ITSを疑う

ITS(高度道路交通システム)やカーマルチメディア、スマホ、中国関連を中心に書き綴っています。

EVについて真剣に考える

2024年03月10日 | 雑記

今年に入って「EVの急減速」が話題になっている。やはりEVはダメなのだろうか?
ここですこし突っ込んで考えてみたい。

「急減速」はまさに加速力が弱まっただけで、対前年での増加は続いていることを間違えないほうが良い。
この2年くらい急拡大したということでいまでもEVは増加している。

しかし、ここにきてEVよりも価格と使い勝手にまさるHEVが売れているのは事実であり、急拡大にブレーキがかかったという表現に誤りはない。

日本のインターネット世界には相当な数のアンチEV派が存在する。YahooニュースEVに関する記事には山のようにアンチのコメントが付く。
これは非常によくない状況だと言わざる得ない。
(なぜ日本のネット民にアンチEVが多いのか、という考察も興味深い分野だが、それは改めて)

先ず誤解してほしくないのは、私は決してEV 推進論者ではない。しいて言えば「反アンチEV」であり、その理由はアンチEVが日本の自動車産業、ひいては日本そのものを衰退に追い込むという危機感を持っているからだ。

 アンチEV派の主張は、「EVはまだ使い勝手が悪い商品である」、「EVはその実ガソリン車に比べてカーボン消費が大きい」、「燃える」「電池の処理が確立していない」といったあたりに集約される。それはどれも事実であることを認めよう。
そのうえでの懸念があるのだ。

EV はまだ使い勝手が悪い。走行距離、充電時間等。しかし、忘れてならないのはEV及びそのインフラはまだ発展途上製品だということ。
世界中で研究開発が進められている以上、今後個体電池等のバッテリー関連のブレイクスルーはいくらでも起こり、実用上不満のない製品になるのにそう長い時間がかかるとは思わないし、充電インフラの整備はガソリンスタンドよりはるかに簡単であり、その気になれば時間の問題だろう。
これはバッテリー発火問題しかり。

もう一つ、EV は実際にはエコではない、という意見があるが、これは試算によりいろいろ意見が分かれると思うが確かにEVは車両と電気の生産過程を考えればカーボンニュートラルではない。
しかし、これは「だからどうした」なのだ。世界中でEV化が進められており、いまさらそんなことを言ってもEV化の流れは止まらない。ここが重要。グローバルな視点では正論が通用する世界ではない。いくら日本が「EVは実際言うほど環境によくない」と主張したところで大きな流れを変えることはできない。

EVはその成長スピードが弱まり、その需要がHEVに流れている。これはHEV で世界トップのシェアと技術をもつトヨタを利している。
これは大変結構なことだ。しかし日本のアンチEV派が主張するように、EVは衰退しHEVが主流になる、トヨタ、ひいては日本の自動車産業一人勝ちになる、という考え方は極めて危険だと言わざる得ない。

当面トヨタはHEVで相当な利益を得ることになる。これはトヨタにとっては追い風になることは間違いない。しかし、それは将来のEV開発の十分な原資が確保できた、という意味だ。
じっさいトヨタはその辺を理解していると思う(理解していてほしい)

しかし、日本の世論がアンチEV(およびアンチEVになんとなく影響された大衆)によって「EVなんてだめだ」という方向になってしまうと、国内向け車両でEVが売れない、国内の充電インフラが進まない、つまりさらにEV後進国になってしまうだろう。事実すでに日本のEV普及はタイよりも遅れている。日本市場では中韓ブランド車は全く売れないから国産メーカーが魅力あるEVを発売するまで日本のEVシェアは拡大しない。(韓国ブランドにネガティブなイメージがあるのは世界で日本だけ)
日系メーカーも輸出向けにEVを出して進めていけばいいといえはその通りだが、足元の市場でネガティブだとなかなか進まないし、なにより部品サプライヤーといった裾野の拡大が遅れてしまう。
前述のタイですでにその危機が迫っている。タイはアジアのデトロイト、かつ日本メーカーの独壇場なのだが、中国EVメーカーに浸蝕され始めた。産業ごと中国に取られる可能性がある。中国メーカーが本格的にタイ生産をはじめたらアジア市場は完全に持っていかれる可能性が高い。

