューハンター次官補がシーパワープロジェクション下院小委員会に説明したところによれば、当初2025年に遅延するとされたRVS2.0が更に2026年に遅れるとしています。

 RVS2.0は空中給油遠隔視覚システムの改良型、KC-135空中給油機などでは外部視察窓を通じて給油ブームを操作していましたが、KC-46はコックピット付近から給油ブームをコリンズエアロスペース社製システムにより遠隔操作する方式を採用しています。現在のシステムは太陽光などのコントラスト変化で映像がゆがむ問題をかかえています。

 KC-46空中給油機は給油システムの問題としてA-10攻撃機など一部の機体へ空中給油できない問題を抱えていましたが、場合によってはRVS2.0が実用化された時点で既にA-10が運用終了している可能性が出てきました。一方、対地攻撃能力の高いA-10はアメリカ本土から有事の際などに欧州へ展開する際、空中給油による支援を必要としています。■

 アメリカ空軍は2025会計予算年度調達でF-15EXとF-35調達を削減します。空軍の戦闘機調達の背景には研究開発予算確保を念頭として新規調達予算を振り分けるとのこと。具体的にはF-35戦闘機を48機の調達予定から42機59億ドルで、F-15EX戦闘爆撃機を24機から18機へ18億ドルで取得すると下方修正するもよう。

 F-15EX戦闘爆撃機は当初104機の調達を計画していましたが2025会計年度を最後に一括取得契約を終了し、全体の調達計画を98機に削減することとなり当初計画の104機よりも調達総数は削減されます。一方、F-35戦闘機は調達数を削減するものの全体の調達計画では1763機を取得する計画に変更はなく、取得期間を長期化で対応するとのこと。

 F-35の調達は継続され、また2025会計年度のアメリカ空軍予算は2175億ドルとなる見通しで、これは2024会計年度予算よりも1.1%、額面にして24億ドル増額されていますが、空軍によれば予算増額が行われてもインフレによる調達コスト増大に見合っていないのが実情であるとしていて、航空機調達を削減する必要に見舞われたとしています。■

 アメリカ空軍は予算削減のためにF-15E戦闘爆撃機など150機以上の戦闘機等を削減します。削減されるのはF-15Eストライクイーグル戦闘爆撃機26機、F-15C/Dイーグル戦闘機65機、F-16ファイティングファルコン戦闘機11機、A-10サンダーボルト攻撃機56機が含まれており、この退役により運用費など20億ドルが節約できるみとおし。

 F-15Eストライクイーグルについては初期の旧型エンジンを搭載したものを退役するとしており、またA-10攻撃機も陸軍が近接航空支援などに必要な航空機であると強調しているものの航空支援はF-35でも可能であるとして退役が一挙に進みます。退役する戦闘機や攻撃機は158機が削減、対して新規にF-35とF-15EXが合計60機調達されます。

 F-22戦闘機についてもアメリカ空軍は初期型に当たるblock20が運用費用が大幅に増大しているために費用対効果が見合わないとして退役を検討していますが、F-22退役は制空作戦能力に響くとして議会が認めていません。F-22は維持されますが、新規調達よりも退役の方が多く、アメリカ空軍は2025会計年度に98機の戦闘機や攻撃機が減勢します。■

 アメリカ空軍はLGM-35Aセンチネル計画の37%もの開発費用超過に悩んでいます。このミサイルは地上配備核抑止力として位置づけられ、核戦力として抑止力の要諦にあるミニットマンⅢ大陸間弾道弾の老朽化を受けてその後継装備として開発しているものですが、開発費は37%も超過しており、2026会計年度に厳しい選択肢を迫られる可能性が。

 LGM-35Aセンチネル計画では2024会計年度に1億4000万ドルが要求され2025会計年度には7億ドルが投じられる計画ですが、計画全体では37億ドルが投じられる見通しであったため、全体で37%の費用が増大しているという。空軍が開発する装備はこのほかB-21レイダー戦略爆撃機やGCAP戦闘機計画などほかにも必要な開発計画がならぶ。

