無煙映画を探せ  

映画のタバコシーンをチェック。FCTC(タバコ規制枠組条約)の遵守を求め、映画界のよりよい発展を願うものです。

「変な家」

2024-04-19 | 2024映画評


「変な家」 石川淳一監督 ◯東宝

 ユウチューブ動画で話題を集めた作品を加筆して小説にしてそれを映画化しました。
 オカルト系動画発信クリエイターの雨宮(間宮祥太朗)はマネージャーからおかしな間取りの家があると情報を得ます。オカルトネタ提供者で不動産業者でもあるミステリー愛好家の栗原(佐藤二朗)に間取りを見てもらいその謎を解き明かしていきます。するとその家の近くで死体遺棄事件が発生するのでした。

 間取り図という日常的ななんでもないものからミステリーを紡ぎ出すという手法は新鮮ですが後半のおどろおどろしさは、「八つ墓村」世代には既視感が強く慣れてしまったので演じているあの人たちがどんな気持ちで演じているのか推察するとちょっと笑えてしまいました。本人たちも楽しかったかも・・・。

 タバコは、なし。無煙でした。


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「青春ジャック 止められるか、俺たちを2」 

2024-04-15 | 2024映画評


「青春ジャック 止められるか、俺たちを2」 井上淳一監督 ☓☓☓

 1980年代若松孝二監督が名古屋にオープンした「シネマスコーレ」を巡る青春を映画にジャックされた若者たちを描いた作品のパート2です。
 ビデオが一般に発売され映画界にも多大な影響が予想される頃、映画の魅力を伝えるため若松監督(井浦新)はミニシアターを計画し、その支配人にビデオのセールスをしていた木全(東出昌大)を抜擢します。映画館の営業成績は厳しくピンク映画を上映したり、名画座風のラインアップにしたり木全と若松はぶつかり合いながらもなんとか続けていきます。そんな映画館には映画に関わりたいと思っている若者が集まってくるのでした。

 井上監督の青春時代を杉田雷麟(すぎたらいる)が演じています。当時の関係者には胸がときめく内容かもしれませんが一般的にはいかがなものでしょうか。井浦新は若松の表情などかなり研究したのでしょうが、知らない観客が理解できるよう若松監督の作品をタイトルだけでなくさわり程度は見せてくれても良かったのではないかと思いました。
 ジェンダーや在日の問題に対する掘り下げかたも中途半端で、今この作品を世に問う意味が今ひとつわかりませんでした。

 タバコは、モクモク系で確かに若松監督は喫煙者だったのでしょうが、だからといって健康被害者を増やすことは必要性なし。井上監督はもう少し社会性のある監督かと期待していましたがタバコの幟をバックに写し込む、また、映画館内に門脇麦がタバコを持っているポスターが貼ってあるなどかなり宣伝していました。タバコ会社は大喜びですね。「いくつになっても学ばないと」って映画の中では言っていたような気がするけど・・・。学べよ。


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「風よ あらしよ 劇場版」

2024-03-27 | 2024映画評


「風よ あらしよ 劇場版」 柳川強演出 ✗✗

 2022年NHKで放映されたテレビドラマの劇場版です。原作は村山由佳の同名評伝小説です。
 福岡の貧しい家に生まれた伊藤野枝(吉高由里子)は押し付けられた結婚から強引に逃げ出し上京、学生となり「原始 女性は実に太陽だった」という青鞜社の平塚らいてうの言葉を教えてくれた教師辻(稲垣吾郎)と暮らし始めます。辻は田舎の男と対して変わらず、青鞜社で働くようになって出会った大杉栄(永山瑛太)に惹かれ愛人のひとりになります。そして関東大震災が起きそのどさくさで中で憲兵大尉甘粕に殺されるのでした。

 女性解放の歴史に興味が多少でもあれば有名な話です。辻という平凡な男役の稲垣が「口だけ男」を好演していました。
 大逆事件とか大杉伊藤虐殺とか不当に殺された人々の名誉の回復と殺した側の贖罪は公になっているのでしょうか。過去を現在に活かすためにも「福田村事件」同様価値のある作品です。
 ただ、セリフが他の波の音などの効果音と重なり聞き取れないという映画としては致命的欠陥があることが大変残念です。
 何も知らない第三者に試写をしてもらって確認する作業くらいしてほしいものです。

 タバコは、大杉が喫煙者でした。また張り込みの刑事たちが喫煙したような吸い殻が映っていました。


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「落下の解剖学」

2024-03-08 | 2024映画評


「落下の解剖学」 ジュスティーヌ ドリエ監督 仏 ✗✗✗

 2023年第76回カンヌ映画祭パルム・ドール受賞作です。
雪深い山荘で父親が転落事故にあいます。すぐに駆けつけたのは視覚障害がある息子と愛犬でした。自殺か事故かそれとも殺人かと検証されます。そして同じ山荘の別の部屋にいた妻サンドラ(サンドラ ヒューラー)が疑われます。サンドラは古い友人に弁護を依頼します。裁判の過程で夫婦の関係が徐々に明らかにされるのでした。

