みちのくレースのおたのしみ

岩手競馬にまつわるあれこれ。とか。

風防

2007年09月08日 | 岩手競馬
 とまあ、わずかな期間ながら存在感を示して行った内田騎手ですが、今回ふと気付いた事がひとつ。
 俗に言うプラ板、ゴーグルの前につける風防が、内田騎手のはちょっと厚いのかな?と。

 いや、些細な事なんですけどね。写真を撮っていて他の騎手のはゴーグルの形にふにゃっと変形しているのに、内田騎手のはピンと真っ直ぐなままだったので「おや?」と思った次第。



 もはや全国的に標準装備になった感のある風防ですが、実は騎手の手作りだったりして各人微妙に作りが異なります。
 たとえばヒモの取り付け方。単に穴に通して縛っただけのもあれば、金具がついていて立派に見えるものもあります。
 ヒモも、ただのヒモだったりゴムだったり、長さ調整用の部品がついていたりとバリエーションがあります。
 大きさも結構違う部分で、ゴーグルを覆うくらいの大きさだったり、口の所まできたり。これは恐らく一人一人好みの大きさに調整しているのでしょう。

 最近は既製品があるのでしょうか、比較的立派な作りのものが目立ってきました。何年か前の写真を見たところでは風防の形が台形だったり、縁の部分が曲がったりしていていかにも手作りっぽいのが多かったですが。
 実際、2年くらい前かな、騎手の方に聞いたところ「手作り」という声が多かったように思います。

 で、この風防の厚さが、内田騎手のは少し厚手かなと。
 ヒモを通す場所にもよるのかもしれません。岩手の騎手は風防上端の角にヒモを付ける形が主流ですが、内田騎手のは風防の縁の部分の真ん中にヒモを通す穴があります。その分ピンとして、しっかりしているように見えるのかも。

 この風防、“プラ板”のあだ名の通り昔は堅い透明プラ板を使う事が多かったようです。が、岩手では菅原雅文騎手の落馬事故以来、柔らかい素材が主流になっていきました。
 堅い素材を使う騎手は岩手にはもういませんが、他地区にはけっこう残っているようです。



 ちょっと気になって過去の画像を遡って見たところ、岩手では03年から風防を使う騎手が出始め、最初は水沢の騎手中心に広まったようです。03年デビューの坂口裕一騎手なんかはデビュー戦から使ってました。
 それ以前は岩手の騎手が使っている姿は見あたらず、他地区からの遠征騎手が使っている程度。00年頃はゴーグル3枚がけとかサランラップ巻きとかが普通に見られます。

 あー、そういえば山本裕次郎騎手が風防使わない人で、なぜ?と聞いたら「あんなもの危なくて使えないよ。メットの内側に堅いもの入れたら落馬した時に危ないじゃん」と言っていたのを思いだした。
 裕次郎騎手は03年まで現役だったから、やっぱり岩手で広まったのは03年だなあ。



 他地区では、99年のとちぎ大賞典の時の宇都宮では使っている騎手が多数いましたし、01年の荒尾・セイユウ賞の時は九州・高知の騎手が標準装備していました。
 99年かあ。でももっと前からあったような気がする。

 で、九州・高知の風防の使い方がこちらとは変わっていて、ヒモがついている方を下にして、風防の上端をヘルメットの中かヘルメットと帽色の布の間につっこむ様にするんですね。01年の時に既にそうだし、去年の新人王争覇戦で行った時も高知の騎手はみなそういう風につけていたから、そういう流儀なんでしょう。

 九州の騎手は、昨年のM&Kで来た時には上のような逆さま刺しをしていなかったし、柔らかいものを使う人も多かったから、流行が変わったのかも。逆さま刺しをするには堅い素材を使わないとできないですからね。
 昨年行った時の福山では堅い素材を使っている人と柔らかい素材の人と半々。名古屋もそうだった気がする。



 以前は平場では風防を使っていても重賞とか大きいレースでは使わない、という人もいたようですが(おそらくおしゃれじゃないから)、最近はそうでもない感じです。JRAの騎手も普通に使うようになりましたからね。
 元々は「ゴーグルを何個も使うより安いから」みたいな理由で始まった風防ですが、それ以外にも利点があるからこそ広まったんだろうと思います。
 風防を使うのを前提にすれば、ゴーグルの形が今とは変わってもいいのかも。まあ、あれだけ軽くてかつ柔らかいゴーグルに替わるものってはそうそう考えつきませんけども。

内田利雄騎手 しばしおわかれ

2007年09月07日 | 岩手競馬
 3日の月曜で内田利雄騎手の短期所属期間が終了しました。
 一昨年19勝、昨年は28勝だったのですが、今回は15勝とちょっと減ってしまいました。

