月刊 きのこ人

【ゲッカン・キノコビト】キノコ栽培しながらキノコ撮影を趣味とする、きのこ人のキノコな日常

きのこ忍法帖【カンゾウ伝 その六】

2023-09-24 15:52:24 | キノコ創作

カンゾウ伝 その五よりつづき

 

青い忍者は「ソラキリ」に術をかけてカマイタチのような斬撃を繰り出すことができるが、何回か繰り出すとその術の効果が切れ、普通の刀になってしまう。

青い忍者はそこで再び術をかけて攻撃を再開する。

カンゾウはソラキリの光り具合からそれを見抜き、4回続けて斬撃を放つと力を失うとだいたいの目星をつけた。

しかしカンゾウは青い忍者の斬撃を3回までしかよけられない。斬撃をなんとかして4回出させる、これがカンゾウの作戦だった。

術の切れた刀ならば、恐れずに懐に飛びこみ、得意の拳法で戦うことができる!!


「グホッ、ゴホッ!ぐうう!」

さしもの青い忍者も悶えた。しかし吹き飛んでも刀を離さず、しかもすぐに立ち上がったのはさすがである。

「ハァ、ハァ・・・なるほど、その拳があれば武器はいらぬ、というわけか。おぬし、名をカンゾウといったか。この勝負、ひとまずあずけておこう。さらば!」

青い忍者はそう言い残すと、姿を消した。

残されたカンゾウは立ったままそこにたたずんでいた。三兄弟の姿もすでにない。

「青い忍者、ソライロタケ・・・あれほどの使い手がいるとは」

カンゾウはこれからゆく道の困難さを思い、気を引き締めるのだった。

 

つづく・・・かもしれない


きのこ忍法帖【カンゾウ伝 その五】

2023-08-27 09:19:50 | キノコ創作

カンゾウ伝その四 よりつづき

「・・・ソラ!」

気合声に呼応するように刀が宿す青白い光が増す。
青い忍者は直線的に飛び込んできたかと思うと、再び鋭い連撃がカンゾウを襲った。

一閃、二閃、三閃。ダメだ、3回かわすのが精一杯だ。ひたすら後退、近づくことすらできない!

「ぐわっ!」

青い忍者の刀がなんと岩を切り裂き、その破片がつぶてとなってカンゾウに命中した!バランスを崩して転倒する!危ない!

「・・・ソラ!」
青い忍者は気合声を放ち、斬りかかる!しかし、間一髪カンゾウは態勢を立て直して難を逃れた。

「??・・・おかしい」

この時カンゾウは気づいた。あの青い忍者ほどの手練れであれば、今の転倒のスキを逃すはずがない。しかし無駄に気合声を発したためにその好機をのがしてしまった。なぜだ?

もしやあの気合いはただの掛け声ではなく、術なのではないか?あの、カマイタチのように遠くまで切る斬撃は、刀に術をかけて繰り出しているのではないか?だとすれば、気合のあとに刀の光が増すように見えるのも合点がいく。もしそうであれば・・・

カンゾウは懐から短刀を取り出した。刀と言っても短い刃渡りしかなく、どちらかと言えば各種細工用に使っているものだ。

「もしやそんな武器でわたしのソラキリと張り合おうとでも?」
青い忍者が攻撃の手を休めてそれをとがめた。

「その刀はソラキリというのか。大した武器だ。でも私にはこんなののほうが性に合ってるようでな」

「フフフ、まあそれもよかろう。だがそろそろ終わりにするぞ・・・ソラ!」

ここが勝負だ!

一閃!二閃!三閃!たまらずカンゾウが飛びのく!

青い忍者は一呼吸おいてもう一度斬りかかる・・・つもりであった。
ふいに視界の端から何かが飛来するのが見える!青い忍者はとっさになぎ払った。

さっきの短刀であった。いつのまにやらカンゾウが切れたロープを短刀にゆわえて、遠心力を利用して遠い間合いから振り回し投げつけたのだ。

「そんなものが効くか!」
青い忍者が斬撃を放ち短刀のロープを断ち切った!

「ぬっ!!」

青い忍者が驚く!短刀に気をとられた隙にカンゾウがまっすぐ眼前まで飛び込んできたではないか!

「憤!憤!憤!」
カンゾウが初めて青い忍者を襲う!正拳突きの連打!連打!
だがさすが青い忍者、腕や刀の柄でそれがことごとくガードされる!
青い忍者にはカンゾウの攻撃が効かないのか!?

