2日間にわたって行われたYGGの募集馬ツアーで見た感想を含めた現段階での募集場所感をしたため、来年以降の振り返りの際の材料としたい。
◆ウェルアウェイ２０２２
牡 父キタサンブラック
満口 出資済
募集開始時はまだ表情にも幼さがあり、全体的な作りにも非力感があったが、ツアーでは背も伸び、体重も増えている通しっかりとしてきた印象。ひょろ長い印象だった首もしっかりとしてきた印象。芝の中距離タイプとは思うがキタサンブラックはダートでも潰しが効くので、芝がだめでも汎用性があるのでこのお値段でもある程度安心感がある。
◆トレサンセール２０２２
牡 父サトノダイヤモンド
残り５０％以下
上が総じて気性に難アリ、走るごとに拗らせている印象なのだがこの馬はそこまで酷いという感じではなかった。
サトノダイヤモンド産駒らしい端正な顔立ちだが今のところ掴み所がないと言うか、成功パターンが見えていない父だけに「顔が良い」だけでは出資の決め手に欠ける。サトダイにあんまり気性面でのマイナスイメージがないのでそのへんはこの母に合っていたのかもしれない。
◆ランウェイ２０２２
牝 父エピファネイア
残り５０％以下
周回展示時から少しうるささが目立った。もともと整ったうまだな、という印象だったがこの日もそうで、良くも悪くもカタログからあまり変わった印象はなかった。セレクトセール出身馬ということで、YGGの中ではなかなか良いお値段設定であるが、セレクトセールでこの価格帯から走る馬を引くのはなかなか難しいのか、あまり結果が出せているセールではないのでちょっと手を出しづらい。
◆ブルーボサノヴァ２０２２
牝 父サンダースノー
受付中 出資検討
前の繋が長めでちょっと寝ているのが気になるのと、父サンダースノーに尻込みしており候補ではなかったが、福原代表は「第二のドライスタウト」と評するほどの激推し。ボリューム感のある馬体は募集開始時から目立っていたが、実物を見るとさらにそれは増した印象。ちょっとアンバランスなのではないかと思うレベルで後肢が発達していた。パワータイプに見え、ダートが主戦場となってくると、後は後肢の蹴りが生み出す推進力を前肢の長い繋が邪魔しないかというところが心配。トータルで考えて代表激推しポイントを加算して、見送りから出資検討に格上げして、調教の進み具合を見ながら様子見したいと思う。
◆クラリティーアイズ２０２２
牝 父アドマイヤムーン
受付中
募集開始時のポテッと感というか、ずんぐりむっくり感は多少薄れては来た印象。その中で体重自体は7月から40キロほど増えて460キロ台まで来ているのは良い傾向か。ただ父アドマイヤムーンは牝馬はイマイチな所があるのが少々引っかかる。私の中では一次募集時は候補の１頭だったが、二次三次がなかなか魅力的なラインナップだけに相対的に評価が下がってしまった。
◆チェストケハーツ２０２２
牡 父ビッグアーサー
受付中
脚の長さなどパーツのバランスはビッグアーサーみがあるフォルムだが、首から肩、胸前あたりはまだまだ薄い印象でこれからの馬という印象。ビッグアーサー自身長めの四肢を無理くり動かせるだけの強靭な筋肉あってこそのスプリンターだったと思うので、母父ハーツの緩さが入ることでスピード下げの分距離は持つようになるのかな、と想像。
◆エスコフィオン２０２２
牡 父ハービンジャー
満口
9月末409キロから431キロまで増えており良くなっていた印象。募集時からハービンジャーっぽい緩さは感じず、体重が軽いところからくるものかな、と思っていたがツアーの体ある程度増えた状態での歩様も同様の印象だったのでこのまま体増やして（遺伝子検査で体高傾向:中と出てて現状155cmなのでもうちょい大きくなりうる）行った時にどんな歩様をするのか注目。（買わなかったこと後悔することになるかも枠の1頭）
◆シゲルゴホウサイ２０２２
牝 父ドレフォン
受付中 出資検討
顔立ちやパーツのバランスはよく見たドレフォン産駒、という印象で繋ぎの長さや角度などもいかにもダートに向きまっせ、という感が出ており安心感がある。おそらくダートが主戦場の馬になると思うので、であるならばもう少し各パーツに筋肉つけて体重もボリュームアップしてほしい。幸い半分売れていないのでこのままじっくり様子見をさせていただきたい。ツアー前からの様子見評価は変わらず。
◆アヴァマローネ２０２２
牡 ニューイヤーズデイ
