*音楽生活のススメ*

たくさんの人に、たくさんの良い音楽が届きますように。

土岐 麻子STANDARDS gift~土岐麻子ジャズを歌う~

2005-12-10 01:57:18 | 音楽
“JAZZ”と聞いて、あなたは何をイメージするだろうか。高貴で上品。あるいは、艶やかな地下のクラブ。人それぞれ想像するものは違うと思うが、共通するのは、少しだけ、近寄りがたい雰囲気。だからこそ想像はふくらみ、JAZZに触れた瞬間、一気に心は掴まれる。そして、頭の先からつま先までじんわりと浸透していくのだ。その感覚が、ちょっぴりスリリングで、気持ちがいい。
彼女の声は、以前在籍していたCymbalsの時に比べると、甘みと落ち着きが増した。その歌声はしっとりと耳を撫で、喧騒から切り離してくれる力を持つ。そして、最初に述べたジャズのイメージを違う角度から捉え、近寄りがたいという雰囲気を取っ払ってしまっているのだ。
今回のアルバムのテーマは“ギフト”。スタンダードなJAZZのナンバーに加え、ミュージカル映画「雨に歌えば」から「Singin’ In the rain」やビートルズの「ノルウェーの森」を収録している。ジャンルを超えて、いい歌を素敵にカバーする、音楽に対しての愛がたくさん詰まった1枚が完成した。すんなりと心にいりこみ、凝り固まった心をほぐす彼女の歌声は、最高のギフトとなるだろう。
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大塚愛

2005-12-10 01:56:28 | 音楽
アーティストとして確実に進化した彼女の待望のアルバムがついに完成!

 去年、の11月に届けられた「LOVE JAM」では、まるで彼女の恋愛日記を読んでいるかのような、とても甘くて、切なくて、恋の醍醐味を一枚で味わえるかのようなアルバムだった。それから1年。ご存知の通り、そのリリースから間髪いれずに「SMILY/ビー玉」「ネコに風船」「プラネタリウム」と発表し、今年は女優としても活躍、さらにはセルフプロデュースのフォトブックまで発売した。まるで生き急いでいるかのように続々とリリースを続ける彼女に、ペースを落とそうと思わないの?とインタビューで聞いたときに、「聴いて欲しい曲がたくさんあるから、出せるときに出しとかないと、って思っちゃうんですよね(笑)」と、屈託のない笑顔で答えられたときには、彼女が多くの世代から共感を得て、支持される理由が良く理解できた気がした。
 そして。待望の3枚目のアルバムが、少し早いクリスマスプレゼントとして12月14日にリリースされる。一曲づつはあとの全曲紹介でくわしく触れるとして、明らかにアーティストとして進化しているのだ。シングルだけを辿れば、そこまで彼女の変化に気づく人も少ないかもしれないが、このアルバムは、はっきりいって今までのアルバムとは完成度が違う。明らかにクリエイターとして、アーティストとして成長しているのだ。
 「大塚愛=ラブソング」という公式が当てはまるほどの今までのイメージを明らかに超越するこの1枚は、もしかしたら波紋を呼ぶかもしれない。でも、アーティストとして、こういったターニングポイントは絶対に必要なのだ。なにより、「プラネタリウム」のカップリングとして収録されていた、今までの流れを象徴するような、暖かくて、ラブラブな曲、「d.r.o.p.」が未収録なのも、意図があったからだろう。
 このアルバムにももちろん収録される「ネコに風船」では、ネコを介して今の社会を風刺する考えさせられる作品だった。その表現方法は、今までのストレートな手法がめだった彼女には珍しく感じられた。そして、完成したアルバムには、その世界観が反映された、恋愛だけでなく、その先にある人間の深いところに視点をおいた曲が多く収録されているのだ。サウンド面では、ポップスやバラードだけでなくロックやスカにも挑戦し、音楽の幅も確実に広げることに成功している。彼女に何があったのかは直接聞いて見ていないのでわからないが、確実に音楽とのスタンスが少し変わったのだろう。
 とはいえ、彼女独特の世界はもちろん感じることが出来る。シングルにもなった「プラネタリウム」のような、彼女の真骨頂ともいえる、情緒溢れるラブソングはもちろん収録されているし、前作に収録されていた「ポンポン」や「妄想チョップ」を彷彿させる「ラーメン3分クッキング」では、今までにないほど弾けて、さらには、ずっとラーメンの種類を歌うサビという、わけのわからない歌詞に思わず笑ってしまうアルバムならではのこの曲も聴いて欲しい。
 彼女は、デビューからものすごい勢いで駆け抜けてきた。レコーディングやライブを経た3年弱の期間で、恐ろしいほどいろんな音楽を吸収したのだろう。アーティストとして、一番大事な3枚目のアルバムで、このように今後を期待させるような進化をした彼女に、拍手をしたい。ラブソングを歌う女のコから、ジャンルレスに、人間の深いところまでを歌えるアーティストに変化しつつある大塚愛。また新たな一歩を踏み出した彼女の未来が楽しみだ。

5:09a.m.
静かにささやくように始まる1曲目は、徐々に上昇するサウンドに鳥肌が止まらない。重なる、柔らかい音の渦に巻き込まれ、その渦に堕ちる瞬間、ぐっと持っていかれるサビへのながれは圧巻の一言。「このとき最大の恋をした」「今でも忘れてないよ」という切ない想いがやるせない歌詞と一緒にじっくりと味わって欲しい。

羽ありたまご
真っ直ぐすぎる想いが、時には一番狂気だったりする。それと同時に、目の前にある願いが叶うなら、叶った瞬間、それ以外はなにもいらない、たとえ、自分がいなくなろうとも。意味深な歌詞と、優しく、でもどこか震えている歌声におもわず涙ぐむミディアムチューン。決して派手な曲ではないのに、心を掴んで離さない。ストリングスが切なく響き渡る名曲だ。

ビー玉
周りには元気一杯で接しながらも、自分を客観的に見て、嘘はつけない心のくすんだ部分を曝け出した一曲。一見対照的に見えるが、この部分があるからこそ、人間は深みを増す。そして、ただ開けっぴろげに笑っているだけじゃない、多くの意味を含み、乗り越えた上での最高の笑顔を手に入れているのだ。

SMILY
ライオン「Banパウダースプレー」のCMソングとしてオンエアされていたこの曲のコンセプトは「楽しまなくちゃ人生損!」。自分に笑顔を、人に笑顔を。元気炸裂というアイコンを決定づけた一曲といっても過言ではないだろう。単純明快な曲だが、実はなかなかこういう曲には出会えなかったりする。結果、今年の夏を彩る名曲となった。

U-ボート
謎の人物“後藤さん”が登場するライブで聴きたい、今までの彼女の曲にはないメロディアスなパンクチューン。「何回だって立ち上がる」という、前向きなメッセージが背中を押してくれる。面白い終わり方は聴いてからのお楽しみ。

