のろや

善男善女の皆様方、美術館へ行こうではありませんか。

『最後のジェダイ』

2018-05-06 | 映画
なぜ唐突に『最後のジェダイ』なのかと申しますと、半年前に書きかけて放置していた記事をスター・ウォーズの日(5/4)に合わせてUPしようと思ったもののイラストが間に合わなくて今日になってしまった、というだけの話でございます。


さておき
SWに関してはルーク三部作至上主義者をもって自認するのろさん、メナス→攻撃→復讐→覚醒と鑑賞して来てその立場はますます固まる一方だったんでございますが、『ローグ・ワン』が思いのほかよかったものですから、つい新たなる希望を抱いてしまったわけです。
そんなわけで、期待と不安を胸に『スター・ウォーズ エピソードVIII 最後のジェダイ』を観てまいりました。

「うん…まあ…許そう」というのが鑑賞直後の感想でございました。
少なくとも前作『フォースの覚醒』よりはよかったです。ワタクシの中では『覚醒』が全シリーズ中最低点でございましたので、相対的に本作の評価が甘めになっているかもしれませんけれども。
古い酒の風味をなるべく損なわずに新しい革袋に入れようとする製作陣の頑張りは伝わってまいりました。また、ストーリーのためにキャラクターが犠牲になった点がないわけではないにせよ、酷評するほどのものではなかったと思います。
ただ、もはやディズニー傘下のいち商品となったこのフランチャイズに、センス・オブ・ワンダーを期待すること自体が間違っているのかもしれないと思ったのも確かでございます。

↓↓↓↓↓↓ 以下、ネタバレ話 ↓↓↓↓↓↓







よろしかった点とよろしくなかった点を挙げていきますと。

●よろしかった点

・レイアの衣装の改善
前作と違って体型を隠すストンとしたシルエットに、指導者らしい威厳と気品のあるデザイン。むしろなぜ始めからこういうのにしなかったのか。

・デス・スターが出てこない
ホッとしました。

・反乱軍の内紛
今までになかった展開で、新鮮に感じました。人命第一とするレイアの言い分がもっともである一方、危険をおかした攻撃を仕掛けて大貢献したのに評価されないポーの苛立ちもわかる。大局的には仲間なのに、戦術面で真っ向からぶつかり合ってしまうというもどかしさ。ひとつの行為が「崇高な犠牲」なのか「取り返しのつかない損失」なのか。いっそこれを中心に据えて話を組み立ててくれてもよかったのに。

・フィンとローズの冒険
レヴューを見るとけっこう不評のようですが、私は終始楽しかったです。2人とも地味ながらも素朴で好感の持てるキャラクターですし、胡散臭さ満点のデルトロもよかった。アウトローの存在って大事ですなあ。また後述しますように、細かいどんでん返しが多くて登場人物をいまいち信用しきれな所のある本作において、この2人の誠意は疑う余地のないものであり、キャラに肩入れしながら観たいワタクシにとっては一種の安心要素でございました。
ただ、最後の告白とキスは蛇足であったと思います。いくら何でも唐突すぎました。ローズがフィンのことを英雄だと思ってとても憧れていた、という所をもっとしっかり描いてくれていたら、この展開にもそれなりに感慨があったかもしれませんが。

・ヨーダが元気そうで何より
フランク・オズも元気そうで何より。

・マズ・カナタのタフババァっぷり
前作から割と好きなキャラクター。

・C3POも元気そうで何より
いかなる時も決して空気を読もうとしない彼のことを、ワタクシは心から愛しております。もっとも今回に限ってはルークの目配せに何事か感じ取って口をつぐんでいたのかもしれませんね。ルークに代わって言っておきましょう、「ありがとう3PO」。
なおこちら↓の記事によると、この目配せシーンは当初脚本になかっく、ルークはただ3POの前を通り過ぎるだけだったのだそうです。「3POは長年の相棒なのに(無視するなんておかしい)」というマーク・ハミルの指摘により、目配せが追加されたのだとか。GJでございます。
Mark Hamill insisted on changing a moment in Last Jedi

・終盤の盛り上がり
とりわけ反乱軍が基地に追い詰められてからの攻防でございます。なにせ絶体絶命感がございましたし、銀河のあっちこっちに広げた風呂敷をきちんと畳みにかかっているのもよかった。最新兵器にオンボロ戦闘機で立ち向かうという展開も熱い。それだけに主力の兵器に一矢も報いることができなかったのはいささか残念ではありました。
でも正直申しますとね、集中砲火の雨あられの跡にルークが立っているのを見た時、この映画の全てを許す気になってしまいました。のろさんもチョロいもんだ。ついでに白状しますと、R2D2がルークにあの「助けて、オビ=ワン・ケノービ…」のホログラムを見せた時は、あざといと思いながらもホロリと来てしまいました。ああ、チョロいぜ。
ルークの最期については百点満点大絶賛とは言えませんけれども、まあ、あれでよかったかなと。何かにつけて純朴でくそまじめだったルークが最後の最後でトリッキーな振る舞いをして去っていくというのも、ヨーダの教えの賜物かもしれませんて。また振り返ってみると「ヒーローの不在」というのが本作のテーマのひとつであったようですから、ルークの退場の仕方もこのテーマに即して作られたのでございましょう。

全体的に、新旧のキャラクターを共に真っ当に扱っていると感じました。前作と違って「何でそーなるの??」と思う箇所がほとんどありませんでしたから。観る側がこのシリーズのキャラ設定に慣れて来たというのもあるかもしれませんけれどね。頑張りすぎて近視眼的になってしまうレイは、評議会への不満をつのらせるアナキンやすぐイラつきがちだったルークのように「未熟な天才」の系譜を受け継いでおりますし、ポー&フィンもそれぞれ違った方向に無鉄砲ながらも成長の兆しを見せ、これからの展開が期待される所でございます。
例の問題児に関しては、のちほど。


