CLASS3103 三十三組

しがない個人ホームページ管理人の日記です。

【読書】戦国武将伝 西日本編

2024-04-24 20:55:02 | 読書感想文とか読み物レビウー
戦国武将伝 西日本編  作:今村翔吾

タイトル通り、戦国時代の武将にスポットライトをあてて
西日本各地の名将のエピソードをうまくアレンジした短編集
直木賞とった塞王の楯もそうだったけど、こういう漫画っぽいのが実にうまいなと
情景が絵で浮かぶような物語で、大変よかったのでありました

佐吉の三杯の茶であったり、毛利の3本の矢であったり、
戸次道雪の足の話だったりと、今に伝わる講談的エピソードだけど、
こういう可能性もあったかも、いや、流石に劇的すぎるだろう
なんて思いつつ読むわけだが、どれもなかなかどうして、
とてもよい感じで収まるので読んでいてとても楽しいのでありました
若いうちに読んで、全部覚えておきたい感じの、いい小話に仕上がっているといえばよいか

武将の個性もあるけど、短い話だけに、物語にムダがなくて
どういう心情のどういう物語という部分が、ストレートで分かりやすく、
外連味もあるから、読んでいてなるほどなと、さらっと気持ちよく読み流せる感じが
次々読まされてしまって、大変よかったのでありました
会話劇のようでもあるけど、不思議と情景が浮かぶ感じなのが
この展開によるものなのか、かっこよいという形に仕上がっていて
事の是非というか、真実はどうであろうと
かこよさそうだから、この案でいいなと思わせるところがすごくよかった

西日本編なので当然、九州とかが出てくるわけだけど、
尼子あたりから毛利にかけてのややこしいところが多く出てきて
大変興味深いというか、あのあたりって、やっぱり面白いんだなと
知らない部分だけど非常に楽しめたのでありました
主役扱いでなかったせいか、鹿之助の扱いが若干酷いと思ったけど
まぁ、さもありなんというところでもあった

勧善懲悪ではないけど、割と善が報われるといった性向が見えるので
読んでいて気持ちよいのが素晴らしく、謀略とかも描かれるが、
そこに悪辣さというのがあまり見えないのが、心に優しい物語だなと
戦国物ながら、鷹揚にかまえて読めるのが大変よかったとメモっておく次第

【アニメ】キングダム 第5シーズン

2024-04-23 20:59:28 | ドラマ映画テレビ感想
もう第5シーズンになるまでやってんのか、
そう思いつつも結局見てしまったのである
個人的に、合従軍で終わっておけばよかったんじゃないの?とか
無責任なことを思ってしまっていたわけだけど、
見終わってみれば、よかった、
なんなら原作よりすごくわかりやすくてよかったと
手放しで喜ぶ出来栄えだったと思うのでありました

正直な感想として、原作のこのあたりは
さして面白いと思わず、さらーっと読み流していたので
あんまり思い入れがなく、アニメ化してもどうかなーとか思ってしまってたんだが
アニメで見るとその印象が全然違って、
そうか、カンキ軍ってこんなにみんなキャラ立ってたのかと、
その部下たちそれぞれの、さして見所があるわけでもないのに
はっきりと役割分担されている姿が見てとれて、とても面白かったのでありました
むしろ、なんで漫画の時、これに気づかなかったんだろうか

基本的にヤンキー漫画の延長線上にあると思っていたのは
アニメでより濃厚になったと思うところながら、
カンキ軍という、新しい暴走族チームの統率と、その大将の凄さというのが
遺憾なく発揮されていて、非常に見ごたえあって面白かった
なんだかんだ、飛信隊との対比もよくできていて、
最後に、ナキが鞍替えするというあたりもまた、ドラマチックでよかったというか
面白い漫画だなと、手放しで喜べる内容だったわけだけども
毎週面白く見せてもらったのでありました

黒桜と雷土のキャラ付けがだいぶ印象的で、
はたしてアニメシリーズがどこまで予定されているかしらんが、
カンキ軍敗れるまでやるとするなら、いい見せ方だったと思ったりしたのでありました
まぁ、でも、ここでこうやって見せたのと同じことを
再度後々にやってるともいえるから、どうかなと思ってしまうが
ともあれ楽しかったのでよいとするのである

