三重県木本で虐殺された朝鮮人労働者の追悼碑を建立する会と紀州鉱山の真実を明らかにする会

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「2024年春の海南島「現地調査」報告 10 」

2024年05月18日 | 海南島近現代史研究会
 4月8日朝8時に文昌市内の旅館を出て9時半に文昌市郊外の東閣鎮南文村に着いた。
 2014年11月に、南文村の自宅で邢福橋さん(1934年生)は、
   「日本軍が来た時、家族といっしょに山の洞窟に隠れた。食べるものを探しに洞窟を出たが、姉に見つかって、すぐ
  に洞窟に連れ戻された。姉は、わたしを洞窟に隠したあと日本軍に見つかって殺された。そのとき40人以上が殺され
  た。姉の名は、月花。20歳くらいだった思う」
と証言を聞かせてくれた。
 2024年4月8日に南文村を再訪したとき、邢福橋さんは3、5年前に亡くなっておられた。
 南文村を離れ、近くの林村村に向かった。
 わたしがはじめて東閣鎮林林村を訪ねたのは、2011年11月6日だった。
 「抗日戦争遇難郷親紀念碑」が建っていた。「一九九五年仲秋吉日」に「林村村林氏宗親」が建てた碑だった。
 碑の裏面に、「「墓誌銘 哀鴻遍野 日冦侵華連天 鴻史前鮮 凄凄荒草埋寃骨 堆遺爸娘盼儿心 三六前生三六死 七二横遭刀火臨 魂飛雲巻往板來東 徒増父老泣無声」と刻まれていた。
 碑の前で、村人の林樹存さん(1952年生、辰年)が、
   「同じ日に72人が殺された。ここには30人くらいが埋葬されている。ここに埋葬されている以外の人は、家族が
   別に埋葬した。この村出身で台湾から戻ってきた人が金を出して碑を作った。周りの塀などは村民みんなが金を
   出してつくった。
    生き残った林鳳通さんは文昌に住んでいる。林堅さんは海口にいる。このふ たりが72人の名前を知っている。
   生き残った人は、12、3人だった
と話した。

 その数日後、文昌市文城鎭に住んでいる林鴻通さん(1932年10月生)を訪ねた。
 林鴻通さんはつぎのように話した。
   「日本軍が攻めてきたときは9歳だった。朝4時ころ。わたしは祖母(母の母)といっしょに寝ていた。家には、
   母と弟ら全部で7人がいたが、母は朝食の支度をしていた。外から、人の声、犬の吠える声が聞こえてきた。
    村には、日本軍がそれまで何回も攻めてきたときがあるから、急に攻めてきたときに隠れる場所をつくって
   あった。板で覆って草でかぶせてある。そこに一部の人が隠れた。共産党が、日本軍が襲ってきたときのことを
   考えて掘れといって、つくった穴だった。周りの村でもみんな掘っていた。穴は村の若者が掘った。
    日本軍はさいしょ村の入り口の大きな木の下に集まっていた。村に入ってきたのはごく一部で、何もしないで
   帰った。
    警戒解除という状態になったので、朝ご飯の時間でもあるし、洞くつから出てきたら、日本軍がおおぜいで
   また攻めてきた。2回目は6時ころ。朝ごはんを食べているときだった。
    このときは、村は包囲されて、逃げるところがなく、じぶんの家にいた。日本軍は各家をまわって、家から
   人を追い出して集めた。こうしてほとんどの人が外に出されて集められた。ごく一部の人が隠れた。
    日本兵は子どもと大人を分けた。子どもはぜんぶで11人だった。日本兵は、子どもに、水をくめといって、
   列を組ませて井戸の方に連れていった。列の先頭は、林樹民(?)。林樹民(?)の腕をつかんで、そのまま井戸に
   放り込んだ。2番目、3番目の子どもは誰だったか……、覚えていない。子どもの首を抱えてうしろから剣で刺
   して、井戸に放り込んだ。4人目までそうして剣で刺されて井戸に放り込まれているうち、5番目にいたわたし
   は、じぶんから井戸に飛び込んだ。頭と額を固いところにぶつけて、こぶができた。井戸は、わたしの背丈より
   深かった、先に4人の死体があるので、その上に立ってあごまで水に浸かっていた。日本兵は、井戸のふちに座っ
   て、足でわたしの頭を踏みつけた。わたしは何度も、その足を引っ張ったり避けたりした。そうしているうちに、
   日本兵は、剣を銃に付けて、刺そうとしたが、わたしは死んだふりをして、浮
   いたり沈んだりしていた。日
   本兵はわたしが死んだと思った。わたしは助かった。姉さんも目の上とか背中とか刺されて、井戸に投げ込まれ
   たが、すぐには死ななかった。
    11人のうち、9人は井戸で死んだ。わたしと姉だけが、生き残った。姉はわたしのうしろだったが、何番目だっ
   たかわからない。井戸の壁がレンガだったので、這い上がることができた。姉といっしょに這い上がった。
    日本兵は3人いた。顔は覚えていない。太陽が昇ってきて、影が井戸に映った。そのときはじっとしていた。
    先にふたりの日本兵が井戸を離れた。影がなくなって、姉から先に這い上がり、近くの田んぼに逃げて隠れ
   た。稲の収穫時で、まだ稲を刈っていなかったので、稲の中に隠れていた。午後4時ころまでじっとして隠れて
   いたら、爆竹の音とか家が焼けおちる音が聞こえた。正月が終わってまもなくだったので、爆竹が残っていた。
   村が焼かれたのだ。
    その間、姉は2回ほど村に近寄ってみた。2回目は11時ころ。まだ日本兵がいたので、また稲に隠れた。3回目、
   4時ころ村に近寄ってみたら日本兵がいなかったので、姉がわたしを連れに来て、村に戻った。何時間も井戸に
   つかっていたので、寒くて……。
    村に戻って2か所を見た。村は、真っ黒で、屋根とか柱とか、まだ燃えていた。
    ひとつは、さいしょにみんなが集められたところ。入り口で、ひとりが剣で刺されて死んでいた。ふたりが、
   焼かれて外に逃げて死んでいた。祖母はここで殺されて焼かれた。
    もうひとつの家で、7人が殺された。母、曽愛娥。弟、林鴻富。ふたりの兄嫁(2大嫂)(ひとりはいとこの兄嫁か
   ?)、名前はわからない。おばさん、父の姉)。この家の女の人、ふたり。ひとつの部屋に入れられて焼かれていた。
   ひとりだけはわかるが、6人は真っ黒でだれかわからない。
    3日くらいたって、死体を片付けようとしてさわったら、頭とか足とか折れたので……。
    5時ころだったと思う。寒くて、食べ物がなくて。姉はわたしを隠れ家に連れていって着替えさせた。
    日本兵は13人くらい。3人は子どもを井戸に連れていった。5人は、家から人を追い出して集めた。5人は、
   2軒に草とかガソリンとか集めて焼く用意をしていた。
    何軒が焼かれたかわからない。本(『椰林血泪』)には、そのころ覚えていたことを思い出して書いたので詳しい。
   姉の名前は、林月英。当時11歳。父は兄とタイに行っていた。兄弟3人と姉。タイに行っていた兄、姉、わたし、
   弟。弟は5歳くらい。
    李山村に2軒、親せきの家があった。5時ころ、姉に連れられて、母の実家がある李山村に行った。母のいとこの
   弟、曽紀立のところに行き、一晩泊まった。また日本軍が来ると思ったので、姉はわたしを連れて宝典に行った。
   井戸の中で血の水をいっぱい飲んだので、のどが痛くて何も食べられなかった。水も飲めなかった。7日間
   くらい、なにも食べられず、美柳村の人が、やわらかい果肉などを食べさせてくれて、それで、元気になった。
   元気になったので、また李山村にもどった。2軒の親戚に交代で食べさせてもらった。
    姉はさきに林村村にもどって、いとこの兄嫁といっしょに田んぼのしごとをした。いとこの名前は、林樹政。
   わたしも林村村にもどって姉といっしょに暮らしながら、農業の手伝いをした。姉は14歳のとき、婚約して
   いた相手の村に行った。羅晨村。
    日本兵は鉄の帽子をかぶって、まわりに布を垂らしていた。日本兵はその前も見たことがある。日本兵は村に
   来ると、“ヌイヌイヌイ……”と手ぶりで指を丸めて言った。卵をくれという意味だ。
    1947年8月に、わたしは文昌県中隊に入隊した。独立団で、名前は英勇隊といった。
    父はタイで1977年に亡くなった。家に一回ももどらなかった。兄は8回ほどもどってきた。1回目は1975年。
   それから去年、最後に帰ってきた。今年は83歳になる。
    いま昔のことを知っている人は3人だけだ。わたし、林樹逢、林樹慈」。

 1926年に林村村で生まれた林樹慈さんが2010年12月に出版した『椰林血泪』(海南郷土文化研究会主辦 天馬図書有限公司出版)に、林鴻通さんは「剣戮水淹 惨絶人寰——林鴻通的回憶」を寄稿している(8~14頁)。

 2024年4月8日に邢越さんとわたしが林村を訪ねたとき、「抗日戦争遇難郷親紀念碑」の前の広場には人影はなかったが整備されていた。
 わたしは2011年11月6日以後、しばしば林村村に行き、村民に話を聞かせていただいて来た。2015年3月28日~4月9日の紀州鉱山の真実を明らかにする会第27回・海南島近現代史研究会第14回海南島「現地調査」のとき、4月4日の清明節に行われた追悼集会には、南海出版公司の編集者らも参加した(海南省文化交流促進会編・南海出版公司2015年8月発行『真相』217~220頁)。

 2024年4月8日、林林村から楊必森さん(1922年生)に会うために東閣鎮鳌頭村を訪ねた。
 2014年10月30日に楊必森さんは、
   「1943年3月6日の朝、日本軍が来て村の入り口を封鎖した。
    このころはサツマイモの収穫期で、母は薄く切ったサツマイモを天日で乾かすために村の外に出たときに日本軍と出会った。日本軍は母のはらを突き刺した。母は銃剣を両手でつかんで手も切られ、その場で死んだ。
    家の地下に穴を掘っていて、日本軍が来たので兄とわたしはそこに隠れた。
    日本軍は家に火をつけた。煙がひどくて隠れていっれず、出ていくと、兄もわたしも、えりくびをつかまれ、火のなかに放り込まれ、尻を蹴りこまれた。兄は足をやけどし、わたしは火の中に手をついたので、両手をやけどした。腕の皮膚が焼け落ちた。日本軍がいなくなって火から逃げ出した。日本兵は4、5人だった。兄はやけどがひどくて、1948年に死んだ。
    母は、邢氏。兄の名は、楊必雄」
と話した。
 2024年4月8日に家を訪ねた。誰もいなかった。 楊必森さんは亡くなられていた。

 東閣鎮鳌頭村を離れ、潭牛鎮の中心部(潭牛墟社区 )に行って宿泊した。 

     佐藤正人
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「光州民衆抗争「火葬」メモを初めて発見…行方不明者を探す手がかりになるか」

2024年05月18日 | 韓国で
「The Hankyoreh」 2024-05-18 09:06
■[独自]光州民衆抗争「火葬」メモを初めて発見…行方不明者を探す手がかりになるか
 調査委「民間人3人、家族の同意で火葬」 
 死亡事実は認められたが「行方不明」
 
【写真】1980年5月の「光州市土葬関係記録」には、行方不明の疑惑が最も多い池元洞と刑務所(光州刑務所)という文字の横に「火葬」と書かれたメモがある//ハンギョレ新聞社

 1980年の光州5・18民主化運動の頃に作成されたとみられる光州市(クァンジュシ)の遺体処理関連の記録から「火葬」と書かれたメモが発見された。行方不明者の行方に関する新たな手がかりになりうるだけに、当時の光州市の機関などを対象に、行方不明者の遺体を火葬した可能性などについて綿密な再調査が必要だと指摘されている。
 「火葬」メモは、検察などに提出された光州民主化運動当時の光州市記録を元5・18遺族会長のチョン・スマン氏がスキャンしたファイルの形で保管していたことを、最近ハンギョレが確認したものだ。16枚の更紙に水性ペンで作成されたこのメモには、「池元洞、刑務所、火葬-葬儀士協会連絡」という文字と共に「自主的に引き渡し」「公園墓地」など、遺体の処理に関すると思われる内容がある。「5体」「6体」「28体」など遺体の数を表すような表現、時間と推定される「12:15」、「11:00」という数字も登場する。
 5・18団体がメモに注目するのは、当時死亡した事実は認められたが、遺体が見つからず「行方不明」扱いだった犠牲者73人の「行方」を探す手がかりになるかもしれないというかすかな希望のためだ。このメモに「火葬」とともに書かれた「池元洞(チウォンドン)」と「刑務所」(角化洞の旧光州刑務所)が、民主化運動当時に犠牲者の遺体を目撃したという供述が多く出た場所である点も注目される。特に光州刑務所は遺体を見たという供述は多いが、その遺体がその後どこに行ったのかは依然として霧に包まれている。
 光州刑務所で遺体を目撃した人は多い。第3空輸旅団の下士だったキム・スンシクさん(69)は7日、全羅南道海南(ヘナム)でハンギョレの取材に応じ、「5月21日午後、光州刑務所に到着した軍用トラックで13体の遺体を下ろした」と証言した。第3空輸旅団の下士だったYさんは5・18民主化運動真相究明調査委員会(5・18調査委)に「5月21日夜、ある上官の指示で、夜に土を掘って(遺体)9体を埋めた」と証言した。
 当時光州刑務所に勤務していた小説家のホン・インピョさん(78)は、2020年にハンギョレの取材で「5月21日午後、日暮れ頃に第3空輸旅団の部隊員が3人の市民を土に埋めるのを見た」とし、「2~3日後、遺体3~4体をヘリコプターで運んだのを見た」と語った。

【写真】1980年5月、第3空輸旅団の下士だったキム・スンシクさん=チョン・デハ記者//ハンギョレ新聞社

 光州刑務所から消えた遺体は少なくとも17体。1980年5月31日、戒厳司令部は「光州事件真相調査」の結果で、光州刑務所周辺で28人が死亡したと発表したが、光州刑務所構内(8体)と光州刑務所前の野山(3体)で11体だけが発見された。単純計算でも、キム・スンシク元下士が見た死亡者13人のうち10人の遺体が見つかっていないわけだ。

【写真】1980年5月、光州刑務所の刑務官だった作家のホン・インピョさん=チョン・デハ記者//ハンギョレ新聞社

 光州から和順(ファスン)に向かうところに位置した池元洞も、民主化運動の期間に戒厳軍による銃撃で死傷者が多く発生したところだ。5・18調査委は1980年5月23日午前11時に発生した周南(チュナム)村マイクロバス事件と関連し、ヤン・ミンソク、チェ・スギル、キム・ジェヒョン、キム・ヒョンギュ、ソン・オクレ、コ・ヨンジャ、キム・ナムソク、キム・ユンス、キム・チュンレ、パク・ヒョンスク、ペク・テファン、ファン・ホゴルの13人が死亡し、ホン・クムスクだけが生存したと明らかにした。5・18調査委のホ・ヨンシク調査4課長は「軍人の証言と軍資料などを通じてマイクロバスには17人が乗っていたという事実を確認したが、発見されら遺体は13体のみ」と明らかにした。
 しかし、別のマイクロバス銃撃事件があったという主張も絶えない。当時、池元洞で花屋を営んでいたキム・ジョンファさん(77)は2021年5月のハンギョレのインタビューで、「5月23日午前8時30分から9時15分頃、軍人たちがマイクロバスを銃撃し、10体の遺体を目撃した」と証言した。当時キムさんが目撃したマイクロバスは銃撃を受けて道に横転した状態だったが、ホン・クムスクさんなどが乗っていたマイクロバスは横転しなかったという供述から、別の事件である可能性が高い。

【写真】光州市東区役所の状況日誌のメモ//ハンギョレ新聞社

 5・18民主化運動以後、政府から5・18犠牲者として認められたにもかかわらず遺体が見つからなかった人は、73人に達する。5・18記念財団は2020年、犠牲者たちが光州刑務所で秘密裏に埋められたという疑惑を解くために発掘調査を行ったが、遺体は見つけられなかった。当時、ホ・ヨンシク調査委課長は「海に遺体を投棄したという『水葬説』が一部で持ち上がったが、事実ではないことが確認された」と述べた。

【写真】2020年に光州刑務所で行われた遺体探しの現場=ハンギョレ資料写真//ハンギョレ新聞社

 残っているのは火葬疑惑だ。これと関連して5・18調査委は「全羅北道全州市(チョンジュシ)の昇華園で戒厳軍2人を火葬し、光州の日谷火葬場では5月28日に家族の同意で犠牲者3人を火葬した事実はあるが、多くの遺体を密かに火葬したという疑惑は明らかになっていない」と明らかにした。ところが、日谷火葬場で火葬した民間人犠牲者のキム・ミョンスク、オ・セヒョン、ハム・グァンスの3人の死亡場所は、池元洞や光州刑務所とは何の関係もない。2カ所で目撃された多くの遺体は、一体どこに行ったのだろうか。
 チョン・スマン元5・18遺族会長は「1980年の光州市の埋葬関係の記録で『火葬』という言葉が出たことは、『遺体火葬説』を暴く手がかりになりうる。当時の市立墓地の委託管理業者である無等墓園と葬儀社協会の関係者などを対象に綿密に調査する必要がある」と語った。

チョン・デハ、キム・ヨンヒ記者 (お問い合わせ japan@hani.co.kr )
韓国語原文入力:2024-05-17 23:54
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「韓国司法、大統領室へ入ろうとした学生団体幹部の拘束令状棄却」

2024年05月18日 | 韓国で
「The Hankyoreh」 2024-05-18 01:05
■韓国司法、大統領室へ入ろうとした学生団体幹部の拘束令状棄却

【写真】韓国大学生進歩連合(大進連)が17日午前、ソウル西部地裁前で、大統領室に面談要請した大進連に対する拘束令状の棄却を求める記者会見をおこなっている/聯合ニュース

 韓国司法は、「キム・ゴンヒ特検」を叫んで大統領室へ入ろうとした韓国大学生進歩連合(大進連)のメンバーに対する拘束令状をまたもすべて棄却した。
 ソウル西部地裁のシン・ハンミ令状専門部長判事は17日、暴力行為などの処罰に関する法律違反(共同建造物侵入)などの疑いが持たれている大進連の4人の幹部に対する拘束前被疑者尋問(令状実質審査)で、拘束の必要性はないと判断した。シン判事は「現段階で被疑者を拘束する必要性、および相当性は認めがたい」と棄却理由を述べた。
 大進連の10人のメンバーは今年1月6日にソウル龍山(ヨンサン)の大統領室前に集まり、「キム・ゴンヒを特検せよ」などのスローガンを叫びつつ面談を要請し、検問所などから大統領室に入ろうとした疑いで、すでに1度拘束前審査を受けている。その際、裁判所は「事件犯行の経緯および内容をみると、拘束の理由や必要性を認めることは難しい」として、すべて棄却している。
 4カ月後、警察は再び大進連の4人の幹部の拘束令状を申請した。令状が申請された4人のうち3人は大統領室への面談要請時に現場にいなかったため、事件と関係がないにもかかわらず、役割を分担した「主導者」とされた。これらの幹部が「自らの地位を利用して犯行に参加するよう(メンバーを)説得、主導した」と見なしたのだ。
 今回の警察の拘束申請理由を見ると、警察はこれらの幹部がいわゆる「背後」として、直に加担したメンバーたちと共謀し、「組織的かつ体系的に事前に犯行を準備した」と主張している。「(中心幹部たちが)メンバーたちを精神的、肉体的、経済的に支配している」などとする理由もあげている。
 大進連はこの日の記者会見で、「無理な強圧捜査」だと批判した。そして「政権に対するいかなる批判的な声も容認しないとして、国民に対して宣戦布告しているもの」だと指摘した。
キム・ガユン記者 (お問い合わせ japan@hani.co.kr )
韓国語原文入力:2024-05-17 21:18
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2024年春の海南島「現地調査」報告 9

2024年05月17日 | 海南島近現代史研究会
 4月7日朝7時半文昌市内の旅館をでて清瀾半島の西端に着いた。数個の高層マンションが建てられており、その周辺から海岸までが広い公園になっている。
 海岸で5日に沙土の王徳林さんからもらったバナナを食べた。
 その後、清瀾港に向かった。
 近くに新しい埠頭ができていた。その埠頭入り口に大きな門がつくられていた。名前が示されていない門は閉められており、普通では入られなくなっていた。その門の近くの道路標識には「三沙路」と書かれていた。
 すこし離れた路上から埠頭の中を見ると、「三沙2号」という船名の大型船が停泊していた。【註】「Baidu百科」には、「2014年年底,“三沙1号”将正式投入使用,奔赴浩瀚南海,担负起神圣而光荣的使命。符戆在致辞中说, “三沙一号”入列使用后必将极大地提升三沙市的海上行政管控、交通补给、综合服务保障能力,为维护国家主权和海洋权益,建设“主权三沙、美丽三沙、幸福三沙”提供强有力的装备保障。“三沙1号”自2013年12月25日在渤海船舶重工有限责任公司正式建造以来,船舶建造进展顺利,各重大节点均提前或按期实现」、「2019年8月21日,海南省三沙设市后建造的第二艘交通补给船“三沙2号”抵达三沙市永兴岛,完成首航」と書かれている。1938年に日本軍はベトナムの領土であった海域の諸島に侵入し、「新南群島」と名付けた。1939年2月20に日本陸海軍が海南島に奇襲上陸し軍事占領した後、日本政府は海南島とともに「新南群島」を1945年8月まで領土とした。 
 
 2024年4月7日9時20分に、2010年ころ訪ねた清瀾港の魚市場に行った。10数年前にはカブトガニなど珍しいものも売られていたが、売っているものの数はかなり少なくなっていた。大型漁船が多くなったので魚の量は多くなっていた。
 10時過ぎに清瀾港から東郊鎮に向かった。

 2014年10月31日に、東郊鎮福羅村で符史森さん(1952年生)は、
   「父、符和桂は2003年に85才で亡くなった。日本軍がこの村を襲ったのは、父が8才~10才のころ。父は逃げることができた。田んぼのそばの川に樹がびっしり生えていて、父は川の中でその根につかまって隠れた。ひとりで何時間も。
   祖父(符副昇)、祖母、父の妹は祠堂で殺された。父の妹は、4、5歳だった父の父方のいとこの兄(符気壹)の妻が強姦されて乳房を切り取られて殺された。
   父は酒を飲んではこの話をしていた」と話していた。
 2024年4月7日11時50分ころ福羅村で符史森さんに再会した。符史森さんは9年半前にわたしたちが訪ねたことを覚えていてくれた。祖父母と幼かった伯母が殺された現場に案内してもらった。自宅のすぐ近くのその場には樹が繁っていた。数10メートル離れたヤシの木のそばに祠堂があったことを示す石碑が2基あった。
 符史森さんは、家の近くで鶏、亀、 アヒル、鵞鳥を飼っていた。そのそばで、ヤシの実をごちそうになった。

 その後、1942年秋に日本海軍第15警備隊の部隊が襲撃した東郊鎮田頭村を訪ねた。
 わたしたちが2014年10月31日に証言をきかせていただいた符福通さんは2019年に亡くなられていた。
 出会った村人に、近くの高台に建てられていた日本海軍第15警備隊の望楼跡と周壕跡に案内していただいた。

 文昌市内の旅館に戻る途中、新華書店に1時間近く寄って、地図・字典などを買った。その間、客はわたし一人だった。書籍売り場にいた店員は5人だった。


          佐藤正人
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2024年春の海南島「現地調査」報告 8

2024年05月17日 | 海南島近現代史研究会
  4月6日朝、4時50分ころから鶏鳴。
 7時半に旅館をでて南方の常樹村に向かった。
 
 澄邁県政協文史資料委員会編『澄邁文史』第十輯(日軍侵澄暴行実録 1995年発行か)に掲載されている王明恩「国恨家仇怎能忘 記侵瓊日軍占領加楽峒的罪行」に、
   「一九四一年六月一一日、日軍飛機炸常樹村、炸毀民房一五間、炸死農民六人、受傷一人、炸死家畜四隻
  只。……」(三〇頁)
   「従一九四〇年四月至一九四五年八月的五年、加楽峒共殺死無辜農民八八九人、平均毎村被殺死一〇・二人。
  “重災区”是常樹村殺死二五六人、北柳村被殺死四一人、加塘村遭殺二四人、加応村殺死二一人、加志村殺死二〇
  人……」(三三頁)、
   「日軍占据加楽期間、任意下村搶掄劫農民財産、随便抓人作押、勒索銭財。擄掠最突出的有:北柳村搶劫家畜
  二二三頭、勒索光洋一三七〇〇元:常樹村遭劫耕牛一五七一頭、勒索光洋一二五四三元……」(三四頁)。
と書かれている。