●よく分からなかった点

・レイの出生の謎
結局「たまたま天才だった」ってことでいいんでしょうかね。誰の血筋ってわけでもなく。カイロ・レンが「お前の両親は無だ」みたいなことを言っておりましたけれども、それが事実なのか、あるいはレイの心を挫くためにテキトーなことを言っただけなのか判然としませんでした。

・スノークとは何だったのか
いやほんとに、何だったのか

・洞穴シーン
『帝国の逆襲』のオマージュでしょうか。でもよく分かりませんでした。あの洞穴の機能も、何故レイがあそこに行けば両親のことが分かると思ったのかも。


●よろしくなかった点

・小動物がでしゃばりすぎ
ポーグってんですか、あの鳥みたいの。そりゃ可愛いことは可愛いんですけれども、イウォークと違って話の筋に絡んでくるわけでもないのにやたらと画面の中央に出張ってくるので、うるさかったです。何でこんなに推してくるんだろうと思いきや、ショップにグッズがずらーりと。ああはいはい。

・演出が所々ださい
レイが「暖かさ…冷たさ…」とフォースの感覚を挙げていく時にいちいち島の自然風景を挟んでくるのですとか、レイとカイロ・レンの遠隔会話の描き方ですとか。あとスノークの司令室の「ジャジャーン!悪者!」みたいなデザイン、もう少し何とかならなかったのでしょうか。

・アクバー提督
ええっ、あんな最期?!中の人(声)の逝去に合わせたのかもしれませんけれども、古参のキャラクターをあんなにもあっさりと退場させてしまっていいのでしょうか。せめて散り際の台詞くらいは欲しかった。この点についてはHISHEの「こうだったらよかったのに」版の方がずっとよろしいと思います。いや本気で。

How Star Wars The Last Jedi Should Have Ended


・細かいどんでん返しが多すぎる
クリストファー・ノーランみたいのやりたい!という製作陣の熱い想いは伝わって来ましたけれども。Aと思いきや実はB、ところがどっこいCだった!といった展開がちょこまかと続くので、しまいにはもういいから普通に進めてくれよ、という気分になりました。また、登場人物を信用しきれない展開というのはサスペンス映画ならいいと思いますけれども、スター・ウォーズではあんまりやってほしくないことではありました。とりわけ、ルークに関しては。

・ファズマ弱すぎ
この人、いる必要あるんでしょうか?
今までのストーリーでファズマが果たして来た役割の全てを、モブキャラのそれに置き換えても何ら支障はないような気がするのですが。前作でも本作でも、彼女が特別な地位にまで上り詰めた背景を匂わせるものが全く何一つ描かれておりませんし。あのハックス・ザ・ヘタレ将軍ですらその必要性を最高指導者スノーク自ら説明してくれているというのに、ですよ。メタリックな甲冑でいかにも凄そうないでたちにしては、とりわけ指導力や統率力に優れているふうでもありませんし、前作では本拠地の真っ只中にいながら、たった数人の敵に脅されただけで抵抗も見せずあっさりシールドを解除してしまう体たらく。かといって白兵戦でとんでもなく強いのかといえばそうでもないどころか、防具のない一介のストームトルーパー(フィン)にすら勝てないことが本作ではっきりしてしまいました。目下のところ、何のためにいるのか分からない登場人物ナンバーワンでございます。ほんとの話、単に「ブライエニー(ゲーム・オブ・スローンズ)の人が出てる」という話題作りのためだけに動員されたキャラなんじゃないでしょうかね。

・同じことの繰り返しを予感させるエンディング
IMDbのレヴュー欄で『覚醒』に怒りと共に☆1を付けたファンは大勢いらっしゃいます。その中の1人がこんなことを書いておいででした。「もと反乱軍が今では支配者側で、もと帝国軍が反乱する側になってる、みたいな話の方がよかったのに。これじぇ同じことの繰り返し」
そうなのです。そうなのですよ。「シスの暗黒卿を頂く強大な悪の帝国」対「ジェダイの騎士に率いられた善なる反乱軍」という構図が変わらない以上、キャストが若返ろうがデス・スターがグレードアップしようが、結局ルーク3部作の焼き直しにならざるを得ないではございませんか。ですからこれは本作のよくない点というよりも、むしろあんなふうに話を始めてしまった前作の罪ではあります。それにしたって、もう少し何とかならなかったのかしらん。所々で旧作からの決別を感じさせる部分があっただけに、最後の反乱軍の生き残り勢揃いショットで「安心して!これからもおーんなじことやるよー!」と宣言されたような気分になりました。


で、問題のあの人。
ええ、前作でベイダーのコスプレイヤーとして華々しく登場したカイロ・レン君なんですが。本作を見てある意味すっきりいたしました。「ああ、こいつはこういう路線で行くんだな」というある種の諦めがついたと申しましょうか。



そう、見方を変えればいいのです、きっと。ワタクシがアナキン三部作を好きになれない理由はひとえに主人公たるアナキンの堪え難いうっとうしさゆえなわけですが、あれとても「かたくなな師匠とポッと出のガキンチョに振り回されるヤング・オビワンの冒険」として鑑賞すれば、結構見られるような気がしますもの。
というわけでワタクシ、どうやら「レイ三部作」と呼ばれるらしいこのシリーズのことは「ドジっ子シス見習いカイロ・レンのわくわくはらはら失敗日記」として鑑賞することにしました。奴は悪役としての素質はゼロに等しいですが、独り立ちして頑張っているのに挫折してばかりのぼんぼんとしてみれば、まあまあ悪くないキャラでございます。むしろあまりのダメさに応援してやりたくなるほど。その点、何でも割と簡単にクリアしてしまうレイより主人公向きであるとすら言えるではございませんか。