しかし、改めて、この時の戦果の凄まじさは、
アニメでわかりやすく説明されて度肝を抜かれるほどで、
これが大将軍級の仕事といわれると、これまでのキングダム世界のどれとも違うが、
非常に大きな功績をあげているというのが
これでもかとわかりやすく見せられて、非常に楽しかったと思うばかりでありました

改めて思うんだが、原センセは、このあたりくらいから、カンキを主役にしていたんだなと
思ったりしてしまうのである
しかし、テンもキョウカイも美人になりすぎだなと、そこだけどうかと思ってしまう

【読書】異国の味

2024-04-22 20:51:03 | 読書感想文とか読み物レビウー
異国の味  著:稲田俊輔

日本外食史や、洋食の歩みといった感じの内容で
大変面白かった
読みやすいエッセーで、中華料理や、フランス料理といった
いわゆる料理ジャンルでわかりやすくくくられているので、
なるほどなと思いつつ、蘊蓄やお勉強的な内容になりすぎずに
それでいて、教養っぽさがあるという
非常に面白い読み物で、もうちょっと読んでみたいと思わされた

著者自身が無類の外国現地料理好きの様子で、
だからこその着眼点から、日本における洋食に代表される
多国籍な料理、そのジャンルのローカライズに関して鋭い指摘が入っていて
非常に面白い、特に自身も外食の仕事をしているからか、
シビアな経営目線というか、結局売れないとなぁという仕方なしが
物凄くよくわかって書いているところが、忸怩たるものが滲んでいるものの
だからこその日本における外国料理を志す難しさみたいなのが
伝わってきてよかったのだった

イタリア料理やスペイン料理といったものは、
確かになんとなしイメージできるけど、ドイツ料理というのは
おおよそピンとこないもので、それがまた、えらい美味しいらしいという
このレポートめいた内容だけでおなかすいてしまいそうだったんだが
現地の味を忠実に再現しているものの面白さというか
美味しさ、だからこそのニッチというのの難しさが
食べてみたいけど、商業ベースに乗せようとすると
結局東京みたいに人が多いところしか無理なんだろうなという現実も見えたりして
興味深いのでありました

オチというか、この本のトリにふさわしい料理として
「東京」が挙げられているところがよろしく、
東京ローカルの美味しさというものが、日本人ですら知らない
結局外国料理もあれこれあるが、地方それぞれの味というものがあって
それが東京にも存在している、そして、住んでいる人は
それが普通だと思っているから、もどかしいめいた話が
マニアの眼の付け所だよなと思ったりするのだけども
なんとなく理解できて、そして、とても楽しいと思えたのである

残そうとして残るものなのか
そのあたりはわからんのだが、
現地風の現地もまた、変わっている可能性も考えたりすると
料理というのは奥が深いというか、一つがないように思える一冊だった

光る君へ  華の影

2024-04-21 20:54:53 | NHK大河ドラマ感想
NHK大河ドラマ「光る君へ」
視聴完了しました
今週は、まぁ話としてはこんなもんでしょと
そんな感想になってしまったんだが、物語上、関白家の増長が
これでもかと描かれたというところ、
そして、次男がすっかり改心して道長と連座するようになっていること
この二つが大きかったと思うのだが、
大半が、まひろのやり場のない気持ちが招くあれこれに費やされて
また、そのあとの看病シーンにいたるまでが久しぶりに完璧に少女漫画じゃんという展開で
面白いといえば面白かったのだが
もうちょっと朝廷のあれこれを見たいとか思ってしまうのであった

帝が、ちゃんと民のことを思うように育っていて、
かつ、煬帝のたとえがでてきたりするところが興味深い、
時代的には、割と近しいそれだから、その頃のことが
ちゃんと文書として入ってきていたということなのか、
考えてみると不思議なといっていいのか、
現代でいえば、100年ほど前の政治のことというのを伝説ではなく
ちゃんとした地続きの話として捉えそうだが、
そこを細かく検証されてかはわからんが、
反省として知識を得ているのがいいなと思ったのである
まぁ、後付けというか、今作ってる物語だからそうとも限らなそうではあるが
文献がなんだったのか、気になったのである

相変わらず、SFのような魑魅魍魎の見えかくれする世界観を
一手に、晴明が引き受けているようであるが、
疫神なるものが通るというのを晴明がいうだけで
そういうものがきそうだ、不気味でおそろしいと
独特のBGMと相まって、そういうもんだと信じ込まされたわけだが
当時の疫病の在り方とはどうであったか、
気になるものである、おそらくはインフルエンザなんだろうけども
もっと違うものなんだろうか

