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「ガザ病院で280人超の遺体発見 「恐怖を覚える」と国連人権高等弁務官」

2024年04月25日 | 国家・社会
「 BBCニュース」 2024年4月24日 
■ガザ病院で280人超の遺体発見 「恐怖を覚える」と国連人権高等弁務官

【写真】重機がないため人力で遺体を掘り起こすパレスチナ人(ガザ・ナセル病院),REUTERS 

 パレスチナ自治区ガザ地区の当局は、南部ハンユニスのナセル病院の敷地内で283人の遺体が見つかったと発表した。国連のフォルカー・トゥルク人権高等弁務官は23日、「恐怖を覚える」と述べ、独立した調査の実施を求めた。
 死亡した経緯や、遺体が埋められた時期は明らかになっていない。
 ガザ地区でイスラム組織ハマスとの戦闘を続けるイスラエル国防軍(IDF)が遺体を埋めたとの見方も出ているが、IDFは「根拠がない」とした。
 一方でIDFは、2月にナセル病院で2週間にわたって作戦を実施した際、パレスチナ人によって埋められた複数の遺体を「調査した」と説明。IDF部隊が「インテリジェンス(機密情報)によって人質がいる可能性が示された場所で」調査したとした。
 既に解放されている10人の元人質は、ナセル病院で長期間拘束されていたと証言している。
 IDFがナセル病院で作戦を実施する前、同病院のスタッフは周辺地域で戦闘があり、複数の墓地へのアクセスが断たれたことから、病院の中庭に遺体を埋葬せざるをえなかったと語っていた。昨年11月にIDFが北部のアル・シファ病院を初めて襲撃する前にも、アル・シファ病院から同様の報告があった。
 IDFはガザ地区の多数の病院を襲撃したのは、ハマス戦闘員が病院内で活動しているためだとしている。ハマスや医療関係者はこうした主張を否定している。

◆遺体の状態は
 パレスチナ当局は、ナセル病院の敷地内で見つかった283人の遺体のうち42人の身元が確認されたと報告した。国連人権高等弁務官事務所(OHCHR)の報道官は、現在その裏付けを取っているところだと述べた。
 「犠牲者は地中深くに埋められ、廃棄物で覆われていたと報告されている」と、ラヴィナ・シャムダサニ報道官はスイス・ジュネーヴで記者団に語った。
 「死者の中には高齢者や女性、けがをした人がいたとされる。また、(中略)手を縛られたり、衣服をはぎ取られたりした状態で発見された人もいた」。
 トゥルク人権高等弁務官は、死者に関する独立した、効果的で透明性のある調査の実施を求め、「処罰を受けずに済むという空気が広がっていることを考慮すると、国際的な調査官を加えるべきだ」と述べた。
 「病院は国際人道法の下で非常に特別な保護を受ける権利がある。そして民間人や拘束者、戦闘能力のない(敵対行為に参加していない)人々を意図的に殺害することは戦争犯罪にあたる」。

◆ハマス、IDFが遺体を別の場所に埋めたと
 ハマスが運営する民間防衛隊の報道官は22日、BBCアラビア語の番組「ガザ・トゥデイ」に対し、ガザでの戦闘中に殺害され、病院の中庭にあるその場しのぎの墓地に埋葬された「多数の」遺体が、イスラエルによる襲撃の最中に別の場所に移されたとの報告を、現地の複数のパレスチナ人から受けたと語った。
 「調査した結果、占領軍(IDF)が集団墓地をつくり、ナセル病院にあった遺体を掘り起こしてその集団墓地に埋めたことが分かった」と、マフムード・バサル報道官は述べた。
 「ガザ・トゥデイ」はまた、親戚の男性2人の遺体を探しているという男性に話を聞いた。この男性は、IDFが最近終了した攻撃の最中に、親戚の遺体を持ち出したとしている。
 「私が親戚の遺体をアパートの敷地内に埋葬した後、(IDFが)やって来て、遺体を移動させた」と男性は述べた。「私たちは毎日、彼らの遺体を探しているが、見つからない」。
 ハマスは、こうした遺体にはIDFによって「冷酷に処刑された」人が含まれると主張しているが、証拠は示していない。

◆ハマスの主張は「根拠がなく事実無根」とIDF
 IDFは23日の声明で、「IDFがパレスチナ人の遺体を埋めたという主張には根拠がなく、事実無根だ」と述べた。
 「ナセル病院周辺でのIDFの作戦中、人質や行方不明者の捜索活動に基づいて、パレスチナ人がナセル病院周辺に埋めた遺体の調査が行われた」。
 「調査は人質がいる可能性を示す情報があった場所でのみ、慎重に実施された。死者の尊厳を保ちつつ、敬意を持って実施された。調査した遺体のうちイスラエル人の人質ではなかった遺体は、もとの場所に戻された」。
 IDFは病院への襲撃で「病院内にいたテロリスト約200人」を拘束し、弾薬のほか、イスラエル人の人質のための未使用の医薬品も発見したという。
 また、この襲撃は「標的を絞った方法で、病院や患者、医療スタッフに危害を加えることなく」実施されたと主張した。

◆病院で何が
 しかし、3人の医療スタッフは先月、BBCに対し、襲撃を受けた際に拘束され、屈辱的な扱いを受けたと述べた。殴打され、冷や水を浴びせられ、何時間もひざまずくことを強要されたとも語っていた。
 IDFに占領された後もナセル病院に残っていたという医療スタッフによると、水や電気、そのほかの物資が不足するなどし、患者のケアができずに13人が死亡したという。
 4月1日、IDFはガザ市内のアル・シファ病院から引き揚げた。IDFはアル・シファ病院での作戦について、「ハマスのテロリストらがアル・シファ病院内で再編成された」ために実施された、もう一つの「正確な」作戦だったとしている。
 IDFは当時、2週間にわたる襲撃で病院とその周辺で200人の「テロリスト」を殺害したと発表した。また、500人以上を拘束し、複数の武器や情報が「病院の至る所で」見つかったと付け加えた。
 その5日後、世界保健機関(WHO)はアル・シファ病院にチームを派遣。同病院は「今や空っぽの抜け殻状態」で、ほとんどの建物が広範囲にわたって損傷または破壊され、大部分の設備は使用できない状態か灰になっていると、WHOは説明した。
 また、救急診療や管理棟、外科病棟のすぐ外には地面の「浅い部分に多数の墓」が掘られ、「多くの遺体の手足が見える状態で、部分的に埋められていた」とした。
 IDFはアル・シファ病院についても、患者に危害が及ばないようにしたと主張している。
 しかし、WHOは同病院の院長代理の話として、IDFに包囲されている間、患者はひどい状況に置かれていたとした。治療へのアクセスが欠如し、医療スタッフの移動が制限されていたことから、少なくとも20人の患者が死亡したと報じられている。
 OHCHRのシャムダサニ報道官は、2つの埋葬地に計30人の遺体が埋められており、そのうち12人の身元が判明していることが、OHCHRが確認した複数報告書で示されていると述べた。
 ガザの市民防衛部門の報道官は9日、アル・シファ病院の周辺から381人の遺体が収容されたと米CNNに述べた。ただ、この数には同病院の敷地内に埋められた人は含まれていない。
 トゥルク国連人権高等弁務官は、ここ数日の、イスラエルによるガザ南部ラファへの一連の空爆の犠牲者の大半は女性と子供で、「戦争行為を超えている」と非難した。
 20日夜には、死亡した妊婦に緊急帝王切開が行われ、胎児が取り出された。女性の夫ともう1人の娘も死亡した。
 トゥルク氏は、150万人が避難しているラファに対する全面的な地上攻撃は、国際人道法と人権法に対するさらなる違反につながると、イスラエル側に再び警告した。
これに対してIDFは、「ハマスの軍事・行政能力を解体するために活動している」と主張した。
 そして、「ハマスがイスラエルの男性や女性、子供たちを意図的に攻撃しているのとはまったく対照的に、IDFは国際法に従い、民間人の被害を軽減するために実現可能な予防措置を講じている」と付け加えた。

(英語記事 UN rights chief 'horrified' by mass grave reports at Gaza hospitals)


「NHK NEWS WEB」 2024年4月24日 12時49分
■ガザ南部の病院で300人以上の遺体 国連“独立した調査必要”
 イスラエル軍による軍事作戦が続くガザ地区では23日も北部で激しい空爆がありました。一方、南部ハンユニスの病院で300人以上の遺体が見つかった問題で国連は独立した調査が必要だと訴えました。
 ガザ地区でイスラム組織ハマスに対する攻撃を続けるイスラエル軍は23日には北部の町、ベイトラヒヤの一部の住民に指定する場所まで退避するよう通告を出しました。
 イスラエル軍はSNSで、この地域からイスラエル側に向けてロケット弾4発が発射されたとして、住民に退避の通告を出したあと、ロケット弾が発射された場所付近のトンネルの坑道や軍事施設などを空爆したとして、映像を公開しました。
 映像では、爆発とともに炎と煙が上がる様子が確認できます。
 一方、イスラエル軍が今月初めに部隊を撤収させた南部ハンユニスにあるナセル病院では、23日、これまでに少なくとも310人の遺体が見つかったと中東の衛星テレビ局アルジャジーラなどが伝えています。
 これに対し、ロイター通信はイスラエル軍が「根拠がない」と述べた上で「以前パレスチナ人が埋葬した遺体を人質捜索のために調査し、元の場所に戻した」と主張したと伝えています。
 ガザ地区ではナセル病院のほかにも地区最大のシファ病院でも多数の遺体が見つかったと伝えられていて、国連人権高等弁務官事務所の報道官は、23日、記者会見で人権高等弁務官の談話として、「ナセル病院やシファ病院の破壊や病院とその周辺で大量の遺体が埋葬されていたのが見つかったことについてぞっとしている」と非難しました。
 その上で「遺体について効果的で透明な、独立した調査を求める」として死亡した原因などについて調査の必要性を訴えました。
林官房長官 “人道状況深刻 即時停戦求める”
  林官房長官は、午前の記者会見で「ガザ地区では連日、多数の子どもや女性、高齢者を含む死傷者が発生するなど、危機的な人道状況はさらに深刻さを増している」と述べました。
 そのうえで、「わが国として、人質の解放が実現するよう即時の停戦を求めるとともに、持続可能な停戦につながることを強く期待しており、当事者に、直ちに人道的観点から行動するよう求めている。引き続き、外交努力を粘り強く積極的に行っていく」と述べました。


「 AFP」 2024年4月23日 12:30 発信地:パレスチナ自治区/パレスチナ自治区
■ガザ病院埋葬の遺体、200人に ハマスは283人と主張

【写真】パレスチナ自治区ガザ地区ハンユニスのナセル医療複合施設の敷地で、掘り起こされた遺体(2024年4月21日撮影)。(c)AFP

【4月23日 AFP】パレスチナ自治区ガザ地区(Gaza Strip)南部ハンユニス(Khan Yunis)の医療施設に多数の遺体が埋められていた問題で、民間防衛当局は22日、3日間の捜索で見つかった遺体は約200人になったと発表した。犠牲者はイスラエル軍に殺害、埋葬されたとされる。
 民間防衛当局の広報担当者はAFPに「職員は現在もナセル医療複合施設(Nasser Medical Complex)で遺体の収容を続けている。20日以降、200人近い殉教者の遺体が収容された」と話した。

 また、腐敗している遺体もあり身元確認は難航しているが、努力を続けると述べた。
 一方、ガザ地区を実効支配するイスラム組織ハマス(Hamas)の報道担当者は、同施設で見つかった遺体は283人だと主張。「子どもや女性を含む民間人への犯罪行為についての徹底的な国際調査を要求する」と語った。
 イスラエル軍は「この件については後日発表する」とコメントした。
 同施設一帯では2月半ばに激しい戦闘があり、3月26日にはイスラエル軍の戦車や装甲車に包囲された。(c)AFP

「 AFP」 2024年4月22日 13:03 発信地:パレスチナ自治区/パレスチナ自治区
■ガザ南部病院に50人超の遺体 拷問の痕も

【写真】パレスチナ自治区ガザ地区ハンユニスのナセル医療複合施設の敷地で、遺体を掘り起こす医療従事者ら(2024年4月21日撮影)。
【写真】パレスチナ自治区ガザ地区ハンユニスのナセル医療複合施設の敷地で、掘り起こされた遺体(2024年4月21日撮影)。
【写真】パレスチナ自治区ガザ地区ハンユニスのナセル医療複合施設の敷地から掘り起こされた親族の遺体のかたわらで嘆く人(2024年4月21日撮影)。
【写真】パレスチナ自治区ガザ地区ハンユニスのナセル医療複合施設の敷地で、親族の遺体が見つかり泣き崩れる人(2024年4月21日撮影)。

【4月22日 AFP】パレスチナ自治区ガザ地区(Gaza Strip)の民間防衛当局は21日、南部ハンユニス(Khan Yunis)の医療施設で、イスラエル軍に殺害された少なくとも50人の遺体を医療従事者が掘り起こしたと発表した。
 当局はAFPに、遺体が見つかったのはナセル医療複合施設(Nasser Medical Complex)の中庭だと説明した。
 当局の広報担当者は、同施設には「イスラエル占領軍が掘った集団埋葬地が複数あり、そのうちの一つできのう、50人の殉教者の遺体が見つかり衝撃を受けている」と述べた。また、「きょうも捜索活動が続いており、最終的な殉教者数を把握するため、全ての埋葬地の掘り起こしが終わるのを待っている」と語った。
 同担当者は「衣服を身に着けていない遺体もあり、これは間違いなく(死者が)拷問され虐待されたことを示している」と主張した。
 同施設一帯では2月半ばに激しい戦闘があり、3月26日にはイスラエル軍の戦車や装甲車に包囲された。
 AFPカメラマンもこの日、民間防衛当局の職員が施設の中庭で遺体を掘り起こしているのを目撃した。白い布に包まれた数人の遺体が親族に引き取られたという。
 イスラエル軍はこの発表について、事実関係を調査しているとコメントした。