それにしてもスノークのおじいさんはあっさりと天に召されておしまいんなりましたし、カイロ君はあのとおりのヘタレでしょう。次作ではもっとちゃんとした悪役を立てていただきたいものですけれど、どうなるこってしょうねえ。
どうです、実は生きてたボバ・フェットが全ジェダイへの復讐を胸に登場とか!笑
あるいは、実はィリス・オランの身体を乗っ取った後も脳移植を繰り返して生きながらえ、ついには裏社会のドンとして君臨するに至ったビブ・フォーチュナが全ての黒幕だったとか!!
といってもあの人けっこう間が抜けているし、根が小悪党で意外と極悪なことはできないたちみたいだから無理だろうなあ。絶対ツメの甘さで失敗して死んじゃうタイプ。だがそこがいい。

冗談はさておき、次作の監督はJJエイブラムスと決まっているようですから、もとより悪役には期待できません。フィリップ・シーモア・ホフマンやベネディクト・カンバーバッチを迎えてすら、せいぜいあの程度の悪役しか描けなかったJJさんですもの。きと悪役の影が薄くてオマージュまみれで一本調子で、とはいえ無難でソツがなくてアクション満載でそこそこ楽しめる作品が出来上がって、全世界で大ヒット!グッズばか売れ!続編決定!ってことになるんだろうなあと、そして『覚醒』や『最後』に何やかやと文句を言っていたオールドファンたちも半ば義務のように劇場に足を運んで、うっかりグッズをかっちゃったりするんだろうなあと今から予想がつきます。そしてそういうファンがいるかぎり、ディズニー様は遥か彼方の銀河系からあの手この手でミルクを絞り続けるんだろうなあと、うっかり買ってしまった800円もするちゃちなボールペン(ストームトルーパーのついてるやつ)を横目に思うのでございました。

ちと横道に逸れてしまいましたが、冒頭に申しましたように、本作は色々と不満な点はあるにせよ、決してできの悪い作品ではないと思いますし、むしろ前作であれだけ酷い条件を並べられた所からよく頑張った方だと思います。「フォースは魔法じゃない!」とお怒りの方もいらっしゃるようですが、旧作から十分魔法だったと思いますよ。手を触れることなく相手の首を絞め、念力だけで宇宙船を持ち上げ、手から稲妻ビームを放ち、他人の心を操り、テレパシーで通信しって魔法でいいでしょうよ、もう。

それにね、キャストのインタヴューやら、グーグルでよく検索されているキーワードに基づいて質問に答えて行くオモシロ企画のクリップなど、本作に合わせて公開されたYoutube上の様々な動画で大いに楽しませて頂きましたので、全てをひっくるめて良しとしようと思います。とりわけマーク・ハミルのユーモアとサービス精神溢れる受け答えが最高すぎて。さすがはジョーカーさんの中の人ですよ。こういう類の動画は次作でも、またハン・ソロのスピンオフでも沢山出回ることになるのでしょうけれども、そこにマーク・ハミルが出てくることはないと思うと寂しいですね。

The Last Jedi Cast Answers the Web's Most Searched Questions | WIRED

メニエル賛歌

2018-05-03 | Weblog
ちょっと今日のGoogle Doodleが素晴らしすぎて…!

360 Google Doodles/Spotlight Stories: Back to the Moon


ジョルジュ メリエスを称えて

メリエス作品への愛と敬意に満ちたアニメーションの何と素敵なこと。またマウス操作で視野を360度動かせるという、いわば最新のテクノロジーを駆使した遊び心、これ自体がメニエルの精神を引き継いでいるように感じます。最新のテクノロジーってものがそれほど好きな方でもないのろさんも、これは心から楽しめました。

『ヒューゴの不思議な発明』 - のろや

パクシいただきました

2018-04-22 | 映画
あの……ちょっと聞いていただけます?
今日、山村浩二さんにサインしていただいちゃったんでございますよ。
そう、『パクシ』の、『頭山』の、『田舎医者』の、あの山村浩二さんでございますよ。
しかも、まったく思いがけなく。

いえね、昨日から京都シネマで『山村浩二 右目と左目でみる夢』と題して山村さんの短編をまとめて上映しているんですけれども、来週は行けそうにないので、これは絶対今日行かねばと家の用事もそこそこに出かけたわけでございます。京都シネマのHPには山村さん来場とはどこにも書いておらず、ただ「諸事情により、本編スタートとなります」とだけ但し書きがついておりました。ふーんまあいいけど諸事情ってなんだろうと思いつつ珍しく時間に余裕を持って到着。京都シネマの中でも一番小さな61席のスクリーン3の、半分弱が埋まった客席の最後列すみっこ(定位置)で上映を待っておりますと、ほどなく劇場のスタッフさんがやって来ておなじみの上映前の口上を述べられ、ついでのように「上映後に山村浩二監督と、山村監督作品の音楽を担当されてきた冷水(しみず)ひとみさんにお話をかがいます」とサラッとおっしゃるではございませんか。
のろさん内心「え?!?!』ですよ。
だって、山村浩二さんですよ。『年をとった鰐』の、『マイブリッジの糸』の…。こんな偶然みたいにお目にかかっていいものであろうか。
呆然としている間に場内が暗くなり、典雅なヘンデルの楽曲に乗ってヘンテコな奴らが次々登場する『怪物学抄』が始まりました。