まひろが当然のようにかかって、そして道長が持って帰ることで
朝廷内にクラスターが発生とかそういうことになるか
来週がまたまた楽しみなわけだけども
医療所からまひろ連れ出したとき、次男はどうしたんだろうかと
そっちの方が気になってしまったんだが
ひょっとすると、これによって、長男次男もろともにやられてしまうんだろうかと
ちょっと考えたんだが、さて、どうなるか

あとは、女の影に笑う正妻という
とても恐ろしいもので終わったわけで
そっちもまだまだ続きそうで楽しみである

清少納言だけ、凄い楽しそうで、羨ましい限りであるな

【読書】地雷グリコ

2024-04-20 21:09:24 | 読書感想文とか読み物レビウー
地雷グリコ  作:青崎有吾

階段遊びの定番グリコチョコレートパイナップルやら、
坊主めくりやら、じゃんけんやら、だるまさんが転んだやら、ポーカーやら、
誰もが知ってるゲームをアレンジして勝負するという
エンタメに振り切った小説で、なかなか楽しかった
これは、推理とかそういうのを楽しむものでもあるわけだけど、
あまり深く考えてはいけないというか、そこに気を取られると
このゲーム、この賭け事のスピード感が損なわれてしまいそうなので、
理解したかしないかくらいで、さばさば読むと
物凄くわくわくできて、個人的にとても満足できたのでありました
粗探しでもないが、なんか、考えるのも面白いんだろうが
それやってると、小説に没頭できないというか
まぁ、ともかく、面白く楽しめたのでよしである

ゲームの紹介とルールの説明、そして、実際の実況動画めいた内容が、
テンポよく進むので大変楽しいのだけども、
これは小説だからこそかもなと思ったりもするところ
漫画にありがちな展開だけど、漫画でやってもあんまりおもしろくならなそうで、
また、実写も余裕でできそうだけど、これまた映像で見せられても微妙というか
この作品の楽しい部分が、ゲームのルールを読み解くところにあるから、
それ以外の要素である、絵的なものがない方が
個人的には楽しめるように思えて、小説が一番あってる作品なんじゃないかと思ったりした次第

と書いておきながら、カイジに近い感じなので十分に楽しめるのかとも顧みつつ、
本作は文章で押し切って進めているようなところもあるから、
そのどきどきを味わいながら、深く考えず、起きるイベントに一喜一憂すると
とてもとても楽しいと思えたのでありました

実際のところ、目的があったか、主人公そのほかの人物像とその陰があったかどうか、
確かにあったようでもあるけど、あんまりそこは深くもないし
なんなら触れてないに等しいくらいだったわけで、やっぱり、このゲームの面白さと
それを攻略するというロジックを見せるというのが醍醐味なんだと
人を選びそうな作品だなと思いつつ
自分にはとても合っていたんじゃないかと、わかりもしないけど、
後方彼氏ヅラっぽく眺めて読めたのである
なるほどわからん、そう思いながら読むのが一番心地よいと感じたのだった

変に主人公が煽ったりしないところもよかったと思うのだが
洞察が超人の域に達しているようにも見えたりするけど、
実際にゲームとかクイズ作るような人はこういう感じなのかもやもと
ちょっとだけ思うのであった
だとすれば、一緒にいたくない人種だわ

【読書】うまくてダメな写真とヘタだけどいい写真

2024-04-17 21:02:25 | 読書感想文とか読み物レビウー
うまくてダメな写真とヘタだけどいい写真  著:幡野広志

よい写真の撮り方というのに反発でもないが、
一石を投じる、写真をとるということについて書いた本でありました
難しい技術論はまったくでてこず、心構えのところを中心に書いているので
ああ、そういうものかもなぁと納得しながら読めたのである
写真とは、という哲学に寄り添っているというべきか
難しくもあり、簡単でもありというお話で、
上手であるということは何か、写真とは何かを考えるというか
示しているようで、そこまで踏み込んでもいない
不思議といえば、不思議なそれでありました

結局、撮りたいものを撮る、
それは伝えたいことであるはずだという話なんだが、
それはそれとして、なんとなく撮ってみたというので十分に写真であるし、
見る人が見たら、こういうことかと思わせる
それがいい写真だろうというお話でありました
技術的に、いい写真というのは練習したら撮れるものなんだそうで、
そうなると、みんな似たような写真を撮ってしまうし
それは、AIが作る写真みたいなものと何が違うのか
そういうものになってしまいがちなので、
オリジナリティというほどかっこよくもなく、自分なりにこうだと思って撮るというのが
重要だと書かれていて、なんとなし、納得するのでありました