 弁護士と検事との丁々発止のやりとりとその時の関係者の表情の微妙な変化が見どころです。タイトルのとおりどのように落下したのか詳しく「解剖」されていきます。それとともに息子が体験した数年前の事故をきっかけとした夫婦の心のすれ違いや仕事で成功している妻と仕事に不満を持つ夫との諍いが「解剖」されていくのでした。奇妙なタイトルでしたが観てみれば納得です。
 登場人物が競演していますが、もっとも名演していたのは犬でした。パルムドッグ賞ものです。ちょっとかわいそうな場面もありましたが動物愛護協会から苦情はなかったのかな。

 タバコは、喫煙者が多い作品でした。ただ、どの場面でも屋外で喫煙し、室内の場合は窓からタバコを持つ手だけ出して煙を外に吐き出していました。そこまで配慮するなら吸わなきゃいいのに、ですね。


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「52ヘルツのクジラたち」

2024-03-07 | 2024映画評


「52ヘルツのクジラたち」 成島出監督 △

 町田そのこ原作のベストセラー小説を実写映画化しました。
 貴瑚(杉咲花)は重い過去から逃れるため祖母が暮らしていた海辺の一軒家で暮らし始めます。そこで出会ったのは母親から虐待されムシと呼ばれている少年(桑名桃李)でした。言葉を発しない少年に52ヘルツのクジラの声を聞かせます。それは貴瑚自身がかつての恩人アンさん(志尊淳)に教えてもらい苦しい時すがって聴いていた声でした。

 原作ファンとして映画化が決まったときから楽しみでもあり2時間にどうやって収めるのか多少の不安もありました。切るところはバッサリ大胆にカットしそれでも原作の大枠を映像にした脚本(龍居由佳里)がお見事です。
 トランスジェンダーについて考えるひとつのきっかけにこの作品がなることでしょう。
 原作をぜひお読みください。

 タバコは、虐待をしている母親が喫煙し、吸い殻をポイ捨てする場面、また少年が言葉を発しない原因は母親がタバコを少年の舌に押し付けた、という非常にマイナスイメージが強いので△にしました。母親役(西野七瀬)には気の毒でした。


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「沖縄狂想曲」

2024-02-27 | 2024映画評


「沖縄狂想曲」 太田隆文監督 ◯ ☆☆☆

 沖縄が置かれている現状を様々な立場の人々の証言で明らかにしていくドキュメンタリー映画です。
 証言者として、大田昌秀元沖縄知事、鳩山由紀夫第93代総理大臣をはじめジャーナリストらが知らされて来なかった真実を明かします。
 「ラプコンを説明しなさい。」と言われたら答えられますか?実は沖縄だけでなく横田基地がある東京や日本中の空域がラプコン(レーダー・アプローチ・コントロール 民間機進入禁止空域)の対象になっているのです。なぜかといえば「日米地位協定」という日本国憲法より上位にある協定に日本は縛られているのです。そして「日米合同委員会」という国民には馴染みのない会議でほとんど秘密裏に日本の行先が決められているのです。
 辺野古基地については普天間基地移設のためではなく、ゼネコンに税金を投入するためだけなのも明らかにしています。
 そういうことがこの作品を観るだけでよくわかります。特に前泊博盛(沖縄国際大学大学院教授)さんの解説がわかりやすかったです。鳩山さんも「力及ばず」という無念を語ってくれています。
 「沖縄狂想曲」というよりは「日本狂想曲」です。税金を払っている人必見の作品です。

 タバコは、なし。無煙です。


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「マッチング」

2024-02-25 | 2024映画評


「マッチング」 内田英治監督 ✗

 監督自身の原作オリジナル脚本で、マッチングアプリを媒体に描くサスペンス・スリラーです。
 ブライダルプランナーの輪花(土屋太鳳)は職場の同僚に勧められマッチングアプリの会員に登録します。すぐに吐夢(佐久間大介)という青年とデートまでこぎつけますが、その後ストーカー的行動に悩まされます。同じ頃マッチングアプリで結婚した二人が次々残酷に殺されます。
 輪花の職場でマッチングアプリ会社との共同事業が始まり、相手の担当者影山(金子ノブアキ)と出会い、吐夢について相談するのですが・・・。

 タイトルと佐久間(Snow Man)が多くの若い女性客を惹き付けている作品です。内容としては昔からある女と男の屈折したドロドロ関係ですし、年齢制限はないものの殺人方法は結構残酷で血糊ダバダバ系です。人間関係がなかなか複雑(わかってしまえば単純ですが)で吐夢の職業が「特殊清掃業」というのもおどろおどろしさに貢献しています。でもちょっと殺しすぎではありませんか。もしかして続きがあるとか?

