北の心の開拓記  [小松正明ブログ]

 日々の暮らしの中には、きらりと輝く希望の物語があるはず。生涯学習的生き方の実践のつもりです。

わたしのまちは大丈夫か ~ 人口戦略会議のレポートを読んでみよう

2024-04-26 22:59:22 | Weblog

 

 昨日公表された人口戦略会議の『地方自治体「持続可能性」分析レポート』ですが、なんとか原本がみられないかと思って検索をかけました。

 検索上位にはこのレポートが出たことを紹介する新聞記事やテレビニュースが来て、なかなか原本にたどり着けません。

 ようやくたどり着けたのは、北海道総合研究調査会(略称:HIT)さんのホームページでした。

 https://www.hit-north.or.jp/information/2024/04/24/2171/

 
 こちらには、地方自治体の持続可能性分析レポートと、全国1729自治体の持続可能性分析リストのリンクも貼られているので、自分の関心のある自治体の将来推計を見ることができます。

 
 分析の結果をみると、北海道には非常に厳しい未来が予想されています。

 曰く、「北海道は『消滅可能性自治体』が 117にのぼる。北海道の自治体の大半は人口流出が激しく、社会減対策が必要だが、自然減対策も必要な自治体は少なくない。」とされています。

 分析の手法としては、まず「封鎖人口」という名目で、その土地で生まれてその土地で死ぬであろう人口を想定して、自然的増減を見ます。

 次にその土地で生まれた人が他の土地に移ってしまう「移動想定」の要素を加えて、社会的増減を加味します。

 この結果、将来その土地で生まれる子供が減るとすれば、出生率対策を施さなくてはならないだろうし、社会的減少で人口が減るとすれば定住対策を施さなくてはならないだろう、と政策の方向性も示唆してくれる形になっています。


       ◆

 
 分析の結果として、「封鎖人口の減少率を横軸に3つ」に分け、「移動仮定による減少率を縦軸に3つ」に分け、「3×3」のマス目を作り、地方自治体の将来像を9つに分類しています。

 封鎖人口(自然減)の減少率が20%未満で、移動による減少率が20%未満ならば自立持続可能性が高いとして「A」判定。

 それ以外をB-①、Bー②、C-①、C-②、C-③、D-①、D-②、D-③と分類されたことで、自然減対策がより必要とか社会減対策がより必要といった対策の方向性が分かりやすくなっています。

 
       ◆


 レポートでは、これらを踏まえたうえで、これから取り組むべき「人口戦略」が提言されています。

 そこで示されている2つのキーワードは、「人口定常化と(経済社会システムの)質的強靭化」です。

 人口定常化とは、人口が減るのは仕方がないとしてその現象スピードを緩和させ、最終的に人口が安定することを目指そう、というものです。

 また(経済社会システムの)質的強靭化とは、とはいえ人口が減るのは避けられないので、各種の社会システムを人口が減ってもやれる形に変える強靭化を図るべきだ、というもの。

 

 そしてレポートの最後には、これらの戦略をどのように進めるかということに対して、行った政策をしっかり評価したうえで次の戦略を立てろ、といいます。

 これまでは"とにかくやらないよりましだから何かやろう"という場当たり的な政策が多く、成果を上げていないのではないか、という反省です。

 そのうえで推進の体制を政府がしっかりと作り、国民全体で意識を共有することが必要なのだと。

 
 私が個人的に心配なのは、それらを実現させるための信頼という資源が今の政治にあるか、ということです。

 いくら良いことを言っても、「お前には付き合えない」という反発があるようでは国民が気持ちを一つにして推譲の精神を発揮して協力し合うことはできないでしょう。

 今の国会での政治資金問題が罪なのは、そうした信頼資本を与野党がともにどんどん棄損していっていることです。

 "人気がある、ない"と言ってしまえば身も蓋もありませんが、良い政策も実行するには人気資産、共感資産が必要ですし、逆を言えば、人気があれば後にわかる悪政でも国民は諸手を挙げて賛同するということだってあるのです。

 政治が信頼資産を取り戻して、国民の心を束ねるような時代が早く来ることを願うばかりです。

 

