平成太平記

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THAAD:韓米防衛費分担交渉、「狂人理論」で韓国次期政権に圧力

2017年04月29日 17時21分03秒 | Weblog

 記事入力 : 2017/04/29 08:15

THAAD:韓米防衛費分担交渉、「狂人理論」で韓国次期政権に圧力

 

 韓国国防部(省に相当)や外交部など安保部処(省庁)関係者は28日午前、「終末高高度防衛ミサイル(THAAD)の費用は韓国が支払わなければならない」というドナルド・トランプ米大統領の発言が伝えられたことに戸惑いを隠せなかった。

これまで韓米で何度も確認した合意を覆した上に、国論分裂や中国による報復に遭いながらもTHAAD配備に協力してきた努力を無視した発言だからだ。

韓国軍・外交関係者らは「同盟の基本的な価値と精神を金銭に換算して交渉するというのはあり得ないことだ」と語った。

 ■「韓米同盟が駆け引き材料に」

 韓国政府関係者は「THAADはF-15K戦闘機のように韓国が導入する武器ではなく、在韓米軍が持ち込んで運用する武器なので、韓国が金を払う理由も根拠もない。

結局、来年の防衛費分担金交渉を有利にしようという意図だと思われる」と言った。

韓国の外交関係者らも同日のトランプ大統領によるTHAAD費用言及について「韓国次期政権との在韓米軍防衛費分担金交渉で優位に立つための計算」と見ている様子だ。

予想を上回る強気な姿勢で恐怖心をあおり、制圧するのが狙いで、米メディアが「狂人理論(the Madman Theory)」と呼ぶトランプ大統領特有の戦略だ。

韓米が結んだ防衛費分担特別協定は2018年まで有効で、本格的な防衛費再交渉は来年初めから始まる予定だ。

  ある外交官経験者は「同盟は基本的に一方的なものではなく、やり取りが必要なものだが、トランプ大統領のこうした認識は自由民主主義の価値を共有してきた韓米同盟の根幹を危うくする可能性がある」とした。

ワシントンの外交消息筋も「韓米同盟を通じて米国も多くの戦略的・戦術的利益を得ている状況で、韓国がただ乗りしているかのように言うのは、同盟間の礼儀にもとるばかりか、事実とも違う」と言った。

韓国が負担する防衛費は毎年増えている。16年には全防衛費の約50%に当たる9441億ウォン(約924億円)を負担した。

また、韓国は総武器輸入額(2015年基準)の90%を上回る50億ドル(約5575億円)を米国製武器の購入に使っている。

■「THAADは米国が必要だから持ち込んだ武器」

 トランプ大統領の発言は同盟の価値を損なうだけでなく、実務レベルでも両国の約束とは違う。

THAAD配備費用の問題と関連、国防部は昨年3月、「THAAD配備協議のため韓米共同実務団」を発足させた時から「韓国政府は用地やインフラなどを提供し、米国はTHAADの展開・運用・維持費用を負担することになるだろう」と説明してきた。

この内容は同年7月に共同実務団がTHAAD配備を決定し、締結した約定にも反映された。

  韓米が「THAADは米国の負担、用地とインフラは韓国の負担」という原則に合意した根拠は、韓米地位協定(SOFA)にある。

韓国が購入する武器ではなく、SOFAに基づいて米国が必要だから在韓米軍が韓国に持ち込む武器だということだ。

THAADは14年にカーティス・スカパロッティ在韓米軍司令官=当時=の強力な要請に応じて配備方針が決まった。

  SOFA第5条によると、「米国側は、米軍の維持に伴うあらゆる経費を負担し、代わりに韓国は米国側に用地と通信・電気・水道などのインフラを提供する」と規定されている。

これにより、在韓米軍はテキサス州フォート・ブリスにあったTHAAD 1砲台を「販売」ではなく「輸送」し、韓国国防部は2月末のロッテとの用地交換契約により確保した星州ゴルフ場(148万平方メートル・890億ウォン=約87億円相当)の約20%に相当する30万平方メートルを20日、在韓米軍に供与した。

  トランプ大統領はTHAAD砲台の価格が10億ドル(約1100億円)としている。

軍の専門家らは、これまで発射台6基からなるTHAAD 1砲台の価格を1兆-1兆5000億ウォン(約979億-1468億円)と推算している。

米国務省の元職員も同日、ロイター通信に対して「THAAD配備費用は12億ドル(約1338億円)だ」と語った。

この人物は「米国はTHAADを韓国に配備されている他の武器と同様、米国の所有物として置いておいてほしい。

米国はTHAADを所有し、維持し、再配備する権利がある」と述べた。韓国政府関係者は「トランプ大統領の主張は、韓国にTHAADを販売する考えがない米国務省・国防総省の公式見解とは違っていることを示している」と語った。

 

李竜洙(イ・ヨンス)記者 , 金真明(キム・ジンミョン)記者

深川由起子氏「韓国は賃金急上昇で雇用が

2017年04月29日 17時03分08秒 | Weblog

深川由起子氏「韓国は賃金急上昇で雇用が

深川由起子氏「韓国は賃金急上昇で雇用が減少」

 「韓国は経済協力開発機構(OECD)加盟国の中で生産性を上回るペースで人件費が上昇している国だ。

生産性に見合った賃金体系を構築しなければ、雇用は減らざるを得ない」

 代表的な知韓派として知られる深川由起子・早稲田大教授は「大企業は社会的な役割が大きい公的な存在であり、雇用創出という面でも一定の責任を負うべきだが、生産性よりも人件費の上昇ペースが速い状況では企業は雇用を増やすのが困難だ」と述べた。

 「トヨタの従業員は生産性が韓国の自動車メーカーの従業員よりも高いが、月給は少ない。

今回の韓国大統領選の候補は最低賃金の引き上げにばかり言及しているが、そうなれば雇用はさらに減ることになる」

 実際に2015年実績で韓国の完成車メーカーの平均賃金は9313万ウォン(約919万円、自動車産業協会調べ)で、日本のトヨタ(7961万ウォン)を上回っている。

一方、自動車1台を生産するのにかかる時間は韓国が26.8時間に対し、トヨタは24.1時間だった。

トヨタの従業員は韓国の勤労者よりも低い賃金で高い生産性を上げていることになる。

そうした点を指摘しながら、深川教授は「学力以外の専門性や技術力を評価し、多彩な働き方を認めれば、生産性も上昇し、ゆがんだ賃金体系も是正される。

労働改革を進めなければ、韓国経済は生き残ることが難しい」との見方を示した。

 深川教授は安倍政権が掲げる正社員の副業許容や自宅勤務の活性化といった一連の政策がいずれも生産性の向上を狙ったものだと説明した。

 深川教授はまた、雇用不足の問題が解決されなければ、人的資源が最大の資産である韓国で少子化問題がさらに深刻化するとも予想した。

深川教授は「現在は皆が教育投資に熱心だが、雇用が不足すれば教育費が返済不能の負債になり、マイナスリターン(元本割れ)となって返ってくる。

そういう冷酷な現実を体験した若者は子どもを産もうとはしない」とした上で、「これからどんな労働改革を進めるのか、国民的な合意を得て大枠を描いていくべきだ」と提言した。