 タバコは、なぜか輪花の同僚が職場の休憩所で1度喫煙しました。結婚式場のスタッフがタバコ臭いというのはなんだか薄汚い雰囲気ですね。


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「枯れ葉」

2024-02-24 | 2024映画評


「枯れ葉」 アキ カウリスマキ監督 フィンランド独合作 ✗✗✗

 ヘルシンキを舞台に孤独な男女が惹かれ合う姿を過酷な労働現場とともに描きました。
 アンサ(アルマ ポウスティ)は理不尽な理由で職場を首になります。溶接工のホラッパ(ユッシ バタネン)はカラオケバーでアンサを見かけデートに誘いますが、せっかく書いてもらった電話番号のメモを無くしてしまいます。それでも忘れられず映画館の前でずっと待ち続け・・・。

 ほとんど笑顔を見せないアンサが唯一笑うのは迷い込んできた薄汚い犬と出会ったときです。このワンコが結構な役者でこの作品の☆に貢献しています。特にラストで初めてこの犬の名が呼ばれ「ワン!」と応える場面はなぜか感動的です。またこの名前が映画ファンなら思わず☆をつけてしまう名前です。ラストシーンは犬の名前の監督の名画のラストシーンでしたね。ネタバレになるから秘密ですが。気持ち的にはこの場面だけで☆☆です。そしてタイトルの「枯れ葉」が絶妙なタイミングで流れるのです。なお、音楽はさまざまな名曲が流れますが、「五木の子守唄」にはびっくりです。

タバコは、この監督の唯一の困ったところで、タバコが大好きらしいのです。昔の演出でタバコの吸い殻の山で時間経過を表す手法を未だに使うし、居酒屋のような店ではカウンター内のスタッフの女性も多くの客も喫煙者でした。主役のホラッパは職場の「禁煙」表示の前で平気でタバコを吸います。カラオケバーでも壁で隠れ喫煙。彼はタバコ依存だけでなくアルコール依存で仕事も酒を飲みながらなのでそれで失業してしまうのです。一方のアンサは父と兄と母をその酒が原因で亡くしていたのです。そのためホラッパは振られますが、決意して断酒します。ついでにタバコも止めた方が断酒も続けられると思いますが・・・。


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「ヤジと民主主義 劇場拡大版」

2024-02-23 | 2024映画評


「ヤジと民主主義 劇場拡大版」 山崎裕侍監督 ◯ ☆☆

 2019年、札幌での安倍首相(当時)が応援演説中ヤジを飛ばして警官に排除された事件と、その後の裁判を追ったドキュメンタリー映画です。2020年北海道放送の番組を追加取材など加え劇場版にしました。ナレーションは落合恵子です。
 「安倍やめろ」とヤジを飛ばした男性は数人の警官に囲まれズリズリと現場から引き離されます。別の女性も同様に女性警官に腕も取られほとんど拘束されます。また、ただ「老後の資金2000万円ありません。」という手持ちのプラカードを胸に抱えていただけで私服警官が前に立って見えないように遮ります。そして男性と女性の二人が司法に訴えますが・・・。

 安倍自民党を支持するプラカードはみんなが持っていても何もされないのに反対の意思を示しただけで法的根拠がなく拘束状態になってしまう。警官の言い訳は「危険な目に(あなたが)合わないように」と恩着せがましい態度を取る。全く「ヤジも言えない」ってどういうことでしょう。百歩譲って「演説を聞きたい人もいるから静かにしてほしい。」のでしたらプラカードや横断幕は問題ないはず。だいたいヤジくらいまっすぐ受けて「ご意見有り難く承りました。」くらいのことが言えなくて政治家になるな、と言いたいです。
 ただ、ロシアではプーチン批判の人が消されてしまい、それも他人事ではないような気がしてきました。そのへんのホラー映画より実はよっぽど怖い作品です。日本が「自由」で「民主的」だと誤解している皆さん必見の作品です。

 タバコは、なし。無煙です。ところで、「自由で民主的な」議員のみなさん特定の企業を国家が保護する「たばこ事業法」いいかげんに廃案にして!


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「ほかげ」

2024-02-21 | 2024映画評


「ほかげ」 塚本晋也監督 ◯ ☆

 戦後焼け残った小屋で春を売って暮らす女(趣里)と居着いた少年(塚尾桜雅 つかお おうが)、復員兵などで混沌とする闇市を舞台に描きました。監督のオリジナルです。

 女は斡旋する男から客をとってなんとか生きていましたがある時少年が大事な食料を盗みます。その後その少年と客で来た復員兵との奇妙な生活が数日続きます。ところが、女は病気になり少年を病気が感染るからと追い出します。少年は謎の男(森山未來)に一緒に仕事をしてくれと頼まれますが・・・。

 「ほかげ」というタイトル通り「火影」の光と陰が画面を覆っています。戦争から帰ったものの病んでいる人々が描かれ、男と仕事で出かけた田舎では天気もよく明るい光に包まれますが実は男が少年に手伝わせた仕事は戦争の酷い現実を明らかにするのでした。少年には女が願ったように犯罪を犯さずなんとか職を得てたくましく生きていってほしいと観客みんながきっと願っていることでしょう。塚尾桜雅の成長が楽しみです。
 
 タバコは、なし。無煙でした。


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