しかし、世の中にはカメラでマウントをとったり
妙なヒエラルキーに囚われていたりする人も多いようで
そのあたりへの憤りが、結構ダイレクトに書かれていて面白い
技術論を馬鹿にするのではないが、
そういう知識だけで、実がないことを憎んでいるかのようでもあって
カメラではなく、写真というものが重要だと
写真とは何かについて、何かを伝える手段で表現のひとつであるということ
そのために、写真を説明する文章の大切さとか
写真のために写真だけに囚われないということが書かれていて
独特の哲学のようでもあるし、真理だなと納得するところもあるのでした

写真の良し悪しについて、よくよく考えるきっかけを与えてくれる本でありました

【ドラマ】ブギウギ

2024-04-16 20:49:10 | ドラマ映画テレビ感想
NHK朝の連続テレビ小説「ブギウギ」
無事視聴完了しておりました
半年しっかり楽しませてもらったと
大変よろしかった気持ちをメモっておきたい作品でした

最初から重めの話があるものの、基本的に明るく元気で
とても楽しい、なにより、金曜日になると決まったようにレビウというか、
歌で〆られるというのがドラマの作りとしてよろしく
エンタメをいかんなく発揮して、堪能できたのがよかった
正直なところ、話については「ラッパと娘」の大舞台がピークで
そのあとは、とってつけたような話で、
強引に金曜日に新曲歌ったら、なんかいい感じでしたと
そんな流れに見えなくもなかったわけだが
ステージがよかったので、押し切られた感じだけど満足ですと
答えてしまえる強さがあったと思うのである

序盤の、梅丸歌劇団の話あたりがかなり面白かったんだが
当時の業界がどんな感じだったか、知ることもないので
そのきらびやかさと、女優たちの葛藤というのがなんかいい感じでドラマチックに仕上がっていて
スズ子の話も面白いけど、そういって生きている女たちの群像劇というところが
とてもいいドラマだったと思うのである
パンパンのお姉さんたちとか、いちいちキャラ立ってるのが出てくるのも楽しかったが
なんとなし、そういうのをとっかえひっかえでてきては、
そのエピソードだけで終わりみたいな感じにもなっていたのが
少々残念であったと思うのだが、なんか、変にいい話にしすぎというのか、
終盤の娘関係に関しては、なんだかなとテンションを下げてしまっていたのでありました

ま、とはいえ、ラッパと娘という曲を教えてくれた
その一点だけで十二分に楽しいドラマでありまして、
正直、東京ブギウギよりも、あの曲で開眼したというあたり
そこでの、羽鳥先生とのやりとり、スタートしたという輝かしさ
何もかもがとてもよかったと思える感じだったので
最終回で、あえてそのあたりを振り返ってもらったりしたら
泣いてしまったかもと思ったりしたのである

もっとも、あのさっぱりと、後腐れなくというか、
さばさばやめてしまうというのが
この物語のスズ子らしさであるし、きっと、モチーフのシヅ子さんも
そんな感じだったんじゃないかと思うと
しみじみ、面白いドラマを見たと思えるのでありました
案外当時は、芸能界というのは、さっぱりやめてしまえる
そういうものだったのかもと思ったりするのであった
廃業したあとに、本人がそうと決めてしまえば、普通の生活に戻れたのかもと
いや、そんなことないのかな、どうなんだろうか
思うのだけども、ともかく、歌と踊りが見られるというだけで
ドラマが、とても明るく楽しいということを教えてもらったとも思える
そんな作品になりました