ネコに風船
この曲に込められたメッセージは、深く、熱い。そして、そんなメッセージを刻むようなミディアムバラードが身体中を包み込むのだ。ストリングスが効果的に響き渡り、光が徐々に広がり、増えていくようなこのメロディーは美しく、ストレートに心に刺さる。比較的シンプルなメロディだが、だからこそ彼女の憂いと強さを併せ持った歌声が気持ちよく伸びやかに心に落ちる。意味深な詞を、身体中で感じて欲しい。


Cherish
「LOVE for NANA~only 1 Tribute~」に収録された、「NANA」に存在するトラネスの気持ちで書いたという一曲。レイラとシンの恋愛を歌ったかのような、切なくも美しいミディアムバラード。本当に、本当に愛し合いながらも、報われることのない愛。「今年一番幸せなのは あなたのそばに いれたこと」心の奥深くからじわじわと身体中に浸透する名曲だ。



ラーメン3分クッキング
タイトル通りラーメンの種類を連発するラップ(なのか?)。こういった曲が聴けるのもアルバムだからこそ。考えさせられる曲が多いだけに、ちょっぴりここで休憩を。とはいえ、ライブではかなり盛り上がりそうな曲が完成した。


東京ミッドナイト
え?これ大塚愛?と思ってしまうほどのこの曲は、ホーン隊とサックスを取り入れたスカ。夜の東京を彼女なりに皮肉った歌詞は、多くの人に聴いて欲しい。「酒に酔いしれ 金が舞い散り 朝が近づく 夜が終わる」そんな今までにない彼女のフレーズにドキッとする。まだまだ彼女は進化途中なのだ。


プラネタリウム
人は聴覚、視覚、味覚、嗅覚、触覚で恋をする。もう終わってしまった恋を思い出すきっかけとなる花火が間奏で上がる瞬間、思わず胸は締め付けられる。「行きたいよ 君のところへ」涙がこぼれるように溢れる言葉…。シンプルなサウンドだからこそ言葉が際立つ、本当に美しいラブ・バラードが完成した。夏の終わりの曲だが、人肌が恋しくなる冬に聴くと、切なさが倍増する。 


Birthday Song
とてもシンプルで、心温まるバースディソング。たった8行の歌詞のなかに、素敵なメッセージを詰め込んだ。カントリー風のサウンドも可愛らしい。この曲と、次の曲には、GO!GO!7188のドラム、ターキーをレコーディングメンバーとして迎えている。


LOVE MUSIC
アルバムの最後を締めるのは、その名も「LOVE MUSIC」。ジャンルレスに、色々なことに挑戦した今回のアルバムを通して、彼女の中で音楽という存在がますます大きくなったのだろう。この曲では、どんなにつらいことがあっても、臆病になって逃げることをやめよう、まっすぐに困難に立ち向かい、その手で幸せを掴もう、そんな強いメッセージが込められている。

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木村カエラ「BEAT」

2005-12-10 01:55:20 | 音楽
木村カエラ「BEAT」
奥田民生プロデュースの新曲がついにリリース!

昨年リリースしたファーストアルバム「KAERA」でオリコン初登場8位を獲得。その後の彼女の活躍といったら、TVにCMや映画、モデルに歌と“絶好調”とはまさにこのこと。今まさにカエラ旋風が日本中で吹き荒れているのだ。しかも物凄い勢いで。
そんなことを知ってか知らずか、彼女のマイペースさは増すばかり。やってみたい髪型を発見したら次の日にでもしてしまうという彼女の瞬発力は、周りのスタッフだけでなく、ファンでさえも驚かせてしまうの。でも、だからこそその唯一無二な存在が人気を呼び、憧れの存在として大ブレイクしているのだろう。
さて。このシングル「BEAT」の発売後、10月末に彼女の初主演映画「カスタムメイド10.30」が公開される。昨年広島市民球場で行われた奥田民生ソロ10周年記念ライブ「ひとり股旅スペシャル」のドキュメントと、カエラ扮する広島在住の女子高生姉妹が繰り広げるドラマを組み合わせた映画なのだが、ここでも彼女は演技を“素”でこなしているのだ。彼女の歌う姿を見たことがある人ならわかっていただけると思うが、何にも臆する事無く、自由に、話すように歌うのだ。何一つヴェールをかけずに、ありのままの姿で歌い、演技をする。まるでずっと一緒にいた友達かのような錯覚まで陥るほど、彼女は自然体なのだ。そんな彼女が、この映画で、自然体のドン・奥田民生とこの映画で共演している。年は倍離れている二人だが、きっとそのライフスタイルに共感したのだろう。民生自身、久々となるプロデュースを買って出たのだ。
そして出来たのがこの「BEAT」。元々ロック魂の強いカエラの心をくすぐるスタンダードなロックチューンに仕上がっている。民生がそのまま歌ったとしてもなんの違和感のないミディアムロックを、カエラが難なく歌いこなし、しかも深みまで感じさせるのだ。やっぱり、彼女はタダモノではない。この曲はギターのリフだったり、歌詞のフレーズだったり、“繰り返し”をテーマにしている。でも、同じ繰り返しでも、2度目、3度目では持つ意味が違う。ループするように体中で響き渡り、最後、彼女は歌詞で「開いて」という言葉を残している。まるで弾き飛ばされたかのような感覚も覚えるが、そうではなくて、そこからそっと背中を押されるのだ。
今回も彼女は歌詞を担当している。今までは比較的伝わりやすいメッセージを込めてきた彼女だが、民生が持ってきたサウンドに、意外なほど少ない言葉で自分の気持ちを表現している。その言葉たちは、ひとつひとつが独立し意味を持ち、結果的に聴き手に行間を埋めてもらうような新しいスタイルの曲が完成しているのだ。いったい彼女はどんなペースで成長を遂げているのだろう。民生からのコメントで、「年は僕の半分ですが、心臓は倍かも」と言わせただけある…。しかし、どんな歌詞を書くにしても彼女の言いたいメッセージはひとつ。「自分の感じるものを大切にしよう」ということ。そして、感じる“BEAT”を大切にしようということ。
サウンド面では、民生のアイディアにより、コーラスが多用されている。声が重なる瞬間、一気に曲は広がり、心の隙間を見つけては入り込み、身体中に染み込むのだ。これには彼女自身も驚いたらしく、「さすがだなと思いました。」というコメントを残している。その後に、「楽しかったなー。勉強になったなー。」と付け加えているところをみると、よほど充実したレコーディングだったのだろう。それもそのはず、今回もロックファンなら泣いて喜ぶ豪華なレコーディングメンバーで収録されているのだ。まずは、プロデュースの奥田民生はギター、コーラス、パーカッション。そしてベースはLOSALIOSのTOKIE、ドラムは元ミッシェル・ガン・エレファントのクハラカズユキ、キーボードはソウルフラワーユニオンの奥野真哉が参加しているのだ。悪いわけはない。でも、そんな大御所に囲まれて彼女は自由気ままに駆け回る。こんな度胸の持ち主だからこそ、幅広く多くの人に愛されるのだろう。
歌っている姿をみると、すでに何年も歌っているかのような堂々とした歌いっぷりだが、まだまだ彼女は新人アーティストのうちの一人。次はどんな姿を見せてくれるのか、今から楽しみで仕方ない。

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一青窈「&」

2005-12-10 01:54:40 | 音楽

色々な“愛”を詰め込んだ、待った甲斐のあるアルバムがついに完成!