一般にネットのアンチEV派の人たちは多分に愛国的な人たちが多いように思うが、アンチEVの世論が逆に日本車の国際競争力を奪ってしまう可能性を考えたほうが良い。
中華EV?燃えるんでしょ(笑 で思考停止してはならない。彼らはかなりのスピードで進化している。

スマホでした失敗は日本の基幹産業である自動車では絶対避けなければならない。


カップヌードルのフタに意味があるのか検証してみた

2023年10月03日 | インチキ・疑似科学

カップヌードルに限らず、人はカップ麺に湯を注ぐと蓋が開かないようにとても神経質になる。
カップヌードルは従来蓋が浮かないようにフタ止めシールを付けていたが、それが地球環境に悪いということで2年前からフタ止めをWにした。

カップ麺を作る時に蓋が浮かないように何かを乗せる人はとても多いし、実際カップ麺ふた止めで検索するとシリコン等の専用商品がたくさん売られている。
日清食品もオフィシャルでフタ止めを作っている。
これは日本人に限ったことではなく、中国人はカップ麺に必ず入っているプラスチックのフォークを使って器用に蓋をとめる。

どうしても検索できなかったが、日清公式の発言で「フタをすることで温度の低下を防ぎ美味しく作れる」的なコメントを見たことがある。

しかし、私は思った。果たしてこの蓋にそんな大事な意味があるのだろうか?温度低下するのは表面だけじゃないのか?フタが開いたら不味くなる、というのは都市伝説なのではないか?
というか、所詮はカップ麺、味にそこまでのことを求める必要があるのか?

ということで検証してみた。

検証対象はこれ。「あっさりおいしい」にしたのは単に麺がすくないから。2個食べないといけない。
シーフードヌードルにしたのは単なる好み。

一つは説明通りの作り方。もう一つはフタなし。正確を期すため、湯沸かしポットで沸かしたての湯をメモリまで3回にわけ交互に注ぎ
正確に3分を図った。

出来上がり。目視での差は見当たらない。
通常食べるときのように双方とも箸でかき混ぜてから温度を測定した。

フタをしたカップヌードルは83度。

フタなしのカップヌードルは79.3度。

おお!なんと4度近い差がついた。(こちらを後から測定したから1度くらいは低く出てるかもしれない)
まあフタをするかしないかで温度が変わるのは当然の結果。
それにしても想定以上の温度差。なるほどこれだけ温度が違うのであれば、実際に味も違う可能性は高い。

フタ付きとフタ無しに記号をつけ、裏返してどちらがどちらかわからなくなるようにした。

そして、実食。どちらが美味しいか、フタ無しは実際美味しくないのか、完全なブラインドテストになっている。

その結果は・・・

「どちらが美味しい」という以前に、両者の違いは全く判らなかった。いかなる食通、神の舌を持つ人でも違いを見分けることは難しいだろう。
というか、そもそも所詮カップ麺なんだから、神の舌の人に登場してもらってごくごく微細な味の判定をすることに意味なんかない。

温度が4度違うはずだが、80度近くあると熱くて食べられないのですこし冷ましてから口に入れるわけで、結局その差もわからない。

 

結論

「カップヌードルはフタなしで作っても味は同じ。フタが少し開いてしまうことを気にする必要など全くない」


G430 偽物情報

2023年07月13日 | ゴルフ

中国でG430 の偽物が出ています。LSTもMAXもあります。相当巧妙にできているという話です。おそらく日本語保証書も付いてくると思うので、保証書があっても安心できません。
画像は中国通販タオバオの物ですが、ヘッド単品(単球头)で約1万4千円程度。シャフト込みでも1万7千円程度です。

