三重県木本で虐殺された朝鮮人労働者の追悼碑を建立する会と紀州鉱山の真実を明らかにする会

三重県木本で虐殺された朝鮮人労働者の追悼碑を建立する会と紀州鉱山の真実を明らかにする会

2024年春の海南島「現地調査」報告 2

2024年04月16日 | 海南島近現代史研究会
 3月31日早朝、海口を車で出発し、高速道路を南に向かい、定安県・瓊海市を通過し、11時過ぎに万寧市万寧鎮に着いた。
 新型冠状病毒肺炎流行のため、海南島近現代史研究会が海南島に行くのは訪ねるのは5年3か月ぶりだった。
 初めに蔡徳佳さんの家を訪ねた。蔡徳佳さんは、2年前に亡くなられていた。
 わたしが、初めて蔡徳佳さんに会ったのは、2002年4月5日だった。その後、わたしが蔡徳佳さんに10数回話を聞かせてもらってきた。
 初めにあった日に、万寧県政協文史弁公室編『鉄蹄下的血泪仇(日軍侵万暴行資料専輯)』(『万寧文史』第五輯、1995年7月)をいただいた。その書には、蔡徳佳・林国齋「日軍占領万寧始末——制造“四大屠殺惨案紀実”」、楊広炳・陳業秀・陳亮儒・劉運錦「月塘村“三・廿一”惨案」が掲載されていた。
 3月31日午後1時過ぎに、月塘村の朱振華さんの息子さんを訪ねると、朱振華さんは2年前に脳の病気で入院し、いまはほとんど記憶を失っていると話した。
 わたしが初めて朱振華さんに出会ったのは、2007年5月24日だった。
 朱振華さんは、1980年代末から、月塘村虐殺の犠牲者の「調査」をはじめ、犠牲者と幸存者全員の名簿をつくった。虐殺三年後の1948年に月塘村で生まれた朱振華さんは、成人後、獣医をしながら、村の家を一軒一軒、なんども訪ねて聞きとりをし、月塘村虐殺の実態を知ろうとしていた。
 月塘村の追悼碑(三・廿一惨案紀念碑)は、2008年農暦3月21日(4月26日)に除幕された。
 追悼碑の建設は、朱振華さんと朱学基さんが中心になってすすめた。
 1945年5月2日明け方、日本軍は、北方の万寧市のほうから、月塘の西側の道を通って、村に入ってきた。その道は、いまでも残っている。
 月塘のすぐ近くの朱光清さんの家を日本軍が襲ったとき、まだ、陽はのぼっていなかったという。その家のあった場所で、朱光清さん(一九三四年生)は、
   「とつぜん家にはいってきた日本兵に、おなかの右下を刺された。血まみれになり、腸がとびでた。
   手でおさえて逃げるとき、右足を切りつけられた。血がいつまでも止まらなかった。
   門のそばで母が殺された。四三歳だった」。
と、ときどき遠い所を見つめるようにして、低い静かな口調で話してくれた。
 朱光清さんは、傷跡をみせてくれた。腹部の傷跡が深く残っており、右足首上部の傷が細長く残っていた。
 2024年3月31日に朱光清さんの家を訪ねた。妻の黄玉金さんが、朱光清さんは家のなかで転んで骨折し、1か月ほど寝込んで農歴2023年2月10日に89歳で亡くなった、と語った。

 月塘村を離れ、高速道路を南西に進み、陵水黎族自治県英州鎮にいった。

                                 佐藤正人
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2024年春の海南島「現地調査」報告 1

2024年04月15日 | 海南島近現代史研究会
 海南島近現代史研究会は、2024年3月30日から13日まで20回目(紀州鉱山の真実を明らかにする会としては回目)の海南島「現地調査」をおこないました。
 その行程は、つぎのとおりでした。

3月30日午後9時、海南島海口国際空港にホンコンからの直行便で到着。 
3月31日 海口→月塘村→英州鎮大坡村→英州鎮九尾村→陵水泊
4月1日 陵水→保亭→「朝鮮村」→三亞泊。
4月2日 三亞→三亚民间文化博物馆→黄流日本軍飛行場跡→黄流泊。
4月3日 黄流→感恩県龍衛郷新村(現、東方市新龍鎮新村)→東方泊。
4月4日 東方市博物館→八所鎮新街村→四更鎮→東方泊。         
4月5日 東方→昌化鎮旦場村→烏烈鎮→白馬井鎮→新盈鎮泊
4月6日 新盈→臨高→沙土の欽定村)→澄邁泊
4月7日 澄邁常樹村→雷鳴鎮南曲村→雷鳴鎮梅種村→黄竹→南陽→文昌泊
4月8日 文昌→清瀾港→東郊鎮→東閣鎮→潭牛泊
4月9日 潭牛→石馬鎮→
4月10日 潭牛→大至坡→秀田村→舖前泊
4月11日 舖前→海口市石山王村→天尾→海口泊
4月12日 三江→咸来→ 
4月13日 海口人民公園に建てられている海南革命烈士纪念碑のそばの許如梅さんの「墓」に、許如梅さんの息子さん(邢勇さん)に案内してもらう→南海出版公司との話し合い→海口発
                                 佐藤正人
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ハマス、新たなガザ休戦案を拒否 イスラエル

2024年04月15日 | 国家・社会
「AFP」 2024年4月14日 16:27 発信地:エルサレム/中東・アフリカ
■ハマス、新たなガザ休戦案を拒否 イスラエル

【写真】パレスチナ自治区ガザで、イスラエル軍による爆撃で立ち上る煙を見る住民(2024年4月11日撮影)。
【写真】パレスチナ自治区ガザのヌセイラットで、イスラエル軍の爆撃後に出動する消防車(2024年4月12日撮影)。
【写真】パレスチナ自治区ガザ地区のデイルアルバラフで、イスラエル軍の爆撃で負傷し、病院で治療を受ける記者(2024年4月12日撮影)。
【写真】パレスチナ自治区ガザで、イスラエル軍による爆撃で負傷した少女を運ぶ住民(2024年4月11日撮影)。
【写真】パレスチナ自治区ガザで、イスラエル軍の爆撃を受けた住宅の被害を確認する住民(2024年4月12日撮影)。
【写真】パレスチナ自治区ガザのヌセイラットで、イスラエル軍の爆撃を受けた建物の残骸(2024年4月12日撮影)。
【写真】パレスチナ自治区ガザのヌセイラットで、イスラエル軍の爆撃後に立ち上る煙(2024年4月12日撮影)。

【4月14日 AFP】イスラエルの対外特務機関モサド(Mossad)は14日、イスラム組織ハマス(Hamas)が、パレスチナ自治区ガザ(Gaza Strip)での新たな休戦案を拒否したと明らかにした。
 モサドはイスラエル首相府を通じて発表した声明で、休戦案の拒否はハマスが人道的な取引や人質の返還を望んでいないことを示していると指摘。「(イスラエルと)イランとの緊張を利用」して、中東全体の緊張を激化させることを狙っていると非難した。

 一方のハマスは、「恒久的な停戦」と「ガザ全域からの(イスラエル)占領軍の撤退」を求める考えを変えていない。


「 AFP」 2024年3月27日 15:45 発信地:ジュネーブ/スイス
■ガザで「ジェノサイド」 国連特別報告者指摘に支持相次ぐ 人権理

【写真】国連人権理事会で発言するフランチェスカ・アルバネーゼ特別報告者(左)。スイス・ジュネーブで(2024年3月26日撮影)。(c)Fabrice COFFRINI / AFP【写真】国連人権理事会でフランチェスカ・アルバネーゼ特別報告者(画面右)の発言を聞く各国代表。スイス・ジュネーブで(2024年3月26日撮影)。(c)Fabrice COFFRINI / AFP 

【3月27日 AFP】国連人権理事会(UN Human Rights Council)からパレスチナ自治区の特別報告者に任命されているフランチェスカ・アルバネーゼ(Francesca Albanese)氏は26日の理事会で、イスラエルが同自治区ガザ地区(Gaza Strip)で実行している軍事作戦は「ジェノサイド(集団殺害)行為」に当たるとの持論を重ねて表明した。それを受け、アラブ諸国や中南米諸国から支持する声が相次いだ。
 アルバネーゼ氏は、「ガザにおける(イスラエルの)ジェノサイドの意思は明々白々であり、われわれは目を背けてはならず、立ち向かい、防ぎ、罰しなければならない」と主張。各国に対し、対イスラエル武器禁輸と制裁措置を呼び掛けた。
 それに対しパキスタンの代表はイスラム協力機構(OIC)を代表し、「(イスラエル)軍はハゲワシのように(ガザ南部)ラファ(Rafah)を取り囲み、ヨルダン川西岸(West Bank)では強欲にも土地侵略を続けている」とし、武器禁輸・制裁への支持を表明した。
 またエジプト代表はアラブ諸国を代表して、イスラエルは「ガザを構造的、計画的に攻撃し、人が住めないようにしようとしている」と非難した。
 イスラエルと後ろ盾の米国の代表は欠席した。(c)AFP/Robin MILLARD


「AFP」 2024年3月26日 12:42 発信地:ジュネーブ/スイス
■イスラエル、ガザで「ジェノサイド条約」違反 国連特別報告者

【写真】パレスチナ自治区ガザ地区南部の病院にイスラエル軍の攻撃で負傷した子どもを運び込む男性(2024年3月24日撮影)。(c)MOHAMMED ABED / AFP
【写真】パレスチナ自治区ガザ地区南部ラファで、イスラエル軍の攻撃で破壊された建物のそばを移動するパレスチナ人の家族(2024年3月24日撮影)。(c)MOHAMMED ABED / AFP 
【写真】パレスチナ自治区ガザ地区で、イスラエル軍の攻撃で親族を亡くした男性(2024年3月21日撮影)。
【写真】パレスチナ自治区ガザ地区中部から南部に退避するパレスチナ人の人々(2024年3月21日撮影)。
【写真】パレスチナ自治区ガザ地区北西部で、破壊された建物のそばを歩く男性(2024年3月25日撮影)。 
【写真】パレスチナ自治区ガザ市からガザ地区中部に退避するパレスチナ人の人々(2024年3月21日撮影)。 
【写真】パレスチナ自治区ガザ地区でイスラエル軍の攻撃で立ち上る煙。イスラエル南部から撮影(2024年3月14日撮影)。(c)JACK GUEZ / AFP 

【3月26日 AFP】国連人権理事会(UN Human Rights Council)からパレスチナ自治区の特別報告者に任命されているフランチェスカ・アルバネーゼ(Francesca Albanese)氏は25日、イスラエルがパレスチナ自治区ガザ地区(Gaza Strip)での軍事作戦で「ジェノサイド(集団殺害)」に相当する行為を働いたと判断する「合理的な根拠」があるとの報告書を公表した。「民族浄化」の恐れがあることにも警鐘を鳴らしている。
 アルバネーゼ氏は、イスラエルがガザで、国連のジェノサイド条約に記載されている五つの行為のうち三つに違反しているのは明らかだと指摘。
 報告書は違反行為として、「集団構成員の殺害」「集団構成員に対する重大な肉体的または精神的な危害」「集団の全部または一部に肉体の破壊をもたらすために意図された生活条件の強要」を挙げた。
 さらに、イスラエル政府の一部高官が、パレスチナ人の強制移住と自国民の入植拡大を表明していることについて、「退避命令と安全地帯を、民族浄化を達成するための集団殺害の道具として使っている」と糾弾している。
 国連の特別報告者は国連人権理事会によって任命されるが、国連を代表する立場にはない。
 スイス・ジュネーブのイスラエル代表団は、同国は「報告書の内容を断固否定する」とし、「イスラエル国家の樹立そのものを否定しようとする試みの一端にすぎない」と反発。
 「イスラエルの戦争は(イスラム組織)ハマス(Hamas)に対するものであり、パレスチナ住民に対するものではない」と主張した。
 米政府当局者はAFPに対し、報告書について把握しているが、「イスラエルがガザで集団殺害を行ったと信じるに足る根拠は得ていない」と語った。


「AFP」 2024年3月25日 13:09 発信地:パレスチナ自治区
■ガザ住民「恐怖と飢餓」に直面 国連総長、支援拡大と即時停戦訴え

【写真】パレスチナ自治区ガザ地区とエジプトの境界にある同国側のラファ検問所で記者会見する国連のアントニオ・グテレス事務総長(2024年3月23日撮影)。(c)Khaled DESOUKI / AFP
【写真】パレスチナ自治区ガザ地区とエジプトの境界にある同国側のラファ検問所を訪問した国連のアントニオ・グテレス事務総長(中央、2024年3月23日撮影)。(c)Khaled DESOUKI / AFP 
【写真】パレスチナ自治区ガザ地区ラファに近いエジプト・アリーシュにある空港に到着した国連のアントニオ・グテレス事務総長(中央、2024年3月23日撮影)。(c)Khaled DESOUKI / AFP 

【3月25日 】国連(UN)のアントニオ・グテレス(Antonio Guterres)事務総長は24日、訪問先のエジプトで、パレスチナ自治区ガザ地区(Gaza Strip)の住民は「恐怖と飢餓」にさらされているとして、人道支援の拡大と即時停戦を訴えた。
 グテレス氏は、多数の住民が避難している南部ラファ(Rafah)への地上侵攻を計画しているイスラエルに対し、計画の実行を思いとどまるよう要請。
 ガザでは240万人の住民が「ノンストップの悪夢」を強いられているとし、「銃を置き、即時の人道的停戦をすべき時がとっくにきていることを世界中が認識している」と述べた。
 さらに、ラファでは人道支援物資の輸送トラックが足止めされているとして、イスラエルに搬入を許可するよう求めた。
 イスラエル軍はこれを受け、SNSで、国連に物流面での拡充を促し、「自分たちの失態をイスラエルのせいにするのはやめるべきだ」と反論した。


「AFP」 2024年3月23日 12:40 発信地:エルサレム/中東・アフリカ
■イスラエル、西岸の800ヘクタール「国有地化」 米国務長官の訪問中

【写真】パレスチナ自治区ヨルダン川西岸のイスラエル入植地(上、2024年2月29日撮影)。(c)Menahem Kahana / AFP
【写真】イスラエルのベンヤミン・ネタニヤフ首相(右)とベツァレル・スモトリッチ財務相(2024年1月7日撮影)。(c)RONEN ZVULUN / POOL / AFP 

【3月23日 AFP】イスラエル極右のベツァレル・スモトリッチ(Bezalel Smotrich)財務相は22日、占領下に置くパレスチナ自治区ヨルダン川西岸(West Bank)のヨルダン渓谷(Jordan Valley)北部にある土地800ヘクタールを「国有地化」すると発表した。
 イスラエルの入植活動を監視するNGO「ピース・ナウ(Peace Now)」によれば、1回の接収面積としては1993年にオスロ合意(パレスチナ暫定自治宣言)が調印されて以降最大。2024年の接収面積も過去最大となる見通しだという。
 接収の発表は、ベンヤミン・ネタニヤフ(Benjamin Netanyahu)首相率いる強硬右派政権の入植地拡大を批判してきた米国のアントニー・ブリンケン(Antony Blinken)国務長官のイスラエル訪問中に行われた。ピース・ナウは「挑発」との見方を示している。
 西岸でのユダヤ人入植地の拡大は国際法違反と見なされているにもかかわらず、スモトリッチ氏は拡大計画を推し進めている。(c)AFP


「AFP」 2024年3月22日 14:41 発信地:ワシントンD.C./米国
■ガザ戦闘、若者の方がイスラエルに批判的 米

【写真】米首都ワシントンで行われたパレスチナ支持者によるデモ(2024年3月2日撮影)。(c)Mandel NGAN / AFP

【3月22日 AFP】パレスチナ自治区ガザ地区(Gaza Strip)での戦闘をめぐり、米国の若者は他の年齢層よりもイスラエルに対してはるかに批判的であることが、米調査機関ピュー・リサーチ・センター(Pew Research Center)が21日に公表した調査結果で明らかになった。
 調査では、昨年10月7日のイスラム組織ハマス(Hamas)による奇襲攻撃に対するイスラエルの対応について、18~29歳の46%が「許容できない」と回答。21%が「許容できる」とし、残りは「どちらとも言えない」と答えた。
 年齢が上がるにつれ、この数字はほぼ反転している。65歳以上でイスラエルの対応を支持すると答えた人は53%に上る一方、許容できないと答えたのは29%だった。
 調査は1万2693人を対象に行われた。
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「日本に堂々と謝罪を要求するためには」