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人口減少と過疎問題 ~ 裕福ゆえのアイロニー

2024-04-24 18:32:55 | Weblog

 

 懇意にしている自治体の首長さんに会うためのアポを取ろうと連絡してみたところ役場の秘書さんから、「札幌に出張中なんです」とのこと。

 これ幸いと、直接連絡を取って札幌で会えることになりました。

 最近の自治体内部のもろもろの状況を伺うにつけ、人口減少の負の部分がじわじわと押し寄せていることに苦悩していることが分かります。

 おりしも、今日有識者で作る人口戦略会議が「2020年から50年までに全国1729自治体の4割に当たる744自治体で20歳~39歳の女性人口が50%以上減り、消滅する可能性がある」とする分析を公表しました。

 前回の2014年の分析と比べると、239自治体が「消滅可能性」から脱却した一方で、新たに99の自治体が「消滅可能性」に該当したとのこと。

 危機感が浸透してはいるのでしょうけれど、具体的な対処の手立てとなると有効なものが見当たらないというのが現実ではないでしょうか。

 また、分析では子供が生まれる女性の数を根拠にしていますが、生まれた後でも人口が都会を目指して移動することを考えると、過疎の自治体にしてみると事態はもっと深刻なように思います。

 ライドシェアのような、地域が移動を助け合うような制度がようやく始まりましたが、これとても、観光地と過疎地では求められるものが異なります。

 都会からみた上から目線のような規制が入り込み使いにくくしているのではないか、という視点で、常なる改良と改善が求められるでしょう。
 
 
      ◆


 さて、件の首長さんとはまちなかで待ち合わせて1時間ほど話をすることができました。

 いろいろな現場ならではの話が聞けるなかで、「国道、道道、市町村道の区別が強すぎて、それらが交わるところでの管理の苦労がある」というお話が興味を引きました。

 どうしても道路管理者が異なるので、それぞれの思惑や事情があるのでしょうが、いつまでも自分の守備範囲だけを守っていれば良いということでは一番もろいところから崩れそうです。

 過疎の地域ではそろそろもっと互いに歩み寄って連携を深めるような管理の在り方が必要になってくるような気がします。


      ◆


 件の首長さんは最後に悲しいエピソードを一つ教えてくれました。

 それはその自治体で採用した、非常に優れた能力と公的な資格を持った女性職員が、裕福な隣町の人と結婚して役所を退職して引っ越して行ってしまった、とのこと。

 自治体としては彼女の持っている資格もありがたかったのですが、貴重な人財が失われてしまってがっくり。

 おまけに彼女が嫁いだ先の旦那さんが裕福なゆえに、彼女は資格を活かした仕事につくこともなく家庭に入ってしまい、地域として才能を活かすことができていないのだそう。

「せめて嫁いでいった先で資格を生かして働いてくれればまだ送り出した側も仕方がないかな、と思えるのですが、裕福な家であるがために女性の活躍が果たされないというのは、我々のような過疎の地域では非常にもったいないと思うんですよね」と首長さんは悲しげでした。

 私は「人口減少下の地方部では皆が多能工になって能力と資格を持ち寄って課題を解決してゆかなくてはならない」という持論を持っているのですが、現実にはなかなか実現が難しい事情もあるのでしょう。

 人口減少への対処はペースを上げないと地域がつぶれ、地域が社会に送り込んでいる農水産物などの資源供給も失われてしまうことを真剣に考える必要があります。

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都市計画の限界と高齢者への寄り添い

2024-04-22 23:09:33 | Weblog

 

 人口減少下でどのように都市の機能を維持するか、というテーマでは必ず広がった市街地を縮小させねばならないという「コンパクトシティ」が議論になります。

 人口が増加していた時代に市街地を増やすときには、原野を開発すれば土地の価値が一気に高まるので経済原理をエンジンにするだけで拡大はスムースに進みます。

 しかし例えば市街化区域を市街化調整区域に落として建物を建てられないようにするというようなことにすると、土地の価値が一気に下がり地主にしてみると財産が減るという恨みを伴います。

