懇意にしている自治体の首長さんに会うためのアポを取ろうと連絡してみたところ役場の秘書さんから、「札幌に出張中なんです」とのこと。
これ幸いと、直接連絡を取って札幌で会えることになりました。
最近の自治体内部のもろもろの状況を伺うにつけ、人口減少の負の部分がじわじわと押し寄せていることに苦悩していることが分かります。
おりしも、今日有識者で作る人口戦略会議が「2020年から50年までに全国1729自治体の4割に当たる744自治体で20歳~39歳の女性人口が50%以上減り、消滅する可能性がある」とする分析を公表しました。
前回の2014年の分析と比べると、239自治体が「消滅可能性」から脱却した一方で、新たに99の自治体が「消滅可能性」に該当したとのこと。
危機感が浸透してはいるのでしょうけれど、具体的な対処の手立てとなると有効なものが見当たらないというのが現実ではないでしょうか。
また、分析では子供が生まれる女性の数を根拠にしていますが、生まれた後でも人口が都会を目指して移動することを考えると、過疎の自治体にしてみると事態はもっと深刻なように思います。
ライドシェアのような、地域が移動を助け合うような制度がようやく始まりましたが、これとても、観光地と過疎地では求められるものが異なります。
都会からみた上から目線のような規制が入り込み使いにくくしているのではないか、という視点で、常なる改良と改善が求められるでしょう。
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さて、件の首長さんとはまちなかで待ち合わせて1時間ほど話をすることができました。
いろいろな現場ならではの話が聞けるなかで、「国道、道道、市町村道の区別が強すぎて、それらが交わるところでの管理の苦労がある」というお話が興味を引きました。
どうしても道路管理者が異なるので、それぞれの思惑や事情があるのでしょうが、いつまでも自分の守備範囲だけを守っていれば良いということでは一番もろいところから崩れそうです。
過疎の地域ではそろそろもっと互いに歩み寄って連携を深めるような管理の在り方が必要になってくるような気がします。
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件の首長さんは最後に悲しいエピソードを一つ教えてくれました。
それはその自治体で採用した、非常に優れた能力と公的な資格を持った女性職員が、裕福な隣町の人と結婚して役所を退職して引っ越して行ってしまった、とのこと。
自治体としては彼女の持っている資格もありがたかったのですが、貴重な人財が失われてしまってがっくり。
おまけに彼女が嫁いだ先の旦那さんが裕福なゆえに、彼女は資格を活かした仕事につくこともなく家庭に入ってしまい、地域として才能を活かすことができていないのだそう。
「せめて嫁いでいった先で資格を生かして働いてくれればまだ送り出した側も仕方がないかな、と思えるのですが、裕福な家であるがために女性の活躍が果たされないというのは、我々のような過疎の地域では非常にもったいないと思うんですよね」と首長さんは悲しげでした。
私は「人口減少下の地方部では皆が多能工になって能力と資格を持ち寄って課題を解決してゆかなくてはならない」という持論を持っているのですが、現実にはなかなか実現が難しい事情もあるのでしょう。
人口減少への対処はペースを上げないと地域がつぶれ、地域が社会に送り込んでいる農水産物などの資源供給も失われてしまうことを真剣に考える必要があります。