とにかく色色なものが入ってき過ぎる。混乱する…ただ混乱する。
わたしは影響されすぎる。たぶんわたしはプレーン過ぎるんだ。悪い意味で。
小麦粉みたいな従順さと怠惰さで―何て言ったらいいんだろう、とにかく私は影響されすぎる。そもそもあんまりにも多くが入ってきすぎる。際限がない。バランスが悪い。境界がない。わたしとすべての物ものの間に境界が存在しない…私はすべてを受け入れることができるし、同時にどこにも存在しない―つまりあらゆるものの存在ということだし、さらにその場合あらゆるものは。存在しない。
いっぺんに来る。
そして、もちろん間に合わず混乱する。世界に追い付けず、途方に暮れる間もなく世界は来つづける、私は分裂して、混乱する。あまりにも混乱しきってしまうために、わたしは静寂な混沌のなかに置かれる。
わたしは…わかってもらいたいわけじゃないのかもしれない。
この混乱がなければ良いのだろうかと考えたけれど、そうではないかもしれない。わからない。
ただこの分裂と混乱を知らずにいればわたしはまったく違う思考の体系を持っていただろうし、死を安寧とあがめてはいなかっただろうと思う。ただそれが良いことなのかどうかはわからない。
ぞっとする考えだ。
だったら私はいったい何を吸い込み、混乱に変え、そして吐き出し、おびえているんだろう。そしていったい何からなら救われることができるのだろう。不幸でもないのに?
だって、存在は常に美しすぎる。無価値であることは尊すぎる。
感じないほうが嘘だ。
そして感じることは、おそろしいことだ。おそろしすぎて、近づきたくなくなるくらいに。けれど入ってきてしまう。わたしは混乱する。泣いたり、吐いたりして、物事を感じる。そうするしかできない。
まだ世界に慣れていないんだと思う。
世界!膨大な!
立ち尽くすどころか何度も打ちのめされている。平伏している。
平伏しても平伏しても世界は新しくわたしを感じさせる。
それは、そうか、性行と似ている。とめどない快感と苦痛のあいだにはごくわずかな壁しかない、そこを行ったり来たりさせられる。自分の意思とは関係なく、行き来させられ、疲弊し、でもまた上り詰めることを望んでしまう。