しかしソライロタケが全ての連打を止め切ったかと思ったその瞬間、カンゾウが大きくタメをつくった!

「イヤァーッッ!!」

最後にひときわ大きな気合いでカンゾウが渾身の一発を放った!

「ぐおっ!!」

青い忍者はガードしたにも関わらず体ごと吹っ飛ぶ!!
これぞ必殺拳「リバーブロウ」!相手の内臓を破壊する威力の正拳!カンゾウの切り札だ!!

つづく

 


きのこ忍法帖【カンゾウ伝 その四】

2023-08-21 18:30:00 | キノコ創作

カンゾウ伝その三より つづき


「青い忍者・・・」

さすがのカンゾウも面食らったような面持ちで見ている。その忍者は頭からつま先まで鮮やかな青の装束で身を包んでいた。赤、黄、紫・・・忍者の装束は目立つ色の者も少なくはないが、青は珍しい。

その忍者も三兄弟と同じ形の傘をかぶっているが、てっぺんに突起はなかった。そしてその手には、透きとおるように美しい刀をたずさえていた。

「イボカサども、三人そろってお役目が果たせんようではな。ここは私にまかせてもらおう。退け」

青い忍者にそう言われ、三兄弟はもぞもぞと動き始めた。

「さて、そちらの赤い忍。今の奇襲をかわすとは大したものだな。私はソライロタケ。手加減無用で行くぞ・・・ソラ!」

その忍者が気合を入れた瞬間、刀が青白い光を宿したように見えた。

「ヤァーッ!!」

速い!最初の斬撃がカンゾウを襲う!カンゾウは後ろに跳びすさってこれをかわす!しかしその時点ですでに次なる斬撃が繰り出されていた!
カンゾウはかろうじて身をかがめてかわす。そこにさらなる斬撃!カンゾウ大きくジャンプ!

ズズン!

突然に大きな音が響く。戦闘のさなか、カンゾウがちらりと音の方を見ると、後方にあった木が真っ二つになって倒れるのが見えた。あの木は今の斬撃で切られたというのか?刀が届くずっと後ろにあったはずなのに!?

やはりそうだ。あの青い忍者は刀が届かない場所のものまで斬っている!しかもすさまじい切れ味だ!
もし仮にカンゾウが刀を持っていて、青い忍者の斬撃を受け止めようものなら、きっと刀ごと真っ二つにされてしまったろう。丸腰で逆に良かったかもしれない。

しかし今のままでは反撃もままならない。どうしたら勝てる・・・?

カンゾウは青い忍者の斬撃をギリギリのところで避けながら、かすかな勝機をもとめて思案をめぐらした。

つづく





きのこ忍法帖【カンゾウ伝 その三】

2023-08-19 01:52:36 | キノコ創作

カンゾウ伝 その二より つづき

カンゾウの身体から湧き上がる赤黒い妖気のようなものは、やがて霧のように一帯に広がって三人を包みこむ。
ほどなくして、もはや誰がどこにいるかさえ分からぬほど霧は濃くなり、見る景色の全てを赤く染め上げた。それはあたかも地獄のような光景であった。

するとどうだろう、三人が急にうめき始めた。
「う、体が、うごかぬ」
「この霧、すっぱいぞ、すっぱい・・・」
「いかん。逃げよ、逃げるのだ」

みな口々につぶやくが、ただただ独り言をくりかえすだけで、行動にうつることはない。どうやら意識が遠のいているようだ。

この術は忍法「紅い霧」!!すっぱい酸を大量に含んだ汗を蒸発させ、霧を作り出して相手を幻惑し、戦意を奪ってしまうという、もはや妖術と言ってもいい離れ業である。カンゾウおそるべし!

「フフフ、どうだ、私の汗は?」
カンゾウは霧の中から姿を現すと、つかつかと三人に歩み寄った。そしてさきほど切ったロープを手にすると、またたく間に三人を縛り上げてしまった。

「さて、おまえたちにいくつか聞きたいことがある。・・・まず、お前たちは何者だ?」

問うと、黄色い忍者が答えた。「我々は『闇菌』・・・強大な忍者の組織だ」

「ヤミキン・・・聞いたことがある。菌幾地方に勢力を張り、市井の人々を苦しめていると噂される忍びの集団か。で、そのヤミキンが、なぜ私を襲う?答えよ。」

「それは・・・」

白い忍者が口を開こうとしたその刹那、カンゾウは突然にその場所を飛びのいた。なんと、すぐ近くにあった巨木が倒れかかってきたのだ。
そこへさらに何か閃光のようなものがきらめく!