 1940年4月から1945年8月までの5年間に村人256人が殺されたと書かれている加楽鎮常樹を、わたしたちが、はじめて訪ねたのは2012年11月7日だった。
 この日、常樹村の自宅で王汀邦さん(91歳)は、つぎのように話した。
   「はじめ、村が爆撃された。そのあと、日本軍が何度も村を襲った。この村が 国民党と共産党の拠点だったからだ。
   日本兵のなかには台湾人もいた。
   日本軍の占領中は、生活が苦しかった」。若い女性が日本兵に暴行された。
 自宅で王川法さん(1933年生)は、つぎのように話した。
   「日本軍が2回目に村を襲ってきたとき、父が殺された。1942年12月28日だった。わたしは9歳だった。
   わたしは、父が殺されるところを見た。
   日本兵2人が、父の腕を両側からひっぱり、からだの両側から銃剣を突き刺した。父の名は、王澄禄。40歳だった。
   石で殴られて殺された村人もたくさんいた。日本兵がいまいたら、殺してやりたい。ミサイルで日本を攻撃したい気持ちだ。
   わたしの家は、父母、兄、わたしの4人家族だった。姉がいたが、嫁にいっていた。兄は15歳だった」。
 わたしたちが、王川法さんから話を聞いているあいだ、そばでずうっと黙って座っている女性がいた。

 村人の1人が、
   「日本軍が村を襲ってきた1942年12月28日は、その女性の結婚式の日だった。その日の朝、日本兵に強姦され、
  そのあと精神を病んでしまった」
 と静かに話した。
  村人たちみんなから、その女性がいたわれていることが、わたしたちに強く伝わってきた。
  別れ際に、王川法さんは、「この村で殺された人たちの名は、記録されていない。これから記録していきたい」と話した。
  その四か月半後、2013年3月31日に、わたしたちは、常樹村を再訪した。
  王川法さんは、日本兵に殺された常樹村の村人の名簿をみせてくれた。
 そのあと、王川法さんは、父が殺された場所に案内してくれた。そこは、王川法さんの家の近くの四つ角だった。大きな石があった。その石を王川法さんは黙って指さした。
 その後、海南島近現代史研究会は3度、常樹村を訪ねた。
 さらにその7年後、2014年4月6日に訪ねたとき常樹村の風景は大きく変わっていた。
 常樹村を10時半にでて、定安県雷鳴鎮南曲村に向かった。わたしがはじめて南曲村を訪ねたのは2012年3月18日だった。この日に南曲村を訪ねたのは、2011年の秋に海南大学図書館の海南地方文献室で見た海南省定安県地方志編纂委员会編『定安県志』(2007年)で、「為国犠牲」と正面に刻まれ背面に王毅瓊崖守備隊司が書いた800字の碑文が刻まれている「雷鳴郷抗倭殉国忠烈官兵紀念碑」が、南曲村にあることを知ったからだった。同書には、この碑は、1946年春に瓊崖国民党軍政当局が雷鳴郷公所の門前に建てたものであり、1950年代のはじめに南曲村の村民が村に運んで保存していると書かれていた。
 2012年3月に、わたしがこの碑の前に立っていると、村人が、この碑のことをよく知っている人がいると言って、王昭成さんの電話番号を教えてくれた。すぐに電話すると、海口に住んでいる王昭成さんは、たまたま雷鳴に向かっている途中であり半時間ほどで碑のところに到着するとのことであった。
 王昭成さんが来るまでの間、わたしは、その場をくわしくみて歩いた。
 そこは、村道の一角に開かれた200平方メートルほどの草原で、村道から向かって右側に、「為国犠牲」と刻まれた高さ2メートルあまりの石碑が建てられており、そこから7~8メートルほど離れた左側に「馮白駒将軍抗日駐地遺址 雷鳴鎮南曲村居禄山 公元二〇〇〇年四月立」と書かれた同じくらいの大きさの石碑が建てられていた。その左奥には、太く大きな榕樹(ガジュマル)がたっていた。
 まもなく着いた王昭成さんに、わたしは、紀州鉱山の真実を明らかにする会と海南島近現代史研究会のこれまでの運動の内容を話した。
 王昭成さんは南曲村の出身で、退職後、南曲村の“名誉の村長”と呼ばれている人だった。
 ふたつの碑の前で、王昭成さんはつぎのように話してくれた。
   「この“雷鳴郷抗倭殉国忠烈官兵記念碑”の正面の「為国犠牲」という文字は、国民党広東省第9区行政監督
  専門員兼保安司令官(陸軍中将)だった丘岳宋が書いたものだ。
   背面の碑文には国民党の瓊崖守備司令官の王毅の署名がある。
   これは、抗日戦争に勝利した後、定安県の雷鳴と富文での抗日戦争の犠牲者を追悼し、日本軍に抵抗した
  軍民の事績を伝えるために、1946年に国民党政府が雷鳴郷の郷公所があった雷鳴村に立てたものだ。
   雷鳴と富文での2度の戦闘中に、国民党の将兵17人と抗日志士8人が犠牲になった。そのなかの1人は、定安県
  遊撃予備第一大隊の隊長王志発だった。かれは南曲村の人だった。王志発は、農暦1942年1月に、雷鳴鎮の隣の
  富文鎮の戦闘のときに戦死した。29歳だった。
   1951年の台風の時に、石碑が傾いた。しかし、その後、管理する人がいなかったので、南曲村の村民4人が、こ
  の高さ2メートル、厚さ10センチの重い石碑を南曲村の王氏の祖廟まで担いで運んだ。わたしの父の王広亨もそ
  の4人のひとりだった。
   文化大革命のとき、村民は、ひそかにこの石碑を井のそばに置いて踏み石のようにして隠した。村人は国
  民党軍の指揮官の題字が刻まれている記念碑が破壊されることのないように守った。
   「馮白駒将軍抗日駐地遺址」という石碑は、2000年4月に南曲村の村民が建てたものだ。その10年後、2010年
  に、「雷鳴郷抗倭殉国忠烈官兵記念碑」が、「馮白駒将軍抗日駐地遺址」のそばに建てられた。
   1941年の前半に、馮白駒将軍が指揮する瓊崖抗日独立総隊の10数名の戦士が南曲村の居禄山に来て、日本軍
  への抵抗をよびかけ、5件の家に分かれて14日間滞在した。「馮白駒将軍抗日駐地遺址」という石碑はそのこと
  を記念する碑だ。
   宿泊した李家の人に感謝するため、馮白駒将軍は、出発が迫ったときに1枚の自分の肖像画を贈った。馮白
  駒将軍が当時泊まった家はすでに崩れ落ちているが、基礎だけは残っている。この肖像画は抗日戦争と解放戦
  争と文化大革命を経て秘蔵されてきた。
   2011年1月7日に、馮白駒の娘の馮尔超と馮尔曾が父のとどまったことがある南曲村を訪ねて李氏の息子の王
  世春さんに会った。このとき82歳になっていた王世春さんは、馮白駒将軍の肖像画を寄贈した」。
 
 日本海軍の『海南警備府戦時日誌』に含まれている「陸上部隊兵力配備要図(1943年3月1日現在)」には、雷鳴守備隊の日本兵は42人、定安守備隊の日本兵は72人、金鶏嶺守備隊の日本兵は18人と書かれている。
 海南島で日本海軍海南特務部政務局第3課は、特務部海南師範学校を設置・運営していた。海南師範学校の関係者が2004年9月に出版した『天涯に陽は昇る 海南島への架け橋』(発行人山本良一)には、雷鳴の日本語教師には、海南師範学校第3期生の中という人がいたと書かれている(163頁)。  

  4月6日11時半ころ、南曲村のふたつの碑の前で出会った村人に聞くと、 王昭成さんは数年前に亡くなった、と言った。すぐ近くの王昭成さん家を訪ねると鍵がかけられていて誰もいなかった。わたしが最後に王昭成さんに会ったのは2018年10月だった。それまでの間に、南曲村や海口で10回ほど会っていた朋友を失った。
 12時ころ南曲村を離れ、同じ雷鳴鎮の梅種村に行った。
 わたしが梅種村をはじめて訪問したのは、2010年5月23日だった。
 この日、わたしは、許如梅さん(1918年~1943年)と周春雷さんの墓がある雷鳴鎮梅種村を訪ねた。許如梅さんの娘さんの符如来さんといっしょでした(海南島近現代史研究会会誌『海南島近現代史研究』第2号・第3号の表紙に、許如梅さんの墓の写真が掲載されている)。
 2010年4月6日に海南省図書館ではじめて読むことができた王俊才・王広虎「堅貞不屈 浩気長存――憶周春雷、許如梅同志壮烈犠牲」(定安县委党史研究室編『烽火』1987年7月)には、
   「敵は許如梅の頭を切りとり、続いて周春雷の頭を切って、梁安利に担がせて、雷鳴墟まで運ばせ大勢の
  人にみせた。しかし、梁安利同志は屈服することなく、平然と死に対決雷鳴墟で英雄的に義のために死んだ」
と書かれてあった。

 2010年5月23日の13年あまりのちの2024年4月6日には許如梅さんの墓には、墓石が無くなっていた。

 梅種村を離れ、午後2時半に定安県黄竹鎮大河村に建てられている “黄竹三村公墓”の場に立った。「中華民国三十四年」(1945年)に建てられた墓碑には「大河 後田 周公 三村抗戦同日殉難義士林俊南等一百零九名之公墓」と刻まれている。
 1941年8月25日(農歴7月3日)早朝、日本海軍佐世保第8特別陸戦隊所属の日本軍部隊が三村(現在、大河村・后田村・牛耕坡村・周公村の四村)を包囲し、明るくなってから村人を集め、家に押し込め、火をつけ、逃げ出した村人を刺殺した。母親に背負われた幼児も殺した。さらに逃げようとする村人に日本兵は銃を乱射した。
 わたしがはじめてこの場を訪ねたのは、2002年10月だった。その後わたしは、遺族や目撃者の証言をきかせてもらうために数度この村を訪ねた。

 大河村を離れ、文昌市南陽に向かった。「南陽人民英雄紀念碑」のそばに新しく「南陽英雄紀念園区」がつくられていた。
 5時過ぎに文昌市内に着いた。 
 
                   佐藤正人
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「教科書にはない加害の歴史、「旅行ガイドブック」に書いた日本の大学生たち」

2024年05月17日 | 国民国家日本の侵略犯罪
「The Hankyoreh」 2024-05-15 22:53
■教科書にはない加害の歴史、「旅行ガイドブック」に書いた日本の大学生たち
 一橋大学「加藤ゼミ」の力

【写真】一橋大学社会学部の加藤圭木教授(写真左から)と4年生の藤田千咲子さん、根岸花子さんの姿。彼らは最近『大学生が推す 深掘りソウルガイド』という本を出版した=東京/キム・ソヨン特派員//ハンギョレ新聞社

 「南山公園の一角にある安重根(アン・ジュングン)義士祈念館。朝鮮の独立運動家・安重根の生涯を紹介する博物館です。安重根といえば、初代内閣総理大臣の伊藤博文を射殺した人物として、歴史の授業で習った人もいるでしょう。しかし、日本の教育のなかでは、なぜかれが伊藤博文を射殺したのか、その背景について深く学ぶことはあまりありません」。
 3月に日本で出版された本『大学生が推す 深掘りソウルガイド』の一節だ。日本でこのような内容が書かれた韓国旅行ガイドブックは極めて異例だ。日本では安重根義士のことを、明治時代の尊敬される人物・伊藤博文首相を射殺した「テロリスト」として学ぶ。このガイドブックには、ソウルの人気スポットである「Nソウルタワー」の様々な見どころや食べ物なども紹介されるが、日本人には不都合に思われかもしれない内容、例えば安重根とは誰なのか、彼が主張した「東洋平和論」とは何なのかまで、分かりやすくまとめられている。
 この変わったガイドブックは、日本の大学生6人がソウルのあちこちを直に巡りながら書いたもの。先月30日、東京都国立市にある一橋大学で、社会学部の加藤圭木教授(40)と、この本を作った根岸花子さん(22)、藤田千咲子さん(22)に会った。
 「ドラマ、K-POPなど韓国が好きで旅行に行く日本の人々に、何か役に立ちながら歴史問題にも触れる機会になるのではないかと思い、ガイドブックを作りました」。社会学部4年生の根岸さんは「2022年秋に韓国に初めて旅行に行った時、いわゆる日本人観光客がよく行く観光地の近くに歴史的に非常に重要な場所があるということを知った」とし、これを分かち合いたかったと話した。同じく4年生の藤田さんも「この本は必ず行ってみるべき観光地、美味しい店も紹介しながら、歴史を学んだり一緒に考えられる内容が十分に含まれているというのが特徴」だとし、「こんな本は日本で初めてではないかと思う」と紹介した。
 一橋大学社会学部の学生たちが「韓日の歴史にしっかり向き合おう」といって書いた本は、今回で3冊目だ。2021年『「日韓」のモヤモヤと大学生のわたし』、2023年『ひろがる「日韓」のモヤモヤとわたしたち』という本が出版された。いずれも加藤ゼミの学生たちが著者という共通点がある。
 加藤教授は「2020年のゼミ中に(最初の)本を作ろうという提案が出ました。ゼミで日本と朝鮮、日本の朝鮮植民地支配問題などについて初めて率直に話をしながら、これが人権の問題だということに気づき、学生たちの学びに対する意欲が高まった」と、当時の雰囲気を伝えた。なぜ日本社会はこのような重要な人権、歴史問題について話せないのか、こうした日本社会の状況を変えなければならないのではないか、などの意見が出て、本出版につながった。「わたしをとりまくモヤモヤ」「どうして日韓はもめているの?」「日韓関係から問い直すわたしたちの社会」など、本の目次を見ても分かるように、難しい学術書ではなく、一般市民の目線に合わせた本だ。

【写真】加藤ゼミの学生たちは全3冊の本版を出した。(左から)2021年『「日韓」のモヤモヤと大学生のわたし』、2023年『ひろがる「日韓」のモヤモヤとわたしたち』、『大学生が推す 深掘りソウルガイド』(一番右)。1冊目は韓国語に翻訳された=東京/キム・ソヨン特派員//ハンギョレ新聞社

 本が出版されると、SNSを中心にK-POP好きなファンたちの間で大きな話題になった。周りの人たちとは気軽に話せなかったが、心の中で気になっていた韓日間の敏感な問題を、この本がきちんと説明してくれたからだ。これまでに1万2千部が売れた。加藤教授は「日本の植民地支配の責任を訴えるテーマの本としてこれほど売れたケースはほとんどないと思う」と強調した。
 日本でこのような「新しい歴史」を書いている「加藤ゼミ」とは、一体何だろうか。一橋大学は学生の研究・指導においてゼミを重視しており、3年生になると必ず一つのゼミを選択する。「加藤ゼミ」に所属するのは、朝鮮の近現代史や日本の歴史認識問題などに関心のある3、4年生の学生7~8人。週1回、2~3時間ほどの授業だ。読みたい文献を決めて議論を行い、一緒にご飯を食べたり、研究のための旅行に行ったりもする。加藤教授が同校に着任した2015年から始まった。
 「加藤ゼミでは三つを大切に考えています。第一に、歴史学の研究成果として明らかにされた事実をもとに勉強すること。第二に、人権を重要に考え、歴史の中で被害者、女性、植民地支配を受けた被害民族など、人権の視点で歴史を学ぶこと。第三に、学生たちの主体性。一方的な学びではなく、自分たちがこの社会に住みながら感じた疑問を踏まえながら、これをもとに自分たちが問題を解決していく主体的な姿勢を重視しています」。加藤教授は、「ゼミでは学生同士で話し合い、各自疑問に思うことを互いに打ち明けて話す」とし、「私は最後に少し意見を付け加える程度」と話した。
 根岸さんと藤田さんは2022年、3年生の時からゼミに参加している。根岸さんは「1年生の時、加藤先生の授業で読んだ田中宏先生の『在日外国人』という本が直接的なきっかけ。自分は日本社会における差別の問題について全然知らなかったこと、自分自身が差別の加害者になっていることに気づきました」と語った。これをきっかけに朝鮮近現代史を学びたいと思い、加藤ゼミに入った。
 藤田さんは「K-POPを聴きながら韓国という国自体について関心を持つようになりました。ツイッターで嫌韓や(韓国に対する)差別的な内容を発見し、文化的には交流が盛んな一方で、なぜこのようなヘイト表現が多いのか問題意識を持つと同時に、私はこれまで植民地支配の歴史について特に考えず、学ばずに生きていたことに気づきました」とし、「勉強したいと思ったけれど、どんな本を読めばいいのかよくわからなかった。こんな悩みの中で『加藤ゼミ』に行って学ぼうと思ったんです」と話した。「ゼミに参加するまで、このような話を友人や同世代の人々と話したことがなかった。ゼミでは普段感じるもやもやについて共有することで問題意識も深まり、周囲の人々から刺激も受けることができてとても良い」。藤田さんと根岸さんは昨年韓国に留学し、4年生になった今年も「加藤ゼミ」に参加している。

【写真】2015年10月、日本軍「慰安婦」問題解決のための第1201回定期水曜デモがソウル鍾路区中学洞の日本大使館前で開かれた。ある参加者が「歴史教科書が記憶に刻まれるようにせよ」と書いたプラカードを持っている=イ・ジョンア記者//ハンギョレ新聞社

 日本でK-POPと韓国ドラマが好きな10~20代はとても多いが、韓日を巡る歴史問題に関心がある人は少数だ。「日本では被害者として自分たちのことを考える傾向が強い。アジア太平洋戦争を学ぶ時も原爆や空襲など被害を受けた部分を学ぶ。このような被害を受けたので戦争は良くないという教育」。 根岸さんは「朝鮮侵略と植民支配という加害の歴史はよく分からないか、学ぶ努力しようとしない」歴史教育の不十分さを挙げた。
 「日本はいまだに帝国主義を正当化し、その論理を内面化していると思います。過去の歴史をきちんと反省しなかったために、その精神が残存し再生産されている。日本にとって不都合な歴史は見ようとしない。政府も歴史教育をきちんと行わず、メディアもこのような問題を積極的に取り上げなかったり、むしろ隠蔽しています」と、加藤教授は声を強めた。
 韓日関係の懸案についても尋ねてみた。尹錫悦(ユン・ソクヨル)政権は強制動員被害者賠償問題に関して、日本の被告企業ではなく韓国の財団が肩代わりする一方的な譲歩案を進め、韓日政府間の関係は改善しつつあるが、被害者たちは謝罪と賠償を要求して闘い続けている。
 加藤教授は「被害者の人権と尊厳が回復されなければならない問題です。日本は歴史的事実を認め、公式謝罪と賠償、歴史教育などの措置を取らなければならない」と強調した。根岸さんは「外交と政治の観点よりは、人権が尊重されなければならないと思います。被害者たちはなぜ声を高めているのか、その状況を見るべき」だとし、「これは私たちの問題です。私たちが声を出してこの問題を解決しなければ」と語った。藤田さんも「被害者が引き続き声をあげるしかない状況に対して申し訳ない気持ち」だと話した。
 根岸さんと藤田さんは、一橋大学だけでなく他大学の学生たちと一緒にサークルを作り、日本軍「慰安婦」被害者を含め、フェミニズム問題を勉強している。二人は「このような話ができる社会を作るために対話の場を広げていきたい」と語った。
 加藤教授に4冊目の本を出す予定かと聞いた。「学生たちが本を作りたいという強い考えを持って、また自分たちがそれをやっていくという責任感があればできる。最初の本を作った時、この一冊で終わりだと思っていました。学生たちが主体的に乗り出したからこそ、3冊の本が作られたんです」。 加藤教授と学生たちの情熱からみて、「加藤ゼミ」の新たな挑戦は続くと思われた。

東京/キム・ソヨン特派員 (お問い合わせ japan@hani.co.kr)
韓国語原文入力:2024-05-15 06:25
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イスラエルタンク、国連の車両と知りながらも攻撃…40代職員1人死亡

2024年05月16日 | 国家・社会
「中央日報日本語版」 2024.05.16 13:49
■イスラエルタンク、国連の車両と知りながらも攻撃…40代職員1人死亡
 国連は15日(現地時間)、ガザ地区で職員1人がイスラエル国防軍タンクによる車両攻撃で死亡したと明らかにした。
 BBCによると、元インド軍将校である国連安全保安局(UNDSS)所属のワイブハヴ・ケールさん(46)が13日、ラファ近郊で国連の車両に乗って病院に向かって移動している途中でイスラエル国防軍のタンク攻撃を受けて亡くなった。他の職員は負傷した。
 国連のファラン・ハク副報道官は「イスラエル国防軍のタンク攻撃に伴う死亡は疑いの余地がない事実」としながら「攻撃を受けた車両には国連の印が鮮明についていた」としてイスラエルを非難した。
 あわせてUNDSSも別途の真相調査委員会を構成して調査に入ったとし、イスラエル側とも接触していると付け加えた。
 国連は、職員はイスラエル当局に事前に通報した動線に沿って移動したと明らかにした。だが、イスラエル国防軍は戦闘地域で発生した事故であり、国連車両の移動に対する事前通報もなかったと主張した。
 22年間のインド軍服務後、先月UNDSSに合流したケール氏はガザ地区が最初勤務地だった。
 国連のグテーレス事務総長は13日に声明を出して「深い悲しみを感じた」とし、遺族に哀悼を表したと明らかにした。
 また、別途の声明を通じて、戦争が始まって以後、カザ地区で国連職員190人以上が死亡したと公開した。
 イスラエル国防軍は先月も国際救助団体「ワールド・セントラル・キッチン(WCK)」所属の職員を攻撃して7人の死亡者を出した。当時、国際的な抗議が相次ぐとイスラエル国防軍は「深刻な事故」として高位将校2人を解任した。
 一方、昨年10月7日に始まったイスラエル・ハマス戦争でこれまで約1200人が死亡して252人が人質として捕まった。ハマス保健省によると、ガザ地区では3万5090人以上が死亡した。


「AFP」 2024年5月14日 10:30 発信地:国連本部/米国
■ガザで国連の国際職員に初の犠牲者 車両に攻撃

【写真】パレスチナ自治区ガザ地区南部ハンユニスで破壊された国連車両(2024年3月7日撮影、資料写真)。(c)AFP
【写真】パレスチナ自治区ガザ地区南部ラファで、イスラエル軍の攻撃によるがれきの前を走行する国連車両(2024年10月31日撮影、資料写真)。(c)SAID KHATIB / AFP 
【写真】パレスチナ自治区ガザ市を走行する国連車両(2024年4月1日撮影、資料写真)。 

【5月14日 AFP】パレスチナ自治区ガザ地区(Gaza Strip)で13日、国連(UN)職員が乗っていた車両が攻撃を受け、国際職員1人が死亡、1人が負傷した。国連は、昨年10月のガザでの戦闘開始以降、国際職員が犠牲になったのは初めてだとしている。
 死傷したのは、安全保安局(DSS)の職員。DSSは、世界130か国以上で国連機関・プログラムの安全管理を担っている。殺害された職員の国籍は明らかにされていない。

 ファルハン・ハク(Farhan Haq)国連事務総長副報道官によると、アントニオ・グテレス(Antonio Guterres)事務総長は、職員に死傷者が出た事態に「深い悲しみ」を表明するとともに、国連職員へのあらゆる攻撃を非難し、徹底調査を求めた。
 ハク氏は一方で、国連パレスチナ難民救済事業機関(UNRWA)の職員を中心に、現地採用されたパレスチナ人職員の犠牲者が約190人に上っている点にも言及した。(c)AFP

「The Hankyoreh」 2024-05-14 09:44
■ラファでの地上戦予告から1週間…パレスチナ人36万人が退避
 国連パレスチナ難民救済事業機関が発表  「行くところがない…休戦なしには安全な場所はない」