このアルバムを聴く前に、先行シングルとして発売された「指切り」は聴いてもらえただろうか。いつものプロデュースメンバーではなく、あの小林武史を迎えて作られたこの曲は、彼女の進化を感じられる楽曲だった。ノイズがかった、変則的なギターにいつの間にか彼女の歌声が絡むイントロに、まず吸い込まれる。そして迫り来る音の波と、なにかを噛み締めているかのような歌声、そして曲中に響き渡るホーン隊と、駆け巡るピアノの音。全てが絡み合った時に、何故か感じる喪失感。音が派手になればなるほど、極度の緊張感が襲う。そして徐々に静まるピアノの音に、少しずつ身体はほぐれ、聞き終えた後に深い溜息がこぼれるのだ。彼女がこの歌詞に込めた、自分の一生を誓った思いが互いに揺れることを極端に恐れ、ナマモノの気持ちに完全に縛られてしまう心境は、“愛”を追求するが故に紡がれた言葉たちだろう。
「ハナミズキ」の延長線上にあった「影踏み」では、ここまで次回作の期待を感じることができなかった。しかし、直前にリリースされた「指切り」がこんなにも心奪われる作品で、そのあとにリリースされるアルバムは一体どうなってしまっているのだろうと、楽しみで仕方なかった。そして、1年8ヶ月の月日を経て、彼女の最新アルバム「&」を聴くことができた今、率直に言おう。彼女の全てが凝縮されたアルバムがついに完成したのだ。どうせ毎回言ってんだろう、とひねくれた意見は受け付けません(笑)。ジャンルのバラつきが受け止めるのに時間がかかったファースト、そして「江戸ポルカ」や「ハナミズキ」などに象徴される、彼女の音楽性がまとまりかけていたセカンド、そしてその後、新しいプロデューサーを迎え、彼女がもつ音楽の可能性を全面的に引き出すことに成功し、洗練されたこのアルバム。完全に彼女は進化したようだ。
彼女の楽曲は多くのプロデューサーが手掛ける為、毎回ジャンルが異なる作品が発表される。そしてアルバムは、ジャンルレスな楽曲を繋ぐような彼女独特の詞世界と、艶のある歌声が統一感を生み出している。今回も、彼女の詞は一つ一つ濃厚で、深い。個々の説明はあとの全曲紹介でするとして、全体を繋ぐキーワードは“深い愛”。大好きな彼だったり、家族だったり、友達だったり。まるで対象のひとたちに語りかけているかのような、そんな曲たちで溢れている。優しかったり、懐古したり、時に訴えたりと、様々な表情で。
彼女はデビュー当時から、「“ありがとう”と“ごめんなさい”は出し惜しみしちゃいけない。」と、何度も何度も言葉にしてきた。それは失った両親への気持ちだったり、聴いてくれる全ての人が後悔しないように伝える言葉だったり。そんな彼女から生まれる言葉たちは、真摯で、真っ直ぐ。真っ直ぐすぎるが故に、狂気とも取られてしまう、そんな危うさも魅力のうちなのだろう。そして、他のアーティストからは到底出てこないであろう言葉選びも、もちろんこのアルバムにもたくさん詰め込まれている。隠語のようにさえ覚える言葉たちはさらに魔力がかかり、スルリと心に到達する。例えば、2曲目の「ホチKiss」のように、ふたりが離れたりくっついたりする表現をホチキスに表し、くっつくときのKissをキスとかける。可愛らしい表現だからこそ、曲に甘さを添え、笑みがこぼれる。
彼女の魅力はCDだけでなく、ライブでも感じて欲しい。強い瞳と、会場中を包み込む音。彼女の歌声が降る瞬間、頭の先からつま先まで、鳥肌がたち、心はしっかりと掴まれる。そんなライブツアーが2月から4月にかけて全国で行われる。これを機に足を運んでみて欲しい。

Banana Millefeuille
可愛らしいタイトルのこの曲は、「はいはーい、もしもし」から始まる遊び心溢れるイントロから始まる彼女流のダンスチューン。言葉遊びで、「あなたひとつひとつあたしひととよ」と自己紹介するところも面白い。いきなり個性の強い曲で耳を奪うのはさすが。

ホチkiss
ハートウォーミングなサウンドに乗せる、幸せなカップルの日常を歌ったこの曲は、とても甘くて、くすぐったい。サビのコーラスに乗せて歌う言葉遊びが胸をキュンとさせる。彼女の声は本当に表情豊かだ。

うれしいこと。
愛されているときは、今あることが当たり前になり、幸せを大切にできなくなってしまう。でも、そうじゃなくて、毎日、毎日振り返るようにしていればその幸せも大切にできるはず。自分の幸せよりも大切な人の幸せを願えた時ほど、幸せなことはない。緩やかなメロディーに、温かいメロディーを添えて。

かざぐるま
全国東宝系映画『蝉しぐれ』のイメージソングとなったこの曲。曲を流しているだけで、日本情緒溢れる町並みが浮かぶ、極上のミディアムバラードだ。彼女の声は低音が一番心に響く。どっしりと構えていて、それでいて色っぽい。壮大なアレンジも手伝って、つい涙ぐんでしまいそうになる。


影踏み
「かざぐるま」からでこみ上げた涙は、ここで一粒、流れる。「君が僕を信じてる」その自信が、自分の全て。鍵盤が優しく歌声を包み込む。大切な人の幸せを一番に願う彼女の気持ちがにじみ出た名曲だ。歌詞をしっかりと読んで、さらにこの世界にどっぷりと浸ってほしい。

指切り
小林武史と初のタッグを組んだこの曲で、彼女は新境地を切り開いた。「あなたのためなら死ねると思った」という情念さえ感じる最初のフレーズと、焦燥感溢れるイントロが心に刺さる。「恋でした 好きでした 愛してます」という言葉で締めくくられるこの曲に、純粋すぎるが故の深みを感じる。

アンモナイト
一転して軽快なメロディーで始まるこの曲では、一青窈ワールド全開の歌詞が印象的だ。最後の一節、「一緒に化石になろう なろうよ、ねぇ」と迫る彼女になに切迫感を感じる。しかし、抜けのいいメロディーに助けられ、爽やかな印象を与える。


Oh la la
アコースティックギターに歌声が響き渡るシンプルな一曲。7行しかない歌詞にも、大切な人を思う気持ちはぎっしりと詰め込まれている。彼女の溜息混じりの歌声と、アコギの“キュッ”という音が心地よい。

