栗山求/望田潤監修「パーフェクト種牡馬辞典2024-2025」

第84回皐月賞回顧~黄金世代、ついに牡馬クラシックを手中に

2024-04-16 10:16:59 | 血統予想

中山11R皐月賞
◎11.ホウオウプロサンゲ
○8.ジャンタルマンタル
▲15.サンライズアース
△14.シンエンペラー
×2.メイショウタバル
×5.ミスタージーティー
×10.レガレイラ
×17.ビザンチンドリーム
今年の皐月賞は、ピッチよりストライド、機動力より斬れ、中山より東京というタイプが多い。中山内回りの多頭数で、3~4角で動いていける馬、番手を上げていけるような馬はコスモキュランダ、サンライズアース、ジャンダルマンタル、メイショウタバルぐらいか。川田の立ち回りでいくか、ミルコの捲りでいくか、入り口はそのあたりも考えたが、現在ブービー人気ホウオウプロサンゲの一発逃げ切りに賭ける。
ヴェロックスの弟で、キズナ黄金世代のセレクト45100万円の高馬。母セルキスは独オークストライアル(G2・芝2000m)勝ち馬。母父モンズンはドイツの名種牡馬で、日本での代表産駒は雨のオークスで2着に逃げ粘ったピュアブリーゼ。キズナ×モンズンはシュバルツクーゲルと同じ。若葉とアイビーの2着を見てのとおり、この馬も逃げると俄然底力を発揮するのはモンズン肌らしい。ちなみに土曜の山藤賞はモンズンの孫ヤマニンアドホックが逃げ切った。ここは僚馬2頭(シンエンペラーとミスタージーティー)のためにも行ききってペースメイクだろうし、きょうだいのなかで最も母似でモンズンらしさを漂わせている馬だから、緩みないペースで逃げても踏ん張れる底力を秘めていると思う。乱世クラシック、混戦皐月賞だが、一冠目はモンズンの逃げで打ってみたい。

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例によってNETKEIBAの全頭血統解説より1~3着を

ジャスティンミラノ
ベルモントオークス招待S(米G1・芝10F)勝ちマジックアティテュードやサンドリンガム賞(仏G2・芝1600m)勝ちMission Impassibleの半弟。母マーゴットディドはナンソープS(英G1・芝5F)勝ち馬。母父Exceed and Excelのマイラー資質と母母母父Darshaanの斬れを受け継いだキズナ産駒で、配合どおりナスキロ柔いストライドで走る。脚をタメて末脚特化のケイバで味があるタイプで、共同通信を見てのとおり大箱のスローに向いた中距離馬だ。(距離◎スピード○底力◎コース○)



コスモキュランダ
母サザンスピードはMRCコーフィールドC(豪G1・芝2400m)勝ち馬。近親にATCシャンペンS(豪G1・芝1600m)のGo Indy Goなどがいる。母父Southern Imageは北米G1を3勝したHalo系。父アルアインはシャフリヤールの全兄で皐月賞と大阪杯に勝った。父を重厚にしたような中距離馬で、Halo≒Sir Ivorの継続クロスだから機動力があり弥生賞は絶妙な捲り。それほど速い脚はないので、ここも同じようなケイバで持続力を活かしたい。(距離○スピード○底力○コース◎)



ジャンタルマンタル
母インディアマントゥアナはレッドカーペットH(米G3・芝11F)勝ち。母父Wilburnはインディアナダービー(米G2・ダ8.5F)に勝ったA.P.Indy系。父パレスマリスはジャスティンパレスやアイアンバローズの半兄のCurlin産駒で、ベルモントS(米G1・ダ12F)に勝ちノーブルロジャーなどを出している。主として両親のナスキロ柔さで芝を走っている印象で、共同通信杯の追走を見てもベスト距離は1800だろう。北米血統だから中山で立ち回れる機動力兼備。(距離○スピード◎底力○コース◎)



「今年の皐月賞は、機動力より斬れ、中山より東京というタイプが多い」「3~4角で動いていけそうなのはコスモキュランダ、サンライズアース、ジャンダルマンタル、メイショウタバルぐらい」

予想コメントの冒頭でこう書いたのですが、メイショウタバルがうなりながら皐月賞史上最速ラップ(前後半57.5-59.6)で逃げるなか、3~4角で明確に加速して番手を上げたのはジャンダルマンタルだけで、コスモキュランダは4角~直線にかけてジワリと進出しましたが、他はみんな7-7-7-8とか10-10-10-10とか、ずっと同じ番手同じ隊列のまま直線まできたというレースに見え、それはほとんどの馬がコーナリング能力があまり高くなかったからじゃないかと

それと猛烈Hペースで流れたことで、2400寄りの馬は追走に苦しんだという面もあって、やっぱりスワーヴリチャード×ハービンジャー×ウインドインハーヘアの2頭とか、TTっぽい体つきのエピファネイア産駒とか、ドゥラメンテ×リッスンの男馬とか、そのあたりはマイラーっぽい追走力を要求されると辛かったように思いますね

「ジャンタルマンタルはジェニュイン~ロゴタイプの系譜上の馬やと思う。1800のフワフワBold Ruler」
パドックを見てこうコメントしておいたんですが、キャプテントゥーレも系譜に加えてもいいかな、4角で躍動して直線先頭に立ったときはやはりBold Rulerフワリかと声が出たのですが、あれで3着というのは川田も言ってましたが1800ベストなんですかね

コスモキュランダはHalo4×4のアルアイン産駒ですから機動力は十分で、モレイラは絶妙のタイミングで捲り差したと思いますが、母方がわりとスタミナなのでアルアインよりは泥臭い捲り

それこそ同じビックレッドF産でラフィアンTC所有で、Zabeelのスタミナを引き皐月賞3着だったマイネルチャールズなんかを彷彿させる泥臭さがあり、私は中山は向くけれど高速決着になるとどうかと思ってましたね

ジャスティンミラノはキズナ×Exceed and Excel×Darshaanですから、配合のアウトラインはライトバックと酷似



母マーゴットディドはこれでG1馬2頭とG2馬1頭を出したことになりますが、Exceed and Excelの母父LomondはSeattle Slewの半弟でその母My Charmerの母父がWar Admiral、Shareef Dancerの母Sweet Allianceはケンタッキーオークス馬でその父はSir Ivor、名繁殖と呼ばれるような牝馬は「名牝や名繁殖を経由して、名BMSの血を引いている」ことが多い

マーゴットディドはナンソープS(英G1・芝5F)に勝ったデインヒル系のスプリンターで、ジャスティンミラノはこの影響も感じさせるフォルムで、皐月賞は+10キロの512キロで出てきましたが、この時期の友道厩舎の若駒にしては肉付きも良い

これまでの2戦、新馬も共同通信も超スローしか経験していなかったのに、行きたいホウオウプロサンゲを鼻歌交じりでパスして好位につけたスピードは、母方のマイラー資質を垣間見せた瞬間だったかもしれません

キズナ×Green Desertのパラレルヴィジョンが最初ルメールがごまかして2000を走らせていたけど、バスラットレオン(これもキズナ×Green Desert)のようにうなりをあげるマイラーに突然完成したように、ジャスティンミラノも何かの弾みでバスラット方面に走ってしまいそうな雰囲気はあります

いっぽうで3代母Caraniyaは、血統表を参照していただきたいですが父母相似配合でDarshaanの斬れをよく伝える繁殖と考えられ、そこにディープ×Storm Catのキズナですから走らせるとたしかにナスキロ柔いストライドで直線で加速し、そういうDarshaan的斬れを伸ばすタイプにつくってきたのは実に友道厩舎らしいといえます





共同通信の直線の加速なんてまさにDarshaan的ナスキロ的で、だから中山だとコーナーで加速できないからあんな勝ち方にはならないんじゃないかと思ったんですが、実際3~4角ではジャンタルに捲られコスモに詰められていて、そこから直線でストライド加速で巻き返して勝つというね、こんな勝ち方をする皐月賞馬も珍しいです

秘めたるマイラーのスピードで好位につけ、直線でDarshaanの斬れを発揮して差し返す、ジャスティンミラノをこんな馬につくったのは友道厩舎ならではといえるかもですが、そんな名門厩舎の調教を支えていた乗り役の一人が藤岡康太で、ミラノの2週前と1週前のウッド調教にも跨ってました

果たしてこれからバスラットレオンに寄ってくるのかどうか、そういやドウデュースにしても、ユタカが朝日杯に行こうと進言したときからマイラー体型だとみんなが言ってるのに未だに中距離走ってますから、そのへん友道厩舎は恐ろしいです(^ ^;)

皐月賞や桜花賞の展望などで「3歳のキズナ産駒は黄金世代やから、ついに牡馬クラシック勝つ馬が出ても驚けない」と事あるごとに言ってきましたが、こうしてみると春クラシックに出たキズナ産駒は母系にDanzigを引くことが多く、皐月は回避しましたがシックスペンスも母がDanzig4×4です

クイーンズウォーク:なし
サンライズジパング:Dansili
ジャスティンミラノ:デインヒル
ホウオウプロサンゲ:Chief's Crown
ライトバック:デインヒル

母系にDanzigをもつキズナには以下のような馬たちがいますが、キズナ産駒にしては牡のほうが走っているのが珍しいですね



またこれも何度も書いてるネタですが、初年度産駒が大ブレイクのスワーヴリチャードも、皐月賞と桜花賞に出た産駒はみんな母系にDanzig

スウィープフィート:Chief's Crown
コラソンビート:Fusaichi Pegasus
アーバンシック:デインヒル
レガレイラ:デインヒル

ディープインパクト×Storm Catもハーツクライ×Unbridled's Songも、日本の芝中距離を走る上でのしなやかさを表現するニックスなので、次世代ではDanzig系マイラーの強靭な後駆を取り込むことで、2歳早期から活躍しクラシックロードに乗る馬が出ている、ということやと思います

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日曜のボツ予想~血統は阪神ダ1800

2024-04-14 09:56:10 | 血統予想

早起きして予想してたら間違えて中山の特別二つを入稿してしまったので、アンタレスをボツ予想に回します(^ ^;)

ハギノアレグリアスはジェネラスの重厚さが強くて1800より2000だと思うので、ダートで新境地を開きRoberto的な馬ですから阪神もいい○ヴィクティファルス、上昇中のエスポワールシチーの半弟▲テーオードレフォン、巨漢でTom Fool捌きで阪神でも捲れそうなジェンティルドンナの半弟△スレイマン、ひとまずここらに食指が伸びます



ダイワルージュはダイワメジャーの全姉で桜花賞3着、そこにブライアンズタイム、アイルハヴアナザーと配されてDanzigとRobertoのクロスを重ねた◎サヴァは、血統表も実馬も阪神外マイルより阪神ダ1800の馬に見えるし、3歳時はユニコーン2着の実績もありますから、馬券的にはここから入りたいなと

NETKEIBA「厳選予想 ウマい馬券」では皐月賞とドゥラメンテCと春雷Sを、競馬道OnLine「今週のBLOOD穴ライズ!」では皐月賞を予想していますので、日曜もよろしくお願いします


http://yoso.netkeiba.com/?pid=yosoka_profile&id=24&rf=umatop
http://www.keibado.ne.jp

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土曜のボツ予想~レイデオロvsスワーヴ

2024-04-13 09:47:26 | 血統予想

山藤は中山のスローならレイデオロ×シンハライトの◎セイロンジェムズでよさそうですが、○ショーマンフリートは母系に入るMatahawkの母父がAureole直仔のSt.Paddyで、ここ2走を見ると前に馬がいるとヤル気を出していないようにも見え、6頭立てで気分よく走れれば新馬勝ちの再現もということで、◎○→エコロマイネルで買ってみようかなと 



NETKEIBA「厳選予想 ウマい馬券」ではアーリントンCと明石特別と雪うさぎ賞を、競馬道OnLine「今週のBLOOD穴ライズ!」ではアーリントンCを予想していますので、今週もよろしくお願いします


http://yoso.netkeiba.com/?pid=yosoka_profile&id=24&rf=umatop
http://www.keibado.ne.jp

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皐月賞一言コメント

2024-04-12 21:55:18 | 血統予想

今週もnetkeibaTVにて皐月賞の展望をザックリやってますので、こちらもよろしくお願いします


https://tv.netkeiba.com/watch/?id=9389
土曜の予想はアーリントンだけ入稿済です

サンライズジパング:Dansiliディープボンド
メイショウタバル:カンパク下り走法
エコロヴァルツ:前後二択Aureole魂
シリウスコルト:マクフィ+北米パワー
ミスタージーティー:リッスン濃厚斬
アレグロブリランテ:フレンチ重巧者
ルカランフィースト:仏斬イスラ
ジャンタルマンタル:北米自在ナスキロ
アーバンシック:しなやかハービン
レガレイラ:アンブラ+インハー斬り捨て
ホウオウプロサンゲ:Monsun魂逃げ
コスモキュランダ:父母相似Halo捲り
ジャスティンミラノ:Darshaan後傾スト
シンエンペラー:良血高額惜敗皇帝
サンライズアース:巨大ボッケリーニ
ダノンデサイル:相似重厚イズジョー
ビザンチンドリーム:ナスペリデアタク
ウォーターリヒト:Princely Gift下り

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4/4~7の血統屋コンテンツ推奨馬の結果速報

2024-04-11 15:58:20 | 共有クラブ

■『一口馬主好配合馬ピックアップ(2022)』で望田潤が推奨したレッドセニョール(牡3歳)が日曜中山4Rの未勝利戦(芝1600m)を勝ち上がりました。

★東京サラブレッドクラブ
父リアルインパクト
母ポルケテスエーニョ(Medaglia d'Oro)
https://db.netkeiba.com/horse/ped/2021105779/
牡 募集価格:1800万円
ミスエルテの甥で、母母ミスエーニョはデルマーデビュータントS(米G1・AW7F)勝ち。その母父ヘネシーは日本で成功しているStorm Cat系で、母系にStorm Catをもつリアルインパクト産駒はラウダシオン、イプシランテ、ギブミーラブなどJRA出走11頭中7頭が勝ち馬と高確率で走っています。母系にStorm CatとA.P.Indyが入ってSir Ivorをクロスして、全体に"柔"な方向に振っているのがリアルインパクト産駒として◎。5月生のリアパク牡駒ですから、これから幅が出てマイラーらしい肉付きになってくるでしょう。(望田)

■木曜園田11R兵庫女王盃3着 サーマルソアリング(一口&POG・望田)
■土曜阪神11R阪神牝馬S2着 ウンブライル(POG・栗山)
■土曜中山11RニュージーランドT2着 ボンドガール(POG・栗山)
■日曜福島12R1勝クラス ラスハンメル(一口&POG・栗山)

下記は3歳世代のJRAリーディングトップ10ですが、こうしてみるとリアルスティールのセコンドクロップ頑張ってて、まあ新種牡馬予想のときに「ダートいけるし自己主張も強そうでアベレージは出るはず」と書いていたので驚きはないですが、勝ち馬率43.4%は何気にすごい

3歳世代リーディング(勝ち馬率)
キズナ 98602.9万円(37.9%)
エピファネイア 90504.1万円(30.4%)
スワーヴリチャード 60191.4万円(31.9%)
モーリス 54088.0万円(32.1%)
ロードカナロア 50933.9万円(36.8%)
ドレフォン 48631.0万円(31.7%)
ダイワメジャー 47086.9万円(22.4%)
リアルスティール 44958.4万円(43.4%)
ニューイヤーズデイ 36928.1万円(40.0%)
ブリックスアンドモルタル 35146.2万円(20.2%)

「母系にA.P.Indyが入るリアルスティール産駒が走ってますよね」という話を土曜にしてたんですが、リアルスティールってのはディープインパクト×Storm Catの黄金配合で、この配合はSir Ivor≒Terlinguaのニアリークロス由来のしなやかストライドが最大の特長





ただリアルスティールはMiesqueの直系でもあり、ラヴズオンリーの仔はみんな独特の立ち肩で(私はRibot肩と呼んでますが)、リアルスティール産駒も前捌きが硬いように見えるタイプが多いですよね

Miesque様が走ってる映像があれば一目瞭然ですがもうバリバリのRibot肩で、マイルの女王といってもすごい快速牝馬というよりは力強く掻き込んでねじ伏せるように差し切ります

だから産駒はこのRibot肩をもう少し柔らかくほぐして鈍角にするような配合が成功しているといえ、その場合Sir Ivor≒Terlinguaのニアリークロスに同じような「ナスキロ+トムフール」的組み合わせの有力スピード血脈を合わせる、というのが有効だと

フォーエバーヤング(UAEダービー他)…母にWeekend Surprise
レーベンスティール(セントライト記念)
オールパルフェ(デイリー杯)…Alzao≒リリズム4×6
ドナベティ(②ファンタジーS)…母にWeekend Surprise
チカッパ(昇竜S)…Storm Cat3×5

重賞連対orオープン勝ちの産駒は、レーベンスティール以外はいずれも、Sir Ivor≒Terlingua的な(「ナスキロ+Tom Fool」的な)クロスやニアリークロスを重ねており、まあレーベンスティールは母父トウカイテイオーがまだ別次元の柔らかさを伝えるのでね

コメント (1)
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