「中央日報日本語版」 2024.04.22 08:44
■「ガザ地区病院中庭から密葬された遺体が少なくとも50体」
 イスラエルとハマスの戦争
 ガザ地区南部最大の都市ハーン・ユーニスにある大型病院の中庭から埋葬された遺体が数多く見つかったと21日(現地時間)、AFP通信が報じた。
 メディアによると、ガザ地区民防衛局は20日からハーン・ユーニスのナセル病院団地内の中庭から密葬された遺体を少なくとも50体探し出したと発表した。
 防衛局報道官は遺体発掘のことを伝えながら「すべての集団埋葬地を掘り返してはじめて最終殉教者の数を確認することができる」と話した。
 続いて「一部の遺体は衣服を脱がされた状態で埋蔵された」とし「これは彼らが拷問と虐待を受けたことを確実に見せている」と強調した。
 イスラエルと戦争中のハマスは声明を通じて50体の遺体が見つかった病院の中庭を共同墓地と称した。
 イスラエル国防軍は2月中旬にナセル病院を急襲した。
 当時イスラエル国防軍首席報道官のダニエル・ハガリ氏(少将)は「ハマスがナセル病院に人質を捉え、(病院には)死亡した人質の遺体があるという、信じるだけの情報がある」とし「これに伴い、病院内部で精密かつ制限的な作戦を展開している」と言及していた。
 このような軍事作戦によって医療陣や患者が強制避難し、国連は病院運営に支障が生じたとして懸念を示していた。
 ハマス掃討のためにハーン・ユーニスで作戦を実行していたイスラエル国防軍は7日、ガザ南部から兵力を撤収させた。


「 AFP」 2024年4月22日 12:09 発信地:ワシントンD.C./米国
■米、人権侵害でイスラエル軍部隊に制裁へ 報道

【写真】イタリア・カプリ島で、先進7か国(G7)外相会合閉幕後に記者会見に臨むアントニー・ブリンケン米国務長官(2024年4月19日撮影)。(c)Tiziana FABI / AFP

【4月22日 AFP】米国は、パレスチナ自治区ヨルダン川西岸(West Bank)で人権を侵害している疑いがあるとして、一部のイスラエル軍部隊に近く制裁を科す見通しだ。同国のベンヤミン・ネタニヤフ(Benjamin Netanyahu)首相は20日、そうした動きについて「愚行の極み」だと非難した。
 米ニュースサイト・アクシオスは同日、米情報筋3人の話として、アントニー・ブリンケン(Antony Blinken)国務長官が「数日中にも」イスラエル軍大隊への制裁を発表する見込みだと報道。制裁により、同部隊は米国の軍事支援や訓練を受けることが禁じられる。
 これに先立ち、ニューヨークの非営利報道組織プロパブリカも、国務省の特別委員会が昨年12月、西岸で活動するイスラエル軍の複数部隊や警察部隊に対して米国の支援を停止するようブリンケン氏に勧告したと報じていた。
 この件についてイタリア訪問中に記者から質問されたブリンケン氏は、報道内容を否定しなかった。詳細は明らかにしなかったものの、人権を侵害している外国の治安部隊への軍事支援を禁じる米国法に基づき、調査を行っていると説明。「決定は下している。数日後には結果が判明するだろう」と述べた。
 イスラム組織ハマス(Hamas)による昨年のイスラエルへの越境攻撃に先立つ2022年末、国務省は、在イスラエル米大使館の職員に対し、超正統派の兵士で構成された「ネツァ・イェフダ(Netzah Yehuda)」大隊による西岸での暴行疑惑を調査するよう指示。この中には、同年1月、パレスチナ系米国人(78)が拘束された後に心臓発作で死亡した件も含まれていた。
 米国がイスラエル軍部隊への制裁を示唆したのを受け、ネタニヤフ氏はX(旧ツイッター)で、「わが国の兵士がテロリストの怪物と戦っている時に軍の一部隊に制裁を科そうとするのは愚行の極み」だと反発。「わが政権はこうした動きを断固阻止する」と表明した。


「AFP」 2024年4月14日 16:27 発信地:エルサレム/中東・アフリカ
■ハマス、新たなガザ休戦案を拒否 イスラエル

【写真】パレスチナ自治区ガザで、イスラエル軍による爆撃で立ち上る煙を見る住民(2024年4月11日撮影)。
【写真】パレスチナ自治区ガザのヌセイラットで、イスラエル軍の爆撃後に出動する消防車(2024年4月12日撮影)。
【写真】パレスチナ自治区ガザ地区のデイルアルバラフで、イスラエル軍の爆撃で負傷し、病院で治療を受ける記者(2024年4月12日撮影)。
【写真】パレスチナ自治区ガザで、イスラエル軍による爆撃で負傷した少女を運ぶ住民(2024年4月11日撮影)。
【写真】パレスチナ自治区ガザで、イスラエル軍の爆撃を受けた住宅の被害を確認する住民(2024年4月12日撮影)。
【写真】パレスチナ自治区ガザのヌセイラットで、イスラエル軍の爆撃を受けた建物の残骸(2024年4月12日撮影)。
【写真】パレスチナ自治区ガザのヌセイラットで、イスラエル軍の爆撃後に立ち上る煙(2024年4月12日撮影)。

【4月14日 AFP】イスラエルの対外特務機関モサド(Mossad)は14日、イスラム組織ハマス(Hamas)が、パレスチナ自治区ガザ(Gaza Strip)での新たな休戦案を拒否したと明らかにした。
 モサドはイスラエル首相府を通じて発表した声明で、休戦案の拒否はハマスが人道的な取引や人質の返還を望んでいないことを示していると指摘。「(イスラエルと)イランとの緊張を利用」して、中東全体の緊張を激化させることを狙っていると非難した。

 一方のハマスは、「恒久的な停戦」と「ガザ全域からの(イスラエル)占領軍の撤退」を求める考えを変えていない。


「 AFP」 2024年3月27日 15:45 発信地:ジュネーブ/スイス
■ガザで「ジェノサイド」 国連特別報告者指摘に支持相次ぐ 人権理

【写真】国連人権理事会で発言するフランチェスカ・アルバネーゼ特別報告者(左)。スイス・ジュネーブで(2024年3月26日撮影)。(c)Fabrice COFFRINI / AFP【写真】国連人権理事会でフランチェスカ・アルバネーゼ特別報告者(画面右)の発言を聞く各国代表。スイス・ジュネーブで(2024年3月26日撮影)。(c)Fabrice COFFRINI / AFP 

【3月27日 AFP】国連人権理事会(UN Human Rights Council)からパレスチナ自治区の特別報告者に任命されているフランチェスカ・アルバネーゼ(Francesca Albanese)氏は26日の理事会で、イスラエルが同自治区ガザ地区(Gaza Strip)で実行している軍事作戦は「ジェノサイド(集団殺害)行為」に当たるとの持論を重ねて表明した。それを受け、アラブ諸国や中南米諸国から支持する声が相次いだ。
 アルバネーゼ氏は、「ガザにおける(イスラエルの)ジェノサイドの意思は明々白々であり、われわれは目を背けてはならず、立ち向かい、防ぎ、罰しなければならない」と主張。各国に対し、対イスラエル武器禁輸と制裁措置を呼び掛けた。
 それに対しパキスタンの代表はイスラム協力機構(OIC)を代表し、「(イスラエル)軍はハゲワシのように(ガザ南部)ラファ(Rafah)を取り囲み、ヨルダン川西岸(West Bank)では強欲にも土地侵略を続けている」とし、武器禁輸・制裁への支持を表明した。
 またエジプト代表はアラブ諸国を代表して、イスラエルは「ガザを構造的、計画的に攻撃し、人が住めないようにしようとしている」と非難した。
 イスラエルと後ろ盾の米国の代表は欠席した。(c)AFP/Robin MILLARD


「AFP」 2024年3月26日 12:42 発信地:ジュネーブ/スイス
■イスラエル、ガザで「ジェノサイド条約」違反 国連特別報告者

【写真】パレスチナ自治区ガザ地区南部の病院にイスラエル軍の攻撃で負傷した子どもを運び込む男性(2024年3月24日撮影)。(c)MOHAMMED ABED / AFP
【写真】パレスチナ自治区ガザ地区南部ラファで、イスラエル軍の攻撃で破壊された建物のそばを移動するパレスチナ人の家族(2024年3月24日撮影)。(c)MOHAMMED ABED / AFP 
【写真】パレスチナ自治区ガザ地区で、イスラエル軍の攻撃で親族を亡くした男性(2024年3月21日撮影)。
【写真】パレスチナ自治区ガザ地区中部から南部に退避するパレスチナ人の人々(2024年3月21日撮影)。
【写真】パレスチナ自治区ガザ地区北西部で、破壊された建物のそばを歩く男性(2024年3月25日撮影)。 
【写真】パレスチナ自治区ガザ市からガザ地区中部に退避するパレスチナ人の人々(2024年3月21日撮影)。 
【写真】パレスチナ自治区ガザ地区でイスラエル軍の攻撃で立ち上る煙。イスラエル南部から撮影(2024年3月14日撮影)。(c)JACK GUEZ / AFP 

【3月26日 AFP】国連人権理事会(UN Human Rights Council)からパレスチナ自治区の特別報告者に任命されているフランチェスカ・アルバネーゼ(Francesca Albanese)氏は25日、イスラエルがパレスチナ自治区ガザ地区(Gaza Strip)での軍事作戦で「ジェノサイド(集団殺害)」に相当する行為を働いたと判断する「合理的な根拠」があるとの報告書を公表した。「民族浄化」の恐れがあることにも警鐘を鳴らしている。
 アルバネーゼ氏は、イスラエルがガザで、国連のジェノサイド条約に記載されている五つの行為のうち三つに違反しているのは明らかだと指摘。
 報告書は違反行為として、「集団構成員の殺害」「集団構成員に対する重大な肉体的または精神的な危害」「集団の全部または一部に肉体の破壊をもたらすために意図された生活条件の強要」を挙げた。
 さらに、イスラエル政府の一部高官が、パレスチナ人の強制移住と自国民の入植拡大を表明していることについて、「退避命令と安全地帯を、民族浄化を達成するための集団殺害の道具として使っている」と糾弾している。
 国連の特別報告者は国連人権理事会によって任命されるが、国連を代表する立場にはない。
 スイス・ジュネーブのイスラエル代表団は、同国は「報告書の内容を断固否定する」とし、「イスラエル国家の樹立そのものを否定しようとする試みの一端にすぎない」と反発。
 「イスラエルの戦争は(イスラム組織)ハマス(Hamas)に対するものであり、パレスチナ住民に対するものではない」と主張した。
 米政府当局者はAFPに対し、報告書について把握しているが、「イスラエルがガザで集団殺害を行ったと信じるに足る根拠は得ていない」と語った。


「AFP」 2024年3月25日 13:09 発信地:パレスチナ自治区
■ガザ住民「恐怖と飢餓」に直面 国連総長、支援拡大と即時停戦訴え

【写真】パレスチナ自治区ガザ地区とエジプトの境界にある同国側のラファ検問所で記者会見する国連のアントニオ・グテレス事務総長(2024年3月23日撮影)。(c)Khaled DESOUKI / AFP
【写真】パレスチナ自治区ガザ地区とエジプトの境界にある同国側のラファ検問所を訪問した国連のアントニオ・グテレス事務総長(中央、2024年3月23日撮影)。(c)Khaled DESOUKI / AFP 
【写真】パレスチナ自治区ガザ地区ラファに近いエジプト・アリーシュにある空港に到着した国連のアントニオ・グテレス事務総長(中央、2024年3月23日撮影)。(c)Khaled DESOUKI / AFP 

【3月25日 】国連(UN)のアントニオ・グテレス(Antonio Guterres)事務総長は24日、訪問先のエジプトで、パレスチナ自治区ガザ地区(Gaza Strip)の住民は「恐怖と飢餓」にさらされているとして、人道支援の拡大と即時停戦を訴えた。
 グテレス氏は、多数の住民が避難している南部ラファ(Rafah)への地上侵攻を計画しているイスラエルに対し、計画の実行を思いとどまるよう要請。
 ガザでは240万人の住民が「ノンストップの悪夢」を強いられているとし、「銃を置き、即時の人道的停戦をすべき時がとっくにきていることを世界中が認識している」と述べた。
 さらに、ラファでは人道支援物資の輸送トラックが足止めされているとして、イスラエルに搬入を許可するよう求めた。
 イスラエル軍はこれを受け、SNSで、国連に物流面での拡充を促し、「自分たちの失態をイスラエルのせいにするのはやめるべきだ」と反論した。


「AFP」 2024年3月23日 12:40 発信地:エルサレム/中東・アフリカ
■イスラエル、西岸の800ヘクタール「国有地化」 米国務長官の訪問中

【写真】パレスチナ自治区ヨルダン川西岸のイスラエル入植地(上、2024年2月29日撮影)。(c)Menahem Kahana / AFP
【写真】イスラエルのベンヤミン・ネタニヤフ首相(右)とベツァレル・スモトリッチ財務相(2024年1月7日撮影)。(c)RONEN ZVULUN / POOL / AFP 

【3月23日 AFP】イスラエル極右のベツァレル・スモトリッチ(Bezalel Smotrich)財務相は22日、占領下に置くパレスチナ自治区ヨルダン川西岸(West Bank)のヨルダン渓谷(Jordan Valley)北部にある土地800ヘクタールを「国有地化」すると発表した。
 イスラエルの入植活動を監視するNGO「ピース・ナウ(Peace Now)」によれば、1回の接収面積としては1993年にオスロ合意(パレスチナ暫定自治宣言)が調印されて以降最大。2024年の接収面積も過去最大となる見通しだという。
 接収の発表は、ベンヤミン・ネタニヤフ(Benjamin Netanyahu)首相率いる強硬右派政権の入植地拡大を批判してきた米国のアントニー・ブリンケン(Antony Blinken)国務長官のイスラエル訪問中に行われた。ピース・ナウは「挑発」との見方を示している。
 西岸でのユダヤ人入植地の拡大は国際法違反と見なされているにもかかわらず、スモトリッチ氏は拡大計画を推し進めている。(c)AFP