 昨年所属した伊藤和厩舎では所属期間中のべ79頭出走してそのうち63頭に内田騎手が騎乗、16勝をあげたのですが、今年は佐々木修一厩舎分56戦で6勝。所属厩舎分の勝ち星が少なかったかな。
 今年は来た当初、怪我の影響もあった感じでしたからね。後半の毎週3勝ペース(年間にすると120勝ペース)が本当の姿なんでしょう。



 今年はお盆開催を挟んだせいか、4開催だけど実質1ヶ月半くらいの期間で、いつもより短い感じがしましたね。「あれ?もう終わり?」みたいな。
 ご本人もせっかく調子が上がってきたところで終わるのが物足りなかったようで、『来週もこのまま居ましょうかね』なんて言ってました。
 一応物理的には可能みたいですね、期間延長は。免許そのものはみな同じ、短期所属で何ヶ月以内というのはあくまで主催者毎の内規にすぎませんから、岩手県競馬組合が延長を許可するならば期間延長も可能だとの事。

 次の滞在地は佐賀。その次は『荒尾にも誘われているけど福山も捨てがたいんだよね~』、さらにその次はマカオになりそう。佐賀の滞在は9月中旬から11月中旬までです。

 佐賀まで車で移動するそうですが、台風にぶつかってないかなあ・・・。

馬インフルエンザ/盛岡で拡大

2007年09月04日 | 岩手競馬
 9月1-3日の開催ではのべ46頭が馬インフルエンザの影響で出走取り消しとなりました。
 3日などはレースに出る予定の馬が97頭に対し取り消し馬が22頭。実に2割がいなくなってしまいました。
 5頭立てのレースが続出するに及んでさすがにファンの方も音を上げつつあり、私なんかでも「こんなのがいつまで続くのか?」と一般のお客様に聞かれたほどです。

 「できるだけ直近に検査」とは農水省がそういっているので、出走馬が確定した後に検査して弾く、というのはやり方としては間違ってない事になるようです。
 ですが、取り消しだらけの歯抜けのレースを売るのはある意味不良品を売りつけている訳で、お客様をバカにしているという事には違いありません。
 まあ、本命・対抗まで消えて訳のわからなくなったレースでもしっかり当てている皆さんを見ると、ホント馬券上手だなと思うわけですが、それとこれとは別。
 やはり「登録段階で陽性馬を弾く」「当日、怪しい馬も弾く」の二段構えが一番いいのではないでしょうか。



 前々週、8月25-27日では27頭の取り消しがありました。頭数の増加(27→46)がまず目につくのですが、注目すべきは所属です。
 前々週に取り消した馬はほぼすべて水沢所属の馬でしたが、前週は一転してほとんどが盛岡所属の馬でした。
 現場の方に聞いた状況だと、水沢の方はもうひどい拡がり方は終わった、かかった馬たちも直っていくだろう、と受け止めているようです。
 一方盛岡の方はまさにこれから、今のところ発症馬が出ていない厩舎も次は自分の所だと戦々恐々としているそうです。



 聞いた話では盛岡では初期の発症馬が合同厩舎で出てしまったようで、これが感染拡大に大きく影響した模様です。

 盛岡競馬場内の厩舎地区には各調教師毎に割り当てられた厩舎以外に、各厩舎が合同で使っている厩舎棟があります。特に盆暮れの変則開催時の際などは合同厩舎も目一杯使って馬を入れるのですが、そういうところで出てしまうと「厩舎棟の中で拡がる」→「あちこちの厩舎から人や馬が来ているので、自分の厩舎に持って帰ってしまう」→「他の厩舎にも拡がる」というプロセスを簡単に辿ってしまいます。
 この一週間くらいで盛岡の感染が急激に拡がったのですが、それでもまだ在厩頭数の半分にも達していないわけで、2歳馬はかかりづらいとか体力の落ちた馬はだいたいかかってしまった、とかあるけれど、もうしばらく拡大が続いてもおかしくない様に思えます。

ダービーグランプリ・今年はD重賞に

2007年09月02日 | 岩手競馬
 金曜日に発表されたダービーグランプリのグレード返上・地元重賞化。Jpn1に格付けされたレースが事実上無くなるという事には衝撃を受けましたが、今の状況からすると致し方ないのでしょう。

 競走馬の移動制限が解除されるのをギリギリまで待つ、という選択肢も無いわけではなかったようですが、例えばレースの広報活動、ポスター作りとかCM等々準備を始めないといけないわけですし、ギリギリまで引っ張った上にやっぱりできませんでした・・・という混乱を引き起こすよりは早めに決断する、というのは正しい選択だと思います。
 