【写真】パレスチナの住民たちが13日(現地時間)ラファに予告された爆撃を避けるため急いで荷物をまとめて避難しようとしている=ラファ/AFP・聯合ニュース

 イスラエルの攻撃が差し迫っていると予告されたガザ地区南部のラファから、この1週間で36万人の住民が避難したとみられると国連が明らかにした。
 国連パレスチナ難民救済事業機関(UNRWA)は13日(現地時間)、SNSのX(旧ツイッター)を通じて、「1週間前に避難命令が出されてから、36万人もの人たちがラファを脱出した」と明らかにした。UNRWAはさらに「ガザ北部での爆撃とは異なる避難命令によって、さらに多くの移動が生じた。数千人の家族が恐怖を感じている」として、「ここには行くところがない。休戦なしには安全な場所はない」と強調した。
 これに先立ちイスラエル軍は6日、イスラム組織ハマスの壊滅を目標に、ラファでの地上戦を行うことを予告し、住民たちにビラをまいたり携帯電話にショートメッセージなどを送り、指定された人道主義区域である地中海沿いのマワシや南部最大の都市ハンユニスの近くに避難するよう要求した。この日ラファの住民たちは、電話やショートメッセージなどでさらなる避難命令を伝えられ、これを受けてより多くの人たちが避難を準備していると、英国のガーディアンが報じた。ラファにはガザ地区の住民約230万人のうち半分以上にあたる約140万人が住んでいる。
 ガザ地区の保健当局はこの日、過去24時間に死亡者が57人、負傷者が82人増え、昨年10月7日のガザ戦争開始後に死亡した人は3万5091人に達すると発表した。負傷者は7万8827人に上った。アルジャジーラの報道によると、病院や救急車を動かす燃料と輸送労働者の確保が困難で、ガザ地区内の医療システムが「数時間以内に」崩壊する可能性があることを保健当局は懸念しているという。現在のガザ地区内の36の病院と基礎医療センターのうち3分の1だけが復旧しており、これらでさえ医薬品や基礎的な医療用品、燃料や人材が深刻な不足に直面しているとアルジャジーラは報じた。
 一方、イスラエルのヨアブ・ガラント国防相は、米国のアントニー・ブリンケン国務長官と12日夜に電話で会談し、「ラファでハマス残党を狙った『精密な作戦』などをガザ地区内で展開している状況を議論した」と、イスラエル国防省が13日明らかにした。イスラエルは、ラファでの地上戦を行わずには「ハマス掃討」という目標を達成できないとして、地上戦強行を主張しているが、米国などの国際社会は民間人の被害を懸念してイスラエルの侵攻を阻止しようとしている。
キム・ミナ記者 (お問い合わせ japan@hani.co.kr )
https://www.hani.co.kr/arti/international/international_general/1140435.html
韓国語原文入力:2024-05-13 22:49


「AFP」 2024年5月13日 20:23 発信地:ラファ/パレスチナ自治区
■イスラエル軍猛攻撃 「地獄」語るラファ避難民

【写真】パレスチナ自治区ガザ地区南部ラファで、イスラエル軍の攻撃で立ち上る煙(2024年5月7日撮影)。
【写真】パレスチナ自治区ガザ地区南部ラファでがれきの中に立つ男性(2024年5月3日撮影)。 
【写真】パレスチナ自治区ガザ地区南部ラファからハンユニスに避難する人々(2024年5月11日撮影)。
【写真】パレスチナ自治区ガザ地区南部ラファから避難する人々(2024年5月9日撮影)。
【写真】パレスチナ自治区ガザ地区南部ラファからの避難に向けて準備をする人々(2024年5月9日撮影)。 
【写真】パレスチナ自治区ガザ地区南部ラファで、避難民のために食事を作る「ワールドセントラルキッチン」のボランティア(2024年5月3日撮影)。
【写真】パレスチナ自治区ガザ地区南部ラファでがれきの前に立つ少年(2024年5月3日撮影)。
【写真】パレスチナ自治区ガザ地区南部ラファで、イスラエル軍の攻撃で破壊された建物に集まる人々(2024年5月3日撮影)。
【写真】パレスチナ自治区ガザ地区南部ラファでがれきの中に座る男性(2024年4月29日撮影)。
【写真】パレスチナ自治区ガザ地区南部ラファのナジャール病院で、イスラエル軍の攻撃で亡くなった親族を悼む人々(2024年5月3日撮影)。 
【写真】パレスチナ自治区ガザ地区南部ラファから避難するために家財道具をまとめた人(2024年5月11日撮影)。【写真】エジプトとの境界に近いパレスチナ自治区ガザ地区北西部マワシにできた避難民キャンプ(2024年5月9日撮影)。    

【5月13日 AFP】パレスチナ自治区ガザ地区(Gaza Strip)最南部ラファ(Rafah)の沿岸部は12日、イスラエル軍によるラファ東部への猛攻撃から逃れてきた人々であふれていた。
 「私たちは地獄のような3日間を耐えた」。ラファ東部から北西部マワシ(Al-Mawasi)地区に逃れてきたムハンマド・ハマドさん(24)は言った。マワシ地区は避難民の流入に対する備えがないと援助団体が警告しているにもかかわらず、イスラエルが退避先だとする「人道地帯」に指定されている。
 イスラエルによると、これまでに退避命令を受けて30万人がラファを脱出した。
 イスラエル軍は国際社会の反対を押し切り、ガザ地区を実効支配するイスラム組織ハマス(Hamas)の最後の拠点を破壊するとして、人口が集中するラファに攻撃の焦点を移しつつある。
 目撃者によるとラファ東部ではここ数日、イスラエル軍による激しい爆撃が実施されている。戦車や地上部隊を送り込み、「限定的な地上作戦」を行っているとされる。
 これまで7か月に及ぶ紛争で、ガザ地区の他の地域のパレスチナ人数十万人がラファに避難したことから、ラファの人口は約140万人に膨れ上がっていた。
 イスラエル軍はラファ東部への攻撃開始時に「朝から(攻撃を知らせる)ビラを配布したが、その直後に猛烈な砲撃と空爆を開始した」とハマドさんは語った。
■死を望むところまで来ている
 AFPカメラマンは、家財道具をトラックに積んでラファを離れる何十世帯もの家族を目撃した。多くが目指しているのはガザ地区南部の中心都市ハンユニス(Khan Yunis)だ。
 イスラエル軍は先週、エジプトとガザを結ぶ検問所のパレスチナ側を占拠・閉鎖。検問所は、ガザ地区への燃料供給のすべてが通過する地点となっている。
 ガザ地区の民間防衛当局者は「ガザ北部の避難民には医療サービスも人道支援も届いていない。(イスラエル軍による)今回の侵攻初期と同様の殺りくと破壊だ」と述べた。
 ある女性は、戦闘から逃れるために家族で7回も移動したと語った。「私たちは死を望むところまで来ている。家族には身体障害者、高齢者、子どもがいる。昼も夜も爆撃がやまないのに、私たちはどこへ行けばいいのか」
 国連人権高等弁務官事務所(OHCHR)のボルカー・ターク(Volker Turk)高等弁務官は12日、ラファに対するイスラエル軍の全面攻撃は国際法とも整合性がないと指摘し、「起こしてはならない」と述べる。
「(イスラエルによる)最新の退避命令はラファにいる100万人近い人々に影響を与える。彼らはどこへ行けばいいのか。ガザに安全な場所はない!」 


「The Hankyoreh」 2024-05-14 06:55
■イスラエル、再びガザ北部に進撃…米「ハマスは戻ってくる」撲滅には懐疑的
 「ハマスはイデオロギーであり、社会運動…撲滅は不可能」 
 中東専門家ら、イスラエルのハマス撲滅政策を批判

【写真】12日(現地時間)、ガザ地区北部に対するイスラエルの空爆で、煙が立ち上っている/EP・聯合ニュース

 イスラエル国防軍(IDF)が先月初めに撤退したパレスチナのガザ地区北部に再び進入した。態勢を整えたハマスを撲滅することを理由に掲げているが、非現実的な目標で民間人の被害を増やすだけという批判の声があがっている。
 12日(現地時間)、イスラエル軍はガザ北部の都市ジャバリヤに戦車で進撃した。ロイター通信などがパレスチナ保健省と現地住民の話として報じた。前日の夜から続いた大規模な空爆と地上砲撃で、少なくとも19人が死亡し、数十人がけがをした。ジャバリヤにはガザ地区にある難民キャンプ8カ所のうち最も規模の大きいキャンプがあり、およそ10万人が滞在している。昨年10月7日の戦争開始以来、この日までパレスチナ人の死亡者は3万5千人を越えた。
 前日夜、イスラエル軍のダニエル・ハガリ報道官は記者団に「ジャバリヤでハマスがこの数週間、軍事力を建て直そうとしているのを確認した」とし、「このような試みを阻止するために軍が作戦を行っている」と述べた。さらに「軍がガザ北部にあるザイトゥーン地域でも作戦を行い、その結果、ハマス隊員30人を射殺した」と明らかにした。
 ロイターは、イスラエル軍が初期攻撃の時よりさらに深く進入したものとみられるとし、戦車が町内市場の近くまで入ってきたと報道した。ジャバリヤの住民サイードさん(45)は「彼らは避難民が滞在する学校周辺を含め、どこにでも砲撃を行っている」とし、「戦争が再び始まった」と語った。
 米紙ニューヨーク・タイムズは、ガザ北部でイスラエル軍とハマスが激しい近接戦を繰り広げていると報じた。ザイトゥーンやサブラ地域など北部の民間人住居地でも大規模な爆撃が続いている。これらの地域は、すでにイスラエル軍が数カ月前にハマス撃退を目標に通過した地域だ。12日、ガザ地域でハマスが発射したロケットがイスラエルのアシュケロンに向けて飛んできて空襲警報が鳴ったが、これはガザ内部に依然としてロケットを発射できる兵力が存在することを意味する。
 ニューヨーク・タイムズは米政府関係者の話として、ハマスの最高指導者であるヤヒヤ・シンワル氏をはじめ、他のハマスの隊員たちが、ハンユニスの下に設置されたトンネルから出たことがないと報じた。米国とイスラエルの分析の結果、シンワル氏がイスラエルの人質を盾にイスラエルの攻撃を逃れているということだ。これは、米国がイスラエルのラファ全面攻撃を引き止める理由であり、イスラエルが再びガザ北部に向かう背景でもある。
 アントニー・ブリンケン米国務長官は同日、米CBS放送のインタビューで、ガザ北部と南部都市のハンユニスなどに言及し、「イスラエルがハマスを追い出したガザ地域で、ハマスが再び戻ってきていることが目撃されている」と述べた。さらにイスラエルの「成功」が数多くの民間人被害を出しており、「持続可能ではない」と懸念を示した。特にイスラエルが勝利したところに現れる「空白」が「混乱、無政府状態、やがてハマス(の復帰)で埋められる可能性が高い」と語った。
 軍事専門家たちもやはりハマスの「撲滅」が現実的な目標ではないと警告してきた。ワシントンにあるアラブ湾岸国家研究所のフセイン・イビシ上級研究員は昨年末、CNBC放送で「ハマスは一つのブランドであり、自らをハマスと呼びたがるパレスチナ人がいる限り、ハマスは存在し続けるだろう」と語った。国際対テロ研究所所属のイスラエル国防軍予備役大佐ミリー・アイシン氏も同放送で、ハマス撲滅のためには「人々にハマスの方式がより良い未来をもたらせないことを示さなければならない」と述べた。ハマスの軍事部門を破壊できるかもしれないが、イデオロギーであり社会運動、ガバナンスとしてのハマスをなくすには、アプローチを替える必要があるという指摘だ。
ノ・ジウォン記者 (お問い合わせ japan@hani.co.kr )
https://www.hani.co.kr/arti/international/arabafrica/1140354.html
韓国語原文入力:2024-05-13 19:36


「AFP」 2024年5月12日 15:36 発信地:ラファ/パレスチナ自治区

■イスラエル、ラファ住民に避難命令拡大 中部では医師2人死亡


【写真】パレスチナ自治区ガザ中部デイルアルバラで、負傷した子どもをアルアクサ病院に担ぎ込む男性(2024年5月11日撮影)。
【写真】パレスチナ自治区ガザ中部デイルアルバラのアルアクサ病院で、親族を待つ少年(2024年5月11日撮影)。
【写真】パレスチナ自治区ガザ中部デイルアルバラのアルアクサ病院の外で、イスラエル軍の爆撃で負傷した子どもの死亡が確認され、嘆く女性たち(2024年5月11日撮影)。【写真】 パレスチナ自治区ガザ中部デイルアルバラのアルアクサ病院に搬送された負傷者(2024年5月11日撮影)。 
【写真】パレスチナ自治区ガザ中部デイルアルバラのアルアクサ病院の外で、イスラエル軍の爆撃で子どもを亡くし倒れ込む女性(2024年5月11日撮影)。  

【5月12日 AFP】イスラエルは12日、パレスチナ自治区ガザ(Gaza Strip)南部ラファ(Rafah)の住民に対する避難命令の対象範囲を拡大した。一方、ガザの民間防衛当局は同日、中部デイルアルバラ(Deir el-Balah)で医師2人が殺害されたと発表した。
 目撃者によると、イスラエル軍は11日、エジプトと接するラファも攻撃した。
 イスラエル軍は今週、国際的な批判を無視してラファ東部に侵攻。援助物資を搬入する上で重要な検問所を事実上閉鎖した。
 イスラエルによると、これまでに避難命令を受けて30万人がラファを脱出した。避難命令の対象範囲はラファ東部へ拡大され、住民は水タンクやマットレスなどの荷物を車に積み上げ、退避の準備をした。
 住民はラファ北西マワシ(Al-Mawasi)地区にある「人道地帯」に退避するよう通告されている。
 イスラム組織ハマス(Hamas)は、イスラエルは「ラファの侵攻対象を市中心部と西部の新たな地区に拡大している」と非難した。
 国連(UN)のアントニオ・グテレス(Antonio Guterres)事務総長は12日、クウェートで開催された国際会議でビデオ演説し、「即時の人道的停戦、無条件での人質全員の解放、人道援助の即時拡大」を改めて呼びかけた。


「AFP」 2024年5月10日 17:23 発信地:パレスチナ自治区
■ガザ停戦交渉、ボールは「完全に」イスラエルの手に ハマス主張

【写真】イスラエルの爆撃を受けて立ち上る黒煙。パレスチナ自治区ガザ地区ラファで(2024年5月6日撮影)。
【写真】イスラエルによる爆撃が続く中、再度の避難に向けて準備を進める避難民。パレスチナ自治区ガザ地区ラファで(2024年5月9日撮影)。 
【写真】イスラエルによる爆撃が続く中、パレスチナ自治区ガザ地区ラファから移動する避難民(2024年5月7日撮影)。
【写真】イスラエルによる爆撃が続く中、避難の準備を進める住民。パレスチナ自治区ガザ地区ラファで(2024年5月10日撮影)。  

【5月10日 AFP】イスラム組織ハマス(Hamas)は10日朝、同組織の代表団がパレスチナ自治区ガザ地区(Gaza Strip)での戦闘休止をめぐる交渉が行われていたエジプトの首都カイロを離れカタールの首都ドーハに向かったと明らかにし、交渉のボールは今、「完全に」イスラエルの手にあると述べた。
 ハマスは他のパレスチナ武装組織に向けたメッセージで、「占領軍(イスラエル)は、仲介国が提示した休戦案を拒絶し、いくつかの重要な問題に異議を唱えた」が、ハマス側はこの休戦案を支持しているとし、「したがって、ボールは今、完全に占領軍(イスラエル)の手にある」と主張した。
 エジプト政府系のアルアカヘラ・ニュースは9日、ガザでの7か月に及ぶ戦闘の休止を目的とした2日間の交渉後、イスラエルとハマス双方の代表団がカイロを離れたと報じていた。
 ハマスは6日、仲介国が提示した停戦案を受け入れると表明した。ハマスによれば、休戦案はイスラエル軍のガザからの撤退、パレスチナ人避難民の帰還、イスラエル人人質とパレスチナ人囚人の交換が含まれ、恒久的な休戦を目指す内容となっていた。
 一方、イスラエル首相府は同日、「イスラエル側の本質的な要求からは程遠い」が、交渉団をカイロに派遣すると述べていた。
 イスラエルは、ハマスを完全に解体しなければならないとの主張を崩しておらず、恒久的な休戦案に難色を示している。
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「韓中外相会談 「強制送還ないように協力を」…国内外の懸念を伝達」

2024年05月15日 | 北部朝鮮
「中央日報日本語版」 2024.05.14 10:34
■韓中外相会談 「強制送還ないように協力を」…国内外の懸念を伝達

【写真】13日、中国北京で王毅外相と散歩する韓国の趙兌烈(チョ・テヨル)外交部長官 [韓国外交部]

 韓国の趙兌烈(チョ・テヨル)外交部長官が13日、中国の王毅共産党政治局員兼外相と会談し、「脱北民が強制送還されず希望するところに行けるように格別の関心を持って協力してほしい」と要請した。また、北朝鮮が最近、対南攻勢を強めていることに対しても、中国側の責任ある役割を求めた。

◆王外相「建設的な役割をする」
 趙長官はこの日、中国北京の釣魚台国賓館で開かれた韓中外相会談で脱北者の強制送還に対する国内外の懸念を伝えながらこのように述べたと、韓国外交部が明らかにした。これに対し王外相は「中国の朝鮮半島政策に変わりはない」とし「朝鮮半島問題の解決のために建設的な役割をする」と答えた。この日の会談は夕食会まで合わせて4時間ほど続いた。
 外交部によると、趙長官はこの日、北朝鮮が統一を否定して南北を敵対的関係と規定し、脅迫と各種挑発で韓半島(朝鮮半島)をはじめとする域内の緊張を高めていることに懸念を表したという。北朝鮮の金正恩(キム・ジョンウン)国務委員長が最近「二つの国家論」を前面に出しながら南側を「交戦中の敵対国」として扱っている現実に対し、中国側の責任ある役割を促したと解釈される。
 また趙長官は北朝鮮がロシアと不法軍事協力を続けていることにも懸念を表したと、外交部は伝えた。朝ロ間の過度な密着を傍観する中国側の態度を指摘したのだ。趙長官はこの日の会談で、中国が避けようとする問題も提起する原則論を見せたという評価だ。

◆「若い世代の距離を縮めよう」
 趙長官は2016年の高高度防衛ミサイル(THAAD)配備決定以降、まだ余波が続いている「限韓令(韓流制限令)」についても「文化コンテンツに対する自由な接近が両国の若い世代間の心の距離を縮めるのに役に立つはず」と述べた。
 そして「両国関係の発展のためにはどちらか一方でなく両国が共に努力することが重要だ」とし「難関があっても慎重に管理しながら、協力のモメンタムを続けなければいけない」と強調した。
 趙長官は「高官級を含めて多様なレベルで戦略的な交流と意思疎通を強化していくことが重要だ」と述べながら王外相の訪韓を要請した。これに対し王外相は「趙長官の訪中を契機に両国の高官級交流がより一層活性化することを望む」とし「互いに都合のよい時期に訪韓する」と答えた。王外相は昨年11月、釜山(プサン)で開催された韓日中外相会談のために訪韓している。
 また外交部は「両外相が近く韓国で開催される第9回韓日中首脳会談の成功に向けて協力を続けていくことにした」と明らかにした。これを受け、26、27日のソウル開催を調整中の3カ国首脳会談の日程が近く公式発表されるかが注目される。この日、両外相はウクライナ情勢と中東情勢、米中関係などについても協議した。

◆「持続可能な発展が重要」
 一方、趙長官はこの日の会談で「新しい韓中協力時代を開くためには速度と規模でなく、互いに信頼の増進を通じて持続可能な発展基盤を固めることに注力する必要がある」とし「相互尊重、互恵、共同利益に基づいて『戦略的協力パートナーシップ関係』を持続的に発展させていこう」と強調した。
 中国は韓国の最大貿易国だが、今はもう経済協力の速度・規模の側面だけに重点を置くのではなく、これを後押しする両国間の信頼を築く努力をすべきという意味と解釈される。両外相はこの日、「サプライチェーンの安定的管理のためにも緊密な意思疎通」をすることにしたが、2021年の尿素水不足事態のようなサプライチェーン危機が再発しないためには韓中間の信頼の構築が必須だ。
 韓中経済協力において「量より質」を強調するような趙長官の発言は、この日午後に開かれた中国進出企業関係者との懇談会でも出てきた。趙長官は懇談会で「韓中間の高い相互依存性はその間、両国経済が共に成長して繁栄する原動力だったが、それだけリスクも抱えているという両面性を持つ」とし「中国市場のリスクがあるなら、それによる負担を最小限に減らすよう支援する」と述べた。


「聯合ニュース」 2024.05.02 13:33
■中国で拘束の脱北者200人 北朝鮮に強制送還か=韓国団体発表
【ソウル聯合ニュース】中国東北部・吉林省内の施設に拘束されていた脱北者約200人が先月26日に北朝鮮に送還されたと、脱北者問題に取り組む韓国の団体が2日、聯合ニュースの電話取材に対して明らかにした。事実なら、中国は昨秋の杭州アジア大会前後に数百人の脱北者を北朝鮮に送還したのに続き、またも大規模な強制送還を行ったことになる。 

【写真】昨年10月、韓国の民間団体は記者会見を開き、脱北者が中国から北朝鮮に送還されたルートを説明した(資料写真)=(聯合ニュース)

 韓国の団体「キョレオル統一連帯」の張世律(チャン・セユル)代表は、今回の強制送還の話を韓国にいる脱北者の家族や現地消息筋など複数のルートを通じて聞いたと伝えた。
 韓国情報機関の国家情報院(国情院)もこのほど、記者団からの質問に「中国当局による脱北者の追加強制送還の可能性について追跡を続けてきた」と答えている。
 政府当局者は「正確な人数や場所は明らかにできないが、最近、在中国の脱北者多数が北に送られたことは本当だ」と述べた。
 統一部関係者は「政府はいかなる場合にも海外在留の脱北者が自由意思に反して強制移送されてはならないという立場を取っている」との原則を示した。


「聯合ニュース」 2024.04.30 14:09
■脱北者43人が韓国入り 中国など第三国経由で=1~3月期
【ソウル聯合ニュース】韓国統一部は30日、今年1~3月に韓国に入国した脱北者は43人だったと発表した。

【写真】情報機関、国家情報院の北朝鮮脱出住民(脱北者)保護センター(資料写真)=(聯合ニュース)

 このうち35人が女性で、全体の80%以上を占めた。脱北者の累計入国人数は3万4121人(男性9550人、女性2万4571人)。
 統一部の関係者は、今年1~3月期の脱北者の入国人数は昨年10~12月期の57人よりは少ないが、前年同期の34人よりは多いとして、全般的な傾向を判断するためにはさらに推移を見守る必要があると述べた。
 昨年通期の入国人数は196人で、四半期当たり49人の割合だった。
 四半期ごとの脱北者の入国人数は、2020年1~3月期の135人から新型コロナウイルス感染症の大流行に伴う移動制限と北朝鮮の国境封鎖により同年4~6月期に12人、10~12月期に34人、21年4~6月期には5人まで落ち込んだが、昨年は第三国からの入国が増加し、一部回復した。
 しかし、北朝鮮が国境を部分的に開放した後も脱北者に対し監視の目を光らせている中、最近入国した脱北者の大半は中国などの第三国を経て韓国入りしており、北朝鮮を脱出後すぐに韓国入りした脱北者はほとんどいないという。 