「AFP」 2024年3月22日 14:41 発信地:ワシントンD.C./米国
■ガザ戦闘、若者の方がイスラエルに批判的 米

【写真】米首都ワシントンで行われたパレスチナ支持者によるデモ(2024年3月2日撮影)。(c)Mandel NGAN / AFP

【3月22日 AFP】パレスチナ自治区ガザ地区(Gaza Strip)での戦闘をめぐり、米国の若者は他の年齢層よりもイスラエルに対してはるかに批判的であることが、米調査機関ピュー・リサーチ・センター(Pew Research Center)が21日に公表した調査結果で明らかになった。
 調査では、昨年10月7日のイスラム組織ハマス(Hamas)による奇襲攻撃に対するイスラエルの対応について、18~29歳の46%が「許容できない」と回答。21%が「許容できる」とし、残りは「どちらとも言えない」と答えた。
 年齢が上がるにつれ、この数字はほぼ反転している。65歳以上でイスラエルの対応を支持すると答えた人は53%に上る一方、許容できないと答えたのは29%だった。
 調査は1万2693人を対象に行われた。
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「日本の靖国神社集団参拝に…徐坰徳氏「世界のメディアに告発」」

2024年04月25日 | 国民国家日本の侵略犯罪
「中央日報日本語版」 2024.04.25 13:38
■日本の靖国神社集団参拝に…徐坰徳氏「世界のメディアに告発
 日本超党派の国会議員約90人が靖国神社を集団参拝して議論になっている中、誠信(ソンシン)女子大学の徐坰徳(ソ・ギョンドク)教授がこれを世界の主要言論に告発した。靖国神社には太平洋戦争A級戦犯が合祀されている。
 25日、徐教授は自身のインスタグラムに「AP通信、ロイター通信、CNN、BBC、ニューヨーク・タイムズ、新華社通信など世界主要20カ国約50のメディアに靖国神社および参拝についての問題点を一つひとつ指摘した」と明らかにした。
 これに先立ち、21日には岸田文雄首相が靖国神社に供物を奉納し、新藤義孝経済再生担当相は靖国神社を訪れて直接参拝した。
 徐教授は「告発メールで靖国神社を日本の政治家たちが持続的に参拝するのは自分たちの侵略戦争を『正当化』しようとする狙いで、歴史を否定する行為だと強調した」と伝えた。
 また「今後、北東アジアの平和と繁栄のために日本のこのような行為を全世界に広く知らしめて世界的な世論が形成されるように協力してほしいと呼びかけた」と説明した。
 靖国神社は明治維新戦後、日本で起きた内戦と日帝が起こした数多くの戦争で亡くなった246万6000人余りの英霊を追悼する施設だ。
 特に極東国際軍事裁判により処刑された東條英機元首相など太平洋戦争A級戦犯14人も合祀されている。徐教授は「世界的な世論を通じて日本の間違った部分を引き続き圧迫していく」と付け加えた。


「聯合ニュース」 2024.04.23 16:38
■韓国政府 超党派議連の靖国参拝に「反省を行動で」 
【ソウル聯合ニュース】韓国政府は23日、東京の靖国神社で始まった春季例大祭に合わせ、超党派の「みんなで靖国神社に参拝する国会議員の会」が同日午前に集団参拝したことについて、反省を行動で示すよう求めた。参拝には自民党や日本維新の会などの衆参両院議員約90人が参加した。

【写真】「みんなで靖国神社に参拝する国会議員の会」は23日午前、春季例大祭に合わせて東京の靖国神社を集団参拝した=(共同=聯合ニュース)

 韓国外交部の任洙ソク(イム・スソク)報道官はこの日の定例会見で、「政府は日本の責任ある人たちが歴史を直視し、過去に対する謙虚な省察と真の反省を行動で示すことを促す」と述べた。
 閣僚では高市早苗経済安全保障担当相が参拝した。
 例大祭初日の21日には岸田文雄首相が内閣総理大臣の名前で供え物の「真榊(まさかき)」を奉納したほか、新藤義孝経済再生担当相が参拝している。韓国外交部は当日、報道官論評で遺憾を表明した。


「中央日報日本語版」2024.04.23 09:54
■日本国会議員、戦犯合祀の靖国神社に集団参拝
 日本超党派の国会議員が太平洋戦争A級戦犯が合祀された靖国神社を集団参拝した。
 23日、時事通信によると、「みんなで靖国神社に参拝する国会議員の会」所属議員は靖国神社の春季例大祭を迎えて、この日午前、集団で靖国神社を訪れて参拝した。
 同会所属議員は毎年春季および秋季例大祭に靖国神社を訪れていて、昨年10月秋季例大祭期間にも集団参拝していた。
 これに先立ち、岸田文雄首相は21日、靖国神社に内閣総理大臣名義で「真榊(まさかき)」と呼ばれる供物を奉納した。真榊は神社の祭壇に捧げる榊の祭具を称する。
 同日、新藤義孝経済再生担当相は自ら靖国神社を訪れて参拝した。
 これに対して韓国政府は「深い失望と遺憾」を表わして抗議した。韓国外交部は同日論評を出して「政府は日本の責任ある指導者が歴史を直視して過去の歴史に対する謙虚な省察と真の反省を行動で示すよう求める」とし「これは未来志向の韓日関係発展の重要な土台であることをもう一度強調する」とした。
 東京千代田区にある靖国神社は明治維新以降、日本で起きた内戦と日本が起こした戦争で亡くなった246万6000人余りの英霊を賛える施設だ。
 このうち90%は太平洋戦争関連の人物で極東国際軍事裁判(東京裁判)により処刑された東條英機元首相ら太平洋戦争A級戦犯14人も合祀されている。


「The Hankyoreh」 2024-04-17 07:49
■[社説]米日同盟が重要になるほど、日本は明確な歴史認識を
 日本は今年の外交青書でも、韓国の領土である独島(トクト)を自分たちの「固有の領土」だとする誤った主張を繰り返した。また、韓国人強制動員被害者に対する賠償判決についても「極めて遺憾であり、断じて受け入れられない」との立場を維持した。中国を含む東アジア全体の平和と安定のためにも、日本は過去の歴史の過ちを謙虚に振り返り、謝罪、反省する態度を維持すべきである。
 日本の外務省が16日に公開した2024年版外交青書を見ると、今年も韓国の領土である独島について「日本固有の領土」だとしつつ、韓国が「不法占拠し続けてきている」という無理な主張を繰り返した。韓日の最大懸案として残っている強制動員被害者に対する賠償判決についても、受け入れられないとの主張を繰り返した。
 日本の外交青書をめぐって例年のように繰り返される攻防よりも懸念されるのは、「忘却の談話」である2015年の安倍談話以降、はっきりと後退した日本の歴史認識だ。日本政府はその後、先の植民地支配と侵略について明確な謝罪と反省(1995年村山談話)の意思を明らかにするのではなく、「歴史認識に関する歴代内閣の立場を全体として引き継いでいる」という曖昧な表現を使っている。加害責任を直視しようとしない卑怯(ひきょう)な態度だ。
 退行する日本の歴史認識がさらに懸念されるのは、このところ米日同盟が名実共に「グローバル同盟」へと成長し、日本の軍事的役割が大きく拡大しているからだ。米日は今月10日の首脳会談で「未来のためのグローバル・パートナー」と述べつつ、「自衛隊と米軍との間の相互運用性及び計画策定の強化を可能にするため、二国間でそれぞれの指揮・統制の枠組みを向上させる」と宣言した。より強められ、一体化する米日同盟は、インド太平洋地域において中国に強い軍事的圧力をかけるものになるとみられる。日本が今のように歴史を反省しないなら、「法と規則の重要性」を強調していくら正しいことを言ったとしても、中国は受け入れようとはしないだろう。
 自衛隊はこのところ、侵略戦争の象徴である靖国神社を集団参拝したり、SNSでアジア侵略を正当化する「大東亜戦争」との表現を使うなど、極めて憂慮すべき姿を見せている。日本のメディアからでさえ「アジアへの植民地支配と侵略、国民を存亡の危機に陥れた敗戦という歴史への反省の風化を強く懸念する」(13日、朝日新聞)などの声があがっている。岸田文雄首相は、弛緩した日本政府の歴史認識が自衛隊に影響を及ぼしたのではないかということを、真剣に反省すべきだ。尹錫悦(ユン・ソクヨル)政権も、韓日関係の持続的な発展のためにも、日本の過ちははっきりと指摘する断固たる姿勢を示すべきだ。
(お問い合わせ japan@hani.co.kr )
韓国語原文入力:2024-04-16 18:05


「The Hankyoreh」 2024-04-17 06:40
■韓国政府「日本外交青書」に立場表明…独島には抗議、歴史問題には沈黙
 日本の外交青書2024に対し 
 韓国政府、論評と会見で立場表明

【写真】16日、ソウル外交部庁舎に来訪した在韓日本大使館の實生泰介総括公使。韓国政府は16日、日本が外交青書で「竹島は日本の領土」という不当な主張を繰り返したことに対し、直ちに撤回を求め、在韓日本大使館の實生総括公使を呼んで抗議した/聯合ニュース

 韓国政府は16日、日本が外交青書で「竹島は日本の領土」という不当な主張を繰り返したことに対して抗議するという立場を示したが、日帝強占期(日本の植民地時代)の強制動員など韓日の歴史問題に関する部分については、これといった意見表明もなく、沈黙を守った。
 外交部は同日午前、報道官論評を発表し、「日本政府がこの日発表した外交青書を通じて歴史的にも地理的にも国際法的にも明らかに韓国固有の領土である独島に対する不当な領有権主張を繰り返したことに対し、強く抗議する」とし、直ちに撤回するよう求めた。外交部は「韓国政府は、大韓民国固有の領土である独島に対する日本政府のいかなる主張も韓国主権に何の影響も及ぼさないことをもう一度明確にする」としたうえで、「今後も断固として対応していくことを明確に示す」と強調した。
 外交部のイム・スソク報道官は同日の定例会見でも「独島は歴史的にも地理的にも国際法的にも明白な韓国固有の領土であり、独島に対する領有権紛争は存在しない」としたうえで、「韓国政府は独島に対する確固たる領土主権を行使しており、独島に対するいかなる不当な主張にも断固として厳重に対応する」と再度強調した。
 外交部は同日午前、ソウル鍾路区(チョンノグ)の外交部庁舎に在韓日本大使館の實生泰介総括公使を呼んで抗議した。この場で、外交青書内の独島領有権主張などに対する韓国政府の立場を重ねて伝えたものとみられる。
 今回発表された日本の外交青書は、韓国最高裁が2023~2024年に日帝強占期の強制動員被害訴訟で、日本の被告企業に賠償を命じた判決についても、「これらの判決及び、2024年2月に日本企業が韓国裁判所に納付していた供託金が原告側に引き渡された事案については、日本政府として、極めて遺憾であり、断じて受け入れられないとして抗議を行った」と記述した。政府は外交部の論評で、これに対しては韓国側の立場を明示せず、歴史問題をめぐる日本の立場の変化も求めなかった。
 イム報道官は定例会見で、「政府は今後も日本側がこれまで示してきた歴代内閣の歴史認識を揺らぐことなく引き継いでいく中で、未来指向的な両国関係の発展に向けて取り組んでいくことを望んでいる」としたうえで、「韓国政府は強制徴用解決策の趣旨に従って円滑な被害回復のために引き続き努力していく」と述べた。
 イム報道官は「今回の日本の外交青書には、韓国政府の(強制動員関連の)解決策が難しい状態だった韓日関係を健全な関係に戻すことだったという日本政府の評価と、金大中(キム・デジュン)-小渕共同宣言(韓日共同宣言)を含め、歴史認識に対する歴代内閣の立場を引き継いでいるという内容が含まれている」として注目した。さらに「韓国との関係を規定するにあたって、『パートナー』という表現を新たに加えるなど、前年に比べて韓国関連記述が一部改善されたとみている」とし、「来年の国交樹立60周年を控え、未来指向的な韓日関係を構築していくうえで、両国が緊密に協力していくことを望んでいる」と述べた。日本と歴史問題をめぐる隔たりを埋め、韓日協力に重点を置く姿だ。
 日本は外交青書で、韓国が独島を「不法占拠」しているという表現を2018年以来7年連続で使っている。尹錫悦(ユン・ソクヨル)政権は韓日関係を改善したという成果を掲げているが、日本の独島領有権主張は全く変わっていない。日本の外交青書に対する外交部報道官論評を発表し、在韓日本大使館総括公使を呼んで抗議するなど、韓国政府の対応は例年と同じレベルだ。
パク・ミンヒ先任記者 (お問い合わせ japan@hani.co.kr )
韓国語原文入力:2024-04-16 16:01


「The Hankyoreh」 2024-04-17 08:03
■日本、外交青書で「強制動員判決、韓国の責任」強調
 外交青書で一連の強制動員判決は韓国の責任だと明記 
 謝罪・反省はなく「歴代内閣の立場」の継承だけ言及