2024年04月15日 | 個人史・地域史・世界史
「The Hankyoreh」 2024-04-15 10:50 
■[寄稿]日本に堂々と謝罪を要求するためには
 李東石(イ・ドンソク)|在日コリアン 
 <ハンギョレ‐ノ・フェチャン財団共同企画[6411の声]>

【写真】昨年10月29日、ソウル市鍾路区の日本大使館の前で筆者が「朝鮮学校と共にする人々『モンダンヨンピル』」と一緒に日本にある朝鮮学校の高校無償化を要求するデモをしている=キム・チャンソプ氏提供//ハンギョレ新聞社

 私は1952年に日本で生まれた在日コリアン2世だ。日本の高校3年生だった18歳のとき、朝鮮人であることを自覚するようになった。しかし、どうすれば朝鮮人として生きていくことができるのか分からなかった。悩みぬいた末、在日コリアンの同級生と日本の学校内に「朝鮮文化研究会」を作り、それまで使っていた日本名を捨て、朝鮮人として生きていくことを決意した。朝鮮文化研究会で朝鮮高校の生徒と交流し、日本の高校に通う在日コリアンの生徒たちの集まりにも参加した。その過程で、朝鮮人として生きようとするのであれば、韓国語を習わなければならないと考え、韓国留学を決心した。1971年に初めてソウルに来て、1973年に韓国外国語大学フランス語学科に入学した。
 1975年11月、保安司令部の要員が下宿に来て、令状なしで私を連行した。40日間保安司令部に監禁されて拷問と脅迫で自白を強要され、私は「スパイ」になった。韓国語と自分たちの歴史を学びたくて加入した朝鮮文化研究会で総連系の人に会って話したことが、「スパイ」になった主な容疑だった。在日コリアン17人が拘束された、いわゆる「学園浸透スパイ団事件」だ。私は5年の刑を受けて大田(テジョン)刑務所で獄中生活をすることになった。そんな私を支援して激励してくれたのは、日本の人たちが組織した「救援会」だった。救援会の人たちは裁判を傍聴して励ますためにソウルに何度も来て、大田にも何回も面会に来た。
 私は救援会がなければ健全な精神ではいられなかっただろう。私が釈放されて1981年に日本に帰ってきた後も、全斗煥(チョン・ドゥファン)独裁政権下で在日コリアンのスパイ事件が多く発生した。拘束された在日コリアンの家族に会って励まし、救援会とともに支援運動を行った。多くの人たちの支援を受けたので、今度は私が取り組まなければならないと考えた。
 労働運動に関心があった私は、韓国の良心囚がほとんど釈放された1990年代後半に「在日高麗労働者連盟」(高麗労連)に加入した。高麗労連は朝鮮半島にルーツがある在日コリアンであれば南北関係なく誰でも加入できる労働組合だった。その組合で在日コリアンに対する労働差別改善や韓国人労働者の支援と交流のために活動した。監視を受けてはいたが2000年代になってからは韓国に行くことができるようになり、日本と韓国の労働者の交流の過程で通訳を担当して何度も韓国に行った。
 2005年に「真実和解のための過去事整理委員会」(真実和解委員会)ができたが、日本に住む私たちがその存在を知るようになったのは、ずっと後のことだった。国家権力による拷問を受けて長い間刑務所生活を経験した在日コリアンの良心囚は、国家機関である真実和解委員会を信じられず、当初は真相究明の申請をためらう雰囲気だった。私もそうだったが、真実和解委員会は韓国の民主化闘争の成果だと考え、2011年に真相究明を申請した。その後、裁判所が再審で「拷問で強要した自白には証拠能力がない」と判断し、2015年に無罪が確定し、賠償金も受け取った。賠償金は、国家の過ちは認めるが、金を支払うことでこれ以上の国家責任を問えなくするものだ。私は今後どのように生きていくのかを決めなければならなかった。大学に再入学することにした。2017年に外国語大学に入り、私より若い教授に学び、2020年2月に卒業した。大学生活の間に良い韓国の人たちと多く知り合い、卒業後も韓国で暮らしたくなった。4年が過ぎた今でも、ソウルに住みながら、在日コリアンの良心囚の再審を支援し、韓国内の難民問題や外国人労働者問題、ベトナム民間人虐殺問題などに関心があり、集いや集会に参加している。
 韓国は、日本による植民地下での痛みを経験し、解放後の済州(チェジュ)4・3事件では多くの難民が発生して日本に渡っていき、韓国人も労働者として外国に働きに行った歴史がある。現在、韓国に住んでいる外国人や難民に対する韓国の政府や国民の態度を見ると、とても残念に思う。韓国が国家の過ちを認めて修正し、外国人や社会的弱者に対する人権を保障してこそ、「慰安婦」や「徴用工(強制動員)」問題に対する日本の謝罪を堂々と要求できる。そして、在日コリアンへの差別をなくせと声を上げることができる。私がこの問題に関心を持って連帯活動をする理由は、歴史の過ちは正さなければならず、良い社会を作る責任が韓国人として生きる自分にもあるという思いからだ。私はいつも弱者の立場に立ち、労働者の目で世の中を見ようと努力している。

李東石(イ・ドンソク)|在日コリアン (お問い合わせ japan@hani.co.kr )
韓国語原文入力:2024-04-14 18:44
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「自衛隊、植民地支配正当化する「大東亜戦争」公式SNSで使用」

2024年04月14日 | 国民国家日本の侵略犯罪
「The Hankyoreh」 2024-04-09 06:41
■自衛隊、植民地支配正当化する「大東亜戦争」公式SNSで使用
 朝日新聞「日本政府も使わない」…タブー 
 A級戦犯内閣が侵略を正当化するために閣議決定した表現

【写真】日本の陸上自衛隊の部隊が公式SNSアカウントで侵略戦争を美化する「大東亜戦争」という表現を用いていたことが確認された=第32普通科連隊の公式SNSより//ハンギョレ新聞社

 日本の陸上自衛隊の部隊が公式SNSアカウントで、侵略戦争を美化する「大東亜戦争」という表現を使用していたことが8日に確認された。この用語は、日本の起こした戦争はアジアの植民地を解放するためのものという歪曲された意味を含んでいるため、日本でも使用がタブー視されている。
 陸上自衛隊第32普通科連隊は5日、公式SNSアカウントに「32連隊の隊員が、大東亜戦争最大の激戦地硫黄島において開催された日米硫黄島戦没者合同慰霊追悼顕彰式に旗衛隊として参加しました」と投稿した。そして「慎んで祖国のために尊い命を捧げた日米双方の英霊のご冥福をお祈りします」と付け加えた。
 日本の自衛隊が「大東亜戦争」という表現を公式SNSアカウントで使用したことは、物議を醸している。オンラインでは「中国、朝鮮、台湾、東南アジアでの植民地統治や侵略を正当化する名称だ」、「公の機関が使用してはならない」などの批判の声があがっている。
 朝日新聞も「政府は太平洋戦争を指す言葉として、この呼称を公式文書では用いていない」と強調した。日本の陸上自衛隊は「大東亜戦争」という表現を使ったことについて、同紙に「本日はコメントすることができない」と答えた。
 大東亜戦争という用語は、太平洋戦争のA級戦犯である東條英機内閣時代の1941年、公式な表現として閣議決定された。この表現は、日本の主張した「欧米の帝国主義からアジアの植民地を解放し、大東亜共栄圏を築いてアジアの自立を目指す」とする「大東亜共栄圏構想」から来たものだ。敗戦後、日本を占領した連合軍総司令部(GHQ)は、公文書などでのこの用語の使用を禁止した。
 今も日本政府はこの用語を使用しておらず、事実上タブーと認識されている。日本では大東亜戦争ではなく太平洋戦争や第2次世界大戦という表現が使われる。歴史歪曲で悪名高い日本の極右団体「新しい歴史教科書をつくる会」などが使う用語だ。
 日本の陸上自衛隊は今年初め、陸将を含む数十人の幹部が太平洋戦争のA級戦犯の合祀されている靖国神社に集団参拝していたことが分かり、波紋を呼んでいる。

東京/キム・ソヨン特派員 (お問い合わせ japan@hani.co.kr )
韓国語原文入力:2024-04-08 11:06
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「「米国は集団虐殺の共犯」米国務省人権担当者がまた辞職」

2024年03月29日 | 国家・社会
「The Hankyoreh」 2024-03-29 08:56
■「米国は集団虐殺の共犯」米国務省人権担当者がまた辞職

【写真】27日、ガザ地区のガザ市で住民が自転車を引きながら歩いている=ガザ市/AFP・聯合ニュース

 米国国務省の職員が、集団虐殺にあたるイスラエルの戦争遂行を支援する米国政府ではこれ以上働けないとして、辞表を提出した。
 国務省の民主主義・人権・労働局中東担当のアネル・シェライン氏は、米国がガザ地区での戦争を行うイスラエルに兵器を提供し続ける状況に耐えられないとして、27日に辞職した。シェライン氏は、国務省の異議聴取のルートや会議を通じて懸念が伝わるよう試みたが、米国がイスラエルに兵器を送り続けるかぎり、このような努力は無意味だという結論を下したことを明らかにした。中東地域の民主主義と人権に関する仕事をしてきたシェライン氏は「もうこれ以上、私の仕事をすることはできない」として、「人権擁護のための努力は不可能だった」と述べた。
 シェライン氏は、CNNのウェブサイトに掲載された「私はなぜ国務省を辞めるのか」と題した寄稿で、ガザ地区の保健省の集計で子ども1万3000人をはじめとする3万2000人を殺害したイスラエル軍の攻撃に、米国が供給した砲弾が使われたと指摘した。また、数十万人が餓死の危機に直面しているとして、「専門家が集団虐殺の犯罪にあたると主張するこのような犯罪は、米国の外交的・軍事的支援のもとで実行されている」と述べた。また、米国はイスラエルに強い影響力を発揮できないという主張もあるが、あるイスラエル軍の予備役少将が昨年11月、軍用機とミサイルはすべて米国から来ているとして「イスラエルは米国なしではこの戦争を遂行できない」と述べたと指摘した。ジョー・バイデン政権は民間人保護を武器移転の重要条件として挙げながらも、自らはそれを守らなかったとして、バイデン大統領も直接批判した。あわせて「米国が人権擁護者として持っていた信頼度は、この戦争開始後、すべて消えてしまった」と述べた。
 また、先月ワシントンのイスラエル大使館前で戦争中止を要求して焼身自殺した米空軍兵士のアーロン・ブッシュネル氏の最後のSNSへの投稿が脳裏に焼きついていると語った。ブッシュネル氏はその投稿に「多くの人たちが『もし自分の国が集団虐殺を犯しているとしたら、私はどうしたらいいだろう』などと自問する。その答えは、あなたたちが今、そうしているということだ」と書いた。
 2年の契約職として国務省で1年ほど働いたというシェライン氏は、当初は辞職しても再度国務省で仕事をする可能性は閉じたくなかったと述べた。しかし、辞職の計画を聞いた同僚が「自分たちの代わりに話してほしい」と要請し、公開の場で辞職の事実と理由を明らかにすることにしたと語った。シェライン氏は、多くの国務省の同僚が米国の行動に裏切られたという思いを抱いているとして、自身の辞職がガザ地区の戦争に対するバイデン政権の支持を撤回させる多くの努力の一つとしての役割を果たすことを望むと主張した。
 昨年10月には、国務省で武器移転の業務を遂行していた職員が、「議論や論争もなしに武器を外国(イスラエル)に送るという、過去にはみられなかったことが起きている」と抗議して辞職した。その職員は、ワシントン・ポスト紙への寄稿を通じて、イスラエルに対する武器支援が原則に反して進められていると批判した。
ワシントン/イ・ボニョン特派員 (お問い合わせ japan@hani.co.kr )
韓国語原文入力:2024-03-28 11:21
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「ロシアで広がる「ゼノフォビア」…移民が標的、「テロ責任論」との分析も」

2024年03月28日 | 国家・社会
「The Hankyoreh」 2024-03-28 09:07
■ロシアで広がる「ゼノフォビア」…移民が標的、「テロ責任論」との分析も
 モスクワテロ後、外国人への検問・規制強化案 
 移住民を殴打、所有建物に放火 
 労働力不足…移住労働者いなければ経済に打撃

【写真】顔に大きな傷を負った22日のモスクワでのテロの被告の1人が、モスクワの地方裁判所で行われた初審理に出廷している/EPA・聯合ニュース

 ロシアのモスクワ郊外のコンサート会場「クロカス・シティ・ホール」で少なくとも139人の犠牲者を出した「モスクワテロ」で、実行犯の疑いで起訴された4人の容疑者が中央アジアのタジキスタン出身者であることが確認されて以降、ロシアでは軽犯罪であっても外国人は追放すべきだと国会議員が主張するなど、「ゼノフォビア(外国人嫌悪)」が広がっている。
 ロシア大統領選挙にも出馬したウラジスラフ・ダワンコフ下院副議長は、モスクワテロ2日後の24日、テレグラムに「良心的に働きたがっている人だけでなく露骨な悪を望んでいる人でも、あまりに容易にロシアに来ることができる」とし、「軽犯罪であっても追放するなど、あらゆる範囲の措置が必要だ」と投稿した。
 ミハイル・シェレメト下院議員も先日、西側の情報機関が移住者を利用してロシア国内の状況を不安定にする恐れがあるとして、「移住を規制して国内の安全を守らなければならない」と主張した。
 ロシア政府もこのような動きに同調している。ロシア労働社会保障省は、移住労働者が事前に登録した勤務地とは異なる場所や会社で働いた場合、15日以内に強制出国させることを定めた法案の提出を準備している。ロシアの複数のメディアが伝えた。キルギスのメディア「タイム・オブ・セントラル・アジア」は、「ロシアの警察が移住民を含む外国人に対する検問を強化するために特別組織を立ち上げた」とし、「彼らは旅行用ホステル、一部の事業体など、移住民が主に集まる場所を集中的に点検する予定」だと報道した。
 平凡な移住民の日常は深刻に脅かされている。一部の地域では、ロシア人が移住民の所有物であるとの理由で建物に火をつけたり、路上でタジキスタン出身の移住民を無差別に殴ったりする事件も発生した。タジキスタン出身の移住者の一人は「今や彼ら(ロシア人)は私たちを呪われた人間であるかのように見ている」とし、「街を歩く時に安全だと感じることはできない」と語った。中央アジアとロシアのニュースを主に報じるインターネットメディア「ユーラシアネット」が伝えた。
 ロシア連邦のイゴール・クラスノフ検察総長は26日、「昨年のロシア国内の移民による犯罪は前年に比べ75%増加した」、「市民の安全の確保と外国人の労働力の活用にともなう経済的合理性のバランスを取る必要がある」として、外国人嫌悪をあおる発言をおこなった。ロシア政府が大規模テロ防止の失敗の責任を他に転嫁しようとしていると分析される。
 ロシアでのゼノフォビア拡大はウクライナ侵攻戦争を繰り広げているロシアの経済に打撃を与えるだろう、という分析も示されている。ロシア科学アカデミー経済研究所によると、昨年のロシアの労働力不足は480万人あまりにのぼる。戦時動員令で30万人以上の労働人口が招集されたほか、動員令を避けるためにロシアを離れた人々も少なくない。
 そのような中で足りない労働力を補う人々こそ、旧ソ連を構成する共和国だった中央アジアのイスラム諸国の出身者たちだ。ロシアにはタジキスタン出身の移住労働者だけでも150万人いる。彼らは主に建設、製造、物流分野などで働いており、ロシアの物価上昇を抑制する要因として作用している。イスラム教スンニ派の過激派武装団体「IS(イスラム国)」は、低賃金で働き、差別にさらされている中央アジア出身のムスリム移民を組織に引き入れるための活動を展開してきた。今回逮捕された4人のタジキスタン人は19歳から32歳の男性だった。英国ガーディアンによると、このうち19歳の男性はモスクワ郊外の理髪店で誠実に働いていた青年で、異常は感じられなかったと理髪店の所有者は述べたという。
ホン・ソクチェ記者 (お問い合わせ japan@hani.co.kr )
韓国語原文入力:2024-03-27 14:03


「The Hankyoreh」 2024-03-26 10:23
■ロシア、ウクライナを空爆…「モスクワでのテロ関与説」で攻撃の名目作りか
 ロシアの極右派、ウクライナ攻撃強化の扇動に没頭

