石油と中東

石油(含、天然ガス)と中東関連のニュースをウォッチしその影響を探ります。

ホームページ「マイ・ライブラリー」のご案内

2024-05-07 | その他

 これまでにブログおよび各種の雑誌への寄稿等に発表したレポート、エッセイ等を「マイ・ライブラリー(論稿集)」としてまとめました。 日々のニュースをモニタリングしているブログ「石油と中東」及び荒葉一也編集ブログ「OCIN Initiative」及び「Middle East Informant」とあわせてお読みください。

おすすめのコーナー:

・(New)世界のGDP(IMF WEO 2024年4月版)

・(New)世界ランクシリーズ4 人間開発指数(2023-24年版)

・(New)五大国際石油企業2023年1-12月業績比較

・(New)世界ランクシリーズ6 腐敗認識指数(2023年版)

 

・戦後ガザはどうなるのか?当事者たちの本音と本性

・世界主要国のソブリン格付け(2024年1月現在)

・世界ランクシリーズ10 報道の自由度

・世界タンクシリーズ1 人口・出生率・平均寿命

・アラブ世界の大企業500社番付

・アイアンドーム防空システムの裏をかくハマス

グローバルサウスに傾斜するMENA諸国(MENAの多国間関係)

・EI世界エネルギー統計2023年版

・世界ランクシリーズ8 世界平和指数(2023年版)

世界ランクシリーズ5 男女格差指数(2023年版)

・(再録)サウジアラビア・サウド家

・エッセイ「挽歌・アラビア石油(私の追想録)」

 

 

コメント (1)
  • Twitterでシェアする
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

日本の年間軍事支出は世界10位:世界及び中東主要国の軍事費と武器輸出入(5)

2024-05-07 | その他

(世界ランクシリーズ その7 2024年版)

 

6.世界の武器輸出国と輸入国

 ここでは世界の武器の輸出入額を取り上げる。各国の輸出入額は年度によって大きく変動するため、2014年から2023年までの10年間の累計額について比較検討を行う。

 

(世界の4割を占める巨大な武器輸出国―米国!)

(1)主要国の武器輸出額(2014年~2023年累計額)

(表http://rank.maeda1.jp/7-T06.pdf及び図http://rank.maeda1.jp/7-G06.pdf参照)

 2014年から2023年までの10か年間の武器輸出累計額は世界全体で2,850億ドルであり、年間平均では285億ドルになる。国別では米国が際立って多く、同国の10年間の輸出総額は1,080億ドルである。これに次ぐのはロシアの460億ドルであった。世界全体に占める割合はそれぞれ38%及び16%であり、2か国を合わせると世界の武器輸出額の5割強を占めている。

 

 米国、ロシアに次いで輸出額が多いのはフランスの257億ドルであるが、米国あるいはロシアの2乃至4分の1にとどまっている。これら3カ国に続いて10年間の累計輸出額が100億ドルを超えているのはドイツ(169億ドル)、中国(167億ドル)、英国(111億ドル)である。なお次項(輸入額)に触れるとおり中国は輸入額でも世界第7位であり輸出入双方で世界上位10カ国に入っているのは同国だけである。

 

 武器輸出額7位から10位はイタリア、イスラエル、スペイン及び韓国である。上位10か国のうちヨーロッパ諸国が半数を占めており、ヨーロッパは世界的な武器生産地域であることがわかる。なお上位10カ国は戦闘機、艦船、戦車、ミサイルなど高額な兵器を得意としているため輸出額が膨らんでいる。しかし世界の多くの紛争地域では小銃、機関銃、地雷、ロケットなど小型火器が使われている。その意味ではトルコ(輸出総額32億ドル、世界12位)は米国あるいはロシアに比べ金額的には少ないが影響力は小さくないと言えよう。なおトルコは攻撃型UAV(ドローン)の輸出に力を入れているが、このような比較的安価なIT兵器は今後トルコを含めた開発途上国の有力な輸出商品になるものと思われる[i]

 

(続く)

 

本稿に関するコメント、ご意見をお聞かせください。

     前田 高行     〒183-0027 東京都府中市本町2-31-13-601

                   Tel/Fax; 042-360-1284, 携帯; 090-9157-3642

                   E-mail; maeda1@jcom.home.ne.jp

 