ワタクシにとって山村アニメーションの魅力は、その独特な世界観もさることながら、アニメーションの根源とも言うべき「絵が動く」という不思議さと喜ばしさを感じさせてくれるという点も大きいんでございます。小学生の頃、教科書の隅にパラパラ漫画を描きましたでしょう。ええ、ワタクシ上中下三段&両面に描きましたとも。あの、自分の描いたただの絵がもじもじと動いていく楽しさと不思議さ、あれをものすごくグレードアップしたものを見ている感じと申しましょうか。
そんなこんなで短編9本の上映が終わった後、本当にというのも何ですが本当に、山村監督と冷水さんがご登場されました。口琴のようなテルミンのような不思議な音色を奏でる一弦の電子楽器ダン・バウの生演奏ののち、山村アニメーションと音楽の関係を巡って20分ほどトーク。「アニメーションにも音楽にも、がさがさしたものを入れたい」とおっしゃっていたのが印象的でした。

その後山村さん&冷水さん&観客一同ぞろぞろとロビーへと出て、パンフを買ったその場でお二人にサインしていただく流れに。のろさんの番が来た時、勇を鼓して「パクシの頃から大好きです」と申し上げたところ、何と「じゃあ、パクシ描きましょうか」と!



ふおおお!
のそのそ歩き!
ちっちゃな帽子!
おやつ大好き!
ぼくはパクシ!
ちなみにパクシのおかあさんの声をやってらしたのは冷水さんなのだそうです。「ほとんどセリフはありませんでしたが…」と。
ええ、あのアニメで一番しゃべってたのはバルタザールおじさんのような気がします。謎の歌を口ずさんでいただけではありますが。



ワタクシ、将来ホームレスになってもこれだけは手放したくないという品がいくつかあるんですけれども、これでまた増えてしまいました。
いやー困った。


マーク・ストロング映画勝手にガイドその2

2018-01-20 | Weblog
1/19の続きでございます。

さて、マーク・ストロングの出ているものなら何でも見たいという気になって来たあなたに、満を持してオススメしたいのが『リボルバー』(2005)。そう、ガイ・リッチーの失敗作として名高い一本でございます。

リボルバー 予告編 -Revolver-


スタイリッシュな映像と、進むにつれて加速度的に観客置いてけぼり感を高めていく展開、独特といえばそうではありますが、アートフィルムと呼ぶには俗っぽく、エンタメ映画と呼ぶには不親切という宙ぶらりんな作品でございます。暗転と沈黙のうちにエンドロールが終わったあと、観客の頭にこだまするのは「何これ」と「でもソーターはよかった」という声でございましょう。見た人100人が100人とまではいわずとも、およそ98人くらいは賛同してくださると思います。
「情緒不安定な殺し屋」、ソーター。冴えないサラリーマンのような風貌に、吃音でつっかえつっかえ話すうつむきがちなおっさん。この人物が有能なヒットマンであるとは見た目からはとうてい信じがたい。ところがどっこい、ひとたび銃を構えれば(そして気分が悪くなければ)素早い判断と正確無比な狙いでターゲットを確実に葬るハイパー凄腕でございます。しかもたとえ雇い主の意向であっても、拷問や子供の犠牲といった残酷な仕打ちは許せないという、案外に熱い心の持ち主でもあります。ちょっとネタバレになりますけれども、映画の終盤でソーターが女の子を助けるシーンときたら、まさしく 胸 熱 でございます。男性だろうと女性だろうと、あの一連のシーンを見てソーターに惚れない人類なんて存在するのかしらと思いますよ、ええ。
失敗作ではあろうとも、この映画はワタクシがマーク・ストロングという俳優を知るきっかけとなった作品でございます。それにワタクシ、ソーターというキャラクターが本当に大好きでございますので、当ブログにおいてはマーク・ストロングのことをしつこくソーターさんと呼び続けております。いちいちマーク・ストロングと打つのが面倒くさいからでもありますが。
ジェイソン・ステイサム演じる主人公の心の声と映画の中の現実が錯綜して話がわかりにくく、よほどの物好き以外には薦めにくい作品ではございますが、マーク・ストロング好きなあなたにならば自信を持って言えます。今すぐ見ましょう!今すぐ!マーク・ストロング好きなら決して損はしません!ソーターの勇姿を見ないでうっかり死んだら、人生無駄骨でございますよ!!


というわけでワタクシがマーク・ストロングを発見したのは『リボルバー』においてであったのですが、世間一般で言うところのソーターさんの出世作といえばBBCの4話ものドラマ『The Long Firm』(2004)でございます。

Mark Strong - The Long Firm video


原作の小説は『暗黒街のハリー』のタイトルで日本語訳されております。またDVDは英語字幕が出るように設定できますので、リスニングが苦手でもセリフは追えます。
1960〜70年代のロンドンを舞台に、才覚とカリスマ、そして非情さを武器に裏社会で頭角を現していくユダヤ人、ハリー・スタークスの生き様を描いた本作。ドラマの方は時系列に進みますが、小説ではいきなりハリーが熱した鉄棒を手に「ショウほど素敵な商売はない」を口ずさみながら、椅子に縛り付けたもと恋人の青年(ハリーは同性愛者)を拷問しようとしているショッキングなシーンから始まったのち、青年の回想のかたちでハリーとの馴れ初めが描かれます。そののち語り部がハリーと関わりのあった仲間や友人へと章ごとに交代して行き、一人称でナレーションすることのないハリーという人物を外部の視点から描いていくのはドラマも小説も同じ構成。
相手を屈服させることを好み、「俺はこの手で椅子に縛り付けられないような人間とはビジネスをしたくない」と言い放つハリー。脅迫に拷問に殺人と極悪非道なことも平気でやるくせに、妙に夢見がちでナイーヴな側面があるハリー。母親思いで、恋人には優しく(もちろん裏切らないかぎりは)、抗鬱剤を手放せないハリー。ショービジネスに憧れ、ジュディ・ガーランドを崇拝し、ちょっとセンスが時代遅れのハリー・スタークス。