これが怪しい通販やメルカリ等で5万円程度で出回っているようです。
通常7万5千円のものが新品で5万円程度で販売できるわけがありません。新品5万円代のネット通販には手を出すべきではないでしょう。
中古なら5万円代でもおかしくありませんが、最近はわざと傷をつけて「練習で数回使用しました」「数回ラウンドしました」等というコメントつけて出品されるケースもあるようです。
大手中古クラブサイト以外は注意が必要です。


特に気を付けるべきはヘッド単体販売品です。怪しい商品はヘッド単体販売が多いように思われます。
中国業者からの運賃を節約するためにヘッド単体を仕入れているのかもしれません。


陰謀論の仕組み

2023年06月19日 | インチキ・疑似科学

世の中には陰謀論というのがあります。
一番メジャー?なのは、Qアノン。
トランプ前大統領とプーチン大統領が正義の味方、アメリカ民主党やEU、世界的大企業が悪の帝国(これを彼らはDS=ディープステートと呼んでます)。
DSは世界経済を牛耳るだけでなく、児童誘拐等の極悪な組織犯罪を行っている。
そして正義の味方が近い将来DSを一斉に逮捕し悪を一掃する。

荒唐無稽な話ですが、じっさいに2021年に彼らによるアメリカで議会議事堂襲撃事件がありました。

日本にも少なからずこの信者がいます。

彼らの主張によれば近いうちに正義の味方トランプ前大統領が「世界同時緊急放送」を流しDS一味を一斉に逮捕する、その後はDSに支配されていた金融がリセットされ全国民に6億円を配る、というようなものです。(細かいところが間違ってるかもしれませんが、どっちにしても与太話なので勘弁してください)

前置きが長かったですが、ここからが本題。

99.9%の人は全国民に6億円配る、なんて話は信じません。これを信じちゃう時点でその人がどういう人かというのはまあ、わかりますよね。
さらに、もし全国民に6億円くばったら紙幣は紙切れになっちゃう、というのも普通はわかるはずです。だってみんな6億円持ってるんだもん。インフレの仕組みとかいう難しい経済学以前の問題です。
そこが理解できないということは、かなりやばい。

つまり、彼らは極端に「簡単に騙され、しかも頭を使わない」人たちなんですね。
これって、詐欺師の絶好のターゲットですよね?

一方で、陰謀論を広めている人たち、今流でいえばインフルエンサーたちはSNSやYOUTUBEなどを使うそれなりに企画力・行動力がある人たちです。
とてもこんなおバカな話を信じる人ではありません。

つまり、彼らは詐欺師の側にいる、ということです。その証拠にインフルエンサーたちは皆再生回数による収入、サロン、本の出版、物品販売等でこれをマネタライズしています。

ひっかける話は荒唐無稽なほうが良い。彼らが集めたいのは騙しやすい人達なんです。
これは、SNS詐欺にもいえます。国際ロマンスやら巨額資金の移転など、普通の人なら絶対信じない話で釣ってそれに引っかかる「とても騙しやすい」人をターゲットにするんです。

まあ、6億円貰えるという話を信じるだけなら世の中に害はあまりないかもしれません。
問題なのは、この構図が医療関係にも存在するということです。ご存じ反ワクチンを筆頭に、反近代医療、反抗がん剤などなど。
この分野で教祖になっているは例外なく大量の本を出版しています。メールマガジンとかサロン、講演会も盛んに行い金儲けをしています。

そしてその間違った、あるいは根拠のない医療知識により実際に人命にかかわる害をもたらしています。

彼らは何かにつけて「大手製薬会社は金儲けのために人命を犠牲にしている」といううたい文句を吐きますが、それは実は当の本人なんです。

(製薬会社は膨大な開発・試験費用が掛かるので金儲けしないとやっていけません。もし製薬会社がもうからない業種になってしまったら医療は崩壊します)