【読書】シャーロック・ホームズの凱旋

2024-04-15 21:08:55 | 読書感想文とか読み物レビウー
シャーロック・ホームズの凱旋  作:森見登美彦

ヴィクトリア朝京都なる、わけのわからん世界観で、
シャーロック・ホームズがスランプに陥ってさぁ大変と
そういうお話でありまして、読み終わってみれば、
ずいぶんメタネタというか、入れ子とも違うが、虚構と現実と、嘘と妄想がごたまぜになった
無茶苦茶なお話でありましたが、なんか、うまいこと着地したように思えて
これはこれと、すっかり読んだのでありました
正直なところ、シャーロック・ホームズの原典を全然知らないから、
この話の要点がまったくわからなかった気がするんだけども、
壮大な二次創作というには、いささか尖りすぎているようでもあり、
また、世の中にある、シャーロック・ホームズ論争のあれこれをふんだんに盛り込んでいて
こういうオチもあるか、どうだ、と問うているというか
まぁ、これはこういうものですと、これまた、メタ的に押し切ってきたようでもあって
物語の中で、原点ときちんと分離して、京都の影か、原点の影か、
あるいは、現実だと思っている方が影なのか、わからないままながら、
不穏な京都で、いかにもあやしげにありえそうなお話になっておりました

京都の地名と、実際に京都の街並みを舞台にしているけども、
完璧にシャーロックホームズであって、別に日本人が出てきたりするはずもなく、
登場人物は原典通りのようだし、なんというか、のっけから振り切ってきたなと思わせて、
あるいは、そういうことでもあるのだけども、
その実というあたりから、様々な、シャーロック・ホームズという作品にまつわるあれこれに
着眼点が移っていくようでもありました

オマージュといえばいいか、やっぱり、二次創作と言い切ってしまった方がいいかと
考えてしまうくらい、ちゃんと原典を予習していないと、
あれこれの辻褄というか、小ネタみたいなものがわからないので
ちょっと残念というか、乗り切れなかったのでありますが
推理探偵ものと見せかけて、SFであるというのは
ある意味サギじゃないかとも思ったりしたけど、まぁ、でも、
森見先生の京都だしなぁ、そういうことだよなぁで片付けてしまいそうでもあって
このあたりが、得というか、ずるいというかと
読みながら感じたのである

冒険譚がというよりは、シャーロック・ホームズという世界観を楽しむ
いや、世界観というよりは、そのコンテンツを楽しむひとつの方法として
お出しされた何かといった感じながら、
ひょっとすると、これは狸たちの茶番劇ではあるまいかとも思うような
言動と行動を見つつの読書となったのでありました

光る君へ  おごれる者たち

2024-04-14 21:00:46 | NHK大河ドラマ感想
NHK大河ドラマ「光る君へ」
視聴完了しました
藤原の天下がありあり見えるといった感じで
一瞬にして2年とか過ぎたり、ドラマとしても、歴史にしても、
このあたりで何かということがなかったということなのか
えらいスピードで次のエピソードと思しき、疫病の話まで飛んで終わったわけだが
とりあえず、交通整理のように、ききょうが勤めに出たり、
弟が出世に近づいたりして、今後の様子が解説される回でありましたわ

石山寺の件は、可愛そうなところもあるなと思う一方で、
あの頃の貴族はだいたいあんな感じなんだろうと思えば
なんというか、ろくでもない時代ではあるなと感じるところ
でも、現在でも実際のところあんまり変わらないという話かもしれんな
結局人類において、モテというのは都合がつかないというか
綺麗にマッチングすることがないお話なんであろうと
勝手なことを書いておくのである

さて、着々と政治が乱れつつあるようで
専横が過ぎる様子もさることながら、
道長がサポートして、次男も復帰したり、
いいことしているようだけど、実際はどうなんだというところもありつつ
とりあえず次男の心情の吐露は、あのシーンだけなら
凄くいいところだし、結局親離れできていない現実に向き合えていないという
絶望的というと言い過ぎか、情けないけども仕方ないことも露わとなってて
なんともしんみりしながら見たのである
ろくでもない男だが、どこかかわいそうなところもあるという話に見えてしまうのだった

大貴族であった父上が亡くなっても
ちゃんと道隆が藤原家の全盛を率いていると
まぁそういうお話であったわけだが、当然、不穏なことも増えつつあると
ひたひた、忍び寄ってくる凋落の影みたいなのが
見えかくれするお話だったと思うのでありますところ

将棋ウォーズ2級で新米長玉(2015)をとる

2024-04-13 20:39:56 | 将棋

新米長玉

後手番専用だと思うのだが、相手が角道空けたのに対して
玉を自陣の飛車側に上がるという歴史的一手、
米長先生がコンピュータ将棋と対戦した時に繰り出した一手で、
後の回顧録的な本によれば、作戦としては極めて優秀で、
このせいで負けたわけではないというお話が印象的でありました
無論、その真意を理解できているはずもなく、
わずか2手でエフェクト回収できるので、考えなしに指したら取れるわけである