パッ!パッ!と光るたびに素早く動くカンゾウの姿が霧の中に浮かび上がる。その動きはあまりに早く、常人の目に追えるものではなかった。

ズッズーン!!

巨木はものすごい地響きを立てて地に倒れた。しかしよく見よ、その幹はなんと、料理人が包丁で切ったかのように寸断されているではないか!

「ぬ・・・何者だ!?」

カンゾウが叫ぶと、一人の男が寸断された倒木の上に姿を現した。それは、鮮やかな青い装束を身にまとった忍者であった。

つづく

 

 


きのこ忍法帖【カンゾウ伝 その二】

2023-08-15 23:54:12 | キノコ創作

カンゾウ伝その一より、つづき)

イボカサ三兄弟は、ロープを引き絞ったままカンゾウのまわりを回る。ロープはカンゾウにグルグルと容赦なく巻きつき、とうとうがんじがらめになってしまった。もはや逃げることはおろか、身じろぎひとつできない。円陣はさらにせばまる。絶体絶命!

「ヤァー!」「ヤァー!」「ヤァー!」

次の瞬間、すさまじい気合いとともに三人が同時に襲いかかった!

「キキキーン!!」

激しい金属音が響き、周囲にこだまする。三人は弾けるように跳び、元いた場所と全く同じ場所に降り立った。

「???」

金属音?三人の刃は同時に襲いかかり、いま確かに無防備なカンゾウの首に届いたはず!

「こ、これは・・・!?」

いぶかしむ間もなく、三人の刀は、なんと真ん中からまっぷたつに折れて地に落ち、三つ同時にガチャンと音を立てた。
何が起こったのか分からないまま立ち尽くす三人。カンゾウはどうなった・・・??

「フフフ、それで終わりか?」

赤黒い装束の忍者は首の凝りをほぐすような仕草をみせると、円陣の中央で不敵に笑った。カンゾウは生きている!しかも無傷だ!!
しかしどうして??

カンゾウは精神を集中させることで、一時的に身体を鉄のように硬くさせることができるのだ!これぞ秘術「肝硬変」!
カンゾウは三人がとびかかる瞬間を見計らって体を硬化させ、逆に三人の武器を破壊したのだ。

さらに次の瞬間、何をどうしたものか、カンゾウをがんじがらめにしていた三本のロープが切れ、バサリと落ちた。

「さて、今度はこちらの番だな。」

カンゾウは手のひらを組んで忍術の印を結ぶと、次なる精神の集中に入った。

「・・・菌ッ!!」

カンゾウが気合いの声をあげる。するとどうだろう、急激に周囲の空気がよどみ始めたではないか。
それだけではない。カンゾウの体から何やら赤黒い妖気のようなものが立ちのぼっていくのが見える。果たしてこれから何が始まるのか!?

ただならぬ雰囲気にのまれ、折れた刀をかまえた三人は、ただただ体を凍り付かせたように動けぬまま、状況を見守ることしかできなかった。

つづく







きのこ忍法帖【カンゾウ伝 その一】

2023-08-13 12:09:18 | キノコ創作

「フッフ、とうとう見つけたぞ。貴様が例の忍者だな!」

ひとりの忍者を三人の忍者が取り囲んでいる。三人の忍者はそれぞれ赤、白、黄色の装束を身にまとい、さらにそれぞれ同じ色の小さな陣笠をかぶっていた。その傘のてっぺんは突起のように奇妙に突き出ている。

「我々はイボカサ三兄弟!貴様の命運もここまでだ。まずは名を名乗ってもらおう!」

取り囲まれている方の忍者は落ち着き払っていた。赤黒い装束をみにまとい、身じろぎひとつせず直立している。

「・・・カンゾウ。カンゾウだ。」

忍者は静かに名乗ると、身構えた。空手の構え。彼は武器を持っていない。

「自信家なのかバカなのか、度胸だけはいいようだな。いくぞ!」三人の忍者は互いに目配せすると、三人同時に刀を構えた。

カンゾウと名乗る忍者と一定の距離を置きながら円をえがくように回り始める。三人の動きは徐々に早まって、やがて目にもとまらぬほどのスピードになった。三つの色が混然とまじわり、ひとつの色となる。そして円陣がせばまり始めた。

「ヤァー!」「ヤァー!」「ヤァー!」

次の瞬間、すさまじい気合いとともに三人が同時に襲いかかった!