「中央日報日本語版」 2024.04.23 13:43
■米国「北朝鮮の人権改善されず…公開処刑が増加、参観を強要」
 米国が北朝鮮では恣意的な逮捕と拘禁、拷問、即決処刑が強行されるなど過去1年間に人権状況が全く改善されていないと評価した。
 米国務省は22日(現地時間)、「2023国家別人権報告書」で「この1年間、北朝鮮の人権状況には大きな変化がなかった」と指摘した。
 米国務省は毎年、韓国・北朝鮮を含む世界各国の人権状況を評価した報告書を出している。バイデン政権に入って今回が4回目だ。
 報告書は「北朝鮮は新型コロナ流行時に施行した国境封鎖を緩和し始め、脱北者の強制送還も再開されたという報道がある」とした。エリサベス・サルモン国連北朝鮮人権状況特別報告者の言葉を引用し、2022年基準で2000人以上の脱北者が中国に拘禁されて送還を待っていたと伝えた。
 国務省は「深刻な人権問題には、任意的で不法、超法規的な殺人、強制失踪、拷問、強圧的な医療行為、恣意的な逮捕および拘禁、強制収容施設での過酷行為などが含まれる」とし、北朝鮮では表現および移動、集会結社など基本的な人権が全く保障されていないと述べた。
 また報告書は、脱北者と非政府団体・国連報告書などを引用し、北朝鮮政権は政治犯と脱北者に対して広範囲な非司法的死刑を執行していると指摘した。
 脱北して強制送還された女性、障害児出産の可能性がある妊婦、監獄などでの強姦で妊娠した女性に中絶が強制され、多くの収容所で収監者が拷問と疾病、飢餓で命を落とした伝えられていると、報告書は明らかにした。
 脱北者の証言によると、北朝鮮政権は民間人に現場学習という名目で公開処刑を参観させるという。公開処刑は新型コロナの影響で減少したが、最近は国境の再開で深刻に増えたと、報告書は伝えた。
 昨年9月には約2万5000人が見守る中、国家所有の牛を屠殺・販売した容疑で9人に対する公開銃殺刑が行われたというラジオ・フリー・アジア(RFA)の報道も取り上げた。
 報告書は、脱北者の証言と非政府組織(NGO)・メディアなどを根拠に、北朝鮮では殴打と電気拷問、水拷問、裸の露出、横になれない狭い監房での監禁、吊るしなどの拷問が行われると伝えた。また、女性収容者に対する性的暴行と性的虐待も蔓延していると指摘した。
 矯導官は事実上、性的暴行に対して免責権があり、特に脱北者は深刻な性的暴行・虐待を受ける状況だという。
 政治犯収容は8万-12万人と推算されると伝えた。
 報告書によると、政治犯罪は体制への批判をはじめ、金日成(キム・イルソン)主席または金正日(キム・ジョンイル)総書記の写真がある新聞を敷いたり、金日成主席の学歴が短いという発言をしたり、金氏一家の写真を毀損したりする場合などが該当する。
 また北朝鮮政権はオンラインを含むメディアを検閲し、一般人のインターネット接近も厳格に制限されると明らかにした。
 国務省民主主義・人権・労働局の当局者ロバート・ギルクリスト氏はこの日、人権報告書関連のブリーフィングで、中国と脱北者人権問題を議論するのかという質問に対し「ブリンケン長官は今週、中国を訪問する計画だが、最も高いレベルで明確な形で人権問題を提起する」と明らかにした。
 一方、米国務省は韓国の人権状況に対しては、表現の自由制限・名誉毀損法・人種差別問題などを取り上げた。
 名誉毀損法に関しては、昨年8月に鄭鎮碩(チョン・ジンソク)国民の力国会議員が盧武鉉(ノ・ムヒョン)元大統領の名誉を毀損した容疑で1審で懲役6月を言い渡された事例に言及した。
 表現の自由問題については、昨年9月に憲法裁判所が対北朝鮮ビラ禁止法に違憲決定を下したとし、「この法は事前承認なく北朝鮮に風船を飛ばしてビラおよびその他の資料を散布する行為を犯罪と規定した」と指摘した。
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ガザ戦争に沈黙するスターはアンフォロー…米国で「デジタル断頭台」運動

2024年05月15日 | 国家・社会
https://japanese.joins.com/JArticle/318617?servcode=A00&sectcode=A00
「中央日報日本語版」 2024.05.14 11:03
■ガザ戦争に沈黙するスターはアンフォロー…米国で「デジタル断頭台」運動
 戦争で苦しんでいるガザ地区の痛みに沈黙する有名人をソーシャルメディア(SNS)で遮断する運動が米国で行われている。いわゆる「デジタル断頭台(digital guillotine)運動」だ。テイラー・スウィフト、ジャスティン・ビーバー、キム・カーダシアン家族などがターゲットになっている。
 デジタル断頭台運動は6日、米国ニューヨークで開かれた「メットガラ」に参加した有名モデルのヘイリー・カリルが投稿したSNS映像に対する反発がきっかけとなった。華やかなドレスを着て登場したカリルは「ケーキを食べればいいじゃない」と話した。これはフランス革命の時、マリー・アントワネット王妃が言ったとされる言葉だ。
 メット・ガラファッションショーが開かれる会場の外では、ガザ地区戦争の終息を促すデモが行われていたため、カリルのこのような発言は大衆の怒りを買った。
 カリルの発言に侮辱感を感じたTikTokクリエイターは「困っている人を助けるために資源を使わないすべての有名人とインフルエンサーを遮断する時だ。彼らに与えた我々の関心や『いいね』、コメントとお金を取り戻す時だ」と訴え、「デジタル断頭台」運動を提案し、呼応を受けることになった。
 カリルは謝罪文を投稿した。自分はファッションショーの参加者ではなく芸能ニュースの司会者として参加したのであり、ガザ戦争に対する十分な情報がなくて論評しなかったという釈明だったが、大衆の怒りは収まらなかった。
 ポップスターのセレーナ・ゴメスやジャスティン・ビーバー、女優ゼンデイヤなど有名なスターたちが相次いで「殺生簿」に名を連ねた。
 効果は即効性だった。リストに含まれた有名人たちは、1日平均数万人から数十万人ずつフォロワーが減ったことが分かった。
 パレスチナを支持し、戦争に反対する曲やラップを作って掲示する有名人も続々と出ている。
 この他にも、米国では大学街で卒業式が行われないほど、戦争に対する反戦デモが激しくなっている。


「The Hankyoreh」 2024-05-13 09:11
■[フォト]韓国の大学生、米国大使館前で反戦を叫ぶ

【写真】大学生平和行動のメンバーが10日午前、ソウル鍾路区の米国大使館前で、「全世界の大学街の反戦デモに連帯する緊急大学生平和行動」記者会見をおこなっている=キム・ヨンウォン記者//ハンギョレ新聞社

 「韓国の大学生は連帯する。この地に反戦と平和を!」
 「世界中の大学街の反戦デモに対する暴力と鎮圧をやめろ!」

 大学生たちが10日午前、ソウル鍾路区(チョンノグ)の米国大使館前に集まった。平和ナビネットワーク、ソウル女子大学ムソウィプル(サイの角)、梨花女子大学学生マイノリティー人権委員会、韓国外国語大学生活図書館、淑明女子大学淑明アムネスティ、高麗大学生マイノリティー人権委員会などの14の学生団体からなる「大学生平和行動」のメンバーはこの日、イスラエルによるパレスチナのガザ地区での民間人虐殺の中止を要求するとともに、米国政府によるイスラエル支援および反戦デモ鎮圧を糾弾した。
 記者会見の開始前、彼らはパレスチナ国旗の色のテントが描かれた横断幕に連帯のメッセージを記した。学生たちの掲げたプラカードと横断幕は、光化門(クァンファムン)広場を歩く外国人観光客の視線を釘付けにした。「民間人虐殺支援をやめろ(STOP FUNDING GENOCIDE)」、「キャンパス取り締まりを中止せよ(STOP CRACKDOWN ON CAMPUS)」など、英語で記されたメッセージを携帯電話で写真に収める人々が目についた。大学生たちは、風にはためく米国大使館の星条旗を背景に反戦スローガンを叫んだ。
 東国大学歴史サークル「サダリ(はしご)」で活動するパク・チュンソンさんは、「私たちがいま記者会見しているこの瞬間にも、戦争に苦しむ女性、子どもたち、弱者がいるはず。世界の警察を自任する米国はこのような戦争を止めるどころか支援し、ほう助している」と述べた。進歩大学生ネット・ソウル女子大学支会のパク・セヒ支会長は、「米国ニューヨークのコロンビア大学からはじまった大学の反戦デモに、警察は強硬対応している」とし、「戦争の虐殺暴力を糾弾する大学生たちの口を、もうひとつの暴力で塞ごうとしている」と批判した。
 彼らは3カ国語に翻訳された声明で、「日本軍性奴隷制問題、日帝強制動員問題、朝鮮戦争での無差別民間人虐殺、ベトナム戦争そして5・18民主化運動に至るまで、私たちの近現代史には戦争と虐殺による痛みが残っている」、「韓国の大学生たちは米国の大学生たちと連帯し、世界に広がる反戦デモを支持し、戦争犯罪なき世を作ろうとしている一国の大学生として連帯する」と表明した。

【写真】参加者たちが記者会見前に、大学反戦デモのテントの絵に連帯メッセージを書いている=キム・ヨンウォン記者//ハンギョレ新聞社
【写真】パレスチナ国旗の色のテントが描かれた横断幕に韓国語、英語、日本語、中国語などで反戦メッセージが記されている=キム・ヨンウォン記者//ハンギョレ新聞社
大学生平和行動のメンバーが「全世界の大学街の反戦デモに連帯する緊急大学生平和行動」記者会見をおこなっている=キム・ヨンウォン記者//ハンギョレ新聞社
【写真】通りがかりの観光客が記者会見を写真に収めている=キム・ヨンウォン記者//ハンギョレ新聞社
【写真】学生たちがプラカードを高く掲げてスローガンを叫んでいる=キム・ヨンウォン記者//ハンギョレ新聞社
【写真】記者会見に参加した学生たちのカバンとプラカードが地面に置かれている=キム・ヨンウォン記者//ハンギョレ新聞社

キム・ヨンウォン記者 (お問い合わせ japan@hani.co.kr )
https://www.hani.co.kr/arti/society/society_general/1140067.html
韓国語原文入力:2024-05-10 16:55


「The Hankyoreh」 2024-05-09 08:23
■[フォト]「ガザ虐殺やめろ」韓国の大学でも「グローバル反戦デモ」の波
 
【写真】ソウル大学パレスチナ連帯サークル「スバク」の学生が8日午後、ソウル冠岳区新林洞のソウル大学で、パレスチナのガザ地区でのイスラエルによる「人種虐殺」に反対し、米国の大学生たちが学内でおこなっているデモに連帯して座り込みをしている=キム・ジョンヒョ記者//ハンギョレ新聞社

 春の学園祭が真っ最中の大学キャンパスで、パレスチナのガザ地区で起きているイスラエルによる「人種虐殺」に反対するデモが行われた。
 ソウル大学パレスチナ連帯サークル「スバク」の学生たちは、8日午前10時から午後6時まで、ソウル冠岳区新林洞(クァナック・シルリムドン)のソウル大学冠岳キャンパスで、パレスチナへの連帯を示し座り込みと集会をおこなった。米国の大学生たちがはじめたキャンパス占拠闘争が米国にとどまらず全世界へと広がる中、韓国の大学生たちも連帯を開始したのだ。彼らは「イスラエルがおこなってきた人種虐殺と76年間のパレスチナ占領はもう終わらせなければならないという声を伝えるため、学生たちのこの巨大な運動に参加することを決めた」と述べた。
 学生たちは「ソウル大学当局に対し、パレスチナ抑圧に寄与しているイスラエルの諸機関(テルアビブ大学、ヘブライ大学)との交流を中止すること、ガザ地区で起きている人種虐殺の即時中止」を要求し、イスラエルのラファ侵攻を糾弾した。

【写真】ソウル大学パレスチナ連帯サークル「スバク」の学生が8日午後、ソウル冠岳区新林洞のソウル大学で、パレスチナのガザ地区でのイスラエルによる「人種虐殺」に反対し、米国の大学生たちが学内でおこなっているデモに連帯して座り込みをしている=キム・ジョンヒョ記者//ハンギョレ新聞社
【写真】ソウル大学パレスチナ連帯サークル「スバク」の学生が8日午後、ソウル大学の校内で、パレスチナのガザ地区でのイスラエルによる「人種虐殺」に反対し、米国の大学生たちが学内でおこなっているデモに連帯する集会でスローガンを叫んでいる=キム・ジョンヒョ記者//ハンギョレ新聞社
【写真】ソウル大学パレスチナ連帯サークル「スバク」の学生たちが8日午後、ソウル大学の校内で、パレスチナのガザ地区で起きているイスラエルによる「人種虐殺」に反対する集会をおこなっている=キム・ジョンヒョ記者//ハンギョレ新聞社
【写真】ソウル大学パレスチナ連帯サークル「スバク」の学生たちが8日午後、ソウル大学の校内で、パレスチナのガザ地区で起きているイスラエルによる「人種虐殺」に反対する集会をおこなっている=キム・ジョンヒョ記者//ハンギョレ新聞社
【写真】ソウル大学パレスチナ連帯サークル「スバク」の学生たちが8日の座り込み中に、連帯の意を込めて記した付箋を貼っている=キム・ジョンヒョ記者//ハンギョレ新聞社

キム・ジョンヒョ記者 (お問い合わせ japan@hani.co.kr )
韓国語原文入力:2024-05-08 15:49


「The Hankyoreh」 2024-05-09 08:14
■世界の大学に広がるパレスチナ連帯デモ…韓国でも号砲

【写真】ソウル大学パレスチナ連帯サークル「スバク」はガザ戦争に反対するために8日午前10時から午後6時まで座り込みデモをおこなった=コ・ギョンジュ記者//ハンギョレ新聞社

 「フリー、フリー、パレスタイン(パレスチナを解放せよ)!」、「ストップ、ストップ、ジェノサイド(虐殺やめろ)!」。
 8日午後12時30分ごろ、春の学園祭真っ最中のソウル大学の学内に、パレスチナ連帯の声が響き渡った。韓国、スウェーデンなど多くの国から集まった20人あまりの学生は、肩に色とりどりのパレスチナの伝統的スカーフ「ケフィエ」を巻いてスローガンを叫んだ。
 米国の一部の大学ではじまったガザ地区戦争反対デモが全米の大学と欧州に広がる中、韓国の大学でもパレスチナ支持デモがはじまった。ソウル大学パレスチナ連帯サークル「スバク」はこの日午前10時から午後6時まで、学内で座り込みを行うことをもってデモの開始とした。延世大学の学生たちも同日午後4時から、学生会館から新村(シンチョン)駅までデモ行進を行う。
 ソウル大学のデモを主催したスバクは声明で、「ガザ地区で繰り広げている人種虐殺を直ちに中止せよ。イスラエルのラファ侵攻を強く糾弾する。ソウル大学当局には、パレスチナ人抑圧に寄与しているイスラエルの諸機関(テルアビブ大学、ヘブライ大学)との学術交流を中止することを要求する」と述べた。テルアビブ大学とヘブライ大学はイスラエル軍の部隊を支援していることが知られている。
 彼らは、「大学生としての責任感」がデモ参加の理由だと語った。彼らは「パク・ジョンチョル烈士(民主化運動の学生運動家。拘束中に拷問死した)をはじめとする私たちの先輩の大学生たちは、自身の問題だけでなく社会正義のために闘争してきたという伝統がある」とし、「その伝統の上で、パレスチナ問題がパレスチナ人だけの問題ではなく、世界の自由と平和を願うすべての人々の問題だと考えて(連帯デモを行う)」と語った。彼らは学内のパク・ジョンチョル烈士の胸像にもケフィエを巻いた。
 デモに参加したソウル大学の在学生イ・シホンさんは「(米国などの)全世界の大学生が反戦デモを主導していく姿を見て、共に闘わなければならないという気がした。今日を契機として他大学にもこのような動きが拡大してくれれば」と話した。
 異なる意見を持つ学生との対立が拡大する可能性もある。先月15日にはイスラエル国籍のソウル大学音楽学部の教授が、学内に貼ってあったパレスチナ支持ポスターにスプレーを吹き付け、送検されている。
コ・ギョンジュ記者 (お問い合わせ japan@hani.co.kr )
韓国語原文入力:2024-05-08 15:46


「The Hankyoreh」 2024-05-09 00:52
■[コラム]A級戦犯とネタニヤフ
 人類全体を絶滅の危機へと追い込みうる戦争と、その中で発生する集団虐殺のような戦争犯罪を防ぐには、どうすればよいのだろうか。第1次世界大戦という途方もない悲劇を経験しつつも、再び大きな戦争の惨禍にさらされた人類は、真剣に悩みはじめた。
 第2次世界大戦という巨大な危機を克服した人類は、侵略戦争をはじめるという判断を下した「戦争指導者」や、その戦争で残虐行為を事とした「戦争犯罪者」のような「個人」を処罰すべきだとの結論に達した。「国家」や「集団」はもちろん、「個人」にも応分の代価を支払わせることが重要だった。そこで米国、英国、フランス、ソ連の連合国4カ国は1945年8月8日、国際軍事裁判所憲章に合意する。同憲章は第6条で、平和に対する罪▽通常の戦争犯罪▽人道に対する罪という3つの戦争犯罪を規定した。とりわけ平和に対する罪という名のついたa項は、侵略戦争を計画、準備、開始、遂行した戦争指導者を処罰するために作られたものだ。靖国神社を参拝する日本の主な政治家を「A級戦犯が合祀されている神社の参拝は、先の侵略戦争を肯定するもの」だと批判する際に出てくる「A級戦犯」という用語は、まさにこの条項に由来するものだ。
 だが、その後も戦争と戦争犯罪は絶えなかった。特に冷戦直後の1990年代初めにはじまったユーゴ内戦とルワンダ内戦で発生した集団虐殺は、人類に大きな衝撃を残した。結局、国際社会は1998年7月に「国際刑事裁判所(ICC)に関するローマ規程」(2002年7月発効)によって常設の刑事裁判所を作ることを決める。124カ国が加盟するICCでは、集団殺害犯罪(6条)、人道に対する犯罪(7条)、戦争犯罪(8条)などを起こした個人を処罰することができる。
 昨年10月のハマスの先制攻撃ではじまったガザ戦争は、すでに7カ月続いている。パレスチナ側の死者はイスラエル(約1200人)の30倍の3万5千人にのぼる。見るに見かねた国際司法裁判所(ICJ)は調査を開始しており、イスラエルのネタニヤフ首相らに対する逮捕状の発行を準備しているという。にもかかわらず「大破局」は防げていないようにみえる。期待を集めたイスラエルとハマスとのカイロ休戦会談が成果を出せなかったことから、ネタニヤフは5日、すべての責任をハマスに押し付ける声明を発表し、7日には最悪の「集団虐殺」を招きうるラファ侵攻を開始した。歴史はネタニヤフを何者として記憶するのだろうか。
キル・ユンヒョン論説委員 (お問い合わせ japan@hani.co.kr )
韓国語原文入力:2024-05-08 16:00


「AFP」 2024年5月8日 11:04 発信地:アムステルダム/オランダ 
■欧州の大学でも反イスラエルデモ拡大

【写真】スイス・ローザンヌ大学で開かれた親パレスチナ学生らの集会(2024年5月6日撮影)。(c)Fabrice COFFRINI / AFP
【写真】仏パリ政治学院の入り口に貼られたポスターを撤去する警備員(2024年5月7日撮影)。(c)Dimitar DILKOFF / AFP 
【写真】仏パリ政治学院の入り口に立つ警備員(2024年5月7日撮影)。(c)Dimitar DILKOFF / AFP 

【5月8日 AFP】イスラエルがパレスチナ自治区ガザ地区(Gaza Strip)への報復攻撃を続ける中、オランダやドイツ、フランスなど欧州各国の大学では、イスラエルの研究機関との協力関係を停止するよう求める抗議活動が拡大している。
 オランダでは、6日夜にアムステルダム大学(University of Amsterdam)で警察が抗議行動の参加者を警棒で制圧したり、敷地内に設営されたテントを壊したりしている様子が映っている動画が拡散。ただ、7日夜には数百人がデモを再開した。警察は6日以来、169人を逮捕したとしている。
 独ライプチヒ大学(University of Leipzig)では、50~60人のデモ参加者が講義棟を占拠。大学によるとドアを内側からバリケードでふさぎ、敷地内にテントを設営している。
 大学は7日午後に警察を呼ぶとともに、一部の参加者を刑事告訴した。警察によれば、親イスラエル派約40人もカウンターデモを実施している。
 先週から反イスラエルデモが続いている仏エリート養成機関、パリ政治学院(Sciences Po)では、メインホールに立てこもった学生約20人を排除するため治安部隊が動員された。
 スイスでも、ローザンヌ大学(University of Lausanne)など3大学で反イスラエルデモが行われた。


「The Hankyoreh」 2024-05-07 11:46
■6歳のヒンドの最後の瞬間…ガザの「死の数字」は今日も増え続けている
 [ハンギョレS]ソ・ジェジョンの一つの半島、一つの世界 
 イスラエルによる虐殺3万4535人 
 
 ICJ、イスラエルに「虐殺防止命令」 
 その3日後、脱出しようとした車が攻撃を受け 
 救助を求めた6歳の子どもまで殺害 
 出動した赤新月社の隊員も遺体で発見

【写真】米ニューヨークのコロンビア大学の学生たちが先月30日(現地時間)、学内のハミルトンホールを占拠した後、ガザで虐殺された少女の名前から「ヒンドのホール」と命名するという横断幕を掲げた/AP・聯合ニュース

 ヒンド・ラジャブ。この名前だけは覚えていてほしい。3万4535人を覚えきれないのであれば。
 この世で送った年数はたったの6年だった。ガザ市で暮らした6年、一日一日は決して楽なものではなかっただろう。それでも、愛情を注いでくれる両親と親戚がいて、楽しく一緒に遊んだいとこたちがいた。その日、叔父といとこたちと一緒に車に乗ったのが過ちだったのか。
 イスラエルが行っているパレスチナ人の集団虐殺は遠い国のことだ。自分とは関係ない、と思うかもしれない。それでも、ほんの一瞬でもヒンド・ラジャブのことを考えてほしい。彼女が最期を迎えたのが起亜の自動車の中だったから、というだけではない。
 もう3カ月前に起きたことだが、忘れないでほしい。今年1月29日、ヒンドは叔父の家族と一緒に車に乗ってガザ市から脱出を試みた。そうしようとした。だが、永遠にガザ市を離れることはできなくなった。イスラエル軍の銃弾を恐れて逃げようとした。だが、その銃弾のために永遠に逃げられなくなった。

◆叔父、叔母、従姉も死に…
 永遠に逃げられなくなったのはヒンド・ラジャブだけではない。素朴ながらも幸せな暮らしを築いていた住まいが崩され、学校が破壊され、病院が壊された。3700万トンを超える建物の残骸の下にも、逃げられなかったヒンドたちがいることを忘れないでほしい。生き残った人々が道具もなく素手でいくら片付けても、コンクリートの塊は重く積み重なっていて、焦れながら穴をかき分けてみても、1万人以上がその下におしつぶされている。
 ヒンドは最後まで生きていた生存者だった。叔父と叔母が先に殺された。従姉も死んだ。すでに遺体となった彼らが乗っていた車は動くことができなかった。まだ息の残っていた15歳のラヤンが、外国にいる親戚に電話をかけた。
「お母さんとお父さんは死んじゃった。姉さんも死んだ。私とヒンドだけ生きてる」
「心配しないで。怖がらないで。すぐに救急車を送るから。その場にそのままいて」
 親戚はすぐにガザ市の赤新月社に連絡した。救助を要請した。ラヤンの電話番号を教え、連絡してくれればラヤンが出ると伝えた。だがイスラエルの戦車はその自動車をそのままにしておかなかった。ラヤンが恐怖におびえた声で電話している間に銃撃した。鈍い銃撃音とラヤンの叫び声が受話器に響いた。電話は切れた。
 南アフリカ共和国は昨年12月、国際司法裁判所(ICJ)にイスラエルを集団殺害の疑いで提訴した。集団殺害罪の防止と処罰に関する条約に違反し「パレスチナ人を抹殺しようとする意図を持って集団殺害を行った」ということだ。第2次世界大戦当時、ナチス・ドイツが行ったユダヤ人集団殺害のような民族浄化などの犯罪の再発を防ぐために結ばれた条約(ジェノサイド条約)だ。その条約にイスラエルが違反したという南アフリカの提訴に、コロンビア、ニカラグア、トルコが賛同した。ICJはこの訴訟を通じてすでに1月26日、集団虐殺防止、ガザ地区の住民の人道的状況の改善など、暫定措置をイスラエルに命じた。その日、ヒンド・ラジャブはまだ生きていたことを思い出してほしい。
 その3日後、叔父と叔母、いとこたちがみな殺害された中、それでもヒンド・ラジャブは生きていた。赤新月社のスタッフが再び電話した時、電話に出たのはヒンドだった。戦車が来ている、助けてほしいと訴えた。そして電話が切れた。ところが、再び電話がつながった。ヒンドは生きていた。切れてはつながり、弱々しくなり、また声が聞こえた。「もう暗くなってきてる。真っ暗で怖い」。