とここまで書いたけど、だまされてる人はこんな長い文章読まないし、多分読んでも理解できないんだろうな。


Galaxy Z fold 4 を買って思ったこと。これがスタンダードになると思う。

2023年06月08日 | モバイル・ウエアラブル

バンコクのハイテク市場でGalaxy Z fold 4 の中古があったので衝動買い。邦貨12万円ほどで程度はすごくいいので、まずまず良い買い物だと思う。

10日ほど使ってみて、これはいずれiPhoneから完全乗り換えしてもいいかなと思っている。Apple watch やApple Payの経済圏に組み込まれてしまっているのですぐには無理だけど。

そもそも中国の銀行口座からの直接引き落としでキャッシュレスをする方法がApplePay を経由してSUICAにチャージするしかないので仕方がなくiPhoneにした、という経緯がある。
これに関しては中国の銀行にお金があって日本に住んでいる日本人以外需要がない話なので聞き流してください。

開くとタブレットサイズで折りたたむことができる携帯電話、というのが理想だと思っていた。
確か前に書いていたよな、と思い探したら10年前に書いている。

7インチタブレットはいずれ携帯機器のスタンダードになる気がする

ここではレノボの7インチタブレットを使ってみて、これが電話になり折りたたんでポケットに入れば最高だ、それがこの先のスタンダードになるだろう、と書いた。
その後タブレットはIpad miniに買い替えたが、その時もずっと「なんでこれで電話ができず、ポケットに入るようにならないのか」と思っていた。

そもそも20年ほど前、PDA (ソニーのClie)を使っていた時になんでこれで電話ができないのか、と思っていた。で、結局そのあとiPhoneが登場しスマホが登場した。
タブレットがたためて電話ができるようになればいい、という直感も多分当たると思う。

今のところGalaxy Z fold 4 のスマホにおけるシェアは1%だが、ハイエンド市場では10%を越えてきている。
中国出張時にHuaweiの折りたたみを触ったが、Galaxy Z4 holdより薄く軽かった。こいつはGoogleが使えないので中国以外では大きな需要はないだろうが、非常にいい端末だと思った。
またGoogle Pixelの折りたたみも近日発売らしい。
どうもAppleは折りたたみには興味を持っていないようだが、もしiPhone Hold がでれば市場はあっという間にこの形がハイエンドのスタンダードになるのではないか、と思う。


AppleのVision Proで感じたメタバースの限界

2023年06月08日 | モバイル・ウエアラブル

ほぼ一年前に「メタバースは線香花火か」というエントリーを書いた。その後の一年間でメタバースに大きな進展があったようには思えない。
むしろ、社名をメタにかえたFACEBOOKがメタバース系事業で大いに苦戦をしている、というニュースが流れてきている。

しかし、まだ始まったばかりであり過度な期待による「幻滅期」に陥っているだけだという主張もある。

本当にそうだろうか?

私が子供の頃の未来予想では、21世紀には電話はすべてTV電話になるというのは鉄板の既定路線であり、おそらく誰もそれを疑っていなかったと思う。
しかしどうだろう。同じく言われていた「車が空を飛ぶ」は技術的・コスト的に不可能だが、TV電話に関してはソフト、ハード的には何ら問題なく、いや実際誰のスマホにもその機能が備わっているにもかかわらず普及していない。

むしろ、音声通話すら衰退し、コミュニケーションの主流はチャット等のテキストになっている。自分の時間を奪われる電話を好まない人が増え、それに配慮する人が増えているということだろう。
電話はTV電話に進化せず、逆に(即時性がある)手紙に退化したともいえる。

ここで注目するべきことは、電話がTV電話にならなかったのは決してハード的な制約からではなく、利用者のニーズによるものだということ。

それを考えると、TV電話よりさらに「濃い」コミュニケーションとなるメタバースに人々ははたして惹かれるのか、はなはだ疑問だとしか言いようがない。

特にメタバースでは知人友人とのリアルなコミュニケーションのほかに不特定多数とのコミュニケーションが言われているが、その需要ってそんなにあるのか?
現実世界の面倒な人間関係を趣味の世界にまで持ち込みたくないという人は多いだろう。だいたい日本人でパーティー等に参加し積極的に参加者に話しかける人がどれだけいるか。
アバターなら気軽にできるという見方もあるけど、そもそもそんなことはしたくないということなら現実もアバターも関係ない。