 人口減少はただ人が減るだけではなく、財産が増えた時代から減る時代になるという時代感覚ですが、それに我々が着いて行けるかどうかが問題です。

 それ以外にも、人口をまちの中心に移動させるには、町の利便と魅力を高める「アメ」の政策と、周辺に住んでいることが不便になってゆくことからそれが辛くて便利なまちなかに住まいを替えることを期待する政策が考えられます。

 しかし産炭地など、かつては人口が多かったのに産業がなくなってしまったところでは、もはや不便ながら住まいを替えようとしない住民も多くいます。

 都市計画の手法では交通政策や住宅政策で便利と不便を武器にしますが、特に高齢者はそれらの政策では心が動きません。

 少しくらい暮らしが便利になるよりは、「今の暮らしを変えたくない」という気持ちの方が勝ってしまうと言います。

 なので、もはや都市計画に携わる人たちの中にも、「もう高齢者は無理が効かないので政策も有効ではなく、諦めるしかないのではないか。政策の対象はせいぜい40代くらいまでの住民になるのではないか」という話が出てきます。

 ある意味、都市計画だけでは限界を感じます。


 しかし、その一方で高齢者、特に身寄りのないお年寄りでは賃貸物件が借りられない、という事が問題になっています。

 こちらは、移動したくてもできないという需要があるという事です。

 つまり、コンパクトシティに導くには、縦割りの都市計画だけではなく、住居政策、福祉政策なども縦横に組み合わせたトータルな地域づくりの力が求められるということです。

 行政も縦割りでは限界が露呈するので、それぞれの担当者が横連携を強くしたり、トータルの政策に強い人材を育成するという事が必要になってくるでしょう。

 ただ、人口減少下では行政も職員が減少したり教育や熟練の機会が少なくなってゆくという側面もあります。

 「地方に暮らすためには一人ひとりが多能工でなくてはならない」というのが私の持論ですが、行政職員もさまざまな政策に詳しい多能職員が求められます。

 生涯学習の精神は、そういうところにも生きてくるのだと思います。

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フォークリフトの作業免許取得

2024-04-20 23:56:33 | Weblog

 

 昨日と今日の二日間で、フォークリフトの作業免許を取得してきました。

 今年の冬に取った大型特殊免許は、様々な大型車両で公道を走るための免許で、大特に分類される様々な作業機械はそれごとに作業免許を取得しなければなりません。

 前回はバックホウ、ブルドーザー、ホイールローダーという整地系建設車両の作業免許でしたが、今回はフォークリフトの免許です。

 フォークリフトも、1トン以下の小型のものならば3日間くらいの特別教育で作業できるのですが、大特を取ったうえでフォークリフトの作業免許を取得すれば1トン以上の上限のないフォークリフトも運転することができます。

 大きなものでは港でコンテナを積み下ろしするようなものから林業で原木を運ぶようなものまでありますから用途は広いです。

 ただ、重たいものを運ぶのでやはり転倒などの事故も多く、作業には訓練と慣れが必要です。

 
 昨日一日は朝から晩までフォークリフトに関する各部の説明、力学、関連法制度などの説明で最後に試験がありました。

 一日中の座学というのは案外しんどいものでしたが、聞きなれない単語もあるので寝ているわけにもいきません。

 
 一日経った二日目の今日は朝から実際にフォークリフトに乗って作業をする実地練習と検定です。

 フォークリフトは車体の前についているフォークを上下させたり傾けたりして作業をしますが、今日の練習と検定は、パレットに積まれたコンクリートの塊を台から下ろして運搬してまた元に戻すというもの。

 フォークリフトの荷役機械部分は上下と前後の傾きという日本のレバーがあるだけで、あとは運転のための前後進レバーと、ハンドル、アクセル、ブレーキがあるだけ。

 一見簡単に感じますが、作業は合間合間に確認の言葉を発しなければいけないので、それに気を取られると作業がおろそかになり、作業に集中すると言葉が出てこないということで、まずはそこへの慣れが大切になります。