 日本が16日に公開した今年の外交青書で、日本企業が強制動員被害者に賠償するよう命じた韓国最高裁の一連の判決について、韓国の責任だと強調する記述をした。日本政府の「謝罪と反省」は一言も明記せず、独島(トクト)は日本固有の領土だとする強引な主張が続いた。
 日本の上川陽子外相はこの日開かれた閣議で「2024年版外交青書」を報告した。日本外務省は毎年、直近の国際情勢と日本の外交活動を説明する外交青書を発表する。
 今年の青書には、韓日関係の最大の争点である強制動員被害者に関する内容が新たに追加された。2018年に続き、昨年12月と今年1月に韓国最高裁が被告の日本企業に対して賠償金を支払うよう相次いで判決を出したことなどを説明し、「(日本政府としては)極めて遺憾であり、断じて受け入れることはできない」と明言した。さらに「韓国政府は、2023年3月6日に行われた措置の発表の中で、旧朝鮮半島出身労働者に関して現在(注:発表当時)係属中であるほかの訴訟が原告勝訴として確定する場合の判決金及び遅延利息は、韓国の財団が支給する予定であると表明している」と明記した。最近になり韓国で新たな最高裁判決が下されているが、強制動員被害者への賠償は尹政権の譲歩によって日本の手を離れたという認識を、公式文書に明確に表現しているのだ。
 尹政権は昨年3月6日、強制動員被害者への賠償について、被告の日本企業ではなく韓国の日帝強制動員被害者支援財団が原告である被害者に賠償金を代わりに支給する「第三者弁済」方式を発表した後、これを強行している。
 外交青書には、過去の歴史に対する「謝罪と反省」という言葉がまったく出てこなかった。尹政権の譲歩案の発表後、岸田文雄政権から出た「過去の談話の継承」を説明し、「日本政府は1998年10月に発表された『日韓共同宣言』を含め歴史認識に関する歴代内閣の立場を全体として引き継いでいる」と言及するにとどまった。日韓共同宣言や村山談話(1995年)などにはあった「謝罪と反省」を直接明示せず、あいまいに表現したのだ。これは、米国を国賓訪問した岸田首相が、11日(現地時間)の米国上下両院合同会議での演説で、「謝罪と反省」どころか過去の侵略戦争と植民地支配の内容には最初から言及しないなどの退行的な姿勢を示したことと軌を一にしている。

【写真】日本政府が16日公開した「2024年版外交青書」での韓日関係の部分=外交青書よりキャプチャー//ハンギョレ新聞社

 独島についても強引な主張が続いた。青書に「竹島(日本が主張する独島の名称)は歴史的事実に照らしても国際法上も明らかに日本固有の領土」であり、「(韓国は)警備隊を常駐させるなど、国際法上何ら根拠がないまま、竹島を不法占拠し続けてきている」と主張した。韓国が独島を「不法占拠」しているという表現は、2018年の青書で初めて登場してから7年間続いている。
 韓日関係に対しては改善された表現が登場した。韓国について「国際社会における様々な課題への対応にパートナーとして協力していくべき重要な隣国である」と言及した。2010年の青書以来14年ぶりに韓国を「パートナー」と明記した。「日米韓」は独立した項目が新たに設けられた。青書には「日米韓3か国の連携は北朝鮮への対応を超えて地域の平和と安定にとっても不可欠である」としたうえで、「FOIP(自由で開かれたインド太平洋)の実現に向けても、3か国間の連携を確認してきている」と強調した。

東京/キム・ソヨン特派員 (お問い合わせ japan@hani.co.kr )
韓国語原文入力:2024-04-16 20:39
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「「韓国、表現の自由と労働権が懸念される」アムネスティが指摘」

2024年04月25日 | 韓国で
「The Hankyoreh」 2024-04-25 06:32
■「韓国、表現の自由と労働権が懸念される」アムネスティが指摘
 世界の人権状況を分析した報告書を発表

【写真】昨年7月17日、ソウル鍾路区の恵化洞ロータリーのバス停留所で、ソウル障害者差別撤廃連帯のイ・ギュシク共同代表がバス乗車デモを行い、警察に引きずり出されている/聯合ニュース

 世界最大の人権団体アムネスティ・インターナショナルは世界の人権状況を分析した年次報告書を発表し、その中で「韓国では表現の自由が侵害され続けている」と評した。
 アムネスティ・インターナショナルは24日、全世界155カ国の人権状況を分析した年次報告書を発表し、「韓国の人権状況は全体的に懸念される」と評した。この報告書はアムネスティ・インターナショナルが世界、各地域、各国の人権状況を調査、分析し、毎年発行している総合報告書だ。
 アムネスティ・インターナショナルは、韓国の主な危機分野として表現の自由、労働権、環境などをあげた。報告書は「政府が『違法』デモを取り締まる中、表現、結社、集会の自由の侵害が相次いだ」と述べつつ、ソウル交通公社が昨年1月に全国障害者差別撤廃連帯を相手取って地下鉄乗車デモにともなう損害の賠償を求めて起こした6億ウォン台の訴訟に言及している。
 報告書はまた、「尹錫悦(ユン・ソクヨル)大統領の反労組的な言辞と共に、労働運動家に対する弾圧がさらに強まった」と述べつつ、民主労総建設労組の幹部の故ヤン・フェドンさんの焼身事件に言及している。ヤンさんは、政府のいわゆる「建暴(建設現場での暴力行為)」捜査に抗議し、昨年5月1日のメーデーに江原道の春川(チュンチョン)地方裁判所前で焼身し、翌日に亡くなった。その後、警察はヤンさんの焼香所を強制撤去し、建設労組の事務所を家宅捜索した。

【写真】民主労総が昨年5月31日午後4時、ソウルの世宗大路一帯で2万人あまりの組合員が参加する集会をおこなっている。遺影は昨年5月1日に焼身して亡くなった建設労組幹部の故ヤン・フェドンさん=シン・ソヨン記者//ハンギョレ新聞社

 報告書は、韓国政府の気候危機対応について「かなり失望する水準」と評している。アムネスティ・インターナショナル韓国支部のキム・ジハク理事長は、「政府と国会は石炭火力発電所の廃止に向けた特別法の制定はしていないのに、産業分野の炭素排出削減量を軽減するという『カーボンニュートラル(炭素中立)緑色成長基本計画』を発表した」とし、「気候危機を越える『気候災害』に直面している今、政府は人権保護を最優先の価値として気候危機対応政策を展開すべきだ」と述べた。
 アムネスティ・インターナショナルは、韓国だけでなく、全世界の人権状況は徐々に悪化しつつあると評している。アムネスティ・インターナショナルのアニエス・カラマール事務局長は、イスラエルとハマスの紛争、ロシアとウクライナの戦争などに言及しつつ、「国家および武装団体間の武力紛争が増加していることで、違法な攻撃や殺害が頻繁に行われている。普遍的人権が1948年の約束(世界人権宣言)以前へと急速に後退している」と述べた。そして「全世界に権威主義が拡散している。権威主義政策は表現や結社の自由を侵害し、性平等を攻撃し、性と再生産の権利を弱めている」と評した。

【写真】アムネスティ・インターナショナルが24日に発表した年次報告書の表紙。報告書は、2023年の1年間の全世界155カ国の人権状況を分析している=アムネスティ・インターナショナル提供//ハンギョレ新聞社

キム・チェウン記者 (お問い合わせ japan@hani.co.kr )
韓国語原文入力:2024-04-24 14:28


「The Hankyoreh」 2024-04-24 09:49
■米国の人権報告書「韓国の名誉毀損規制、表現の自由を脅かす」
「広範囲であり刑事処罰も可能…討論を制限する」 

【写真】「キム・マンベ氏インタビュー」引用した放送局への課徴金などを事例として挙げトニー・ブリンケン米国務長官が22日、「2023国家別人権報告書」に対するブリーフィングを行っている=ワシントン/AP・聯合ニュース

 米国務省が発行した「2023国別人権報告書」に、韓国政府が放送局に対し課徴金を課した件が言及された。これは、シン・ハンニム前「ニュース打破」専門委員が「大庄洞(テジャンドン)事件」のキム・マンベ氏にインタビューした内容を引用して報道した放送局に対し、韓国政府側が課徴金を課した件。
 国務省は22日(韓国時間)に発行した人権報告書の韓国編で「表現の自由」を扱った項目で、大統領選挙当時「尹錫悦(ユン・ソクヨル)候補がスキャンダルに関与したという点を見せようとした」インタビューと関連しキム氏から金を受け取った疑いで昨年9月にシン前専門委員に対する捜査が始まり、放送通信審議委員会が放送局の調査に着手したと記述した。国務省はこの報告書で、インタビュー内容を引用して報道した放送局の取材経緯などを放送通信審議委が調査した後、4つの放送局に課徴金を課したとし、韓国記者協会がこれに対し「(政府に)批判的なメディアを抑圧しようとする組織的な試み」だとの声明を発表したと伝えた。
 放通審議委は昨年11月、「正確な事実報道で正しい世論を形成しなければならない放送」が、インタビュー内容の真偽確認を行わなかったなどの理由で、韓国放送(KBS)、文化放送(MBC)、YTN、JTBCに課徴金を課した。しかし、裁判所は最近、放送局が本案訴訟と共に提出した課徴金賦課処分の執行停止の申立てを受け入れた。
 米国務省は同報告書で、韓国の名誉毀損関連の法律の規制内容が広範囲であり、刑事処罰も可能であるため、表現の自由を制限していると指摘し、この事件を事例の一つに挙げた。国務省はこのような法が「公的討論を制限し、個人や言論の表現を脅かしている」と指摘した。
 また米国務省は、チ・マヌォン氏が光州(クァンジュ)民主化運動の時に撮影された市民軍の中に「北朝鮮特殊軍」が含まれていると主張したことなどについて、名誉毀損罪により最高裁で懲役2年が確定したという事実に言及した。さらに、尹大統領が新秘書室長に任命したチョン・ジンソク議員については、「盧武鉉(ノ・ムヒョン)元大統領の名誉を毀損した疑いが認定され、一審で懲役6カ月を言い渡された」と記述した。チョン議員は、「盧元大統領がわいろ容疑事件と関連して捜査を受けている間、夫人のクォン・ヤンスク女史と夫婦喧嘩をし、夫人が家出した後一人で残され、自ら命を絶った」との主張により死者名誉毀損などの疑いで起訴され、昨年実刑判決を受けたが、法廷拘束はされなかった。二つの事例も「表現の自由」項目で名誉毀損の法律関連の内容として扱われた。
 米国務省は、北朝鮮に関しては今年の報告書でも、即決処刑と拷問が続いており、新型コロナウイルス感染症による国境封鎖が緩和されてから脱北者の強制送還が再開されたという報道があるとし、劣悪な人権状況が改善されていないと指摘した。

ワシントン/イ・ボニョン特派員 (お問い合わせ japan@hani.co.kr)
韓国語原文入力:2024-04-23 19:38
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「「パレスチナ支持」ポスターにスプレーのソウル大学教授、15分にわたり暴言も」

2024年04月25日 | 国家・社会
「The Hankyoreh」 2024-04-25 09:49
■「パレスチナ支持」ポスターにスプレーのソウル大学教授、15分にわたり暴言も
 イスラエル国籍の音楽学部教授A氏 
 ポスター貼る学生に暴言も 
 「大学は懲戒を」

【写真】ソウル冠岳区のソウル大学に貼り出されたパレスチナ支持ポスターに、白いスプレーが吹き付けられている=ソウル大学パレスチナ連帯サークル「スバク」提供//ハンギョレ新聞社

 イスラエル国籍の現職のソウル大学教授が、学生が学内に貼った「パレスチナ支持」ポスターを毀損したとして送検された中、ソウル大学の学生たちが同教授に暴言を浴びせられたことを公開し、大学による懲戒を要求した。
 ソウル大学パレスチナ連帯サークル「スバク」は23日、インスタグラムなどに投稿した声明で「パレスチナ支持ポスターを毀損した人物が他でもないソウル大学の教授だったということに、私たちは衝撃を禁じえない」、「大学当局は教授を厳重に懲戒し、このような行動は大学内では認められないということを明確にすべきだ」と述べた。
 著名なピアニストでありソウル大学音楽学部の教授でもあるA氏は、2月12日午後7時30分ごろに、ソウル大学の学内に貼り出されていた「パレスチナ人たちと連帯を! 国際行動の日」のポスターを白いスプレーで毀損した疑いが持たれている。このポスターには「イスラエルは人種虐殺をやめろ」、「米国政府も虐殺の共犯者だ」などと記されていた。ソウル冠岳(クァナク)警察署は防犯カメラ(CCTV)を分析して容疑者がA氏であることを確認し、15日に器物損壊の疑いでA氏を送検した。

【写真】23日にソウル大学パレスチナ連帯サークル「スバク」がインスタグラムに投稿した声明=「スバク」インスタグラムより//ハンギョレ新聞社

 2月9日にこのポスターを貼ったソウル大学の在学生イ・シホンさんは24日、ハンギョレに「ポスターを貼った際にも(A氏が)近づいてきてポスターを剥がせと強く迫ってきた」と明かした。イさんが公開した動画を確認すると、A教授はイさんに「バカだ。子どものような真似をして」、「おかしくなったのか」などの暴言を約15分間にわたって繰り返している。
 イさんは、ソウル大学の学内でパレスチナ支持ポスターが毀損されたのは今回が初めてではないと語る。イさんは「昨年10月にも学内に貼ったパレスチナ支持の壁新聞が破られ、その上に『イスラエルの側に立て!』というポスターが貼り付けられていた。そのポスターの隣に『パレスチナ人、このXXXどもが罪のない我が国民を殺している』というポスターも貼られていたことを考えると、これもイスラエル人がやったのだと思う」と主張した。
コ・ギョンジュ記者 (お問い合わせ japan@hani.co.kr )
https://www.hani.co.kr/arti/society/society_general/1138006.html
-*韓国語原文入力:2024-04-24 17:49


「AFP」 2024年4月24日 11:01 発信地:ニューヨーク/米国
■米大学でパレスチナ連帯活動続く

【写真】米ニューヨークのコロンビア大学周辺で行われた親パレスチナデモ(2024年4月23日撮影)。(c)Charly TRIBALLEAU / AFP

【4月24日 AFP】米国の一部大学で、イスラエルの攻撃にさらされているパレスチナ自治区ガザ地区(Gaza Strip)への連帯を示す活動が続いている。
 ニューヨーク名門コロンビア大学(Columbia University)では23日、抗議活動の主催者が大学に対し、「パレスチナでのイスラエルによるアパルトヘイト(人種隔離政策)やジェノサイド(集団殺害)、占領から利益を上げている」企業への投資を引き揚げるよう要求。
 これに対し、同大のベン・チャン(Ben Chang)副学長(広報担当)は22日、記者団に対し、「学生には抗議する権利があるが、学内を乱したり、嫌がらせや威嚇をしたりすることは許されない」と語った。「われわれはユダヤ人学生の懸念の声を受けて動いている」とする一方、大学当局は「誠意をもって」抗議参加者とも対話していると述べた。
 だが、抗議活動「ガザ連帯のキャンプ」に参加した学生らは、自分たちの活動が「反ユダヤ主義的」とされていることについて、パレスチナ人を支持しているのであり、そうした指摘は当たらないと否定。
 同大のバーナード・カレッジ(Barnard College)のユダヤ人学生、サラ・ボーラスさんは記者会見で、「大学当局も議員も学長もユダヤ人社会の代弁者役を続け、反シオニズム(ユダヤ人国家建設運動に反対する立場)と反ユダヤ主義を同一視している」と批判した。
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「ロシア、クリミア半島に100キロメートルの防衛線設置…遺跡まで掘り返す」

