経済を良くするって、どうすれば

経済政策と社会保障を考えるコラム


 *人は死せるがゆえに不合理、これを癒すは連帯の志

4/17の日経

2024年04月17日 | 今日の日経
 2月の機械受注は、非製造業がようやく上向き、製造業は底入れという形になった。設備投資意欲が高く、物価も上がっているのに、機械受注は低迷していたが、転機になるかどうか。製造業は、情報通信が跳ねて、自動車は水準が低いままだし、汎用も低調だ。非製造業は、通信業が上り坂、建設業に上向きの兆しだが、実質では内需が伸びない中であり、今日の輸出の動向次第のところもある。

(図)



(今日までの日経)
 年金改革へ5案検証 企業の拠出増課題。隙間時間に仕事 1500万人。日銀国債購入、波乱に 警戒需給逼迫、政策修正の思惑。

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GDP家計10-12月期・問題を認識していないのが真の問題

2024年04月14日 | 経済
 輸入物価が上がった、売上げが上がった、賃金が上がった、しかし、消費は上がらない。循環の最後が切れている。4/10公表の10-12月期GDP家計四半期速報を見れば、可処分所得が抑圧されていることが理由だと分かる。可処分所得が増えないのは、財政が吸い上げているからであり、経済運営が拙いということなのだが、そうした認識がなく、何をやったら良いのか分からないのが真の問題という始末である。

………
 2023年の4四半期の伸び率の平均を見ると、名目の雇用者報酬は+0.3%と伸びている、しかし、可処分所得は-0.2%である。理由は、税や負担が増え、給付が減ったからである。おカネがなければ使えないから、家計消費は、この3四半期、横ばい状態にある。消費が増えないと、次の売上げは増えず、設備投資も鈍り、好循環は断ち切られる。好循環を推し進めるとする政府が自ら堰き止めているのだから世話はない。

 確かに、コロナ禍に対応してきた財政出動が縮小するのは当然だ。しかし、税と保険料で賃金の半分を召し上げる構造が出来上がってしまった以上、再分配にも注意を払わないと、やり過ぎで成長を阻害することになる。ものには限度があり、財政再建が進んで良かった、赤字縮小は経済にも良いはずとナイーブにと喜んでいるようでは、とても経済成長なんて確保できない。

 問題は、所得を吸い上げても消費は増えるとか、消費が増えなくても投資は増やせるとか、財政再建と産業政策に都合の良い現実離れした理屈に囚われてしまっているところにある。今国会では、子育て支援の負担金が議論されていて、趣旨は立派だし、額も大きくないが、怨みがましいのは、庶民には、可処分所得が増えない中で、もっと吸い上げようということへの言葉にしがたい苦汁の感覚があるように思う。

(図)


………
 1-3月期になって、やや消費が上向いているのは、低所得者向けの給付が始まったことがあると思うし、4-6月期に減税がなされれば、一時的に可処分所得の抑圧が緩み、多少は雰囲気も変わるだろう。今回の減税では、税が軽く保険料が重い構造のために、実務が煩雑を極めた。再分配の制度インフラのなさが再三問題になっているのに、問題とも思われていない。今度の年金改正での適用拡大は吸い上げ強化になるが、再分配とセットでないと拙いと思うのだが、問題意識すら存在しない。


(今日までの日経)
 高齢者の「働き損」解消策、年金減額の緩和議論。基礎年金の納付、45年に延長試算 厚労省、年末までに改革案。

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4/10の日経

2024年04月10日 | 基本内容
 3月の消費者態度指数は前月比+0.5と伸びて、コロナ後では最も高くなり、1-3月期は前期比+2.3となって、順調な景気の回復ぶりを示している。3月の景気ウォッチャーが前月比-1.5と予想外に良くなく、心配していたが、大丈夫なようだ。あとは、賃上げの4月に突入である。岩盤だった家賃も動き出し、デフレから脱却して、生産性格差インフレーションが見られる普通の経済になりつつある。

(図)



(今日までの日経)
 物価高、家賃も動かす 指数25年ぶりに上昇。子育て支援金、共働き・高所得層に負担。半導体素材、国内に集積。中途採用5割迫る、24年度「新卒中心」転換点。初任給、6割の企業増額 今春4.2%増、伸び率最高。