【写真】ロシア軍が大規模な空襲をした24日(現地時間)、ウクライナの首都キーウの空でミサイルが爆発している=キーウ/ロイター・聯合ニュース

 300人以上の死傷者が出たロシア・モスクワのコンサートホールでのテロ後、ロシア軍がウクライナの首都キーウと西部の都市リビウに大規模な空襲を行った。多くの人命被害で窮地に追い込まれたプーチン大統領が、ウクライナへの攻撃で突破口を見出そうとした場合、両国の衝突は最悪へと突き進むという懸念が提起されている。
 ウクライナ空軍は24日(現地時間)、ロシア軍が首都キーウやポーランドの国境近くの都市リビウに29発のミサイルと28機のドローン攻撃を行ったと発表した。ロイター通信などが報じた。空軍はこのうちミサイル18発とドローン25機を撃墜したと説明した。
 リビウのマクシム・コジツキー州知事はソーシャルメディアのテレグラムに「占領軍が夜の間に標的にした主要エネルギー施設が相次いで2回打撃を受けた」と書き込み、この攻撃には撃墜が難しい極超音速ミサイル「キンジャール」が使われたと明らかにした。ウクライナのエネルギー省は、リビウの重要なエネルギー施設内の装備に火災が発生し、電力が遮断されたと明らかにした。エネルギー省とコジツキー州知事が言及した施設が同じ施設なのかは不明だ。
 キーウのセルヒー・ポプコ軍事行政庁長は、ロシアの攻撃によりキーウでも数カ所で爆発が起きたと明らかにした。ただし今回の攻撃で大きな被害は発生しなかったと補足した。一部の住民らは空襲が起きるとキーウ中央地下鉄駅舎に避難し、ある公園ではロシアの巡航ミサイルKh-55の残骸が発見されたとロイターが伝えた。
 この日のロシアのウクライナ攻撃の過程で、ロシア軍の巡航ミサイルがポーランド領空を侵犯した。ポーランド軍が明らかにした。軍はソーシャルメディアのXを通じて「この物体は(ポーランド東部のルブリン州)オセルドフ近くの領空に侵入し39秒間飛行した」と説明した。
 これに先立ち、ウクライナ軍はロシア黒海艦隊が駐留しているクリミア半島のセバストポリに攻撃を加え、2隻のロシア戦艦を打撃したと主張した。軍は同日の声明で「ウクライナ防衛軍が大型揚陸艦艇の『アゾフ』と『ヤマル』を破壊し、通信センターといくつかのインフラを攻撃した」と明らかにした。セバストポリ州政府は、ロシア軍が10発以上のミサイルを撃墜したと主張した。
 ロシアが22日にモスクワ近隣の「クロカス・シティ・ホール」で起きたテロについて、ウクライナが背後にいるという説を示した後から両国の空襲攻防が続き、両軍の衝突が激化する懸念が強まっている。
 AP通信は、プーチン大統領がこれまで築いてきた「強靭な指導者」というイメージを損なったとし、プーチン大統領が今回のテロをウクライナの仕業だと直接非難した場合、これをウクライナに対するより強力な攻撃の理由として利用しうると指摘した。プーチン大統領は前日の国民向け演説で、テロ犯がウクライナ側に脱出しようとしたと述べ、ウクライナ関与説をほのめかしたが、ウクライナを直接非難することはなかった。
 イスラム・スンニ派の過激派武装勢力である「イスラム国(IS)」が自らテロ攻撃をしたと明らかにしたにもかかわらず、ロシア内の過激派は反ウクライナ世論の扇動に没頭している。過激民族主義放送「ツァーグラードTV」の所有者コンスタンチン・マロフェエフ氏は、ロシア政府に向けて、ウクライナ主要都市への総攻撃を宣言し48時間の避難時限を通知することを主張した。極右の哲学者のアレクサンドル・ドゥーギン氏も、キーウなどを「解放」するための総動員令を求めた。
シン・ギソプ先任記者 (お問い合わせ japan@hani.co.kr)
韓国語原文入力:2024-03-25 20:10


「中央日報日本語版」 2024.03.26 10:23
■拷問を受けた後に法廷に立ったモスクワテロ容疑者4人の正体

【写真】検挙後に取り調べを受けるモスクワテロ事件のシャムシディン・ファリドゥニ容疑者 [写真 テレグラム]

 ロシアのモスクワで発生したコンサートホールテロ事件の容疑者4人の個人情報が公開された。

【写真】耳を切られる拷問を受けた後に出廷したモスクワテロ被疑者

 AFP通信、ロイター通信などによると、モスクワのバスマニー地方裁判所は24日(現地時間)、テロ事件の容疑者として逮捕された11人のうち核心容疑者4人の個人情報を公開した。容疑者はダレルジョン・ミルゾエフ(32)、サイダクラミ・ラチャバリゾダ(30)、シャムシディン・ファリドゥニ(26)、ムハマドソビル・ファイゾフ(19)。
 ロシア政府は4人の容疑者はともにタジキスタン国籍と明らかにした。このうち最年長のミルゾエフは数年前にロシアに臨時居住ビザで入国した後、期限が満了し、現在は不法滞在者だ。ミルゾエフには未成年の子ども4人がいることが分かった。ラチャバリゾダも未成年の子どもが1人いて、現在失業中という。
 ファリドゥニは「テレグラムを通じて誰かがテロを指示した」とし、報酬として100万ルーブル(約160万円)が約束されていたと当局に告白した。4日にロシアに入国したファリドゥニはモスクワ郊外の工場で働きながら犯行を計画した。ファイゾフは中等教育まで受けた後にロシアに入国し、モスクワの理髪店で働いたが、現在はやめている。
 ファイゾフはまだ容疑を否認しているが、残りの3人は犯行を認めた。裁判所はこの日、4人の拘禁期間を5月22日まで延長するよう命令し、検察は拘束令状を請求したと伝えられた。
 一方、この日、法廷に姿を現した4人は顔にあざがあり腫れた状態だった。特にラチャバリゾダは耳を切られて包帯を巻いていた。英メディアのデイリーメールは「ロシア軍の激しい暴行と拷問があった」とし、ロシアの軍人が容疑者を暴行を加える動画を公開した。


「The Hankyoreh」 2024-03-26 07:12
■モスクワのテロで137人死亡…電気・ハンマーで拷問された容疑者、裁判所に出頭
 車椅子に乗った容疑者ら4人が裁判所に出頭

【写真】ロシア・モスクワ郊外のコンサートホールでのテロ容疑者として逮捕されたムハマド・ソビル・ファイゾフ容疑者が24日(現地時間)、車椅子に乗ってモスクワの裁判所に出頭し、目を閉じて座っている=モスクワ/AP・聯合ニュース

 22日に起きたロシア・モスクワ郊外の「クロカス・シティ・ホール」テロ死亡者が2日間で137人に増えた。ロシア政府は24日を「追悼の日」と宣言し、公共機関などは弔旗を掲揚した。
 タス通信の報道によると、ロシア連邦捜査委員会は24日(現地時間)までに死亡者が137人に増えたと発表した。捜査委員会は「子どもの死亡者も3人いる」とし、「今まで身元が確認された死亡者は62人であり、身元確認作業は続いている」と明らかにした。負傷者は182人で、このうち100人以上が病院で治療を受けているとロイター通信が報じた。
 捜査委員会は「4個の軍装セットとカラシニコフ小銃4丁、500個以上の弾薬筒と弾倉28個が現場で回収された」と明らかにした。
 ロシア政府は24日を追悼の日と宣言し、市民たちは同日朝から惨事の起きたクロカス・シティ・ホールの前で献花し、追悼の意を表した。ロシア政府機関と米国やオランダ、英国などいくつかの大使館は弔旗を掲揚し、ほとんどの公共行事は取り消しになった。放送局はレギュラー放送番組を中断し、広告も出さなかった。
 テロ容疑で逮捕されたタジキスタン国籍の4人が同日、モスクワのバスマニ地区の裁判所に初めて姿を現した。彼らはダレルジョン・ミルゾエフ(32)、サイダクラミ・ムロダリ・ラチャバリゾダ(30)、シャムシディン・ファリドゥニ(25)、ムハマド・ソビル・ファイゾフ(19)であり、裁判所は同日、彼らを正式に起訴した。彼らは裁判を受けるために5月22日まで拘束される予定だ。AP通信によると、裁判所はこのうちミルゾエフ容疑者とラチャバリゾダ容疑者が罪を認めたと明らかにした。
 ロシア現地のマスコミは、彼らが調査過程で拷問を受けたと報道しており、波紋が予想される。ソーシャルメディアにはロシア軍が4人の容疑者を殴打し、電気衝撃機やハンマーなどを使い拷問する動画が登場した。保安要員らが容疑者1人を逮捕する過程で、右耳をナイフで切る場面を撮った動画も出回っている。実際、容疑者の一人であるラチャバリゾダ容疑者は右耳に包帯をつけた状態でこの日裁判所に出頭した。ミルゾエフ容疑者とファリドゥニ容疑者も顔が腫れあざが鮮明に残っており、ファイゾフ容疑者は車椅子に乗って裁判所に現れた。
 一方、イスラム過激武装集団「イスラム国(IS)」の宣伝メディアである「アマーク通信」はこの日、90秒に渡るテロ現場映像を公開した。「独占映像:キリスト教徒に対する血なまぐさい攻撃」というアラビア語字幕が付けられている同映像には、怪漢がコーサ―ト観覧客に銃を乱射する場面と5人以上が床に倒れている姿などが収められていた。銃撃した後、怪漢が床に倒れた人たちに近づき凶器で刺す場面もあった。
 英日刊紙の「ガーディアン」は1月、国連安全保障理事会に報告された報告書を引用し、アフガニスタン内のISの分派「イスラム国ホラサン州(IS-K)」がタジキスタン内のイスラム過激派団体「ジャマト・アンサルラ」など、中央アジア諸国から12カ月間にわたり多くの人材の確保に成功したと報じた。同分派は中央アジア諸国を狙ってテレグラムなどソーシャルメディアを通じた広報活動も活発に行っていると国連報告書は指摘した。
シン・ギソプ先任記者(お問い合わせ japan@hani.co.kr )
韓国語原文入力:2024-03-25 23:56


「AFP」 2024年3月25日 11:12 発信地:ワルシャワ/ポーランド 
■ロシア治安当局は「無能」 襲撃事件受け反体制派

【写真】ロシア首都モスクワ郊外のコンサートホールが銃撃された翌日、市内を移動するロシア国家親衛隊(2024年3月23日撮影)。(c)TATYANA MAKEYEVA / AFP
【写真】ロシア首都モスクワ郊外のコンサートホールが銃撃された翌日のロシア大統領府(クレムリン)の「スパスカヤ塔」(2024年3月23日撮影)。(c)TATYANA MAKEYEVA / AFP 
【写真】ロシア首都モスクワ郊外のコンサートホールが銃撃された翌日、閉鎖されている赤の広場(2024年3月23日撮影)。(c)TATYANA MAKEYEVA / AFP

【3月25日 AFP】ロシア首都モスクワ郊外のコンサートホールが銃撃され、テロ事件として過去20年間で最多の犠牲者を出したのを受け、反体制派からは、西側諸国が2週間前に警告していたにもかかわらず治安当局は阻止できなかったとして、非難する声が相次いでいる。
 反体制派指導者、故アレクセイ・ナワリヌイ(Alexei Navalny)氏の政治団体「反汚職基金(FBK)」を運営するイワン・ジダーノフ(Ivan Zhdanov)氏はテレグラムで、「驚かされるのは、わが国の治安当局が壊滅的に無能な点だ」と指摘。「連邦保安局(FSB)は政敵の殺害や国民に対するスパイ活動、反戦を訴える人々の訴追など、本来の任務以外の活動に追われている」と批判した。
 ソ連国家保安委員会(KGB)の元職員で、後継機関のFSBの長官を務めたことがあるウラジーミル・プーチン(Vladimir Putin)大統領にとって、情報活動における失態は痛恨の極みと言える。
 プーチン政権への批判を強めているドミトリー・グトコフ(Dmitry Gudkov)元議員は治安当局について、「犯罪政権を市民から守るだけで、市民を犯罪者から守ることはしない」と非難した。
 元石油王で、2013年まで10年間収監され、現在は英ロンドンで亡命生活を送っているミハイル・ホドルコフスキー(Mikhail Khodorkovsky)氏もソーシャルメディアで、今回の襲撃事件で情報機関は「無能ぶり」をさらけ出したと指摘した。
 ナワリヌイ氏の側近、レオニード・ボルコフ(Leonid Volkov)氏は23日、テレグラムへの投稿で、FSBは「架空のテロリストをでっち上げるのに夢中で、本物のテロリストに対応する時間がない」と皮肉り、「FSBは重大なテロ攻撃の阻止に専念すべきなのにそれができていないが、いまさら誰も驚かない」と批判した。(c)AFP/Jake CORDELL
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「1キロ離れた海に救援物資を投下…溺死するガザの住民ら」

2024年03月28日 | 国家・社会
「The Hankyoreh」 2024-03-28 07:26
■1キロ離れた海に救援物資を投下…溺死するガザの住民ら
 米「パラシュート開かずに地面に落ちる可能性を懸念し海に」 
 ガザ側「不快で無用の長物…陸路輸送を増やすべき」

【写真】25日、ガザ地区北部のガザ市の西部海岸に救護物資が落ちている/AFP・聯合ニュース

 食糧不足問題が深刻なパレスチナのガザ地区で、住民たちが米国などが空中から投下する救援物資を受け取るために海に飛び込んで溺死するケースが増えている。
 26日の米CNNなどの報道によると、ガザ地区北部のベイト・ラヒア近くの海岸で、住民12人が海上に落ちた救援物資を取るために海に飛び込み溺死したと、パレスチナ救急隊員とガザ地区当局が明らかにした。一部のメディアは、死亡者の規模は18人だとも報じた。
 現地の人権団体と目撃者たちは、溺死は今回が初めてではなく、救援物資の空中投下が始まった今月初めから相次いでいると伝えた。今月初めにもガザ市に空中投下された救援物資を受け取ろうとして、少なくとも5人が死亡し、数人が負傷したとガザ地区当局が発表した。ガザ地区当局はこの日、西側諸国に空中からの救援物資投下を中止するよう要求し、「この方法は不快で間違っており、不適切で無用の長物」だと主張した。さらに、早急に救援物資の陸路輸送を増やすべきだと主張した。
 救援物資が投下されたガザ市西部の海岸沿いの現場でCNNが撮影した映像を見ると、数百人の人々が救援物資の投下を待ちながら海岸に集まり、一部の住民たちは安全装置なしに海に飛び込んで救援物資を獲得しようとした。そうするうちに数人は波に流され、遺体となって発見され、また他の人たちは溺死しかけて心肺蘇生法を受けたり救急車で運ばれたりする場面が収められていた。
 この事件を目撃したアブ・モハマドさんはCNNに「救援物資が海岸からほぼ1キロメートル離れた海に落ち、泳げない男性たちが救援物資を手に入れるため海に飛び込み、死亡した」とし、「人々は皆お腹を空かせており、食べ物を求めている」と語った。
 同日、死亡者が出た救援物資の投下を、どの国が実施したのかは不明だ。前日の25日、エジプト、ドイツ、英国、米国、シンガポール、アラブ首長国連邦(UAE)、ヨルダンなどがガザ地区上空に救援物資空中投下を実施した。米国は今月3日に救援物資の空中投下を初めて実施した。
 昨年10月7日のパレスチナ武装組織ハマスの奇襲攻撃後、イスラエルは約220万人が住むガザ地区で戦争を繰り広げており、ガザ地区への物資供給を遮断し封鎖した。その後、一部の生活必需品の供給が制限的に再開されたがまったく足りておらず、ガザ地区の住民の飢饉が懸念されている。先月29日、ガザ市郊外で支援物資を積んだトラックに多くの人が集まっている中、イスラエル軍が彼らに発砲したことで、少なくとも112人が死亡した事件まで発生した。
 ニューヨーク・タイムズ紙の説明によると、米国は救援物資を積んだパラシュートが開かないまま地面に落ちた場合、衝突事故が発生することを懸念し、意図的に海上に落とす方法を選んでいるという。救援物資が波に乗って陸地にたどり着くことを期待しているわけだ。しかし、食べ物が足りない住民たちが救援物資を先に確保するために海に飛び込んで溺死する事態につながっている。
 各国政府と人道支援団体は、より多くの救援物資を届けるため、ガザ地区へのトラックの出入りを許可するよう、イスラエルに求めた。国連などの人道支援団体は、最も効果的な援助手段は飛行機ではなく、トラックを利用した陸路運送だと強調した。220万人以上のガザ住民の大規模な飢饉を防ぐためには、陸路を通じた支援物資の大量運送が必要だ。しかし、イスラエル政府はガザ地区に救援物資の支給を担当してきた国連パレスチナ難民救済事業機関(UNRWA)がハマスと連携しているとし、厳格な審査を通じて少量のトラックのみの出入りを許可している。