ハリーは凶暴さの中にも魅力があり、人々は吸い寄せられるように集まった。いやでも引きつけられてしまう強引なほどのカリスマ性を持ち、そのカリスマ性が放つオーラの中にいれば安全だと思わせた。ちょうど鮫にぴったり近づいて泳ぐ小魚のように、ハリーのスリップストリームの中にいると守られている感じがするのだ。(byテリー、p.22)

ハリーは人を脅して従わせる稀有の才能を持ち合わせている。「ただの心理的な駆け引きさ」とハリーは言う。そういうむずかしい話はおれにはわからない。しかし、極悪非道であることは確かだ。そしてハリーは、極悪非道以外の何物でもない。(byジャック、p.143)

ショービジネスのことになると、ハリーはセンチメンタルな思い込みが激しい。ちょうど魔法の世界に憧れる子供のように、エンターテイメント業界を無邪気な目で見ているのだ。(byルビー、p.257)

私は上の空でうなずいたけれど、そのとき突然、ハリーのいおうとしていることがわかった。人殺しの罪をかぶってやろうといっているのだ。この私の罪を。(byレニー、p.376)

この人物をソーターさんが演じているというだけでワクワクしませんか?しますでしょう。面白いことに当初ドラマの制作陣の間では、マーク・ストロングでは「いい人そう」すぎて、凶悪さや深みを持つハリーの役は務まらないのではないかと懸念する声もあったとのこと。どっこい、蓋を開けてみればソーターさんの演じるハリーがあまりにも素晴らしかったので、その後の数年間ソーターさんには悪役のオファーが殺到することとあいなったのでございました。なおこの時プロデューサーであったリザ・マーシャルさんとソーターさんはのちにご結婚されるわけですが、彼女のアメリカ側の親戚、つまりソーターさんの非・悪役時代をよく知らない方達から「あんな怖そうな人と結婚して大丈夫なのか」と心配されたんだとか笑。
しかし上記のようにハリーはただ凶暴なだけのキャラクターではございません。時々露わになる素朴さやもろさ、虚栄、友情、傷つき、そうしたものが折り重なった複雑多岐な側面を、文句なしの説得力で演じきったソーターさん、英国アカデミー賞主演男優賞ノミネート&放送報道組合賞の主演男優賞を受賞されました。


ここで『The Long Firm』以降のソーターさんの悪役&悪党遍歴をちょっと見て見ましょう。すごいですよ。2014年のジャガーのCMほか - のろやも含めると、10年間毎年欠かさず、なにがしかの悪党を演じた作品が公開されております。

2005
『オリヴァー・ツイスト』トビー・クラキット:ゴロツキ
『シリアナ』ムサウイ:二重スパイ
2006
『トリスタン+イゾルデ』ウィクトレッド:裏切り者
2007
『サンシャイン2057』ピンバッカー:狂信者
『スターダスト』セプティマス:冷酷な王子
2008
『バビロンA.D』フィン:裏切り者
2009
『ヤング・ヴィクトリア 世紀の恋』ジョン・コンロイ:威圧的な野心家
『シャーロック・ホームズ』ブラックウッド卿:テロ扇動者
2010
『キック・アス』フランク・ダミーコ:ギャングの親玉
『ロビン・フッド』サー・ゴドフリー:裏切り者
2011
『ザ・ガード 西部の相棒』コーネル:麻薬密輸犯
『グリーン・ランタン』シネストロ:悪役予備軍
2012
『ジョン・カーター』マタイ・シャン:神かなんか
2013
『ビトレイヤー』スターンウッド:大物犯罪者


そんなわけで、次回はソーターさんが悪党を演じた映画について取り上げさせていただきたく。

続きます。

マーク・ストロング映画勝手にガイドその1

2018-01-19 | 映画
日曜からずうっと『カントリー・ロード』の脳内再生が止まらないのろでございます。
もともと好きな曲ではありましたが。

それはさておき
『キングスマン2 ゴールデン・サークル』シリーズでマーリンを演じたソーターさん、もといマーク・ストロングが毎度のことながらとってもいかしておりましたので、ふと思ったのでございますよ。ひょっとして、このシリーズをきっかけにソーターさんが気になりだした人もいるかもしれないと。
というわけで、そんな慧眼なあなたのために僭越ながらマーク・ストロング出演作お薦めガイドをしてみようかと思い立った次第。
全ての出演作を観ているわけではございませんが、メジャーどころはだいたい押さえているつもりです。


さて、マーク・ストロングかっこいい、でもどの作品から見たらいいか迷っている、という方に真っ先に観ていただきたいのが『ワールド・オブ ライズ』(2008)でございます。

Body of Lies (5/10) Movie CLIP - Be a Good Muslim (2008) HD


ほら、『キングスマン』とは違って頭ふさふさの、そしてすらりとした長身にビシッとスーツを着込んだ、エレガントで渋い諜報局長が出てきますでしょう。それがマーク・ストロングですよ。ちなみに頭はカツラ。
ハニ・サラームという役名が示すとおり、アラブ人(ヨルダン人)の役でございます。アラブなまりの英語があまりに自然なので、ヨルダンの観客も自国の俳優かと勘違いしたんだとか。
中東を舞台として虚々実々の情報戦を描いたこの作品、表看板を務めるのはディカプリオとラッセル・クロウでございますが、まあ御覧なさい、ハニの存在感の前に何もかも吹っ飛びますから。監督はリドリー・スコット。手堅い作りで最後まで観客を飽きさせません。ロンドン映画批評家協会で助演男優賞にノミネート。


そりゃハニは男前である、しかし登場シーンが少なすぎる!もっとマーク・ストロングを出せ!という方には『ロックンローラ』(2008)と『スターダスト』(2007)がお薦めでございます。

Mark Strong as Archy [RocknRolla] → I'm a man.