[i] レポート「中東に広まるドローン(UCAV)の開発と軍事利用」参照。

 

コメント
  • Twitterでシェアする
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

見果てぬ平和 ― 中東の戦後75年(151)

2024-05-07 | 中東諸国の動向

(英語版)

(アラビア語版)

 

(目次)

 

第6章:現代イスラームテロの系譜(6

 

151やすやすと国境を越えるイスラーム・テロ(2/4)

イラン革命に呼応してサウジアラビアではマフディ(救世主)を名乗る人物によるマッカ大神殿占拠事件が発生した。サウジアラビアのファハド国王はテロを力づくで抑えつけたが、この事件で宗教の怖さを再認識し政教一致国家のイランを敵視するようになる。

 

その一方でサウド家の宗教的立場を正統化するため、彼は1986年に自らを「マッカ・マディナの二大聖都の守護者」と名乗るようになる。サウド家自身はあくまで世俗権力である。国王のほかに聖都の守護者というもっともらしい称号を付け加えて宗教的な権威づけを行ったのである。

 

(続く)

 

 

荒葉 一也

E-mail: Arehakazuya1@gmail.com

 

コメント
  • Twitterでシェアする
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

中東と石油のニュース(5月6日)

2024-05-06 | 今日のニュース

(石油関連ニュース)

原油/天然ガス価格チャート:https://tradingeconomics.com/commodity/brent-crude-oil

・サウジ、6月アジア向けA/L 2ドル値上げ。Dubai/DME Oman+2.9ドル

(中東関連ニュース)

・ガザ停戦交渉、暗礁に。ハマス代表団、カイロからカタールに戻る

・イスラエル、本部カタールのアル・ジャジーラTV事務所に閉鎖命令

・イラククルド地区バルザニ大統領がイラン訪問

・UAE:Mubadala、ブラジルでバイオ燃料に135億ドル投資

・サウジ:2023年の自動車輸入台数93,199台、前年比40%増

・トルコ:イスタンブールの交通渋滞は年間100億ドルの損失

・河野IT相:サウジとのIT関係強化に期待

 

コメント
  • Twitterでシェアする
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

日本の年間軍事支出は世界10位:世界及び中東主要国の軍事費と武器輸出入(4)

2024-05-06 | その他

(世界ランクシリーズ その7 2024年版)

 

(歳出の半分を超えるウクライナとベラルーシ!)

4.歳出に占める軍事費の比率

(図http://rank.maeda1.jp/7-G04.pdf参照)

 次に歳出に占める軍事費の比率を見ると、世界1位はロシアと戦争中のウクライナであり、同国は歳出の6割近くを軍事費に充当している。第2位はウクライナの隣国でロシアの友邦国ベラルーシである。同国も軍事費が歳出の5割を占めている。第3位以下はサウジアラビア(24.04%)、ミャンマー(20.68%)及びオマーン(20.66%)であり、上位5カ国の軍事費は歳出の20%を超えている。サウジアラビアの軍事費は金額及び一人当たりで世界5位、GDP比率では世界4位である(1~3節参照)。世界最大の産油国の一つである同国は軍備に金を惜しまない国であることを示している。

 

 その他主要国の比率を比べると、ロシアは世界10位の16.14%、イスラエル14.59%(世界14位)、韓国11.10%(世界24位)であり、世界29位のブルネイ(10.23%)までが10%を超えている。米国の比率は9.06%であり、インドは8.15%、中国4.97%である。上記以外の主要な中東諸国ではイランが13.53%(世界20位)、エジプトは4.15%(世界88位)である(トルコはデータなし)。

 

このような中で日本の比率は2.82%にとどまっており、世界121位と際立って低いのが特徴である。

 

(続く)

 

本稿に関するコメント、ご意見をお聞かせください。

     前田 高行     〒183-0027 東京都府中市本町2-31-13-601

                   Tel/Fax; 042-360-1284, 携帯; 090-9157-3642

                   E-mail; maeda1@jcom.home.ne.jp

 

コメント
  • Twitterでシェアする
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

日本の年間軍事支出は世界10位:世界及び中東主要国の軍事費と武器輸出入(3)

2024-05-05 | その他

(世界ランクシリーズ その7 2024年版)

 

(ウクライナが突出、GDPの37%に達する軍事費!)