ピンクフラミンゴ
ギターのカッティングが印象深いファンクを取り入れたのはこの「ピンクフラミンゴ」。一度聴いただけでは筋の通らないストーリーも、歌詞カードとにらめっこをすれば、なるほど。こんなメロディーも彼女の声はよく似合う。ライブで盛り上がりそうな一曲だ。スクラッチも効果的に使用されている。

&
タイトル曲にもなったこの曲は、シチューのCMを彷彿とさせる(私だけ?)、柔らかくて、温かくて…色にするならオフホワイトの一曲。口笛が心地よく心に響く。たった1分少々の曲だが、印象深い曲だ。

さよならありがと
最後の曲は、ゆったりと流れるみミディアムバラードだ。好きになった人との別れの時、思ったように言葉を伝えられなかった後悔と、一緒にいられた時間を愛おしみ、「さよならありがと」と歌う声は、悲しくも、美しい。
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The Ivory Brothers

2005-12-10 01:50:23 | 音楽
The Ivory Brothers
「この街では誰もがみな自分以外の何かになりたがる」

ケミストリーや平井堅でのプロデュースで知られる松尾潔に見出されてデビューした彼らの新曲が到着。AORを基盤とした、軽快なピアノとホーン隊がキラキラと降りかかるサウンドに乗る、伸びやかなヴォーカルが印象的な一曲…という説明だけでは全然足りない、この曲には深く、熱いメッセージが込められているのだ。
誰もが夢を抱え目指す都会。まるで、そこにたどり着けば夢が叶うかのように信じ続けてきた未来も、足を踏み入れた瞬間、そうではないことに気づいてしまう。でも、そこに屈する事無く前を向き、新しい一歩を踏み出す彼らの曲は、最後の一節で「その先でたどり着きたい「自分」が見えてきたよ」と歌う。そう、彼らは信じ続ける心と、揺ぎ無い自分自身を見つけることに成功しているのだ。
そんな彼らの曲が心を掴まないわけがない。聴き終えても、しこりのように余韻は残り、爽やかなサウンドとともに心地よい気持ちにさせてくれるのだ。全ての夢を追いかける人に贈る、素敵な一曲が完成した。
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YUKI「歓びの歌」

2005-12-10 01:49:53 | 音楽
YUKI「歓びの種」

「信じ続ける力」を最大限に表現した物語に素敵なスパイスをかける名曲が完成!

「タッチ」が実写で映画化される事が発表されたのは今年の春。双子の兄弟、達也と和也、そして恋物語のヒロイン、南の三人が織り成す甘酸っぱい恋模様を繊細に描き、社会現象まで起こしたあだち充原作の青春ラブストーリー…。そこには世代を超えて誰もが愛し、憧れた青春像があった。いつまでも瑞々しく、輝き続けるこの物語の主題歌が、YUKIによって書き下ろされた。
 優等生で、南とお似合いのカップルだった和也が交通事故で不慮の死を遂げ、彼が目指していた甲子園を落ちこぼれの兄、達也が目指す。そしてその二人の間で揺れる南との恋物語を描いた、あまりにも有名なストーリーをなぞるかのような繊細な歌詞は、優しく、そして、とてつもなく、強い。
出会いがあれば、別れは必ず訪れる。誰もが頭では理解していながらも、そこから立ち直れるほどタフな人はなかなかいない。でも、すぐ傍にある、本当に小さな幸せに気づくことができれば、世界は変わるのだ。信じた夢をあきらめる事無くずっと暖めていれば、必ず種から芽は顔を出し、明日は変わってくる。
もし、あなたがいつか真剣に願っていた夢を持っていたならわかるだろう。それを恥ずかしがらずにいえる強さと、それを信じてくれる友達や恋人の大きさに。誰もが不可能だと思っていた達也が、ぐんぐんと力を付け、夢を果たし、傍にいる南の大切さに気づく。そして南は成長した達也に惹かれていく。
「心の底から 信じてみよう 少し照れて 笑う君が 見えるよ」
そんな一言ひとことを大切に、刻むかのように歌うYUKIの声から、笑顔を感じることができる。でも、ただ先にあることが、素敵なことだけではないことも、彼女は知っている。どこか一歩、足を踏み外せば、もう二度と元には戻れない、そんな危うささえも、この少ない言葉の中に含み隠されているのだ。でも、だからこそ、先にある光が眩しく見えて、仕方がないのだろう。そんな物語の軸となっている部分さえもこんなにも上手く表現されている彼女の手腕に脱帽する。
成長していく彼らが、真っ直ぐに現実を受け止め、前に進む決心をするまで心境を描いた歌詞を彩るのは、キラキラしたミディアムバラードだ。美しいピアノと、壮大なストリングスが効果的に使われ、徐々に広がり、身体中に浸透していくメロディーに、ぐいぐいと心を持っていかれるのだ。まるで両手を広げながら幸せのカケラを浴びる微笑ましい光景が目に浮かぶ、可愛らしい一曲に仕上がっている。YUKIの声も、穏やかに見守るように響き、すんなりと言葉は聴き手の心に刻まれ、柔らかい気持ちにさせてくれるのだ。
作曲を担当しているのは、彼女の曲では「ハローグッバイ」「長い夢」「ドラマチック」も作曲している蔦谷好位置。彼との相性は抜群のようだ。彼と組むようになってから、スケールはさらに広がり、可愛いだけでない彼女の魅力を引き出すことに成功している。例えば、今回の曲のような、どこかずっと不安がベースに広がりながらも、屈する事無く強く進み続ける力を。そしてaikoなどを手掛ける名アレンジャー島田昌典によってさらに色をつけられ、壮大かつ、メッセージ性の強い、素敵な曲が完成したのだ。
まだ私も映画を見ていない。だが、この曲が流れる頃には胸が一杯になっているのだろう。だって、主題歌を聴いただけで、胸が一杯になってしまったのだから。

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中島みゆき「転生」

2005-12-10 01:48:49 | 音楽
中島みゆき「転生」

2004年1月に上映された夜会VOL.13「24時着0時発」。
その名場面で演奏された名曲たちが新たに生まれ変わる!