『ロックンローラ』はガイ・リッチー監督の軽快なクライム・コメディ。お話がなかなかよくできておりますし、癖のあるキャラクターたちのやりとりも楽しい。ソーターさんが演じるアーチーは準主役、割と出ずっぱりでございます。時には非情で時にはお茶目、ヤクザのボスの有能な右腕でありつつ、愛情深い父親のような顔も見せるアーチーおじさんはとっても魅力的でございます。
またマーク・ストロングは大仰な身振りや大げさな表情なしでコミカルな演技ができる人で、例えば終始ぴりぴりとした緊張感の漂う悲劇『橋からの眺め』(ナショナル・シアター・ライヴ 2016)ですら、所々で客席の笑いを取ることに成功しております。本作ではその技量が遺憾無く発揮されており、何度見ても楽しい。同じくマーク・ストロングが出演するガイ・リッチー作品『シャーロック・ホームズ』に比べるとマイナーな作品ではございますが、ワタクシはこっちの方が面白いと思いますよ。
共演俳優も豪華で、なよっとして可愛いらしかった頃のトム・ハーディや、近年はえらいひとを演じることの多いイドリス・エルバのチンピラ姿も見ることができます。おまけにDVDのコメンタリーは何と監督とソーターさんの対談形式!役名もなく1シーンしか登場しないチョイ役の演技もきちんと褒める一方、自分が褒められた時はあくまで謙虚なソーターさん、時々危ういことを言うガイ・リッチーに対する見事なフォローっぷりをもご堪能いただけます。以前にも書きましたがマーク・ストロングのナイスガイっぷりは有名で、このコメンタリーでも言葉の端々からいい人オーラがにじみ出るようでございます。いやあ眼福ならぬ、耳福、耳福。

『スターダスト』はニール・ゲイマン原作のファンタジー映画。監督はマシュー・ヴォーンでございます。

Stardust (1/8) Movie CLIP - The Matter of Succession (2007) HD


ちなみにマシュー・ヴォーンの枕詞は「キック・アスの」でも「キングスマンの」でもなく、はたまた「時々描写がエグい」でも「微妙に悪趣味な」でもなく「マーク・ストロングをかっこよく撮る」マシュー・ヴォーン、でございますよ!その記念すべき最初のタッグがこれ。ソーターさんが演じるのは冷酷非情な第七王子、セプティマス。ライバルである兄たちを次々と蹴落とし(=殺し)て王座を狙う切れ者の野心家でございます。漆黒の衣装に身を包み、黒髪をなびかせて馬を駆るその姿の何と凶兆に満ちた素敵さよ。アイスランドを舞台にしたという素晴らしいロケーションにも目を奪われます。
空飛ぶ船や一角獣、魔女に魔法に乙女の心臓、王の宝石に呪われた姫君と、ファンタジー好きのツボを突いて来る道具立てを揃えながらも、皮肉な視点とブラックな笑いに満ちた本作、とても現代的な作品でございます。何より、デ・ニーロの弾けっぷりがいい。どう弾けているかは見てのお楽しみ。それから息子たちに王位を争わせる父王を演じているのが、御歳75歳であったピーター・オトゥールでございまして。このキャスティング、絶対『冬のライオン』のパロディですよね。
この王が臨終の枕辺に子供達を呼び寄せた時、一人娘の王女が来ていないことに気づいて…

王「セプティマ〜ス(ニヤニヤ)」
セ「何です」
王「王位を継ぐのは男子のみと決まっておるのだぞ(なのに妹まで殺っちゃったな〜この悪い子め〜ニヤニヤ)」
セ「分かってます。私が妹を殺すわけないでしょう、まだこのアホども(=兄たち)が残ってるのに」(真顔)
王「それもそうだな」

…というやりとりがもう大好きで。
なお「残ってる」といってもこの時点で生きているのは7人兄弟のうち、末っ子のセプティマスを含めてたった3人。他の兄弟たちはとっくに殺されており、頭にオノが刺さったり顔がひん曲がっていたりと、殺された時のままの姿で幽霊として物語に参加して来ます。これがまた実に傑作なんでございます。同監督の『キングスマン』がスパイ映画のパロディとしてのスパイ映画であるように、『スターダスト』はファンタジー映画のパロディとしてのファンタジー映画でございます。ファンタジーはちょっと…という方にもぜひ観ていただきたい。


もっと渋目の、演技をがっつり堪能できるようなのがいいとおっしゃる方にお薦めしたいのが『裏切りのサーカス』(2011)。

New Tinker Tailor Soldier Spy Clip - Be suspicious; be very suspicious


できれば原作を先に読んでから鑑賞した方がよろしいかと。といいますのも、原作である傑作スパイ小説『ティンカー、テイラー、ソルジャー、スパイ』の映像化はこれが初めてではなく、そのせいもあってか映画は必要最小限の語りとごくごく抑えられた演出で進んでいくからでございます。それにソーターさんが演じるジム・プリドーという登場人物、小説の方ではより詳細にに描かれるこいつが本当にいい奴でして。軍人のような無骨さと、スパイには不向きなほど暖かい心の持ち主、生真面目で嘘が下手で、「懸命に隠している優しさ」を結局は隠しきれないでいる傷ついた男、ジム。このキャラクターをマーク・ストロングが演じるのかあ、とワクワクしながら読み進めるのも、いいもんでございます。登場シーンは決して多くはございませんが、まなざしだけで全てを物語る演技は必見でございます。特にクリスマス・パーティの追憶から連なるラストシークエンスは、ジムの期待と失望、愛と孤独がほんの数十秒の展開の中でひしひしと伝わってまいりまして、見る者の胸を締め付けずにはおりません。
さらにこの映画、ソーターさんの他にも主人公スマイリー役のゲイリー・オールドマンをはじめ、ジョン・ハート、コリン・ファース、トム・ハーディ、ベネディクト・カンバーバッチと名優ぞろいの超豪華キャスト作品でございまして、視線や顔の角度やちょっとした身振りひとつで心の機微を表現する繊細な演技の数々も見ものでございます。ジョージア映画批評家協会賞、セントラルオハイオ映画批評家協会賞などでベスト・キャスト賞受賞。
当ブログの関連記事はこちら↓
『ティンカー・テイラー・ソルジャー・スパイ』のこと - のろや
インタヴューwithゲイリー・オールドマン&マーク・ストロング その1 - のろや
インタヴューwithゲイリー・オールドマン&マーク・ストロング その2 - のろや