「キキキーン!!」

激しい金属音が響き、周囲にこだまする。三人は弾けるように跳び、元いた場所と全く同じ場所に降り立った。

「見たか!我々の三位一体の攻撃を!」

カンゾウは三人の攻撃を金属の手甲で全て防いだ。だが一糸乱れぬ同時攻撃に、反撃のスキは無い。防ぐので精いっぱいだ。そしてそれだけではない。カンゾウの右手首と左腕、右足首に、それぞれ赤、白、黄色のロープが巻き付いているではないか!

秘技「三色イボの糸」!!カンゾウの動きはこれで封じられた。


「よく今の攻撃を防いだな。だが次は無い。」

三人の忍者がみな勝ち誇るようにニヤリとする。三人は互いに目配せすると、再び円をえがいて回り始めた。三人の動きは徐々に早まって、やがて目にもとまらぬほどのスピードになった。三つの色が混然とまじわり、ひとつの色となる。そして円陣がせばまり始めた。

                                                   つづく

 


梅雨のキノコが減ってるのはナゼ??

2023-08-09 22:13:19 | キノコ知識
今年の梅雨は極端にキノコが少なかった。
今まで、空梅雨で出ないという年はあったけど、雨が降ってるのに出ないというのは初めてかもしれない。これは異変だと思う。
特に少ないのはイグチ・ベニタケ・テングタケといった大型菌根菌だ。彼らはブナ科(ナラ・カシ・シイなど)やマツ属の樹木と連係して地下に大きなネットワークを築くことで知られている。
 
そもそも、それらのキノコが減っているのは今に始まったことじゃないように思う。この10年、20年、年によって豊作凶作はあるものの、年を追うごとにだんだん少なくなっているように感じる。
なぜ減っているのか?原因を考えてみた。
 
①気象の不安定化(地球温暖化?)
②森林の高齢化が進んだ
③森林に落ち葉がたまりすぎた
④人が採りすぎた
⑤シカなどの動物に食われている
⑥松枯れ・ナラ枯れ
⑦キノコの発生に大きな周期性がある
⑧中国大陸からの大気汚染(PM2.5、酸性霧)
 
たぶん④と⑤は違う。
キノコ狩り人口がゼロに近い地域でもキノコが減っているし、獣がいない都市公園でもキノコが減っているから。

⑧は日本海側から松枯れやナラ枯れが進行したことを理由に、キノコの実地的な研究で知られる小川眞さんが提起していたが、根拠としては薄い気がする。
 
やはり⑥の松枯れ・ナラ枯れは無視できない。キノコが樹木を地下でつなげてネットワークを作るというのを拡張解釈すると、菌類は樹木の栄養貯蔵庫の役割を果たしているとも考えられる。松やナラが減れば、栄養の貯蓄が減り、キノコも細るはずだ。
 
②と③も地味だが大きい。
今、人里近くで見られるキノコは、その多くが里山に適応したものだ。
里山は長い間、人が落ち葉や柴、薪炭、材木を搾取し続けたために、木は大きく育たず、落ち葉もたまりすぎるようなことがない、やせた山だった。
しかし今、里山はおそらく何百年かぶりに、豊富な樹木と腐植(腐った落ち葉などが降り積もった層)を蓄えている。
やせた里山に適応したキノコたちはこの変化に対応できていないのではないか?
 
また、老木と若い木を比べたとき、キノコが多いのは若い木だと思う。木が切られずに高齢化した森それ自体が、キノコの発生にとってマイナスではなかろうか?
 