キム・ミヒャン記者 (お問い合わせ japan@hani.co.kr )
https://www.hani.co.kr/arti/international/international_general/1134027.html
韓国語原文入力:2024-03-27 17:58
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「日本に渡った「百済の微笑」79年ぶりに故国訪問…半跏思惟像に並ぶ国宝級=韓国」

2024年03月27日 | 朝鮮史
「The Hankyoreh」 2024-03-27 08:00
■日本に渡った「百済の微笑」79年ぶりに故国訪問…半跏思惟像に並ぶ国宝級=韓国
 朝鮮半島仏像の最高傑作「百済金銅観音像」 
 湖岩美術館の仏教美術企画展に劇的に出品 

【写真】湖岩美術館1階の展示室2セクションの入り口に展示された日本の個人蔵である百済金銅観音菩薩立像。25日、マスコミ説明会の時に撮影した写真=ノ・ヒョンソク記者//ハンギョレ新聞社

 最も美しい百済の微笑が故国の地に帰ってきた。
 朝鮮半島の古代仏像の中で半跏思惟像とともに最高の傑作とされる百済金銅観音菩薩立像(日本の個人蔵・以下、百済観音像)が、1945年の植民地解放時に搬出されてから79年ぶりに故国の地に帰り、韓国国内の観客たちと会う。
 サムスン文化財団傘下の湖岩美術館は、27日から始まる仏教美術企画展「泥に染まらぬ蓮の花のように」の開幕に先立ち、25日午前にマスコミ説明会を開き展示場に出品作として展示された百済観音像を公開した。
 7世紀前半から中葉に作られたと推定されるこの百済観音像は、1階の1部2セクション展示室の入り口に展示された。高さ28センチ、頭に宝冠をかぶり左手に浄瓶を持った観音菩薩が美しい姿で立っている精巧な仏像だ。慈悲深い笑みを口元に含んだ表情と、肩・腰を少しひねった三曲姿勢、天衣を上半身に巻いて玉装飾(瓔珞)を付けた姿などが百済仏教美術の頂点に立つにふさわしい調和と均衡の美しさを見せてくれる。韓国の学界では国宝の半跏思惟像、百済金銅大香炉に匹敵する名品と評価されてきた。
 1907年、百済の古都・泗ビ(サビ)城があった忠清南道扶余郡窺岩里(プヨグン・キュアムリ)の畑で、ある農夫が釜に収められた状態で発見したとされるこの仏像は、1922年に大邱に暮らしていた日本人医師・市田次郎氏に売られ、1929年に大邱で開かれた新羅芸術品展覧会にこの仏像を含む所蔵品を披露したのを最後に公開の展示はされなかった。(1945年の)解放直後、市田氏が懐に入れて日本に持ち帰ったとされているが、韓国国内の展示場に公開されたのは95年ぶりといえる。
 この仏像は華やかだが贅沢ではなかったという華而不侈の美徳でよく語られる百済造形芸術の最高絶頂を示す仏像に挙げられる。百済の仏像は7世紀、北斉・隋・唐の様式の影響を受け、自然で優雅な体の量感を表現する段階に発展することになるが、湖岩美術館に展示される百済観音像はこのような発展過程を最も端的に示す作品といえる。現在、日本に残っている朝鮮半島の仏像は約150体程度で、これらの中で国籍および出土地、移転経緯、所蔵来歴が正確にわかっている仏像はこの百済観音像がほとんど唯一だ。青銅の錆が染み込んでいるが、鍍金された状態や仏像の表面細部などが依然としてしっかりと残っている。

【写真】湖岩美術館1階の展示室2セクションの入り口に展示された日本の個人蔵である百済金銅観音菩薩立像。25日、マスコミ説明会の時に撮影した写真=ノ・ヒョンソク記者//ハンギョレ新聞社

 市田次郎氏は1970年代に死去するまで百済観音像をごく少数の知人以外には全く公開しなかったが、2018年に当時東国大学教授だったチェ・ウンチョン現文化財庁長とチョン・ウヌ東亜大学教授が、東京で他の収蔵家の手に入った仏像を実見し調査する過程で、完全な状態で保存されている事実が伝えられた。これをハンギョレが単独報道(2018年6月4日付1面)し、韓国国立中央博物館が現地に実態調査団を送って本物であることを確認し、文化財庁が返還交渉に乗り出した。しかし、鑑定評価額の差が大きく、買入交渉は4カ月で決裂し、作品は再び埋もれてしまったという経緯がある。
 サムスン財団側は、2年前に企画展の準備を始めた時からこの作品を展示作の候補に上げ、関係者との交渉を試みたもののずっと接触できずにいた。展示の開幕を控えた今年初めに実務者との接触が成立し、所蔵者の貸与許可を得て1カ月前に美術館に作品を搬入したという。湖岩美術館のある関係者は「当初、所蔵者との連絡自体ができなかったが、終盤に奇跡的に連絡がつき、所蔵者も快く貸与に応じてくれて展示が成功した」と明らかにした。
 「泥に…」展は、女性と東アジア仏教美術の関係を世界で初めて照明する美術史企画展で、百済観音像を含め世界各地に散在する仏教美術の傑作92点を6月16日まで展示する予定だ。

ノ・ヒョンソク記者 (お問い合わせ japan@hani.co.kr )
l韓国語原文入力:2024-03-25 19:09



「中央日報日本語版」 2024.03.26 15:45
■80年ぶりに帰還した「百済の微笑み」、ちょうど40日後に再び日本へ帰る「釈迦誕生図」=韓国

【写真】観音図と白磁観音像(中国)を一堂に集めた集めた展示室。[写真 湖巌美術館]

 宝瓶を持った左手、流麗な裙衣の線、そして口元をわずかにあげた微笑み!このような微笑みは百済人だけが作ることができた。7世紀中盤に製作されたと推定される高さ26.7センチの百済「金銅観音菩薩立像」だ。扶余郡窺岩面(プヨグン・キュアムリ)の出土と推定されるこの仏像は日帝強占期に日本人が持ち去り、2018年にその存在が知らされて「百済の微笑み」という愛称で呼ばれるようになった。
 当時韓国文化財庁が最大42億ウォン(現レートで4億7400万円)で還収しようとしたが所有者が150億ウォンを提示して交渉が決裂した。京畿道竜仁(キョンギド・ヨンイン)の湖巌美術館で25日から始まった「泥に染まらないレンゲのように」特別展出品のために借り、ほぼ80年ぶりに帰郷がかなった。
 世界各地に散逸していた仏教美術の傑作92点を一堂に集めた今回の展示は「女性と仏教」という異色のキーワードで企画された。責任研究員のイ・スンへ氏は「現代美術で女性に光を当てるさまざまな動きを見て、仏教美術にも多くの女性が存在しているが、いままで一度も注目されたことがないことに考えが及んだ」と説明した。女性と東アジア仏教美術の関係に光を当てる世界初の企画展の誕生背景だ。
 Leeum美術館をはじめ、国立中央博物館・仏教中央博物館など韓国国内9カ所から国宝1点と宝物10点など40点を集めた。李健熙(イ・ゴンヒ)コレクション9点も含まれている。米国メトロポリタン美術館・ボストン美術館、大英博物館・東京国立博物館などにある仏教美術品も数多く“帰国”した。展示作の半分を越える47点が海外から初めて韓国に帰ってきた。『金銅観音菩薩立像』の他に『釈迦誕生図』と『釈迦出家図』が代表的だ。
 「(太子をお産みになった後に)夫人が木の下におられたが…」。1447年首陽大君(スヤンテグン)〔後の7代国王、世祖(セジョ)〕は父・世宗(セジョン)の命で母である昭憲(ソホン)王后の冥福を祈るために釈迦の一代記を書いた。宝物として残っている『釈譜詳節』だ。日本の本岳寺からやって来た『釈迦誕生図』はまさにこの場面を描いている。釈迦を出産した摩耶夫人が菩提樹の下の台座に座って正面を見つめている。頭上に4羽の鳳凰がついた装飾をのせてその上に加髢(つけ毛)を載せたヘアスタイルは、朝鮮王室女性の「クンモリ(加髢を多く載せてヘアスタイル)」に似ていた。宮中の長老と天神のイメージが重なった摩耶夫人の姿から、絵画に頼って願いをかなえようとした王室女性たちの様子が自然に思い浮かぶ。
 その横の『釈迦出家図』では太子の出家を知って悲しむ父と妻の姿を繊細かつ精巧に描いている。ドイツ・ケルンの東アジア美術館からやって来た。二卵性双子ようなこの朝鮮の仏画2点はワンセットだったものと見られる。朝鮮仏画の規範ともいえるこの2点の仏画がどのような運命で異国の地に散ることになったのかは定かではない。帰郷して史上初めて並んで展示されることになったが、それもたった40日間だけだ。『釈迦誕生図』は5月5日まで展示された後、日本に戻る。
 仏教は女性をどのように見つめ、女性は仏教からどのような可能性を見出して猛烈に帰依したのか。展示はこの2つの質問から出発した。新しい美術は後援者なしに語ることはできない。仏像・仏画を製作する過程と念願を記した発願文には女性たちの名前がびっしりと並んでいる。公式的な歴史書物や仏教文献には登場しない女性たちだ。仏教では万物に仏陀になることができる可能性があると教えながらも、女性は先天的に資質が足りず、女性の体では成仏できないとした。そのため『紺紙金泥 妙法蓮華経』を製作した高麗女性キム氏はこのような発願文を残した。やはり国内初公開となる。
 「私は以前の劫の不幸で女の体を受けたため…真に嘆かわしいことこの上ありません。これによって銀の文字で書いた華厳経1部と金の文字で書いた法華経1部を作るというまことの願いを心から込めて、ようやく事をすべて終えました」。
 仏伝図(釈迦の生涯に起きた出来事を描いた絵)の中で母として描写された女性、執着と情念の根源と見なされた女性の体、女性の形状で表現された観音菩薩など、仏教美術の中の女性の姿を集めた1部から、2階に続く2部では崇儒抑仏政策(儒教を重んじ仏教を排斥する政策)の中でも積極的に仏教を支持した王室女性たちが作った仏画や仏像、髪の毛を捧げて仏と菩薩の形状を縫取った刺繍仏画を見ることができる。
 展示は3月27日から6月16日まで。おとな1万4000ウォン。展示期間は火曜日から金曜日で、一日2回、Leeum美術館と湖巌美術館間の無料シャトルバスが運行。バスは公式サイトで予約後に利用することができる。
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「東京に響いた強制動員被害者の子どもらの叫び「尹政権は勝手に終わらせるな」」

2024年03月26日 | 国民国家日本の侵略犯罪
「The Hankyoreh」 2024-03-26 06:07
■[ルポ]東京に響いた強制動員被害者の子どもらの叫び「尹政権は勝手に終わらせるな」
 親世代の長い闘争、子どもたちが引き継ぐと宣言  
 日本製鉄など戦犯企業を訪れ交渉を要請

【写真】左から三菱重工業の強制動員被害者、ヤン・クムドクさんの息子、パク・サンウンさんと故チョン・チャンヒさんの息子、ジョンゴンさん、イ・チュンシクさんの長女ゴウンさん=キム・ソヨン特派員//ハンギョレ新聞社

 「父の苦しみを誰よりもよく知っています。その志を受け継いで最後まで戦うつもりです」。
 春雨が降りしきる25日午前、東京都千代田区にある日本製鉄の前。2018年、最高裁で勝訴した強制動員被害者のイ・チュンシクさんの長女ゴウンさん(65)は、日本製鉄を相手に謝罪と賠償を求めるために、初めて東京を訪れた。ゴウンさんは「父が25年以上戦って最高裁で勝訴した。もう終わりだと思っていたのに、6年間も問題が解決されていない」と声を高めた。ゴウンさんは「父は103歳だ。日本製鉄は、父が生きている時に過去の過ちに対して謝罪し、賠償しなければならない。我々は絶対にあきらめない」と語った。
 同日、ゴウンさんだけでなく、三菱重工業の強制動員被害者ヤン・クムドクさんの息子パク・サンウンさん(67)と故チョン・チャンヒさんの息子ジョンゴンさん(67)も行動を共にした。強制動員の被害者だった親世代の長い闘争を60代の老年の子どもたちが受け継ぐために乗り出したのだ。
 パクさんは「母は小学校6年生の時に騙されて三菱に行き、本当に苦労した。一生三菱を相手に戦ってきたが、昨年から健康が悪化し、今はかいごしせつ介護医療院にいる」と話した。パクさんは「その痛恨と悲しみをそばで見守ってきた子どもとして、道理を尽くしたい」と訴えた。

【写真】2018年最高裁で勝訴した強制動員被害者イ・チュンシクさんの長女ゴウンさんが25日午前、訴訟を代理したイム・ジェソン弁護士と共に日本製鉄を相手に謝罪と賠償を要求するために東京千代田区にある日本製鉄本社に入ろうとしている=キム・ソヨン特派員//ハンギョレ新聞社

 2012年にこの世を去ったジョンゴンさんの父親も三菱重工業の強制動員被害者だ。 「父は三菱広島造船所に強制動員され、(1945年8月6日に)被ばくまでした。韓国に戻った後、胃痛と高血圧、心臓病に苦しみながらも強制動員被害者の人権回復のために尽力した」。ジョンゴンさんは「強制動員被害を認めることと心からの謝罪が父の遺志」だと語った。
 強制動員被害者の子どもたちは、韓国の「日帝強制動員被害者支援財団」が日本企業の賠償金を肩代わりする尹錫悦(ユン・ソクヨル)政権の「第三者弁済」について、口を揃えて批判した。ジョンゴンさんは「父が生きていたら、乞食をしてでも絶対に自分の権利を剥奪する『第三者弁済』という奇怪千万なお金は受け取らなかっただろう」とし、「私たちも同じだ」と話した。
 彼らは特に、龍山(ヨンサン)大統領室関係者が「強制徴用問題は政府の解決法などを通じて終了した状況」だと発言したことに対し、強く反発した。ゴウンさんは「被害者たちが戦っているのに、政府が『終了』という言葉を口にするなんて耳を疑う。我々を無視している」と憤りを露にした。パクさんも「本当に韓国政府なのか疑わしいほどだ。第三者弁済は被害者の意思を完全に歪曲している。政府が勝手に戦いを終わらせることはできない」と述べた。

【写真】最高裁で勝訴した強制動員被害者の子どもたちが東京にある日本製鉄・三菱重工業本社などを訪ね「謝罪と賠償に乗り出すべき」と要求した=キム・ソヨン特派員//ハンギョレ新聞社

 強制動員被害者の子供たちは訴訟を代理しているイム・ジェソン弁護士、キム・ヨンファン民族問題研究所対外協力室長と共に問題解決を要求するために東京にある日本製鉄、三菱重工業、不二越本社を訪ねたが、関係者に会うことができなかった。日本企業側は、被害者側が事前に面談を要請したにもかかわらず、「約束が取れなくて難しい」、「担当者が出張中」だと言い訳をして彼らを避けた。
 イム弁護士は「韓国政府が第三者弁済を進めているが、(これを受け入れない)被害者たちは依然として判決と債権を持っている。一国の最高裁判所が出した判決はそう簡単にはなくならない」とし、「日本製鉄などは交渉に乗り出すべきだ」と要求した。キム室長も「強制動員被害者問題はまだ終わっておらず、第三者弁済では絶対に終わらせることができない」とし、「結局、日本社会が解決しなければならない」と強調した。同日、広島や富山、大阪など日本全国で強制動員被害者を支援する日本市民団体関係者たちも参加し「日本企業は謝罪と賠償に乗り出すべき」と要求した。
 東京/キム・ソヨン特派員(お問い合わせ japan@hani.co.kr )
韓国語原文入力: 2024-03-25 23:30


「聯合ニュース」 2024.03.25 15:27
■韓国人徴用被害者の家族 日本企業の本社訪ねるも門前払い=「最後まで闘う」
【東京聯合ニュース】韓日間の徴用訴訟問題を巡る韓国政府の解決策を受け入れていない徴用被害者の家族らが25日、謝罪と賠償を求めて被告企業の日本製鉄の本社(東京都千代田区)を訪れた。日本製鉄側は面会しようとせず、被害者家族は「最後まで闘う」と声を上げた。

【写真】日本製鉄の本社前で、存命の徴用被害者、李春植さんの写真を掲げる長女(中央)=25日、東京(聯合ニュース)

