一公の将棋雑記

将棋に関する雑記です。

第82期名人戦第2局1日目

2024-04-24 11:08:32 | 男性棋戦
23日より、第82期名人戦第2局(主催:毎日新聞社、朝日新聞社、日本将棋連盟)が、「成田山新勝寺」で始まった。
前局は藤井聡太名人の勝ち。本局に豊島将之九段が負けると2ゲーム差となり、早くもあとがなくなる。よって本局、豊島九段は正念場だった。
第2局は豊島九段が飛車先の歩を突いてスタート。ここで角換わりの線が消えた。以下、相掛かり調に進むも、豊島九段が飛車をひとつ横に寄り、タテ歩取りの形になった。
さらに豊島九段は玉を斜め右に上がる。まっすぐでないのがミソである。さらに左桂を跳ねた。これはもう、「ひねり飛車」といっていいだろう。これは私たち世代には懐かしい戦法で、先手必勝の戦法があるならこれと言われていた。
第41期名人戦第6局で、谷川浩司八段が加藤一二三名人から名人位を奪取したときの戦法がこれだったし、ほかの名だたる棋士もひねり飛車を採用した。
ただ、後手番にも対策はあり、升田幸三実力制第四代名人のタコ金戦法は有名である。また、米長邦雄永世棋聖は後手番を持って受けることが多く、その手厚い指し方は勉強になった。
その後も後手側から有力な対策が出現し、いつしかひねり飛車は「消えた戦法」になった。
しかし最近は相掛かりからひねり飛車に移行する将棋も多く、復活の兆しはあった。今回は藤井名人の研究を外す意味でも、よい戦法選択だったと思う。
とはいえ藤井名人の対策も完璧で、豊島九段もやや勝手が違ったかもしれない。
藤井名人の手番で、ABEMAのAIは角を中央に出る手を示している。私にはこの意味がまったく分からなかったが、果たして藤井名人が角を飛び出したので、私は本当にびっくりした。ここはふつう、角をひとつだけ上がり、玉を2二に持っていく、いわゆる「カタ囲い」が相場である。それが角出とは! こんな人間を豊島九段は相手にしなければならないのか。これは豊島九段、大変である。
しかも豊島九段、藤井名人の桂跳ねに、8筋に歩を打って辛抱した。これではひねり飛車の利がなくなってしまうが、それだけ藤井名人の対策が優秀だったということだ。
桂馬を換わって、豊島九段が39手目を封じた。ここは手が広いところで、私はまったく予想がつかなかった。
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宮宗紫野女流二段に似ているタレント

2024-04-23 23:31:47 | 似ている
きょう4月23日は、宮宗紫野女流二段の誕生日。おめでとうございます。
その宮宗女流二段は、放送作家の野々村友紀子に似ていると思う。
野々村友紀子は1974年8月5日、大阪府生まれの49歳。かつてはお笑い芸人をしていたが、廃業。
2002年に後輩芸人と結婚する。その後は芸能活動を休止していたが、そののち放送作家に転身する。現在はコメンテーターなど、タレントとしても活動し、歯に衣着せぬ言動で人気を博している。
宮宗女流二段と野々村友紀子は、目が似ていると思う。

宮宗女流二段はもうひとり、タレントのいしのようこにも似ていると思う。
いしのようこは1968年2月20日、兵庫県生まれの56歳。1985年に芸能界デビュー。言わずと知れた、石野真子の妹であり、私たちはつねにその枕詞をイメージしていた。
いしのようこといえば、志村けんとのコントが有名である。志村けんも、いしのようこの才能を買っていたようだ。
宮宗女流二段といしのようこは、やっぱり目が似ていると思う。

宮宗女流二段は2017年に結婚したが、その後の成績はパッとしない。女流順位戦もD級3位である。でも幸せそうだからいいのだ。

D級3位の1枚上、D級2位の船戸陽子女流三段も、きょうが誕生日である。でも大台に乗ってしまったから、ちっともおめでたくないだろう。
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注目の棋聖戦挑戦者決定戦