自分で回収した際は、そのあと、元に戻して、単純に手損してから
リスタートという、低級位ならではの戦い方で無事ゲットできたわけだが、
やれる人なら、ここから右玉とかに組んでいけば
全然普通に戦えるんじゃなかろうか、
後手で、さらに手損に近いので受けにまわる展開が多そうだけども
低級位だと、相手の無理に咎めようとしてきた手が悪手となる確率が高そうで
なんだかんだ、泥仕合になって勝ったり負けたりするのであった

これ書くためになんとなくランキングを見ていたら、上位者に牢獄入りのアイコンがいて
闇を見たような気分になったのは余談である

【読書】車のある風景

2024-04-10 20:55:43 | 読書感想文とか読み物レビウー
車のある風景  著:松任谷正隆

ユーミンの旦那
そんな風に思ってしまうのは、私が若干なりとも若いからだろうかと思いつつ
そうか、テストドライバーやってる人でもあったのかと
編曲家以外の仕事を知って驚いたのであるが、
その松任谷さんが車に関してあれこれと語るエッセー
と言いたいところであるが、車が出てくる思い出話といった感じで
割と、下世話というか、尾籠な話が多くて、やれやれ苦笑いしながら読んだのである
語り口からして、とっておきというか、定番のエピソードなんだろうと思うが
エッセーと、世間話では、エピソードの消化方法が違うよなと
感じてしまったのである

ま、それはさておき、ユーミンとの日常というか喧嘩なんかもさらっと出てきたり、
若い頃の自動車事情の話があったりと、自分の親の少し下くらいの世代らしく、
昔懐かしい日本の風景が読み取れるのが面白かったのである

興味深かったのは、古い外車の話で
無理やり右ハンドルにしてある車の乗りにくさと、
やたら壊れるという、よく聞く話の実体験部分
本当に壊れてたんだなと、最近のだいぶ事情がよくなった外車しか知らない身分では、
どんな世界線の話だと思いつつ読んでしまうんだけども
それでも、なんとかして乗り続ける、直してしまえるという
その時代の車というのに惹かれる気持ちを持つのであった

とりあえず中央フリーウェイは、松任谷さんをうたったものではないことと、
隣に乗せるととんでもなく煩い嫌なドライバーであることが理解できたのであった

遍歴の車種紹介が趣深くて、タルガとかいいなーと思いつつ
やっぱりお金持ちなんだなと感じてしまうのは
昭和生まれの人間だからなんだろうかと思ったりしつつ
大きな車に乗って、自分が大きくなった気になるとか、
その反動で小さいものに乗ってとても安らいだとか
難儀な性格の人だなと思いつつも
どことなし、そういうことあるのかもなと思わされたりして
しみじみ読めるエッセーだったと思うのである

しかし、古いイタリア車は本当によく壊れるものと見えて、
アルファスッドなんて、知らない車だったけど
まぁ見たことありそうな顔ながら、そのポンコツっぷりは想像を絶するほどではなかろうかと思うのである
エッセー中には出てこなかったが、古いレンジローバーのカッコよさが、
車遍歴の部分で知られてとてもよかった
やっぱ車はイギリス車だぜと思うのだが、松任谷さんはドイツ車贔屓なんだろうなと思うのである

【ドラマ】アガサ・クリスティー なぜ、エヴァンズに頼まなかったのか?

2024-04-09 20:47:46 | ドラマ映画テレビ感想
NHKで3週にわたって放映されていました
また、知らない物語だと思いつつも、
アガサ・クリスティ作品ならさぞ楽しかろうと楽しみに見たら
案の定というか、大変面白くてよかった

しかし濃密というか、重厚といっていい作りのドラマで、
内容は割と軽め、いや、殺人がかかわっているので軽いというわけではないけども、
タッチが軽いという印象なんだが、絵作りが重いのと
シナリオが難しくて、ちょっと油断していると、わからなくなってしまう
実際、全部見終えたけど、ちゃんと理解したか?といわれると
わからないけど、重厚さに押し切られたように、ああ、終わったと
思わされたりしていたような感じもあった