 W-87熱核弾頭を搭載するもので、LGM-35Aセンチネル計画には、主契約企業としてノースロップグラマン社があたり、協力企業として、ロッキードマーティン社、ジェネラルダイナミクス社、ベクテル社、ハネウェル社、エアロジェットロケットダイン社、パーソンズ社、テキストロン社などアメリカの主要防衛産業が参画しています。

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ウクライナ情勢-Tu-22Mバックファイア爆撃機を撃墜,黒海艦隊主要艦艇ノヴォロシースク基地へ撤退

2024-04-23 07:00:48 | 防衛・安全保障
■防衛情報ウクライナ戦争
 ロシア艦艇を舞鶴で見る事は少なくとも現体制の下ではもう無いのかもしれませんね。

 ロシア黒海艦隊はセヴァストポリから艦隊と潜水艦の撤退をほぼ完了させた、イギリス国防省ウクライナ戦況報告4月18日付の発表によれば、黒海艦隊の事実上の拠点はロシア本土クラスノダール地方のノヴォロシースク基地になっているとの事で、従来はセヴァストポリ基地において行っていた水上戦闘艦の弾薬補給施設なども移転している。

 イギリス国防省によれば4月1日にはグリゴロヴィチ級ミサイルフリゲイトのVLSへのミサイル再装填作業がノヴォロシースク基地において実施されたとのこと。本型はカリブル巡航ミサイル8発等をVLSに搭載、満載排水量4035tの水上戦闘艦で、多くの艦艇が損耗を強いられている黒海艦隊においては残る数少ない大型水上戦闘艦のひとつ。

 ノヴォロシースク基地は2014年のクリミア併合までは、当時ウクライナから租借していたセヴァストポリ基地に代わる艦隊拠点として整備が進められていましたが、この艦隊支援施設などをセヴァストポリに移設完了したところで今回のロシアウクライナ戦争、そしてウクライナ軍によるセヴァストポリへの攻撃強化に見舞われていた事情があります。
■バックファイア撃墜
 長射程の地対空ミサイルの重要性を示したかたち。

 ロシア空軍はTu-22Mバックファイア爆撃機一機を撃墜され喪失した、イギリス国防省ウクライナ戦況報告4月20日付発表によれば、ロシア空軍は19日にウクライナ南部へのTu-22M爆撃機による航空攻撃を実施、その際に一機がウクライナ軍により撃墜されたとのこと。ロシア国防省は事故により喪失したとし、撃墜された事は認めていません。

 Tu-22M3という近代化改修型の爆撃機は超音速巡航が可能で、冷戦時代に対艦ミサイルを搭載しアメリカ海軍の航空母艦を標的するとされた大型機で、イギリス国防省は戦略爆撃機との表現を用いています。Tu-22Mバックファイア爆撃機がロシアウクライナ戦争において撃墜されたのは今回が初で、そもそもTu-22Mバックファイア爆撃機戦闘喪失も初、と。

 イギリス国防省の分析では、Tu-22Mバックファイア爆撃機を撃墜したのはソ連時代に運用されていた長射程を誇るS-200地対空ミサイルと思われ、その射程は200km以上に達するとの事、これは2月23日にロシア空軍のA-50メインスティ早期警戒管制機を撃墜したものと同じ。ロシア航空宇宙軍は開戦以来、固定翼機だけでも100機を喪失しています。

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【防衛情報】ユーロコプタータイガー戦闘ヘリコプターとカエサルMk2自走榴弾砲,A2CS陸軍装甲戦闘システム計画

2024-04-22 20:01:02 | インポート
■防衛フォーラム
 今回は時間の関係で項目ごとではなく第二北大路機関からの単純なインポート記事です。

 ドイツ連邦軍はユーロコプタータイガー戦闘ヘリコプター退役を前倒しするとのこと。経済性の問題からドイツ連邦軍は過去に優先度の高い装備品取得にユーロコプタータイガー運用費を削減し転用した結果、部品不足と整備費用不足により稼働率が運用国中最低水準まで低下し、運用基盤再建にも多額の費用が掛かるとして退役を決定しました。