◆イスラエル軍が進入した地域には集団墓地
 通話が続いていた3時間、赤新月社は必死に努力した。イスラエル軍の侵攻後、作戦地域には救急車を送るのが不可能な状況だった。しかし、奇跡的に許可を受けた。ヒンドの車があるガソリンスタンドにスタッフ2人が急派された。ところが、ヒンドに近づいていったユスフ・アル・ゼイノとアフマド・アル・マドフーンは、何かおかしいと訴えた。自分たちの救急車をイスラエル軍がレーザーで照準している。そして銃声、爆発音。連絡は途絶えた。ヒンドの声ももう聞こえなくなった。
 イスラエル軍が攻撃を開始して200日、ジャーナリスト137人、医療スタッフ356人、国連の救援機関スタッフ178人が殺害された。4月末までにパレスチナ人7万7704人が負傷し、3万4535人が虐殺された。そのうち70%が女性と子どもだった。このすべての数字が意味をなさないならば、ヒンド・ラジャブだけでも考えてほしい。
 イスラエル軍が退却してやっと親戚は戻ることができた。連絡が途絶えてから12日目、その時になってようやくヒンド・ラジャブの遺体は収拾された。起亜の車は蜂の巣になっていた。すぐ隣に救急車があった。ユスフとアフマドの遺体もそこにあった。完全に破壊された救急車の近くには、ミサイルの破片も散らばっていた。M830A1、米国製の戦車破壊ミサイルだった。その後、米国はイスラエルへの260億ドルの支援を決定した。パレスチナにも10億ドルの人道支援を割り当てた。
 イスラエル軍が進入し去っていった場所では、集団墓地が発見されている。ナセル病院の敷地で遺体400体余りが埋められた集団墓地が発見された。アル・シファ病院の敷地でも集団墓地が発見された。
 アントニオ・グテーレス国連事務総長も、集団墓地に対する国際調査を求めた。手が縛られていたり、裸にされた状態で、あるいは病院のガウンを着た状態で、治療用の医療チューブが挿入された状態で埋められた遺体の名前はわからなくても、ヒンド・ラジャブは覚えていてほしい。
 今、ラファには140万人の避難民が集まっている。イスラエル軍の虐殺と破壊を逃れて家を捨ててきた人々が集まった最後の避難所だ。避難民は最後の避難所で飢え死にするか、病気で死ぬかの選択を迫られている。イスラエルはここも攻撃すると公言している。ヒンド・ラジャブはガザ市を抜け出すために最後の力を尽くしたが、彼女に安全な避難所はあったのだろうか。
 ハマスのイスラエル攻撃で1200人が殺害された。136人がまだ人質に取られている。このうち何人が生きているかは確認されていない。彼らの命のためにも、ヒンド・ラジャブを覚えていてほしい。コロンビア大学の学生たちが占拠したハミルトンホールを「ヒンドのホール」と命名したことも覚えていてほしい。

ソ・ジェジョン|日本国際基督教大学 政治・国際関係学科教授 (お問い合わせ japan@hani.co.kr)
韓国語原文入力:2024-05-04 18:45 
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「関東大震災100年、朝鮮人ら虐殺事件を考える 8月26日、奈良天理で討論会」

2024年05月15日 | 国民国家日本の侵略犯罪
ニュース「奈良の声」 2323年8月23日 浅野善一
■関東大震災100年、朝鮮人ら虐殺事件を考える 8月26日、奈良天理で討論会

【写真】討論会「関東大震災から100年~現代の課題を考える」の案内ちらし

 討論会「関東大震災から100年~現代の課題を考える」(同実行委員会主催)が8月26日午後2時から、奈良県天理市川原城町の市民会館で開かれる。震災の混乱の中、流言飛語によって多くの朝鮮人や中国人が虐殺された事件について、なぜ起きたのかを検証し、現代に投げ掛ける問題を考える。震災直後、当時の奈良県知事が県報で流言に言及するなど、県も無縁ではないという。
 1923年9月1日に起こった関東大震災は首都圏に死者10万人の被害をもたらした。同実行委事務局は虐殺事件について「内務省警保局が『朝鮮人が爆弾を所持、石油で放火するものあり』と公文書で流すなどして流言飛語が広まり、官憲や自警団に加わった民衆が恐怖に駆られ、朝鮮人6000人、中国人800人、社会主義者、労働運動の活動家、朝鮮人に間違われた日本人を殺害した。最近の研究で琉球人の犠牲者の名前も分かってきた」とする。
 国の中央防災会議が2009年3月にまとめた「災害教訓の継承に関する専門調査会報告書」の「1923 関東大震災【第2編】」も、「朝鮮人が武装蜂起し、あるいは放火するといった流言を背景に、住民の自警団や軍隊、警察の一部による殺傷事件が生じた」と指摘。「朝鮮人が最も多かったが、中国人、内地人も少なからず被害にあった。犠牲者の正確な数は掴(つか)めないが、震災による死者数の1~数パーセントにあたり」などと述べている。
 同実行委事務局によると、奈良県では震災直後の9月18日、当時の成毛基雄知事が奈良県報号外で「今度の震災に当り多くの朝鮮人は能(よ)く同情し又救済等に努力しつゝあるが、極めて少数の鮮人は災難に乗じて悪い事を働いたそうである」などと流言を疑うことなく述べたという。同事務局は、奈良県も事件と無縁ではないとする。
 当日は4人のパネリストによる発表と討論が行われる。パネリストとそれぞれの発表内容は、松田暢裕さん(小説「智異山」翻訳者)「千葉県の虐殺事件、八千代市観音寺のこと」▽崎浜盛喜さん(「琉球人遺骨返還を求める奈良県会議」共同代表)「琉球人虐殺について」▽姜信子(カン・シンジャ)さん(作家)「鎮魂と予祝~百年芸能祭に取り組んで」▽浅川肇さん(ハッキョ支援ネットワーク・なら)「関東大震災の時代状況と現代の課題を考える」。
 このほか、関東大震災100年をテーマにしたテレビニュース番組の放映や、虐殺事件を扱った詩人壷井繁治の詩「十五円五十銭」を基にした渡部八太夫さんの祭文語りがある。
 同実行委事務局は「関東大震災の朝鮮人虐殺の背景には、官憲に植民地支配からの独立運動に立ち上がった朝鮮民族に対する恐怖があったと言われる。100年後の今、ロシアのウクライナ侵略から岸田政権は安保関連3文書を閣議決定し、敵地基地攻撃能力を有した長距離ミサイル配備で、沖縄―南西諸島の前線基地化を図るっている。こうした他民族、国家に向けた敵愾(てきがい)心が増す今、なぜ惨劇が起きたのか、歴史を検証し、現代に投げ掛けられた課題を明らかにするため、参加者と共に議論したい」と話している。
 参加者には資料代として500円のカンパの協力を求める。当日、市民会館の駐車場は利用できない。事務局は天理駅前の駐車場を利用してほしいとしている。
 問い合わせは事務局の川瀬さん、電話090-8234-0077、電子メールkawase2018@yahoo.co.jp


ニュース「奈良の声」 2023年8月8日 浅野善一

 奈良県天理市長、柳本飛行場跡フィールドワークに参加 「強制連行」記述巡る説明板撤去で 再設置求める団体が案内

【写真】柳本飛行場跡のフィールドワークに参加した並河健天理市長(右から2人目)。左は案内役を務めた高野真幸さん=2023年8月8日、同市内

 奈良県天理市の並河健市長は8月8日、太平洋戦争末期に建設された市内の大和海軍航空隊大和基地(通称・柳本飛行場)の跡地を歩くフィールドワークに参加した。市民団体「天理・柳本飛行場跡の説明板撤去について考える会」が案内した。
 飛行場跡の一角には、過去の市長の時代に市などが設置した飛行場の説明板があったが、並河市長は2014年、建設工事に関し朝鮮人の強制連行などの記述があることを問題視して撤去。「考える会」は説明板の再設置を求めて市と交渉を続けている。市長の姿勢は変わっていないが、「考える会」は「一歩前進」と受け止めた。
 同飛行場は本土決戦に備えて建設されたといわれる。同市長柄町や岸田町の付近に、長さ1500メートルの滑走路や関連施設があった。現在は元の水田などに戻っている。
 フィールドワークには、並河市長や市教育長、市教育委員会文化財課の職員、「考える会」の関係者ら約20人が参加した。水田地帯に点在する滑走路のコンクリート舗装の一部や通信に使われたコンクリート製の防空壕(ごう)、海軍施設部跡の建物などを、「考える会」共同代表の一人、高野真幸さんの案内で約2時間かけて巡った。高野さんは強制連行や慰安所についても言及した。並河市長は時折、質問もしながら説明に耳を傾けていた。
 並河市長はフィールドワーク終了後のあいさつで「飛行場の全体像を教わり、平和を次の世代に受け継いでいかないといけないという思いを新たにした。朝鮮半島から来られた皆さんにも本来、故郷で平穏な日常がなければならなかった。われわれ日本人は真摯(しんし)に受け止め反省し、決して繰り返されてはならない」と述べた。
 その上で強制連行などの歴史認識については「いろいろな研究家もおられ、(考える会)の皆さんの成果も勉強させていただきたい。今日のフィールドワークはその一環としてあったと思う」とした。史跡としての保存についても触れ、「壕なども劣化しており、どうしたら残していけるのか予算面も含め検討していかなければならない」と述べた。
 高野さんは取材に対し、「一歩前進と思う。市長には1回だけでなくフィールドワークを続けてほしい。付随する施設はたくさんある」と述べた。
 同飛行場を巡っては、その歴史の解明に取り組むグループが、強制連行された朝鮮人労働者が建設工事に動員されたことや、朝鮮人女性の慰安所があったことを、独自に掘り起こした。説明板は1995年、そうした調査を踏まえて設置された。しかし、2014年、「強制連行」や「慰安所」の記述に対し、外部から批判的な指摘があり、市はこれを機に「強制性については議論があり、説明板を設置しておくと、市の公式見解と誤解される」と判断、撤去した。 
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ネイバーとソフトバンクの交渉難航、反日感情の高揚…「LINE問題」長期化の見通し

2024年05月14日 | 国民国家日本の侵略犯罪
「The Hankyoreh」 2024-05-13 09:52
■ネイバーとソフトバンクの交渉難航、反日感情の高揚…「LINE問題」長期化の見通し
 日本政府の行政指導が引き起こしたLINEヤフーの「資本関係見直し」問題が、さらに複雑な局面に突入している。韓国の政界では「反日感情」をめぐる論争が急速に広がり、韓国政府も遅れて日本政府に「遺憾の意」を表明(10日、科学技術情報通信部)した状況で、韓国のネイバー系列の会社の従業員も動揺している。株式売却交渉の当事者であるソフトバンクとネイバー側も、両社ともに交渉条件が合わず、議論が長期化すると予想される雰囲気だ。LINE開発の主軸である韓国内のネイバー系列会社の従業員は「LINEを奪われるわけにはいかない」として、行動を起こす兆しをみせている。
 最大野党「共に民主党」のチョ・スンレ議員(国会科学技術情報放送通信委員会幹事)とイ・ヨンソン議員(外交統一委員会幹事)は12日、国会で記者会見を開き、「LINEヤフー問題」を「日本のLINE強奪の試み」だと規定し、国会レベルでの対応を求めた。これに先立ち8日から、LINEヤフー・ソフトバンク・ネイバーは「株式売却交渉」を公にして、それぞれの立場発表を続けた。事実上の総務省の圧力と受け止められている「ネイバー保有の株式売却」が、これらの企業の間ではすでに交渉のテーブルに載せられているという事実が確認されたわけだ。LINEヤフーの出澤剛社長は8日、「(資本変更は)ソフトバンクがマジョリティーをとる形での変更が大前提」だと述べ、それに続き10日にネイバーも「株式売却を含めて議論中」だと認める立場を初めて表明した。
 韓国政界が突然論争に巻き込まれ、世論も反日感情が高まる局面のもと、ネイバーとしては選択肢を制約された状態にある。ネイバーは、LINEヤフーの持ち株会社「Aホールディングス」の株式をソフトバンクと正確に50%ずつ分けあっている。共同経営の構造だ。交渉過程でネイバーは、ソフトバンクに「経営権プレミアムが付加された株式売却」を要求しているが、ソフトバンクはプレミアムに消極的だとされる。LINEヤフーにおいてネイバーが保有する株式の価値は、経営権プレミアムを含め10兆ウォン台(約1兆1000億円)だと推算される。日本経済新聞は9日、ソフトバンクの関係者の話を引用して「金額面で深い溝があり、先行きは不透明」だと報じた。
 日本政府の圧力によって、すでにネイバーも中長期的なビジネス戦略まで検討して株式売却関連の交渉に入った状況であるため、ネイバーとしては、最近になって高まってきた反日感情によりますます困難な状況になっている。業界関係者は「ネイバーの立場としては、いい価格で売却したくても、現在のように外交問題化している状態下では、株を売却すれば日本に屈したという非難を受けかねない」と述べた。「資本関係」をめぐる今回の問題が長期化する確率が高まっているわけだ。
 専門家らは、反日感情の広がりを警戒し、日本政府には韓国がよりいっそう断固たるシグナルを送らなければならないと述べた。大邱大学のキム・ヤンヒ経済金融学部教授(元国立外交院経済通商開発研究部長)は12日、ハンギョレのインタビューで「韓国でこの問題を反日感情に結びつけると、むしろ日本の右派の反感を引き起こし、問題を複雑にさせ、ネイバーの助けになるどころかむしろ深刻な被害をもたらすことになる」として、「韓日が『価値と理念を共有する類似国』(like-minded countries)であることを強調し、日本政府が介入して韓国企業にこのような要求をすることは明らかに無理があるだけに、韓国政府が座視できないとするシグナルを強く明確に送り続けなければならない」と強調した。
 ネイバー内部でも、従業員の間でネイバー経営陣と韓国政府に対する不満と不安が高まっている。特に、2011年のネイバーのLINEメッセンジャーアプリの発売と運営に決定的な役割を果たしたシン・ジュンホ最高製品責任者(CPO)が取締役会から退任(8日)したことを受け、LINEプラスなどのLINEの韓国内8社の系列企業の従業員2500人は、会社側から説明(14日予定)を受けることにした。ネイバー労働組合も13日、ネイバーとLINEプラスの経営陣などを相手に、公式の質問書を発送する計画だ。
イム・ジソン記者、パク・ミンヒ先任記者 (お問い合わせ japan@hani.co.kr )
韓国語原文入力:2024-05-12 21:10


「The Hankyoreh」 2024-05-13 15:36
■「尹政権、日本政府の嘘をそのまま受け入れ」…韓国の通商専門家がLINE問題を分析
 [インタビュー]キム・ヤンヒ|大邱大学教授・元国立外交院経済通商開発研究部長 
 「野党の反日感情的アプローチも、日本の右派の反感を強めるだけ」 
 日本、海外投資企業の強い関心を認識する必要がある

 日本で圧倒的なユーザー数を持つメッセンジャーアプリ「LINE」の運営企業「LINEヤフー」のデータセキュリティ問題を提起し、日本政府がネイバーの持ち株を売却するよう事実上圧力をかけている問題の波紋が広がっている。グローバル・サプライチェーンと韓日経済関係の専門家である大邱大学経済金融学部のキム・ヤンヒ教授(元国立外交院経済通商開発研究部長)は、この問題の本質は「日本政府が安全保障を名目に自国内の外国の投資企業の経営と資本構造の問題にまで介入することを、どこまで容認すべきか」ということだと指摘する。キム教授は、韓国政府はネイバーの立場を尊重しながらも、日本の総務省が強引に海外企業に関与することは座視できないという立場をもっと明確に示すべきだと述べた。

‐日本は今回の件はデータセキュリティーという「経済安全保障」の問題だと主張しているが。
 「日本側には経済安全保障に対する実際の懸念はある。仮に日本のヤフーが韓国に進出してデータが流出したとすれば、韓国政府はどのように反応するだろうか。まずは、日本のデータ安全保障に対する懸念は理解する、ということを前提にして、対話の出発点としなければならない。
 日本の政府と政界の保守派が、韓国のネイバーと関係しているLINEヤフーが日本の主要インフラを握っていることにかなり以前から懸念していたというのも、問題の根底にある。日本ではLINEヤフーの影響力はきわめて大きい。日本企業46万社が、LINEヤフーを基盤とするLINEワークスをチャット、メール、住所管理、顧客の予約スケジュール管理などに使っている。金沢市、愛知県、大阪市などの地方自治体や地方議会でも使用しているところが多い。日本政府は、韓国企業が日本の重要な基本インフラを握っていることが不安で嫌なのだ」。

‐韓日の安全保障協力が強化されているが、日本は安保において韓国を信じられないという態度ではないのか。
 「韓日と韓米日は『価値と理念を共有する類似国』(like-minded countries)であることを強調して昨年キャンプ・デービッド首脳会議を行い、安保協力を強化することにした。そのうえで、日本政府が介入して韓国企業にこのような要求をするのは明らかに無理のあることだ。日本が韓国をそのようにみるならば、韓米日キャンプ・デービッド宣言は無に帰することになる。同時に、韓国でこの問題を反日感情に結びつけるのも役に立たない。この問題に伊藤博文の例えを持ち込んだり、独島(トクト)訪問などでアプローチする野党指導者(の対応)は、日本の右派の反発を引き起こし、問題を複雑にさせ、ネイバーの助けになるどころか、むしろ深刻な被害をもたらすことになるだろう。日本でLINEヤフーが韓国と関係していることがよりいっそう強調され、これを機にネイバーとの関係を確実に断ち切らなければならないという方向に傾くことになる」。

【写真】科学技術情報通信部のカン・ドヒョン第2次官が10日、政府ソウル庁舎のブリーフィングルームで、日本政府のLINEに対する資本関係再検討の要求に対する韓国政府の立場を発表している/聯合ニュース

‐日本の総務省の措置をどのように評価するか。
 「総務省の措置には無理があることは明らかだ。ネイバーと結びついているLINEヤフーで一部のセキュリティー問題があったとはいえ、総務省の対応は過剰だとみられる。すでにネイバーがLINEヤフーの経営権も持っていない状況で、株式売却でセキュリティー問題を解決できるのか。LINEヤフーは、技術とコンテンツの面でネイバーに依存せざるをえない状況にある。ソフトバンクもそのような理由のためにネイバーと経営統合したのだ。にもかかわらず、総務省がこんなふうに短期間で関係を断ち切れというのは現実的に無理がある」。

‐今回の問題におけるソフトバンクの立場はどのようなものか。
 「その点をよく把握する必要がある。現実的に総務省の要求どおりに、短期間にネイバーとLINEヤフーが関係を断ち切ることは不可能だ。ソフトバンクがそもそもネイバーと手を握ったのは、ネイバーのインフラ、クラウド、様々なネットワークから恩恵を受けられるからだ。総務省がこのように強引に全て切れというのは、ソフトバンクにとっても大きな痛手だ。それに、ソフトバンクが資本と技術で一人立ちすれば、LINEヤフーのセキュリティーが強化されるという保障はあるのか」。

‐韓国政府が韓日関係を考慮して日本に過度に弱腰で対応したという批判がある。
 「ネイバー側もこの問題が大きな注目を集めることを望んでおらず、韓国政府にも静かに対処してほしいと要請をしたというのは合っているようだ。しかし同時に、韓国政府が韓日関係を考慮して弱腰で対応した側面もあるとみられる。特に、10日に科学技術情報通信部のカン・ドヒョン第2次官が、遅ればせながらも示した韓国政府の立場は、まったく話にならない。カン次官が『日本政府は、行政指導に株式売却という表現がないことを確認したが』と言った後、それでも韓国企業にとって圧力と認識される点について遺憾の意を表明したことは、状況を深刻に誤魔化したものだ。実質のところ、日本政府の株式売却の圧力はすでに明らかになっており、日本の行政指導の公文書にもはっきりと『資本関係の解消』という表現がある。日本政府が嘘をついたのだ。それなのに韓国の科学技術部次官がこのような基本的な事実さえ確認せず、総務省の言葉をそのまま受け入れたも同然だ」。

‐もはや韓国政府がより積極的に乗りだすしかない局面にある。韓国政府は何をすべきか。
 「韓国政府は、ネイバーの立場を尊重しながらも、日本政府が強引に海外企業に関与することは座視できないというシグナルを強く明確に送り続けなければならない。この問題が、総務省の立場どおりに一方的に処理されてはならない。セキュリティー専門家、IT企業の専門家、市民が集まって公論化し、最善の解決策を見出す必要があり、日本政府がこのような形で企業に圧力をかけることに対して問題提起しなければならない。いまは韓国政府が強く明確に、韓国企業を適切に保護しているというシグナルを日本に示さなければならない。特に、『自由民主主義』を標ぼうする日本という国が、安全保障を名目に、外国企業が出資したLINEヤフーという企業をどのように処するのかがきわめて重要な意味を持っているという点を、はっきりと言及しなければならない。日本に投資した多くの海外企業にとっても焦眉の関心事だという点を、日本政府は重く認識しなければならない」。
パク・ミンヒ先任記者 (お問い合わせ japan@hani.co.kr )
韓国語原文入力:2024-05-12 20:15


「The Hankyoreh」 2024-05-13 09:19
■尹政権「佐渡鉱山の世界遺産登録」でも譲歩か…日本メディア「韓国に変化の兆し」
 「世界遺産めぐる歴史歪曲」への対応には消極的 
 文在寅政権や朴槿恵政権時代の成果から後退

【写真】新潟県佐渡市の佐渡鉱山内にある代表的な遺跡地「北沢浮遊選鉱場」の様子。日本で初めて鉱石から金や銀などを採取する浮遊選鉱法という工法を導入した=キム・ソヨン特派員//ハンギョレ新聞社

 日帝強占期(日本による植民地時代)に朝鮮人の強制動員が大規模に行われた日本の新潟県佐渡鉱山(「佐渡島の金山」)の世界遺産登録と関連し、これまで反対していた韓国政府の態度に変化が現れたという日本メディアの報道が出た。強制動員賠償や福島原発汚染水、LINE問題など日本との懸案に対して特に消極的な対応を取ってきた尹錫悦(ユン・ソクヨル)政権が、露骨な「歴史歪曲」を含む佐渡鉱山の世界遺産登録についても譲歩するのではないかという懸念が高まっている。
 産経新聞は11日付で、「世界遺産委員会の審議は、通例では全会一致で決まる。焦点となるのは、委員国を務める韓国」だとし、「一昨年5月に日韓関係改善に前向きな尹錫悦政権が誕生したのを機に、韓国側の態度に変化の兆しが生まれた」と報道した。そして、ユン・ドクミン駐日韓国大使の最近の発言を取り上げた。
 12日、駐日韓国大使館と日本メディアの報道によると、ユン大使は先月4日、新潟県で花角英世県知事と面会し、佐渡鉱山で朝鮮人の強制動員が行われたという事実に触れ、「マイナス(否定的)の歴史もある。全体の歴史をそのまま表示する必要がある」と述べた。その一方でユン大使は現地の日本の記者団に、佐渡鉱山の世界遺産登録について「絶対反対ではない。ウィンウィンとなれる解決策に知恵を出す必要がある」とし、「(佐渡鉱山は)世界遺産に登録しても良いくらい非常に立派なところ」だと強調する場面もあった。
 産経新聞は、自民党の関係者が「今回(佐渡鉱山の登録に)失敗するわけにはいかない。登録は今をおいてほかない」と強調したとし、「今後の改選で中国が委員国入りすれば、登録に反対する可能性も指摘されている」と報じた。日本では、佐渡鉱山の世界遺産登録に韓国は大きな影響を及ぼさないと認識されているということだ。
 日本で「韓国の態度変化」が取り沙汰されているのは、尹政権が前任の文在寅(ムン・ジェイン)政権だけではなく、2015年の朴槿恵(パク・クネ)政権に比べても世界遺産登録問題をめぐる対応が消極的であるからだ。
 文政権時代は政府レベルで「日本の世界遺産における歴史歪曲」に問題を提起し、強硬な対応を取ることでかなりの成果をあげた。ユネスコ世界遺産委員会は、日本が2015年7月「明治日本の産業革命遺産 製鉄・製鋼、造船、石炭産業」を世界遺産に登録した当時、端島(軍艦島)など23カ所のうち7カ所で朝鮮人の強制動員があったが、このような歴史をきちんと知らせていないとして「強い遺憾」を表明した決定文を2021年7月に採択し、誠実な履行を求めた。文政権は2022年2月、日本の佐渡鉱山の世界遺産登録推進についても歴史歪曲を明確に指摘し、「直ちに撤回すべき」、「ユネスコなど国際社会と共に断固として対応していく」と強硬姿勢を示した。保守政権である朴槿恵政権も、軍艦島など世界遺産登録問題に死活をかけて対応した結果、2015年7月に日本政府が初めて「韓国人等の強制労役」を認め、「犠牲者を記憶にとどめるための適切な措置を取る」という約束まで取り付けた。
 ところが、尹政権が発足してから雰囲気が変わった。日本政府がユネスコで公におこなった約束を9年間守らず、むしろ「歴史歪曲」を強めたにもかかわらず、尹政権の消極的な対応で、昨年9月の世界遺産委員会の勧告文からは日本に対する批判がほとんど削除された。