 またフォークリフトの運転では、運転方向の切り替えは後方の車輪が動くことで向きを変えるのが最大の特徴。

 細かい取回しが可能な反面、自動車のハンドル感覚とは全く違うので慣れるしかありません。

 台の上に置かれたパレットにフォークを差し込んで持ち上げるのにも角度などに微妙なコツがあって、それも慣れるのに一苦労。

 今回は12人の受講生に対してフォークリフトが2台ということで、6人で1台を使いまわして練習しましたが、3回しか運転することはできませんでした。

 それでも頭をフル回転させて、(次に何をするか)を懸命に思い出しながらの操作を行います。

 自分以外の人が作業しているときは、「あ、あの声出しが抜けた」とか「手順を一つ飛ばした」とか「ハンドルを回すのが早い」など不手際が良く分かるのですが、いざ自分がやってみると頭が真っ白になる瞬間があって、冷や汗のかきどおしです。

 一緒に受講した人たちとは同じ思いを共有できるのですぐに打ち解けて、「あそこが難しいポイントだ」とか「先生にこういわれた」などの情報を共有しながらお互いにスキルを高めるための協力関係が結べます。


 その中の一人に「どうしてフォークリフトの免許を取ろうと思ったんですか」と訊いてみると、その方は「定年になって長距離トラックを降りたんですが、小さなトラックでも荷物を運ぶときに荷待ちがあって、自分で積み下ろしができればその分時間が短縮できるというメリットを感じまして」とのこと。

 まあ何でも「できる」という事は良いことなのだと思います。

 結果的に全員合格で喜びを分かち合いました。

 フォークリフトって、様々なアタッチメントがあってそれらを駆使するといろいろなものが楽に運べるので面白い機械です。

 
 たまには脳の使ったことのない部位をフル回転させる経験と言うのも面白いものです。

 さて次は何にチャレンジしましょうか。 

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「経済評論家の父から息子への手紙」を読む

2024-04-18 23:01:35 | 本の感想

 

 『経済評論家の父から息子への手紙』(山崎元著 Gakken)を読みました。

 経済評論家の山崎元さんは、1958年北海道生まれなので私と同い年。

 札幌南高校から東大へ進学し、卒業して三菱商事に入社した後に野村投信、住友生命など12回もの転職をしつつ、その間経済解説や資産運用のコンサルタントとしてメディアに登場するようになりました。

 答えを先に言うと、山崎さんは今年2024年1月にガンのために亡くなりました。

 2022年に喉頭ガンがわかり治療をしたのですが、2023年にガンが再発し余命を感じたときに、東大に合格・進学したことを祝った息子への手紙を書きました。

 それを「我ながら良い手紙になった」と出版社に見せたことが、「これをベースに若者たちへのメッセージを本にしませんか」という話になり、余命3か月あれば書こうということで執筆したのがこの本です。

 余命を感じていた中だったでしょうが、本書の中にもしばしば登場するように「変えられない過去はサンクコストとして諦めればよい」と、暗いところが一切ありません。

 それよりは、前に向かって未来に何が得られるかという視点に貫かれていて、それは生前の山崎さんの経済コンサルタントとしての生き様に合致したものになっています。


     ◆


 内容は、自分の人生経験から、「第一章 働き方・稼ぎ方」、「第二章 お金の増やし方と資本主義経済の仕組み」として、株式投資の意味とそれの利用の仕方、また投資をするときのコンサルタント的な指導がふんだんに盛り込まれています。

 そのうえで父親らしいアドバイスがちりばめられた「第三章 もう少し話しておきたいこと」と「終章 小さな幸福論」で著者の人生哲学が語られます。

 山崎さんは幸福の源について、「人の幸福感は100%、『自分が承認されている感覚(「自己承認感」と呼んでいます)』でできていると思う」と結論付けました。

 また「モテ具合」も重要のような気がする、とも書いています。

 そして「モテるための秘訣は、自分を語らずに相手に興味を示してひたすら聞くことだ」とも。

 息子への結論は、「モテる男になれ。友達を大切にしろ。上機嫌で暮らせ!」ということで、お金などはそれを実現しやすくするための手段でしかない、と。

 お金などは、幸せを実現できる程度にあれば良くて、多ければ多いほど良いとか、それを目的にするようなものではない、とも。

 
     ◆


 巻末には、実際に著者が息子さんに当てた手紙の全文が掲載されています。

 涙を誘うのは以下の一節でした。

 "一つだけお勧めしておこう、子供はできるだけ早く持つと良い。…世間でいうと叱られそうだが、特に息子はいい。自分の息子が可愛いと思う時に、かつて自分の父親は自分のことをこんなに可愛いと思っていたのかと、感じ入るときがあるのだ"