映画も演技もよかったけどやっぱりマーク・ストロング成分が足りないぞという方、そんなあなたにも絶対にご満足いただけるのが、上でも少し触れました『橋からの眺め』(ナショナル・シアター・ライヴ 2016)でございます。

A View from the Bridge at the Young Vic


アーサー・ミラーによる荘厳な悲劇。誰もが最初から何となく予想しながらも、そうならないで欲しいと願う結末へ向かって、物語はきしりながら進んで行きます。怒りとも嫉妬とも名づけがたい激情に押されて、自分が最も忌み嫌っていたはずの行動に出て破滅していく主人公エディを演じるのがソーターさん。純粋さと狂気、人間らしい苦悩と神話的な荒々しさを体現するかのような鬼気迫る演技で、ローレンス・オリヴィエ賞、シアター・ワールド賞で主演男優賞受賞。

↓☆4.3!とりわけマーク・ストロングに関しては絶賛の嵐でございまして、読んでいると嬉しくなります。
ナショナル・シアター・ライヴ 2016「橋からの眺め」 - 映画情報・レビュー・評価・あらすじ | Filmarks


次回に続きます。

年賀状2018

2018-01-14 | Weblog
あけて久しくなりました。



いちおう右側のヒエログリフで「あけましておめでとう」と書いております。

デザインの方は年々出来が悪くなっているような気がいたします。
どうせ10人くらいにしか出さないしなあと思うと、あんまり頑張って制作するのもバカバカしくなって来るのです、正直。

それはさておき
年末年始は京都みなみ会館のタルコフスキー特集上映に通い詰めておりました。
そう、今年で閉館することが決まっているみなみ会館 でございます。

なにせ相手がタルコフスキーですから半分くらいは眠気との戦いであったわけですが、大晦日も元日もこの小さな老舗映画館と共に過ごせたこと、そして正月一日からわざわざ『惑星ソラリス』を観にアクセス悪目の映画館までやって来る病膏肓な映画ファンの皆様と時間を共有できたことは、幸せな体験でございました。

完全閉館ではなく移転後の営業再開を目指していらっしゃるとのこと、そして3月末までは今の建物での営業を続けてくださるとのことで、少しでも移転費用の足しにしていただきたいという願いと、20年来のつきあいであるこのミニシアターへの惜別を込めて、閉館までできる限り足を運びたいと思います。
などと言いながらも今日はTOHOシネマズに『キングスマン2 ゴールデン・サークル』を観に行ってしまいましてまあぁぁぁぁりいぃぃぃぃぃぃぃん!!!!! 


いや知ってたけどさ…のろさん年始からつらいわ…

クリスマスin悪役パブ

2017-12-15 | 映画
HISHEの新作。

Villain Pub - 12 Days of Christmas


この動画シリーズ、単に面白おかしいだけでなく製作陣の映画愛をひしひしと感じるので大好きなんでございます。とりわけこの「悪役パブ」はお気に入り。

12番目の日、私の憎しみが思い出させるのは
12のツノのとんがり(マイティ・ソー バトルロイヤル)
11のゾンビがむしゃむしゃ(ゾンビ映画もろもろ)
10体のダーレクの光線(ドクター・フー)
9つのロキの悪だくみ(マイティ・ソー)
8匹の奇妙な犬(ストレンジャー・シングズ)
7つの分霊箱(ハリー・ポッター)
6つのインフィニティ・ストーン(ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー)
5人のジョーカーたち(バットマン)
4つのロボットアーム(スパイダーマン&スター・ウォーズ)
3つの不気味な人形(チャイルド・プレイ、アナベル 死霊館の人形、デッド・サイレンス)
2人のシスの暗黒卿(スター・ウォーズ)
そして全てを統べるひとつの指輪(ロード・オブ・ザ・リング)

シスの暗黒卿の片割れがダース・モール→死にかけダース・モール→ドゥークー伯爵→両腕切られたドゥークー伯爵→アナキン→ベイダー死にかけベイダーと几帳面に代わっていくのがなんとも。
「パルパティーン、暗黒卿だんだん足りなくなってるぞ」というコメントにも笑ってしまいました。

コメント欄でも人気のようですけれども、ワタクシは5日目の「AAAL FIVE JOKERRRRS」がツボでございます。
5人で仲良く歌いながらも微妙にバラついてるあたり、いかにもジョーカーさんらしい。
もっとも、映像化されたジョーカーさんはきちんと数えると5人どころではございませんで。

Every version of the Joker ranked from worst to best

総勢25名でございます。
個人的にはアーカム・シリーズのジョーカーさん(15ページ目=10位)はもっと上位に持って来たい所。
『ダークナイト・リターンズ』のジョーカーさんも、よかったと思いますけどねえ。