【写真】ユン・ドクミン駐日韓国大使は先月4日、新潟県で花角英世県知事と面会し、佐渡鉱山の世界遺産登録について話し合った=駐日韓国大使館のホームページよりキャプチャー//ハンギョレ新聞社

 佐渡鉱山が世界遺産に登録されるかどうかは、7月21日から31日までインドのニューデリーで開かれるユネスコ世界遺産委員会で決まる。日本の与党自民党は、佐渡鉱山のユネスコ登録に向け、各国に対するロビー活動を強化している。自民党は「佐渡島の金山世界遺産登録実現プロジェクトチーム」を設置し、すでに16カ国の駐日大使館に協力を要請した。各国の大使は「しっかり本国に伝達する」と返答したという。新潟県の花角知事は昨年11月に続き先月、ユネスコ本部があるパリで広報に乗り出した。
 尹政権はユネスコの規定が韓国に有利に変わったにもかかわらず、積極的に活用できずにいる。2021年7月に新しく導入された世界遺産条約履行のための作業指針には、他の国との潜在的対立を避けるため、十分な対話を求めている。韓国が日本の歴史歪曲を問題視して最後まで反対すれば、対話が十分になされなかったとみなされ、登録が見送られる可能性がある。特に韓国は昨年、世界遺産委員会の委員国に選出され、登録過程で積極的に発言できるチャンスも得た。日本も2021年に選出され、来年まで活動する予定だ。
 日本政府は昨年1月、佐渡鉱山の世界遺産登録を申請する際、日帝強占期の朝鮮人強制動員問題を避けるため、対象期間を戦国時代(1467~1590)末から江戸時代(1603~1867)に限定する姑息な手を使った。だが、佐渡鉱山では1939年2月から約1500人余りに達する朝鮮人が強制動員され、過酷な労働に苦しめられたという事実が具体的な資料と証言で立証されている。
 韓国外交部は12日「日本の佐渡鉱山の世界遺産登録推進と関連して、韓国政府は強制動員された韓国人労働者に対する事実を反映せよという一貫した要求を伝えてきた」という立場を示した。
 外交部当局者は「日本が佐渡鉱山を世界遺産に登録するためには、強制動員を含め全体の歴史をきちんと表示しなければならないというのが(韓国の)一貫した立場であり、それは全く変わっていない。日本が佐渡鉱山全体の歴史の中で一部だけ切り離して登録しようとすることには同意できず、強制動員の歴史を含めてきちんと明らかにすれば反対しないという立場にも変わりがない」と述べた。
 日本が2015年に端島(軍艦島)を世界産業遺産に登録し、強制動員の歴史をきちんと明らかにすると国際的に約束したことを守っていない状況で、佐渡鉱山の登録を推進することも問題だ。これに対して外交部当局者は「その部分は引き続き解決していくために、韓日間で協議を行っている」と述べた。韓国政府が韓日関係を優先して、佐渡鉱山の登録を支持する方向に立場を変える可能性については、「韓日関係の改善と関係なく、歴史問題や独島(トクト)、教科書などの懸案に対する韓国の原則を変えたり譲歩したりするつもりはない」と強調した。

東京/キム・ソヨン特派員、パク・ミンヒ先任記者 (お問い合わせ japan@hani.co.kr )
韓国語原文入力:2024-05-12 20:25
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「韓国最高裁「『慰安婦』講義中に学生にセクハラ発言した大学教授の懲戒は妥当」」

2024年05月14日 | 日本軍隊性奴隷
「The Hankyoreh」 2024-05-13 08:57
■韓国最高裁「『慰安婦』講義中に学生にセクハラ発言した大学教授の懲戒は妥当」

【写真】「慰安婦は売春ではない」学生の反発に…「気になるなら一度やってみるか?」発言
講義中に日本軍慰安婦のことを「売春の一種」と発言して名誉毀損で起訴されたリ
ュ・ソクチュン元延世大学教授が今年1月24日午前、ソウル麻浦区のソウル西部地裁での一審判決公判に出廷している/聯合ニュース

 講義中に日本軍「慰安婦」のことを性売買女性にたとえたうえ、学生にセクハラ発言をおこなったリュ・ソクチュン元延世大学社会学科教授に対する懲戒は妥当だとする判決が、最高裁で確定した。
 最高裁3部(主審:ノ・ジョンヒ最高裁判事)は、リュ元教授が教員訴請審査委員会の決定の取り消しを求めて起こしていた訴訟で、原審の原告敗訴判決を9日に審理不続行棄却とすることで確定したと12日に明らかにした。審理不続行棄却とは、上告対象ではないと判断される事件をそれ以上審理せずに棄却すること。
 リュ元教授は延世大学に教授として在職中だった2019年9月、発展社会学の講義中に日本軍「慰安婦」のことを売春行為の従事者になぞらえる発言をおこなった。これに対してある学生が「日本軍が仕事を紹介すると言ってだまして被害者たちを連れて行ったという証言がある」との趣旨の反論を行うと、リュ元教授は学生に「気になるなら一度やってみますか?」と発言して物議を醸した。
 事件後、延世大学学生会は「学生に性売買を勧めるもので、人格の冒とくでありセクシャルハラスメントだ。リュ氏を授業から全面排除せよ」とする声明を発表し、教員懲戒委員会は翌年7月にリュ教授に停職1カ月の処分を下した。リュ教授は1カ月後に定年退職した。
 リュ元教授は訴訟の過程で、自身の講義での発言について「『気になるなら学生が自ら(日本軍『慰安婦』の)研究をしてみるか』という意味であって、売春をしてみろという趣旨ではなかった」と抗弁したが、一審二審ともにこれを認めず、リュ元教授の発言をセクハラと判断した。懲戒の手続きや重さも問題がないと原審は判断している。
 リュ元教授は自身のユーチューブチャンネルの紹介にも「気になるなら(チャンネル登録、いいね)一度やってみますか?」と記している。
 リュ元教授は「慰安婦は売春の一種」という発言で起訴されてもいるが、一審で無罪判決を受けている。検察はこれを不服として控訴し、現在は二審が行われている。

【写真】リュ・ソクチュン元教授のユーチューブチャンネルより//ハンギョレ新聞社

オ・ヨンソ記者 (お問い合わせ japan@hani.co.kr )
韓国語原文入力:2024-05-12 11:03
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ロシア、ウクライナ北東部へ地上軍戦闘を拡大…重大局面を迎えるか

2024年05月14日 | 国家・社会
「The Hankyoreh」 2024-05-13 15:28
■ロシア、ウクライナ北東部へ地上軍戦闘を拡大…重大局面を迎えるか 
 ロシア「ハルキウ州の5つの集落を占領」…ウクライナ「激しい戦闘続いている」

【写真】ロシア軍が進撃し激しい戦闘の繰り広げられているハルキウ州北部の国境沿いのボルチャンスクで、燃えている建物の前を通るウクライナ警察=ボルチャンスク/AP・聯合ニュース

 ロシア軍がウクライナ北東部の国境を越え、ハルキウ州に地上軍を進撃させ、地上戦線をウクライナ東部と南部から北東部まで拡大した。兵力と武器で押されるウクライナ軍をあちこちに所に分散させながら地上戦で優位を確実にする一方、この地域を「緩衝地帯」として確保しようとする作戦とみられている。
 ロイター通信などの報道によると、ロシア国防省は11日(現地時間)、自国軍が10日にウクライナ国境沿いのベルゴロドからハルキウ州に進撃したのに続き、国境付近の5つの集落を占領したと発表した。ロシア軍はハルキウ市から北東に70キロメートルほど離れたボルチャンスクを狙った大規模空爆を行った後、地上軍を投入した。ロシア国防省は、プレテニウカ、オヒルツェベ、ボリシウカ、ピルナ、ストリレチャなど国境沿いの5つの集落を解放した」と主張した。これらの集落は国境から3~5キロメートルほどの距離だ。
 ウクライナ側は、国境沿いの集落周辺で激しい戦闘が2日間続いたと述べた。ハルキウ州のオレグ・シネフボウ知事はこのように明らかにし、今後「戦闘がさらに拡散して圧迫が増大し、駐留軍隊が補強されるだろう」と述べた。だが、人口130万人のウクライナ2大都市であるハルキウ市から住民が避難すべき状況ではないと付け加えた。

【地図】ハルキウに対するロシア軍の攻勢//ハンギョレ新聞社

 ウクライナのウォロディミル・ゼレンスキー大統領は同日夜、クラスネなど他の地域でも戦闘が起きたとし、「わが軍の将兵たちが2日連続で反撃し、ウクライナ領土を守っている」と述べた。
 現地政府関係者らは、ロシア軍の攻撃後、1700人ほどの住民が安全な場所に避難したと明らかにした。AP通信は、自社の記者たちが住民避難支援チームに同行しているとし、多くの建物が破壊され、道路から人影が消えたと報道した。ロシアの戦闘機が空爆を続け、黒い煙が立ち上る中、道路のあちこちに爆撃で大きな穴ができ、燃える建物も多かったとも報じた。
 ボルチャンスク地域の軍政庁責任者、タマズ・ハンバラシビリ氏は「(ロシア)国境沿いの集落の状況が非常に悪い」とし、「空爆が続きミサイル攻撃や砲撃も続いている」と語った。
 ロシア軍は2022年2月に始まったウクライナ侵攻戦争初期にウクライナの首都キーウとハルキウ市周辺まで進撃したが、4月以後ウクライナ軍の激しい反撃に遭い、両地域から撤退した。特に、同年9月以降はハルキウ州から兵力を完全に撤退させ、東部のドンバス地域と南部ヘルソン州などにのみ地上軍を配置してきた。その後、ハルキウ州と国境近くのロシアのベルゴロド地域は、ウクライナ軍の主な攻撃目標になった。
 ロシアのウラジーミル・プーチン大統領は今年3月、ウクライナ軍の攻撃を阻止する緩衝地帯を自国の国境に近いウクライナ地域に作るよう指示した。この指示以後、ロシア軍がハルキウ州に対する空爆を強化し、この地域を緩衝地帯として確保しようとする作戦が差し迫ったものとみられてきた。
 米シンクタンクの戦争研究所(ISW)は、ロシア軍がハルキウ州で戦術的に相当な成果を上げたと分析した。
 ニューヨーク・タイムズ紙などの米国メディアは、今回の地上軍作戦がロシア軍の「春の大攻勢」につながった場合、2年以上にわたるウクライナ戦争が重大局面を迎える可能性があると指摘した。
シン・ギソプ先任記者(お問い合わせ japan@hani.co.kr )
韓国語原文入力:2024-05-12 23:48


「AFP」 2024年5月11日 17:14 発信地:キーウ/ウクライナ
■ウクライナ、東部国境付近から1775人避難 ロシアが地上攻撃

【写真】ロシアの侵攻を受けるウクライナ東部ハルキウ州の集落で、住民の避難を手伝う志願兵(2024年5月10日撮影)。(c)SERGEY BOBOK / AFP
【写真】ロシアの侵攻を受けるウクライナ東部ハルキウ州の集落からバスで避難する住民(2024年5月10日撮影)。(c)SERGEY BOBOK / AFP 

【5月11日 AFP】ウクライナ東部ハルキウ(Kharkiv)州のオレグ・シネグボウ(Oleg Synegubov)知事は11日、同州のロシアとの国境付近から住民計1775人を避難させたと明らかにした。
 ロシア軍は前日、同州への地上攻撃を開始した。シネグボウ氏はソーシャルメディアで、過去24時間に30集落がロシア軍の砲撃を受けたと明らかにした。
 ウォロディミル・ゼレンスキー(Volodymyr Zelensky)大統領は11日、ハルキウ州で「激しい戦闘」が行われていると明らかにし、「われわれはロシアの攻勢を阻止し、主導権をウクライナに取り戻さなければならない」と訴えた。(c)AFP


「The Hankyoreh」 2024-05-11 07:09
■ウクライナのドローン「1500キロ飛行」、ロシア本土最大の石油化学団地を打撃
 ロシア本土に対する最長の「ドローン飛行」 
 ポンプ施設ある建物が一部損傷 
 「後方の施設も安心できない」

【写真】ウクライナ東部戦線に駐留したウクライナの軍人がドローン調整装置を扱っている=ドネツク州/AP・聯合ニュース

 ロシアの第2次世界大戦の戦勝記念日である9日(現地時間)、ウクライナ軍がロシアの内陸の奥深い場所にある石油化学複合団地をドローンで攻撃した。今回の攻撃は飛行距離が1500キロメートルに達するもので、ウクライナのロシア本土に対する最長距離飛行攻撃と言える。
 ウクライナ情報当局筋は同日、自国軍がドローンを利用してロシアとクライナの国境から1400キロメートル離れたロシア西南部バシコルトスタン共和国内の石油化学・肥料複合団地を攻撃したことを明らかにした。ロイター通信が報じた。同筋はこのためにドローンが1500キロメートルを飛行し最長距離飛行記録を立てたとし、「ロシアの軍事施設を供給先とする製油所や石油貯蔵施設は、(前線から)遠く離れた後方にあっても安心できない」と述べた。
 この日攻撃を受けた施設は、ロシアの巨大エネルギー企業ガスプロムの子会社が運営する精油、石油化学、肥料生産施設が集まっているロシア最大の複合団地だ。
 ロシアの災害対応当局もこの複合団地のポンプ施設の建物がドローン攻撃で損傷したことを確認したと、RIAノーボスチ通信が報じた。バシコルトスタン共和国の首長のラディ・ハビロフ氏は、ソーシャルメディアへの投稿で「ドローン攻撃を受けたが、この団地は現在正常に運営されている」と述べた。
 ウクライナ軍は同日、ロシアの黒海沿岸都市アナパにある石油貯蔵施設2カ所もドローンで攻撃し、この施設に大規模火災が発生したと主張した。同貯蔵施設には、クリミア半島に駐留しているロシア軍に供給する燃料を移し替える施設があると、消息筋が伝えた。
 ウクライナ軍のドローン攻撃は、ロシア軍がキーウ、リビウなどウクライナ全域の電力施設7カ所を集中打撃した翌日に行われた。ウクライナ軍は今年初めからドローンを利用し、ロシア本土内のエネルギー施設への攻撃を続けている。ロイター通信の報道によると、北大西洋条約機構(NATO)のある関係者は、この影響で3月末現在のロシアの精油処理容量の約15%程が運営に支障を来たしたものと推算した。
 地上軍戦闘が繰り広げられているウクライナ東部戦線では、ロシア軍が少しずつ占領地を広げ、ウクライナ軍がますます窮地に追い込まれている。
 ロシア軍が人口1万2千人規模のドネツク州中部都市トレツクの北部と南部からこの都市に向かって接近したことを受け、住民たちは避難した。同地域の緊急救助隊のある関係者は「住民たちが家の中にいることさえますます危険になっている」とし、これまで救援物資に依存して持ちこたえてきた高齢層などが都市から脱していると伝えた。この都市は戦前の人口は6万6千人だったが、最近は営業中の商店や病院を探すのも難しい状況だと住民たちは話した。
 AP通信によると、ウクライナのウォロディミル・ゼレンスキー大統領も、東部戦線の状況が非常に厳しいことを認めた。ゼレンスキー大統領は同日、ロベルタ・メツォラ欧州議会議長との会談後、共同記者会見を開き、東部戦線で自国軍が「本当に厳しい状況」に直面しているが、米国の大規模軍事支援が入ってきており、今後は状況を変えることができると述べた。
シン・ギソプ先任記者 (お問い合わせ japan@hani.co.kr )
韓国語原文入力:2024-05-10 22:11


「The Hankyoreh」 2024-05-11 09:56
■ロシア、ウクライナ第2の都市ハルキウに侵攻…地上戦で住民数千人避難
 ロシア、国境の安全のため「緩衝地帯」占領を狙うか 
 ウクライナ、追加兵力を急派…ロシアの戦争計画転換と判断

【写真】10日(現地時間)ウクライナ北東部ハルキウにある住宅がロシアの攻撃で被害を受け、ウクライナの救助隊員が消火活動をしている=ハルキウ/EPA・聯合ニュース

 ロシア軍は10日(現地時間)、ウクライナで2番目に大きい都市である北東部のハルキウを狙って攻撃を開始した。ウクライナ軍はロシアの戦争計画が転換されたと判断し、これに対抗して追加兵力を急派するなど、この地域での地上戦は続くもようだ。
 ハルキウ州のオレグ・シネフボウ知事は、前日夜から続くロシア軍の攻撃で、少なくとも住民1人が死亡、5人が負傷し、州当局は住民3000人を避難させた状態だと明らかにした。AP通信が報じた。ロシアは、国境から5キロメートルも離れていないボルチャンスクを狙い、誘導爆弾やS300などの地対空ミサイルを利用した大規模爆撃を行い、装甲車で防衛ラインを突破しようとした。ロシアの「偵察兵力」も進入したと、英国BBC放送は明らかにした。今回の攻撃は、ロシアのウラジーミル・プーチン大統領がベルゴロドなどのロシア国境地域に対するウクライナからの攻撃を防ぐために構想した「緩衝地帯」を形成しようとする動きとみられる。
 これに先立ち、ウクライナ軍当局はハルキウやスミ地域などの北東側の国境に数千のロシア軍兵力が集結していることを確認したとして、ロシアに対して警告している。ウクライナのウォロディミル・ゼレンスキー大統領はこの日、記者団に「この方向で激しい戦闘が繰り広げられている」として、「撃退する準備はできている」と述べた。ウクライナの公共放送「ススピーリネ」が明らかにした。
 ハルキウは、2022年2月のウクライナ戦争開戦直後に戦闘が行われたところだ。ウクライナ軍は、ロシアの侵攻を受けた2022年9月ごろにハルキウを奪還した。

キム・ミナ記者 (お問い合わせ japan@hani.co.kr )
韓国語原文入力:2024-05-10 23:09
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撤去された「群馬の森」朝鮮人追悼碑、管理の市民団体が解散決定 県から行政代執行費用を請求された

2024年05月13日 | 日本
https://www.msn.com/ja-jp/news/national/%E6%92%A4%E5%8E%BB%E3%81%95%E3%82%8C%E3%81%9F-%E7%BE%A4%E9%A6%AC%E3%81%AE%E6%A3%AE-%E6%9C%9D%E9%AE%AE%E4%BA%BA%E8%BF%BD%E6%82%BC%E7%A2%91-%E7%AE%A1%E7%90%86%E3%81%AE%E5%B8%82%E6%B0%91%E5%9B%A3%E4%BD%93%E3%81%8C%E8%A7%A3%E6%95%A3%E6%B1%BA%E5%AE%9A-%E7%9C%8C%E3%81%8B%E3%82%89%E8%A1%8C%E6%94%BF%E4%BB%A3%E5%9F%B7%E8%A1%8C%E8%B2%BB%E7%94%A8%E3%82%92%E8%AB%8B%E6%B1%82%E3%81%95%E3%82%8C%E3%81%9F/ar-BB1met0u?ocid=msedgntp&pc=U531&cvid=aa7869b6df424c3798cf7e897d9f2829&ei=9
■撤去された「群馬の森」朝鮮人追悼碑、管理の市民団体が解散決定 県から行政代執行費用を請求された

【写真】行政代執行で撤去された追悼碑のプレートに向けて献花する参加者ら=前橋市で© 東京新聞 提供

 群馬県高崎市の県立公園「群馬の森」にあった朝鮮人労働者追悼碑が県の行政代執行で撤去されたのを受け、管理していた市民団体「追悼碑を守る会」は11日、前橋市の県教育会館で総会を開き、会の解散を決めた。また、県から撤去費用として2062万円を請求され、県側に同日付で送付した解散通知書の中で「支払い能力がない」と回答した。
 総会では、追悼碑の再建を目指して後日、新団体を立ち上げる方針も確認。請求金のうち撤去費は248万円、残りは目隠しの囲いや警備の費用といい、「現場にも立ち会わせず、県の都合で行ったことで納得しがたい」と活動報告した。
 総会に先立ち、撤去後初めての追悼集会が開かれ、碑に設置していたプレート3枚が披露された。宮川邦雄共同代表らが「県の代執行は稚拙な暴挙。反省と友好親善の重要性を改めて共有したい」とあいさつ。約200人の参加者はプレートに向けて献花した。
 県立公園の碑の跡地では撤去前の姿をアプリで確認する催しが行われ、当時をしのんだ。アプリはアップル社端末向けに公開されている。(羽物一隆)
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ハマス「イスラエル国防軍が攻撃を継続する限り人質釈放はない」

2024年05月12日 | 国家・社会
「中央日報日本語版」 2024.05.08 07:16
■ハマス「イスラエル国防軍が攻撃を継続する限り人質釈放はない」
 イスラエル国防軍(IDF)がラファ国境検問所を掌握して圧迫を加えるとハマスは軍事作戦を中断しない限り人質の釈放はないとして対抗した。
 7日(現地時間)、ロイター通信によると、ハマスのオサマ・ハムダン報道官はこの日、レバノン・ベイルートで開いた記者会見で「ラファでイスラエルの軍事攻撃が続く場合、(人質釈放のための)休戦交渉はない」と警告した。
 ハムダン氏は「イスラエル国防軍のラファ軍事作戦が遠足になることはできない」とし、ハマスが同意した最近の休戦提案は「我が民族と抵抗の要求に応じる最小限のこと」と強調した。
 あわせて「ボールはもうネタニヤフ側へ移った」とし「ラファ国境は完全にエジプトとパレスチナの間の国境であり今後もそうあり続ける」と付け加えた。
 これに先立ち、イスラエル国防軍はこの日午前、ラファからエジプトに通じる国境検問所のガザ地区側区域を掌握した。
 一方、エジプト官営メディア「アルカヒラ・ニュース」はカタール・米国・エジプトの仲裁者がこの日カイロでハマス代表団とガザ地区休戦について話し合っていると報じた。
 イスラエルもカイロで開かれる休戦交渉の場に中間級官僚で構成された交渉団を派遣して仲裁国の休戦案を受け入れたハマスの意図を把握するとこの日、明らかにした。
 米国ホワイトハウスのカービー国家安全保障疎通補佐官もこの日オンライン会見を通じて、カイロでガザ地区の休戦・人質釈放交渉の再開事実を確認した。