例えば、さらりと音楽を流す。食事をとりながら、時には本を読みながら。BGMと流したつもりが、その音楽に宿された命があまりにも強くて他の事が手に付かなくなり、やがて全ての手を休め、音楽に没頭してしまうことがある。その物語には確実に力強く生きている人がいて、伝えたい言葉がはっきりとしているものだ。そんな音楽に出会えたとき、まるで映画を一本見たかのような感覚に堕ち、今までにないほどの充実感、そして心地いい疲労感に包まれる。あなたはそんな体験をしたことがあるだろうか。
 中島みゆきの新しいアルバムが発売される。前作は過去の名曲を今の音として蘇らせたセルフカバーアルバムだった。その時に改めて彼女の曲に深く触れ、私は本誌でこう書かせていただいた。「1枚聴き終えるまで、すこし体力がいるのだ。決して悪い意味ではなく、聞き流すことができる部分がひとつもないのだ。(中略)これだけ、一曲に体力を使い、一曲に踊らされ、一曲のために泣いてみるのも、いいかもしれない。いや、これが、本来の音楽の楽しみ方なのかもしれない。」と。そんな風に思わせることができるアーティストが、今の若いアーティストに存在するかと尋ねられたら、考えてしまうだろう。そしてその衝撃を受けた作品から約1年。また彼女から新しい作品が生み出されたのだ。
 この作品はオリジナルアルバムとはまた趣向が異なる。彼女が89年から行っているこの「夜会」とは、彼女が「歌を自由にしてあげたい」という願いのもと、生まれた新しい表現場所のひとつとして定着した。演劇に歌を介入させる事によって、個人がもっているその曲のイメージを完全に引き離し、その歌は新しいアレンジによって生まれかわり、またさらにいろんな顔を見せてくれるのだ。彼女は何年も前に行われたインタビューで、「アレンジなどをしてコンサートで発表すると、お客さんからのブーイングがあった」と語る。そんな中、ミュージシャンなら誰でも感じたことがあるだろう、「歌を自由にしてあげたい」という思いをかなえるために、彼女は夜会を開催し、いまや15年目を迎える、彼女にはなくてはならない表現の場として定着した。そして去年の1月に行われた夜会の名場面で演奏された名曲に、新しい命を吹き込みレコーディングした作品が完成したのだ。
この作品には、ゴールはない。歩き始めた主人公はずっと、ずっと過去を気にしながらも、戻れないことを知り、新しく始まってしまった旅路に没頭する。何度も何度も振り返りながらも、必死に未来を掴もうとしている。「帰れない者たちへ」で旅に出たことを少し後悔しながらも、「線路の外の風景」では、旅に出る前の、ありきたりの人生に一喝し、でも、進み始めてしまった未知の世界に対する、どうしようもない不安をさらけ出している。そして「フォーチューンクッキー」では、自分で選ぶことが出来る未来だからこそ、選ぶのが怖くなり、「命のリレー」では、それでも、進まなくてはいけない今を、そして次へと繋がなくてはいけないバトンを必死に握り締めている。そして最後の曲「無限・軌道」では、“すべて失くしても すべて始まる”と決意を新たに、走り続けることを決意するのだ。
痛々しいほど、リアルで、逃げ場がない。でも、深く、必死に掴み取ろうとしているからこそ、掴むことができる真実や事実をこの主人公はいつか見つけることが出来るだろう。いや、そうなることを信じたい。
今作も、前作と同じく、息をつく瞬間がない。歌詞を読むだけでも涙は流れ、身体は硬直する。そして楽曲となって流れた瞬間、彼女の歌声とともに、力強さが溢れ出し、溜め息がこぼれる。また彼女の魔力にやられてしまったようだ。この魔力は、また当分、解けることはないだろう。
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大塚愛「プラネタリウム」

2005-12-10 01:48:18 | 音楽
大塚愛 「プラネタリウム」

切なくも美しい、失った思いを噛み締める瞬間を切り取った極上のバラード!

暑かった夏がやっと去り、木々も色づくこの季節ほど、感傷的になる季節はないだろう。全てのことに意味があるように思えた瞬間、だったらあの時のことは何に繋がるのだろう、そんな思ったとしても答えの出ないことを意味も無くずっと考えてしまったり…。程度こそ軽いが、遠くを眺めては、涙ぐみ、過去にあったことを嘆く、そんなことが続くのもきっと、頬の傍を撫でる、形のみえない涼しい秋風のせいだろう。
今年も元気一杯の笑顔を振り撒いてくれた「SMILY」、一転してネコの目線から的確に今の社会を一突きした「ネコに風船」と連続リリースした大塚愛から、早くも新曲が到着した。国内最大級、野外サーキットライブ“a-nation”に全て参加し、他のフェスにももちろん参加と絶好調の今、誰よりも慌ただしく彼女の周りが動くように思うが、当の本人は、いたってマイペースに日々を過ごしているのだろう。なぜなら過ぎ去る日々をただ目で追っているだけでは、ここまで日常の瞬間を切り取り、綺麗なフォトフレームに収めるような曲を産み続けるのは不可能なのだから。
 『プラネタリウム』と銘打たれたこの新曲は、昨年リリースされ、ライブでは一言一言を大切にしっとりと歌い上げ新たな一面をみせた『金魚花火』を彷彿とさせる極上のバラードに仕上がっている。美しいピアノの旋律が、どこか不安げに響くのは、いつもと違う彼女の歌声に動揺しているかのよう…。この曲で彼女の歌声は、少しでもバランスを崩してしまえば一瞬にして消え去ってしまうような、脆く、切ない曲なのだ。
 誰かを好きになり、その恋を失った主人公がふと夜空を見上げた瞬間を描いた作品…。そう一言で言ってしまえば終わってしまうのだが、誰もが経験したことがあるだろう、この愛おしく、そして狂おしい瞬間をここまで純粋に、そしてロマンチックに切り取ることに成功している。飾る事無く、格好悪くてもその時に思ったことを忠実に描いているからこそ、聴き手に涙を与えることができるのだ。
「会えなくても記憶をたどって 同じ幸せを見たいんだ」
かすれる歌声は切なさを増長させ、残った少しの記憶に対し、自分を重ねる。会えなくなればなるほど、記憶は薄れていくものだからこそ、思い出した時にはその記憶を大切に味わい、心の底にしまっておきたい…。そんな残された者が、唯一許される行為を彼女はこんなにも色鮮やかに切り取っている。
そして彼女は自分のプライドを捨て、君のそばに行きたいと歌っている。でも決して実行するわけでもなく、小さな体に沸々と沸き起こる衝動を思うだけにとどめ、空に放つ。“切ない”。そんなたった4文字で終わってしまう言葉がもつ苦しさがどんなに辛いか、わかってもらえると思う。でも、そこで彼女は泣くことを選ばない。泣くことで、流れる涙に思いが込められ、分散されてしまうことを拒んでいるのだ。涙になり、自分のなかから記憶が流れ落ちてしまうことを。
 人間は、視覚、聴覚、嗅覚で記憶を守る。この曲の中で広がる花火の音、夏の夜空に広がり、降ってくるかのような花火、そして少しだけ香る終わる夏の香り。
「どんなに 想ったって 君は もういない」
そう綴られ、諦めなくてはいけない辛さを加速させるようなギターの音が胸を締め付ける。この曲を聴いて、胸が苦しくなり、思わず曲から耳を逸らしてしまう人もいるだろう。あまりにも実体験と被りすぎて、リアルだからこそ、痛すぎるのだ。しかし、その痛さはずっと続くものでもなく、ちょっとこらえれば懐かしさに変わり、愛しさに変わる。そして、それだけ思えるほど、人を好きになったことに対して、嬉しくなるはずだろう。
こんな思いをした女の子ほど、強くなり美しく成長を遂げる。彼女がどんどん輝きを増すのも、きっと辛い恋も、素敵な恋も経験してきたからだろう。だからこそ、こんなにも共感を呼ぶ詞を書き、包み込むメロディを作ることができるのだ。前作もそうだったが、彼女の作品を聴けば聞くほど、胸が詰まり、吐く息は溜息に変わる。ただ垂れ流されることを絶対に拒む、聴き手に一粒一粒、確かな思いを落とし、浸透させる。含みを持たすことはせずに、真っ直ぐに伝える言葉たち。だからこそ多くの人に伝わり、広まるのだ。
今回、『金魚花火』のように、ストリングスを効果的に使用したり、壮大な演出は一切施されていない。バンドサウンドを大事にした派手ではないが、だからこそ、言葉はしっかりと心に響き、途中で使用される花火が上がる効果音が曲に広がりを与えている。するりと上がり、一気に弾け空に消えていく花火は、いつまでも美しく、脳裏に生き続ける。同じく、消えてしまった恋も。
 そして2曲目に収録される『drop.』では、正反対のラブラブモード。肩透かしを食らうようだが、“バランス”を大切にしたかのように思えるこの2曲に、彼女に魅力が十二分に詰まっているのだ。「LOVE JAM」に収録されていた、こちらが恥ずかしくなるようなラブラブ全開の二人の朝を描いた「Strawberry Jam」の延長線上にある一曲だ。オブラートに包む事無くはっきりと言葉になる「君の隣は とっても 好きよ」。彼女の変わらない真っ直ぐな愛情表現は、これから先もずっと続くことだろう。
デビューからまだ2年と少し。彼女から生み出された曲は既に30曲近くという物凄い勢いに、追いつくのが精一杯…とさえ感じるが、ここまでハイペースで産み落とされた楽曲たちの一曲一曲全てに、ここまで深い根があり、溜息をつかせる力があることに驚く。息をするように、恋をするように、自然に曲が生まれてくるのだろう。毎日の瞬間は言葉になり、紡がれる。そしてその言葉たちに一喜一憂するリスナーがいる。ここまで定期的にリリースされるのは嬉しいが、そのペースに心配になるのは私だけではないと思う。これからも上質で、リアルな作品を届け続けてくれることをねがい、もう少しペースを落としてもいいんだよ、と、部外者の私が言ってあげたい(笑)。だって、まだまだ、『ネコに風船』の余韻は色濃く残っているのだから。そして、この『プラネタリウム』の余韻もまた長く、身体中、心にずっと残るのだろう。
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矢井田瞳 MTVアンプラグド