 親から自分、自分から子供へと世代が移り変わってゆくときの親の心情を表して余りある文章です。

 
 働いて、稼いで、幸せに生きるための父親からのメッセージ。

 ご一読をお勧めします。

  
 

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そうなるための勉強 ~ これが我らの行く道ぞ

2024-04-16 23:11:12 | Weblog

 

 先日、同世代でやはり介護の資格を取った友人に会いました。

 彼も機会があれば介護の仕事をしても良いと思ってはいるものの、まだ介護の仕事には着いていないとのこと。

「でも仕事にするかしないかに関わらず、この歳で介護の勉強ができたのは良かったと思うんだよね」と彼。

 私もそれは感じていたところです。

「だってさ」と彼。

「僕らの社会は、社会人としての知識や素養を身に着けるために小学校から大学まで勉強させてもらっているんだよ。社会人になるためにはそれだけの準備期間と学習機会を設けているのに、高齢になるという事への知識や素養を身に着ける機会はないだろう」

「確かにそうだね」
「歳を取るという事がどういうことなのか、どういう変化が自分に訪れるのか、自分で日常生活をこなすことができなくなったらどこに相談するのか、そもそも介護せいどってどうなっているのか。そんなことを勉強しないままに自分の高齢期を迎えるというのは、小中高大を経ずに社会に出るようなものだと思うようになったよ」

 まあもうすぐ高齢者と言うのは現役の社会人なのであって、ある程度のベースはできているうえでの高齢化です。

 幼子が成長するのとはわけが違うとは思いますが、それでもこの先に何が待ち構えているかをしらないまま進むのと、ある程度知識を持って予想を立てて立ち向かうのでは構え方がかわるかもしれません。

 高齢で体が弱るのは、どこがどう弱るかは予想がつかないものです。


      ◆


 さらに別な日に、病院で以前地域の会合でお世話になった10歳年上の方に会いました。

 するとその方は「小松さん65歳? 僕は体力で言うと65歳がピークだったなあ。 そこからだんだんに歩く速度が遅くなったりして体力が減ってゆくのを感じるようになりました」と言っていました。


 これからゆく道のことをまずは少しずつ勉強しておきたいものです。

 

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人口減少下の都市はどうしてゆけばよいのでしょう ~ 都市計画学会は考える

2024-04-15 21:08:29 | Weblog

 

 遅ればせながら、先週の土曜日に公益社団法人日本都市計画学会の北海道支部総会がありました。

 議事そのものは淡々と進み、昨年度の事業報告承認と令和6年度の事業計画、予算計画を承認して終了です。

 当支部の総会は大体が簡単に終了するので、夜の懇親会の前の時間を利用して、様々な講師をお招きして特別講演を行うのが恒例になっています。

 今回は、日本都市計画学会の会長で、早稲田大学 創造理工学部 社会環境工学科 教授の森本章倫先生にお越しいただき、「次世代交通とこれからの都市計画」というテーマでお話をいただきました。

 次世代交通と言うとどこか大都市での交通手段のように思われがちですが、実際は地方都市でもこれを活用して住民の暮らしを支えることを考えているところが多いのです。

 その代表的取り組みが宇都宮市のライトレールです。

 これは宇都宮市をはじめ関係の企業・団体が出資をして宇都宮市にLRT(=Light Rail Transit)という何もないところに全く新しい路面電車を走らせた事業です。

 森本先生はこの結果、鉄道の沿線の地価が上がり建物が建設されて経済効果が発揮されていると高い評価を与えています。

 一部市民団体からは「赤字になるから反対だ」という反対論もあったようですが、森本先生も先頭に立って「そもそも赤字にはならないし、もしも赤字になったとしても宇都宮市ではそれをカバーできる」という説明してきたのだそう。