 2018年に韓国大法院(最高裁)で勝訴が確定した賠償請求訴訟の原告は15人だった。韓国政府は昨年3月、政府傘下の財団が日本企業に代わって賠償金などを支給する第三者弁済を発表したが、原告のうち4人が受け入れを拒んでいる。
 これら原告、徴用被害者の李春植(イ・チュンシク)さん、梁錦徳(ヤン・グムドク)さん、チョン・チャンヒさんの家族は25日午前、韓国と日本の市民団体関係者や弁護士と共に日本製鉄の本社を訪れた。故朴海玉(パク・ヘオク)さんの家族は個人的な事情で参加できなかった。
 原告を代表して李春植さんの長女が弁護士らと一緒に日本製鉄の本社ビルに入ったが、関係者に会うことができず約10分後に引き返した。林宰成(イム・ジェソン)弁護士は「事前に面会を要請して出掛けたが、『アポが無いため会うことができない』と言われた」と話した。大法院の判決を受け入れて賠償するよう促す要請書の受け取りを求めても、日本製鉄側は「時間が無く、下まで降りていける状況でない」と答えたという。受付デスクに預ければ受け付けたと認めてもらえるかと尋ねたが、認められないとの答えだった。
 こうした日本製鉄側の対応に李春植さんの長女は「卑怯だ。堂々とできないからだと思う」と批判。「父はこの会社の社員だった。この建物にも父の血と汗がしみ込んでいる」とし、涙を浮かべながら「謝罪を受けるため最後まで闘う」と決意を新たにした。
 雨が降りしきる中、徴用被害者の家族らは被害者の写真や謝罪・賠償を要求するプラカードを掲げ、抗議した。
 現場には韓国と日本の報道陣が数十人詰め掛けた。日本製鉄の警備員は被害者家族側の写真撮影を制止するなど、ぴりぴりした雰囲気だった。
 一行は日本製鉄に続き、別の被告企業、三菱重工業と不二越も訪問したが、これらの企業も門前払いした。
 被害者の家族らは各企業を訪問した後、東京・千代田区の衆議院第2議員会館で記者会見を行った。
 梁錦徳さんの息子のパク・サンウンさんは「母は飢え死にしても第三者弁済案は拒否すると話している」として「心からの謝罪をするならばわれわれは喜んで許す」と話した。
 林弁護士は「韓国政府が代わりに措置するという形で日本政府がこの問題を無視するのは正当でも持続可能でもない」と主張。裁判所が被害者勝訴の判決を出し続けている事実を説明しながら「法律上も第三者弁済方式は使うことができない」と指摘した。
 韓国人の徴用について、日本企業側は1965年の韓日請求権協定で解決済みとの認識を示す。大法院の判決は協定に反するもので、遺憾との立場を貫いている。
 一方、韓国政府は第三者弁済による解決策を打ち出した後、受け入れを拒否した4人については賠償金相当額を裁判所へ供託しようとしたが、裁判所は受理しなかった。原告4人は日本企業の資産の強制売却による賠償金受け取りを望んでいる。 


【写真】日本製鉄本社前で抗議の声を上げる徴用被害者の家族や支援者=25日、東京(聯合ニュース)


「聯合ニュース」 2024.03.24 11:07
■徴用被害者の家族ら 25日に日本製鉄など訪問=謝罪・賠償求める
 崔セイル
【光州聯合ニュース】韓日間の徴用訴訟問題を巡る韓国政府の解決策を受け入れていない徴用被害者の家族らが日本の被告企業を訪れ謝罪を求める。徴用被害者を支援する韓国の市民団体「日帝強制動員市民の集まり」が24日、伝えた。

【写真】梁錦徳さん(前列左)と李春植さん(同右)=(聯合ニュース)

 同団体によると、李春植(イ・チュンシク)さん、梁錦徳(ヤン・グムドク)さん、チョン・チャンヒさんの家族は25日、日本製鉄、三菱重工業、不二越を訪れ、謝罪と賠償を求める。
 被害者らの家族が日本企業を訪問するのは初めて。被害者らは韓国政府傘下の財団が日本企業の代わりに賠償金の相当額を支払う解決策「第三者弁済」方式を拒否してきた。
 被告企業を訪問してからは東京・千代田区の衆議院第2議員会館前で開かれる集会に参加する。
 第三者弁済方式を拒否する原告の1人、故朴海玉(パク・ヘオク)さんの家族は個人の都合で参加できなかった。


「The Hankyoreh」 2024-03-19 10:02
■強制動員被害者チュ・グミョンさん死去…裁判開始を5年待たされた末

【写真】2022年7月17日午後、全羅南道羅州市大湖洞のアパートの敬老堂で、チュ・グミョンさんがハンギョレのインタビューに応じている=チョン・デハ記者//ハンギョレ新聞社

 日帝強占期の強制動員の被害者で、10代の頃に日本の戦犯企業である不二越で働かされたチュ・グミョンさんが、日本の謝罪を聞けずに世を去った。享年96。
 (社)日帝強制動員市民の会は18日、チュさんが肺の疾患で入院治療中に、前日の17日に死去したと明らかにした。

 16歳で日本の不二越の工場に強制動員
 「汁が少し、ご飯も少しで、鉄ばかり削った」
 米軍の爆撃で一晩中泣きながら隠れていたことも

 2019年に損害賠償請求訴訟も
 日本政府の非協力で訴状送達が遅延
 裁判開始を5年待った末に死去
 「幼くして連れていかれ苦労した
 補償してくれたらそれ以上望むことはない」

 全羅南道羅州市(ナジュシ)で生まれたチュさんは、羅州大正国民学校(現在の羅州初等学校)に在学中だった1945年2月、16歳で日本の富山にある不二越の工場に友人たちと共に強制動員された。不二越は軍需工場で、朝鮮から1千人以上の10代の少女を強制動員した、最大の勤労挺身隊動員の事業所。チュさんらは同工場で製品の切削工程に投入された。
 チュさんは2020年に日帝強制動員市民の会が発行した口述記録集「空腹で殴られながら白く咲いたとげのある花をなめた」で、「日本人が学校に訪ねてきて『日本に行けばお金も稼げるし良い』とさかんに言われたので志願した」とし、「母親は『子どもがそんな所まで行って何で稼ぐのか』と言ってすごく泣いた」と証言している。
 富山にある不二越の工場に動員されたチュさんは、賃金も受け取れず、辛酸をなめた。チュさんは口述記録集で当時を振り返り、「富山に着いてみたら、雪が山のように積もっていた」、「日本の女性に鉄の切れ端を機械に当てて丸く削る方法を学んでから、毎日汁少し、ご飯少しだけで鉄ばかりを削っていた」と語っている。家に手紙を送りたくても紙と鉛筆、切手代がなく、郵便局もどこにあるのか分からなかったため送れなかったという。
 米軍による爆撃で死に直面する日も多かった。チュさんは生前、「空襲警報が鳴ると工場を抜け出して一晩中泣きながら隠れていて、夜が明けたら寮に戻ったりした」、「会社はご飯を食べさせてまた働かせた」と述べている。

【写真】2018年10月7日、全羅南道羅州の自宅でチュ・グミョンさんが日帝による強制動員の被害を証言している=日帝強制動員市民の会提供//ハンギョレ新聞社

 チュさんがようやく帰郷できたのは解放後だった。帰郷後も強制労働の傷から完全に自由になれなかったチュさんは、不二越で友人と身の上を嘆きながら歌った歌が忘れられないという。
 「(日本語で)不二越よいと誰が言った/桜の木陰の木の下で/人事の木村が言ったそうだ/私はまんまとみまされた(だまされた)」。
 チュさんは個人の損害賠償請求権が残っているとした2018年の最高裁全員合議体の判決を知り、2019年4月に日帝強制動員市民の会と民主社会のための弁護士会光州(クァンジュ)全羅南道支部の助力を得て、不二越に損害賠償を求めて光州地方裁判所に提訴した。しかし、日本政府の非協力で訴状の送達がきちんと行われなかった。チュさんは5年間も裁判の開始を待っていた。2022年7月のハンギョレとのインタビューで、チュさんは次のように語っている。
 「幼い頃に行って苦労したからいくばくかでも補償してくれたらと思うんだけど、くれないって言うんだからどうやって受け取るの。死ぬ前に少しでも補償してもらえたら、食べたいものを食べて、着たいもの着て死ねたら、それ以上望むことはない」。
 遺族は4男2女。葬儀は全羅南道の羅州斎場。出棺は19日午前10時。

キム・ヨンヒ記者 (お問い合わせ japan@hani.co.kr )
韓国語原文入力:2024-03-18 15:37
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「ウクライナ軍、ロシア大型揚陸艦2隻を攻撃 クリミア」

2024年03月25日 | 国家・社会
「AFP」 2024年3月25日 12:00 発信地:キーウ/ウクライナ
■ウクライナ軍、ロシア大型揚陸艦2隻を攻撃 クリミア

【写真】ロシア軍の揚陸艦ヤマル(2014年3月7日撮影、資料写真)。(c)FILIPPO MONTEFORTE / AFP

【3月25日 AFP】ウクライナ軍は24日、ロシアが支配するウクライナ南部クリミア(Crimea)半島でロシアの揚陸艦2隻を攻撃したと発表した。
 ウクライナの戦略コミュニケーション・情報セキュリティーセンターは、「揚陸艦『ヤマル(Yamal)』『アゾフ(Azov)』と通信センター、黒海艦隊のインフラ施設に対する攻撃を行い、成功した」と主張している。

 現地当局者は攻撃について、23日夜に大規模なウクライナ軍の空爆があったが、多くを迎撃したと述べた。クリミアの当局者は、2014年にロシアに併合されて以降は同国政府に任命されている。
 同当局者によると、攻撃により65歳の男性1人が死亡した他、4人が負傷した。ロシア艦が攻撃されたことには言及しなかった。
 SNSに投稿された映像では、クリミア市内で大きな爆発が起き、炎と黒煙が立ち上る様子が確認できる。また、ロシア軍の防空システムによって迎撃される、ミサイルとみられる複数の飛翔体も捉えられている。
 一方ウクライナ当局は、24日早朝に首都キーウと西部リビウ(Lviv)州に対する「大規模」な攻撃があったと発表した。犠牲者は報告されていない。
 発表によると、巡行ミサイル29発、無人機28機による大規模攻撃で、ミサイル18発、無人機25機を撃破したとしている。(c)AFP


AFP」 2024年3月22日 9:23 発信地:キーウ/ウクライナ
■ウクライナ側のロシア人義勇兵部隊、越境攻撃継続を表明

【写真】ウクライナの首都キーウで会見したロシア人義勇兵部隊の連合。右が「ロシア義勇軍団」のデニス・ニキーチン氏(2024年3月21日撮影)。(c)Anatolii STEPANOV / AFP
【写真】ウクライナの首都キーウで、ロシア人義勇兵部隊の連合として会見を行った「ロシア義勇軍団」のデニス・ニキーチン氏(2024年3月21日撮影)。(c)Anatolii STEPANOV / AFP

【3月22日 AFP】ウクライナ側に付いて戦うロシア人義勇兵部隊の連合が21日、ロシアへの大胆な越境攻撃を継続すると宣言した。
 義勇兵部隊は、ロシア西部ベルゴロド(Belgorod)、クルスク(Kursk)両州を越境攻撃した後、ウクライナの首都キーウで記者会見を開催。
 重武装した戦闘員が戦車で国境を越え、ロシア軍の車両や兵士を攻撃したり、建物を破壊したりする動画を公開し、声明で「われわれの闘争は続いている」「間もなく他の都市にも進軍する」と述べた。
 連合に参加する「ロシア義勇軍団(Russian Volunteer Corps、RDK)」の指導者、デニス・ニキーチン(Denis Nikitin)氏は「敵の領土に本格的な軍事行動を仕掛け、第二戦線を切り開いたと言っても過言ではないだろう」と語った。
 ニキーチン氏は「ホワイトレックス(White Rex)」と呼ばれる民族主義者で、極右勢力やサッカーのフーリガンとのつながりを持つ。
 連合には、穏健保守主義を掲げる「自由ロシア軍団(Legion for Freedom of Russia)」も加わっている。自由ロシア軍団は、ロシア北極圏の刑務所で先月死亡した反体制派指導者アレクセイ・ナワリヌイ(Alexei Navalny)氏の支持者を勧誘しようとしている。
 最近創設されたシベリア(Siberia)大隊も連合に参加している。同大隊は、シベリア連邦管区の少数民族や急進左派の活動家で構成されている。
 ニキーチン氏らは今回の攻撃により、ロシア軍が兵力を前線から国境防衛に回さざるを得なくなり、ロシア大統領選に合わせて計画されていた攻勢をくじくことができたと述べた。
 また、ロシアを変えるには政治や市民社会による抵抗では効果がなく、武装闘争しかないと語った。
 ただし、今回の攻撃で死亡した戦闘員の人数については明言を避けた。(c)AFP/Anna MALPAS


「AFP」 2024年3月22日 14:00 発信地:エルサレム/中東・アフリカ
■イスラエル軍、ユダヤ教に改宗したパレスチナ人殺害か ヨルダン川西岸

【写真】パレスチナ自治区ヨルダン川西岸ヘブロンのシナゴーグ(ユダヤ教の会堂)で聖典を読むユダヤ教徒(2004年4月8日撮影、資料写真)。(c)MARCO LONGARI / AFP

【3月22日 AFP】パレスチナ自治区ヨルダン川西岸(West Bank)で21日、イスラエル兵がユダヤ教に改宗したパレスチナ人を射殺した。西岸の町ヘブロン(Hebron)のユダヤ人コミュニティーの広報担当者ノーム・アーノン(Noam Arnon)氏が明らかにした。
 アーノン氏は現地メディア「アルーツ・シェバ」に対し、「痛ましいことにけさ、(ユダヤ教への)改宗者のダビド・ベン・アブラハム氏(62)の人生が終わった」と語った。

 アブラハム氏は2020年にユダヤ教に改宗した。アーノン氏とは友人同士だったという。
 アブラハム氏は、ヘブロンとエルサレム(Jerusalem)の間にあるエラザール(Elazar)交差点で兵士に不審者と判断されて撃たれ、その傷が原因で死亡したという。
 一方、イスラエル軍は「兵士はエラザール交差点で不審なパレスチナ人に発砲した」「パレスチナ人はその傷が元で死亡した」と述べたが、パレスチナ人の身元は明らかにしなかった。
 AFPはイスラエル軍にコメントを求めたが、現時点で回答は得られていない。
 アブラハム氏は以前、メディアの取材に対し、ユダヤ教への改宗を理由にパレスチナ自治政府(PA)に逮捕されたことがあると語っていた。
 パレスチナ自治区の保健当局によれば、昨年10月7日にイスラエルとイスラム組織ハマス(Hamas)の軍事衝突が始まって以降、西岸ではイスラエルの軍や入植者によってパレスチナ人444人以上が殺害されている。20~21日の2日間だけでも、アブラハム氏の他に8人が殺害された。(c)AFP


「The Hankyoreh」 2024-03-16 07:37
■食料の配給を待つ住民に「ヘリ射撃」…ガザ地区で280人が死傷
 ガザ地区保健省「イスラエルによって計画された大虐殺」

【写真】14日、ガザ地区最南端の都市ラファで住民たちが食料の配給を受けるために集まっている=ラファ/新華社・聯合ニュース

 イスラムの断食月ラマダンが始まってから4日目、ガザ地区で食料の配給を待っていたパレスチナ住民に対するイスラエル軍(IDF)の攻撃が2件発生し、少なくとも29人が死亡した。
 ロイター通信とアルジャジーラなどの14日付報道によると、ハマスが運営するガザ地区保健省は、ガザ地区北部の交差点で食糧の配給を受けるために救援物資のトラックの周辺に集まった人々にイスラエル軍が銃撃を行い、少なくとも21人が死亡し150人が負傷したと発表した。
 ガザ地区保健省はこの攻撃を「事前に計画された新たな大虐殺」だと批判した。目撃者たちはこの日、住民数千人があちこちから救援物資を手に入れるため交差点に集まったが、この群衆に向かってヘリコプターから爆弾が飛んできて銃撃が始まったと新華社通信に語った。
 これに加え、ガザ地区中部の人口5万人規模の都市ヌセイラットでもイスラエル軍の空爆が発生した。ヌセイラット難民キャンプの配給センターに対するイスラエル軍の空襲により、8人が死亡した。
 イスラエル軍のアラブ圏担当のアビチェイ・アドレイ報道官は同日、ソーシャルメディアのX(旧ツイッター)に「14日午後、人道的配給場所でイスラエル軍がガザ住民数十人を標的にしたという報道は誤りだ」とし、この日の攻撃を否定した。さらに「事故の詳しい内容について調査中」だとしたうえで、「メディアは信頼できる情報だけを報道すべきだ」と述べた。
 食料の配給を待っている住民に対するイスラエル軍の攻撃は、先月29日以降相次いでいる。先月29日、ガザ市付近で救援物資のトラックの周辺に集まったガザ住民100人余りがイスラエル軍の銃撃によって、またはこれを避けようとしてトラックに轢かれて死亡した。
 攻撃が絶えない状況で、ハマスはこの日の夜、新たな休戦交渉案を仲裁国に提示した。新たな交渉案は、イスラエルの攻撃中止と撤退▽人道支援の提供▽難民たちの帰郷などを求めている。しかし、イスラエルのベンヤミン・ネタニヤフ首相はこの日、「ハマスの新たな交渉案は非現実的な要求に基づいている」と否定的な立場を示した。
 イスラエルはガザでの戦闘行為の中止を拒否し続けている。イスラエル首相室は声明で、「彼ら(ハマス)は依然として受け入れられない要求を掲げている。彼らは進展を望んでいない」と批判した。
 イスラエルとハマスの戦争が160日にわたって続く中、ハマスが運営するガザ地区保健省は、昨年10月7日の戦争勃発から今月14日まで、計3万1341人のパレスチナ住民が死亡し、7万3134人が負傷したと発表した。
キム・ミヒャン記者 (お問い合わせ japan@hani.co.kr )
韓国語原文入力: 2024-03-15 20:43


