経済を良くするって、どうすれば

経済政策と社会保障を考えるコラム


 *人は死せるがゆえに不合理、これを癒すは連帯の志

3/27の日経

2024年03月27日 | 今日の日経
 1月の人口動態速報の出生は前年同月比-4.6%と大幅な減少が続いている。この調子だと、2024年の合計特殊出生率は1.16人まで落ちる。1世代で人口が55%、2世代で31%になってしまう計算だが、なんか、底も見えてないのに、少子化に慣れてしまって、逆に危機感が薄れてきているように思える。宇南山先生が言うような再分配が必要としても、その機運がまったくないんだよね。子育て支援は、しょせん、勝ち組への再分配だし、みたいな。ここまで落ちると、子供をあきらめた生き方が多数派になるけれど、でも、それって「誰かが選んだステージ」じゃないのかな。

(図)



(今日までの日経)
 公示地価も脱デフレの波。株主還元、最高の25兆円。個人消費、低迷脱却の条件 現役世代重視した再分配を・宇南山卓。

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緊縮速報・消費における理論なき測定

2024年03月24日 | 経済(主なもの)
 10-12月期の資金循環統計が公表になり、一般政府の資金過不足は、4四半期移動合計のGDP比で見て-2.8%となり、1.1%の改善となった。コロナ禍前の約-2.0%の水準まであと一歩まで緊縮が進んでいる。10-12月期における財政資金対民間収支では、税収は前年同期比で0.4兆円の減だったものの、社会保障費が2.1兆円減っている。1-3月期の状況は、一般会計の収支尻の前年同期比が4.8兆円あり、更に改善するだろう。

 3/22の経済教室では、祝迫先生の消費動向の分析があったが、経済学者らしい持って行き方だったと思う。筆者は、理論なき測定屋なので、2/4のコラムに記したように、消費の停滞は、可処分所得の停滞であり、負担増が雇用者報酬の増加を減殺した結果にしか見えないが、緊縮財政は消費を委縮させないという理論があると、問題の所在は、財政ではなく、持続的な賃上げと、その前提となる企業の生産性向上になるようだ。

 こういう見方は、アベノミクスへの評価でもありがちで、低成長は、消費の停滞が理由とされつつも、可処分所得の停滞まで行き着かず、まして、緊縮財政が問題視されることもない。むしろ、円安と輸出で、設備投資は伸びたにもかかわらず、成長戦略が十分ではなかったとされる。負担増を程々にしておけば、もう少し成長していただろうといった、ストレート過ぎる分析は、お呼びではない。

(図)


………
 3/22に公表された2023年度の社会意識に関する世論調査では、「経済的なゆとりと見通しが持てない」、「子育てがしにくい」とする回答が上昇している。消費増税の際も似た傾向があり、物価高が影響したと考えられる。とりわけ、20代や30代の若者が高いのは、憂慮すべきところで、調査方法が違うので単純な比較はできないが、コロナ前より、かなり高くなっており、結婚や出生の低下に結びついていると思われる。

 今年の賃上げは高く、初任給は更に上を行くだろう。デフレ下の若者の苦境は、改善されそうである。他方、物価と賃金が上がれば、税や保険料も増える。負担率は5割になっているのだから、増え方も大きい。消費を増やしたければ、再分配は有効だし、出生を増やすのでも、再分配は必要だろう。むろん、可処分所得の増加は、消費にも出生にも関係ないという理論があるのなら、そんな発想にはならないわけであるが。

(図)



(今日までの日経)
 消える昼の買い、4年連続「円安」に 企業利益が海外滞留。「経済ゆとりなし」最多63% 内閣府、社会への不満調査。輸出額最高、8.2兆円 自動車けん引。個人消費 低迷脱却の条件・祝迫得夫。非正規社員も待遇改善 イオン系40社。利上げ「10月」「7月」観測浮上。