 まあ市の財政がある程度豊かな宇都宮市だからこそできたという側面もあるでしょうけれど、新しい都市のあり方にも良い影響を与える公共事業なのでしょう。

 最後に北大の高野先生からコメントがあって、「宇都宮のLRTの先進性は、軌道や車体などは公共が提供をする一方で運営会社は運営だけを行うという『上下分離方式』でやっているところです。多くのところでは鉄道軌道をやろうとすると、『鉄道の維持管理までを料金などの収入で賄え』という実際には無理な理屈で運営をして赤字になってしまっている。その固定観念を突破したところが宇都宮のLRTなので、そこをぜひ強調して、次に続く事例のさきがけとして活躍していただきたいと思います」というお話がありました。

 単に都市内に路面電車を走らせたというインフラ建設だけではなく、上下分離と言う形で経営が成り立つ仕組みそのものを試みている宇都宮市のLRT、興味深いお話でした。


      ◆

 

 また興味深かったのは、人口減少下の我が国において我々はどのような都市像を目指すべきか、ということでした。

 それは今社会では相矛盾する施策が同時進行で進められているのではないか、ということです。

 ひとつはスマートシティ。

 これは情報通信技術や新技術を駆使して都市をマネジメントして効率化を果たし、どんな環境の住民をも支えようという思想です。

 様々なデータを収集と活用して、上記のような新交通もあればエネルギー管理をすることで環境にやさしく効率性を向上させて住民の悩み苦しみを解決しようという都市像です。

 もうひとつがコンパクトシティ。

 もう日本全体では人口が減少局面に入り、特に地方都市ではどんどん高齢化と人口減少が進んでいるのにまだ市街地面積は増えたりもしています。

 だだっ広く広がった既存の都市の形をいつまでも温存するのではなく、拠点を中心に集約化を進めて都市を小さくしてゆかねばならない。

 それができると、管理費が安くなり効率的な住まいと暮らしが実現するという都市像です。

 どちらかというと都市を小さくしないともう減ってゆく住民の負担では都市を維持管理できなくなるだろうという予測の下、コンパクトシティの方が急がれる感じですが、その一方でスマートシティで不便なところも支えようというのでは、都市は小さくなるべきかそれともならなくてもいいのか、目指す都市像が混乱してしまいます。


         ◆

 

 さて、都市の形を変えてゆく気持ちのエンジンにはなにがあるか。

 一つには「そうなった方が便利だ」という魅力で動く場合、そしてもう一つには「今のままではどんどん不便になるぞ」という恐怖で動く場合の二つがあるでしょう。

 都市計画もそれらを巧みに使いながら将来の都市の形を誘導してゆきたいのですが、困ったことに一定以上の歳を取った高齢者は魅力でも恐怖でも動きません。

「なんでもかんでも、とにかく今を変えたくないからこのまま死なせてくれ」

 そういう人にはアメもムチも効果はありません。

 日本の地域社会が高齢化してゆくと、ゆくゆくは変えようにも変えられない地域社会ばかりになりそうです。

 それでも都市計画とは、将来を見越してあるべき姿を唱えて、そこをめがけて動かそうという取り組みです。

 皆さんの住んでいるまちの将来あるべき姿はどのようなものでしょうか。

 便利になりますか?

 不便になりますか?

 それは自ら変えられることですか?

 自分と言う個人と社会とどちらが大切になるでしょうか?

 都市計画って案外面白い学びの場でもありますね。


けるモビリティ(=移動できるということ)と都市計画の関係でした。

 

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蕎麦研究会の年次総会 ~ 高齢化の波と安定の美味しさと

2024-04-14 23:26:23 | 蕎麦打ち

 