 計画では2038年までに退役させる方針ではありましたが、まず現在保有している55機を2028年までに33機まで削減させ、2032年に運用を終了すると、退役計画を5年間前倒しした構図です。ドイツ軍が運用するタイガーはKHT型、これは旧UHT型といい対戦車ミサイルとロケット弾は搭載するものの、機関砲を搭載しない型式となっています。

 ドイツ軍が退役を決定した背景には、KHT型について今後運用を継続するにはスペインやフランスのようにMk2plusに改修が必要となるため、費用面での限界という背景があります。ユーロコプタータイガー運用終了はオーストラリアに次いで二か国目、オーストラリアでは先進的なAH-64Eへ置き換えますがドイツはH145Mで妥協します。■

 イタリア陸軍は50億ユーロ規模のA2CS陸軍装甲戦闘システム計画を数か月以内に開始します。イタリア陸軍は装甲戦闘車としてイタリア国産のダルド装甲戦闘車を運用していますが、この車両は2000年代に配備が開始されたものの設計は1988年完成のアルミ合金車体設計のものが予算不足により量産が2000年以降となっていた事情があります。

 ダルド装甲戦闘車は設計から改修に限界があるとともに延命措置にも限界があり、また当初計画を大幅に下回ったことで必要な定数を確保できず部隊そのものを縮小することで糊口を凌いでいました。この為イタリア軍ではダルド装甲戦闘車とともにさらに老朽化が進む古い車両などを1000両規模の新型装甲車で置き換える検討を進めてきました。

 A2CS陸軍装甲戦闘システム計画として進められるこの計画は、ロシアウクライナ戦争の長期化という緊張を受けて加速し、数か月以内に協力企業、イタリアのレオナルドやイヴェコ、独仏多国籍企業KNDS,ドイツのラインメタル社などといった防衛大手から協力企業を選定するとして、イタリア国防省は2024年前半に計画を本格化する構えです。■

 インド陸軍は旧式化したFH-77榴弾砲の後継装備を検討中のもよう。FH-77はスウェーデンのボフォース社が開発した39口径の牽引式榴弾砲で、3発の弾庫を備えた半自動装填装置を採用し最初の12秒間で3発の効力射を行うことが可能という装備です。インド軍はこの後継装備について、インド陸軍砲兵の主力とし得る想定で計画を進めている。

 FH-77榴弾砲後継装備は、インド軍の想定では牽引時の重量が15t以下で砲身は52口径、現在装備されている155mm砲弾を40㎞以上まで到達させる性能とともに砲身命数は1500発の射撃か20年間の運用に耐える事、そしてインド企業が設計に参加し主要部分を含め少なくとも50%の構成部品をインド国内で生産し供給できるもの、とされている。

 インド国内の防衛産業ではバーラトフォージ社のバーラト52型野砲が重量13tとなっており、またタタグループも18tの先進牽引砲を試作しています。このほか、インド国有兵器工廠では既存のダヌーシュ榴弾砲を45口径型とした14tの牽引砲を試作しており、この技術的要素の上で52口径砲を開発し射程を42㎞に延伸させる改良型を計画中です。■

 アメリカ陸軍は600基のコヨーテ2C無人機迎撃機を調達します。これは契約は2月9日に発表されています。コヨーテ2Cとは、アメリカのRTX社が開発した無人機迎撃用地対空ミサイルシステムで、調達費用は600基が7500万ドルとのこと。コヨーテシステムは小型の対空レーダ装置や追尾装置と防空システムなどを一体化した自己完結型のもの。

 コヨーテ2Cそのものは地対空ミサイルそのものであり、目標付近まで進出し信管を作動させ迎撃するもの、システムとしてはJLTV統合軽量戦術車両などに搭載しコヨーテ2C以外にもJLTVに車載する機関砲などを併用し無人航空機を迎撃します。今回契約された600基は最初の契約であり、アメリカ陸軍は今後数千基を揃えミサイル防衛を強化する。■

 インドネシアのPT-SSE社は装甲車開発にフランスのテレリス社と協力を発表しました。テレリス社は装甲車の車体部分を下請け協力している企業であり、またサイバースペースを利用したデジタル車両共同開発システムなどを手掛け、これは具体的に言えば、遠隔地にある開発拠点同士をつないだ分業体制の技術でも知られている企業です。