「中央日報日本語版」 2024.05.08 06:55
■イスラエル、タンク走らせてラファ検問所を占領…市街戦まで秒読み
 「ガザ地区最後の避難所」と呼ばれるラファに対する攻勢を始めたイスラエル地上軍が徹夜作戦の末に7日、ラファ検問所のパレスチナ側区域を掌握した。イスラエル国防軍(IDF)は前日午前、ラファ東部地域の住民に退避令を下してから一日も経たないうちに戦闘機による空襲を敢行したことに続き、タンクで国境を越えた。
 ロイター通信やタイムズ・オブ・イスラエルなどはこの日午前、イスラエル第401機甲旅団がガザ地区ラファ検問所を占領したと伝えた。IDFは徹夜作戦を通じて約20人の武装暴漢を射殺し、地下坑道3カ所を突き止めたと発表した。IDFはハマスの拠点に対する「標的攻撃」を行っていると説明した。前日、IDFのダニエル・ハガリ報道官は「イスラエル国防軍の戦闘機がラファ周辺のテロリスト施設50カ所以上を打撃した」と明らかにした。
 IDFが占領したラファ検問所はガザ地区南部とエジプトをつなぐ唯一のルートだ。戦争初期に焦土化したガザ北部などを離れた避難民が密集している。エジプトおよびイスラエルと国境を接しているラファは国際社会がガザ地区に救護物資を支援する際の主要な関門でもある。イスラエルはラファにハマス首脳部が潜伏しているとみている。外信はIDFが「制限的地上戦」を行って同地だけを掌握することによって、ラファに潜伏したと推定されるハマスの退路を断つと同時に本格的な市街戦が「秒読み」に入ったと伝えた。
 これに先立ってタイムズ・オブ・イスラエルは、イスラエルのタンクと兵力がこの日未明にラファに向かって進軍する様子が捉えられたと伝えた。匿名のエジプト当局者はIDFがエジプトとラファの国境約200メートルの距離まで接近したと伝えた。エジプト国営アルカヘラ・テレビが国境の外からラファを撮影した映像からは、この日午前1時33分ごろ銃声と爆発音が聞こえてくる。該当の映像にはタンクとヘリコプタードローンが動く音も入っている。
 ラファでは避難の行列が続いている。これに先立ち、IDFは前日未明ラファ東部の民間人にガザ北部のハーン・ユーニスや北西部海岸都市アルマワシに準備された人道主義区域に退避するよう命じた。数時間後、戦闘機の空襲に続いてタンクまで進入すると、パニック状態に陥った住民たちがピックアップトラックやロバ、車、自転車などに身を載せるなり、徒歩なりで避難を始めた。IDFの報道官はAP通信に対して「民間人退避令はハマス破壊のための計画の一部」とし、ラファ進軍のための予備手続きであることを明確にした。
 IDFの今回の「制限的地上戦」はハマスがエジプト・カタールが提示した休戦案を受け入れると通知した直後に行われた。ハマスが受け入れた休戦案にはイスラエル側の人質とパレスチナ収監者の交換、IDFのガザ地区撤退などの内容が盛り込まれている。また、エジプト・カタール・国連などの監督の下、3~5年かけてガザ地区の再建計画を履行するという内容とイスラエルのガザ地区封鎖解除なども含まれた。
 これに対してイスラエルは「ハマスの最新の休戦提案はイスラエルの必須要求事項とかけ離れている」として拒否した。イスラエル戦時内閣は「人質釈放を含んだ戦争目標の達成に向けてハマスに軍事的圧迫を続け、ラファ攻撃を継続することを全会一致で決定した」と明らかにした。ただし、休戦交渉は引き続き進めるという立場だ。


「中央日報日本語版」 2024.05.07 07:32
■「60万人の子どもたちが行き場を失った」…中東紛争の中、ラファの悲鳴
 
【写真】イスラエルとハマスの戦争

 イスラエル軍が6日(現地時間)、ガザ地区の最南端都市ラファの東部に留まっている住民10万人に対して西側地中海のビーチあるいは北側のハーン・ユーニスに撤退避難するように疎開令を下すと国連ユニセフ(国際児童基金)はラファにいる数多くの子どもたちが危険に陥ると警告した。
 CNNによると、ユニセフのキャサリン・ラッセル代表は「ラファはいま、子どもたちの都市と言えるほど子どもが多く、彼らが安全に避難できるところはガザのどこにもない」という声明を発表した。
 ラッセル代表は60万を超える子どもたちが今でも災難状態にあるのに、攻撃が実行されればさらに状況が悪化するとしながら「大規模な軍事作戦が始まれば子どもたちは暴力と隣り合わせとなり、混沌と恐怖の危険に陥る。今でも彼らは身体的にも精神的にも非常に弱くなっている」と強く懸念した。
 ガザ保健部が発表した戦争関連の累積死亡者3万5000人のうち43%である1万5000人が未成年者だ。さらに2万人が母親を失って孤児になった。
 これに先立ってイスラエル国防軍アラビア語報道官のアビハイ・アドライ氏はこの日ソーシャルメディア(SNS)のX(旧ツイッター)に海岸にあるアルマワシの「人道主義区域」を拡大するとしながら、ラファ東部に留まっている住民たちにここに避難するように呼びかけた。
 「アルマワシには野戦病院やテント村、食糧と水、医薬品などが備わっている」とし「政治的承認に基づいてイスラエル国防軍はラファ東部の住民の臨時退避を求める。この過程は今後の状況評価により徐々に実行される」と話した。
 続いてビラや文字メッセージ、電話通話はもちろん、アラビア語メディアを通じて民間人に対する避難情報を提供すると付け加えた。
 ガザ地区で活動する救護団体も民間人退避に関連した情報をイスラエル国防軍から受け取ったという。
 AFP通信によると、イスラエル国防軍の報道官はこの日記者団と会い、今回「制限された地域」に対する退避作戦を通じて概略で10万人ほどを安全なところに移動させることができると明らかにした。
 ロイター通信は目撃者を引用し、この日ラファ東部で一部避難民が家族単位で退避を始めたと伝えた。現在ラファにはガザ地区北部から押し寄せた140万人ほどの避難民が集まっている。
 米国をはじめとする国際社会はこのようなラファで本格的な地上戦が始まる場合、大規模な人命被害が懸念されるとし、イスラエル国防軍のラファ攻撃を引き止めてきた。
 イスラエルはハマス掃討、人質救出、安保脅威解消など戦争目標達成のためにはラファ攻撃が避けられないとし、民間人を避難させた後に作戦に出ると公言してきた。
 また、このためにガザ地区南部の最大都市ハーン・ユーニスの近郊に約50万人を収容できる大規模テント村を作った事実が衛星写真などを通して確認された。


「中央日報日本語版」 2024.05.07 07:06
■イスラエル「ハマス側の休戦案、我々の要求とは程遠く…ラファ攻撃続ける」
 イスラエルがハマス側の休戦提案がイスラエルの要求事項に至らないと評価して、ガザ地区最南端都市ラファの攻撃を継続することを決めた。ただし、イスラエルは自分たちの要求に合致する休戦案を模索するために仲裁国に交渉代表団を派遣することにした。
 イスラエル総理室は6日(現地時間)、声明を出して「戦時内閣は人質釈放を含む戦争目標達成を目指してハマスに軍事的圧迫を加えるためにラファ攻撃を継続することを全会一致で決定した」とし「ハマスの最新の休戦提案はイスラエルの必須要求事項とかけ離れている」と明らかにした。
 ただし声明は「イスラエルは交渉代表団を派遣し、仲裁国とイスラエルの要求に合致する合意が引き出せるように試みていく」と付け加えた。
 これに先立ってハマスは、この日最高政治指導者であるハニエ政治局長がカタールの首相とエジプトの情報局長に休戦提案の受け入れ決定を通知したと明らかにした。
 同時にハマス高官は「まだ休戦が実現したわけではない。イスラエル側はまだ立場を伝えてきていない」としながら「ハマスは仲裁者の休戦案を受け入れた。今やボールはイスラエル占領勢力に移った」と話した。
 ハマスのガザ地区副指導者であるカリル・アル・ハイヤ氏はアルジャジーラ放送で、休戦が42日ずつ3段階で行われ、第2段階休戦中にイスラエル国防軍のガザ地区全面撤退が含まれていると明らかにした。また、第1段階休戦中にはイスラエルの民間人釈放が、最終第3段階ではイスラエルとパレスチナ間の囚人交換が行われると付け加えた。
 ハマスの休戦提案受け入れ発表はイスラエル国防軍がガザ最南端都市ラファ攻撃のために民間人疎開令を下した中で出てきた。イスラエルはこの日退避令が下されたラファ東部地域に数十回空襲を加えてハマスを圧迫した。


「中央日報日本語版」 2024.05.07 06:49
■イスラエル、ラファ空襲を再開…避難民の退避中も爆発音鳴りやまず
 イスラエル国防軍が6日、パレスチナ避難民140万人が集まったガザ地区最南端ラファ地域に退避を指示したが、一日も経たない内に戦闘機の空襲を敢行した。
 AFP通信はガザ地区の民間防衛および救護当局の関係者を引用し、イスラエル国防軍がこの日退避命令を下したガザ地区南部ラファの東部2カ所を戦闘機で空襲したと報じた。ガザ民間防衛庁のアーメド・リドワン報道官は「イスラエル国防軍の標的になった地域はガザ国際空港周辺、アル・シュカ地域、アブハラワ地域、サラヘディン通り、サラム近隣地域など」と明らかにした。
 ロイター通信もラファ避難民が離れる間も爆発音が聞こえて煙が広がり始めていると伝えた。荷物をまとめて避難したあるパレスチナ住民は「最も大きな集団虐殺がラファでまもなく起きる」と涙声で話した。
 これに先立ちこの日午前、イスラエル国防軍はソーシャルメディア(SNS)のX(旧ツイッター)にラファの海岸小都市アルマワシの「人道主義区域」を拡大すると言いながら、ラファ東部にいる住民にこちらに退避するように求めた。イスラエル国防軍は「ラファでハマスを崩壊させるための制限された範囲の作戦を行う予定」としながら「退避を要請した地域には避難民約10万人がいると推測される」と伝えた。ラファがあるガザ地区南側の国境と13キロを接しているエジプトも軍事対備態勢を強化した。
 イスラエルのガラント国防相は5日、ハマスがラファ近隣からイスラエル南部のケレム・シャローム検問所にロケット約10発を撃ち込んで死傷者が発生すると、ハマスが休戦を望んでいないようだとしてラファ軍事作戦を始めるという意思を明らかにした。そして5日夜、米国にラファ攻撃が避けられないという立場を伝達した。
 ハマスは先週末、エジプト・カイロで米国・エジプト・カタールの仲裁によって行われた休戦および人質釈放交渉でイスラエルに終戦議論とイスラエル国防軍撤退の約束を要求した。だが、ネタニヤフ首相は一時的休戦は可能だが、ハマスの終戦要求は絶対に受け入れられないという立場を明確にした。
 ネタニヤフ首相はこの日、第2次世界大戦当時に600万人に達するナチスのユダヤ人大虐殺(ホロコースト)被害者を悼む国家追悼の日を迎えて「恐ろしいホロコースト当時、世界の指導者は傍観し、どの国も私たちを助けてくれなかった」とし「イスラエルが一人で立つべきだとすれば一人で立つ」と強調した。


「AFP」 2024年5月6日 16:28 発信地:エルサレム/中東・アフリカ
■ラファ東部から「10万人退避させている」 イスラエル軍

【写真】パレスチナ自治区ガザ地区最南部ラファにある避難民キャンプ(2024年4月30日撮影)。
【写真】パレスチナ自治区ガザ地区最南部ラファで、イスラエル軍に攻撃されたビルに開いた穴(2024年4月30日撮影)。 
【写真】パレスチナ自治区ガザ地区最南部ラファで、イスラエル軍の攻撃で破壊された建物の周囲に集まった人々(2024年5月5日撮影)。
【写真】パレスチナ自治区ガザ地区最南部ラファで、イスラエル軍の攻撃で負傷した人を搬送する人々(2024年5月5日撮影)。
【写真】パレスチナ自治区ガザ地区最南部ラファで、イスラエル軍の攻撃で破壊された建物(2024年4月29日撮影)。 
【写真】パレスチナ自治区ガザ地区最南部ラファで、イスラエル軍の攻撃で破壊された建物のがれきに立つ子どもたち(2024年4月27日撮影)。
【写真】パレスチナ自治区ガザ地区最南部ラファで、イスラエル軍の攻撃で破壊された建物のがれき(2024年4月24日撮影)。  


【5月6日 AFP】イスラエル軍は6日、パレスチナ自治区ガザ地区(Gaza Strip)南部ラファ(Rafah)に対する地上作戦の開始を前に、ラファ東部から約10万人を退避させていると発表した。
 イスラエル軍は声明で「ラファ東部の住民に対し、拡大された人道的地域に向かうよう促す」と述べた。
 世界保健機関(WHO)によると、ラファには現在約120万人が避難している。大半は昨年10月に始まったイスラエルとパレスチナのイスラム組織ハマス(Hamas)の紛争で、ガザ地区内の他の場所から逃れてきた人々だという。
 イスラエル軍によるラファ侵攻が予想される中、援助団体や世界各国の指導者は警戒を強めている。
 米国のアントニー・ブリンケン(Antony Blinken)国務長官は3日、イスラエルはいまだ「危険にさらされている市民を本気で保護するための信頼に足る計画」を提示していないと指摘。そうした計画がなければ、米政府は「ラファへの大規模な軍事作戦を支持することはできない」と述べた。
 昨年10月7日のガザ紛争開始後、イスラエルはガザ北部に住むパレスチナ人に対し、ラファを含むガザ南部の「安全地帯」に移動するよう通告した。しかし、ラファも何度も空爆を受けており、パレスチナ人はガザ地区に安全な場所はないと語っている。
 イスラエル軍は今回、「ガザに流入する援助物資の増加に対応するため、マワシ(Al-Mawasi)地区の人道的地域を拡大した」と発表。報道官は記者団に対し「今朝、ラファ東部の住民を一時避難させるための作戦を開始した。ただしこれは限定的な範囲での作戦だ」と述べた。
 軍は声明で「人道的地域に一時的に移動するよう、アラビア語のポスター、SMS、電話、メディアの放送などを通じて伝えている」と付け加えた。またハマスが拘束している人質を全員帰国させるまで、「ガザのあらゆる場所で」ハマスの戦闘員を追い続けると述べた。


ttps://www.afpbb.com/articles/-/3518001?cx_part=latest
「 AFP」 2024年5月6日 13:28 発信地:ドーハ/カタール
■イスラエル、アルジャジーラの活動禁止 ガザ報道めぐり

【写真】パレスチナ自治区ヨルダン川西岸ラマラにある、衛星テレビ局アルジャジーラの支局(2024年5月5日撮影)。(c)Zain JAAFAR / AFP
【写真】衛星テレビ局アルジャジーラのチャンネルをつけると表示される「政府決定に基づき、イスラエル国内におけるアルジャジーラの放送は停止された」との通告。中東エルサレムで(2024年5月5日撮影)。(c) RONALDO SCHEMIDT / AFP) 
【写真】パレスチナ自治区ヨルダン川西岸ラマラからニュースを伝える衛星テレビ局アルジャジーラの特派員(2024年5月5日撮影)。(c)Zain JAAFAR / AFP 

【5月6日 AFP】イスラエルは5日、パレスチナ自治区ガザ地区(Gaza Strip)侵攻をめぐる衛星テレビ局アルジャジーラ(Al Jazeera)の報道を問題視し、国内での活動を禁じる決定を下した。同局はこれに対し、「犯罪的」だと反発した。
 ベンヤミン・ネタニヤフ(Benjamin Netanyahu)首相は同日、同局の国内放送を禁じることを閣議で全会一致で決定したと発表。その数時間後、同局の放送は停止された。
 同局は声明で「われわれは情報へのアクセスという人権を侵害するイスラエルの犯罪的行為を非難し、糾弾する」とし、法的手段に訴える方針を示した。
 同局は「ガザで行われていることを隠蔽(いんぺい)するためとみられる、報道の自由に対するイスラエルの継続的な抑圧は国際法と人道法に反する」と指摘した。
 さらに、イスラエルはジャーナリストを直接の標的として殺害しており、逮捕したり脅迫したりしていると主張。しかし、「取材を貫こうとするアルジャジーラの意志をくじくことはできない」と強調した。
 昨年10月7日以降、カタールを拠点とするアルジャジーラはガザで現地取材を続け、惨状を伝えてきた。これまでにガザ支局が爆撃され、特派員2人が殺害されている。
 一方、イスラエルのシュロモ・カルイ(Shlomo Karhi)通信相はネタニヤフ氏との共同声明で、自身がアルジャジーラを閉鎖して機材を押収するとともに、活動をインターネット配信のみに制限する命令を出したと明かした。
 アルジャジーラによると、取材許可証は抹消され、メディア各社がアルジャジーラのニュースを伝えることも禁じられた。(c)AFP


「AFP」 2024年5月5日 11:47 発信地:中東・アフリカ
■ハマス、完全停戦なければ「合意せず」 ガザ休戦案めぐり

【写真】パレスチナ自治区ガザ北部ベイトラヒヤで、破壊された街並み(2024年5月4日撮影)。
【写真】パレスチナ自治区ガザ北部ベイトラヒヤで、水を運ぶ少年(2024年5月4日撮影)。
【写真】パレスチナ自治区ガザ北部ベイトラヒヤで、段ボールを集める少年たち(2024年5月4日撮影)。 
【写真】
パレスチナ自治区ガザ北部ベイトラヒヤで、自転車を押す男性(2024年5月4日撮影)。 
【写真】パレスチナ自治区ガザ北部ベイトラヒヤの通りを歩く人々(2024年5月4日撮影)。 

【5月5日 AFP】パレスチナ自治区ガザ地区(Gaza Strip)の戦闘休止に向けた交渉について、イスラム組織ハマス(Hamas)の幹部は4日、戦闘の完全終結を含む案以外には受け入れないと述べた。また、イスラエルのベンヤミン・ネタニヤフ(Benjamin Netanyahu)首相が交渉を「個人的に妨げている」と非難した。
 休戦交渉を仲介しているカタール、エジプト、米国は同日、カイロでハマスの代表団と会談し、昨年10月以来の戦闘の休止に向け協議した。

 英国によると、交渉では40日間の戦闘休止と、ガザに捕らわれている人質とイスラエルが拘束しているパレスチナ人を交換する案について、ハマスが回答することになっていた。
 しかし、ハマス高官は4日夜、イスラエルのガザ撤退を含む戦闘の完全終結を明示していない休戦案には「いかなる状況下でも同意しない」と語った。
 匿名で取材に応じたこの幹部は、「ガザ侵攻の終結と関連づけることなく」人質解放を実現させようとするイスラエルを糾弾。ネタニヤフ首相が「個人的な利益」のために休戦合意を「個人的に妨げている」と非難した。
 イスラエルは交渉に代表団をまだ派遣していない。同国政府当局者は、提案されている枠組みに「前向きな動き」があった場合にのみ派遣するとして、「実際の合意には、厳しく長い交渉が予想される」とAFPに語った。
 あるハマス幹部筋はAFPに、交渉は5日に再開されると話した。


「AFP」 2024年4月27日 12:38 発信地:パレスチナ自治区
■空爆で瀕死の母から生まれた女児、死亡 ガザ

【写真】イスラエル軍の空爆で瀕死になった母親から帝王切開で生まれたサブリーン・ルー・シェイクちゃん。パレスチナ自治区ガザ地区南部ラファの首長国病院で(2024年4月24日撮影)。

【4月27日 AFP】パレスチナ自治区ガザ地区(Gaza Strip)で、イスラエル軍による空爆で瀕死(ひんし)になった母親から帝王切開によって誕生した女児が25日、医療スタッフの懸命の努力にもかかわらず死亡した。おじが26日、AFPに明らかにした。
 サブリーン・ルー・シェイクちゃんは先週末、イスラエル軍の空爆で致命傷を負った母親から誕生した。母親は出産直後に死亡し、父親と姉も空爆で死亡したため、サブリーンちゃんは生まれて間もなく孤児となった。
 ガザ南部ラファ(Rafah)にある首長国病院(Emirati Hospital)によると、妊娠7か月だった母親から未熟児として生まれたサブリーンちゃんは25日、「新生児室のスタッフの懸命の努力にもかかわらず」死亡した。
 おじのラミ・シェイクさんはAFPに対し、病院から「容体が悪化し、救えなかった」と連絡があったと説明。「めいは家族の元へ旅立った。きょう、病院に行ってすべての手続きを済ませ、遺体を連れ帰った」と述べ、サブリーンちゃんの父親の墓を開けてそこに埋葬したと付け加えた。
 サブリーンちゃんの母親、サブリーン・サカニさんはイスラエル軍の空爆で頭と腹に致命傷を負い、重体で救急搬送された。目撃者がAFPに語ったところによると、サカニさんの自宅が空爆を受けたという。ガザの保健当局は、この空爆でサブリーンちゃんの家族を含む少なくとも19人が死亡したとしている。


「 BBCニュース」 2024年4月24日 
■ガザ病院で280人超の遺体発見 「恐怖を覚える」と国連人権高等弁務官

【写真】重機がないため人力で遺体を掘り起こすパレスチナ人(ガザ・ナセル病院),REUTERS 

 パレスチナ自治区ガザ地区の当局は、南部ハンユニスのナセル病院の敷地内で283人の遺体が見つかったと発表した。国連のフォルカー・トゥルク人権高等弁務官は23日、「恐怖を覚える」と述べ、独立した調査の実施を求めた。
 死亡した経緯や、遺体が埋められた時期は明らかになっていない。
 ガザ地区でイスラム組織ハマスとの戦闘を続けるイスラエル国防軍(IDF)が遺体を埋めたとの見方も出ているが、IDFは「根拠がない」とした。
 一方でIDFは、2月にナセル病院で2週間にわたって作戦を実施した際、パレスチナ人によって埋められた複数の遺体を「調査した」と説明。IDF部隊が「インテリジェンス(機密情報)によって人質がいる可能性が示された場所で」調査したとした。
 既に解放されている10人の元人質は、ナセル病院で長期間拘束されていたと証言している。
 IDFがナセル病院で作戦を実施する前、同病院のスタッフは周辺地域で戦闘があり、複数の墓地へのアクセスが断たれたことから、病院の中庭に遺体を埋葬せざるをえなかったと語っていた。昨年11月にIDFが北部のアル・シファ病院を初めて襲撃する前にも、アル・シファ病院から同様の報告があった。
 IDFはガザ地区の多数の病院を襲撃したのは、ハマス戦闘員が病院内で活動しているためだとしている。ハマスや医療関係者はこうした主張を否定している。

◆遺体の状態は
 パレスチナ当局は、ナセル病院の敷地内で見つかった283人の遺体のうち42人の身元が確認されたと報告した。国連人権高等弁務官事務所(OHCHR)の報道官は、現在その裏付けを取っているところだと述べた。
 「犠牲者は地中深くに埋められ、廃棄物で覆われていたと報告されている」と、ラヴィナ・シャムダサニ報道官はスイス・ジュネーヴで記者団に語った。
 「死者の中には高齢者や女性、けがをした人がいたとされる。また、(中略)手を縛られたり、衣服をはぎ取られたりした状態で発見された人もいた」。
 トゥルク人権高等弁務官は、死者に関する独立した、効果的で透明性のある調査の実施を求め、「処罰を受けずに済むという空気が広がっていることを考慮すると、国際的な調査官を加えるべきだ」と述べた。
 「病院は国際人道法の下で非常に特別な保護を受ける権利がある。そして民間人や拘束者、戦闘能力のない(敵対行為に参加していない)人々を意図的に殺害することは戦争犯罪にあたる」。

◆ハマス、IDFが遺体を別の場所に埋めたと
 ハマスが運営する民間防衛隊の報道官は22日、BBCアラビア語の番組「ガザ・トゥデイ」に対し、ガザでの戦闘中に殺害され、病院の中庭にあるその場しのぎの墓地に埋葬された「多数の」遺体が、イスラエルによる襲撃の最中に別の場所に移されたとの報告を、現地の複数のパレスチナ人から受けたと語った。
 「調査した結果、占領軍(IDF)が集団墓地をつくり、ナセル病院にあった遺体を掘り起こしてその集団墓地に埋めたことが分かった」と、マフムード・バサル報道官は述べた。
 「ガザ・トゥデイ」はまた、親戚の男性2人の遺体を探しているという男性に話を聞いた。この男性は、IDFが最近終了した攻撃の最中に、親戚の遺体を持ち出したとしている。
 「私が親戚の遺体をアパートの敷地内に埋葬した後、(IDFが)やって来て、遺体を移動させた」と男性は述べた。「私たちは毎日、彼らの遺体を探しているが、見つからない」。
 ハマスは、こうした遺体にはIDFによって「冷酷に処刑された」人が含まれると主張しているが、証拠は示していない。

◆ハマスの主張は「根拠がなく事実無根」とIDF
 IDFは23日の声明で、「IDFがパレスチナ人の遺体を埋めたという主張には根拠がなく、事実無根だ」と述べた。
 「ナセル病院周辺でのIDFの作戦中、人質や行方不明者の捜索活動に基づいて、パレスチナ人がナセル病院周辺に埋めた遺体の調査が行われた」。
 「調査は人質がいる可能性を示す情報があった場所でのみ、慎重に実施された。死者の尊厳を保ちつつ、敬意を持って実施された。調査した遺体のうちイスラエル人の人質ではなかった遺体は、もとの場所に戻された」。
 IDFは病院への襲撃で「病院内にいたテロリスト約200人」を拘束し、弾薬のほか、イスラエル人の人質のための未使用の医薬品も発見したという。
 また、この襲撃は「標的を絞った方法で、病院や患者、医療スタッフに危害を加えることなく」実施されたと主張した。