「AFP」 2024年3月15日 11:09 発信地:パレスチナ自治区
■イスラエル軍が支援待つ住民に発砲、14人殺害 ガザ保健当局

【写真】パレスチナ自治区ガザ地区に向けた支援物資。イスラエルの検問所で(2024年3月14日撮影、資料写真)。(c)JACK GUEZ / AFP

【3月15日 AFP】パレスチナ自治区ガザ地区(Gaza Strip)を実効支配するイスラム組織ハマス(Hamas)の保健当局は15日早朝、イスラエル軍が支援物資を待つ住民に発砲し、14人を殺害、150人を負傷させたと発表した。
 現場は北部ガザ市の環状交差点。当初は死者11人、負傷者100人としていた。
 ガザ地区北部にある病院の救急部長はAFPに対し、食料を積んだトラックを待っていた人々は、イスラエル軍に「直接撃たれた」と語った。
 現場のAFP記者は、銃撃を受けた複数の遺体と、負傷者を確認した。
 イスラエル軍は同日、同軍は群衆に発砲していないと反論。短い声明で「食料配布場所で、イスラエル軍がガザ住民数十人を攻撃したとの報道は誤りだ」と述べた。


「The Hankyoreh」 2024-03-15 07:13
■イスラエル軍、難民配給センターであることを知りながら空爆…国連職員23人死傷
 
【写真】13日(現地時間)、パレスチナのガザ地区南部ラファの国連パレスチナ難民救済事業機関(UNRWA)が運営する配給所で、パレスチナの人たちが助けを求めている/ロイター・聯合ニュース

 イスラエル国防軍(IDF)が国連パレスチナ難民救済事業機関(UNRWA)のパレスチナ・ガザ地区の食糧配給センターを攻撃し、20人以上の死傷者が出た。国連は「イスラエル軍が国際人道法を露骨に無視するのが日常となっている」と批判した。
 英BBC放送などの報道によると、UNRWAは13日(現地時間)、「イスラエル軍がガザ地区南端のラファの食糧配給センターを攻撃し、職員1人が死亡、22人が負傷した」と発表した。ガザ地区保健省は今回の攻撃で同機関の職員1人だけでなく、住民など計5人が死亡したと発表した。
 UNRWAは、イスラエル軍がラファ東部にある配給センターを空爆したと明らかにした。配給センターで働くサミ・アブ・サリムさんはAFP通信に「国連が運営するセンターなので安全だと思っていた。(イスラム教の断食月の)ラマダンの間、食糧を必要としている住民たちに物資を配るために来たが、突然ミサイル2発に襲われた」と語った。
 当時、配給センターには職員60人余りが勤務していたという。現場を撮った写真を見ると、イスラエル軍の空爆であちこちに穴があき、犠牲者の血がたまっていた。配給センターは飢餓に苦しむガザ地区住民のための食料を配り、生活必需品などを保管する倉庫としても使われていた。UNRWAのジュリエット・トウマ報道官は声明で、「現場にいたチームが死傷者と被害状況について報告してきた。イスラエル軍の仕業であることはわかっている」と述べた。フィリップ・ラザリーニ事務局長も「住民たちが食糧不足と飢餓に苦しんでいる状況で、イスラエル軍がガザ地区に残り少ないUNRWAの配給センターを攻撃した」と批判した。さらに「私たちは毎日ガザ全域のすべての(国連)施設の(緯度と経度の)座標をイスラエルとハマスの双方の紛争当事者と共有しており、イスラエル軍も昨日この施設の座標を受け取った」と指摘した。UNRWAは、ガザ戦争勃発後、パレスチナにいる同機関の職員1万3千人のうち160人以上が死亡し、150カ所以上の施設がイスラエル軍の攻撃を受けたと明らかにした。
 イスラエル軍はUNRWAの施設であることを知りながら空爆を行ったことを否定しなかった。イスラエル軍は、同機関の職員の一人であるモハメド・アブ・ハスナ氏が武装組織ハマスの隊員であり、彼を殺害するための「軍事作戦」だったと主張した。イスラエル軍は声明で、「ハマス作戦部隊のテロリスト、ハスナを精密爆撃で殺害した」とし、「彼は人道主義の救援物資をコントロールし、テロリストに分配することに関与していた」と主張した。
 1月、イスラエルが同機関の職員の一部が昨年10月7日のハマスによるイスラエル奇襲攻撃に関与したという疑念を示す報告書を発表したことを受け、米国やドイツ、英国、オーストラリアなど少なくとも9カ国は同機関に対する支援を中止した。イスラエルは同機関の活動中止まで要求し、国連はこれを批判した。国連のファルハン・ハク副報道官は当時「少数の職員をめぐる疑惑への対応として、基金に対する支援を中断することは衝撃的」だと批判した。
 ガザ地区では現在、UNRWAの他に、飢饉に苦しむ住民を助けることができる団体がない。米国国際開発庁(USAID)のサマンサ・パワー長官はCBSニュースのインタビューで、「ガザ地区の人口の90%が難民だが、(UNRWAを除くと)ガザ地区に生活必需品を配給する効果的な代案が事実上ない」と指摘した。米国務省のマシュー・ミラー報道官も12日、記者団に対し「UNRWAは人道支援分野で他のいかなる機関にも代えられない重要な役割を果たしている」と認めた。ミラー報道官は「米国政府はこれに代わる団体と組織を探している」と付け加えた。
ホン・ソクチェ記者 (お問い合わせ japan@hani.co.kr )
韓国語原文入力:2024-03-14 21:06


「AFP」 2024年3月14日 15:09 発信地:マドリード/スペイン
■海空経由のガザ支援、国際社会の「無力」露呈 アムネスティ事務総長

【写真】ガザへの支援物資を積んだNGO「オープン・アームズ」の船(左)。キプロス・ラルナカ港で。プロアクティバ・オープン・アームズ(POA)提供(2024年3月12日提供)。(c)AFP PHOTO/Proactiva Open Arms (POA)

【3月14日 AFP】国際人権団体アムネスティ・インターナショナル(Amnesty International)のアニェス・カラマール(Agnes Callamard)事務総長は13日、パレスチナ自治区ガザ地区(Gaza Strip)の住民への支援物資搬入ルートとして海空経由を模索しないといけない状況について、国際社会が無力であることの表れだと述べた。また、陸路での支援を滞らせているイスラエルの責任を追及する必要があると訴えた。
 カラマール氏はスペイン・マドリードで、陸路での物資搬入を遅らせているイスラエルを非難し、「国際社会はイスラエルの責任追及に向け準備しなければならない」と語った。
 さらに、「上空からの物資投下や(海路での物資搬入のための)港の建設は国際社会が無力で弱いことの表れだ。その一方で(イスラエルに)武器を輸出しており、全く受け入れがたい」と述べた。
 ジョー・バイデン(Joe Biden)米大統領は先に、ガザ沿岸に臨時の物資受け入れ拠点を設置する計画を発表。国防総省は設置には最長60日間を要するとしている。
 カラマール氏はこれについて、「なぜ2か月もかけて投資するのか」とし、国際社会がガザの現状がまだ続くとみていることの証左ではないかとの見方を示した。
 その上で、「ジェノサイド(集団殺害)を防止する責任を含め、国際的な義務を順守しようとするなら、なすべきことは別にある」と訴えた。


「The Hankyoreh」 2024-03-13 07:46
■餓死した「ガザの子ども」23人の背後には数十万人の苦痛…飢餓も虐殺だ
 国連・メディア、病院に入院中に亡くなった飢餓・脱水の死亡者だけで27人 
 80%以上は幼い子ども…「イスラエルによる食糧空輸遮断」に非難

【写真】先月16日(現地時間)パレスチナ・ガザ地区のラファで子どもたちが配給を受けるために列をつくっている/AP・聯合ニュース

 イスラエル国防軍(IDF)がパレスチナのガザ地区に搬入される人道主義的な援助物資を遮断しているなか、飢餓で死亡したガザ住民が確認されただけで30人に迫り、イスラエルを批判する国際社会の声が広がっている。
 国連人道問題調整事務所(OCHA)は11日(現地時間)、「ガザ地区とイスラエルでの敵対行為報告書」を通じて、パレスチナのガザ地区の住民25人が栄養失調や脱水によって死亡したことを報告した。OCHAが集計した死亡者のなかには、9月にガザ地区最大の病院であるアル・シファ病院で死亡した子ども3人と、生後2か月の子ども、20歳の女性などが含まれている。特に、死亡者の80%を超える21人が幼い子どもたちだった。あわせてこの日、アルジャジーラは、ガザ北部のカマル・アドワン病院で子ども2人が飢餓で死亡し、栄養失調や脱水によるガザ地区での死亡者は27人に増えたと報道した。
 しかも、この数は病院に入院した状態で死亡した患者だけを集計したものだ。ガザ地区全域で飢えで亡くなった人の実際の数は、これよりはるかに多いものとみられる。
 OCHAは、ガザ地区北部の2歳未満の子どもの16%が急性栄養失調で苦しんでおり、ガザ最南端地域であるラファだけでも、2歳未満の子どもの5%が栄養失調状態にあると付け加えた。国際的な児童権利に関する非政府機構(NGO)であるセーブ・ザ・チルドレンは、「ガザ地区の子どもたちは、すでに栄養失調で死んでいている」として、「休戦と人道的支援や援助物資の自由なガザ地区への搬入」を繰り返し求めた。援助団体は、飢餓に直面したガザ地区の住民はすでに数十万人に達するとみている。さらに、ガザ北部では2000人ほどに達する医療スタッフまで飢謹に直面していると、世界保健機関(WHO)が明らかにした。
 世界食糧計画(WFP)は「妊婦と子どもの90%が多様な献立を摂取できないなどの悪影響を受けている」として、「ガザ地区の栄養失調危機は、食糧、飲料水、保健サービスの深刻な欠乏によって、前例のない速い勢いで加速している」と警告した。OCHAも深刻な状況を示すかのように、8日からの日々の報告書に、栄養失調や脱水など飢餓で死亡したガザの住民数を統計に加えている。
 イスラエルに責任を問う国際社会の声も高まっている。パレスチナ自治政府のムハンマド・シュタイエ首相は「ガザの住民たちに対する(イスラエルの)集団虐殺だけでなく、『飢餓戦争』によって毎日数百人の命が犠牲になっており、大部分は子どもと女性」だと非難した。これに先立ち8日には、国連の食料の権利に関する特別報告者であるマイケル・ファクリ氏は「イスラエルが食糧と飢餓を武器に用いている」として、「(イスラエルが意図的にガザ住民への食糧を遮断する行為は)疑う余地のない大量虐殺」だと述べたと、「パレスチナ・クロニクル」が報じた。
 ガザ戦争を主導しているベンヤミン・ネタニヤフ首相は、こうした声にもかかわらず、ガザ地区全体の人口230万人のうち半数以上である140万人が密集するラファを本格攻撃すると脅した。ネタニヤフ首相は11日の放送番組でのインタビューで、「(今回の戦争では)イスラエルかハマスだけであり、中間はない」としたうえで、「我々は必ず勝利しなければならない」と最後の攻撃予定地であるラファでの地上戦を既成事実化した。ネタニヤフ首相はこれに先立ち、米国のジョー・バイデン大統領が、ラファでの作戦が実行される場合は「レッドライン」だと警告したことについても、「我々にもレッドラインがある。ハマスが生き残るようには放置できないということと、(昨年)10月7日のこと(ハマスの侵攻)がふたたび起きてはならないということ」だと正面から反論した。

ホン・ソクチェ記者 (お問い合わせ japan@hani.co.kr )
https://www.hani.co.kr/arti/international/international_general/1131907.html
韓国語原文入力:2024-03-12 17:22


「AFP」 2024年3月12日 18:10 発信地:ニコシア/キプロス
■ガザに船で支援物資輸送 第一弾出航 スペインNGO

【写真】NGO「オープン・アームズ」の船(中央)。キプロス・ラルナカ港で(2024年3月11日撮影)。(c)Iakovos Hatzistavrou / AFP

【3月12日 AFP】スペインのNGO「オープン・アームズ(Open Arms)」は12日、パレスチナ自治区ガザ地区(Gaza Strip)に向けた人道支援物資200トンを積んだ船が、キプロスのラルナカ(Larnaca)港を離れたと発表した。
 オープン・アームズの広報担当者によると、船は、グリニッジ標準時(GMT)12日午前6時50分(日本時間同日午後3時50分ごろに出港した。
 キプロスからの海路での支援としては第一弾となる。(c)AFP


「The Hankyoreh」 2024-03-12 07:58
■[社説]「集団餓死」直前のガザ地区、子どもたちを救え

【写真】先月29日(現地時間)、パレスチナのガザ地区南部ラファのアルアウダ病院。10歳のヤザン・カファルネ君がベッドに横になっている。ヤザン君は医薬品不足と深刻な栄養失調で4日に亡くなった/AFP・聯合ニュース

 外国メディアで伝えられた写真を見てしばらく言葉を失った。パレスチナのガザ地区最南端のラファの野戦ベッドに横たわっていた10歳の少年ヤザン・カファルネ君は、まともに食べることができず骸骨のようになった姿で4日、息を引き取った。ニューヨーク・タイムズは少年の死を伝える9日の記事で、「食料不足でヤザン君の免疫系は弱まっていた。彼の親は息子が飲み込めるような高栄養食を得られなかっただろう」と報じた。国連児童基金(ユニセフ)が指摘した通り、「この悲劇的で恐ろしい死は人為的であるため予測可能であり、完全に防止できるもの」だった。
 昨年10月7日のハマスによる残酷な攻撃でガザ戦争が始まってから、すでに5カ月が過ぎた。パレスチナ中央統計庁の9日の資料によると、開戦後、ガザ地区で死亡した人の数は実に3万960人にのぼる。これまではイスラエル国防軍による無差別攻撃で死亡する人が多かったが、先日から餓死者が出始めている。ガザ地区の保健当局の餓死者集計は先月27日に始まり、8日までに20人が出ている。絶対多数を占める17人が子どもだ。
 状況が特に深刻なのは、外部からの支援物資が届きにくい北部地域だ。同地域内の2歳未満の子どもの16%が急性栄養失調になっているという。食糧が底をついているうえ、支援物資も途絶えたため、大家族が家畜の飼料と草の根で延命しているという切迫した報道も相次いでいる。状況をさらに放置すれば、「集団餓死」という最悪の惨事が現実のものとなるかもしれない。
 このような状況を防ぐためには戦争をやめ、水、食糧、医薬品などの人道支援を増やさなければならない。残念ながら、伝えられるニュースは暗いものばかりだ。イスラムの断食月であるラマダンの期間(3月11日~4月8日)だけでも停戦しようという米国、カタール、エジプトの仲裁努力は事実上失敗したとみられる。イスラエル首相室は9日の声明で、「ハマスは合意に関心がないような立場を維持している」と非難した。これまでの外国メディアの報道によると、イスラエルは米国などが提示した「6週間休戦」案を受け入れようとしていたとみられるが、ハマスは今回の戦争の完全な終了を意味する「永久休戦」の立場にこだわったと推定される。
 ガザで起きている人道危機は非常に深刻であるため、誰が正しく誰が間違っているのかを判断する状況にはない。国際社会と紛争当事者たちは、子どもたちに絶対に必要な栄養と医薬品を届けるという「最小限の原則」に合意することはできないのだろうか。死のふちにある子どもたちは、ひとまず救わなければならないのではないか。