2005-12-10 01:46:59 | 音楽
世界に本物のアーティストと認められた証“MTV UNPLUGGED”。日本人としては、宇多田ヒカル、平井堅、CHAGE&ASKAに続く、4組目のアーティストとして世界へ向けて音を鳴らした矢井田瞳の勇姿を全て収録したDVDとアルバムが同時発売! アコースティックギターを片手に、彼女の音楽を理解し、共感したミュージシャンとともに歌い上げた歌たちを身体中で、心ゆくままで聴きこんで欲しい。彼女はこのライブの為にアレンジしなおし、既存の名曲達に新しく息吹をかけ、生まれ変わらせている。アコースティックだからこそ感じる息遣いや、生音の温度、そして浮かび上がる歌声に耳を済ませて欲しい。

アコースティックで音を鳴らすということが、どれだけミュージシャンにとって難しいことであるかは、リスナーの私たちにとっては計り知れないものだろう。なぜなら、一つの音のブレも許されない、そして、飾ることも許されないのだから。普段、私たちが聴いている音楽には、アレンジが施され、まるで音の渦に巻き込まれるかのような感覚にさえおちることもある。しかし、そのような効果は音が重なり合い、降りかかる音たちを浴びてこそ起きるもの。女の子で言うならすっぴんで勝負するようなものなのだ。なんの飾り気もない、素の、ありのままの私をみて! なんて、よほどの自信がないと言えないものだから。過去の出演者にはエアロスミス、マライア・キャリー、エリック・クラプトン、などが出演し、数々のエピソードを生み出している。だからこそ、この“MTV UNPLUGGED”の出演に選ばれるというのは、一流の証といわれるほど、誇り高き勲章なのだ。
そして05年の4月、この収録が行われた。バイオリン、ピアノ、パーカッション、そしてアコースティックギターだけで行われるライブに、だれよりも彼女が一番緊張していたのだろう。しかし、彼女が一曲目「キャンドル」を歌い始めた時、一気に会場はオリエンタルで、柔らかな空気に包まれた。そして椅子に腰掛けながらも表情豊かに歌い、 “歌を届けよう”という気持ちが会場に浸透し、リスナーの全てを笑顔に変えた瞬間だった。アコースティックならではのピアノの軽快さ、バイオリンの感情豊かな音色が響き、歌声は何にも邪魔されることなく伸び伸びと広がり、所々で聴こえる息遣いが気持ちよく心に沁みる。
ギターを置き、両手が空いた「Life ‘s like a love song」では、まるでなにかを懇願するように必死に前に手を差し伸べる姿には鳥肌がたち、涙さえ誘う。その訴えかけるような歌声、表情は一度見れば、脳裏に焼きつき、離れることはないだろう。なによりも一番楽しそうに、そして一番世界に入り込み曲の中で喜怒哀楽を見せてくれる彼女のライブは、見ている私たちに、元気と、勇気を与えてくれることだろう。
そしてこのライブならではの企画として、「津軽海峡・冬景色」のカバーを披露している。本人も「歌っていて楽しさがこみ上げてきた」と語るこの曲は、見事にJAZZ風にアレンジされ、ど演歌な曲もスタイリッシュにカバーしているのだ。しかし、演歌というのは、心情を深いところまで表現したもの。彼女の曲にも通じるものはあり、違和感がないのはこんなところかもしれない。
こうして世界に発信された日本の歌姫、矢井田瞳のアコースティックライブがDVDとCDで同時発売される。全14曲が収録されたDVDにはメイキング映像も収録され、アルバムには8曲と、4曲DVDで収録されている。どちらを買おうか迷うところだが、はっきり言って両方買うことをオススメする。なぜなら、この空気を味わうのはDVDで、そしてその感動を持ち歩くのはCDでしか出来ないのだから。そしてこのライブで感動した人たちには、12月に行われるライブに足を運び、直接この感動を味わって欲しい。

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ゆず「HOME」「GOING」

2005-12-10 01:43:09 | 音楽
ゆず「Going」「Home」ベストアルバム2枚同時発売!
結成から8年。全てが詰まった2枚が到着!