2024年04月24日 | 国家・社会
「中央日報日本語版」 2024.04.23 17:57
■「ロシア、クリミア半島に100キロメートルの防衛線設置…遺跡まで掘り返す」
 ロシアがクリミア半島に大規模防衛線を構築しているという分析が出てきた。クリミア半島はロシアが2014年に強制併合したウクライナ領土だ。ウクライナ政府行政組織である「クリミア自治共和国ウクライナ大統領代表部」は22日、報告書を通じて「ロシアがクリミア半島の黒海沿岸に最近構造物を増やしている。2~3月に新しく建てた構造物の長さだけで100キロメートルを超える」と明らかにした。
 報告書によると、ロシアは防衛線を構築して自然保護区域と遺跡などの観光地を掘り返した。セベルネ村に残っている古代定着地の上に海岸防衛要塞が作られたと強調した。ロシア海軍がクリミア半島周辺海域で潜水艦やサボタージュ(破壊工作)対応訓練を頻繁に実施しているとも付け加えた。
 ウクライナはクリミア半島に特殊部隊と無人機(ドローン)を動員したゲリラ式攻撃を続けてきた。ウクライナ軍は21日、クリミア半島に駐留するロシアの黒海艦隊所属救難艇を攻撃し作動不能状態にした。
 17日にはクリミア半島北部の飛行場を爆撃し、ロシア軍のS400対空ミサイル発射台4基を無力化した。先月24日にはロシア軍黒海艦隊司令部があるセバストポリ港に大規模ミサイル攻撃を加え揚陸艦2隻を破壊した。昨年7月に爆発物を搭載した無人艇(水上ドローン)でクリミア半島とロシア本土をつなぐクリミア大橋を打撃したりもした。

◇プーチン氏「南北輸送回廊、関心がある国招待」
 一方、ロシアのプーチン大統領はこの日バイカル・アムール幹線鉄道(BAM)着工50周年行事で、国際南北輸送回廊「INSTC」の開発に関心がある国をすべて招くと明らかにした。プーチン大統領はこの席で「BAMがソ連の全共和国の利益に向けた建設プロジェクトになったように、国際南北輸送回廊も最も広い国際協力の模範とならなければならない」と強調した。
 BAMはシベリア横断鉄道幹線のひとつで、東部シベリアと極東地域を結ぶ。INSTCはインド、イラン、ロシアの3カ国をインド洋とペルシャ湾、カスピ海などを利用する水路と鉄道などを利用して連結する複合輸送回廊構想だ。
 この日の行事にはアゼルバイジャンのイルハム・アリエフ大統領が参加した。アリエフ大統領の父のヘイダル・アリエフ前アゼルバイジャン大統領は旧ソ連時代にBAM建設を監督したことがある。
 プーチン大統領は「BAMとシベリア横断鉄道をアップグレードする事業に参加するパートナーに急速に成長するアジア太平洋地域市場に対するアクセス性を提供する準備ができた」としてアゼルバイジャンがこの事業に参加していると話した。また、BAMのおかげでシベリアと極東地域を開発する大きな機会を得られるようになったと付け加えた。
 プーチン大統領は行事に先立ち、アリエフ大統領とロシア大統領府で会い、コーカサス地域(ロシア南西部、アゼルバイジャン、アルメニア、ジョージア一帯)の安全保障問題を話し合った。両国の首脳会談は17日にロシア大統領府がアゼルバイジャンとアルメニアの紛争地であるナゴルノカラバフでロシア平和維持軍が撤収中だと公式に確認した後に行われて関心を集めた
 ナゴルノカラバフは国際的にはアゼルバイジャン領だが、アルメニア系が約30年間占有していた地域だった。昨年9月にアゼルバイジャンの大々的な空爆により住民の大部分がアルメニアに離れた。
 プーチン大統領は会談を始めながら「われわれは地域安保を保障する側面で状況を話すもの。扱わなければならない敏感な問題が多い」と話した。アリエフ大統領は「地域安保問題はいつもわれわれの議題にあり、われわれはそれが解決された方式に満足している。ロシアはコーカサスとそれより広い地域の安保で核心的な国」と強調した。
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「現実味を帯びた北朝鮮の核の脅威、南北対話が切に求められる」

2024年04月24日 | 北部朝鮮
「The Hankyoreh」 2024-04-24 06:04
■[社説]現実味を帯びた北朝鮮の核の脅威、南北対話が切に求められる

【写真】北朝鮮の労働新聞は23日付で、金正恩国務委員長の指導のもと、事前に決められていた国家核兵器総合管理体系「核の引き金」の手続きに従い、600ミリ超大型放射砲に模擬の核弾頭を積んで反撃する訓練を初めて実施したと報じた/聯合ニュース

 北朝鮮の「労働新聞」が国家核兵器総合管理体系の「核の引き金」に従い、600ミリ超大型放射砲に模擬の核弾頭を載せ反撃する訓練を初めて実施したと報じた。韓米が「斬首作戦」を想起させる合同空中浸透訓練を行ったことを受け、北朝鮮が露骨に核の使用をちらつかせることで対抗した形だ。南北が今のような極限の対決を続けると、「小さなミス」一つで惨劇が起きかねない。両者は急いで緊張緩和に向けた対話を再開すべきだ。
 「労働新聞」は23日付で、金正恩(キム・ジョンウン)朝鮮労働党総書記兼国務委員長が前日、「600ミリ超大型放射砲兵区分隊が参加した初の核反撃仮想総合戦術訓練」を指導したと報じた。この報道には、北朝鮮の「核教理(ドクトリン)」と関連し、これまで知られなかった「火山警報」や「核の引き金」などの概念が初めて登場する。これによると、22日に実施された北朝鮮の「核反撃仮想総合戦術訓練」は「国家最大の核危機警報である『火山警報』体系が発令された場合、部隊を核反撃態勢に履行させる手続きや工程」などを訓練するためのもので、「国家核兵器総合管理体系である『核引き金』の枠組みの中で」は初めて実施されたものと言える。
 北朝鮮は2022年9月、自国の核教理を明文化した法律「朝鮮民主主義人民共和国の核武力政策について」を通じて、北朝鮮に対する核兵器または大量殺戮兵器の攻撃が敢行された場合や差し迫った場合▽国家指導部などに対する核および非核攻撃が敢行された場合や差し迫った場合などには核を使用できるように定めた。同条項をこの日の訓練と結びつけると、韓米の特殊部隊が18日に施行した「北朝鮮の首脳部」を殺害するための合同空中浸透訓練などが「火山警報」発令要件に当たるとみて、あらかじめ定められた「核の引き金」の枠組みのもと、「核模擬戦闘部を搭載した超大型放射砲弾」を発射したことになる。核使用の手続きなどが具体的に決まり、これまで概念上だけで存在していた北朝鮮の核の脅威が一層現実味を帯びたわけだ。
 2回目の朝米首脳会談が物別れに終わった2019年以降、南北、朝米対話は5年近く中断されている。同期間に北朝鮮の核能力が飛躍的に発展したことは否定できない。しかし、尹錫悦(ユン・ソクヨル)政権は米国の「拡大抑止」にしがみつこうとするだけで、南北対話には全く関心を持っていない。その間、朝鮮半島で戦争勃発するかもしれないという懸念の声が高まっている。今のような一方的な対北朝鮮政策では、朝鮮半島の平和を守ることはできない。北朝鮮政策を全面的に見直しが必要だ。
(お問い合わせ japan@hani.co.kr )
韓国語原文入力: 2024-04-23 20:14


「The Hankyoreh」 2024-04-23 21:24
■北朝鮮ハッカー組織、韓国の防衛産業技術「全方位流出」…韓国警察「氷山の一角」
 北朝鮮のハッカー組織、ラザルス、アンダリエル、キムスキーの3組織が韓国の防衛産業技術を奪取するために韓国国内の防衛産業企業を全方位的に攻撃した情況が警察に捉えられた。複数のハッカー組織が動員されたうえに、防衛産業企業とその協力・外注業者までを標的にするなど、攻撃方式も多様だったと韓国警察は明らかにした。
 警察庁国家捜査本部は、北朝鮮のハッカー組織として知られるラザルス、アンダリエル、キムスキーが韓国の防衛産業企業10社余りを攻撃し、防衛産業技術を奪取した事実を確認したと22日明らかにした。北朝鮮のハッカー組織は、防衛産業企業に直接浸透したり相対的にセキュリティが脆弱な協力・外注業者をハッキングするかたちで、防衛産業企業の主要サーバーに無断で浸透し、悪性コードを植え付けたことが把握された。警察は、IPアドレス▽経由地の構築方法▽悪性コードの種類を根拠に、今回の攻撃が北朝鮮のハッカー組織の仕業だと判断した。
 一部の業者は特別点検が始まった1月時点でもハッキングされた被害の事実さえ知らずにいたことから、北朝鮮の技術奪取が相当期間にわたり続いていた可能性も提起されている。警察が捉えた北朝鮮の技術奪取時点は、2022年10月、11月、2023年4~7月だ。警察はどの時点で資料が奪取されたかを推測するだけであり、攻撃期間を特定することは難しいと明らかにした。ただし、警察関係者は「捜査開始時点まで悪性コードは生きていた」とし「我々が把握したのは氷山の一角に過ぎない可能性がある」と話した。
 韓国の防衛産業技術を盗むための北朝鮮の攻撃は、防衛産業企業のみならず協力・外注業者まで標的にするなど、方法も様々だった。ラザルスは被害企業の外部インターネットサーバーをハッキングして悪性コードを植え付けた後、企業の内部ネットワークに侵入する方式を使った。こうしたやり方で開発チームの職員のパソコンなど6台から重要資料を海外クラウドに流出させたことが分かった。
 軍事技術を主に奪取してきたアンダリエルは、防衛産業協力企業のサーバーをメンテナンスする外注業者の職員のネイバーやカカオなど一般電子メールアカウントを奪取し接近した。一部の職員が一般電子メールアカウントと社内業務用アカウントで同じIDとパスワードを使用しているという弱点を悪用したのだ。北朝鮮のハッカー組織の中で最も有名なグループであるキムスキーは、防衛産業協力会社の社内グループウェアの電子メールサーバーの弱点を悪用し資料を奪取した。
 韓国警察の関係者は「これまで役割分担がされていると知られた北朝鮮のハッカー組織が、防衛産業技術奪取という共同の目標を設定し、一斉に総力戦を繰り広げているという情況を初めて確認した事件」だと明らかにした。これまでキムスキーは政府機関や政治家、ラザルスは金融機関、アンダリエルは国防機関を主に狙うハッカー組織として知られていた。ラザルスは最近確認された司法府の電算網への侵入も主導したと警察は明らかにした。

イ・ジヘ記者 (お問い合わせ japan@hani.co.kr )
韓国語原文入力:2024-04-23 13:45
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「米国「北朝鮮の人権改善されず…公開処刑が増加、参観を強要」」

2024年04月23日 | 北部朝鮮
「中央日報日本語版」 2024.04.23 13:43
■米国「北朝鮮の人権改善されず…公開処刑が増加、参観を強要」
 米国が北朝鮮では恣意的な逮捕と拘禁、拷問、即決処刑が強行されるなど過去1年間に人権状況が全く改善されていないと評価した。
 米国務省は22日(現地時間)、「2023国家別人権報告書」で「この1年間、北朝鮮の人権状況には大きな変化がなかった」と指摘した。
 米国務省は毎年、韓国・北朝鮮を含む世界各国の人権状況を評価した報告書を出している。バイデン政権に入って今回が4回目だ。
 報告書は「北朝鮮は新型コロナ流行時に施行した国境封鎖を緩和し始め、脱北者の強制送還も再開されたという報道がある」とした。エリサベス・サルモン国連北朝鮮人権状況特別報告者の言葉を引用し、2022年基準で2000人以上の脱北者が中国に拘禁されて送還を待っていたと伝えた。
 国務省は「深刻な人権問題には、任意的で不法、超法規的な殺人、強制失踪、拷問、強圧的な医療行為、恣意的な逮捕および拘禁、強制収容施設での過酷行為などが含まれる」とし、北朝鮮では表現および移動、集会結社など基本的な人権が全く保障されていないと述べた。
 また報告書は、脱北者と非政府団体・国連報告書などを引用し、北朝鮮政権は政治犯と脱北者に対して広範囲な非司法的死刑を執行していると指摘した。
 脱北して強制送還された女性、障害児出産の可能性がある妊婦、監獄などでの強姦で妊娠した女性に中絶が強制され、多くの収容所で収監者が拷問と疾病、飢餓で命を落とした伝えられていると、報告書は明らかにした。
 脱北者の証言によると、北朝鮮政権は民間人に現場学習という名目で公開処刑を参観させるという。公開処刑は新型コロナの影響で減少したが、最近は国境の再開で深刻に増えたと、報告書は伝えた。
 昨年9月には約2万5000人が見守る中、国家所有の牛を屠殺・販売した容疑で9人に対する公開銃殺刑が行われたというラジオ・フリー・アジア(RFA)の報道も取り上げた。
 報告書は、脱北者の証言と非政府組織(NGO)・メディアなどを根拠に、北朝鮮では殴打と電気拷問、水拷問、裸の露出、横になれない狭い監房での監禁、吊るしなどの拷問が行われると伝えた。また、女性収容者に対する性的暴行と性的虐待も蔓延していると指摘した。
 矯導官は事実上、性的暴行に対して免責権があり、特に脱北者は深刻な性的暴行・虐待を受ける状況だという。
 政治犯収容は8万-12万人と推算されると伝えた。
 報告書によると、政治犯罪は体制への批判をはじめ、金日成(キム・イルソン)主席または金正日(キム・ジョンイル)総書記の写真がある新聞を敷いたり、金日成主席の学歴が短いという発言をしたり、金氏一家の写真を毀損したりする場合などが該当する。
 また北朝鮮政権はオンラインを含むメディアを検閲し、一般人のインターネット接近も厳格に制限されると明らかにした。
 国務省民主主義・人権・労働局の当局者ロバート・ギルクリスト氏はこの日、人権報告書関連のブリーフィングで、中国と脱北者人権問題を議論するのかという質問に対し「ブリンケン長官は今週、中国を訪問する計画だが、最も高いレベルで明確な形で人権問題を提起する」と明らかにした。
 一方、米国務省は韓国の人権状況に対しては、表現の自由制限・名誉毀損法・人種差別問題などを取り上げた。
 名誉毀損法に関しては、昨年8月に鄭鎮碩(チョン・ジンソク)国民の力国会議員が盧武鉉(ノ・ムヒョン)元大統領の名誉を毀損した容疑で1審で懲役6月を言い渡された事例に言及した。
 表現の自由問題については、昨年9月に憲法裁判所が対北朝鮮ビラ禁止法に違憲決定を下したとし、「この法は事前承認なく北朝鮮に風船を飛ばしてビラおよびその他の資料を散布する行為を犯罪と規定した」と指摘した。
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「彼らが李承晩を「建国の父」に祭り上げようとする本当の理由=韓国」