(お問い合わせ japan@hani.co.kr )
韓国語原文入力:2024-03-11 18:20


「AFP」 2024年3月11日 16:12 発信地:アムステルダム/オランダ
■イスラエル大統領に抗議デモ オランダ・ホロコースト博物館式典出席で

【写真】オランダ・アムステルダムで、イスラエルのイツハク・ヘルツォグ大統領の写真を掲げ国立ホロコースト博物館の開館式典への出席に抗議する人々(2024年3月10日撮影)。(c)Michel van Bergen / ANP / AFP
【写真】オランダ・アムステルダムの国立ホロコースト博物館の開館式典で演説する、イスラエルのイツハク・ヘルツォグ大統領(2024年3月10日撮影)。(c)Patrick van Emst / ANP / AFP
【写真】オランダ・アムステルダムの国立ホロコースト博物館の開館式典に出席したウィレムアレクサンダー国王(2024年3月10日撮影)。(c)Ramon van Flymen / ANP / AFP 

【3月11日 AFP】オランダ・アムステルダムで10日、国立ホロコースト(Holocaust、ユダヤ人大量虐殺)博物館の開館式典にイスラエルのイツハク・ヘルツォグ(Isaac Herzog)大統領が出席することに抗議するデモが行われた。
 式典は博物館近くのシナゴーグ(ユダヤ教の会堂)で行われた。デモはそこから1キロに満たない場所で実施された。主催者には、パレスチナ自治区ガザ(Gaza Strip)での即時停戦を求めるユダヤ人団体も含まれていた。
 コンサルタントの女性(25)は「(ヘルツォグ大統領が)いるべき場所はここには一つしかない。それは(戦争犯罪を裁く)国際刑事裁判所(ICC、ハーグ)だ」と語った。
 ヘルツォグ氏の移動ルート沿いには、「ICCへの迂回(うかい)路」と書かれたプラカードが並べられた。
 ヘルツォグ氏は式典で、博物館は「憎悪と反ユダヤ主義、人種差別がもたらした恐怖を忘れるな、そして二度とそれを増長させるなという明確で力強いメッセージ」を発信するものだと指摘。一方で、ガザに拉致された人質の「即時かつ安全な帰還」を訴えた。
 式典にはウィレムアレクサンダー国王(King Willem-Alexander)も出席した。一般公開は11日に始まる。(c)AFP/Julie CAPELLE


「AFP」 2024年3月11日 12:10 発信地:リヤド/サウジアラビア
■中東イスラム諸国がラマダン入り ガザ休戦至らず

【写真】ラマダン入りを翌日に控えたパレスチナ自治区ガザ地区南部ラファの避難民キャンプの様子(2024年3月10日撮影)。(c)MOHAMMED ABED / AFP
【写真】ラマダン入りを翌日に控え、パレスチナ自治区ガザ地区南部ラファの避難民キャンプで遊ぶ子どもたち(2024年3月10日撮影)。(c)MOHAMMED ABED / AFP
【写真】ラマダンを翌日に控え、夜の礼拝に臨むイスラム教徒。エジプトの首都カイロにあるモスクで(2024年3月10日撮影)。(c)Khaled DESOUKI / AFP
【写真】サウジアラビアの首都リヤド郊外で、ラマダンの始まりを告げる三日月を探す人々(2024年3月10日撮影)。(c)Fayez Nureldine / AFP
【写真】ラマダン入りを翌日に控えたエルサレム旧市街の「岩のドーム」周辺の様子(2024年3月10日撮影)。(c)AHMAD GHARABLI / AFP

【3月11日 AFP】中東の複数の国で11日、イスラム教の断食月「ラマダン(Ramdan)」が始まった。パレスチナ自治区ガザ地区(Gaza Strip)では依然戦闘が続いており、目標とされていたラマダン入りまでの休戦合意には至らなかった。
 11日にラマダン入りしたのはサウジアラビアやアラブ首長国連邦(UAE)、カタール、エジプト、パレスチナ自治区など。モロッコ、リビアなどは12日からとなる。
 イスラムの五行の一つであるラマダンの期間中、イスラム教徒は夜明けから日没までの間は飲食を控え、日没後の食事「イフタール(Iftar)」を家族や友人らと共に取る。祈りの期間ともされており、多くの教徒がモスクを訪れる。
 ただ今年は、イスラエルとイスラム組織ハマス(Hamas)との武力衝突が暗い影を落とす。ラマダン前の戦闘休止を目指し、数週間にわたって関係各国がエジプトでの協議に臨んだが、期待は打ち砕かれることとなった。
 約150万人が避難しているガザ南部ラファ(Rafah)では、市場を訪れていた人々が食料不足や、ラマダン中も続く見通しの戦闘への不安を口にした。
 北部ガザ市から避難してきたハッサンさんは、ラマダン月の終わりを「私たちが家で迎えるのか、それとも避難用のテントでなのか」分からないとAFPに語った。
 一方、サウジの首都リヤドの市場で買い物をしていた50代の政府職員は「これまでに経験した中で最悪のラマダンだ」と話した。「ガザで人々が食料不足で苦しんでいるのに、私は家族のために鶏肉などを買っている。複雑な気持ちだ」(c)AFP/Haitham EL-TABEI, Adel Zaanoun with Ilan Ben Zion in Jerusalem


「AFP」 2024年3月9日 14:11 発信地:ロンドン/英国
■イスラエル建国支持した「バルフォア宣言」当事者の肖像画を攻撃 英

【写真】英国のケンブリッジ大学トリニティカレッジで、アーサー・バルフォア卿の肖像画を赤い塗料を吹き付けてから切り裂く活動家。親パレスチナ団体「パレスチナアクション」提供の動画より(2024年3月8日公開)。(c)AFP PHOTO / PALESTINE ACTION

【3月9日 AFP】英国の親パレスチナ団体「パレスチナアクション(Palestine Action)」は8日、イスラエル建国を支持した「バルフォア宣言(Balfour Declaration)」で知られるアーサー・バルフォア(Arthur Balfour)元首相の肖像画を「破壊」したと発表した。
 警察は、イングランド東部のケンブリッジ大学トリニティカレッジ(University of Cambridge's Trinity College)にある絵画が損壊されたとの通報をオンラインで受けたと認めた。
 パレスチナアクションは、グループおよび個人の直接行動のネットワークを自称している。
 同団体は、ハンガリー出身の画家、フィリップ・ド・ラースロー(Philip de Laszlo)が1914年に手掛けたバルフォア氏の肖像画に、メンバーの一人が赤い塗料を吹き付けて複数回切り付ける11秒間の動画をX(旧ツイッター)に投稿。
 バルフォア氏について、「英国には権限がなかったにもかかわらず、パレスチナ人の土地収奪を約束し、パレスチナ人の民族浄化」を開始したと非難している。
 バルフォア宣言は、1917年に当時外相だったバルフォア氏が著名な英国のシオニストであるライオネル・ロスチャイルド(Lionel Rothschild)氏に宛てて送った、パレスチナ人の土地にユダヤ人の祖国建設を認める67語の書簡。
 1948年のイスラエル建国とパレスチナ人約75万人の強制退去、その後、数十年にわたるイスラエルとパレスチナの紛争のきっかけをつくったと見なされている。


「 AFP」 2024年3月9日 12:23 発信地:ジュネーブ/スイス
■イスラエル入植地拡大は「戦争犯罪」 国連

【写真】パレスチナ自治区ヨルダン川西岸の被占領地で、パレスチナ人の町アルカデルの土地に建てられたイスラエル入植地(2024年3月6日撮影)。(c)HAZEM BADER / AFP

【3月9日 AFP】国連人権高等弁務官事務所(OHCHR)のボルカー・ターク(Volker Turk)高等弁務官は8日、イスラエルが占領下のパレスチナ自治区で入植地を拡大していることについて、「戦争犯罪」に当たると指摘し、パレスチナ国家樹立の可能性を完全になくす恐れがあると警告した。
 ターク氏は国連人権理事会(UN Human Rights Council)への報告書で、イスラエルがガザ地区(Gaza Strip)で無慈悲な攻撃を続ける一方、ヨルダン川西岸(West Bank)で違法な入植者用住宅の建設を大幅に加速していると主張。イスラエルによる入植地の建設・拡大は、自国民を占領地に送り込むのに等しいと指摘した。
 さらに、こうした行為は「戦争犯罪」に相当し、「関与した者は個人として刑事責任を問われる可能性がある」と述べた。
 報道によれば、イスラエルは「国際法を無視」して、ヨルダン川西岸のマーレアドゥミム(Maale Adumim)とエフラット(Efrat)、ケダール(Kedar)で、入植者用住宅3476戸の建設を計画している。
 スペイン外務省も同日、イスラエルがパレスチナ国家と共存する「2国家解決」に向けた努力を台無しにし、「和平への障害になる」としてイスラエルの入植地拡大計画を「強く非難」した。
 フランス外務省も計画を「強く非難」し、イスラエル政府に「直ちに撤回」するよう求めた。


「 AFP」 2024年3月9日 9:48 発信地:パレスチナ自治区
■ガザ支援物資空中投下で5人死亡、パラシュート開かず民家直撃か

【写真】パレスチナ自治区ガザ地区北部上空で投下された支援物資(左、2024年3月8日撮影、資料写真)。

【3月9日 AFP】パレスチナ自治区ガザ地区(Gaza Strip)最大のシファ(Al-Shifa)病院の医療従事者は8日、ガザ北部での人道支援物資の空中投下で5人が死亡、10人が負傷し、同病院で受け入れたと明らかにした。
 シファ病院救急室の看護師長、モハメド・シェイク(Mohammed al-Sheikh)氏によると、投下が行われたのは、海岸沿いのシャティ(Shati)難民キャンプ北方。
 キャンプにいた男性(50)は、兄弟と一緒に「小麦粉が入った袋」を手に入れようと、パラシュートで投下された支援物資を追い掛けたと語った。
「だがパラシュートは開かず、突然、ロケット弾のように民家の屋根の上に落下し」、「10分後には、(その民家の)屋根の上にいて亡くなった3人と、けがをした人々が運ばれていった」という。
 ヨルダン軍関係者はAFPに対し、同区には5か国と協力して投下作戦を行ったが、事故に同軍は関与していないと語った。
 事故を受け、イスラム組織ハマス(Hamas)が実効支配するガザの広報当局は、支援物資の空中投下は「無益」で、「支援物資を搬入する最良の方法ではない」と指摘した。
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「「独島領有権」主張の日本教科書が検定通過… 韓国政府「強く抗議、受け入れられない」」

2024年03月24日 | 国民国家日本の侵略犯罪
「中央日報日本語版」 2024.03.23 10:18
■「独島領有権」主張の日本教科書が検定通過… 韓国政府「強く抗議、受け入れられない」

【写真】海洋領土主権守護を誓う独島警備艦 [写真 東海海警]

 韓国政府は22日に検定を通過した日本の中学校教科書が不当な独島(ドクト、日本名・竹島)領有権主張を踏襲し、日帝強占期の加害歴史を希釈する方向で記述されたことに対し「深い遺憾を表明する」と明らかにした。
 この日、韓国外交部は報道官声明を出し、「歴史的・地理的・国際法的に明白なわが固有の領土である独島に対する不当な主張が入った中学校教科書を日本政府がまた検定通過させたことに強く抗議し、独島に関する日本のいかなる主張も受け入れられないことを明確にする」と強調した。
 また外交部は「日本軍慰安婦被害者問題および強制徴用問題関連の表現と記述は強制性が表れない方向に変更された」とし、これにも強い遺憾を表した。そして「日本政府が自ら明らかにした過去の歴史関連の謝罪と反省の精神に立脚した歴史教育を誠実に実践していくことを求める」と述べた。
 外交部は「未来志向的な両国関係構築の根幹は正しい歴史認識から出発するだけに、日本政府は歴史を直視する中、より一層責任ある姿勢で未来世代の教育に臨むことを期待する」と強調した。
 日本文部科学省はこの日、教科用図書検定調査審議会を開き、中学校で2025年度から使用される教科書の審議結果を確定した。今回の検定を通過した社会科教科書18点のうち15点は韓国が独島を「不法占拠」していると記述した。独島を日本固有の領土と記述した教科書は2020年の検定で17点のうち14点と約82%だったが、今回は18点のうち16点と約89%に増えた。
 徴用・慰安婦関連問題で強制性がなかったとする歴史修正主義傾向が反映されたとみられる部分もある。育鵬社の歴史教科書は太平洋戦争当時の生活に関する記述で「朝鮮や台湾にも徴兵や徴用が適用され、日本の鉱山や工場で厳しい労働を強いられた」という4年前の検定通過当時の文章を「朝鮮と台湾にも一部の徴兵と徴用が適用され、日本の鉱山や工場で厳しい環境の中で働いた人たちもいた」に変更した。
 山川出版社の歴史教科書は太平洋戦争当時の慰安施設に関する説明で「朝鮮・中国・フィリピンなどから女性が集められた(いわゆる従軍慰安婦)」という内容を「日本・朝鮮・中国・フィリピンなどから女性が集められた」に変え、慰安婦女性に日本人もいた点を浮き彫りにしながら「従軍慰安婦」という表現を削除した。
 一方、韓国教育部も報道官声明を出し、「日本政府は未来志向的な韓日関係のために、わが領土と歴史に対する不当な主張が入った中学校社会科教科書の歴史歪曲を直ちに是正するべき」と促した。
 教育部は「その間、歴史的・地理的・国際法的に明白な大韓民国の領土である独島に関する領土主権侵害内容と歪曲された歴史が入った日本教科書を日本政府が検定通過させるたびに深い遺憾を表し、是正を要求してきた」と説明した。続いて「今回の中学校社会科教科書の場合、独島に対する不当な主張と共に朝鮮人強制動員、日本軍『慰安婦』など歴史的事実を縮小・隠蔽する内容があり、2020年に初めて検定審査を通過した当時に是正を要求したが、今回の検定結果に反映されなかった」と指摘した。
 教育部は「韓日両国がもつれを解いてより一層建設的な関係に進むためには、これまで続いてきた独島領有権主張と歴史歪曲を正して未来の世代に真実を知らせることから始めなければいけない」とし「大韓民国教育部は日本教科書の独島領土主権侵害と歴史歪曲記述を正すために積極的に対応していくことを明確にする」と強調した。


「中央日報日本語版」 2024.03.23 09:39
■日本、また歴史歪曲…中学教科書、従軍慰安婦表現を抜いて徴用強制性を希釈

【写真】日本文部科学省が22日、教科書検定審議会を開き、2025年度から中学校で使用される教科書の審査結果を発表した。検定を通過した多くの社会科教科書では独島(ドクト、日本名・竹島)が日本の領土と表記されている。 キム・ヒョンイェ特派員

 日本の中学生が来年から使用する社会科の教科書から「従軍慰安婦」という表現が削除され、日帝強占期の朝鮮人動員の強制性が希釈される方向に内容が変更されたことが22日、確認された。韓国の領土である独島(ドクト、日本名・竹島)に関しては多くの教科書が「日本固有の領土」と記述した。
 小・中・高校別に4年ごとに改訂される教科書で日本の加害歴史を消す歴史修正主義的な記述が強化され、両国関係改善の雰囲気に悪影響を与えかねないという懸念も強まっている。
 日本文部科学省はこの日午後、教科書検定調査審議会を開き、2025年度から中学校で使用される教科書の審議結果を確定した。このうち検定を通過した社会科教科書は地理4点、公民6点、歴史8点の計18点。公民は憲法および政治・経済を扱う科目だ。
 一部の教科書では、太平洋戦争当時の朝鮮人労働者、慰安婦に関する記述で日本の強制性を曇らせる方向に内容が変更された。例えば育鵬社の歴史教科書は「朝鮮や台湾にも徴兵や徴用が適用され、日本の鉱山や工場で厳しい労働を強いられた」という従来の文章を「朝鮮と台湾にも一部の徴兵と徴用が適用され、日本の鉱山や工場で厳しい環境の中で働いた人たちもいた」とした。「一部」という表現を追加して徴用と徴兵の対象を縮小し、「強いられた」という表現を削除して強制性を弱めた。
 慰安婦に関しては「従軍慰安婦」という表現が削除された教科書が確認された。山川出版社の歴史教科書は太平洋戦争当時の慰安施設に関する説明で「朝鮮・中国・フィリピンなどから女性が集められた(いわゆる従軍慰安婦)」という内容を「日本・朝鮮・中国・フィリピンなどから女性が集められた」に変更した。独島を日本固有の領土と記述した教科書は4年前は17点のうち14点だったが、今年は18点のうち16点に増えた。
 韓国外交部は「日本政府が独島に対する不当な主張と歴史に合わない主張に基づいて記述された教科書を検定通過させたことに深い遺憾を表明する」と述べた。


