みずおとのしらべ

ノベル日記です。

(ちょっと休憩)

2005-05-25 17:38:15 | Weblog
生きてます。ふえーん。

1-8序 交信

2005-03-25 06:03:43 | Weblog
「深刻そうだね。相談ならできるだけのるよ」

 reiさんからの返事は早い。
 こちらも内容をぼかしてはいたけれど、とりあえず悩み事があるらしいニュアンスはどうやら伝わったようだ。

 メールで気持ちを伝えるのはむずかしい…。言葉ひとつでどう誤解されるかわからないそんな綱渡りに似た不安を覚えてしまう。
 川本さんにいわせれば、
「そんな事気にしてたらメールなんてできなくない?」
 とのことだけど、私は相手に誤解されるのは不安だからと言ったら
「じゃあスリル込みで楽しんだらいいでしょ」
 なんて真顔で言われる始末。意外な反応があるからメールは楽しいんじゃない――とのお言葉に、なるほどと感心する私もどうかと思うが、内容が伝わるように気を配りながら書く私のメールはどうも面白味に欠けるのだそうだ。ネットには相性のいい性格と悪い性格があるかもしれない。
 引っ込み思案な自分に落ち込んでいたらまたreiさんからメールが届いた。

「チャットで話さないか?」

 チャットにも気づかなかったなんてやはり私はどうかしているようだ。
 時計を見ると深夜10時。
 断る理由がこちらにあるはずがなく、OKの返事を出していつものチャットルームを開いた。
「あ…hakuさんがいる」
 reiさんがhakuさんとチャットしているようだ。

haku>wizさん、お先してるよ。
rei>今晩は。ただいまhakuの栄光ある11連敗達成でお祝い中。
wiz>こんばんは。>haku rei 楽しそうだね。偉大な大記録おめでとう。>haku
haku>  楽しくねーーーーー!!!!!
偉大でもねーーーーーー!!!!

 wizとして入室した私だが、さっそく個別の1on1チャットが別窓で表示された。
rei>例の件はどうする? hakuにも聞いてもらうおうか。

1-7序 選択

2005-03-22 23:37:30 | webノベル
 私は一歩を踏み出してみようと決めた。
 ちいさな一歩だけど大きな分岐点であることは自覚している。
 決断の大きさにこの時の私は酔っていたのかもしれない。冷静に落ち着いて考えるべきだったのに、それを後で悔やむともしらずに…。
 …なんて展開になったらやだなあ。
 私はクリックしようとする指を止めた。
 冷静に…冷静に…。しばし悩むこと数分。
 よし。決めた。
 まずはメールでそれとなく話をほのめかすところから始めよう。
 いつものように最近あったことや思った事柄なんかをつらつらと書き連ねて、つたないながらも文章へとしたためていく。

1-6序 ウェブフレンド

2005-03-20 07:12:14 | webノベル
 でも考えてみれば答えは始めからそれしかなかった。

 家に着くまで考えをまとめておこう。
 夕日の中を私は歩く。
 ネットで知り合った顔も素性も知らない人。

 《rei》というハンドルネームで私のブログでコントを残していく常連さんは、ネット上での付き合いは私としては親交が深い。
 深いといっても、私が一方的に思い込んでいるだけでreiさんがこちらをどう思っているかはわからないけれど。reiさんのブログにも遊びに行ってる。チャットでも会話したしメールも交換してる。でもreiさんは自分のプライベートを一切流さないし、現実感を感じさせないライトナ交流が心地よかったのかもしれない。面識がないままつながる現実から遊離した私たちのリアル。

 …ウェブフレンド…。

 相談したら、そんな砂上の楼閣のように空の中で息をしてるような時間も失ってしまうのだろうか。
 それとも私の知らない新しい関係が…。
 どうしよう。
 手紙の相談をするつもりだったのに話がズレてる。
 ズレてはきているけれど、でも…元々私は手紙の件が頭からはなれないという悩みを解決したがっていたのだから、reiさんとの交流で手紙を忘れられたら問題を解決できたのとおんなじだ。
 どうしよう。
 私は胸が躍ってる。