◆病院で何が
 しかし、3人の医療スタッフは先月、BBCに対し、襲撃を受けた際に拘束され、屈辱的な扱いを受けたと述べた。殴打され、冷や水を浴びせられ、何時間もひざまずくことを強要されたとも語っていた。
 IDFに占領された後もナセル病院に残っていたという医療スタッフによると、水や電気、そのほかの物資が不足するなどし、患者のケアができずに13人が死亡したという。
 4月1日、IDFはガザ市内のアル・シファ病院から引き揚げた。IDFはアル・シファ病院での作戦について、「ハマスのテロリストらがアル・シファ病院内で再編成された」ために実施された、もう一つの「正確な」作戦だったとしている。
 IDFは当時、2週間にわたる襲撃で病院とその周辺で200人の「テロリスト」を殺害したと発表した。また、500人以上を拘束し、複数の武器や情報が「病院の至る所で」見つかったと付け加えた。
 その5日後、世界保健機関(WHO)はアル・シファ病院にチームを派遣。同病院は「今や空っぽの抜け殻状態」で、ほとんどの建物が広範囲にわたって損傷または破壊され、大部分の設備は使用できない状態か灰になっていると、WHOは説明した。
 また、救急診療や管理棟、外科病棟のすぐ外には地面の「浅い部分に多数の墓」が掘られ、「多くの遺体の手足が見える状態で、部分的に埋められていた」とした。
 IDFはアル・シファ病院についても、患者に危害が及ばないようにしたと主張している。
 しかし、WHOは同病院の院長代理の話として、IDFに包囲されている間、患者はひどい状況に置かれていたとした。治療へのアクセスが欠如し、医療スタッフの移動が制限されていたことから、少なくとも20人の患者が死亡したと報じられている。
 OHCHRのシャムダサニ報道官は、2つの埋葬地に計30人の遺体が埋められており、そのうち12人の身元が判明していることが、OHCHRが確認した複数報告書で示されていると述べた。
 ガザの市民防衛部門の報道官は9日、アル・シファ病院の周辺から381人の遺体が収容されたと米CNNに述べた。ただ、この数には同病院の敷地内に埋められた人は含まれていない。
 トゥルク国連人権高等弁務官は、ここ数日の、イスラエルによるガザ南部ラファへの一連の空爆の犠牲者の大半は女性と子供で、「戦争行為を超えている」と非難した。
 20日夜には、死亡した妊婦に緊急帝王切開が行われ、胎児が取り出された。女性の夫ともう1人の娘も死亡した。
 トゥルク氏は、150万人が避難しているラファに対する全面的な地上攻撃は、国際人道法と人権法に対するさらなる違反につながると、イスラエル側に再び警告した。
これに対してIDFは、「ハマスの軍事・行政能力を解体するために活動している」と主張した。
 そして、「ハマスがイスラエルの男性や女性、子供たちを意図的に攻撃しているのとはまったく対照的に、IDFは国際法に従い、民間人の被害を軽減するために実現可能な予防措置を講じている」と付け加えた。

(英語記事 UN rights chief 'horrified' by mass grave reports at Gaza hospitals)


「NHK NEWS WEB」 2024年4月24日 12時49分
■ガザ南部の病院で300人以上の遺体 国連“独立した調査必要”
 イスラエル軍による軍事作戦が続くガザ地区では23日も北部で激しい空爆がありました。一方、南部ハンユニスの病院で300人以上の遺体が見つかった問題で国連は独立した調査が必要だと訴えました。
 ガザ地区でイスラム組織ハマスに対する攻撃を続けるイスラエル軍は23日には北部の町、ベイトラヒヤの一部の住民に指定する場所まで退避するよう通告を出しました。
 イスラエル軍はSNSで、この地域からイスラエル側に向けてロケット弾4発が発射されたとして、住民に退避の通告を出したあと、ロケット弾が発射された場所付近のトンネルの坑道や軍事施設などを空爆したとして、映像を公開しました。
 映像では、爆発とともに炎と煙が上がる様子が確認できます。
 一方、イスラエル軍が今月初めに部隊を撤収させた南部ハンユニスにあるナセル病院では、23日、これまでに少なくとも310人の遺体が見つかったと中東の衛星テレビ局アルジャジーラなどが伝えています。
 これに対し、ロイター通信はイスラエル軍が「根拠がない」と述べた上で「以前パレスチナ人が埋葬した遺体を人質捜索のために調査し、元の場所に戻した」と主張したと伝えています。
 ガザ地区ではナセル病院のほかにも地区最大のシファ病院でも多数の遺体が見つかったと伝えられていて、国連人権高等弁務官事務所の報道官は、23日、記者会見で人権高等弁務官の談話として、「ナセル病院やシファ病院の破壊や病院とその周辺で大量の遺体が埋葬されていたのが見つかったことについてぞっとしている」と非難しました。
 その上で「遺体について効果的で透明な、独立した調査を求める」として死亡した原因などについて調査の必要性を訴えました。
林官房長官 “人道状況深刻 即時停戦求める”
  林官房長官は、午前の記者会見で「ガザ地区では連日、多数の子どもや女性、高齢者を含む死傷者が発生するなど、危機的な人道状況はさらに深刻さを増している」と述べました。
 そのうえで、「わが国として、人質の解放が実現するよう即時の停戦を求めるとともに、持続可能な停戦につながることを強く期待しており、当事者に、直ちに人道的観点から行動するよう求めている。引き続き、外交努力を粘り強く積極的に行っていく」と述べました。


「 AFP」 2024年4月23日 12:30 発信地:パレスチナ自治区/パレスチナ自治区
■ガザ病院埋葬の遺体、200人に ハマスは283人と主張

【写真】パレスチナ自治区ガザ地区ハンユニスのナセル医療複合施設の敷地で、掘り起こされた遺体(2024年4月21日撮影)。(c)AFP

【4月23日 AFP】パレスチナ自治区ガザ地区(Gaza Strip)南部ハンユニス(Khan Yunis)の医療施設に多数の遺体が埋められていた問題で、民間防衛当局は22日、3日間の捜索で見つかった遺体は約200人になったと発表した。犠牲者はイスラエル軍に殺害、埋葬されたとされる。
 民間防衛当局の広報担当者はAFPに「職員は現在もナセル医療複合施設(Nasser Medical Complex)で遺体の収容を続けている。20日以降、200人近い殉教者の遺体が収容された」と話した。

 また、腐敗している遺体もあり身元確認は難航しているが、努力を続けると述べた。
 一方、ガザ地区を実効支配するイスラム組織ハマス(Hamas)の報道担当者は、同施設で見つかった遺体は283人だと主張。「子どもや女性を含む民間人への犯罪行為についての徹底的な国際調査を要求する」と語った。
 イスラエル軍は「この件については後日発表する」とコメントした。
 同施設一帯では2月半ばに激しい戦闘があり、3月26日にはイスラエル軍の戦車や装甲車に包囲された。(c)AFP

「 AFP」 2024年4月22日 13:03 発信地:パレスチナ自治区/パレスチナ自治区
■ガザ南部病院に50人超の遺体 拷問の痕も

【写真】パレスチナ自治区ガザ地区ハンユニスのナセル医療複合施設の敷地で、遺体を掘り起こす医療従事者ら(2024年4月21日撮影)。
【写真】パレスチナ自治区ガザ地区ハンユニスのナセル医療複合施設の敷地で、掘り起こされた遺体(2024年4月21日撮影)。
【写真】パレスチナ自治区ガザ地区ハンユニスのナセル医療複合施設の敷地から掘り起こされた親族の遺体のかたわらで嘆く人(2024年4月21日撮影)。
【写真】パレスチナ自治区ガザ地区ハンユニスのナセル医療複合施設の敷地で、親族の遺体が見つかり泣き崩れる人(2024年4月21日撮影)。

【4月22日 AFP】パレスチナ自治区ガザ地区(Gaza Strip)の民間防衛当局は21日、南部ハンユニス(Khan Yunis)の医療施設で、イスラエル軍に殺害された少なくとも50人の遺体を医療従事者が掘り起こしたと発表した。
 当局はAFPに、遺体が見つかったのはナセル医療複合施設(Nasser Medical Complex)の中庭だと説明した。
 当局の広報担当者は、同施設には「イスラエル占領軍が掘った集団埋葬地が複数あり、そのうちの一つできのう、50人の殉教者の遺体が見つかり衝撃を受けている」と述べた。また、「きょうも捜索活動が続いており、最終的な殉教者数を把握するため、全ての埋葬地の掘り起こしが終わるのを待っている」と語った。
 同担当者は「衣服を身に着けていない遺体もあり、これは間違いなく(死者が)拷問され虐待されたことを示している」と主張した。
 同施設一帯では2月半ばに激しい戦闘があり、3月26日にはイスラエル軍の戦車や装甲車に包囲された。
 AFPカメラマンもこの日、民間防衛当局の職員が施設の中庭で遺体を掘り起こしているのを目撃した。白い布に包まれた数人の遺体が親族に引き取られたという。
 イスラエル軍はこの発表について、事実関係を調査しているとコメントした。


「中央日報日本語版」 2024.04.22 08:44
■「ガザ地区病院中庭から密葬された遺体が少なくとも50体」
 イスラエルとハマスの戦争
 ガザ地区南部最大の都市ハーン・ユーニスにある大型病院の中庭から埋葬された遺体が数多く見つかったと21日(現地時間)、AFP通信が報じた。
 メディアによると、ガザ地区民防衛局は20日からハーン・ユーニスのナセル病院団地内の中庭から密葬された遺体を少なくとも50体探し出したと発表した。
 防衛局報道官は遺体発掘のことを伝えながら「すべての集団埋葬地を掘り返してはじめて最終殉教者の数を確認することができる」と話した。
 続いて「一部の遺体は衣服を脱がされた状態で埋蔵された」とし「これは彼らが拷問と虐待を受けたことを確実に見せている」と強調した。
 イスラエルと戦争中のハマスは声明を通じて50体の遺体が見つかった病院の中庭を共同墓地と称した。
 イスラエル国防軍は2月中旬にナセル病院を急襲した。
 当時イスラエル国防軍首席報道官のダニエル・ハガリ氏(少将)は「ハマスがナセル病院に人質を捉え、(病院には)死亡した人質の遺体があるという、信じるだけの情報がある」とし「これに伴い、病院内部で精密かつ制限的な作戦を展開している」と言及していた。
 このような軍事作戦によって医療陣や患者が強制避難し、国連は病院運営に支障が生じたとして懸念を示していた。
 ハマス掃討のためにハーン・ユーニスで作戦を実行していたイスラエル国防軍は7日、ガザ南部から兵力を撤収させた。


「 AFP」 2024年4月22日 12:09 発信地:ワシントンD.C./米国
■米、人権侵害でイスラエル軍部隊に制裁へ 報道

【写真】イタリア・カプリ島で、先進7か国(G7)外相会合閉幕後に記者会見に臨むアントニー・ブリンケン米国務長官(2024年4月19日撮影)。(c)Tiziana FABI / AFP

【4月22日 AFP】米国は、パレスチナ自治区ヨルダン川西岸(West Bank)で人権を侵害している疑いがあるとして、一部のイスラエル軍部隊に近く制裁を科す見通しだ。同国のベンヤミン・ネタニヤフ(Benjamin Netanyahu)首相は20日、そうした動きについて「愚行の極み」だと非難した。
 米ニュースサイト・アクシオスは同日、米情報筋3人の話として、アントニー・ブリンケン(Antony Blinken)国務長官が「数日中にも」イスラエル軍大隊への制裁を発表する見込みだと報道。制裁により、同部隊は米国の軍事支援や訓練を受けることが禁じられる。
 これに先立ち、ニューヨークの非営利報道組織プロパブリカも、国務省の特別委員会が昨年12月、西岸で活動するイスラエル軍の複数部隊や警察部隊に対して米国の支援を停止するようブリンケン氏に勧告したと報じていた。
 この件についてイタリア訪問中に記者から質問されたブリンケン氏は、報道内容を否定しなかった。詳細は明らかにしなかったものの、人権を侵害している外国の治安部隊への軍事支援を禁じる米国法に基づき、調査を行っていると説明。「決定は下している。数日後には結果が判明するだろう」と述べた。
 イスラム組織ハマス(Hamas)による昨年のイスラエルへの越境攻撃に先立つ2022年末、国務省は、在イスラエル米大使館の職員に対し、超正統派の兵士で構成された「ネツァ・イェフダ(Netzah Yehuda)」大隊による西岸での暴行疑惑を調査するよう指示。この中には、同年1月、パレスチナ系米国人(78)が拘束された後に心臓発作で死亡した件も含まれていた。
 米国がイスラエル軍部隊への制裁を示唆したのを受け、ネタニヤフ氏はX(旧ツイッター)で、「わが国の兵士がテロリストの怪物と戦っている時に軍の一部隊に制裁を科そうとするのは愚行の極み」だと反発。「わが政権はこうした動きを断固阻止する」と表明した。


「AFP」 2024年4月14日 16:27 発信地:エルサレム/中東・アフリカ
■ハマス、新たなガザ休戦案を拒否 イスラエル

【写真】パレスチナ自治区ガザで、イスラエル軍による爆撃で立ち上る煙を見る住民(2024年4月11日撮影)。
【写真】パレスチナ自治区ガザのヌセイラットで、イスラエル軍の爆撃後に出動する消防車(2024年4月12日撮影)。
【写真】パレスチナ自治区ガザ地区のデイルアルバラフで、イスラエル軍の爆撃で負傷し、病院で治療を受ける記者(2024年4月12日撮影)。
【写真】パレスチナ自治区ガザで、イスラエル軍による爆撃で負傷した少女を運ぶ住民(2024年4月11日撮影)。
【写真】パレスチナ自治区ガザで、イスラエル軍の爆撃を受けた住宅の被害を確認する住民(2024年4月12日撮影)。
【写真】パレスチナ自治区ガザのヌセイラットで、イスラエル軍の爆撃を受けた建物の残骸(2024年4月12日撮影)。
【写真】パレスチナ自治区ガザのヌセイラットで、イスラエル軍の爆撃後に立ち上る煙(2024年4月12日撮影)。

【4月14日 AFP】イスラエルの対外特務機関モサド(Mossad)は14日、イスラム組織ハマス(Hamas)が、パレスチナ自治区ガザ(Gaza Strip)での新たな休戦案を拒否したと明らかにした。
 モサドはイスラエル首相府を通じて発表した声明で、休戦案の拒否はハマスが人道的な取引や人質の返還を望んでいないことを示していると指摘。「(イスラエルと)イランとの緊張を利用」して、中東全体の緊張を激化させることを狙っていると非難した。
 一方のハマスは、「恒久的な停戦」と「ガザ全域からの(イスラエル)占領軍の撤退」を求める考えを変えていない。


「 AFP」 2024年3月27日 15:45 発信地:ジュネーブ/スイス
■ガザで「ジェノサイド」 国連特別報告者指摘に支持相次ぐ 人権理

【写真】国連人権理事会で発言するフランチェスカ・アルバネーゼ特別報告者(左)。スイス・ジュネーブで(2024年3月26日撮影)。(c)Fabrice COFFRINI / AFP【写真】国連人権理事会でフランチェスカ・アルバネーゼ特別報告者(画面右)の発言を聞く各国代表。スイス・ジュネーブで(2024年3月26日撮影)。(c)Fabrice COFFRINI / AFP 

【3月27日 AFP】国連人権理事会(UN Human Rights Council)からパレスチナ自治区の特別報告者に任命されているフランチェスカ・アルバネーゼ(Francesca Albanese)氏は26日の理事会で、イスラエルが同自治区ガザ地区(Gaza Strip)で実行している軍事作戦は「ジェノサイド(集団殺害)行為」に当たるとの持論を重ねて表明した。それを受け、アラブ諸国や中南米諸国から支持する声が相次いだ。
 アルバネーゼ氏は、「ガザにおける(イスラエルの)ジェノサイドの意思は明々白々であり、われわれは目を背けてはならず、立ち向かい、防ぎ、罰しなければならない」と主張。各国に対し、対イスラエル武器禁輸と制裁措置を呼び掛けた。
 それに対しパキスタンの代表はイスラム協力機構(OIC)を代表し、「(イスラエル)軍はハゲワシのように(ガザ南部)ラファ(Rafah)を取り囲み、ヨルダン川西岸(West Bank)では強欲にも土地侵略を続けている」とし、武器禁輸・制裁への支持を表明した。
 またエジプト代表はアラブ諸国を代表して、イスラエルは「ガザを構造的、計画的に攻撃し、人が住めないようにしようとしている」と非難した。
 イスラエルと後ろ盾の米国の代表は欠席した。(c)AFP/Robin MILLARD


「AFP」 2024年3月26日 12:42 発信地:ジュネーブ/スイス
■イスラエル、ガザで「ジェノサイド条約」違反 国連特別報告者

【写真】パレスチナ自治区ガザ地区南部の病院にイスラエル軍の攻撃で負傷した子どもを運び込む男性(2024年3月24日撮影)。(c)MOHAMMED ABED / AFP
【写真】パレスチナ自治区ガザ地区南部ラファで、イスラエル軍の攻撃で破壊された建物のそばを移動するパレスチナ人の家族(2024年3月24日撮影)。(c)MOHAMMED ABED / AFP 
【写真】パレスチナ自治区ガザ地区で、イスラエル軍の攻撃で親族を亡くした男性(2024年3月21日撮影)。
【写真】パレスチナ自治区ガザ地区中部から南部に退避するパレスチナ人の人々(2024年3月21日撮影)。
【写真】パレスチナ自治区ガザ地区北西部で、破壊された建物のそばを歩く男性(2024年3月25日撮影)。 
【写真】パレスチナ自治区ガザ市からガザ地区中部に退避するパレスチナ人の人々(2024年3月21日撮影)。 
【写真】パレスチナ自治区ガザ地区でイスラエル軍の攻撃で立ち上る煙。イスラエル南部から撮影(2024年3月14日撮影)。(c)JACK GUEZ / AFP 

【3月26日 AFP】国連人権理事会(UN Human Rights Council)からパレスチナ自治区の特別報告者に任命されているフランチェスカ・アルバネーゼ(Francesca Albanese)氏は25日、イスラエルがパレスチナ自治区ガザ地区(Gaza Strip)での軍事作戦で「ジェノサイド(集団殺害)」に相当する行為を働いたと判断する「合理的な根拠」があるとの報告書を公表した。「民族浄化」の恐れがあることにも警鐘を鳴らしている。
 アルバネーゼ氏は、イスラエルがガザで、国連のジェノサイド条約に記載されている五つの行為のうち三つに違反しているのは明らかだと指摘。
 報告書は違反行為として、「集団構成員の殺害」「集団構成員に対する重大な肉体的または精神的な危害」「集団の全部または一部に肉体の破壊をもたらすために意図された生活条件の強要」を挙げた。
 さらに、イスラエル政府の一部高官が、パレスチナ人の強制移住と自国民の入植拡大を表明していることについて、「退避命令と安全地帯を、民族浄化を達成するための集団殺害の道具として使っている」と糾弾している。
 国連の特別報告者は国連人権理事会によって任命されるが、国連を代表する立場にはない。
 スイス・ジュネーブのイスラエル代表団は、同国は「報告書の内容を断固否定する」とし、「イスラエル国家の樹立そのものを否定しようとする試みの一端にすぎない」と反発。
 「イスラエルの戦争は(イスラム組織)ハマス(Hamas)に対するものであり、パレスチナ住民に対するものではない」と主張した。
 米政府当局者はAFPに対し、報告書について把握しているが、「イスラエルがガザで集団殺害を行ったと信じるに足る根拠は得ていない」と語った。


「AFP」 2024年3月25日 13:09 発信地:パレスチナ自治区
■ガザ住民「恐怖と飢餓」に直面 国連総長、支援拡大と即時停戦訴え

【写真】パレスチナ自治区ガザ地区とエジプトの境界にある同国側のラファ検問所で記者会見する国連のアントニオ・グテレス事務総長(2024年3月23日撮影)。(c)Khaled DESOUKI / AFP
【写真】パレスチナ自治区ガザ地区とエジプトの境界にある同国側のラファ検問所を訪問した国連のアントニオ・グテレス事務総長(中央、2024年3月23日撮影)。(c)Khaled DESOUKI / AFP 
【写真】パレスチナ自治区ガザ地区ラファに近いエジプト・アリーシュにある空港に到着した国連のアントニオ・グテレス事務総長(中央、2024年3月23日撮影)。(c)Khaled DESOUKI / AFP 

【3月25日 】国連(UN)のアントニオ・グテレス(Antonio Guterres)事務総長は24日、訪問先のエジプトで、パレスチナ自治区ガザ地区(Gaza Strip)の住民は「恐怖と飢餓」にさらされているとして、人道支援の拡大と即時停戦を訴えた。
 グテレス氏は、多数の住民が避難している南部ラファ(Rafah)への地上侵攻を計画しているイスラエルに対し、計画の実行を思いとどまるよう要請。
 ガザでは240万人の住民が「ノンストップの悪夢」を強いられているとし、「銃を置き、即時の人道的停戦をすべき時がとっくにきていることを世界中が認識している」と述べた。
 さらに、ラファでは人道支援物資の輸送トラックが足止めされているとして、イスラエルに搬入を許可するよう求めた。
 イスラエル軍はこれを受け、SNSで、国連に物流面での拡充を促し、「自分たちの失態をイスラエルのせいにするのはやめるべきだ」と反論した。


「AFP」 2024年3月23日 12:40 発信地:エルサレム/中東・アフリカ
■イスラエル、西岸の800ヘクタール「国有地化」 米国務長官の訪問中

【写真】パレスチナ自治区ヨルダン川西岸のイスラエル入植地(上、2024年2月29日撮影)。(c)Menahem Kahana / AFP
【写真】イスラエルのベンヤミン・ネタニヤフ首相(右)とベツァレル・スモトリッチ財務相(2024年1月7日撮影)。(c)RONEN ZVULUN / POOL / AFP 

【3月23日 AFP】イスラエル極右のベツァレル・スモトリッチ(Bezalel Smotrich)財務相は22日、占領下に置くパレスチナ自治区ヨルダン川西岸(West Bank)のヨルダン渓谷(Jordan Valley)北部にある土地800ヘクタールを「国有地化」すると発表した。
 イスラエルの入植活動を監視するNGO「ピース・ナウ(Peace Now)」によれば、1回の接収面積としては1993年にオスロ合意(パレスチナ暫定自治宣言)が調印されて以降最大。2024年の接収面積も過去最大となる見通しだという。
 接収の発表は、ベンヤミン・ネタニヤフ(Benjamin Netanyahu)首相率いる強硬右派政権の入植地拡大を批判してきた米国のアントニー・ブリンケン(Antony Blinken)国務長官のイスラエル訪問中に行われた。ピース・ナウは「挑発」との見方を示している。
 西岸でのユダヤ人入植地の拡大は国際法違反と見なされているにもかかわらず、スモトリッチ氏は拡大計画を推し進めている。(c)AFP


「AFP」 2024年3月22日 14:41 発信地:ワシントンD.C./米国
■ガザ戦闘、若者の方がイスラエルに批判的 米

【写真】米首都ワシントンで行われたパレスチナ支持者によるデモ(2024年3月2日撮影)。(c)Mandel NGAN / AFP

【3月22日 AFP】パレスチナ自治区ガザ地区(Gaza Strip)での戦闘をめぐり、米国の若者は他の年齢層よりもイスラエルに対してはるかに批判的であることが、米調査機関ピュー・リサーチ・センター(Pew Research Center)が21日に公表した調査結果で明らかになった。
 調査では、昨年10月7日のイスラム組織ハマス(Hamas)による奇襲攻撃に対するイスラエルの対応について、18~29歳の46%が「許容できない」と回答。21%が「許容できる」とし、残りは「どちらとも言えない」と答えた。
 年齢が上がるにつれ、この数字はほぼ反転している。65歳以上でイスラエルの対応を支持すると答えた人は53%に上る一方、許容できないと答えたのは29%だった。
 調査は1万2693人を対象に行われた。
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