①は言わずもがな。
夏の極端な高温はキノコはもちろん、樹木にもマイナスだろう。
それにくわえて、暑いと単純にキノコの干からびたり腐ったりが早く、我々の山に行く意欲が失せるという点も見逃せない。
また、キノコにとって良い環境を作る朝霧や夕立ちは、ここ20年を見ただけでも極端に減った、というのが私の印象だ。
 
⑦の周期性は、私が適当に考えだだけなのであまり意味はない。もしかしたら松枯れやナラ枯れの流行は定期的に起こるかもしれないから、そういう意味では正しいかもしれんけど。
 
結論
キノコが減ったのは、②と③の森林環境の変化①気候変動⑥松枯れ・ナラ枯れが重なって、ナラ・松の菌根菌ネットワークが弱体化したからではなかろうか。

いかたけ

2022-11-12 10:12:45 | キノコ

菌友から「イカタケの卵をゲットした」との知らせが。

イカタケとは文字通り、イカの形をしたキノコ。たぶん、そんなに珍しくはない。でも、もみがらやおがくずのようなゴミっぽいものから生えてくるがために、われわれキノコ人の縄張りからは外れてしまうので、なかなかお目にかかることがないのだ。そのタマゴを入手したとは!ぜひとも拝見させてもらわねばならない。

ただ、こういう「タマゴから産まれてくる系キノコ」の例にもれず、こいつも生えてからの寿命がすごく短い。でもその代わりに、タマゴを持ち運びできるというメリットがある。今回、タマゴを少しおすそ分けしてもらい、自宅で観察することにした。

イカタケの卵は持って帰るとほどなくして孵化した。そう、孵化したのはいいんだけど・・・すっごいクサい!!
やはりイカタケも「タマゴから産まれてくる系キノコ」の例にもれず、悪臭を放つのだ。しかもこいつは強力なウンコ系!

しょうがないので家の外で観察することにする。

イカって言うよりはイソギンチャクだと思うんだけど、大気圏外から突入してきた未確認イカ物体が降下してきて地面に突き刺さったと思えば、やはりこの姿はイカ。
そういう目で見ると、足に吸盤がついてるようにも見えてくるので不思議だ。

将来的にはこれに米粒を詰めてイカタケ飯をつくろうと夢想している。

 


キノコは菌類のお花✿写真展

2022-10-17 12:49:56 | イベント

行きつけの公園で写真展示を開催!題して『キノコは菌類のお花✿写真展』。

地元の木材を活用した子供の遊びスペースとしてつい最近リニューアルされた展示館の一角の壁面を飾る、という形でやらせてもらいまっす。

作品は約30枚、よりぬきの最新作を、と言いたいところだけど、最近まともに撮影できてないので、以前に撮った蔵出し写真(^_^;)

来場者は遊びに来た子供がメインということで、パッと見で印象の残るようなデザイン重視のキノコを中心にセレクト、解説はほぼなしでキノコの名前と短いキャプションをつけるにとどめました。

小ぢんまりとしたスペースながらも、公園の職員さんのおかげでなかなか美しく展示してもらえたので、私としては満足の出来ばえ。

もし時間があれば、足をお運びくださいませ。

今回の推しは、あえてコレ(笑)

いやー、昔撮った写真のほうが明らかにキレイだね。良いキノコ写真を撮るコツは、「良いキノコを、良い光で撮る」。たったこれだけのだけど、キチンと実行するにはそれなりの時間と労力をかけなきゃいけない。それにはこだわりというか、執念というか、撮影技術にそういうプラスアルファが必要になってくる。またこのくらいのレベルで写真を撮れるようになりたいなー。

 

 

 

 

 


とびいろほうきたけ

2022-09-02 22:59:01 | キノコ

この夏は雨が本当に多い。
雲が厚く蒸し蒸しとしていて、カンカン照りという言葉を忘れてしまいそうだ。

キノコにはなかなかの環境・・・と言いたいところだが、ここまでに夏キノコはじゅうぶんキノコを生やしてしまった後なので、期待するほどは出ない。
この気候はヤマビルにとってベストコンディション。山へ行けばたとえキノコが無くともヒルに噛みつかれるのは確実なのだが、それでもちょっと出かけてしまう。

暑さに強いソライロタケに期待していたが空振り。そのかわりに、ちょっと珍しいキノコに出会えた。
トビイロホウキタケ。名前からはわかりづらいけど、ホウキの先端が青みを帯びるのが特徴だ。写真ではわかりづらいけど、肉眼で見ると空色に見える。幼菌だともっとはっきり青みを帯びるので、写真でもよくわかるほどだ。

1か所に6株もかたまって生えていた。三重ではホウキタケの仲間はなかなか出会えないのでちょっと嬉しい。期待できなくとも出かけてみるものだ。


『大地の五億年』

2022-08-14 09:59:22 | キノコ本

『大地の五億年 せめぎあう土と生き物たち 藤井一至 著

地球には最初、土がなかった。

こう聞いて「えっ?」って思わなかった?
もちろん砂や石や岩なら最初からあった。でも、それらは土とは呼べない。土は、生き物のはたらきを通して初めて作られるものだからだ。