 今日は参加している北海道そば研究会の年次総会が砂川でありました。

 登録会員の通し番号は405番まであるものの、今年は物故者も一名いるなど、今や年会費を払って参加している実数は78名となった我が会です。

 今年は創立以来36年目になり、北海道の手打ちそば愛好会としては最も初めにできた老舗の会で本部は奈井江町にあります。

 しかし手打ちそば愛好家が増えるにしたがって全道各地(もちろん全国各地にもですが)に手練れの方が会を立ち上げて、手打ちそばの会はここだけではなくなりました。

 それに少子高齢化の波を受けて、会の平均年齢も年々向上するばかり。

 会場を見渡しても男性は大体が70歳以上の方ばかり。

 最近は女性の愛好家も増えて新しく入会してくださる方もいますがそれでも50代以上の方が多いのです。

 聞けば、札幌などの都会では退職して趣味を求める方がちらほらと入会してくるようですし、例会と称して月に一度など実際に蕎麦を打つ機会にも恵まれているので都会の会はまだ人数も安定しているとのこと。

 それに比べると奈井江町、砂川市、滝川市、赤平市などの会員を中心とする我がそば研究会は若い人の新規参入と言う点ではどうしても不利のようで、年々亡くなる方もいたりして会員数が減少傾向がやみません。

 会の存続が心配です。


       ◆


 会の活動報告では、昨年まで9月に開催されていた浦臼ぼたんそば祭りが、昨年をもって終了し、今年度からは開催されなくなったとのこと。

 会として参加する蕎麦イベントはとうとう幌加内新そば祭りだけになりました。

 蕎麦イベント以外では例会としてこの地域で蕎麦を打つ会を月に一度開催していますが私はなかなか参加できず、幌加内だけの参加イベントです。

 趣味の一つとしては肉体的健康にも食事的健康にも効果のある手打ち蕎麦なので、退職してからなどと言わずに現役の最中からもっとたくさんの人に参加してほしいものです。


       ◆


 総会が終わったところで、恒例の蕎麦の試食会です。

 今日は昨年幌加内でメニューとして提供して評判の良かったかき揚げをつくり、それを冷かけそばでいただきました。

 なんだかんだいってやはり私が揚げ担当ということになりました。

 かき揚げって、市販の出来合いのものは薄っぺらいという印象ですが、手作りのかき揚げは縦に厚くてふわっとしているものです。

 こつは天ぷら粉とともに片栗粉を混ぜて種に粘り気を出すことで、これがないと具材がばらばらになっちゃいます。

 蕎麦とつゆの組み合わせは安定の蕎麦研の味で、いつもながら大満足でした。

 振り返ると、参加者皆が素人で腕を競って上手になろうと頑張っていた25年前が懐かしいなあ。

 今年の幌加内新そば祭りは8月31日(土)~9月1日(日)の二日間です。

 ぜひご来場ください。

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半年ぶりの歯科健診 ~ 歯の磨き方の採点は…

2024-04-12 23:34:32 | 健康

 歯医者さんに歯の健康チェックに行ってきました。

 以前は3か月ごとに行っていたのですが、「小松さんは歯の磨き方ができているので、もう少し間隔をあけても良いね」と言われていて、今回は半年ぶりの健診です。

 磨き方ができていると言っても、前回のチェックの時でも歯垢の除去率は95%くらいでした。

 以前歯垢に色のつくプロが使う薬を買ったのでたまにそれを使ってチェックするのですが、そのときは案外きれいに取れているように見えるのですが、やはりどうしても磨き残しが出てしまいます。

「どうしても歯全体の数パーセントは残るんですよね」と言うと、歯科衛生士さんは「もうどの辺の歯垢が残るかわかっているのでしょうから、そこを意識して磨くと良いですね」と言われました。