2024-04-22 23:29:05 | 男性棋戦
さあ、いよいよ第95期棋聖戦(主催:産経新聞社、日本将棋連盟)挑戦者決定戦である。対局者は佐藤天彦九段、山崎隆之八段。どちらが勝っても藤井聡太棋聖とは面白い戦いになるが、私としては、居飛車党から振り飛車党にモデルチェンジした佐藤九段に勝ってもらいたかった。
将棋は佐藤九段の先手。佐藤九段の振り飛車模様の立ち上がりは当然として、山崎八段の作戦がハッキリしない。佐藤九段は向かい飛車に振ったが、山崎八段は居玉のまま角道を止め、2枚の銀を進出する。早くも山崎流全開である。
もっとも佐藤九段の向かい飛車も、ふつうは相手が飛車先の歩を2つ突いたらそれに呼応して指すものだ。佐藤九段も、ヘンな序盤ではあった。
山崎八段、4筋の歩を突き越した。これは私の好きな手で、自陣の角筋を通すと同時に、美濃囲いの発展を防ぐ意味がある。
対して佐藤九段は飛車をひとつ浮き、4筋の位を解消しにいく。逆に4筋に位を張り、これは大きく思われた。
佐藤九段、満を持して飛車をぶつける。ここは陣形の差で、山崎八段が応じるわけにはいかない。
しかし佐藤九段は6筋も収め、素人目には振り飛車が十分に思われた。実際、ABEMAで大平武洋六段は、「陣形の差で振り飛車が勝つやすい形」と文字解説していた。
そこで改めて後手陣を見ると、善悪はともかく、よく見る形になっている。これを山崎八段の将棋と見ていいのか? どうも、この将棋は佐藤九段が勝つように思った。
佐藤九段、角をぶつける。今度は山崎八段も応じる。だが山崎八段が敵陣に角を打ち、自陣に成り返って、「おや?」と思った。さっきまで薄かった後手陣が、急に手厚くなったからである。
居飛車の急戦は玉が薄いのが難点で、そこを戦いながら補強していくのが居飛車の醍醐味である。全盛時の中原誠十六世名人の将棋にはよくこの類の手が出てくる。だから、大山康晴十五世名人との実戦譜を並べれば勉強になるのである。角換わりでAIが提示した指し手を記憶するより、(私たちレベルでは)よほど勉強になると思う。
形勢はまったくの互角に戻ってしまった。だが、流れは山崎八段である。そしてこの流れは解消されそうにない。これはアマにも感じ取れるのである。前言訂正、この将棋は山崎八段が勝つと思った。
以降は、佐藤九段がなんとなく緩手を指すのに対し、山崎八段はノーミスで進める。やがて素人目にも形勢の差がはっきり分かるようになった。佐藤九段は二枚飛車で迫るが、山崎玉が三段目に逃げ越した形が桃源郷だ。もちろん山崎八段の勝勢である。もう私だったら「くっそ、こんな将棋やってられっか」と投げるところ。たぶん、山崎八段が逆の立場でも投げていただろう。貴族・佐藤九段が投げ切れないのが意外だった。
ここからの佐藤九段の指し手は、見るのがつらい。佐藤九段が早く投げていたら名局賞候補になったかもしれないが、これでオジャンである。でも、その気持ちはよく分かる。
20時46分、佐藤九段投了。山崎八段、15年ぶりのタイトル戦登場が決まった。山崎流変態将棋が藤井将棋に通用するのか。これは面白い五番勝負になる。
第1局は6月6日。長ぇなあ。
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大島女流二段の意地を見たい

2024-04-21 23:25:42 | 女流棋士
やや旧聞になるが、第17期マイナビ女子オープンで、大島綾華女流初段が挑戦者になった(これで女流二段に昇段)。
大島女流二段は本戦2回戦で福間香奈女流五冠を破った。これは大殊勲で、これだけでもう、挑戦者になる価値がある。
同じく挑戦者決定戦に進出した北村桂香女流二段も、上田初美女流四段や伊藤沙恵女流四段を破ってきたからこちらも殊勲甲なのだが、次回に期待である。
最近のタイトル戦は福間女流五冠と西山朋佳女流三冠の対決ばかりになっているが、あぁそれは私の錯覚で、けっこういろいろな女流棋士がタイトル戦に登場してはいるのだが、とにかく両者の存在感が大きすぎて、いささか食傷気味。飽きっぽい私は、ニューヒロインの誕生を望むのである。そこに大島女流二段の出現は新鮮だった。
その第1局は9日に行われた。先番を引いた西山女王は初手▲7八飛。大島女流二段は居飛車党のようで、飛車を浮いて右銀を進出させる。記事を読むとこれが大島女流二段の得意形のようで、「大島流」だ。
大島女流二段はよく戦い、中盤戦。私だったら居飛車側を持つのだが、実際は西山女王がうまく捌いていたようだ。
反撃に転じた西山女王は攻めながら駒得を重ねていき、気が付けば西山女王の勝勢。そのまま押し切った。
そこから旬日を経ずして、第2局が行われた。今度は西山女王が四間飛車に振る。西山女王は1回角を上がったが、自ら角を換わった。都合2手損だが、そこまで気にしていないのだろう。
大島女流二段は角を据え、またも飛車を浮き右銀を進出させる。大島女流二段は、本当にこの形が好きなようだ。
ここから大島女流二段の攻めが冴え、これは確実に有利になった。
だが西山女王も最善を尽くし、6五に打った角が名手。振り飛車独特の手筋も駆使し、本局も気が付けば西山女王が勝勢になっていた。
以下、西山女王の寄せが炸裂し、西山女王の連勝となった。
大島女流二段、残念!! 私は西山女王のファンではあるが、本局は大島女流二段に勝ってもらいたかった。
以上、2局終わって西山女王の2勝は、まあ予想通りではある。しかし大島女流二段だって、檜舞台に上がったプライドがあろう。大島女流二段は挑戦者になったことで名を上げたが、私はもうひとつ上の結果を求めている。
第3局は意地を見せてもらいたい。
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第9期叡王戦第2局