李敬恩(イ・ギョンウン)記者

「 左右陣営双方が絶対に譲らない構え 内乱とも言うべき切迫した韓国情勢 」

2017年04月09日 17時15分59秒 | Weblog

2017.03.25 (土)

「 左右陣営双方が絶対に譲らない構え 内乱とも言うべき切迫した韓国情勢 」

『週刊ダイヤモンド』 2017年3月25日号


新世紀の風をおこす オピニオン縦横無尽 1175

韓国は革命前夜だと言ったら、韓国人の洪熒(ホン・ヒョン)氏が「前夜ではありません。

すでに内戦です」と反論した。
 
憲法裁判所が朴槿恵大統領弾劾訴追を承認して、罷免の決定を下したのが3月10日だった。

保守派はこの判断を合憲だとは認めず、「国民抵抗権」の旗印の下に「国民抵抗本部」を設置し、街頭に出て弾劾を弾劾すると気勢を上げる。
 
「韓国憲法は、国家が正常に機能しだが、憲法裁判所の判断を暴力によって覆すのは法治国家として許されるのか。

洪氏はこう説明する。

ない場合国民抵抗権で立ち上がることを認めています。

これは韓国が北朝鮮と対峙して生まれた国家だからこそ、憲法に保証された国民の権利です。

北朝鮮の支配下で、ルールだからといって従えば、韓国の自由や民主主義が死んでしまうからです。

そのときに立ち上がる権利を保証したのです」
 
いま国民抵抗本部に集まる人々がふえているという。

組織の中心軸を構成するのが韓国の陸・海・空の退役軍人の会だ。現役の軍人を除く軍関係者が勢揃いしていることの意味は非常に大きい。
 

保守派の強い危機感は、5月9日の大統領選挙で文在寅(ムン・ジェイン)氏が選ばれる可能性が高いことからも生まれている。文氏は現時点で最有力の候補者である。

「文氏が大統領になれば、大韓民国は事実上、消滅し、北朝鮮が全半島を支配するようになります」と、洪氏。
 
重要政策に関する文氏の発言を辿ると、洪氏の警告が大袈裟ではないことがわかる。
 
まず文氏は北朝鮮と連邦統一政府を作ると述べている。

同構想は元々、北朝鮮の金日成主席の考えだ。

南北朝鮮が同等の立場で統一政府を樹立し、一定期間後に統合し、朝鮮民族はひとつの国家になるという内容だ。
 
かつて金正日総書記はこう語っていた──。

「南北が同等の立場で連邦政府を樹立すれば、韓国側連邦議員の半分は親北朝鮮だ。

わが方は全員わが共和国支持だ。すべての政策は3対1でわれわれの思い通りになる」。
 
連邦政府構想は、韓国を北朝鮮支配に差し出すことだと保守派が警戒するのは尤(もっと)もであろう。
 
文氏の、韓国よりも北朝鮮を利することが明らかな政策提言は、連邦政府構想にとどまらない。

たとえば現在日米韓は、北朝鮮の弾道ミサイルを探知し追跡し撃ち落とすための協力を進めている。

その柱が戦域高高度防衛ミサイル(THAAD)の韓国配備であり、日韓の軍事情報包括保護協定(GSOMIA)締結である。
 
前者は北朝鮮のミサイルに対する最新鋭の迎撃システムで、後者は日韓が安全保障分野の機密情報を共有するための協定である。

目的は北朝鮮によるミサイル攻撃などへの効率よく素早い対処を可能にすることだ。

文氏はいずれに関しても「次期政権が決定すべきだ」「締結が適切か疑問だ」と述べて、見直しを示唆している。
 
文氏は北朝鮮の主張を事実上受け入れるというわけだ。

氏が「北朝鮮の手先」だと批判されるのはこうした理由からであろうか。
 
保守陣営の主張する国民抵抗権、街に出て抵抗するという考えは、平和が当たり前の日本から見れば、到底受け入れられない。

しかし、私たちが韓国の保守勢力を一方的に批判することも不公平であろう。

なぜなら、憲法裁判所の判断が示される前、

文氏も「憲法裁判所が朴大統領弾劾を破棄すれば、次は革命しかない」と、語っていたからだ。
 
左右陣営双方が絶対に譲らない構えなのだ。

韓国の政治は平穏におさまりそうもない。

まさに、洪氏の指摘するように内戦である。韓国情勢の切迫はわが国の危機だ。

そのことだけは、日本人は知っておくべきだ。 


APEC欠席の朴大統領、外交だけでなく内政も不可能に

2016年11月10日 16時35分15秒 | Weblog

APEC欠席の朴大統領、外交だけでなく内政も不可能に

2016.11.10

ZAKZAK夕刊フジ

国政介入疑惑で窮地の韓国の朴槿恵(パク・クネ)大統領が、ペルーで20日に開かれるアジア太平洋経済協力会議(APEC)首脳会議を欠席することになった。

新首相人事も事実上撤回、外交も内政も、何もできなくなっている。

韓国外務省報道官は、北朝鮮による9月の核実験実施など「厳しい安全保障の状況を考慮した」と説明したが、

そんな状況では積極的に外交で訴えるのが筋で、一連の疑惑が影響していることは間違いない。

朴大統領は、新首相人事も事実上撤回、国会で多数を占める野党陣営主導で推薦される見通しだが、事態収拾につながるか不透明だ。

一方、「陰の女帝」こと、崔順実(チェ・スンシル)容疑者(60)の側近で、政府の文化事業を請け負うなどの利権を得ていた疑惑のある広告業界関係者、チャ・ウンテク氏(47)が検察に拘束された。

チャ氏は大統領直属の「文化隆盛委員会」の委員などを務め、「ヌルプム体操」と呼ばれる健康体操や、舞台公演が政府の支援を受けた疑惑が韓国で報じられている。

チャ氏は崔容疑者が大統領府の機密資料に目を通す場にも頻繁に同席していたとされ、国政介入疑惑についても詳しく調べる。

 

 

 

 