私とゆずの出会いは友達から借りた1本のビデオだった。その中に映っていたのは華奢な2人組が笑顔、笑顔で歌う姿。伊勢崎町で歌うストリートミュージシャンの姿だった。取り乱す友達の歌声であまり歌はしっかり聞こえないが(笑)、その場の熱気は十分すぎるほど伝わってきたのを覚えている。彼らは本気だった。
毎週日曜に横浜伊勢崎町の松坂屋の前に立ち、その世界は既に出来上がっている。とはいえ、身内なノリは少なく、いつでも多くの人に届けよう、そんな雰囲気が溢れる映像だった。当時は小室サウンド全盛期で、ダンスミュージックが氾濫していることもあり、歌ものがあまり受け入れられていなかった。この時、ゆずは「聴かせる音楽」を中高生に提示し、見事受け入れられることに成功したのである。その理由とはなにか。それは、ただありのままを歌ったからだろう。背伸びすることなく、解らない言葉を並べるでもない。英語も殆ど使うことなく、ただストレートに、話しかけるように伝える。思ったことを正直に言葉にし、「やりたいことが すぐに見つからないとしても/疲れたら休めばいいさ」(ゆずマン収録「いこう」)。10代の頃に誰もが感じる、将来に対しての不安や、焦燥感。まるで親友に相談しているかのような安堵感、そして共感。「もうどうにでもなれと/一度開き直ってみたら/やけに小さい自分に気がついた」(ゆずマン収録「なにもない」)。まるで自分の事のような彼らの紡ぎだす詞に、決して新しくはない、でも日本人の心をぐっと掴んで放さないメロディラインに乗せて歌う。フォークをベースにした、ポップス。アコースティックギターとハーモニカと歌声。その一番シンプルな音の中で彼らは、何も情報のない「路上」で多くの人の心を掴んだのだ。
そしてデビューのチャンスを掴み、深夜ドラマ「美少女H」では「ところで」(ゆずマン収録)がエンディングテーマに起用され、学園ドラマのなかに青さと、甘酸っぱい空気を上手く色づけ、メジャーフィールドに足を踏み入れたのである。路上ではおなじみの曲たちを収録した「ゆずの素」は擦れていない音楽性とメッセージは真っ直ぐにリスナーに伝わり、じわじわとセールスに繋がる。そしてゆずを語るには外すことのできない寺岡呼人との出会いにより、4ヶ月という短いスパンでセカンドミニアルバム「ゆずマン」をリリース、彼のプロデュースによりメジャーの息吹がかかり、ゆず二人の良さ、スケール感はさらに引き出された。そしてブレイクへと導いた名曲、真夏の青い空と、爽やかに駆け抜ける風が曲中に吹く「夏色」がリリースされたのだ。その後リリースされた「ゆず一家」でオリコン最高位6位、売上枚数87万枚というビックセールスを叩き出し、一躍トップアーティストの仲間入りを果たした。この頃、彼らは自分たちの限界がどこかわからず、戸惑いながらも一生懸命歌を産み出している。でも決して大言壮語を吐くことなく、地に足をつけ、歌っている。そこが彼らなのだろう。「リアル」。フォークの世界をなぞりながらも、今を重ねる。このアルバムに収録されている「心の音」は名曲だ。どこか冷めながらも会いたい人を思い、切なさにつぶされそうになる瞬間をとても美しく、綺麗に歌う。どこまでも広がる壮大なメロディは狭くなる心と反比例しているかのようだ。蛇足だが、そしてその次に収録される「雨と泪」では「そんなに泣かなくていいんだ」と励ます一曲が。前者は岩沢の曲で後者は北川の曲だ。まるで二人の掛け合いがされているようにも感じて、微笑ましい。
そしてその第一期集大成が180万枚というビックセールスを打ち出した「ゆずえん」だろう。その間にゆずは6枚のシングルを全てオリコン上位にランクインさせ、彼らを創り上げた路上ライブはパニックをよび、やむなく終了を余儀なくされた。この頃リリースされた曲たちは、「サヨナラバス」や「いつか」など彼らの優しさが滲み出るような作品が多い。良質なメロディと、一途で暖かい詞。このアルバムで彼らは初のオリコンアルバムチャート1位を獲得した。その後、スタジアムツアーやアリーナツアーなど多くの人の心を掴み、トップアーティストとして揺ぎ無い地位を獲得した。
そして彼らは過渡期を迎える。トップへ登り詰めた彼らが3rdアルバム「トビラ」で、進化を遂げた。もともとフォークをベースにし、親しみやすいメロディとメッセージでリスナーを惹き付けていた彼らが、このアルバムで「ロック」を取り入れたのだ。そこでデビュー当時からのファンは戸惑い、セールスも少しだが落ち込んだ。だがしかし、彼らは音楽を生み続けるアーティストとして、自分たちを信じ、安定を選ばなかった。その結果、「何処」(トビラ収録)のような、新境地を開拓することに成功し、彼らの音楽に対する世界観は広がり、彼らの可能性もまた更に広がることとなった。その中にも「嗚呼、青春の日々」や「飛べない鳥」のような、今までのゆずサウンドがさらに進化し、奥深くなった心を揺さぶるような曲も一緒に収録されている。このアルバムはロックを探求した北川と、フォークをベースとしたポップスを極め始めた岩沢の2つの才能が絶妙なバランスで同居することに成功した名盤が産まれたのだ。そして、その後東京ドームにて2人だけ2万5千人の前で行った歴史的ライブを行い、その模様を全て収録したDVDをなんと2週間後という短いスパンで発売した。
そして色々試行錯誤の結果、この時期位から今のゆずサウンドが確立されたのだろう。前作トビラから1年4ヶ月という長い期間でじっくりと創られた「ユズモア」で、彼らの音は何の迷いもなく、洗練され、さらに突き抜けた。この頃からアートアーティスト村上隆とコラボレーションをし始め、いまやゆずのシンボルマークである彼の絵が彼らの音楽に色を添えている。5thアルバム「スミレ」では4週連続発売というシングル史上に残る4部作を収録し、6thアルバムではアレンジャーに松任谷正隆を迎え、更に深さを感じるようになった「栄光の橋」や「桜木町」などを収録した「1~One~」を産み出し、今も失速することなく走り続けている。
路上で半径5mの近さで音楽を伝えようと必死で歌っていた彼らは今や全国で誰もが知っているアーティストに成長を遂げた。そして今。2枚のベストアルバムが完成した。全てのシングルが網羅されているわけではないが、彼らの歴史をしっかりと噛み締めることが出来るだろう。そしてその中には、作曲が北川、作詞は二人による共作の新曲「GOING HOME」を収録。こちらもアレンジは松任谷氏が行い、シンプルだが心に強く残る素敵な1曲だ。そして7月にはゆず史上最高のキャパとなる日産スタジアム(旧 横浜国際競技場)でのライブが行われる。このライブではきっとデビュー当時の楽曲も聴けることだろう。
これからも彼らは、すぐ近くで起こりうる“リアル”や、人間が持つ“やさしさ”や“希望”を歌にし、届けてくれることだろう。そんな彼らの音楽をさらに深く、強く聴くために、彼らの今までの音楽をじっくりと聴きこんで欲しい。