残り５０％以下 出資済
現在フレグモーネ（おそらく）で休養中で運動していないせいか大勢の前に出てきた際、特にテンション上がって、周回展示では一番暴れまわっていた。そんな状態だったため、集団展示の際は1頭離れて立っていたのだが、そのおかげか落ち着きを取り戻しており、会員が近づいていった際も自ら顔を擦り寄せたり鼻先を手のひらに擦り付けてくるなどかなり人懐っこさを見せていた。馬体の方はもともと整った馬だな、という印象だったが印象そのままに引き続きバランスの良いフォルムをしていた。前述のとおり暴れまくってたので歩様の感じはちゃんと見られず。
◆ポポラリタ２０２２
牡 父ナカヤマフェスタ
受付中 出資検討（候補）
様子見までいかないんだけど今後注目、というニュアンスの位置づけ。募集時は馬体にメリハリもなく小柄で非力な印象だったのが、体重ベースでも60キロほど馬体が増え、馬間違えてません？と思うレベル。牧場スタッフコメントも前向きで、今後調教が進んできた時の状態を見て出資を考えても良い馬になっていた。
◆ブロードハースト２０２２
牡 父ジャスタウェイ
満口
募集開始時の動画で動けていて、いいなーと思ったが馬体重406キロ、体高148cmの文字列で見送った同馬。ツアーで見るといい感じに大きくなっており、それでいて歩様も良好。出資見送りをちょっと後悔。もう出資できないし詳しくは見なかったが、出資できた皆様おめでとうございます。
◆ビジュートウショウ２０２２
牝 父アニマルキングダム
満口
姉のスウィープフィートにはお世話になったものの、父アニマルキングダムという点が不安で出資見送ったが満口。見た目は姉同様のド派手ルッキングホースだが腹回りボテッとしてた同時期の姉に比べるとフレームの完成度は高そう。正直、「父アニマルキングダムという点以外で気になるところはありますか？」と聞かれたら「父アニマルキングダムという点以外では気になるところはありません。」と答えちゃう。逆にこれで走ったらビジュートウショウは超絶名繁殖確定なのでは。
◆トーキー２０２２
牡 父エピカリス
満口 出資済
うっかりしてて「前肢の繋めっちゃ立ってると思うんですけどぶっちゃけどうっすか？」とササクニ師に聞くの忘れてたんだけど現地で実場見る限り写真ほどひどくはなかったのも事実（いや立ってたけどね）。母が故障で未出走引退だったし脚元リスクが有るのは100も1000も承知なので後は信じるのみだし。脚元さえ隠して上モノ見ればワクワクする馬体の持ち主で、ツアーで見てもその印象は変わらず。脚元さえ無事ならダートで期待できると思った。
◆シュダイカ２０２２
牝 父トランセンド
受付中 出資済
募集時から体高も体重も小さいタイプであったが、ツアー時は幅が出て、友も丸みを帯びてきたように見え、体重はある程度のところまで増えていた。体高は相変わらずだが母の現役最後も管理していたササクニ師によると母のシュダイカも体高のないタイプだったらしく、もう少し幅さえでてくれば、そこまで心配をする必要はないか。顔が特に可愛く、今年のYGGアイドル枠。
◆シンラバンショウ２０２２
牝 父カレンブラックヒル
受付中
このきょうだいは基本的に脚向きがあまり良くないがその中にあってはまだマシな方ではないだろうか。実際に現地で見てもそこまで気になるようなところはなかった。父カレンブラックヒルで、字面的にはD1000くらいで最も力を発揮しそう。
◆フローレンスガール２０２２
牡 父コパノリッキー
残り５０％以下 出資済
9月末の募集開始時は少し後ろが勝ってるかなぁ、と思っていたが少し背も伸びて前後のバランスも良くなってきていた。クラブの更新ではスイッチをオンに入れるのを嫌がるタイプということだったが、ツアー前日に進んでいる組と一緒に調教をしたことで少しピリッとしてきたとのことで、強い相手と走ることでより高みへとステップアップしていく馬なのかもしれない。サイズもあって馬体のバランスや歩きも変なクセはなく十分楽しめる馬だと思う。距離適性としても中距離辺りまでこなせそうな雰囲気とのこと。
◆プリモタイム２０２２
牡 父コパノリッキー
満口
地方でコパノリッキー牡馬2頭出資するのは流石に流石になのでラインナップでた時点から二択でどちらかにしか出資するつもりはないなかで、後述する99.9育成全部買うルールに基づき自然と選外となった同馬だが、出資したフローレンスガールと比べてもそんなに悪くない。こちらもサイズあって、馬体の面で変なクセもない馬なので現状少し垣間見せている気性的な難しささえこじらせなければ楽しめるはず。