韓国、与党に亀裂 「非朴」派、大統領に離党要求

2016年11月08日 11時50分53秒 | Weblog

韓国、与党に亀裂 文書漏洩問題

「非朴」派、大統領に離党要求

2016/11/8付

日本経済新聞 朝刊

【ソウル=峯岸博】大統領文書を友人に漏洩した問題で、韓国の朴槿恵(パク・クネ)大統領を支える与党セヌリ党内の亀裂が表面化した。

朴大統領と距離を置く「非朴」派の実力者、金武星(キム・ムソン)前代表は7日、朴氏に離党勧告を突きつけた。野党も大統領の「棚上げ」を狙って勢いづき、朴氏は一段と追い詰められつつある。

 

「国民が委任した大統領が崔順実(チェ・スンシル、容疑者)一家の不当な利益追求に利用された」。

ソウルで記者会見した金前代表は大統領を公然と批判。「党の支持基盤である保守層の壊滅を防がなければならない」と強調した。

金氏は次期大統領選の与党候補の一人に名前が挙がる非朴派の領袖格。

この日は党指導部の最高委員で唯一の非朴派議員も辞任を表明した。女性や若手の政治家からも離党要求が出ている。

政党の基盤を失えば、朴氏は窮地に追い込まれる。

野党が検討する大統領の弾劾訴追案の発議は国会議員(定数300)の3分の2の賛成が必要。

171人の野党系議員(無所属を含む)だけでは届かないが、与党議員129人のうち50人程度は非朴派とみられる。うち30人程度が同調すれば可決に持ち込める。

 先週末の世論調査で大統領の支持率は5%にまで低下。ソウル中心部で5日に開いた朴氏退陣を求める集会には市民らが大挙参加した。

朴大統領を擁護するのは李貞鉉(イ・ジョンヒョン)代表らセヌリ党の「親朴」派などにとどまる。

事態打開へ向けて、3日に就任した韓光玉(ハン・グァンオク)大統領秘書室長は7日、セヌリ党の李代表と会談。

朴氏の意向として(1)8日か9日に与野党3党の代表と会談を望んでいる(2)2日に指名した金秉準(キム・ビョンジュン)首相候補の人事撤回も議題にできる――と伝えた。

7日発表の世論調査によると、朴氏が捜査の受け入れを表明した4日の国民向け談話の後、セヌリ党支持層の大統領支持率は上昇した。

朴氏は世論を見極めつつ、野党が求める首相候補の指名撤回や、与野党合議による挙国一致内閣の受け入れも視野に入れて事態打開を図る考えとみられる。

勢いづく野党は二正面作戦を描く。まず首相指名の撤回と挙国一致内閣の実現で、朴大統領の権限骨抜きを狙う。

最大野党「共に民主党」の報道官は7日、朴氏が要求を受け入れない限り会談に応じない考えを示した。

朴氏が要求を拒めば、弾劾訴追案の発議を検討する。

ただ即時の発議にはためらいがある。

仮に可決して職務停止に持ち込んでも、可否を審理する憲法裁判所が罷免に値しないと判断すれば野党が逆境に立つ。

弾劾可決の唯一の例だった2004年の盧武鉉大統領のケースは後に棄却され、大統領が職務復帰した。


韓国、「大統領の犯罪」孤高の人・朴槿恵が陥った側近政治の穴

2016年11月07日 17時20分40秒 | Weblog

2016-11-07 05:00:00

韓国、「大統領の犯罪」孤高の人・朴槿恵が陥った側近政治の穴

一部省略

勝又壽良の経済時評

        

週刊東洋経済元編集長の勝又壽良 

家産官僚の典型例か

人間不信の落とし穴

 

韓国で、前代未聞の話しが持ち上がった。政府の国家機密文書が民間人の手に渡っていたのだ。当初は、現職大統領が関与していた。

その後は、大統領側近が大統領友人とのパイプ役になった。この友人は政府の事業企画に関与するほか。自らの財団設立に朴大統領とのコネを利用したという。

さらに、この友人の娘が韓国代表の馬術選手に選抜されるべく、種々の「下工作」した話しまで暴露されている。

むろん、「朴大統領」とのコネを臭わせた結果だ。ここまでくると、完全に週刊誌の飛びつくテーマになる。

 この問題は、韓国の政治と経済に深刻な影響を与えている。

韓国経済は世論調査によれば、9割の人が「経済危機」と認識している。

本来、経済危機を防ぐには政治が機能しなければならない。

肝心の政治は、「大統領の犯罪」で身動きならぬ状況に陥っている。

ただ、韓国憲法では、在任中の大統領に検察の捜査権が及ばないという特権が保障されている。朴大統領は18年2月まで検察の捜査対象になることはない。

 世論調査では1桁にまで支持率が落ち込んでいる。

 韓国政治の危機であり、同時に韓国経済が危険ゾーンに入り込んだことを意味する。

 家産官僚の典型例か

『朝鮮日報』(10月30日付)は、コラム「先進国になれない韓国、本当に憲法のせいなのか」を掲載した。筆者は、同紙論説委員の鮮干鉦(ソンウ・ジョン)氏である。

 この記事は、韓国メディアを代表する朝鮮日報論説委員が、血を吐く思いで自国の不甲斐なさを嘆くコラムである。

 私はかねてから、韓国の歴代大統領が退任後、必ずといって良いほど「収賄」事件が起こっている理由は何かと思いを巡らしていた。

一つは、儒教社会が人縁社会であることだ。

一族から成功者が出ると、その宗族はこぞってその成功者の下で利益を受ける。

それが、一種の美風とされてきた。中国では今でも一族から成績優秀者が出ると、共同で学費を出し合い成功させる。

その暁に、利益配分を受けるという扶助組織のような形態を維持している。ここでは当然、贈賄・収賄が起こって不思議はない。

もう一つの理由は、「家産官僚制度」の問題である。

この言葉は、マックス・ヴェーバーの命名によるが、「近代官僚制度」の対極にある概念である。

家産官僚制とは、国王もしくは君主の世襲的財産の維持・拡大に当たる官僚制組織である。

近代国家成立以前は、官僚は国王に忠誠を誓い、人民の方を向いてはいなかった。

著しい特色は、官僚が「恣意的」基準によって行政を行うことである。ここでは、行政を都合良く解釈させるべき、贈賄・収賄が発生する余地を残している。

 一方、「近代官僚制」では、国民に対して忠誠を誓うもので、いわゆる「公僕」概念が成立する。

ここでは、「恣意的」行政は許されない。一律のルールに基づく行政が執行される。

先進国の行政は、すべて「近代的官僚制」によって維持されている。ルールは曲げられないから原則、贈賄・収賄は起こりえないシステムである。

 以上の、家産官僚制と近代官僚制の区別を頭に入れると、

韓国政府は、国政の機密情報を正式の官僚ルートに基づかず、

非公式ルートで流した背景がはっきりする。

これは、韓国の官僚制が、家産官僚制という封建時代の遺物を今に引きずっている結果である。

この韓国が、「反日」で日本批判を重ねてきた。自らの官僚制度の欠陥を棚上げして、より進んでいる日本へ石を投げ続けていたのだ。

 (1)「李元鐘(イ・ウォンジョン)韓国大統領秘書室長の発言が物笑いの種になった。

先の国政監査で、朴槿恵(パク・クネ)大統領友人の崔順実(チェ・スンシル)氏が大統領の演説文を手直しすることは可能かと問われ、

『封建時代にもあり得ないこと』と答弁したせいだ。本当なら、李室長は『封建時代ならあり得ること』と答えるべきだった」。

 