 CELERIS四輪駆動軽装甲車、テレリス社は最近独自に装甲ジープ型の装輪装甲車を開発しており、今回の協力ではCELERIS四輪駆動軽装甲車をPT-SEE社に提供し、これをもとに装甲車両を開発するとのこと。インドネシアは最近、トルコとの協力で開発するハリマウ中戦車の量産開始遅延など防衛産業の基礎工業力限界を痛感しています。■

 オランダ陸軍はヘルファイアミサイルを取得します、ミサイルはAH-64Eアパッチガーディアン用とともにMQ-9リーパー無人航空機用の弾薬という位置づけで、このほどアメリカ国務省の対外供与認可を受けました。空中発射型のAGM-114R2ミサイル、取得数は386発とのことで関連機材を含めた取得費用は1億5000万ドル規模となる見通し。

 AH-64Eアパッチガーディアンについては1995年に導入したオランダ軍アパッチの継続的な近代化改修が行われ、現在アパッチロングボウからの改修完了機が順次オランダへ再配備されています。またMQ-9はMQ-9blockⅤを4機、2023年に導入しており、追加の4機取得も計画、前線用2基と本国用2基の管制システムなども配備されています。■

 フランス国防省はカエサルMk2自走榴弾砲109両の追加調達を決定しDGA軍事調達総局はKNDS社とネクスター社との間で契約を結びました。今回導入されるカエサルMk2自走榴弾砲によりフランス陸軍はAUF-1自走榴弾砲を置き換える構想で、これによりフランス軍は装軌式自走榴弾砲を全廃し装輪自走榴弾砲へ統合することとなります。

 カエサルMk2自走榴弾砲は六輪式のそうりんじそうほうで現在各国て提供されているMAN社製の八輪私事装輪自走砲とも、また現在フランス軍に装備されている六輪式のウニモグトラックを用いたものとも異なる装備となり、ウニモグトラックを用いたカエサルMk1自走榴弾砲についてもフランス軍は順次カエサルMk2自走榴弾砲により置き換えます。

 カエサルMk2自走榴弾砲を量産する背景には、この車体部分に用いられているのがスコーピオンプログラムとして進められる車体部分や戦闘システム統合化の一環として進められており、既存のカエサルMk1自走榴弾砲と比較して機動力や装甲防御力で大きな前進があるとのこと。計画では最初の車両は2026年にフランス軍へ納入される予定です。■

 ラトビアのアトラス社はGPSに依存しないTETHER無人航空機システムを試験中です。これは厳しい電子戦環境においては無人機が通常依存するGPS電波などが妨害により使用不可能となる懸念があり、衛星通信システムなども妨害されるため、無人機運用が不能になり、実際ロシアウクライナ戦争においてはそうした状況が度々確認されています。

 アトラス社は2023年内にもウクライナにおいて既に試験飛行を実施し、試験では10㎞以内の距離において70mの高度で滞空実験を実施したとのこと。電子攻撃はロシア軍が実施するものはロシア軍自身の通信も無効化するため、継続的に展開されるものではありませんが、電子攻撃装置を発見し野砲により破壊する戦術が開発されています。

 TETHER無人航空機システムは、こうした電子攻撃が加えられた場合にも無人機による情報優位を担保するとともに、ロシア軍電子戦兵器の位置を捕捉し砲撃により破壊する用途に重要な性能を発揮できるでしょう。なお、GPSに依存しない装備として、固定翼のトルコ製バイラクタルTB-2も指令ビーム方式を用いるため、電子戦下で有用です。■

 スペイン陸軍はチェンタウロ戦車駆逐車の近代化改修計画を発表しました。先ず改修試作車の開発に二度に分け各々530万ユーロと330万ユーロの開発契約は結ばれています。スペイン陸軍はイタリアで開発されたチェンタウロ戦車駆逐車の機動力と火力に注目し、VRCC-105装甲偵察車として84両を調達し、3個連隊に分散配備しています。