 私の場合は、普通の歯ブラシを使う前に歯間ブラシで歯と歯の間をきれいにします。

 あとはたまに糸ようじ(デンタルフロス)と先端の尖ったタフトブラシを使って歯垢を落とすのですが、どうやらこのタフトブラシの当て方が悪いらしい。

 私はそれまで歯と歯の隙間にまっすぐ入れて磨いていたのですが、それではどうしても隙間の奥に歯垢が残ります。

 先端がとがっていても届き切らない部分が出るのですが、歯科衛生士さんがは歯に左右別々の角度からタフトブラシを当ててきれいにしてくれました。

 図の右のように、「歯のそれぞれの曲面に対して垂直に当てて磨くと良いですよ」とのこと。


 
 今回はその教えを忠実に守って、いつも磨き残しが出るところにタフトブラシを当てて、しっかり磨いたつもりで汚れチェックに臨みました。

 すると成績は…「残念、一か所だけ汚れの取れていないところがありました」とまたしても満点のがし。

「どこですか?」

 鏡で見せてもらうと、一本だけ犬歯の奥の小臼歯の根元に汚れが残っていました。

「歯に詰め物をしたところなのでどうしても汚れが付きやすいんですね。歯と歯の隙間は良かったんですけど、惜しかったです!次も頑張りましょう」 

 歯ブラシもただ磨けばよい、というのではなく、歯に当てる角度などをちゃんと考えることと、なによりも着色剤などで見える化してあげて、自分の歯の汚れをチェックしましょう。

 
    ◆

 最近は歯の汚れから歯周病菌が体内に入ると万病の元になるということが分かってきて、心筋梗塞や糖尿病、果ては認知症にも悪い影響を与えるのだそうです。

 まずは歯を健康に保って、食事を美味しくいただくようにしましょう。

 歯は大切に。

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楽しみながら災害に備えるアミューズメントパーク「nuovo」 ~ 重機ボランティアになろう

2024-04-11 22:03:30 | Weblog

 

 今日の日経新聞に「重機操るボランティア」という記事がありました。

「地域の風」というコーナーで、「災害の被災地で頼りになるのが重機だ」とのうえで、「一般の人が重機の操作を修得できる講座を開き、重機を操るボランティアとして被災地に派遣している団体が長野県小布施町にある」との記事でした。

 私が大特免許と車両系技能講習(整地)を取得している最中に発生した能登半島地震では重機ボランティアが出動した、とあって、この手の資格取得の背中を押してもらった気がしたものです。

 記事にある団体とは一般財団法人・日本笑顔プロジェクトで展開している施設が防災パークnuovo(ノーボ)。

 そしてまさにこちらが重機ボランティアを派遣した元団体なのでした。


     ◆

 
 そもそもこの団体の発足は、2019年10月に発生した千曲川の氾濫でこの地域の果樹をはじめとする多くの農地が被災したことで、手作業によるボランティアの限界を感じたことが発端なのだそう。

 手作業は限界だ、と重機を手配したものの肝心のオペレーターが不足です。

 黙っていると果樹がどんどん弱ってしまう危機を前に、団体代表の林さんは自ら重機オペレーター育成に乗り出すことを決めました。

 とりあえずは「小型車両系(3t未満)建設機械運転業務特別教育講習(特別講習)」で小型の重機運転ができる資格取得者を獲得しようと、本拠地である小布施のお寺へ講師を招いて、特別講習を開催してもらいました。

 講習は20019年12月~20年2月にかけて合計6回開催されて、重機の構造や関係法令などの座学と筆記試験、続いて実際の重機を使った実技講習を経て、全部で6回の講習で115名のオペレーターを確保できたのそうです。


 こうした経験を踏まえて、「災害への備えを楽しみながら」という視点で構成されたのが、体験型ライフアミューズメントパーク「nuove」でした。

 nuovoとは、イタリア語で"新しい"を意味する言葉ですが、同時に「農業」+「防災」の「農防」も書けているとのこと。

 平時を楽しみながら有事に備えるという日本初の施設です。

 
 こちらでは重機の免許取得講習を開催して、1000名のオペレーターを育成したい、と大きな夢を持っています。

 同時に、実際の被災地での重機捜査は難しいところがあることから、現場を想定した訓練場にもなるとのこと。

 このnuovoは、千葉県と埼玉県にもあるようですが、災害の多い我が国の現状を考えると、北海道にも1か所はあって、日頃から小型の重機を動かせる人材を確保することが極めて大切なことだと思います。


      ◆


 実際私も、資格は取得したものの日頃から日常的に機会に触っているわけではないので、すぐに動かせるかと言うと自信はありません。

 この手の訓練施設は近くにぜひあってほしいなあ。

 子供の時から重機に親しみましょう、スローガンは「ヒーローになろう」ですって。かっこいい!


【日本笑顔プロジェクト公式サイト】 https://egaonowa.net/nuovo/

 

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