なんとも、締まらない話しだ。一国元首の演説原文を、民間人が手直しする。

考えられない事態である。韓国大統領府は、烏合の衆の集まりなのか。という皮肉の一つでも言ってみたい気持ちに駆られる。

韓国は、大学受験の過酷さが日本以上である。ソウル大学の入試では、ほとんど満点でなければ入学できないといわれる。

それだけ、記憶力競争(創造力競争ではない)を勝ち抜いてきた官僚が、大統領の演説草稿を直せないとは噴飯物である。

大統領府秘書団は、朴大統領から、馬鹿にされていたのも同然の発言を聞かされたのだ。

 (2)「封建時代は国王、領主、家臣が主従関係を結んで分権していた中世を指す。

だが、これは制度的な表現にすぎず、封建時代の本質は近代と比較して初めて明確になる。

近代は国民主体の国民国家と産業化を中心に法治、合理、科学、自由という価値が具現されていく時代を指す。

私たちが生きる今を『現代』と呼ぶが、実際はほとんどの人が近代に形成された価値を常識として共有している。封建時代とは要するに、今の常識が常識ではなかった時代といえる」。

 このパラグラフは、先に私が指摘した「家産官僚制」に該当する。

一般的に、近代国家(国民国家)と対比するのは封建国家である。

世界史において、この封建国家を経験したのは、欧州と日本だけである。

中国も韓国も含むすべての国家は、封建制以前の専制体制にあった。

封建制は、国王の下に諸侯が控え、これが人民を統治した。

国王は、人民に対して間接統治である。

韓国や中国は封建以前の専制であり、国王が人民を直接統治している。この封建と専制の違いが、その後の近代国家発展において雲泥の差をもたらしている。

封建国家を経験した欧州や日本は、民主政治や市場経済に対して馴染みやすかった。

専制国家から直接に形式的な近代国家へ移行した国々は、封建国家の経験がないために、

賄賂が横行し、政治の私物化が日常化しているのだ。中国や韓国はその筆頭に挙げられる。

(3)「崔順実氏のパソコンから大統領府の文書が見つかり、李室長の発言は虚言となった。

それだけが問題ではないようだ。大統領府は24日夜の最初の報道から翌日の大統領による謝罪までのほぼ19時間、沈黙していた。

国民を無視していた、あるいは難局を切り抜けるための浅知恵をめぐらせていたわけではないと思う。

これまでそうだったように、参謀たちも大統領の意中が分からなかったのだろう。

おそらく、今も分からないはずだ。李室長の言葉を借りれば、近代官僚制の専門家ではなく封建時代の家臣なのだから」。

 韓国大統領府の官僚は、ルールに従って行動することがなく、大統領の意向を聞く、ないし忖度して行動する。

典型的な「家産官僚」だ。

先に、産経新聞ソウル支局長は、朴大統領の名誉毀損の罪で起訴された。

名誉毀損は本来、当人が訴える問題だが、韓国検察は朴大統領の意向を忖度して起訴。結果は敗訴となった。韓国大統領は期限付きの「王家」である。

 このパラグラフでは、「韓国は近代官僚制の専門家でなく、封建時代の家臣だ」としている。

先の私のコメントに従えば、専制時代の家臣団である。

封建時代と専制時代は、誤解されるが、質的に異なることを繰り返し指摘したい。

毛沢東は、中国史を改ざんさせた。

専制時代の名称を封建時代と改めさせ、共産主義が封建時代の「後裔」として位置づけさせた。

毛沢東は、中国の共産主義政治が歴史的に「未熟児」であることを認識していた。歴史への定着に自信を欠いていたのであろう。

 (4)「朴大統領は10月24日の国会演説で、

『韓国は先進国の門の前に立っているが、その敷居をまたぐことができず足踏みをしている差し迫った状況にある』と述べた。

『一部政策の変化、またはいくつかの改革だけでは(先進国入りは)難しいということを痛感した』とも語った。

その上で、憲法を改正する意向を示した。崔順実氏に関する疑惑のいくつかが事実と判明し、この言葉を自分なりに考えてみた。なぜ私たちは先進国への敷居をまたげずにいるのか。本当に、憲法のせいなのだろうか」。

朴大統領の憲法改正提案は、現行の大統領1期5年限定では短すぎるとした。

2期8年を限度とする案を出したもの。

ほかに、大統領の職務を外交・安保に限定し、内政は首相に任せるとしている。

現行の1期5年では、最後の5年目が大統領選と重なり事実上、レームダック化して職務遂行が不可能になっている。

これを改善するには「4年重任」(2期8年限度)が必要としている。

 この憲法改正提案は、その後の秘密文章の漏洩事件で宙に浮いた形である。

ここで議論すべきは、この大統領任期の変更だけによって、韓国が先進国へ浮上できるはずもない。

与野党の不毛の対立を乗り越えない限り、いかなる憲法改正も効果を上げられまい。

要するに、制度の問題でなく、韓国人の民主主義=多数決を受け入れるか否かの精神構造にある。

自己に不利でも、多数決ならばそれに従う度量が試されているのだ。韓国人にはそれが、欠如している。余りにも唯我独尊過ぎるのだ

(5)「先進国と後進国を分ける重要な基準は、近代的価値の実現だ。

朝鮮王朝末期から大韓帝国までの旧韓末と呼ばれた時代、知識人たちが封建の打破を根気強く訴えたのは、それが近代化・進歩の前提だったためだ。

巫女の儀式で国の未来を決め、王室やその一族のために税金を自分勝手に使い、彼らのために多くの規則をことごとく否定する。そんな封建的なやり方のせいで国が傾いたと、当時の知識人たちは信じていた」。