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決着のついた経済運営と次のアジェンダ

2024年04月07日 | 経済
 2月のCTIマクロは、名目が前月比+0.5と上向き、4か月ぶりのプラスとなり、水準を更新した。消費者態度が水準を更新したタイミングでの到達で、自動車の供給制約の中でのことだから、上出来だと思う。家計調査では、勤労者世帯の1,2月の名目実収入が前期比+2.2と高まっており、これが背景だろう。可処分所得の抑制によって停滞していた景気が加速してくれればと思う。

………
 日本経済は、デフレ脱却を果たしたが、始まりは、円安・資源高による物価高からだった。普通なら、消費増税のときのように、消費がへたってしまうが、コロナ禍による消費と所得のギャップを埋める過程だったことで、実質を維持し、名目を増やす形となった。これは、かなり意外なできごとで、売上げが伸びたことで、大幅な賃上げにつながり、日銀は、物価が見通せるということで、金融政策の正常化に至る。

 リーマンショック後の米国では、早々と財政出動を打ち切ったことで、回復が遅れ、長期停滞論が言われ、日本化が心配されたが、コロナ後は、財政出動を続けたことが急速な回復につながり、むしろ、行き過ぎてインフレになってしまった。慌てて金融引締めに走ったものの、金融政策では調整できないことが露呈してしまい。供給制約が緩むに従い、インフレが収まっていき、いまや、上げた金利をどう下すかになっている。  

 日本は、コロナ禍のギャップが埋まると、負担増で可処分所得を抑える悪い癖が出て、停滞させてしまったが、ここに来て、所得の高まりで、消費が上向く気配だ。4-6月期は、1-3月期の低所得層向けの給付に続き、所得減税もある。一時的な給付は、消費への効果は限られるにせよ、自然体で緊縮をしてしまうよりは良い。ことによれば、ここで景気がギアアップしてくれるかもしれない。

(図)


………
 この15年ほどの経済運営の経験は、金融政策が為替と住宅にしか効かず、景気の加速にも減速にも役には立たない一方、財政をタイミング良く使う重要性を明らかにした。4-6月期に良い結果が出れば、経済運営の課題は、補正で景気対策を続けるのか、来年は減税をやめるのかになる。やれやれとばかりに一気に切ってしまえば、元の木阿弥だ。大規模な財政出動が続いた後は、1997年のように怨みの反動で余計に緊縮をやりがちだ。

 愚者は経験に学ばなければならないけれども、再分配をするには、「若い世代への投資」といった政治によるアジェンダの設定がいる。安倍政権では、新三本の矢だの、一億総活躍だのと、取って付けた感はあれど、成長から分配へ結びつける努力をしていた。今の岸田政権は、政治とカネの問題に追われ、それどころではない。巡り合わせとは言え、デフレ脱却を果たしたのだし、岸から池田ではないが、政治から経済へ雰囲気を変えるアジェンダがいる。


(今日までの日経)
 働き手「予備軍」、20年前から半減。半導体市況「谷底」脱す。米雇用、3月30万人増 予想上回る。超円安、投機筋が増幅 「理論値」142円。

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4/3の日経

2024年04月03日 | 今日の日経
 2月の国の税収は、前年同月比+2.0%だったが、累計は-4.2%にとどまる。主要3税はともに低調だが、法人税の-16.4%が大きな要因だ。確かに、2022年度は前年比+9.5%と、企業業績の経常利益+4.9%からは出来過ぎの感があったが、2023年度の企業業績見通しは+12.6%になっており、円安で年度末に駆込んだことからすると、最終的には大きく積み増す可能性もある。税収は、政府予算の69.9兆円を上回るのは確実にせよ、どこまで伸びるかは予想が難しくなっている。

(図)



(今日までの日経)
 中小製造業、4%賃上げ。設備投資、景気けん引役に 日銀3月短観。75歳以上保険料、伸び最高。運送・建設、残業規制始まる 日建連「土日は、やすもう」。2050年に2割減る新入社員。

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