 チェンタウロ戦車駆逐車はスペイン軍のバビア第4連隊とルシタニア第8連隊にエスパーニャ連隊に配備、これらの3個連隊はスペイン空軍の緊急展開任務と連携するべくカバレリア兵営に駐屯しています。チェンタウロのスペイン軍での評価は比較的高く、スペイン軍全体の近代化計画と歩調を合わせられる水準まで能力向上することが狙い。

 チェンタウロ戦車駆逐車、近代化計画は砲身サーマルスリーブの交換、ROVIS戦闘情報システムへの対応改修、機銃をMG-42/59からMG-3機銃に換装し最大3丁まで増備すること、車体周辺部分に中空装甲区画を広げ、発煙弾発射装置の改良などが計画されています。なお、イタリアでは120mm砲搭載のチェンタウロ2が開発されました。■

 アメリカ陸軍はM-1150工兵戦闘車改良でピアソンエンジニアリング社と契約を結びしました。契約規模は1121万ドル、M-1150はアサルトブリーチャーの愛称で知られ、M-1エイブラムス戦車の車体を利用した戦闘工兵車、車体全体の戦闘工兵車への改修はゼネラルダイナミクスランドシステムズ社が担当、ピアソンエンジニアリング社は下請け。

 ピアソンエンジニアリング社はイギリス企業で除雷鍬や地雷処理装置などを担当しています。アメリカ陸軍はM-1150はアサルトブリーチャーを187両調達する計画で、しかし、2023年のロシアウクライナ戦争ウクライナ夏季反転攻勢において戦闘工兵車両の能力と数に関する重要な戦訓が得られ、現状装備数が全く足りていない事が判明しています。

北大路機関:はるな くらま ひゅうが いせ
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臨時情報-中東情勢,イスラエル報復宣言後イランイスファハン州で爆発,イラン政府は感知せず

2024-04-22 07:01:04 | 国際・政治
■全面戦争は回避
 第五次中東戦争の勃発は回避でき中東在留邦人の安全も一応は確保される事となりました。

 イラン本土からの初のイスラエル本土への大規模ミサイル攻撃が発生して以来、イスラエルは報復攻撃を発言していましたが、これが4月19日、小規模な航空攻撃として実施されました。世界が危惧していたのはこれを契機にイスラエルとイランが全面戦争に発展する事でしたが、反撃は小規模であり、少なくとも今の時点での全面戦争は回避できました。

 全面戦争と成れば、イラン国内にもイスラエル国内に在留邦人は少なくなく、イスラエルとイランの間にはイラクやヨルダンとシリア等が位置している事からイスラエル軍の地上侵攻の可能性は低かったのですが、在留邦人の救出活動を行う必要が生じていたでしょう。イスラエル報復攻撃前には外務省などが在留邦人へ注意情報を発表していました。

 中東情勢は邦人保護の問題と表裏一体であり、これは1980年に勃発したイランイラク戦争において、イランでのODA政府開発援助に基づく土木工事支援法人企業駐在員が戦闘地域脱出を試みた際に戦闘に巻き込まれ、またイラン大規模攻撃をフセイン大統領が発表した際に当時の自衛隊法で邦人を救出できず、トルコ政府の厚意に頼るなどの歴史があります。

 イスラエルとの関連は証明されなかった、イランのアブドラヒアン外務大臣は4月20日、イラン中部において19日に発生した航空攻撃について、アメリカのNBCニュースのインタビューに応じ、19日未明にイランのイスファハン州上空に3機の無人機が確認されたが、無人機は撃墜現場から数百m以内で飛行しており念のため撃墜したと発言しました。

 イスファハン州での爆発はアブドラ外相が発言するような小規模なものではなかった事が既に複数報道されていますが、イラン政府としては今回の攻撃に、公式見解としてイスラエルは関与していない、とすることでイスラエルの攻撃が有れば反撃するという原則論に対し、イスラエルの攻撃を否定する事で幕引きを図っているように解釈できます。

 19日の航空攻撃は、イラン政府がイスファハン州の核関連施設に対する攻撃であれば断固反撃すると表明していたのに対し、イスファハン州の航空基地が攻撃され、またイスラエル政府が攻撃を公式声明しなかった事で、イスラエルイラン全面戦争を回避しなければならないが、イランによる大規模本土攻撃へ報復しない選択肢も回避した結果となりました。