 大韓帝国(1897年に李朝を改称、1910年日韓併合で消滅)が、近代国家に転換できなかった最大の理由は、洋式文化=普遍的価値=近代的価値の受入を拒否した結果だ。

大韓帝国内部では、清国派・ロシア派・日本派と3派に分裂した。

日本派は、明治維新同様に西洋文明の受容を主張したが排斥、殺害されるという迫害を受けた。

清国派やロシア派は、言わずと知れた旧勢力である。

儒教の「復古主義」がもたらした弊害は極めて大きい。

日本派を迫害したのは、この「復古主義」派である。韓国は、いざという時に国論が分裂してまとまらないという弱点を抱えている。

 (6)「現政権が発足したとき、私は近代の完成を期待した。

法治、合理、科学、自由が常識になる時代だ。

それこそが、朴大統領があれほどまでに仲間入りしたがっている先進国だと考えている。

だが大統領は、自身の封建的な痕跡さえも消すことができなかった。

それがなぜそれほど難しかったのか、そしてなぜ国をこれほど困難な状況にしたのか、その真相は後になって分かることだろう」。

朴大統領は、なぜ親友の崔順実氏一人にのめり込んでしまったのか。

これこそ、「家産官僚制」の弊害そのものである。

朴大統領が、統一的な行政システムを採用する「近代官僚制」に背を向けて、

人縁にすがる「家産官僚制」を利用したのは、朴氏自身が家産官僚的な気質を持っているからだ。

また、朴氏自身が韓国の復古主義の環境下で育ってきた人間であることも影響している。この問題について、さらに考察を深めたい。

人間不信の落とし穴

『朝鮮日報』(10月28日付)は、コラムの「韓国、1979年・1997年・2016年の深刻なリーダーシップ空白」を掲載した。筆者は、同紙の姜京希(カン・ギョンヒ)論説委員である。

この記事では、朴大統領の過去の日記などを紹介しながら、「朴槿恵」個人の性格分析を試みて興味深い。

両親の非業の死によって、側近への著しい不信の念が語られている。

政治と関係ある人間は必ず、ある「計略」をもって接近してくるという拭いがたい嫌悪感に苛まされてきた様子が分かる。

そこで、政治と無縁な友人・崔順実氏に全幅の信頼を寄せ、自らが受けた精神的な傷を癒したという事情も分かるのだ。

その唯一と思えた親友が、「影の人物」として政治に介入していたとされている。

朴氏の狭い交友関係のなかで、他人を警戒し過ぎて招いた「過信」による落とし穴にはまったと言えるのだ。

これを未然に防ぐには、普遍的な価値尺度である公式ルール=近代的官僚制を活用すべきであるが、取り巻き連中もすべて家産官僚的人物であったという悲劇的な結末になった。

 要するに、韓国的な政治風土と人縁社会が醸し出したクモの糸に、朴氏は手足を縛られたと言える。

韓国歴代大統領が、この「クモの糸」に手足を取られて「傷」を受けているのだ。

問われるべきは、韓国独特の非合理的=前近代的な社会風土が、原因のすべてと言えよう。

儒教という復古主義が今なお幅を効かせている点で現在は、旧李朝末期と何ら変わらないのだ。

 (6)「この40年の間、韓国はおよそ20年置きに深刻なリーダーシップの空白に見舞われた。

朴槿恵大統領ほど、国家的な危機の局面と人生の軌跡が一致している人物も珍しい。

79年に朴正煕(パク・チョンヒ)大統領が死去した後、27歳で世間から切り離され、長い蟄居(ちっきょ)に入った。

彼女を政治の舞台に引き出したのは、18年後の97年に起きたアジア通貨危機だった。

『ドル不渡り』で未曽有の経済危機に直面した韓国のために奉仕したいと政治に入門し、大統領の椅子にまで上った彼女が、19年後の今、『統治力不渡り』を起こして国の危機を深めている」。

朴大統領は、常人と全く異なる人生経験をしている。

27歳で父・大統領の非業の死が、朴氏に過酷な運命を強いてきた。

身近な人々が背を向け、人間不信に陥った。それを励ましたのが友人の崔順実氏である。

二人が深い絆で結ばれたのは想像に難くない。

崔氏は、この関係を後に「悪用」したとされるが、儒教の人縁社会からすれば当然とも言えるのだろう。

つまり、この両人の間には、「大統領と友人」という関係以前に、27歳当時の朴氏と崔氏の関係の延長に過ぎなかった。それが問題を引き起こしたのだ。人縁社会の持つ宿命的な弱点であろう。

 (7)「朴大統領は、『優雅で、質素で、約束は守る』というイメージを支持層の心に刻んでいた。

父親が残してくれた政治的遺産に加え、長い歳月じっと耐え忍んで守ってきた節制と品位のおかげで、保守層から支持されて今の地位に上った。

老練な国政運営はできなくとも、反則が横行する韓国社会に最小限の原則を打ち立てる改革くらいは推進するだろうという期待があった。

ところが、兄弟姉妹まで遠ざけて守ってきた『原則の政治家』という政治的資産は、『反則大魔王』の側近に依存し、振り回されるという状況があらわになる中で空中分解してしまった」。

このパラグラフの中で、今回の事件のすべてが語られていると思う。

「優雅で、質素で、約束は守る」、「兄弟姉妹まで遠ざけて守ってきた『原則の政治家』」。

この朴氏が落ち込んだ今回の穴は、儒教という人縁社会が産み落としたものだ。

朴大統領の側近官僚たちが、朴氏へ忠義だてのために崔氏へ過剰なサービスを行った。

それが、官僚たちの忠誠心の証と考えたのでないか。

先に、産経新聞社の前ソウル支局長の起訴問題を指摘した。

その際、朴氏の気持ちを忖度しての起訴であったと記した。

これと、同様の「間違った忠誠心競争」が引き起こした事件が、今回の国家秘密漏洩事件の真相ではないか。

 (8)「朴大統領が父親の死去後に書いた日記に、こんな一文が登場する。

『今は優しくて親切な人が、実はすさまじく利にさとい人でないと、誰が断言できるだろうか……無情な人間関係』(81年3月2日)。

『水の深さは測れても、測り難きは人の心という言葉がある。何度か会っただけでその人となりが分かるのが人だが、何年会っていてもその本当の姿が分からないのもまた人だ。おめでたいふりをしつつ内心では別の考えを持ち、背後で陰謀を張り巡らした陰険な人物を覚えている』(89年1月13日)」。

 この日記を読むと、朴氏の寒々とした心境が伝わってくる。

他人に騙されまい。そういう一念が、逆に崔氏への信頼へと傾斜して、結果として裏切られた。何か、自伝小説でも読むような気持ちになる。それ以上、語る言葉がない。

 

(2016年11月7日)


(28.11.5) パク・クネ氏の辞任は時間の問題 天罰はあるのだろうか?

2016年11月07日 17時09分38秒 | Weblog

(28.11.5) パク・クネ氏の辞任は時間の問題 天罰はあるのだろうか?

