大人の草野球チームに、入ることにした。
女性は私だけで、私より年上とか年下とかの男の人ばかりのチームだけど、入ることにした。
それというのも、私は週に三回ほどフィットネスジムにいっているのだけど、そこで出会った人が、草野球チームで野球をやっている人だったのだ。
その人は、仕事以外にはその野球のことだけをずーっと考えているような人で、野球にドップリはまっていて、話を聞いているうちに、私はとても羨ましくなってしまった。
こんなに楽しいことがあるって言うのは、いいなぁ。
それに、野球を通じてこの人には友達がたくさんいるし、いいなぁ。
あおぞらの下で野球をしたら、スッキリした気分になりそうだなぁ。
そういうわけで、私は「私も野球やらせてください」って、お願いすることにした。
もちろん私は野球なんてやったこともないし、ほとんどみないし、ルールも知らないのだけれど。
そんなこと、考えもしなかった。
その野球チームに女性はいないとか、私はそんなに若くもないとか、そもそも野球なんかできるのかとか、
そんなこと、考えもしなかった。
ただ、やってみたい、と思ったのだ。
それで、さっそく野球をやってみたら、面白かった。
そして、私は気づいてしまった。
実はひょっとしたら、私はつまらなかったのかもしれない。
つまらなくて、息を止めて水の中にいるように、ずっと我慢していたのに、
自分がその水の中で我慢していたことすら、気づいていなかったのだと。
誰も私に我慢しろなんて、言ってなかったのに。それなのに私はいろんなことを、勝手に我慢していたのだった。
子供を育てたり、家事をしたり、小説家になると言う夢を追いかけたり。
そんななかで、私は勝手にいろんなことを我慢していて、野球をやっている時にふと、自分が我慢していたことに、なぜか気づいたのだ。
ボールを追いかけたり、褒めてもらえたり、相手を褒めたり。
ボールを取って、自分の下手さに打ちのめされたり、相手のうまさに感嘆したり。
そういう中で、私は自分を少しだけ、取り戻した。
勝手に、自分の人生を受け入れたかのような、平穏な気持ちになっていたけど。
そんな人は私では、ないのだと、思い出した。
もし、自分の人生を、「こういうものだ」と思っている人がいたら、私はオススメしたい。
まったく自分がおもいつきもしないことを、ふと、始めてみる、ということ。
そうすれば、「こういうものじゃなかったかも」と、気づくこともまた、あるかもしれない。
ツイッター:山本李奈(yamamotorina3)