2024年04月23日 | 韓国で
「The Hankyoreh」 2024-04-23 08:39
■[寄稿]彼らが李承晩を「建国の父」に祭り上げようとする本当の理由=韓国
 「李承晩と4・19革命」連続寄稿(1) 
 イ・ジュンシク|元独立記念館館長

【写真】1948年8月15日、中央庁広場で大韓民国政府の樹立を宣言する李承晩大統領。李大統領はこの日、「大韓民国30年」という年号を用いた=出典:李承晩建国大統領記念事業会//ハンギョレ新聞社

 李承晩(イ・スンマン)といえば、多くの人が独裁者を思い浮かべる。だが少し前から、ニューライトを中心に、大韓民国の基礎を築いた「建国の父」李承晩を強調する動きが見られる。最近は尹錫悦(ユン・ソクヨル)政権がこれに加勢している。ついにはソウル市のオ・セフン市長が鍾路区(チョンノグ)の「開かれた松ヒョン(ソンヒョン)広場」に李承晩記念館を建てるというとんでもない話を持ち出すに至っている。
 李承晩の歴史的評価はすでに定まっている。李承晩は大韓民国臨時政府の大統領と大韓民国の大統領の座から二度も追われた。これ以上どんな評価が必要だというのか。たとえ小さな功があったとしても、それ以上に罪が大きい。李承晩に功があるとすれば、それは一部の人々の強弁する「建国の父」に自身が決してなりえないことを自ら認めたことかもしれない。
 1948年5月10日の選挙で成立した制憲国会で、李承晩は初代国会議長に選出された。李承晩は5月31日の制憲国会の開会の辞で「大韓独立民主政府の再建設」を力説した。大韓独立民主政府は、言い換えれば民国、すなわち大韓民国である。改めて李承晩の言葉を引用すると、「29年ぶりの民国の復活の日であることを我々はここに公布し、民国の年号は己未年(1919年)から起算」すべきだというのだ。
 憲法を制定する際、国の名前を何にするかという問題をめぐって論争が起きたが、1919年にすでに発足している大韓民国を継承し、国の名前として使い続けようという結論が出た。その結果、制憲憲法の前文に「我々大韓民国は己未の3・1運動で大韓民国を建設し、世界に宣布した偉大な独立精神を継承し、今や民主独立国家を再建」するという一節が入った。これは、独立運動の過程ですでに大韓民国は建設されており、制憲憲法による政府の発足は大韓民国の再建だということを意味する。
 1948年8月15日の政府樹立祝賀式の記念演説で、李承晩は「大韓民国30年」という年号を用いた。続いて9月1日に出た初の大韓民国官報にも「大韓民国30年」が記されている。大韓民国は1948年8月15日の政府樹立によって建設されたものではないということを、李承晩政権自らが明確に示したのだ。その後の数回の改憲を経て、憲法前文は変更された。現行憲法の前文には「我々大韓国民は3・1運動で建設された大韓民国臨時政府の法統」を継承しているという一節がある。
 にもかかわらず、李承晩を称揚しようとしている人々は、1948年8月15日の政府発足がすなわち大韓民国の建国だと強弁する。憲法を否定するものであり、1919年に大韓民国が建設されたと主張した李承晩の唯一の功さえも否定するものだ。李承晩は「建国の父」だと言い張る人々は、「建国節」制定をごり押ししてきた。だが、政府が樹立された日がすなわち国の建設された日だと考える国はほとんどない。
 漢字文化圏において「建国」という名の国の記念日を持つ国は日本だけだ。ただし日本は、神話に出てくる初代天皇が即位した日を1873年に紀元節と定め、1966年からは「建国記念の日」として記念している。日本でさえ、「建国節」を主張する連中のように近代政府の発足日を記念してはいない。韓国の開天節に当たる日を建国の起点としているのだ。中国は1949年に中華人民共和国の発足を宣言した日を国慶節として、台湾は1911年に武昌起義の起きた日を双十節として、それぞれ記念している。北朝鮮は1948年に朝鮮民主主義人民共和国を宣布した日を人民政権創建日として、ベトナムは1945年にホーチミンが独立を宣言した日を国慶日として、それぞれ記念している。
 地球上に存在するほとんどの国が記念する日は、韓国の3・1節や光復節に当たる独立記念日だ。特に帝国主義の植民地支配を受けた国は、どこも独立記念日を自らのルーツとして記念している。米国も独立記念日を記念している。7月4日を米国の建国日だと考える米国人はいない。
 ニューライトをはじめとする極右勢力が無理に「建国節」を推し進めるのには理由がある。それは親日と独裁の歴史の洗浄だ。「建国節」制定を通じて独立運動家を大韓民国から切り離し、その座に親日派とその後裔(こうえい)である独裁政権に加担した勢力を据え、あたかも親日と独裁が大韓民国の正統であるかのようにしようという黒い本音が、「1948年建国」主張には込められている。だから「建国節」を何度も蒸し返しているのであり、その一環として「建国の父」李承晩を称揚しているのだ。

イ・ジュンシク|元独立記念館館長 (お問い合わせ japan@hani.co.kr )
韓国語原文入力:2024-04-22 19:31
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シリア駐留米軍基地にロケット弾攻撃 イラク北部から発射

2024年04月22日 | 国家・社会
「 AFP」 2024年4月22日 10:41 発信地:バグダッド/イラク
■シリア駐留米軍基地にロケット弾攻撃 イラク北部から発射

【写真】イラクのニナワ、アンバル両州にまたがる地区でパトロールに当たる、親イラン武装勢力の連合体「人民動員隊」を含むイラク部隊の車両(2023年8月5日撮影、資料写真)。(c)Zaid AL-OBEIDI / AFP

【4月22日 AFP】イラク治安部隊は、21日夜に同国北部からシリアに駐留する米軍主導の有志連合軍の軍事基地に向けてロケット弾が発射されたと明らかにした。
 治安部隊は声明で、同日午後9時50分ごろ、「武装勢力がシリア領内にある多国籍軍の基地を数発のロケット弾で攻撃した」と指摘。イラク軍が同国北部ニナワ(Nineveh)州で大規模捜索を行ったところ、攻撃に使用された車両を発見したとしている。
 有志連合軍に対する本格的な攻撃は数週間ぶり。
 英国を拠点とするNGO「シリア人権監視団(Syrian Observatory for Human Rights)」のラミ・アブドルラフマン(Rami Abdel Rahman)所長は、米軍が駐留しているシリア北東部ハラブアルジル(Kharab al-Jir)基地に、イラク領内から数発のロケット弾が発射されたと説明。
 攻撃したのは、親イランの民兵諸派連合「イラクのイスラム抵抗運動(Islamic Resistance in Iraq)」との見方を示した。
 「抵抗運動」はこれまで、パレスチナへの連帯を示し、パレスチナ自治区ガザ地区(Gaza Strip)での紛争で米国がイスラエルを支援していることを非難している。


「中央日報日本語版」 2024.04.16 07:52
■「イランの極超音速ミサイル、すべてイスラエルの標的に命中」

【写真】イランが開発を完了した極超音速ミサイル「ファッターフ1」 [UPI/革命防衛隊提供]

 イラン革命防衛隊が13日夜(現地時間)、イスラエルを報復空襲した際、数発の極超音速ミサイルを発射し、すべて標的に命中したと、現地メディアが報じた。
 イラン国営プレスTVは情報筋を引用し、「イスラエルと協力国(米国など西側、中東内の親米国)はイランの極超音速ミサイルを迎撃できなかった」とし「イランが極超音速ミサイルを実戦で使用したのは今回が初めて」と報じた。
 革命防衛隊は今回の空襲にドローン・ミサイルなど300発余りを発射したが、ここに極超音速ミサイルが含まれていたのか、何発が含まれていたのかは具体的に公開しなかった。
 イスラエルはこれらドローン・ミサイルの99%を迎撃し、被害はほとんどなかったという立場だ。
革命防衛隊は昨年11月、独自開発を完了した極超音速ミサイル「ファッターフ1」の試験発射に成功したと発表した。 当時発表した諸元によると、ファッターフ1はマッハ13-15の速度で飛行し、最長1400キロの距離の標的を打撃できる。 固体燃料を使用し、大気圏外でも軌道の変更が可能で、ステルス機能もあるという。
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「「高宗が乙巳条約に満足した」…教科書で歴史歪曲すら越えた日本」

2024年04月22日 | 国民国家日本の侵略犯罪
「The Hankyoreh」 2024-04-22 07:16
■[社説]「高宗が乙巳条約に満足した」…教科書で歴史歪曲すら越えた日本

【写真】ソウル市鍾路区の旧日本大使館前にある平和の少女像/聯合ニュース

 日本の文部科学省が19日に公開した中学校の歴史教科書の追加検定結果に言葉を失った。韓日両国政府が歴史で対立しながらも守ってきた度量の広さを越えた「暴挙」だと言わざるをえない。尹錫悦(ユン・ソクヨル)政権は、過去2年間に続けてきた対日「屈辱外交」がこのような歴史歪曲につながったのではないかを省みて、対日政策を根本的に再検討しなければならない。
 文部科学省はこの日、極右的・復古的な歴史の記述で日本国内でも大きな懸念をもたれている令和書籍の中学歴史教科書2点について、「問題ないと判断した」として、検定に合格したことを発表した。この教科書の歴史歪曲のなかで特に驚くべきことは、乙巳条約(第2次韓日協約、1905年)と日本軍「慰安婦」についての説明だ。
 日本は、長きにわたり過去の植民地支配を「合法」だと主張しながらも、韓国人がそれを自発的に望んだとしたり「正当な支配」だったという内容を主張することはなかった。菅直人首相談話(2010年)で、韓国の人々が「その意に反して行われた植民地支配によって」傷を受けたと認めたことが良い例だ。しかし今回は、植民地支配の扉を開いた乙巳条約について高宗が「満足」し、一部の大臣の反対を「自ら説得して調印に達することになった」という衝撃的な主張を認めた。
 問題の記述は、伊藤博文が条約を強制的に締結した後の1905年12月8日に天皇に送った復命書を参考にしたとみられる。しかし、乙巳条約が脅迫のもとで強制的に締結されたことは、条約の「形式的合法性」を主張する日本の学者でさえ認めるものだ。合法派の代表といえる明治大学の海野福寿名誉教授も2000年の研究で、この一節について、高宗は最小限の効力の期限を設定して奪われた外交権の回復を期待したが、伊藤博文はそれを逆利用し、皇帝の要求を受け入れて修正したことで裁可の証拠とみなしたと指摘している。伊藤博文の欺瞞を高宗が同意したということの証拠にした嘆かわしい歴史歪曲だ。
 慰安婦についても、日本は「法的責任」を否定しただけであり、慰安婦の移送や慰安所の運営・管理などについては、「(日本)軍の関与の下に、多数の女性の名誉と尊厳を深く傷つけた」(2015年慰安婦合意)と認めている。しかし、令和書籍の教科書は、「報酬を得て働いた」として日本の責任を否定する内容だけを羅列している。韓国政府は、2020年と2021年の検定では不合格となったこの極右教科書が、今年はなぜ通過したのかを確認しなければならない。「大使招致」という形式的な抗議で穏便に済ませようとしてはならない。
(お問い合わせ japan@hani.co.kr )
韓国語原文入力:2024-04-21 22:09


「The Hankyoreh」 2024-04-20 08:05
■「慰安婦」動員の強制性を否定する日本の教科書、検定で追加合格

【写真】「慰安婦」動員の強制性を否定し植民地近代化論を主張する日本の歴史教科書が検定を通った19日、韓国外交部に呼び出された相星孝一駐韓日本大使が呼ばれソウル鍾路区の外交部庁舎に向かっている/聯合ニュース