 

おゆみ野四季の道  新

211116_016 

韓国のパク大統領が任期を約1年余り残して辞任する公算が大きくなってきた。

友人のチェ・スンシル氏に大統領の演説原稿の推敲を依頼したり、その他の国家秘密を流した罪でだ。


現在検察がチェ・スンシル氏を逮捕して捜査をしているのは秘密漏洩の件ではなく、チェ・スンシル氏の財団への寄付が青瓦台の圧力によったものかどうかで、前首席秘書官が圧力をかけた疑いで逮捕されている。


パク・クネ氏は自分は関与していないと逃げをうっているが、本命は機密漏洩で寄付金の企業への圧力は別件逮捕だから、機密漏洩の件はパク・クネ氏以外に草稿を渡すはずはなくパク氏が弾劾されるか自らやめるかは時間も問題となってきた。

こうした状況に陥ったのは自らの不徳とするところで日本人から見ると天罰の様に見えるが、パク・クネ氏がここでやめるとなると日本に対する影響が大きい。


何しろパク・クネ氏ほど無能な大統領はなくおかげで韓国経済は崩壊してしまい韓国が世界の経済プレーヤーであった時代が終わってしまった。


韓国は日本のライバルでほとんどの産業で競合しているので、韓国の凋落は日本にとって慈雨に等しい。

だからパク・クネ大統領が政権にしがみつけばつくほど、韓国の政治・経済は崩壊速度を速めるのでこれほど日本にとって都合のいい大統領はいない。


「パクさん、頑張って辞めないで」応援したくなるほどだ。

笑ってしまうがパク氏がしたことは、ありもしなかった従軍慰安婦像を世界中の街角に建てたことだけで、これは日本の朝日新聞というでっち上げ専門紙のねつ造だった。

もう一つの外交成果は韓国を中国の従属国家にすることだったが、これは中国が21世紀の大国になると早まって判断したことで、実際は2014年の夏にピークを打った中国経済は奈落に向かって真っ逆さまに滑り落ちはじめた。


これに完全にデペンドした韓国経済もこちらはよりひどく奈落に落ちているのだが、この判断ミスは決定的だったといえる。

日本に対する誤った敵対意識と中国に対する従属意識は楯の裏腹だが、これが韓国経済の最大の崩壊要因であり、すべてパク・クネ氏の責任であり、機密漏洩より罪は大きい。


だからパク・クネ氏がいる限り韓国は地獄を見るので何としても政権にしがみついてもらいたいものだと思う。


これから数か月すったもんだした挙句にパク大統領が辞任するのはほぼ確実になっているが、

韓国民は5年間余りも世界で最も無能な大統領に指導されてきたのだから、

日本が鳩山氏に指導された1年と比べるとその害悪は比較にならない。

そしてこの韓国史上最悪の大統領が今退任を迫られているさまは、

散々ありもしない罪で因縁をつけられてきた日本から見たらまさに天罰の様に見えるから不思議だ。


韓国、「スマホ爆発」サムスン未だに原因掴めず「右往左往」

2016年11月05日 20時39分01秒 | Weblog

韓国、「スマホ爆発」サムスン未だに原因掴めず「右往左往」

 週刊東洋経済元編集長の勝又壽良

サムスンにとって、今回のバッテリー爆発事故を起こした「ギャラクシーノート7」は、期待の星であった。

これまで「ノート」シリーズが好調で、先発企業アップルを追い抜く「有力兵器」となっていた。

今回の「ノート7」によって、さらにアップルを突き放す戦略をねっていたはずである。

年末の商機を完璧に捉える。そういう期待が、一段と膨らんでいた矢先の爆発事故である。痛恨の事故である。

 この過大な期待が、皮肉にもサムスンに墓穴を掘らせた。最初の爆発事故の原因究明を焦ったのである。前記の通り、エース商品である。

12月の年間最大の商機を逃したくない。この焦りが、リコール回収後も再度の爆発事故を招いた。じっくりと腰を落ち着けて、原因を究明しなかったのだ。

 不思議なことに、最初の爆発事故原因がバッテリーにあると決めつけたのは、研究室の分析でなく、経営トップだけの判断であった。

爆発スマホのレントゲン写真を見て、すぐに「バッテリーが原因」と判断して、再発売を決めたのだ。

本来、この種の事故であれば、全社的な取り組みを必要とするはず。

実際は、わずかな人間だけで結論をだしたのだ。サムスンが、基礎技術を軽視していた証拠と言える。

ここに、商業主義が先行した製造業の失敗例が浮かび上がるのだ。

 『ウォール・ストリート・ジャーナル』(10月24日付)は、「サムスン追い込むノート7での致命的ミス」と題して、次のように伝えた。

 この記事を読むと、サムスン首脳部は爆発事故を安易に考えていたことが分かる。

サムスンは、スマホを最初に開発した企業でなく「二番手」である。

先発企業のアップルを真似ていれば良かったのだ。

ところが、「ノート7」は、従来のスマホにない機能を搭載した最新型である。

電気エネルギーも余計に消費する。ここが落とし穴であった。

最新機能搭載が、スマホにそれだけ負荷をかけていた可能性がある。

まだ、事故原因は掴めていない。事故原因把握の「初動ミス」が、事故原因究明を長引かせいる。

(1)「サムスン電子の新型スマートフォン『ギャラクシーノート7』の発火に関する報道が拡大し始めた9月初旬、同社幹部は対応策について話し合った。

事情に詳しい関係者によると、一部は事故をさほど深刻にとらえていなかった。

ただ、断固たる措置が必要と考えていた幹部もいた。

研究所の報告書によると、問題のあったノート7の一部をX線とCTスキャン(コンピューター断層撮影)で調べたところ、バッテリーに出っ張った部分があるのが確認できたという。

それらは関連会社サムスンSDIの製品で、他社製のバッテリーにはそうした出っ張りは見つからなかった」。

 サムスンの研究所では、爆発のあったノート7の一部をX線とCTスキャン(コンピューター断層撮影)で調べたところ、バッテリーに出っ張った部分があるのが確認できたという。

すぐにこれが、爆発原因と推定したという。驚くほど、単純な結論付であった。

サムスンのスマホが、これまでバッテリー事故を起こさなかった。それは「幸運」というほかない。

限られたスマホ機能の搭載ではバッテリーに負荷がかからなかったのだろう。

新機能追加が、スマホの限界を超えさせたのだろう。私のような素人が考えると、答えがこの辺にありそう気がするがどうだろうか。

(2)「(前記の出っ張り)が決定的な原因とは言えず、膨らんだ部分に関する説明はなかった。

しかし、消費者から苦情が寄せられ、電話対応に追われる担当者は答えを求めていたことから、モバイル部門責任者の高東真(コ・ドンジン)氏は、それだけ分かれば250万台のリコール(回収・無償修理)に踏み切るには十分だと考えた。

