多動っぽい子、アスペっぽい子、学校行けない子  ~精神科から診た子ども、ときどき大人~

地方の精神科勤務医です。発達障害や子どもの話を中心に書いてます。(診断治療は、直接専門の先生の方を受診して下さいね。)

アスペっ子くんたちの卒業式

2011-03-07 20:20:11 | 発達障害
 いよいよ、卒業式のシーズンですね。

 私の地域では、高校の卒業式が終わり、これから、中学校、小学校と続いていきます。

 今年は、我が家の子どもたちの卒業式はありませんが、

 私のところに通っているアスペっ子の中には、何人も卒業式に向ける人がいます。

 すでに高校は終わり、

 卒業アルバムを持ってきて、私のところに来たときは敵対していた(?)学校と、徐々に関係をつなぎ、最後には、先生や同級生に感謝をして、無事に卒業を迎えた子もいれば、

 なんとか卒業にこぎ着け、親御さんは感激しているものの、本人は、卒業式なんてウザィし・・・、といってのける子、

 さまざまですね。

 ついでに、進級できずに、定時制・通信制編入や原級留置の子もいます。

 いろいろ、成功体験もあれば、ちょっとした失敗体験もありますが、きちっと親御さんや大人が一緒に時間を過ごしていく中で、いずれも、将来の役に立つ体験、

 決して無駄な時間ではないことだけは、確かですね。

  これから、卒業式のいろいろを、書ければ書きたいなと・・・。

100%でないとだめ?

2011-01-22 09:50:50 | 発達障害
 なかなか、学校の課題をこなすことのできない高校2年のアスペさん

 お話を聞くと、課題が多くて、いつも夜遅くまで頑張っているものの、何とか、7-8割までをこなすことはできるのですが、全部をすることができません。

 学校の先生は、「やれるだけやれば、それで良し、皆が皆、全部をしてきているわけではありません。7割もできていれば、十分」とか。

 なんてことを言われても、アスペさんは、納得するはずもありません。

 「5」の課題を、「5」すれば満足ですが、
 「10」の課題を、「5」程度できれば、それで良し・・・、
   というのは、彼女には通じません。 「10」与えられた以上、「10」を全部やれないと、「0」と変わらない・・・と言うのが彼女の思考パターン。

 できれば、本人が無理なく全部できる課題にして欲しいところです

記憶力を生かしたい

2011-01-16 22:21:54 | 発達障害
 アスペっ子の中には、驚くような記録力を見せつけてくれることも少なくありません。

 これだけ記憶力が良いのなら、これを勉強にでも生かして・・・と思われる親御さんも少なくありませんが、

 実際のところは、難しいようです。

 確かに、驚異的な記憶力(ほとんどは、視覚記憶ですが)を持って、高校でもトップクラスを維持している・・と言う子もたくさんいますが、その子たちはすでに、親御さんが心配しなくても十分に勉強にいかされています。

 実際には、ウルトラマンとか、大リーガーとか、三国志とか、銀魂とか、戦国武将とか、クラシックとか、これを語らせれば、いや、勝手に語り出せば、良くもまぁと覚えているのですが、実際の、理科社会などの勉強となると、なかなか、ちょっと・・と親御さんを悩ませることも、少なくありません。

 多くのアスペっ子さんが、記録力の良さを発揮するのは、

 ① とても嫌な体験 か、
 ② ものすごく、興味のあること かですね。

 でも、②の場合、必死で覚えているのでもなければ、覚えようと努力してるのではなく、勝手に頭に入ってきて、勝手に覚えているので、実際のところ、覚える努力そのものは、それ程、しない場合が多々あります。
 だから、興味のないものを、努力して覚える才能についていえば、必ずしも高いとは言えません。

 ということで、記憶力の良さを利用して、本人の苦手な勉強の記憶力アップは難しいよね・・・という、お話でした。

 大半のお母さんにこの話をすると、

 「がっくり」と言いつつも、「やっぱり」と言われます。

何とかなるもんだ体験

2011-01-14 23:12:06 | 発達障害
 アスペっ子の中には、不安緊張が高く、何をするにも自信がないと、尻込みする子も少なくありません。

 そんな子には、もっと成功体験をして自信をつけさせてやりたり、達成感を味あわせてやりたい・・・と言われる方もありますが、自信のないものを、頑張って、頑張って、達成したとしても、

 それが自信につながるという子もいれば、

 周囲の大人が評価をしたとしても、本人にとっては、あんな苦しい、あんな嫌な思いは2度としたくない・・・なんてこともあります。

 むしろ、成功体験とまでは行かなくても、

 「緊張して、不安だったけど、やってみると、思いの外、何とかなった」
 「困ったけど、思い切って保健の先生に相談したら、安心した」

 と言う体験で十分かも知れません。

 「何とかなるもんだ」と言う体験があれば、

 「次も、何とかなるもんだ」と思って、少しは頑張れるかも知れないですね。

アスペっ子くんたちの面接はじめ

2011-01-04 19:10:07 | 発達障害
 アスペっ子くんたち、たくさん、やって来られます。
 
 もっとも、私のところは、不登校やいろいろな症状があってやって来て、発達障害の診断がつけられるという方が、大半を占めています。

 親子で来られたときは、最初は一緒に面接を少しして、親御さんを私が、子どもさんを私のところのスタッフが面接をします。たとえ、小学校1年であっても、別々の部屋で診た方が、それぞれの状況が分かりやすいですね。

 ところで、アスペっ子くんたちには、何をするかというと、特に何もしません。

 しいていえば、アスペっ子くんたちを、いかに、安心できる環境においてあげるかですね。
 そのためには、本人たちが、何に不快を感じているのかを知る必要があります。
 そのためには、本人と仲良くならないといけません。
 仲良くなるには、本人が、スタッフに安心感を感じてもらわないといけません。
 だから、スタッフは、とりあえず、本人のペースを守って、本人の言いたいことは、コメントをつけずに、とりあえず、聞かせてもらう・・・というところでしょうか。

 すると、本人は、いろいろなことを安心して話してくれます。

 この話と、親御さんからの話から、何となく、本人が不快に感じていることを知ることができれば、除ける不快なものを、少しでも取り除いていきます。

 もちろん、取り除いたからといって、すぐに状況が改善するわけではありません。後は、じっくりと時間の流れで、おつきあいをしていきます。

 逆に、本人を何とかしてあげようと言う働きかけは、本人にとっては、「大きなお世話」かも知れません。