光を浴びてエネルギーを作る技をあみ出した植物が、そのエネルギーから酸を作り出して、足もとの岩をちょっとずつ溶かす。これを吸収して大きくなり、子孫を残し、死ぬ。彼らの遺骸は朽ちて消えるが、それでもカスが残る。それが何千年、何万年と積みあがったものが、土だ。

大地の隆起や浸食、氷河期や火山活動といった地球の壮大な動きに翻弄されながらも、植物と動物とが途方もない時間を積み上げてつくってきた土。この本ではその五億年にわたる歴史を、現在の世界各地で見られる地層から読み解いていく。

物理・地学・生物・化学。理科の知識を総動員して見えてくる土の姿は、じつは人間の歴史や文化を大きく左右してきたことを教えてくれる。知の総合競技とも言える「土」の探求は、その地味さに反して、とてもエキサイティングだ。

さて、この土の歴史において、実は菌類も大きな役割を担っている。

まず、地球で最初の土を作ったのが、菌類の一種、地衣類だ。

シダ植物が巨木の森林をつくったとき、その枯れ木を分解したのがキノコだ。彼らのおかげで地球史上空前の便秘(笑)は解消された。

現在アジアの熱帯雨林にみられるような巨木の森林を支えるのもキノコである。菌根菌は植物のパートナーだ。

これらの働きがいまの地球を作ったといっても過言ではない。
大事なのは、今の生態系が最初からこの形だったわけじゃない、ってこと。必要に応じて空白を埋めていった菌類の力が、地球全体の生態系に安定をもたらしたのだ。

大規模農業、森林破壊、砂漠化、温暖化。いま現在、人間の活動が地球の環境に大きな変化をもたらしている。果たして人間はキノコのように「空白を埋める何か」になることはできるのだろうか。

現代の人間がかかえる問題を解き明かすためにも、土とその成り立ちを知ることは有意義だし、何より面白い。ユーモアもまじえ、軽いタッチでそれを伝える著者のこの本は、まさに「空白を埋めるいい仕事」だと思う。

この記事の写真の新書バージョンはいま入手が難しいが、つい最近、加筆された文庫バージョンが刊行されたので、興味のある方はそちらをどうぞ。


『散歩道の図鑑 あした出会えるきのこ100』

2022-07-19 02:05:04 | キノコ本
『散歩道の図鑑 あした出会えるきのこ100』新井文彦 著
 
写真図鑑の老舗、山と渓谷社から新シリーズがリリース!『散歩道の図鑑』登場!
 
図鑑のシリーズとなれば、王道としては虫・鳥・魚・獣、野草に樹木と来て、あとは貝とか海洋生物、爬虫類両生類あたりが出る頃にようやくキノコも出るかな〜って感じなんだけど。
 
このシリーズでは『鳥』と『雑草の花』に次ぐ、堂々3冊目での刊行でアリマス!バチパチパチ。
 
まあ『散歩道で出会える』と銘打つ以上、海洋生物は除外だし、獣はそもそも出会わないし、って事情はあるとしても、虫や樹木に先んじての刊行はちょっと嬉しい(^_^)
 
さて、『あしたの散歩が、今日よりもっと楽しくなる』がキャッチフレーズのこのシリーズは、もっとも身近な100種類をよりすぐって掲載する、初心者専用がモットーだ。
 
右も左も分からない初心者にとっては、例えば1000種類載ってる大図鑑よりも、身近な種類にしぼりこんだ100種類の方がずっと手頃で扱いやすい。目のつけどころがさすがヤマケイやね。
 
さて内容はというと。
 
文章はキノコ写真家の新井文彦さん。
新井さんと言えば『ほぼ日』での軽妙なきのこコラムのイメージがあるんだけど、今回は意外に硬派。種類の見分け方や学術的な話などに多く紙面が割かれている。
 
これはもしかしたらシリーズ図鑑としての統一方針なのかも。しかし、説明がややこしいキノコを『初心者にわかるように、ソフトに正しく、450文字くらいで書いて!あ、もちろん面白くねっ!』って、かなりの無茶ぶりである。
 