結局、詐欺師集団による遺産目当ての殺人というオチだったわけだが
それを暴いていく探偵でもない、二人組というのが
相変わらずいかにもアガサ作品の登場人物といった具合で
これがまずまず、大変よかった
前々から思っていた、アガサのお気に入りと思われるシチュエーション、
勝気な娘が、どんくさいと思っていた男に最終的にリードされるという
それが、いかんなく発揮されていて
そこの部分を見ているだけでも、凄く楽しくてよかったのである
アガサ作品に出てくるお嬢様というキャラクタが、そもそも好きなのかもしれん
イギリスにはあんなお嬢さんがいっぱいいたんだろうかと
にやにやしながら見てしまったのだが
どんくさそうな青年もまた、実際は勇気と知恵のものという
実にかっこいいキャラクタになっていて、ミステリとしてトリックやギミックがもてはやされるけど
このストレートなキャラクタ像が人気の秘密でないかとも思ったのである

しかし、登場人物にムダがないし、物語も過不足というか、
ぎりぎりの情報量から、すべてが解き明かされていく
そのための駆け引きや、情報の出し方が本当にうまいなと
謎の男に囚われた時とかの会話劇なんかが、本当にすばらしくて
とても楽しい物語をドラマで見せてもらったと思うのである

映画ではないんだろうが、スペシャルドラマとして
大変よくできてて、イギリスではこのシリーズがどれくらい作られてんだろうかと
蒼ざめた馬以来であったわけだが、大変楽しく視聴したと
メモっておくのである

【読書】めざせ!ムショラン三ツ星

2024-04-08 20:58:02 | 読書感想文とか読み物レビウー
めざせ!ムショラン三ツ星  著:黒栁桂子

刑務所栄養士というお仕事があるということすら知らなかったんだが、
刑務所で、いわゆる給食のおばちゃんとして働く人のエッセーというか
体験記のような日常読み物
刑務所の中、それも、炊場と呼ばれるそこだけのことながら、
不思議といえばよいのか、色々と規則のある世界が読めて
大変面白かった

刑務所の食事は、受刑者が調理も担当するのだそうで、
ただ、その指導や栄養管理をするための栄養士さんが存在し
著者がその役目として勤めている、または、勤めていた刑務所での出来事がつづられている

読み始め、作者名を見ていなかったので
女性だと思ってなかったから、男性刑務所で
何も知らないと怖いという話は、そりゃそうだと思っていたが、
女性ならより一層怖いだろうなと改めて思い知るのだが、
実際のところ、そんな怖いこともなく、むしろ普通にこなして、
そこで何かしらのコミュニティというか、繋がりを持つこともできていて
更生の一端を見るようで興味深い

刑務所とはいえ、結構若い受刑者が多いところの担当だったようで
やんちゃそうだが、子供のような受刑者や、その面倒をみる強面の刑務官といった人たちの姿が
なんとなし見えてくるようで、規律ある中で、ちゃんと生活しているんだと伺える

こんな料理がありましたというレシピ紹介もなかなか面白いし、
それを生み出すために予算と、そもそも刑務所だから使えない食材やら、調理方法やら、
さらには、均等に分けるという大変重要な任務のために犠牲とせねばならぬことなどが
山ほど出てきて、それに対応しながら作っているという、その体験記が一等楽しい
なんだかんだ工夫するというのは、見ていて楽しいものである

しかし、貧相とは異なるが、シビアな食糧事情なのは間違いないようで
それでも栄養はしっかりと管理されているから、無駄に太ることもなく
みんないい感じで痩せて、健康体になるという話が興味深く
冗談ぽく書かれていたが、本当に、プリズンダイエットは存在するんじゃないかとすら思ったのであった

食材が貧相なのでどうしても美味しくなくなることもあるようだが、
そこは工夫でなんとかしてという気概をもって働く姿は見事で、
刑務所のごはんがおいしいのはけしからんという層もいることも理解できるのだが、
軸がずれた話題なので、相容れることはないと思うところ
でも、なんとか健康でいてもらうというのは重要な任務であるし、
それを受刑者たち自らが一生懸命やっているというあたりは
それもまた、生活刑といってもいいものなのかなと考えさせられるのでありました

更生や罪状の話は一切でてこないので、
ちょっと変わった給食の話として読めてしまうわけだが、
その根っこの部分、更生やサポートに関するところは
とても考える余地の多いところだと思いながら読み終えたのである