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10-12月期GDP2次・単位労働コストの推移

2024年03月20日 | 経済
 マイナス金利も解除になり、金融政策は転機を迎えた。背景のデフレ脱却の状況を単位労働コストで見てみると、10-12月期は前期比+0.1で2期連続の上昇となっている。1月の毎月勤労統計は雇用も給与も伸びており、1-3月期のGDPはマイナスが予想されているので、1-3月期の単位労働コストは更に上昇することになるだろう。振り返れば、2013年を底に、徐々に上げ、コロナ禍を経て、ここまで来た。

(図)



(今日までの日経)
 日銀、マイナス金利解除。国債購入を月6兆円維持。「解除」でも150円台に下落。政府、脱デフレ宣言及び腰。家計の税・社会保険料負担率、最大28% 若年層に偏り。日本の最低賃金、世界に見劣り 正社員の45%どまり。基礎年金の水準低下防げ・駒村康平。

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初任給と結婚の貧困

2024年03月17日 | 経済
 今年の賃上げは、連合の1次集計で5.28%と、1991年以来の高さになりそうだ。これを受けて日銀は週上げに利上げに踏み切る運びで、名実ともにデフレ脱却の画期と言える。また、人手不足を反映し、初任給を大きく引き上げる例も多い。裏返せば、デフレ期には、若者の苦境が続いてきたということである。足下の結婚や出産は低調だが、こちらにも変化は訪れるのであろうか。

 大学卒男性の初任給の推移を、消費者物価指数の総合で割って実質化したもので見ると、わずかながら増えているが、さらに社会保険料を抜いたものを試算すると、横ばいというか、アベノミクスの頃は減っている状態だ。これでは、結婚や出産が難しくなるのも無理はない。社会保険料にも責任の一端はある。なお、2020年の増加は、通勤手当を含むように集計方法が変わっただけで、その後も減り気味である。

 合計特殊出生率は、2015年の1.45人をピークに下がり始め、2019年以降、大きく低下して、2023年は1.21人程になっている。コロナ禍という特殊な事情があったにせよ、未だに低下が続いており、「結婚は贅沢品」という意識が拡がっていて、恐るべき状況だ。「若者の〇〇離れ」というのが言われて久しいが、いよいよ結婚離れとなると、事態は深刻である。そうしないためには、まずは、賃上げということになる。

 加えて、再分配の観点も必要だ。2010年以降、大学で奨学金を受給する割合は5割程になっており、今の若者は、就職した後、借金を返済することが普通になっている。実質的な初任給は増えず、返済で生活は苦しく、結婚のハードルになる。大学の授業料を高くし、教育で再分配をしなかったことの咎めが表れている。政策的な負債をどう始末するか、まじめに考えなければならないだろう。

(図) 



(今日までの日経)
 日銀、マイナス金利解除へ 17年ぶり利上げ。国債買い入れ継続。保育所、「落選狙い」は制度悪用か 少子化対策ちぐはぐ。大手賃上げ、5%超相次ぐ。賃金、頭打ちの30年に転機。

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3/13の日経

2024年03月13日 | 今日の日経
 10-12月期GDPの2次速報は、法人企業統計の設備投資増の結果を受けて、わずかなマイナスからわずかなプラスへと改定された。プラスだと、多少、気分は違うにせよ、中身は、前期に落ちた「その他の機械設備等」が戻っただけなんだよね。輸出も、サービスが一時的要因で伸びただけだし、立派な「不況」の状態で、1-3月期はマイナス成長の見通しだ。もっとも、名目で見ると、「その他の機械設備等」は過去最高で、企業からすれば、積極的に設備投資をしている気分だと思う。

(図)



(今日までの日経)
 投機の円売り、巻き戻し 円高圧力、146円台で3日連続推移。設備投資増でプラス成長 新工場計画が追い風。出生率0.72 韓国の警鐘。Z世代の「育て方改革」。
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