 まあですね、今年はテシオを作っていないわけですが、作っていたとしてこの事態に巻き込まれたらもう、真っ青ですよ。
 例年のスケジュールでDG前に特集号を出すとすると、8月下旬には印刷にかかろうかという頃だし、9月の1週目などもう印刷ができて発送しようか、という頃ですからね。印刷が終わったものを差し替えなんて想像するだけでぞっとします。



 DGをやらないのはJRAの馬が来ない場合賞金負担もしてもらえない、というのも理由としてあるんでしょうが、じゃあ「自分で賞金出しますから、岩手の馬だけでG1やります」というのも、実際そうなるとなれば“ちょっとおかしいんじゃないの”という声が出ると思います。

 ダートグレード競走はJRA・地方の交流レースで、全国各地からレースの格にふさわしい力の馬が集まって戦うからこそグレードが認められているもの。賞金が出せるから、もう決まっているから、だからダートグレードレースでいいんだというのは、それはおかしいと思う。
 これはこれからしばらくの間に行われるダートグレードレース全般に言いたい事です。
 競走馬の交流制限がかかったままで、物理的に交流できない・出走できないにもかかわらずダートグレードレースが行われるとしたら、それはどうなのか?それでいいのか。

 興行的にはやった方がいいんでしょうけども、一応こういう事も考えてみては、と。
 ダート格付け委員会が指針を出すとか、JRAと地方の主催者が話し合うとかして方向性を決めないと、当面レースが行われるたび、主催者毎に判断が変わって訳がわからなくなる、という事も起こりうるでしょうし。

 私は、インフルエンザが終息せず他場の馬が出走できない状況にある競馬場でのダートグレードレースは基本的に実施しない・レースを行うにしても格付けを外す、くらいにすればいいと思います。
 あくまでも「各地の馬が出走できる状況」にあってこそ認める、と。

 いや、なにぶん馬の病気の話で「ハイ、今日をもって馬インフルエンザが終息しました」とか言えるものでもはないのは分かってますが、これくらいに考えておかないと、いつまで経っても交流レースの再開に向けて足並みが揃わないのではないかと思うんです。

25日は14頭取り消し/明日は?

2007年08月26日 | 岩手競馬
 昨日発表されたとおり、今日の日曜日は14頭が取り消しor除外。今日の出走頭数は全部で100頭ですから、1割以上がいなくなることになりました。



 で思ったのですが、取り消し馬が出るのは想定内としても、どうせ減ることが分かってレースを組むのなら、この3日間に限り10頭制限を外して12頭で組み、取り消し馬が出てもできるだけ10頭をキープできるようにする、みたいな対応はできなかったんでしょうか。
 もっといえば、もう1日早く検査して枠順確定の前に陽性馬を弾いてしまうということはできなかったんでしょうか。枠が決まった後で出走できない馬がいる一方で、元気なのに抽選漏れで除外されている馬もいるわけですし。なんかもったいない。



 これは騎手の方に言われたんですけども、どの馬が検査で引っかかって取り消しになるか、騎手には事前に伝えられてなかったそうですね。
 これがどういう事になるかというと、例えば騎手も自分の乗るレースでどう乗るか考えているわけですよ。初めて乗る馬なら以前乗っていた騎手にクセを聞いてみたり。そういう手間がみなパーになる。
 それくらいならまだしも、53kgの馬に乗るつもりで減量して、朝になってみたらその馬がいなくなっていて減量する必要がなかった。減量が楽な人ならまだしも、減量が厳しい人にとっては大問題ですよね。


 
 例えば今日のビューチフル・ドリーマーカップではウエスタンフォルスが除外になったのですけれど、これがもしサイレントエクセルだったとしたら?
 目玉がいるかどうか、朝になるまで分からない。競馬場に来てみたら除外になっていた、では詐欺呼ばわりされても仕方ないと思う。
 逆に、土曜の内に「翌日のビューチフル・ドリーマーカップではウエスタンフォルスだけが陽性でした」と発表しておけばファンも安心して予想できるし馬券を買いにいく予定も立てられるでしょう。

 ま、新聞の印の意味も変わってきますわね。土・日とぐりぐりの本命が取り消し、という例がいくつかありました。こうなると新聞を作った手間も、売る意味も無いようなものですよね。



 いまさらながら、なんですが検査陽性馬はあらかじめ発表する、というのが「公正」なんじゃないでしょうか。
 馬に乗る人・馬券を買う人が一番不利な立場に置かれているのでは、何のために競馬をやっているのか分かりません。