北大路機関:はるな くらま ひゅうが いせ まや
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【G3X撮影速報】横須賀軍港めぐり【4】軍港巡り遊覧船と船越地区の自衛隊新潜水艦岸壁(2024-01-06)

2024-04-21 20:23:49 | 陸海空自衛隊関連行事詳報
■新潜水艦岸壁
 軍港めぐり遊覧船の旅は続きます。

 うらが、あすか。名字と名前ではなく掃海母艦うらが、試験艦あすか、船越地区停泊の様子です。ぐるりと遊覧船はここ船越地区を回りまして、それから荒井掘割水路を通りまして吉倉桟橋へと戻ってゆくのですが、船越地区も年々変容を続けています。

 潜水艦岸壁、別の言い方があったように記憶するのですけれども潜水艦岸壁のほうが通りがよい、船越地区にこの数年の間に建設されました新しい地区でして、現在ヴェルニー公園から丸見えの潜水艦岸壁とはべつのところ、言い換えればここは見えにくい。

 そうりゅう型潜水艦、船体側面の吸音タイルに沿って、なにか吸盤に無数にからみつかれたような模様が見えまして、これは何なのかなあ、と思ったりするのですが、ちょうどこれをまとめている最中にBS-12にて日曜ゴジラ劇場を放映していますゆえ。

 潜水艦は海の忍者といわれますが、海上自衛隊の潜水艦は艦番号を早い時期に消しまして、艦隊行動の秘匿につとめています。なんでも昨今は2000mm級のレンズが普及して、このG3Xも2400mmだよ、識別帽から艦名が読みとられることも多くなったとか。

 潜水艦はこのために、艦名ばらばらの識別帽を準備しまして敢えて撮影された場合でも艦名を秘匿しているという。舷門にSSN777と書いていたノースカロライナとは大違い。そしてこちらは一見潜れそうにないですが、潜水艦救難艦ちよだ、停泊しているとこ。

 ちよだ、潜れそうにないように見えますがDSRV深海潜水艦救難艇が潜る。今年お正月にBSで"原子力潜水艦浮上せず"というチャールトンヘストン主演の海洋パニック映画が放映されていましたが、DSRVはこの作品と、あと"レッドオクトーバーを追え"に詳しい。

 吉倉桟橋がみえてきました、荒井堀割水路のむこうにみえます情景です。汐入駅まえのホテルなど横須賀の市街地がよく見えていまして、中心部は横須賀中央駅のあたりなのですけれども、この情景をみますとそう汐入のあたりもかなり都会になってきたなあ。

 21世紀到来、という情景がみえてきます。もがみ型護衛艦、ステルス性重視の護衛艦でこの時点では掃海隊群直轄艦という扱いでしたが、3月の改編で第11護衛隊に移管、護衛艦隊の所属となりました、護衛艦もがみ、くまの、です。さてこの護衛艦の艦番号は。

 くまの。2ですから二番艦の護衛艦くまの、ですね。しかし、多数建造するのですから02とすればよいものを2とだけ記載されていますと何か味気ないなあ、と思ってしまうところ。革新的な護衛艦でしたが、今後はさらに大型化した改良型に建造が移行します。

 もがみ型護衛艦、拡大改良型は艦隊防空用の広域防空ミサイルを搭載すると言いまして、すると当初計画の掃海隊群へ護衛艦を配備するという計画はどうなるのか、護衛艦隊に護衛隊群以外の手持ちの護衛艦を増やすという現在の方針を踏襲するのか、と。

 おおなみ、護衛艦おおなみ、が見えてきました有名な"おおなみ事件"の舞台です。おおなみ事件とは名古屋で一般公開されていた艦上にてガスタービン艦特有の上部構造物排気による強風で見学者男性のカツラが吹き飛ばされ、乗員がチャッチしたというもの。

 危機一髪とはこのことをいうものでして、いや勿論、帽子をとばされないように、と乗員の方は人が通る度に注意喚起していましたがカツラは見抜けずあわや海にカツラがおちる一歩手前をつかんだものの、お互い気まずい思いをした、ということで有名になりました。

北大路機関:はるな くらま ひゅうが いせ
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