なんて考えていたら、Appleが2023の世界デペロッパーカンファレンスでVision Proというヘッドセットを発表した。
ここで注目するべきは、Appleは一言もメタバースという言葉を使っていないということ。実際このヘッドセットはVRではなくARヘッドセットで、仮想現実の世界に入るというよりは既存のiPhoneやMacの映像デバイスを拡張した、という位置づけになっている。

これは流行るかどうかはわからないが、すくなくともアップルはVR(メタバース)の方向にはいかない、ということは明らかになったと思う。


ETC2.0を取り巻く謎

2023年03月17日 | ITS

もう2年前だけど、俺たちの清水草一氏がベストカーで以下の記事を出されてました。

私が今までグダグダ書いてきたことがここにすべて書かれています。

 

“次世代”ETC2.0を取り巻く謎 利用者にメリットが薄いのになぜ普及? - 自動車情報誌「ベストカー」

“次世代”ETC2.0を取り巻く謎 利用者にメリットが薄いのになぜ普及? - 自動車情報誌「ベストカー」

“次世代”ETC2.0を取り巻く謎 利用者にメリットが薄いのになぜ普及? 近年ETC2.0が登場した。現在に至るまでメリットといえるものを利用者に提示しできていない。メリットも...

自動車情報誌「ベストカー」

 

 


ソニー・ホンダモビリティ 新EV「アフィーラ」の危うさ

2023年02月13日 | 自動運転

1月のアメリカCESで発表され、2年後の発売に向けて先行予約の開始がアナウンスされたソニーのEV。
先日ラジオを聞いていたら、車に詳しいITライターの人が単純に「これはすごいことになるでしょう」とお話しされてましたが、私は非常に悲観的。

番組ではまず、「クルマはスマホになるといわれており、ソニーとホンダの協業の未来は明るい」的な話から始まりました。
いやいや、ソニーのXperiaって世界的に見たら決して成功してないよね?という突っ込みはおいといて。

この「クルマはスマホになる」、耳にタコができるくらい聞く言葉ですが私はならないと思います。なぜなら、車に乗るときスマホはすでにポケットに入っているから。
ネットに繋がり、ソフトのインストールでカスタムができ、エンターテイメントを楽しめる、というのがどうやらクルマはスマホになる、の根拠らしいけど、そんなこと言ったらデスクトップパソコンはすでにスマホだよね。でもデスクトップパソコンはスマホだ、とはだれも言わない。

なぜか

持ち歩けないからです。家でしか使えないものはスマホではない。

一方、クルマは移動時につかえるからデスクトップパソコンよりはモバイル性があるかもしかもしれないけど、でも目的地に着いたら駐車場に置いておかなくてはならない。
「クルマでの移動時にしか使えない」スマホなんて要ります?私は要りません。ポケットに入ってるiPhoneで十分です。

さて、この方のお話、後半は車内エンターテイメントが中心になりました。クルマは自動運転になる、すると人は運転業務から解放される。すると何をするか?ゲームだ。ソニーはゲームの世界でPSという非常に大きな資産を持っており、これが大きなビジネスチャンスにつながる。ということのようです。

この、自動運転で運転から解放されることで生まれる市場ってのも、特にテック系の人たちから過大評価されてますね。
有料エンターテイメントやら、ショッピングやらで莫大な市場が生まれる、とか。

本当かね。

まずはこの車、おそらく1000万円くらいする。裕福層しか買わない。クルマの中でちょっと時間ができたらすぐゲームしたい層とは多分マッチングしないでしょう。
そもそも運転業務から解放されたらみんな嬉々としてゲームをするのか?という疑問があります。例えばいまでも助手席の人は運転業務から解放されてる。なんで助手席専用ゲーム機がないんでしょうか?
タクシーに乗っているときは運転しなくていい。じゃみんなゲームしてますか?飛行機も運転しなくていいし、目の前にモニターがある。どれだけの人がゲームしてます?