3.軍事費のGDP比率

(図http://rank.maeda1.jp/7-G02.pdf 参照)

 各国のGDPに占める軍事費の比率を見ると、世界1位はウクライナであり、その比率は37%である。2位レバノンの8.9%に比べウクライナは突出している。3位以下の国とその比率は次のとおりであり、9位のイスラエルまでがGDP比率5%を超えている。

 

 アルジェリア(8.17%)、サウジアラビア(7.09%)、南スーダン(6.26%)、ロシア(5.86%)、アルメニア(5.45%)、オマーン(5.40%)、イスラエル(5.32%)、ヨルダン(4.91%)

 

 上位の顔触れを見ると中東・北アフリカ(MENA)諸国が多い。これに次いで多いのがウクライナ、ロシア、アルメニアなど中東と隣接したユーラシア地域の国々である。紛争が多い両地域が過大な軍事費を負っている姿が浮かび上がる。中東地域の大国であるトルコ、イラン及びエジプは軍事費総額ではそれぞれ世界22位、26位、52位であるが、GDP比率はイラン2.06%、トルコ1.50%、エジプト0.87%で、世界順位はそれぞれイラン50位、トルコ83位、エジプト118位であり、エジプトは軍事費のGDP比率が世界の中でも低い。

 

その他の主要国を見ると米国は3.36%、韓国2.81%、インド2.44%、中国1.67%などである。日本のGDP比率は1.20%、世界102位であり欧米先進国の中でも最も低い水準にとどまっている。

 

(続く)

 

本稿に関するコメント、ご意見をお聞かせください。

     前田 高行     〒183-0027 東京都府中市本町2-31-13-601

                   Tel/Fax; 042-360-1284, 携帯; 090-9157-3642

                   E-mail; maeda1@jcom.home.ne.jp

 

コメント
  • Twitterでシェアする
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

見果てぬ平和 ― 中東の戦後75年(150)

2024-05-04 | 中東諸国の動向

(英語版)

(アラビア語版)

 

(目次)

 

第6章:現代イスラームテロの系譜(5

 

150やすやすと国境を越えるイスラーム・テロ(1/4)

テロリズム(以下テロと略す)の定義である「政治目的のために、暴力或いはその脅威に訴える傾向」(広辞苑)に従えば、イスラーム・テロという宗教に依拠したテロにも政治目的があることになる。イスラーム・テロの政治目的とは何であろうか。イスラーム・テロの標的の多くは彼らが背教者とみなす世俗政権であり、その政権を転覆することが目的となる。

 

1979年のイラン・イスラーム革命がそれである。典型的な世俗強権政権であったシャー・パハレビー国王体制に歯向かったシーア派のイスラーム革命で多くのテロ活動を経てホメイニ政権が成立した。ホメイニ師は「ベラヤット・ファギー」と呼ばれる法学者による宗教と政治を一体化した体制を樹立した。政権を握ったホメイニ師は次にアラブ世界に住むシーア派ムスリムたちに蜂起を呼びかけた。「ベラヤット・ファギー」とはマフディ(救世主)がこの世に現れるまでは法学者がイスラームの体制を指導するというものである。

 

(続く)

 

 

荒葉 一也

E-mail: Arehakazuya1@gmail.com

 

コメント
  • Twitterでシェアする
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

今週の各社プレスリリースから(4/28-5/4)

2024-05-04 | 今週のエネルギー関連新聞発表

4/27 Saudi Aramco

Aramco and Rongsheng explore new opportunities in KSA and China

https://www.aramco.com/en/news-media/news/2024/aramco-and-rongsheng-explore-new-opportunities-in-ksa-and-china

 

4/30 出光興産

出光興産と中外製薬が医薬品製造工場で発生する使用済みプラスチックの再資源化に向けた実証実験を開始

https://ssl4.eir-parts.net/doc/5019/tdnet/2427037/00.pdf

 

5/1 経済産業省

齋藤経済産業大臣がG7気候・エネルギー・環境大臣会合に出席しました

https://www.meti.go.jp/press/2024/05/20240501001/20240501001.html

 