高氏のリコールの提案を李在鎔(イ・ジェヨン)副会長も支持した。

しかし、この9月初めの大規模リコールは不完全な証拠に基づいたものにすぎず、その決定が今、同社を再び悩ませている」。

 「バッテリーの出っ張り」がなぜ、爆発を起こしたか。

その説明がないままに、モバイル部門責任者の高東真(コ・ドンジン)氏は、販売現場からの矢のような催促に押されて、「バッテリー事故説」を発表。

リコールに踏み切ることになった。これを李在鎔(イ・ジェヨン)副会長も指示した。

ここで悔やまれるのは、韓国政府の事故調査部門や、米国の公的機関と一切連絡もせず、独断でリコールを決めたことだ。

第三者機関の意見や再調査を受け入れて、消費者にその旨を説明すべきであった。その、大事なプロセスが欠けていたのだ。ここが、技術軽視のサムスンと言われる理由である

(3)「サムスンがスマホ市場で首位に立つ後押しをしたのが『ギャラクシーノート』シリーズであり、最新機種のノート7はヒットに必要なあらゆる要素を備えていた。

ギャラクシーノートはいっとき、米アップルの『iPhone(アイフォーン)』からユーザーを奪い、テクノロジー業界で世界有数の支配企業というサムスンの立ち位置を強固にするかに見えていた。 

しかし、端末の発火とリコールの不手際により、サムスン幹部は今、消費者からの信頼回復に苦闘している。その結果、来年2月に『ギャラクシーS8」の名で見込まれている次世代旗艦端末の発表も危ぶまれている」。

 「ギャラクシーノート」シリーズは、サムスン・スマホの稼ぎ頭である。その旗手が「沈没」した。

サムスンは、無念にも「ギャラクシーノート」シリーズの破棄を決めている。

事故を起こした後継スマホでは、消費者から忌避されるのは決定的である。

それだけに、安易に爆発原因の特定をしてリコールに踏み切ったのは、痛恨のミスと言わざるを得ない。

私が近著の『サムスン崩壊』で指摘したように、基礎技術を欠くサムスンの「80%主義」という技術軽視と商業主義がもたらした事故と言える。

 (4)「製品の大規模リコールは決して簡単ではない。

しかし、消費者は企業が消費者を気にかけ、問題に迅速に対処しているとみなせば過ちを許そうとする場合が多い。

元・米消費者製品安全委員会(CPSC)委員で現在はフリーで製品安全性に関するコンサルタントを務めるスチュアート・スタットラー氏は、サムスンは独自にリコールに踏み切るのではなく『早い段階で予備的なもので構わないので所見や考えを(米規制当局と)共有すべきだった』と述べた

サムスン最大のミスは、爆発事故を安易に捉えていたことだ。

バッテリーが爆発したから、原因はバッテリーにあると見たことが致命傷になった。

この種の事故が起こった場合、まず米消費者製品安全委員会(CPSC)に連絡して、指示を仰ぐのが通常のケースとされる。

サムスンはそのルールを無視して、勝手に動き回った。CPSCの心証を害したとも伝えられている。

今後の原因究明では、時間をかけて「再々発防止」という高いハードルを課されていることは間違いない。この結果、次期のスマホ発売時期が遅れて、業績を押し下げるのだ

(5)「事情に詳しい関係者によると、ベライゾン・コミュニケーションズのローウェル・マクアダム最高経営責任者(CEO)をはじめとする主要通信会社の経営陣が、李氏にノート7の販売をすぐに中止するよう促した。

それら経営陣は、李氏に『ノート7』は日に日に販売が難しくなっていると述べた。

10月11日、李氏は高氏を呼び出し、『ノート7』の生産・販売打ち切りを命じた。その日、高氏はモバイル部門宛てに手紙を送った。

ウォール・ストリート・ジャーナルがそのコピーを確認したところ、高氏はこの危機について『当社がこれまで直面した中で最も厳しい試練の1つ』だと述べていた」。

 李サムスン副会長が、「ノート7」の生産・販売打ち切りの最終決定を下した。

米国の主要通信会社の経営陣が、李氏に生産・販売打ち切りを促した結果とされる。

サムスン・モバイル部門の最高責任者の高氏は、「サムスンがこれまで直面した中で最も厳しい試練の1つ」と認識しているという。時すでに遅し、である。

最初の事故発生時に、慎重に取り組むべきであったのだ。

 

『ウォール・ストリート・ジャーナル』(10月28日付)は、「サムスン電子、『ノート7』問題の幕引き見えず」と題して、次のよう伝えた。

 

(6)「ノート7の生産・出荷停止から2週間後となる10月27日、同社は第3・四半期決算を発表。

営業利益が大幅に減少するなど、ノート7販売停止による業績への大きな打撃が明らかになった。

サムスンは発火問題に関する『徹底的』で『透明』な調査を約束し、臨時株主総会で創業家3代目の李在鎔(イ・ジェヨン)副会長の取締役就任を承認した。

それでも、問題はまだ残っている。4カ月後の『ギャラクシーS8』まで同社には新たな旗艦スマートフォンの発売予定がない。

経営幹部はノート7を悩ませたバッテリー過熱問題の原因特定にまだ近づいていないようだ。さらには、そのリコール(回収・無償修理)が同社製品への信頼をどれほど傷つけたのかについてもまだ分からない」。

 10月27日のサムスン電子株主総会の席上でも、スマホの爆発原因は掴めないと発言している。

それだけに、沈痛な空気が支配した。今回の総会は、創業家3代目の李在鎔氏が、取締役に就任する晴れの舞台になるはずだった。

サムスン電子にはこれまで、創業家からの役員が空席となっていた。過去、現会長が役員をしていたが、事件を起こして辞任したままである。「コーポレート・ガバナンス」がやかましい折から、創業家が経営責任を明確にするのは当然だ。

 (7)「ノート7の生産停止が影響し、第3四半期のモバイル部門の営業利益は前年同期比96%減となった。

利益率が縮小して販売台数も伸び悩むなか、同社は話題を呼ぶような製品が1つもないという状況に陥っている。

リコール費用と販売機会損失で50億ドル以上が失われたうえに、ノート7の販売を終了したことで、サムスンは今年の3月から販売されている『ギャラクシーS7』で年末商戦を乗り切らなければならないだろう」。