移動時間中のエンタメなんて、ポケットに入ってるスマホでSNSチェック、で十分なんじゃないでしょうかね。
もちろん、運転しなくてよくなったからっていきなりネットショッピングをはじめる人もそんなにはいないでしょう。

ソニーとホンダが組んだら誰もが想像すらできなかったすごいことが起きる、という論調もあるけど、この分野はもう10年以上騒がれているから、もう「誰も想像すらできないすごいこと」なんてないんだ、と考える方が自然です。

ソニーが展示したこの車、じっさいかなり苦悩されたとおもいます。フロントグリルにフロントバーと称するインフォメーションディスプレイが付いていますが、ソニーっぽさを出すにはこれくらいしかなかったんでしょう。クルマのフロントグリルに情報表示するなんてまったく使い道がないってことは百も承知で、でもそれくらいしか思いつかなかった、というのが正直なところじゃないのかな?

もちろんソニーの強みである各種センサーで自動運転方面ではいろいろなことができるでしょうが、それ自身がキラーコンテンツとなるものではありません。
ソニー+ホンダという往年の日本ブランドの協業というクールジャパン的ブランドパワーでそこそこの台数は売れるとは思うけど、私はそれ以上の物にはならないと思います。

 

蛇足だけど、クルマとゲームの融合で唯一優れていること。それはドライブ系ゲームです。

シート、ハンドル、ブレーキ、アクセルが付いているから、ハンドルコントローラーが要らない。これ、シートや大画面液晶の本格的シミュレーター買おうとすると数十万円かかりますからね。

以上です。


燃費グッズ「アドパワー」他1社に措置命令

2023年02月11日 | インチキ・疑似科学

怪しい燃費グッズについては過去に何回か書いている。
2021年8月のエントリー「また出てきた燃費グッズ」

この記事では直接商品名を表示せず”直訳すれば「広告の力」”と表現したが、このたび消費者庁から措置命令がでたのでもう隠す必要はないだろう。
AdPowerだ。
『同庁が表示の根拠となる資料の提出を求めたところ、両社からデータの提出はあったが、車の状態など試験環境が同一ではなかったとして、「合理的根拠が認められない」と判断した。』
要するに提出された試験結果は製品の効果か測定誤差かが不明である、ということ。

これに対し同社は
「深くおわびし、再発防止に努めたい」とコメントした。

現在同社のHPにおける表現は「静電気抑制放電効果により、エンジンへ吸入される空気の流れを変化させます。」と変更されており、燃費や馬力が改善するという表現が削除された。
実際に効果がある商品を開発するとか、販売を中止するということではなく、表現を変えることが再発防止策らしい。

この商品、21年8月のエントリーにある通り疑似科学でおなじみのゲルマニウムを含むテープをエアクリーナーボックス内に貼ることで静電気抑制し、空気の流れを良くすることでエンジンの燃焼効率を上げる、という仕組みになっている。
東海大学で試験を行い、静電気除去による空気の流れの改善が確認された、としている。

この試験結果が製品の効果なのか測定誤差なのかは筆者は判断できない。
しかし、それ以前の問題がこの製品にはあるのだ。

それは「エアクリーナーボックス内の空気の流れを良くすることで燃焼効率が上がる」という部分。
エンジンが回るとエンジンはエアクリーナーを経由して掃除機のように勢いよく空気を吸い込む。
エアクリーナーはエンジン内に入る空気のごみをとるフィルターで、当然ながらそれ自身が空気の流れを阻害している。その阻害量(圧力損失)は静電気による空気流量阻害とはけた違いに大きい。

カーメーカーのエンジン設計はそれを計算してエンジン内に必要十分な空気が送り込まれるように吸気システムを設計する。ある程度エアクリーナーが詰まったところで性能には影響しない程度のマージンを取っていることは言うまでもない。もし空気の流れをさらに良くすれば燃費が向上するなら、カーメーカーはもっと大きな吸気ダクトやエアクリーナーをつけるだろう。