5/1 JOGMEC

国内最大規模のバイナリー方式による地熱発電所が稼働 ~南茅部地熱発電所が営業運転開始~

https://www.jogmec.go.jp/news/release/news_10_00179.html

 

5/2 Shell

Shell plc first quarter 2024 results announcement

https://www.shell.com/news-and-insights/newsroom/news-and-media-releases/2024/first-quarter-2024-results-announcement.html

 

5/3 ExxonMobil

ExxonMobil completes acquisition of Pioneer Natural Resources

https://corporate.exxonmobil.com/news/news-releases/2024/0503_exxonmobil-completes-acquisition-of-pioneer-natural-resources

 

5/3 OPEC

OPEC holds constructive workshop between Iraq, Kazakhstan and secondary sources on compensation plans

https://www.opec.org/opec_web/en/press_room/7329.htm

コメント
  • Twitterでシェアする
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

中東と石油のニュース(5月3日)

2024-05-03 | 今日のニュース

(石油関連ニュース)

原油/天然ガス価格チャート:https://tradingeconomics.com/commodity/brent-crude-oil

・日本の3月原油輸入先、サウジとUAEだけで85%、湾岸産油国が95%占める

(中東関連ニュース)

・ヨルダン国王、バチカン法王と面談。パレスチナ問題協議

・イスラエル、北部ガザ向け支援物資用税関を開設。ヨルダンからトラック30台通関

・ガザの戦災復旧には20年必要:国連報告書

・トルコ、南アの対イスラエル国際司法裁提訴に参加

・トルコ、イスラエルとの通商を断絶

・イエメンフーシ派:紅海航行船舶に第4次攻撃予告

 

・UAE:Zaidの義弟Sheikh Tahnoun死去

・湾岸初のヨーロッパ商工会議所、近くリヤドに開設

・エジプト、キャピタルゲイン税創設

・金沢大学、サウジで遺跡発掘調査

コメント
  • Twitterでシェアする
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

日本の年間軍事支出は世界10位:世界及び中東主要国の軍事費と武器輸出入(2)

2024-05-02 | その他

(世界ランクシリーズ その7 2024年版)

 

(一人当たり軍事費世界一はイスラエルの2,997ドル、中国は208ドル!)

2.一人当たりの軍事費

(図http://rank.maeda1.jp/7-G03.pdf 参照)

国民一人当たりの軍事費が世界で最も多いのはイスラエルでその額は2,997ドルに達する。(注、カタールは2022年が5,719ドルで世界1位であるが、2023年は明示されていない。) 2位は米国の2,694ドルである。3位はシンガポール(2,195ドル)、4位サウジアラビア(2,052ドル)で、一人当たり軍事費が2,000ドルを超えるのはこの4カ国だけである。

 

5位はクウェイト(1,799ドル)であり、以下10位まではウクライナ、ノルウェー、デンマーク、フィンランド、オマーンの各国である。

 

上位10カ国の顔ぶれにはサウジアラビア、クウェイト、オマーンのGCC3カ国が並んでいる。サウジアラビアを除きいずれも人口が少なく、豊富な石油収入により一人当たりの軍事費が大きい。すでに触れた通り同じGCC加盟国のUAE及びカタールは今回の統計には明示されていないが、両国も人口が少なく、一人当たりの軍事費がサウジアラビアと肩を並べる世界トップクラスであることは間違いないと言えよう。

 

 極東アジアの主要な国は韓国が18位(925ドル)に入っている。またロシアは24位(758ドル)、台湾28位(694ドル)、日本43位(407ドル)である。軍事大国中国の一人当たり軍事費は208ドルで世界55位、インドは58ドルで世界89位である。中東イスラム諸国では、イラン115ドル(世界68位)、エジプトは28ドル(同112位)である。

 

 日本の一人当たり軍事費は407ドルであるが、日本を1とした場合、サウジアラビアは5.0倍、韓国2.3倍であり、一方中国は日本の2分の1、インドは7分の1である。

 

(続く)

 

本稿に関するコメント、ご意見をお聞かせください。

     前田 高行     〒183-0027 東京都府中市本町2-31-13-601

                   Tel/Fax; 042-360-1284, 携帯; 090-9157-3642

                   E-mail; maeda1@jcom.home.ne.jp

 

コメント
  • Twitterでシェアする
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする