ネタばれ有。特に後半の【心に残ったシーン】は気を付けてください。
「
私はれいなを抱きしめていたい」(※黒板なので閲覧には注意)
一言で言うとすごく癖になる話。
作者の愛なのかネタなのかよくわからないとりあえず妄想が短編集としてまとめられています。大半の話が「私はれいなを抱きしめていたい。」と締められていて、そこでスレ全体の統一感が演出されています、というわけでもない。混沌としています。
でも、読んでるとなんか癖になるんだよなー。気持ち悪いおっさんの妄想を書きなぐっていて、事実内容は気持ち悪いものも多いのに、その物語の上の方から作者が冷静に俯瞰しているのが見えるような気がする書き口です。
中でも、直近?に書かれた、「海」という話と「ショートホープ」という話がお気に入り。特にショートホープは1レスという限られた容量の中で、このスレや娘。たちが過ごした4年という歳月、背伸びではなく大人になってしまったれいなとそれを見る男(あるいは俯瞰する作者)の絶望や希望が「ショートホープ」という一本のたばこできれいにまとめられています。
更新頻度は物凄く遅く、4年間で68レスという現状ですが、続きものではないので気にせず読めます。男が出てくるのが嫌でなければ、お勧め二作だけでも目を通してみてください。
【心に残ったシーン】
そうかっこよくキメるとれいなはぎこちない仕草でタバコを取り出し、
火をつけようとして「あれ?着かんと?」と呟くので、
「れいな、タバコってのは口に加えて息を吸わなきゃ火つかないんだよ」
「それは知らんかったばい」と照れて赤くなった。
れいなの吹き出すタバコの煙の香りはほろ苦く、オヤジ臭い。
「ショートホープ?」「ショートホープ」という会話に、
ぎこちなさと、照れと、憧れと、達成感が滲んでいた。
一人前に目を細めてタバコを吸うれいなの姿を見て、
あの頃からよほど時間が経ってしまったんだなと思ったけれども、
「さゆがね、えりがね」
と遠い目をして絶望と希望とがない交ぜになったあの視線上、
ショートホープが更に短くなるので、私はれいなを抱きしめていたい。
「ショートホープ」