そうしないのはすでに十分な空気流入が確保されているということに他ならない。
カーメーカーが燃費改善に費やすリソース(時間、人、金)は厖大なものがあり、かつてカーメーカーにいた身としては「そんなに間抜けじゃないぜ」といいたい。

しかしこの商品、アマゾンなどの評価は結構高い。その仕組みは上記のブログエントリーに詳しく書いた。
「パワーが上がるので軽くアクセル踏んだだけで加速する」というおまじないが実際に燃費を向上させているだけなのだが、この効果があるからオカルト燃費グッズが後を絶たずに現れることになる。

最近の車にはACC=アダプティブクルーズコントロールが付いている。これはドライバーがアクセル操作をしない。
アドパワーさんが製品に自信をもっているなら是非ACC使用下での燃費比較試験を実施してほしい。


Apple CarPlayの使えなさ

2022年10月16日 | モバイル・ウエアラブル

スマホと車両を連動させる仕組みがもう7-8年ほど前から出現している。iPhoneであればCarPlay、AndroidであればAndroid Auto.
これが出現した当時、「カーメーカーはシステムをGoogle/Appleに乗っ取られる」というような勘違いコメントが主にIT系ライターによって語られて爆笑していたのだが、当然そんなことは起きていない。

当ブログ過去記事 2015年5月

そもそもCarPlay、Android Autoはスマホを運転中にいじるのは危険だからアプリ機能を制限したうえで車両のモニターに表示する、というものであって、何かができるようになる仕組みではなく、何かをさせなくするもの。それが全く理解されていなかったようだ。さらにいえば、車と連動といってもエンターテイメント系だけのことで車両操作系へのアクセス(CAN通信)はカーメーカーが一切許可していないので、乗っ取られることはありえない。

さて、そのCarPlayはじっさい使ってどうなのか?
筆者はiPhoneに買い替え、所有車がCarPlay対応なのでここ数カ月使った感想を書いてみる。

先ずなんといってもUIが悪い。筆者の車は液晶がタッチパネルではないので車両のダイヤルやボタンで操作するが、車両のダイヤルは車両のナビを前提に作られてるからCarplayアプリの操作はまどろっこしい
ナビ画面の拡大縮小は運転中にはとてもできない。
ナビに関してはCarPlayはAppleなのでデフォルトがAppleのマップ、ナビ。HeySiriで音声操作ができるけど検索や地図がいまいち。よってGoogleやYahooのマップ、ナビを使うことになるが、AppleナビならHeySiriで音声で拡大縮小できるけど、Googleではできない。

やはりUIに関しては純正車載ナビのほうが圧倒的に使いやすい。

ナビ以外も各種Appが使えるけど、基本的にまともに使える(使う)のは音楽Appくらい。それとてApple系に最適化されていてAmazon Musicでは運転操作阻害の観点からか画面からの検索はできず、結局スマホ画面から操作が必要。(これじゃもっとあぶない)

また、車載器のCarPlay と頻繁にアップデートするIOSの相性もカーメーカー側では徹底的には検証されていないと思われよくバグる。バグったらリスタート必要など、走行中にはもう打つ手がない。SA等駐車場に止めて対応する必要がある。これは致命的。コンビニなどに寄ったときにスマホの接続は解除しなくてはならず(スマホ決済なので)、再接続でバグることも多い。

また、これは私の車だけかもしれないが、CarPlayを接続すると車両のヘッドユニットがCarPlayを外部機器として認識するので車両に挿してるメモリーカードの楽曲再生やTVチューナーの起動ができない。

車両の純正ナビに比べればリアルタイム地図更新および渋滞を加味した経路誘導の面でGoogleナビのほうが優れていると思うが、やはりCarPlayでの使い勝手の悪さは何ともしがたいものがある。
結局Googleナビを使うときはスマホをつながずそのまま架台にひっかけて使う、ということになる。

ということで過大な期待とともに登場したCarPlayだけど、この先なにかブレイクスルーがあるとも思えません。