「The Hankyoreh」 2024-03-23 07:34
■教科書で独島領有主張強めた日本…韓国政府、駐韓日本大使呼び抗議

【写真】22日午後、外交部に呼ばれた日本の相星孝一在韓大使が、ソウル鍾路区の同庁の庁舎に現れた/聯合ニュース

 独島は「韓国が不法占拠している」との主張を強めるとともに、日帝強占期の加害の歴史を曖昧にする方向で記述された日本の新しい中学校の教科書が22日、文部科学省の検定を通過した。これに対し韓国政府は「深い遺憾」と「抗議」を表明した。外交部のキム・ホンギュン第1次官はこの日午後、外交部庁舎に日本の相星孝一駐韓大使を呼び、抗議の立場を伝えた。
 外交部はこの日の報道官声明で、「日本政府が独島に対する不当な主張と歴史的事実に符合しない主張にもとづいて記述された中学校教科書を検定で通過させたことに、深い遺憾を表明する」とし、「歴史的、地理的、国際法的に明白な韓国固有の領土である独島に対する不当な主張が含まれる教科書を、日本政府がまたも検定で通過させたことに強く抗議し、独島に対する日本のいかなる主張も受け入れられないことを明確にする」と強調した。そして「日本軍慰安婦被害者問題および強制徴用(動員)問題に関する表現と叙述は、強制性があらわにならない方向へと変更された」として、強い遺憾の意を表した。
 教育部も「中学校の社会科の教科書は、韓国固有の領土である独島に対する不当な主張と共に、朝鮮人強制動員、日本軍『慰安婦』などの歴史的事実についてわい小化、隠蔽する内容があるため、2020年に初めて検定審査を通過した際に是正を要求したにもかかわらず、今回の検定結果に反映されなかった」とし、「強く抗議し、即時是正を求める」と述べた。
 外交部は日本政府の措置に遺憾の意を表しつつも、「未来志向的な韓日関係」を強調した。尹錫悦(ユン・ソクヨル)政権の強調する韓日関係の改善を念頭に置いたものとみられる。外交部は「未来志向的な両国関係構築の根幹は、正しい歴史認識から出発する」と述べた。

パク・ミンヒ先任記者、パク・テウ記者 (お問い合わせ japan@hani.co.kr )
韓国語原文入力:2024-03-22 19:38
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「独立運動家・民団創立の立役者 元心昌の記念館が開館」

2024年03月23日 | 韓国で
「聯合ニュース」 2024.03.18 20:54
■独立運動家・民団創立の立役者 元心昌の記念館が開館
【ソウル聯合ニュース】韓国の独立運動家で在日本大韓民国民団(民団)創立を主導した元心昌(ウォン・シムチャン、1906~71年)の記念館「元心昌記念館」が、京畿道平沢市にある彭城レポーツ公園内に開館した。元心昌義士記念事業会が18日、発表した。

【写真】「元心昌記念館」の開館式が17日に開かれた(元心昌義士記念事業会提供)=(聯合ニュース)

 17日に開かれた開館式には、平沢市の鄭長善(チョン・ジャンソン)市長、独立功労者とその遺族による団体「光復会」の李鍾贊(イ・ジョンチャン)会長、独立記念館の韓詩俊(ハン・シジュン)館長、元心昌義士記念事業会のキム・ギソン会長、民団の金利中(キム・イジュン)団長、在日コリアン向け新聞「統一日報」の姜昌萬(カン・チャンマン)代表ら220人が出席した。
 元心昌は他の独立運動家と共に1933年、日本の駐中国公使だった有吉明を上海で暗殺する計画を立てたが、直前に発覚して逮捕された(六三亭事件)。日本の刑務所で13年服役し、45年の光復(植民地支配からの解放)と同時に出所すると、在日同胞の権益向上を目指して民団創立に動いた。南北統一運動にも力を注ぎ、統一日報を創刊した。
 記念館開設にあたり、統一日報は元心昌の活動にまつわる遺品265点と7233枚に及ぶ資料を寄託した。
 記念館では元心昌の生涯をたどることができる。1919年の独立運動参加、日本留学時代のアナキズム活動、「六三亭義挙」と中国での抗日闘争運動などを紹介。民団では団長を務め、50年に朝鮮戦争が勃発すると642人の在日学徒義勇軍を送り出したことも説明する。また、日本で南北統一運動に奔走した姿も伝える。


「聯合ニュース」 2024.03.16 07:00
■独立運動家・民団創立の立役者 元心昌の記念館がソウル近郊に開館へ
【ソウル聯合ニュース】韓国の独立運動家で在日本大韓民国民団(民団)創立を主導した元心昌(ウォン・シムチャン、1906~71年)の記念館が、出身地の京畿道平沢市内に設けられた。元心昌義士記念事業会によると、「元心昌記念館」はソウル南方・平沢市の彭城レポーツ公園内に17日開館する。

【写真】17日にオープンする「元心昌記念館」(記念事業会提供)=(聯合ニュース)

 元心昌は他の独立運動家と共に1933年、日本の駐中国公使だった有吉明を上海で暗殺する計画を立てたが、直前に発覚して逮捕された(六三亭事件)。日本の刑務所で13年服役し、45年の光復(植民地支配からの解放)と同時に出所すると、在日同胞の権益向上を目指して民団創立に動いた。南北統一運動にも力を注ぎ、在日コリアン向け新聞「統一日報」を創刊した。
 韓国政府は元心昌死後の77年に建国勲章「独立章」を授与している。2013年12月に国家報勲部は「今月の独立運動家」に元心昌を選定。「韓中日3カ国で敵の心臓を狙ったアナーキスト」と呼び、独立運動に大きな足跡を残したと評価した。
 記念館では元心昌の生涯をたどることができる。1919年の独立運動参加、日本留学時代のアナキズム活動、「六三亭義挙」と中国での抗日闘争運動などを紹介。民団では団長を務め、50年に朝鮮戦争が勃発すると642人の在日学徒義勇軍を送り出したことも説明する。また、日本で南北統一運動に奔走した姿も伝える。
 記念館開設にあたり、統一日報は元心昌の活動にまつわる遺品265点と7233枚に及ぶ資料を寄託した。
 元心昌の業績を取り上げてきた統一日報の李民晧(イ・ミンホ)ソウル支社長は「日本で独立運動を展開した代表的な愛国者ながら、国内ではあまり知られておらず残念だった」とし、今回の記念館開館を歓迎した。
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「国連「北朝鮮の海外労働者10万人、制裁前より外貨を3倍稼ぐ」

2024年03月22日 | 北部朝鮮
「中央日報日本語版」 2024.03.22 08:48
■国連「北朝鮮の海外労働者10万人、制裁前より外貨を3倍稼ぐ」
 国連安全保障理事会傘下の対北朝鮮制裁委員会は20日(現地時間)、北朝鮮が海外労働者派遣を通じて国連制裁以前より最大3倍近く増えた年間7億5000万(約1140億円)~11億ドルを稼いでいると明らかにした。
 制裁委が昨年7月29日から今年1月26日まで調査結果を根拠に作成した615ページの報告書によると、北朝鮮のIT分野の労働者は年間約2億5000万~6億ドル、IT以外の分野の労働者は年間約5億ドルを稼いでいる。北朝鮮は国連制裁前の労働者の海外派遣を通じて年間約5億ドルの外貨稼ぎに出ていることが分かった。
 これに先立って国連安保理は2017年に採択した決議第2375号と第2397号を通じて加盟国が北朝鮮労働者を雇用できないようにし、自国内の北朝鮮労働者を2019年12月までに全て送還させた。制裁委は「10万人余りの北朝鮮労働者が40カ国余りで食堂従業員や裁縫、建設、医療、情報技術(IT)分野に従事しており、国境再開放の際に大規模な追加派遣が予想される」というある加盟国の報告内容にも言及した。
 制裁委は「北朝鮮指導部が禁止されている高級乗用車と高級ブランドカバンなど贅沢品を搬入したという点が分かり、第3国を迂回する場合もあった」と説明した。実際、北朝鮮官営メディアは最近、金正恩(キム・ジョンウン)国務委員長がロシアのプーチン大統領からもらった「ロシア版ロールスロイス」であるアウルス専用車に乗っている姿を堂々と公開した。
 制裁委は今回の報告書作成に先立ち、クリスチャン・ディオールとも昨年10~11月に書信を交わした。昨年9月、金与正(キム・ヨジョン)労働党副部長が金委員長と一緒にロシア戦闘機工場を訪れた時に持っていた黒いカバンが約7000ドル相当のディオール製品で、贅沢品に当たるという疑惑が提起されたためだ。
 ディオール側は制裁委に送った回答で「当社のハンドバッグモデルであると強く推定されるが、(写真だけでは)本物なのか確認することは難しい」とし、「このモデルは2019年2月に初めて発売された製品」と答えた。
 一方、制裁委は、朝ロ間で安保理決議の違反に該当する兵器が取り引きされているという疑惑を報告書に盛り込んだ。ただし、加盟国が提供した情報により疑惑を記しただけで、制裁委レベルで「制裁違反」という最終結論を下すことはできなかった。安保理常任理事国であるロシアの影響力行使と無関係ではないとみられる。


「聯合ニュース」 2024.03.13 14:11
■「地上の楽園はうそ」 日本からの帰還事業巡り脱北者が北朝鮮提訴=韓国
【ソウル聯合ニュース】北朝鮮の宣伝を信じて帰還事業で北朝鮮に渡った後、脱北した在日コリアン出身の5人が、韓国で北朝鮮を提訴した。北朝鮮の人権実態を調査する韓国民間団体の北韓人権情報センターは13日、5人の代理として、精神的被害に対する慰謝料1人当たり1億ウォン(約1120万円)を請求する訴訟をソウル中央地裁に起こしたと明らかにした。

【写真】北朝鮮は1959~84年、在日コリアンに対する帰還事業を行った(資料写真)=(共同=聯合ニュース)

 原告の一人で、北送在日僑胞協会の李泰炅(イ・テギョン)代表は「到着したとたん、『楽園』とはかけ離れた様子に仰天した」と語った。当時8歳ながら、間違った所に来てしまったことを直感したとし、北朝鮮にだまされたと強調した。
 北韓人権情報センターは「在日僑胞北送事業の責任の主体は北で、朝鮮総連(在日本朝鮮人総連合会)と日本政府も責任から逃れることができない。在日僑胞保護の義務を尽くさなかった韓国政府にも責任の一端がないとはいえない」と指摘した。原告らが北朝鮮帰還当時に韓国国籍で、北朝鮮が韓国の憲法上、韓国領土であることなどを踏まえて韓国の裁判所に提訴したと説明した。
 北朝鮮は1959~84年、朝鮮総連を通じ「地上の楽園」をうたい在日コリアンら約9万3000人を北朝鮮に渡航させた後、強制的に居住地や職業を割り当てた。その多くが労働を強いられて苦しみ、「敵対階層」に分類されたことで人権侵害も受けた。
 日本でも同様の訴えがあり、東京高裁は昨年10月、訴えを退けた一審判決を取り消して審理を東京地裁に差し戻した。北朝鮮側は一、二審とも出廷せず、答弁書なども提出しなかった。
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「韓国の移住民、歓待にとどまらず連帯すべき」

2024年03月22日 | 朝鮮史
「The Hankyoreh」 2024-03-22 01:33
■[コラム]韓国の移住民、歓待にとどまらず連帯すべき
 イ・ジュンヒ|全国部記者

【写真】移住労働者たちが自分たちの境遇を象徴する鎖を使ってパフォーマンスを繰り広げている=カン・チャングァン先任記者//ハンギョレ新聞社

 昨年4月、移住民政策を取材するために、私はフランスのパリへ行った。シャルル・ド・ゴール空港で飛行機を降りて地下鉄に乗った。移住民の多いパリ北部では、白人の乗客を探すのが難しかった。ホテルのあるパリ中心部はそれとは異なっていた。街にいる人の大半は白人だった。黒人を見る機会は限られていた。エッフェル塔前の露天商、ホテルの清掃員、博物館の警備員。まるで黒人のする仕事が定められているように思えた。一種の「人種化した階級」だった。
 フランスは移住民の包容に積極的だった。しかし、不平等も根深かった。特に移住民に対する尊重は、安い労働力を利用して利潤を創出しなければならない資本主義の論理の前では、あっけなく崩れ去った。移住民というアイデンティティーは配慮の対象となりうるが、労働者としての彼らの賃金が低い理由は彼らの努力や能力の不足、さらには怠惰のような「人種的特性」にたやすく置き換えられた。彼らを低賃金雇用へと追いやる構造は隠蔽されていた。
 韓国はどうか。尹錫悦(ユン・ソクヨル)政権は、人口の絶壁と地域消滅問題の解決策として移民政策を打ち出した。その一環として、今年の非専門就業(E-9)ビザの発給規模を過去最大の16万5千人へと拡大した。ソウルを含む4地域では、下半期から彼らはホテルや食堂の厨房でも働けるようになる。ソウル市は外国人家事手伝いのモデル事業も開始する。
 政策の基調は明確だ。韓国人が敬遠する仕事に外国人を投入するというものだ。同時に、彼らを低賃金雇用に縛りつけておくために、監視と処罰は強化した。法務部は昨年、未登録移住民に対する大々的な取り締まりを行い、3万8千人あまりを摘発した。移住労働者の自由を抑圧しているとの批判を浴びている雇用許可制はそのまま維持した。
 あちこちで副作用が現れた。慶尚北道慶州市(キョンジュシ)のある工場では昨年11月、取り締まりの過程で法務部の男性職員が女性移住労働者を「ヘッドロック」で制圧して連行していく映像が公開され、社会の怒りを買った。京畿道烏山市(オサンシ)にある韓信大学は同月27日に、語学堂に通っていた22人のウズベキスタン人留学生を「不法滞在者になりうる」との理由で、外部の警備業者を動員し、携帯電話まで押収して強制的に出国させていたことが後になって明るみに出て、衝撃を与えた。
法務部の職員が昨年11月7日、慶尚北道慶州市のある工場で未登録移住民の取り締まり中、ある女性移住労働者の首を絞めている=動画をキャプチャー//ハンギョレ新聞社
 政府の強圧的な移住民政策をめぐっては、批判が相次いでいる。人手の足りない農漁村はもちろん、首都圏の企業からも不満が出ている。移住民のおかげで消滅を免れている地域も状況は同じだ。状況が状況だけに、最近は政治傾向を問わず移住民に対する規制を緩和すべきだとの声があがっている。違いを認め、共存を模索しようとの声も高まっている。
 同意しつつも、依然として疑問は残る。国、民族、人種のような皮を剥けば、その中には搾取を通じてのみ維持が可能な体制の問題が存在するのではないかと感じるからだ。内国人と外国人を分ける前に「人間が敬遠する労働」であるなら、まず労働現場を変えるべきだと考えるからだ。未来の韓国を想像してみよう。アジア各国からやって来た人々が低賃金雇用を埋めたその地で、移住民の第2世代が自身の親の受けてきた搾取を批判して立ち上がったとしたら? 低賃金労働を強制し、職場を離脱すれば違法のレッテルを貼って処罰する韓国の移住民政策を「現代版奴隷制」だとして批判したとしたら? 私たちはそれを移住民の問題と考えるべきか、それとも階級問題と考えるべきか。単なる移住民に対する歓待が、世代を重ねて積もっていくその怒りを防げるだろうか。
 歴史学者エリック・ウィリアムズはその著書『資本主義と奴隷制』で、人種差別のせいで黒人奴隷制が生まれたのではなく、黒人奴隷制が人種差別を産んだのだと主張する。西欧の産業化の動力は超過利潤を通じた資本の蓄積を可能にした黒人奴隷制であり、その過程を正当化する論理として人種差別が誕生した、との指摘だ。ウィリアムズは同書の中でこのように語る。「時代の政治理念と道徳観念は、それらが経済発展と結ぶ非常に緊密な関係の中で検討しなければならない」。移住民に対する歓待にとどまらず、共に搾取の構造を乗り越えていく連帯を考えるべき理由はここにある。

イ・ジュンヒ|全国部記者 (お問い合わせ japan@hani.co.kr )
韓国語原文入力:2024-03-19 19:05
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