 日帝強占期(日本による植民地時代)の「慰安婦」動員の強制性を否定する極右的内容まで書かれた日本の中学校の歴史教科書が19日、検定を通過した。
 日本の文部科学省はこの日、令和書籍が発行した中学校の歴史教科書2種が「検定決定未了としていた2点の申請図書について、情報管理の状況等について確認を行った結果、以下のとおり教科用図書検定規則第7条第3項に示す申請者による特定行為に該当しないと判断した」として、検定合格の決定を行ったと発表した。これに先立ち、文部科学省は先月、歴史、地理、公民など中学教科書の検定結果を発表したが、令和書籍の歴史教科書2種は発表を控えて異例にも合否の決定を保留した。当時、共同通信は「検定の内容が公表前に外部に漏れたことが確認され、(文部科学省が)精査のため合否の決定が見送られた」と報道した。右翼史観の歴史教科書は、直前の教科書検定の2020年当時は7種のうち1種だったが、今年は先月検定に合格した育鵬社と自由社に令和書籍2種を合わせて、全10種のうち4種に増えた。
 令和書籍の歴史教科書には、最近右傾化の傾向が強まっている日本の教科書の中でも極右的な内容が含まれている。「蒸し返しする韓国の請求権」というタイトルのコラムで、日本軍が朝鮮の女性を強制連行したという事実はなく、彼女たちは報酬をもらって仕事をしていたという内容の記述もみられる。「慰安婦」動員の強制性を認め、歴史教育を通じて忘れないと宣言した日本政府の公式見解「河野談話」(1993年8月)と食い違う内容だ。
 令和書籍の歴史教科書には、日本の朝日新聞が2014年に過去の慰安婦報道の中で誤りがあったと認めた吉田清治氏の証言に触れ、慰安婦被害問題全体が偽りであるかのような主張が展開された。これは先月検定を通ったもう一つの右翼教科書である育鵬社の教科書にもある記述だ。
 また、同教科書は朝鮮に対する日本の植民支配についても、朝鮮総督府は土地調査を行い、鉄道、ダム、上下水道、病院、電話、郵便など社会基盤を整えていったなどと美化した。また、強制動員問題に対しても賃金が支給されたとして問題がなかったという内容で記述した。
 このような歴史教科書が検定で合格したのは、日本の歴史認識の後退を端的に示している。令和書籍は歴史修正主義者として批判された安倍晋三首相が在任していた当時の2020年に、検定で不合格になった前歴がある。その後、令和書籍はアマゾンなどで検定不合格の教科書だとして、それを売りにして本を販売してきた。
 韓国外交部は同日、報道官声明を発表し「日本政府が独島(トクト)に対する不当な主張と日本軍慰安婦被害者問題、強制徴用問題、植民支配に対する極めて非常識で理解できない偽りの記述を含む教科書を検定で通過させたことに対し、深い遺憾を表明するとともに、直ちに是正することを求める」と明らかにした。
 カン・インソン外交部第2次官は同日午後、外交部庁舍に相星孝一駐韓日本大使を呼んで抗議を伝えた。
チョ・ギウォン記者、パク・ミンヒ先任記者 (お問い合わせ japan@hani.co.kr )
韓国語原文入力:2024-04-19 21:23


「聯合ニュース」 2024.04.19 19:45SHARE LIKE SAVE PRINT FONT SIZE
■韓国政府が日本の教科書検定巡り遺憾表明 日本大使呼び抗議
 鄭憙靖
【ソウル聯合ニュース】韓国政府は19日、日本政府が独島や旧日本軍の慰安婦被害者などについて偏った内容を掲載した中学の歴史教科書2点を検定で合格させたことに対し遺憾を表明した。
 外交部は同日、「独島に対する不当な主張や慰安婦被害者問題、強制徴用問題、(日本による)植民地支配について極めて非常識で理解できないうその記述が含まれた教科書を日本政府が検定で通過(合格)させたことに対し深い遺憾を表明し、即刻是正するよう促す」とする報道官声明を出した。
 声明は「歴史的・地理的・国際法的に明白なわが国固有の領土である独島に対する不当な主張が盛り込まれた教科書を日本政府が再び検定で通過させたことに強く抗議する。独島に対する日本のいかなる主張も受け入れられないことを明確にする」と強調。「過去の過ちに対する謝罪と反省はおろか、過ちを美化する内容で溢れた教科書を容認したことは両国関係発展の流れに逆行するのはもちろん、青少年たちに歪曲(わいきょく)された歴史観を教える無責任な行動であることを明確にする」と指摘した。
 また「両国関係の未来はもちろん日本の未来を築いていく世代が、偏りがある歪曲された歴史教育を受ける場合に抱くことになる偏見に対し懸念を禁じ得ない。日本政府は歴史を直視しながら未来世代の教育により責任ある姿勢を示すべきだ」と強調した。
 外交部の姜仁仙(カン・インソン)第2次官は同日午後、日本の相星孝一駐韓大使を同部庁舎に呼び、抗議の立場を伝えた。

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「韓国の内部対立による二極化で青年世代が「脱北」している」

2024年04月21日 | 北部朝鮮
「The Hankyoreh」 2024-04-20 10:07
■[寄稿]韓国の内部対立による二極化で青年世代が「脱北」している
 パク・ジュンギュ|「韓半島青年未来フォーラム」創立者

【写真】昨年9月21日午前、仁川市庁前にある「仁川愛の庭」にて、北朝鮮人権市民連合の主催で開かれた北朝鮮人権を知ってもらうための部屋脱出プログラム「北風南風」で市民が北朝鮮の家庭を再現した部屋脱出の体験をしている/聯合ニュース

 外交的孤立と経済難によって北朝鮮で約300万人が餓死したという「苦難の行軍」以降、北朝鮮と中国の国境を通じての市場経済が活性化し、2000年の南北首脳会談の支援と南北接触によって、住民たちは外部の文化や文物への接触を続けた。1990年代生まれとその後の世代、すなわち、苦難の行軍の時期に生まれ、党からの配給が途切れた状況のもと、生存するために住民たちが自ら活性化した市場経済のなかで、外部の文物を自然に接触・吸収して成長した世代には、体制維持の核心である党の思想統制が機能しなくなり始めた。北朝鮮首脳部は、反動思想文化排撃法、平壌(ピョンヤン)文化語保護法、青年教養保障法などを実施し、文化の接触、吸収、模倣を徹底して防ぐために全力を尽くしている。今年初めから武力の示威を続け、「統一」「南朝鮮」「朝鮮半島」「三千里」のような単語を公文書から削除するなどして、南朝鮮との接触点を真空状態にするようにした理由も、やはり、体制維持のための内部制御に亀裂が生じたためだとみるのが有力な分析だ。
 北朝鮮は、人道的支援や交流、協力を断固として拒否している。2000年の首脳会談は、北朝鮮の外交的孤立と経済崩壊、苦難の行軍という時期的な状況と重なり、円滑に進めることができた。しかし、コロナ禍の時期から、北朝鮮はいかなる経路からも韓国の支援を拒否している。統一・朝鮮半島戦略を修正・制度化し、韓国との接触に関連する機関と人員も同様に撤収させている状況だ。こうした北朝鮮の大変化と未来の朝鮮半島に対しては、細心の対応が必要だ。
 しかし、こうした状況のもとで最も懸念されることは、韓国内での対立だ。大韓民国はあらゆる分野で真っ二つに分かれている。二極化の最も中心に南北問題が位置している。政権が変われば、北朝鮮に対する対内・他外政策が180度変化する。そうした極端な変化は、大韓民国に対する国際的な信頼もやはり低下させざるをえない。
 北朝鮮問題をもう少し詳しく見てみると、韓国内の対立の二極化の境界にはあまりにも矛盾が多く、不明だということがわかる。北朝鮮の人権問題が代表的な例だ。北朝鮮の権力型の人権侵害の犯罪や、生命権と生存権、女性の人権、児童の人権などの人権の構成要素を考慮すれば、実態改善のための圧力とともに、脆弱階層の支援のための人道的支援も同じく複合的に考慮しなければならない。しかし、韓国内の対立のもとでは、「北朝鮮人権問題」は保守の領域、「人道的支援」は進歩の領域とみなされている。発展的な対立ではなく、誰と合うのか、正しいのか、優秀なのかをめぐって行われる消耗的な対立で、問題解決の本質は薄れてしまっている。
 青年層の統一に関する議論は空白状態も同然で、年々否定的な世論が強まっている。現在の住宅不安のような現実的な疲れを訴える青年たちにとって、狂気じみた政争は、北朝鮮に対する漠然とした拒否感を生みだし、統一ははるかに大きな「追加負担」としてのみ認識されている。朝鮮半島分野の学界と実務分野も同様に、二極化のうず巻きのなかで分裂し、青年たちは進学と在職を敬遠し、「脱北」という単語を使って北朝鮮分野から離れている。中国に留学した親友の証言が思い出される。北朝鮮の留学生は専攻を党が決めるという。対外・対南戦略のため、最優秀の人材を党で組織的に養成・配置しているという。
 繊細かつ鋭敏な時代変化を反映した「一つになった大韓民国」の体系的な運営が必要だ。北朝鮮が挑発行動をできないようアプローチをしながらも、北朝鮮住民の人権の実態改善のための人道的緊急支援もあわせ、「ツートラック」で進めていかなければならない。未来の朝鮮半島の安定化のために、「一つの国家」次元での構造的・制度的な人材育成システムの用意が急がれる。北朝鮮に対する二者択一の閉じ込められた集団思考の構図を打ち破り、合理的かつ実効的な分析と判断をもとに、新たな朝鮮半島分野のセクターを作ることが、未来の朝鮮半島のために切実に求められる。その希望を、思考の柔軟さを備えた青年世代に託してみることを提言する。

パク・ジュンギュ|「韓半島青年未来フォーラム」創立者 (お問い合わせ japan@hani.co.kr )
韓国語原文入力:2024-04-18 19:04
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「韓国社会に「トレランス」広めたホン・セファ氏死去…最後の願い「成長から成熟へ」」

2024年04月19日 | 韓国で
「The Hankyoreh」 2024-04-19 11:24
■韓国社会に「トレランス」広めたホン・セファ氏死去…最後の願い「成長から成熟へ」

【写真】ジャン・バルジャン銀行頭取を務めたホン・セファ氏=パク・スンファ記者eyeshoot@hani.co.kr//ハンギョレ新聞社 

 韓国社会に「トレランス」を伝えた作家でありジャーナリスト、社会運動家であるホン・セファ氏(ジャン・バルジャン銀行頭取)が18日に死去した。享年77。
 故人は1947年12月10日、ソウル鍾路区梨花洞(チョンノグ・イファドン)で生まれた。ほどなく朝鮮戦争が勃発し、親と離れ離れになり鍾路区蓮建洞(ヨンゴンドン)の母方の実家に預けられて育った。母方の祖父は人生の知恵を教えてくれた人だったという。京畿中・京畿高校を経て、1966年にソウル大学金属工学科に入学した。
 ホン・セファの名が韓国社会に広く知られるようになったきっかけは、フランスに亡命中だった1995年に出版した自伝的エッセイ『私はパリのタクシー運転手』(日本語題『コレアン・ドライバーは、パリで眠らない』みすず書房)だった。亡命者として暮らすことになった激動の過程とパリ生活のエピソードを交え、読者の熱い反応と支持を受けた。本全体を貫く「トレランス(寛容さ)」は、白黒論理が支配する韓国社会に知的省察のきっかけを与えたという評価を受けている。
 ホン・セファ氏が亡命者になったのは、ドイツのデュッセルドルフに続いて定着したフランスのパリにいた頃、南朝鮮民族解放戦線(南民戦)事件が起きてからだ。当時、ホン氏は貿易会社デボン産業の海外支社に勤務する社員だった。1977年、韓国民主闘争委員会(民闘)の盟員を経て、南民戦の闘争家となったが、組織員という事実が明らかになり、故国に帰れない境遇となった。
 亡命20年目にして1999年にようやく帰国し、この時出版した文化批評エッセイ『セーヌは左右を分かち、漢江は南北を隔てる』(ハンギョレ出版、日本語版はみすず書房)が書店総合部門のベストセラーになり、作家として改めて地位を固めた。
 2002年に完全帰国したホン氏は、同年2月、ハンギョレ新聞社に入社し企画委員と編集委員を務め、2009年にはハンギョレが発行する「ル・モンド・ディプロマティーク」韓国版の編集人を務めた。ハンギョレの企画委員として働いていた当時、多様な市民の声と意見を盛り込んだ『なぜなら』という紙面を作った。『なぜなら』は現在まで続いており、専門家やジャーナリスト中心の世論の地形で市民の声を代弁する公論の場となっている。ホン氏はハンギョレを離れた後も、物静かでまっすぐな性格で多くの後輩から尊敬を受けた。韓国社会の代表的な知識人であり活動家、政党員として、2011年に進歩新党の共同代表、2013年に季刊誌「言葉と弓」発行人となり、2015年からは罰金刑を宣告され罰金を払えず刑務所に入る人々を支援する社会団体「ジャン・バルジャン銀行」の頭取となった。
 故人は生前のインタビューで、ソウル大学金属工学科1年だった1966年の秋夕(チュソク、旧暦8月15日)の時、父親の故郷であった出来事を「思惟体系の土台を崩した人生の分岐点」だったと述懐している。忠清南道牙山郡塩峙面大洞里(チュンチョンナムド・アサングン・ヨムチミョン・テドンリ)のファンゴルで、親族の代父から朝鮮戦争期に住民の間で起こった虐殺の全貌を聞いたのだ。その現場に3歳だった本人が母親、弟と一緒にいたという衝撃的な事実も知ることになった。村の公会堂に閉じ込められた一家は「指一本」で生死が分かれる運命にあった。親族は家族単位で皆殺しにされた。この事件以後、母親は去り、1歳だった弟のミンファは死んだ。日本から帰ってきてアナーキスト活動をしていた父親は逃避生活中で、事件当時はいなかった。
 放浪を始めたホン氏は落第して学校を辞め、1969年にソウル大学文理学部の外交学科に再び進学した時には別人になっていた。演劇部の活動をしながら学生運動に没頭した。1970年の労働者チョン・テイルの死と1975年の人民革命党事件関連者8人に対する死刑執行に接し、闘争家になることを決心した。これらが南民戦に入るきっかけとなった。
 故人は昨年9月、メディアのインタビューで「理性の光を失った瞬間、私たちは人間であることを放棄することになる。孟子は惻隠の心、羞悪の心、辞譲の心、是非の心を語った。言葉を変えれば『トレランス』だ」と語った。昨年1月、ハンギョレに最後に載せられた同氏のコラムのタイトルは「最後の願い:所有から関係へ、成長から成熟へ」だった。「自然と人間、動物と人間、人間と人間の関係は成長するのではなく成熟するもの」と書いた。
 故人は昨年2月、がんの診断を受けたが抗がん治療をせずに活動を続けた。12月頃からがんが全身に広がり、京畿道一山(イルサン)の国立がんセンターとソウル中浪区(チュンラング)の緑色病院を行き来して治療を受けてきた。病状が重くなり、妻を含む家族が韓国に来て臨終を見守った。遺族は妻のパク・イルソンさん、子どものスヒョンさん、ヨンビンさん。葬儀は18~21日、ハンギョレ新聞社の社葬で行われ、葬儀場はソウル西大門区の延世大学校新村セブランス病院斎場に設けられた。告別式および出棺は21日午前8時。