光る君へ  星落ちてなお

2024-04-07 21:11:54 | NHK大河ドラマ感想
NHK大河ドラマ「光る君へ」
視聴完了しました
今回は静かに、静謐といってもいい感じで
個人的には、とても充実していたと思ったのである
話しとしては、淡々と、兄の横暴が始まった、
ただその一点だけだったわけだが、父の死というものが象徴にすらならない
さりとて、副題は「星落ちてなお」というのは、
はたしてどういうことなんだと思っていたわけだが、
道長、まひろともに、自身の夢につまずくといった感じでもあり、
そこが、父親との対比という
かなり高度なそれなのかと思ったりしたが、なんか的外れな気がしてきた
わからんから、面白いと思ったまま、見続けよう

さておき、相変わらず楽しそうに愚痴ばっかりの秋山が、
新しい嫁さんと、いい感じになってて、ちょっとおさわりはやばくない?と思ってたら
おなか揉んでたらしいって、それはそれで、生々しいなと思ったりしたんだが
もう、このドラマは怖い物無しだな、すげぇ
そして、久しぶりに出てきた清少納言が、相変わらずの切れ味で
「聞こえてましたね」はなかなか、潔くてよかった
あれ、考えるまでもなく、まひろは巻き込まれ事故だよな、ひどい話だ

清少納言が、酔狂を笑いはしないが、けったいなとしているさまが
ありありで、見事だったけど、清少納言だしなと思わせておきながら
むしろそっちが平常なんだと、そのあとの展開で思い知らされるのが
実に深くというか、染みるようでよかった
絵空事であるという、創作を安易に受け入れないといった感じが
実に素晴らしいと思うのである

次男の荒れっぷりが見事なまでの「死ね」というセリフとで完成されていて、
それでいて、晴明の予見が不気味にきいていてと
政治ステージの淡々としたやりとりが実によろしいと思うのであるが
日本史の勉強をおろそかにしたので、道長が絶頂であったと知っているわけだが、
そのあとどうやって、望月が欠けていったかがわからんのだが、
望月は父が作り、長男、次男まではもったが、三男で尽きたと
そういう話なんだろうかとも思ったりするのであった

ともあれ、星が父上のことであったか、
はたしてという感じだったが
父の死に対しての喪に、この回全体がおおわれていたようにも思う
影響力の大きさが知れたと感じたお話でありました

【読書】八月の御所グラウンド

2024-04-06 21:14:29 | 読書感想文とか読み物レビウー
八月の御所グラウンド  作:万城目学

短編集かと思ったら、短編1つと、中編くらいのの二つ掲載の本だった。
どっちも、京都を舞台にしているんだけども、
あやしからんというか、過去の人物が迷い込んできた
みたいなお話で、なかなか面白かった
別に、その怪奇現象が何かというわけでもないし、
それはそれとして、穏やかなスポーツ小説としても読めるしと
不思議な読み味だったんだが、楽しかったのである

一本目は、高校駅伝のお話で、
そもそもなんで京都でやるもんなんだろうかなと思いつつも、
近いけど、駅伝を見に行ったことはないなと
都大路を駆け抜ける若人たちのそれこれを文章上で味わったわけだが、
高校生の部活という青春そのものといっても過言ではない物語が
じんわりよろしく染みたのでありました

物凄い強豪校というわけではないけども、
県代表として走ることになったが、先輩が急遽出られなくなったと
突然一年生におはちが回ってきたというドタバタ話なのだが、
実際走り出してから、同走者が強敵でというお話も面白いが、
突如、謎の新選組のかっこうした集団が表れてといった感じで
その正体やといった具合で、
まぁそういうことがあってもいいかもねと、さらっと読んだんだが
これを受けたかのように、もう一つの表題作が、
お盆の京都で朝から野球やるというお話だったのだけども、
御所グラウンドでよく野球やってるけど、そういうものだったのかと
驚愕の真実というか、事実が判明して面白かった
前段の駅伝の短編があって、より面白さが増したように思えたのである

二つは全然関係がないというか、トリックというではないが、
ギミックが同じようなお話なわけだが、その不可思議を追いかけるような
そうでもないような、でも、そういうものかと
腑に落ちたかのように落着するあたりが秀逸で、
気持ちよく読めたのでありました
また、野球というスポーツを青春の象徴として扱っているというか、
まさにそういう物語だと思える出来栄えになってるのが見事で、
野球はやらないし、たいして見ない身分でも
とても楽しそうな姿が見えるような物語でよかった

とはいえ、はたして、主人公は最終試合でヒットを打てたのか
気になるあたりで終わるのがまた、とてもよいと思うのである