 バッテリー爆発事故は、サムスンの業績に大きな傷跡を残す。

今年7~9月期、10~12月期、来年1~3月期のリコール費用と販売機会損失で50億ドル以上(5000億円以上)と見込まれている。

今回の事故原因が究明できない限り、新機種の発売は不可能だ。ドル箱のスマホ部門だけに、経営的な痛手は推して知るべし、であろう。

 (8)「サムスンは、そもそもノート7をつまずかせた原因が何なのか、今も解明に取り組んでいる。

同じ問題がギャラクシーS8で起きるのを防ぐためにも、その原因究明は重要である。

10月27日の株主総会で申宗均(シン・チョンギュン)共同最高経営責任者(CEO)は、『ハードウエア、ソフトウエア、製造工程といったその端末のあらゆる側面』を調査するため、規制当局や独立専門家たちと協力していると報告した。

ノート7の問題がバッテリーだけにとどまらず、その原因がより広範である可能性にサムスンが言及したのはこれが初めて。調査範囲は絞られているどころか、拡大しているということが示唆された」。

 10月27日の株主総会で当然、スマホ事故問題が取り上げられている。

それによると、事故原因は絞られたというよりも、逆に調査範囲が拡大しているという。

「ハードウエア、ソフトウエア、製造工程といったその端末のあらゆる側面」が調査対象になっているからだ。

この慎重さが、最初の事故の際に行われていれば、ここまで苦境に立たされることもなかったであろう。一にも二にも、サムスンの技術基盤の脆弱性がもたらした事故である。

 

(2016年11月5日)


大手財閥で次々綻び「これはヤバイ!」 サムスン、現代、ロッテ

2016年11月05日 18時38分43秒 | Weblog

大手財閥で次々綻び「これはヤバイ!」 サムスン、現代、ロッテ

2016.09.15

ZAKZAK夕刊フジ

韓国の財閥があっちもこっちも、おかしくなってきた。

政策的な不動産バブルの破綻が3回目の金融危機の発端になる-との見方が有力だったが、

財閥救済のための融資で、国策銀行が国際決済銀行(BIS=自己資本比率)基準を守れなくなり…といったシナリオも見えてきた。

韓国の財閥はオーナー会長の号令で動く。

成功すれば「素早い決断」と評価されるが、そうした体制は沈没するときも早い。

「これはヤバイ!」と、サムスンは日本でのスマートフォンのCMで叫んでいたが、

新型スマホ「ギャラクシー・ノート7」(=日本では未発売)の爆発事故に伴う全量リコールは、本当にヤバそうだ。

 サムスンのこれまでの体質からすれば「被害者への個別補償」で押し通すところだ。

全量リコールに早々と踏み切ったのは、「これはどうにも逃げられない」と観念せざるを得ないほどの欠陥があるからではあるまいか。

新製品に切り替えたところで、「爆発するサムスンのスマホ」のイメージは長く尾を引くだろう。

傘下のサムスン重工業は大赤字だ。

2位の財閥である現代(ヒュンダイ)自動車財閥は、中核部門である自動車製造が不振だ。

労組の攻勢でまた大幅賃上げがあり、国内販売が落ち込んでいる。

そして、2011年に傘下に収めた現代建設が、また問題を起こした。

クウェートに建設中の世界最長の海上橋「ジャベル橋梁」で、1800トンの床板が崩落してしまったのだ。

韓国証券新聞(16年9月6日)によると、クウェート政府監理団がすでに1月に

「未承認図面を使うなど不良工事の憂慮がある」「繰り返される失敗とこれによる工期遅延はすべて現代建設の責任」とする警告書を出しているいわくつきの床板だ。

おそらく、膨大な遅延違約金を課せられるだろう

高炉の現代製鉄も、国内市場には安価な中国産の流入があり、米国などからはダンピング課税がありで四苦八苦しているようだ。

「前政権で太った財閥はいじめられる」のジンクスどおり、検察のロッテ追及はジワジワと続いている。

「あれは日本の財閥だ」というのが韓国人の一般的な受け止めだから、同情の声は起きていない。

そして、韓進(ハンジン)だ。大韓航空(KAL)が「ナッツ姫事件」以来、思わしくないところへ韓進海運の倒産だ。

一応、「韓進海運はグループからは切り離し済み」という形になっているが、それでは“国民情緒法”が許さない。

「ナッツ姫のパパ」は私財の一部を供出したが、焼け石に水だ。

韓進海運の用船に積まれている貨物の陸揚げ遅延に伴う損害は、誰が補償するかが大きな問題になるだろう。

国策銀行である産業銀行も輸出入銀行も、造船各社に対する融資を「正常債権だ」と強弁することで引当金を逃れており、実質はBIS基準を割っている。

「正常だ」と強弁できない不良債権がもう一段、積み増されると…「これは本当にヤバイぞ」。

 ■室谷克実(むろたに・かつみ) 1949年、東京都生まれ。慶応大学法学部卒。時事通信入社、政治部記者、ソウル特派員、「時事解説」編集長、外交知識普及会常務理事などを経て、評論活動に。主な著書に「韓国人の経済学」(ダイヤモンド社)、「悪韓論」(新潮新書)、「呆韓論」(産経新聞出版)、「ディス・イズ・コリア」(同)などがある。


中国「習バブル」大崩壊へ GDP横ばいも…「最悪の事態に突入している」

2016年11月05日 17時06分21秒 | Weblog

中国「習バブル」大崩壊へ GDP横ばいも…「最悪の事態に突入している」

ZAKZAK夕刊フジ

2016.10.21

中国の7~9月期の実質国内総生産(GDP)成長率は6・7%と横ばいだったが、習近平政権主導でつぶれかけた不動産バブルを強引にふくらませているのが実態だ。

こうした弥縫(びほう)策も限界目前で「習バブル」は大崩壊の危機に直面している。

 中国の不動産市況は急速に悪化していたが、昨年末以降、政府が住宅ローン規制の緩和など購入刺激策を矢継ぎ早に打ち出すと、投資マネーが一気に流れ込んだ。

 都市部の住宅価格はすでに日本の1980年代のバブル時を超えているとの分析もあり、不動産大手、大連万達集団の王健林会長は米メディアに「史上最大のバブルだ」と警戒感を隠さない。

 一方で民間の投資は低迷し、企業や家計の債務は増え続けている。

国際決済銀行(BIS)によると、中国の民間債務の対GDP比の増加指数は30・1%と集計対象の43カ国・地域で最悪。BISは「10%を超えると金融危機発生の恐れが高まる」と警告している。

 政府は10月上旬に国有鉄鋼大手、東北特殊鋼集団を破綻させたが、「ゾンビ企業」の淘汰(とうた)は金融機関の不良債権増加に直結する。

中国の金融機関は最悪の場合、2020年までに170兆円強の資本注入が必要という米格付け大手の試算もある。

週刊東洋経済元編集長の勝又壽良氏はこう警鐘を鳴らした。

「平成バブル崩壊後の日本経済より事態はひどく、回復策は見当たらない。

これまで中国経済をウオッチしてきたなかでも、最悪の事態に突入している」