コ・ギョンテ記者 (お問い合わせ japan@hani.co.kr)
韓国語原文入力:2024-04-18 21:11
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「「家族」を利用し北朝鮮に亡命させ、逮捕…北朝鮮から来たある医師の人生」

2024年04月19日 | 韓国で
「The Hankyoreh」 2024-04-18 08:24
■「家族」を利用し北朝鮮に亡命させ、逮捕…北朝鮮から来たある医師の人生
 真実和解委員会、約70年ぶりに人権侵害と決定 
 申立人の娘「亡くなる瞬間まで北朝鮮に残してきた家族のことを想っていた」

【写真】1971年、ソウル鷹岩洞の慈恵医院時代、パク・ナモブ院長が看護師たちが見守る中、4歳の末娘ユンギョンさんを抱いている=パク・ユンギョンさん提供//ハンギョレ新聞社

 韓国軍の諜報要員が北朝鮮に残してきた家族に会いたいと願う「想い」を利用して北朝鮮行きを提案し、教育訓練までさせた。指示どおり北朝鮮に渡ったが、北朝鮮の人民軍を装った韓国の諜報要員に捕まり、利敵罪で10年間服役させられた。この小説のような事件の主人公に対し、約70年ぶりに人権侵害の決定が下された。
 16日、真実・和解のための過去事整理委員会(真実和解委)は第76回全体委員会を開き、第2軍団司令部陸軍諜報特殊部隊(HID・諜報部隊)の欺瞞にだまされて北朝鮮に渡ってから逮捕された後、利敵罪で服役した故パク・ナモブさん(1918~1989)の「国防警備法違反捏造事件」に対し、真実究明決定を下し、国家に再審による名誉回復措置を勧告した。
 真実和解委はパク・ナモブさんが1954年5月20日から諜報部隊に抑留された後、同年6月3日に検挙されたと報告されるまで、諜報部隊に約2週間不法拘禁され、軍人・軍属の犯罪だけを捜査できる国軍情報機関である諜報隊がパクさんを逮捕・抑留して北朝鮮を称賛する告白書を書かせたことは、「憲兵と国軍情報機関の捜査の限界に関する法律に違反するだけでなく、職権乱用に該当し、刑事訴訟法第420条7号の再審査の理由になる」と判断した。
 パク・ナモブさんは1940年3月頃、京城医学専門学校(現ソウル大学医学部)を卒業した後、1948年1月頃、平壌(ピョンヤン)の北朝鮮中央病院内科で医師として勤務していた。朝鮮戦争が勃発すると、1950年12月、父親と叔父4人とともに南に渡った。母親と息子2人、娘1人は北朝鮮に残したままだった。その後、釜山(プサン)の内科病院で勤務したのち、1952年3月頃には春川(チュンチョン)に移住して開業した。

【写真】パク・ナモブ院長の若い頃の姿=パク・ユンギョンさん提供//ハンギョレ新聞社

 事件当時、パク・ナモブさんはいとこのKさんが春川にある陸軍諜報特殊部隊に勤めていたため、病院をよく往来した部隊の将校たちと知り合いになった。パクさんは彼らを通じて北朝鮮に残した母親と妻子の消息を知ろうとした。すると、諜報部隊の将校たちはパク・ナモブさんに直接北朝鮮に渡り妻子に会って情報も収集してくるのはどうかと提案した。パクさんはこれを受け入れ、春川から北に4キロメートル付近で数日間教育訓練を受けた。訓練を終えたパクさんは彼らの案内に従って北朝鮮に渡ったが、その後すぐに人民軍の服装の軍人に逮捕された。結局、北朝鮮に渡った動機と釜山・春川地域の軍配置および動向と大韓民国を誹謗する陳述などの告白書を提出した。数日後、彼らは人民軍ではなく、人民軍の服装をした諜報部隊員である事実を知った。諜報部隊に逮捕された場所も休戦ライン以南の地域だった。パク・ナモブさんの娘である事件申立人のパク・ユンギョンさん(56)は2022年10月、ハンギョレに寄稿した文で「父親の財産を狙った従兄弟と結託した特務隊の工作だと(父親は)訴えたが、無視された」と明らかにした。
 しかし、真実和解委の調査が行われるまでは、諜報部隊の欺瞞と緻密な罠に父親がかかった具体的な内幕は知らなかったという。真実和解委関係者はこの事件と関連し「担当調査官が2年間にわたる執拗な資料追跡で、真実を究明することができた」と説明した。同関係者は「はじめは資料が本人の判決文しかなかったが、担当調査官が戦争後に北朝鮮から韓国に渡った医師たちを取り上げた論文を検索して調べていたところ、パク・ナモブ事件のパズルを完成することができた」と語った。

【写真】生前の故パク・ナモブ慈恵医院院長=パク・ユンギョン提供//ハンギョレ新聞社

 1964年に釈放されたパク・ナモブさんは翌年、ソウル新設洞(シンソルドン)で「大洋医院」を開き、1966年にチュ・ミョンスンさんと再婚した後、ソウル鷹岩洞(ウンアムドン)に移住して慈恵医院を開院した。パクさんは獄中で縁を結んだ複数の長期囚や病院費の出せない患者を無料で診療したという。
 パク・ナモブさんは、1975年8月には北朝鮮の放送を聞いたという理由で緊急措置第9号と反共法第4条違反の疑いで治安本部に連行され、厳しい拷問の末に懲役5年、資格停止5年を言い渡され、再び投獄された。これについては、真実和解委が2022年12月、「連行および拘禁が適法でなく、調査過程で治安本部捜査官らは職務範囲を抜け出し陳述を強要・欺瞞・脅迫し、虚偽の自白をさせたことにより、事件が捏造された」として、真実究明決定を下した。
 パク・ユンギョンさんは、父親の1954年事件に関する真実究明決定直後の16日、ハンギョレの電話インタビューで、「父は北朝鮮に残してきた妻子の安否が気になっただけなのに、とんでもない事件に巻き込まれ、人生の黄金期を10年も刑務所で過ごしたことを思うと、胸が痛む。父は亡くなる瞬間まで無実なのに刑務所に入れられたことではなく、北朝鮮に残してきた家族に会えなかったことを、最後まで無念に思っていた」と述べた。

コ・ギョンテ記者 (お問い合わせ japan@hani.co.kr )
韓国語原文入力:2024-04-17 21:45
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2024年春の海南島「現地調査」報告 4

2024年04月18日 | 海南島近現代史研究会
  4月2日朝9時40分に旅館から回新村に向かった。5年半前にはなかった道路ができていて、なかなか着かない。10時40分に着くが、村中の道路もおおきく変わっている。
 紀州鉱山の真実を明らかにする会が初めて回新村を訪ねたのは、21年前の2003年3月24日だった。このとき出会った哈秉堯さん(当時74才)は、日本人が、朝鮮人を「朝鮮報国隊」の人たちだと言うのを聞いたことがあると言った。 
 わたしたちは、朝鮮人の宿所跡に、案内してもらった。朝鮮人は、飛行場建設や、道路建設をさせられ、殴られて死んだ朝鮮人もいたという。
 哈秉堯さんは、その現場に案内してくれた。哈秉堯さんは、子どものころ毎日のように朝鮮人がおおぜい死ぬのを見たと言った。
 その後、わたしたちは、なんども回新村を訪ね、村人から証言を聞かせてもらった。
 2004年4月に紀州鉱山の真実を明らかにする会は1998年6月からの海南島での「現地調査」での映像を編集して、ドキュメンタリー『日本が占領した海南島で 60年前は昨日のこと』を制作した。2004年7月にその朝鮮語版を、2004年12月にその漢語版を制作し、2005年はじめに回新村で漢語版を上映した。
 わたしが最後に哈秉堯さんに会ったのは、2018年10月下旬だった。今度訪ねたら家は空き地になっており、近所の人が哈秉堯さんは何年か前に亡くなり、家族は飛行場の近くに引っ越したと話した。
 回新村を離れて、「朝鮮村」に向かった。11時10分に「朝鮮村」の南丁小中学校の前に着いた。
 わたしたちは、これまで20回ちかく「朝鮮村」を訪ね、「朝鮮村」の村人に日本軍が「朝鮮村」をその周辺で朝鮮人を強制的に働かせ、暴行し、虐殺した目撃証言を聞かせてもらってきた。
 今回は同行できなかったが、海南島近現代史研究会の会員の在日朝鮮人が、「朝鮮村」の貧しい小中学生に使ってもらうようにと南丁小中学校に100万円を寄金したいと言い、わたしが預かっていた。南丁小中学校の蔡少冠校長は、上部機関(教育局→民生局)に問い合わせてから、受け取ってくれた。校長は、貧しい生徒と成績のいい生徒のために使いたいと言った。南丁小中学校に隣接している広場には日本政府に「朝鮮報国隊」に入れられ海南島に連行されて1945年夏に虐殺された朝鮮人1000人以上が埋められていた。

 4月2日12時15分に南丁小中学校から離れてが埋められている広場に行った。広場の南丁小中学校寄りの場所(朝鮮人の遺骸がいまも埋められている)には、陶器工場が建設されていた(現在は休業中)。
 12時40分に「朝鮮村」から黄流に向かった。

                                      佐藤正人
 
 
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2024年春の海南島「現地調査」報告 3

2024年04月17日 | 海南島近現代史研究会
 4月1日朝8時35分に旅館を出発し、9時30分に英州鎮九尾村(前、九尾吊村)に着いた。
 わたしは、2005年に、政協陵水黎族自治県委員会主席の蘇光明さんから『陵水文史 7 日軍侵陵暴行実録』(1995年2月発行)をいただいた。その書には、馮徳郷・藍信郷・馮興瓊口述、蘇光明整理「死里逃生憶当年——九尾吊村“三・九”大屠殺述実」が掲載されていた。そこには1943年農歴3月9日に日本軍が村民72人を殺害したという証言が記されていた(陵水黎族自治県老区建設促進会編『陵水黎族自治県革命老区発展史』(2021年12月、海南出版社発行)には「死里逃生憶当年」が「九尾吊村大屠殺遺址」と題されて6行に縮められて収録されている。314頁)。
 2007年から海南島近現代史研究会は村人に証言を聞かせてもらうために、何度か九尾吊村を訪ねた。
 2014年4月7日に英州镇红鞋村委会九尾村全体村民は、陵水黎族自治县人民政府に、村に日本軍の村民殺害の「歴史真相」を伝える「纪念碑」建設を求める文書を提出する準備を開始していた。
 海南島近現代史研究会が前回九尾村を訪ねたのは、2014年11月4日だった。そのとき、元書記の馮興義(1933年生)さん、現書記王田衛(1970年生)さんらは各家をまわり、戸主が死んだり、全滅した家のばあいは、親戚を訪ねて聞いて、殺された人の名まえ、虐殺の状況を調べて文書をつくったと言った。
 馮興義さんは、
   「日本軍は村の二つの方向から攻めてきた。田んぼの方には日本兵はいなかったので、20何人が田んぼのほうに逃げた。
    逃げられなかった人はぜんぶ、剣で刺し殺された。
    当時わたしは13歳ころで、家族は、父、母、兄3人、姉2人、じぶんの8人家族だった。わたしは末子なので、父はわたしを
   連れて逃げた。兄ふたりと姉ひとりは逃げることができたが、兄の亜楽と姉の玉英は殺された。兄は25歳、姉は15歳だった。
   王廷朝と李家珍はつかまって、隆広の日本軍の基地まで、村のニワトリやブタ、羊などを運ばされたあと、首を切られて殺された。
   首は見つからないまま。隆広の人が見ていて、村の人に教えてくれた。村の人が遺骸を引き取りに行ったが、首がなかった。探しても見つからなかった。
   村の人はみんな山に逃げているので、村には
  人はいない。家は焼かれて、壁だけ焼け残っていた。日本軍は何回も来た。家を壊して、レンガを盗っていった。
   壁を壊したり、運んだりしたのは、別の村の人がした。どこの村の人かわからない。英州あたりの村の人。
  車はないので、みんなかついで運んだ。
と話した。とげがはえた大きなサボテンをゆびさして、馮興義さんは、
   「日本軍時代、大きく茂っていて、村のまわりぜんぶに植えられていた。‘界刺(ゴイシ)’という。動物も入って行かない。
   痛いが、ここに隠れた人は助かった」と言った。
 その9年半後の2024年4月1日に、わたしは 九尾村を訪ねた。村人に聞くと、追悼碑(「纪念碑」)は、まだ建設されていないと言う。
 馮興義さんの家を訪ねた。馮興義さんは、ほとんど目が見えなくなっていた。すこしの間話していると、声でわたしのことを思い出してくれた。馮興義さんは、1958年から1988年まで30年間、村里(周辺のいくつかの村)の書記をしていたという。

 2024年4月1日午後12時15分に、保亭黎族苗族自治県什玲鎮で陳厚志さんに会った。陳厚志さんは、張応勇さんに教えられて海南島で民衆運動を続けてきている人だ。
 保亭市内で張応勇さんの三女の張蕾さんに会った。張応勇さんの妻の黄菊春さんは2020年後半に、一女の張嘉さんは2022年後半に乳がんで亡くなったという。張応勇さんの遺稿集出版について話し合った。
 午後6時、三亞市内に着き、三亞民间文化博物館に行き、館長の蔡明康さんに再会し話を聞いた。『海南島近現代史研究第4号・第5号』を寄贈すると、「このような資料はいちばんだいじなものだ」と語った。

                                     佐藤正人
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