1-5序 運命 ‐ウンメイ‐

2005-03-19 05:20:09 | webノベル
 もう、手紙を見てしまおうか…。
 流されるような思考に身をゆだねて。
 …いや。流されてはいけない。
 振り払うように私は頭を振る。
 それとも相談する? 誰に。お父さん、お母さん、それとも…。
 川本さん。
 駄目。それは駄目。誰も駄目、相談できない。
 私はそこで顔をあげた。
 あ、いた。
 私はひらめいたアイデアに自分でも意外なほど驚いた。
 …あの人、ネットで知り合ったあの人になら…。
 誰でもない誰かだから。きっと。

1-4序 内面 ‐ナイメン‐

2005-03-18 15:54:06 | webノベル
 …嘘吐き。
 また声が聴こえる。
 もう一人の私の声が…。
「やめてよ…」
 嘘吐き。見ればいいだろう、あの手紙を。
「…聞きたくない…そんな言葉」
 しらない。見たくない。考えたくない。
 この一年間に育ったもう一人の私。
 正直で、屈託がなく、頭がよくて、そして…
 残酷だ。
 足が重い。時間の感覚が稀薄になってくる。もう自分ひとりじゃ、抱えきれなくなっているようだ。
 知らない内に、自分は何かに蝕まれ、ボロボロになっていたのかもしれない。
 限界。…そんな言葉が思い浮かんだ。
 どうしよう。限界かもしれない。
 そんなの嫌だ。
 でも、この感じ、耐えられないかもしれない。

1-3序 予感

2005-03-17 23:38:01 | webノベル
「じゃ、また明日ね」
 私は手を振って川本さんと別れた。
 外はもうほんのり黄昏色。薄暗さが家路を急がせる。
 …でも、私の足は重かった。
「あ~あ、気になると頭からはなれないな」
 手紙のこと。
 ずっと忘れていたのに…。
 いいえ、ともう一人の私が否定する。
 忘れようと努力してきたんだ。あの日から1年の間、ずっと。
 …手紙…。
 そう。あの手紙を開くべきかどうか、あの日以来中身を見ることをやめようと心に決めていたのだけれど、それが正しいことか否かまだわからないでいるのだ。
 これは答えの出ない問題だ。
 そう割り切って私は手紙を見ないと決めて今日まで過ごし続けてきた。
 私は今の生活でいい。このままでいい。
 嘘吐き。
 
            と私の中で私が笑った。

1-2序 手紙

2005-03-16 20:29:16 | webノベル
「で、その手紙には何が書いてあったの?」
と、川本さんは興味津々に聞いてきた。
そんなことを聞かれても困るのだけれど。
「まだ見てないからわからないよ」
「え? だって呼び出されたんでしょ?」
「うん。宛名書きの部分に呼び出しは書いてあったから。中はまだ見てないよ」
「ふぅん…そうなんだ」
変なの、という顔をされてしまった。
まあ、私が逆の立場でもきっと同じことを考えてしまうと思う。
実際、あの後事情を聞いた警察の人にも、呼び出しがあった程度でぼかしていて、手紙については話さなかった。
話す気になれなかった…。
「それじゃ、もうあれから1年経ったでしょ? だったらその手紙…ねえ、ほら」
好奇心むき出しの笑みでつめよってくる川本さん。
あの日、ぼうっとしている私を最初に見つけて上手く取りはからってくれたのが川本さんなのだから、当然といえば当然かもしれない。
あの日の縁を境に、こうして私たちは付き合うようになったのだから人の出会いは不思議だ。
はあ、と溜息をつきながら私は外を見た。
中庭には満開の桜の木が美しく咲いていた。

私には、その美しさがいつも血の色とかぶって見え、こことは違うどこか別世界の風景に思えた。

1-1序 卒業

2005-03-15 22:30:55 | webノベル
卒業の日に、あの人は死んだ。

私はまだ一年生だった。
でも、セピア色の思い出の中であの時の光景はいまでも色鮮やかに覚えている。
先輩は桜の木の下で死んでいた。
胸にはナイフが。地面には鮮血が。
毎日通学途中に飽きるほど見てきた校門の桜なのに、そこはもう私の見知らぬ場所。
そこから後の記憶はない。
話によると、私はぼうっと死体の前で立ち尽くしていたそうだ。
先輩から受けとった呼び出しの手紙をにぎりしめながら。

始めに

2005-01-28 20:31:37 | Weblog
当ブログは、ノベルブログです。

気がむくままに小説を執筆させていただきます。
今後ともよろしくお願いします。


ストーリー、キャラ、設定しました。UPは後程。