そうそう、今ワタクシ口角炎と乾燥で口の端が1cmくらい裂けておりましてね、もし誰かが「口、どうしたの」と聞いてくれたら前かがみになって舌なめずりをしながら「Do you wanna know...how I got these scarrrrs?」ってジョーカーさんごっこをしたいと思ってるんですけれども、世の中うまくできたもんで誰も聞いてくれません。


今年は何だかんだでずっと忙しかった。
12月の半ばになってようやく落ち着いた感がございます。
来年は暇だといいな。

山田晃士「鍵穴から覗き見」

2017-08-27 | 音楽
金曜日のことでございますが
山田晃士独り舞台巡業「鍵穴から覗き見」in京都へ行ってまいりました。
何せライブバーなんて行ったことがないのでドキドキものでございましたが、仕事は早番、翌明日は休み、しかも大阪ではなく京都に来てくれるという絶好の機会を逃すわけにはまいりません。

山田晃士 - ヤマダコウシ - オフィシャルサイト*孤独中毒*

湿度高めの選曲、心に突き刺さり身体に沁みわたる唄声、そしてナイトプールのきれいなおねえさんからカズーホルダー問題を経てなぜかマリオブラザーズ3へと至る小ネタ満載トーク。濃ゆい夜でございました。

会場のパーカーハウスロールは入ってみるとこぢんまりとしたお店でございまして、…






とまあこんな具合で、いつもスピーカーの向こうにいた人の声がいきなり頭の後ろから聞こえてきたワタクシのキンチョーのほどをご想像くださいませ。

氏の楽曲と美声と演奏を聞くにつけ、ああ何と豊かな才能であろう、こんなアーティストと同じ時代に生きていられるなんて何て幸運なのだろうとしみじみ思うわけでありまして、常日ごろ早くくたばることばかり考えているような輩をここまで引き上げてくださるんですから、本当に本当にたいしたものなのです。

そもそもあまり音楽に詳しくないのろさんが山田晃士氏のことを認識した、つまり顔と名前と楽曲が一致したのは、2002年の年末に偶然耳にしたNHK-FMの特集番組『Bellows Lovers Night』(アコーディオンやバンドネオンなど蛇腹=bellows楽器の奏者が集うライブイベント)で、氏とアコーディオン奏者の佐藤芳明氏のふたりぼっちユニット、「ガレージシャンソンショー」がナビゲーターを務めていらっしたことに発します。ガレシャンが2006年に活動休止宣言をお出しんなった時には、建前上は休止といっても、もう復活は望み薄かなあと残念に思っておりましたが、昨2016年10月13日に13曲から成るデヴュー13年記念アルバムその名も『13~treize~』をめでたく世に送り出され、のろを狂喜乱舞せしめたのでございました。

↓アルバムの冒頭と最後を飾る13拍子の曲『13』
ガレージシャンソンショー 『13~treize~』 PV


このアルバムを買って以来、駐輪場やコインロッカーで13番が空いていると、ヤレ特等席だとばかり喜び勇んで利用する有様でございます。
そのガレシャンも10月に大阪に来てくださるのです。去年の大阪公演へは行かれませんでしたが、今回はどうにかこうにか都合をつけて、是非とも足を運ばねばと心を固め、今からそわそわしております。



untitled

2017-08-18 | Weblog
いやあまあ、皮膚炎が酷うございまして。
メインは結節性痒疹というやつのようなんですが、その他にも痛いのやらガサガサのやらじくじくのやら、もうめいっぱい。
前世でいったいどんな悪行をやらかしたんでしょうねワタクシは。
村中のヒキガエルを集めて生きたまま籠に詰め込んで火をつけたとか、その様子を、貧乏なお婆さんがやっとの思いであつらえたぼた餅をふんだくって頬張りながら笑って見ていたとか、そういうレベルの鬼畜行為におよんだ報いとして今の人生でこんなに頭から足先までぶつぶつだらけ血まみれ汁まみれの身体に苦しめられているんじゃないかと、うっかり信じそうになるくらいな惨状なわけです。

皮膚炎で死ぬ人ってのはたぶんあんまりいらっしゃらないのであって、そういう意味で「皮膚以外の身体は元気」なわけです。そんなわけで人前ではけっこう快活に振る舞ったりするんけれども、実を言いますと死ぬほどつらくて常日ごろ樹海のこととか割と考えてたりしますので、身近に皮膚炎まみれの人がいたら明るい顔をしておりましても「こいつも大変なんだろうな」などとちょっぴり思っていただけると幸いです。

普通の肌が欲しいですな。
別にきれいな肌じゃなくていいんで、普通の肌。
半袖を着て外を歩けるような。
夜は普通に眠れるような。
朝は寝具が血まみれ落屑まみれになっていないような。
うっかり制汗剤を塗って痛さに身悶えしなくていいような。
薬を塗ったり貼ったりするだけで1時間もかかったりしないような。
いやあもう、そんだけ。

スターウォーズの日

2017-05-04 | 映画
連休は全日おうちにカンヅメでPC作業です。

それはさておき
本日はスターウォーズの日なのだそうで。
ここはひとつ、うちの可愛いビブ・フォーチュナでもご覧ください。



この「Pop!」というシリーズのフィギュアは基本的に黒目ばかりでございまして、うちのビブも最初は↓こんな顔でした。




しかしカッと見開いた赤目は奴のチャームポイントでございますので、アクリル絵具で塗り直しました。
どうです、本物に近くなったでしょう。




そもそもこの宇宙のヴァンパイアじみた風貌が好きなんですけれども、『Tales from Jabba's Palace』に含まれているこいつの外伝がまた、なかなかいいのですよ。
ハン・ソロを主役に据えたスピンオフ映画が製作中とのニュースが流れてきておりますが、果たしてビブは出るかしらと今からそればかり気にかけております。