1種類につき見開き2ページの紙幅があるとは言え、これは欲張り。新井さんも「え〜、窮屈すぎる!」とか思ったかもしれない。文章はことごとくカツカツのピッチピチだ。
 
それにしても100種類のセレクションが良い。自分が選んでも近いものになるだろうという定番のメンツばかりだ。
 
欲を言えば公園キノコのチチアワタケニオイワチチタケニョロニョロや、芝生キノコのキコガサタケシバフタケスミレホコリタケあたりが欲しかった(などと無理を言ってみる)。
それらとは別に、話題になるような派手なキノコやおいしいキノコはコラムで取り上げるなどしてバランスを取っているようだ。
 
全体として、写真の質が高いのは言うに及ばず、文章もいい。ポップな軽さこそ無いものの、初心者に理解できるように努めていることが感じられ、好感が持てる内容だ。
 
「時々キノコを見かけて気になってるんだけど、わざわざ図鑑買ってまで調べるのはちょっと・・・」という人でも、この本なら薦められるかもしれない。
 
図鑑とも言えるし読み物とも言える、その良い意味での中途半端さが取り柄の一冊だと思う。

きよすみうつぼ

2022-06-28 19:30:40 | 植物

ヌナワタケの撮影中、キノコのすぐそばの土手の中ほどに、なにやら白いものを見つけた。キノコ??なんかどうも質感が違う気が・

・・ちょっとギンリョウソウに似てるような。

 

周囲を探してみると、あ、他にもたくさんある。その中に、そこそこ成長したものも見つけた。どうやら筒状の花のような構造になっている。葉っぱがなくて、地面からいきなり花が咲いてるような感じだ。いわゆる無葉緑植物ってヤツっぽい。たいがいは他の植物や菌類から栄養を拝借して暮らす植物で、有名なギンリョウソウやイチヤクソウを始め、たくさん種類があるけれども自分はこれは知らん。なんだろ?

あとで植物に詳しい知り合いに聞いてみたら、キヨスミウツボという名前の植物らしい。すこし珍しい植物で、以前紹介したことのあるハマウツボの遠縁にあたり、アジサイの仲間をはじめとした植物に寄生する種類らしい。そう言われれば確かにコアジサイがそこかしこに花を咲かせている。

まあ本当に珍しいかはさておき、発生期間が短い上に、見た目にかなり地味なので、よほど目の肥えた人でなきゃまず見つからんよな。自分もヌナワタケの真ん前に生えてなかったらまず気付かなかったし、もう一度案内しろと言われても、もう見つける自信がない(^-^;


キノコのおかげでなかなか良いものを観察できた。


ぬなわたけ

2022-06-26 19:28:45 | キノコ

三重県は6月14日に梅雨入り。例年よりちょっと遅め。

問題はちゃんと降るかどうかだね。あんまり降りすぎても困るんだが。

久々の山行きに出てみた。鈴鹿の山々はおしなべてキノコの乏しい土地柄なので、そんなに期待してはいなかったけど、それでも多少は生えていた。
小さな木片に生えていたのはヌナワタケ。色彩は地味でありながらも、柄にだけぬめりがあるのが大きな特徴の小型キノコだ。雨上がりで潤った柄が、ゼリーのような透明の粘液に包まれているのが見えるだろうか。

雨上がりでこちらもまた絶好調のヤマビルどもと格闘しながらの撮影だ。なかなかにシンドイ。


べにやまたけ

2022-05-08 08:41:23 | キノコ創作

春山に

おき火の如し赤茸(あかなば)の

花に負けじともゆる思いは


《春の林にベニヤマタケを見つけた。その赤さは、炎をあげぬまま煌々と燃える炭のおき火のように、同じ季節に咲き誇る花たちに負けないほどの気持ちをあらわにしているものであろう。》


ベニヤマタケは鮮やかな色のものが多いアカヤマタケ属の仲間。

春から秋まで、わりと季節を選ばず発生するキノコだが、ことに九州や山口県において、春、野焼きの跡地に生えてくるものが「あかなば」と呼ばれ、古くから食卓にも饗されたようだ。

特段に美味しいというわけでもないが、長い冬を耐えた者だけがわかる喜びを味わうといった意味で、山辺に暮らすものにささやかとは言え特別な幸せを感じさせるものであったことだろう。

火のような鮮やかな赤さを食することで、我が身のうちの命の火を新たにした、そんな思いを抱かせるキノコだったかもしれない。