全曲紹介
Home[1997~2000]
1. 地下街
彼らの原点といってもいいであろうこの曲。シンプルだが、真っ直ぐに心に届く。最後に聞こえる拍手も路上を彷彿とさせ懐かしい。ハーモニカとギターが可愛らしく弾け、真っ直ぐに好きな人を思う1曲だ。
2. なにもない
哀愁漂う、フォーク色が色濃く出たバラード。二人のサビのコーラスが、切なく、胸をぎゅっと掴み離さない。10代の頃、なにもわからずただ焦ってはどうにもならなかったあの焦燥感を思い出せてくれる。純粋に良い曲だ。
3. 夏色
彼らをスターダムに押し上げた1曲。とびっきりに明るい笑顔を届けてくれる。格好つけることなく、両手を広げ、無敵にさえみえる世界観が愛らしい。
4. 少年
元気一杯に「いくら背伸びをしてみても 相変わらず地球はじっくり回ってる」なんて開き直る彼らは、強い。この曲に元気付けられた人も多いだろう。そうだ、マイペースに毎日を過ごすことが大切なんだ。何より、元気に過ごすことが1番大切なのです。
5. 雨と泪
北川の訴えるような声から始まるこの曲は、落ち込んでいる背中をぽんと押してくれる優しい曲だ。誰もが失敗はするし、泪も流す。でも、その泪が自分を形成することを忘れないで、そういう彼らと美しいハーモニカが心を落ち着かせてくれる。
6. 月曜日の週末
タンバリンとギターが、メッセージを落としながら駆け抜ける。岩沢の伸びやかな声と、疾走感溢れるメロディが聞いていて気持ちいい。
7. からっぽ
好きな人が離れてしまったとき、からっぽになってしまう心。ゆったりと流れるメロディと泣きそうな歌声と、後悔さえも感じさせる含みのある声がまた悲しく響く。ストリングスとギター、ハーモニカと、そしてその声が絡む名曲だ。
8. いつか
ピアノが響き渡るバラード。冬の季節感と、大切な人が傍にいない空虚感。何年経とうともその人を思う真っ直ぐな心が沁みる。何処にも行き所のない優しさが切なくも、悲しい。美しいメロディに曲中が包まれた1曲だ。
9. 始まりの場所
「あいのり」の主題歌となったこの曲は、キャッチーなメロディがこの先続くいろいろなことに対して希望を感じさせる。いまだにこの曲をきくと「あいのり」名盤面集が頭に浮かぶのは私だけではないだろう。
10. サヨナラバス
映画のような詞世界が涙を誘う、別れの瞬間を切り取った1曲だ。すれ違い、気がついた頃にはもうお互いの心は離れてしまう。どうしてもっと前に気付かなかったのだろう、「やっぱり君がすきなんだ」そう思えど口には出来ない主人公の心に胸が熱くなる。
11.センチメンタル
タイトル通り、「センチメンタル」な一曲だ。微笑ましいような、どこか気恥ずかしいような、でもとても大切な二人の季節を軽やかに歌い上げている。
12.呼吸
ゆず流GSか?!とおもわせるような前奏に、歌いだしをきいて脱力してしまう。ゆるく流れる、ちょっとだけ考えるのを止めて、「朝まで笑っていようよ」というメッセージに、せかせかしている自分に思わず吹き出してしまった。そうそう、休憩も大事です。
13.心のままに
心の中に溜め込んだ激情を吐き出した、力強いメッセージが心を刺す。この先の彼らの進化を予感させる。
14.飛べない鳥
ドラマ主題歌となったこの曲。優しいメロディと、何が起こるかわからない世界をしっかりと歩いていこうというメッセージが込められている。
15.嗚呼、青春の日々
本宮ひろ志氏によるジャケットが話題になった。大人になるにつれ、変わって行く青春時代を共にした友達や、環境。でもそれに焦ることなく、自分をしっかりと持ち、ゆっくり大人になっていこうというメッセージが詰まった力強い曲だ。


Going[2001~2005]
1. 栄光の架橋
アテネオリンピックのNHK公式テーマソングとして、感動と一緒に流れていたのが印象的だろう。オリンピックの選手たちとリンクした歌詞が壮大なバラードによって更に心の奥深くまで届く1曲となっている。
2. アゲイン2
初期を思い出させるメロディーにストリングスが加わり、疾走感だけでなく、ドラマティックな仕上がりになっている。
3. 3カウント
バンドサウンドのこの曲は、どこか喪失感を感じる。でもどこか、“何か”を探し続けている。自分にしか解らない、何か満足できるもの。でもそれは一生見つからないのかもしれない。
4. スミレ
この曲の作詞はふたりによる共作となっている。キーボードが気持ちよく響き、どんな不安も脱ぎ捨てて、少しの光を信じ、前へ進み続けようというメッセージが心に届く。
5. 桜木町
ピアノのイントロが美しい、柔らかく流れる優しい曲だ。別れてしまった、愛する人を思い出しては、立ち直ろうとする姿が健気で心を打つ。街は変わり続けても、目を閉じれば思い出す止まったままの時間…。桜木町の街が切なく映る。
6. ユーモラス
ピアニカで始まる可愛らしい、少しカントリーの要素を取り込んだ1曲。さらりと強いメッセージを含んだ一曲。聴き終えて、溜息が出るのは言葉が心に沁みているから。
7.シュミのハバ
聴きながら、気付くと何度も頷くエピソードがたっぷり詰まっている。あまのじゃくな自分を歌われているようで、すこし恥ずかしい。でもそれだけ共感を呼ぶ曲だろう。
8.3番線
ハーモニカのイントロが印象的な、肩の力を抜きながら聴くことができる1曲だ。
9.青
ブルーハーツを彷彿とさせる、ゆず流青春ロック。熱く、アコースティックギターを掻き鳴らしたかのようなサウンドが心を揺する。「あなたの温もりを/僕は忘れはしない」と叫ぶ2人の声が切なく響く。
10.歩行者優先
CMソングとなった、美しいメロディがいつまでも残る1曲。すぐそこにある幸せを大切にしなくちゃ、と思わせてくれる。
11.夢の地図
Jackson Fiveを彷彿とさせるイントロと全体に広がる楽しい雰囲気が笑顔を産む。
12.呼吸
たった一つの願いなのに、ただ一緒にいたいと思うだけなのに叶わない現実。夢と現実を行き交う間に生まれた相手との溝。伸びやかな声が悲しくギターに沈むバラード。
13.またあえる日まで
ゆずサウンド前回の、アドベンチャーキャンプたちの子供たちと北川が一緒に作詞した純粋な心が微笑ましい1曲だ。
14.1
たった一つの命、どう過ごそうかは自分次第。でもかけがえのない命だということを決して忘れないで、希望を持って、前に進もう。そんな彼らの願いが聞こえてくる。
11. GOING HOME
松任谷正隆をアレンジャーとして迎えた新曲を収録。ゆずサウンドにストリングスやコーラスを加え、更に壮大に仕上がっている。まだまだ、彼らの可能性を伺える新曲だ。
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