2024-04-20 23:08:37 | 男性棋戦
きょう20日は、石川県加賀市にて、第9期叡王戦(主催:不二家、日本将棋連盟)第2局が行われた。
前局は藤井聡太叡王の勝ち。五番勝負ではあるが、挑戦者の伊藤匠七段は早くも後がない。伊藤七段は本局、とにかく勝たねばダメだ。
さて本局は藤井叡王のタイトル戦17連勝が懸かっていた。これは大山康晴十五世名人が1961年から1962年にかけて達成したもので、藤井叡王はその記録に、62 年ぶりに挑むことになるわけだ。
メジャーリーグの大谷翔平選手が昨年、投打に渡って活躍し、そのたびにベーブ・ルースや何やらの記録が引っ張り出された。将棋界もそうで、藤井叡王の活躍につれ、大山十五世名人の連覇記録や、中原誠十六世名人の最高勝率が掘り起こされる。今回のタイトル戦17連勝もそうで、恥ずかしながら私は、この記録のことをまったく知らなかった。恐らく、多くのファンがそうだったと思う。
伊藤七段の先手で対局開始。角換わりの雰囲気だったが、藤井叡王が10手目に角を上がる。
この前「将棋フォーカス」で、若手棋士が同じ手を指していたが、いまこの手がトレンドなのだろうか。でも、藤井叡王がこの手を指すのは初めてとのことだった。
ただ、藤井叡王は角換わりが殊のほか強く、先手番なら勝率は9割を越えているはずだ。まあ後手番ではそこまでいかないだろうが、藤井叡王が策を凝らす必要もないように思われる。
しかしそこは素人考えで、藤井叡王でさえも、角換わりの後手番に危機感を抱いているのだろう。
伊藤七段は角を換わり、藤井叡王は金で取る。この形の味が悪いが、むかしは悪形とされた金冠が、最近では好形とされている。きっとこの形も、藤井叡王は巧みに指しこなすのだろう。
以下は例によってむずかしい戦いが続くが、形勢は微差で伊藤七段が指せている。さらに馬を作り、桂を跳ね、これはいよいよ伊藤七段が好調に見えた。
ところがしばらく経つと、もうAIの形勢は藤井叡王に振れていた。ああ、これもいつものことである。
藤井叡王は桂打ちを利かし、最後の熟考に入る。これは藤井叡王が勝ったと思った。
が、藤井叡王の指し手は、AIの予想手にない飛車切り→歩成の順だった。途端に藤井叡王の形勢バーが58%から33%に減ってしまった。……こんなことがあるのか?
ここからは伊藤七段の会心の手順が続く。自陣に飛車を打たれてあぶないが、伊藤七段は相手玉を攻めることで、自陣を安全にした。
藤井叡王は敵陣に銀を打つ。これで先手玉はほぼ受けなし。しかし後手玉が詰むのか?
伊藤七段はまず桂を打ち、銀捨ての王手。私はふたりが戦った第36期竜王戦第4局の詰み手順を思い出した。本譜は以下、伊藤七段が即詰みに討ち取った。伊藤七段、対藤井戦13局目にして、待望の初勝利なる!!
この1勝は実に大きい。五番勝負から三番勝負になったことが一番だが、伊藤七段が藤井叡王への苦手意識を少しでも払拭できたのが大きい。
勝った伊藤七段には、笑顔がなかったという。その意気込みやよしである。
そして藤井叡王は17連勝がならなかった。当人以上に藤井ファンが残念に思っているだろうが、連勝記録はこれからいくらでもやってくると思う。
第3局は5月2日。
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