◆ロマンスガッサン２０２２
牝 父ホッコータルマエ
残り55口 出資済
ホッコータルマエの牝馬で99.9育成、兵庫の保利厩舎所属。昨年の募集馬で今年新馬勝ち→重賞3着後に骨折引退となったハバナビーチと被るプロフィール。ハバナビーチに関わったすべての人間がこの馬の続きを期待されてるところからスタートするのは可哀想な気もするが、そんなプレッシャーもはねのけるだけのものは持っていると思う。前脚の出方に硬さがあるいかにもホッコータルマエの牝馬っぽいところも似ている。99.9の木村氏に話を伺っても自信のうかがえるコメントが返ってきておりこの点も昨年のハバナビーチと同様。「損はさせません！」「満口になっていないのが不思議。」「アップされる調教動画を是非見て下さい！」などセールストークマシマシ感割り引いても、裏付けとなる自信があるのだろう。
◆クリストフォリ 2022
牡 父トーセンジョーダン
募集前 申込確定
兄ダイヤモンドナイツに続いての募集だが、父がサトノダイヤモンドからトーセンジョーダンに変わった。父母ともクラフティワイフに遡る牝系でエヴリウィスパー・キョウエイフォルテの全姉妹クロス２✕３が発生する血統が大きな特徴。三次募集となったのは夏頃までは小柄で成長が間に合っていなかったからとのことだが、夏を越したあたりからサイズもも出てツアー時にはサイズはそこまで気にならない程度になっていた。兄ダイヤモンドナイツに比べると胴も短く牝系のクロスそのままにダートの短いところ向きの馬に出たのではないだろうか。こういう冒険したクロスは好物なので出資したい。
◆ミキノクレシェンド 2022
牝 父メイショウボーラー
募集前 出資検討
リスト発表時は全くのノーマークだったが現地で初めて実馬を見て「おっ？」と感じたのが同馬。420キロか30キロ程度の小柄な馬なのだが小柄を割り引いてもよく歩けており、道営募集だが芝でも走れるんじゃないかと思わせる柔らかさを感じる歩きだった。６月生まれと極端に生まれが遅く、まだまだこれから成長してくるだろうしそうそう売れることはないと思うのでじっくり成長を見て出資を検討したい。
◆ヒドゥンヴェール 2022
牝 父スクワートルスクワート
募集前
九州産馬であるが、門別佐々木厩舎入厩予定。ツアー時点でもまだ300キロ台と小柄で非力な印象。現段階では取り立てて強調できる点も見当たらず。門別の坂路で鍛えて、将来的には佐賀へ移籍という運びになると思うので、どのような結果を残すのか新たな運用の試みとして見守りたい。
最後に余談。
YGG募集馬の育成先で時々名前の出てくる99.9。読み方は「ナンバーナインポイントナイン」で、代表を務めるのは第一回ジョッキーベイビーズチャンピオン・木村拓己氏（カナダで活躍中の木村和士騎手のお兄さん）。昨年のツアーで話をさせてもらった時に「若いのに馬や育成の意図などに関してきちっと言語化できて、かつ話も上手い」と思い、今年もツアーでお会いできることを楽しみにしていた。展示の際はロマンスガッサン22の近くに居られたことから、自然と同馬の話題となったが、私含め多くの会員に「ハバナビーチ持ってました」と振られると、その度に「申し訳ないです。僕達も思い入れがあった馬なので…」と謝られていた（故障自体はレース中のもので育成はあまり関係なかったはずであるにも関わらず）。
昨年も出資済みの状態でお話をした際、ハバナビーチに強い自信を示して下さっていたが、今回のロマンスガッサンについても同様で、変わらず自らの育成馬に自信と愛情を持って接しておられる空気が感じられた。またセールで99.9名義で牝馬を落札しているように今後生産も力を入れていきたいというお話や、今年の2歳世代では育成馬が地方重賞を複数勝利していることなど短時間ながら様々な話題についてお話させていただいた。
木村氏はじめ来場されていた他の日本人スタッフの方も若く、才ある若者たちがすげー頑張ってるのを見ると応援したくなるという「あージジイになったな自分」という実感持ちつつ、いつの日か99.9生産、99.9育成のYGG募集馬がでてくる日を願わずには居られない。
来年のツアーもまたよろしくお願いします。
