せつこちゃんはおたく。

せつこちゃんは基本ドＳです。
僕が困っているのがとても好きらしく、わざと困らせます。
一緒に歩いているといきなりケツを揉んできたり、何の脈略もなくちゅうされたりします。
このドＳっぷりはなんの前触れもなく発動され、逆に僕が何かしようとするとまじめに怒られます。
彼女のなかで「男→女」は赦されないらしいです。
しかしそんなせつこちゃんが唯一そういうことをしない場所がおたくショップです。
なぜかそういうところでは僕にちょっかいをかけないせつこちゃん。
「ここは治外法権」
とぶつぶつ言いながら、なんかよくわらからない肌色比率の多いゲームをさりげなく購入しています。
あ、そっか。こういうときは僕が視界に入っていないんだ。

あと、せつこちゃんもおたくの女の子なので、やっぱりかっこいい男人たちがくんずほぐれつが好きなのかと聞くと、結構長い間語られました。
「ちんぽちんぽセイヤセイヤ的なものはまあ、別に好きでも嫌いでもないよ。でもやっぱ好きなものはあってね」
なんか好きなものはあるみたいです。それ以外はどうでもいいみたいです。それよりおっぱいが好きらしいです。
僕はそんなんどうでもいいので、白昼堂々とちんぽとかいうせつこちゃんに眩暈がしました。

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せつこちゃんはおたくです。
なので、おたくらしくコスプレなどをしているのかと聞いたら、それは偏見だと怒られました。
僕は本当にノーマルな人間なので、特にこれといってこの衣装が好き！というものは無いのですが、せつこちゃんには少しあるみたいです。
なんか「袈裟→殿様っぽい着物→袴→浴衣」の順番で萌えるそうです。
袈裟って…
やはりせつこちゃんは底知れないです。

最近はめがね男子というものが流行っているそうです。
めがねはカッコイイそうです。
昔はめがねをしているだけであだ名がめがねになったり、がり勉扱いされたり、めがねの地位はそれほど高くなかったはずなのですが、めがねも出世したもんです。
僕はめがねをかけていますが、めがねブームだからといって女子高生にキャーキャー言われたりしていません。
せつこちゃんもめがねを持っていますが、やっぱり女の子なのであんまりかけません。
そんなせつこちゃんとめがねについて話をしたことがあります。
「せいたさん、めがねがはやっているそうだね」
「うん。やっぱりせつこちゃんもめがねの男の人にもえーってなるの？」
「はッ、片腹痛いわ！」
（え？怒られた？）「ならないの？」
「めがねでぶっかけは楽しいだろうね。絵的に。今度やってみようか」
質問をムシされ、どうやらこの流れで行くと僕が何かをぶっかけられそうなので、話題をきりました。
せつこちゃんはリアルの萌えの追求は淡白で、流行に流されるのが嫌いみたいです。
でも袈裟とか和服とか甲冑とかは好きみたいです。
じゃあ信長がめがねだとどうなんだろうと聞くと、それはアリらしいです。
でも家康の方が史実でどうのとか暫く語られたのですが、忘れました。
深いです。

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せつこちゃんとデートをしていると、彼女はたまにいきなり「おたくしたい」と言い出すことがあります。
彼女にとって「おたく」とは動詞らしく、何かそれっぽいお店に入り、それっぽいことをすることが「おたく」という動詞の意味することらしいです。
彼女のお気に入りスポットは、とらのあなという店です。
ここは同人誌がたくさん置いている店で、男性向けのどぎついのが多く、店内は男性のなんともいえぬかぐわしい熱気が渦巻いています。
まあなんと言いますか、僕の容姿は町に溶け込むカムフラージュ的な十人並みなそれこそ何処にでもいる日本人男性だと思いますし、それほどおしゃれで男前というわけでもないので、そういうお店に入りますとその濃すぎる空気に染まり、見事「それっぽく」なるわけですが、僕は二次元でどうのという趣味は別段持ちあわせてないので、一人では行きません。どちらかというとアニメより実写が好きです。
せつこちゃんと僕でお店に入ります。
せつこちゃんも普通の女の子です。
多少エキセントリックなところはありますが、彼女のまわりの同年代の女の子くらいには可愛いと思います。
失礼な話ですが、僕はせつこちゃんと付き合うまでおたくの女の子という人たちは学校のコンピューター室の端っこでテニスの王子様がキャーとやっているイメージでしたので、比較的地味な感じの女の子がそういう趣味をもっているのだろうと漠然と思っていました。
せつこちゃんもあの僕にはよくわからない部分でいきなりテンションが急上昇するところは、彼女達と似ているのですが。
まあ、ともかく、何が言いたいかといいますと、彼女はとてつもなく違和感なのです。
その店内における彼女の存在はとてもイレギュラーなもので「うは。クリムゾン手はやッ」とかよくわからない日本語をあやつる彼女は凄い邪魔です。
この風景にあるべきではないというか、周りの人たちの邪魔だと思います。
基本みなさんは一人で来ているので、店内での会話が異様に少ないです。
その中に楽しそうに響くせつこちゃんの声。
それでも僕はとりあえず彼女の後ろについていって、本の表紙における肌色の割合が異常に高いゾーンでこれからの人生に全く役にたたない知識を脳に沢山つめこんでいます。

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僕が好きなものは野球です。
有名な球場が近くにあるので、物心ついた頃より野球は身近なものでした。
野球以外もスポーツなら何でも好きです。
しかしせつこちゃんはスポーツが嫌いです。
「セ●クス以外では体を動かしたくない」
と（僕以外の前でも）豪語しているのは、どうにかして欲しいです。

そんな彼女の好きなものは日本史です。しかしとても偏っています。
初めて会った時も、織田信長に抱かれたいとか言ってました。
今考えれば、なぜあの時僕は気がつかなかったのか。
新撰組ブームは小学生の頃終わったらしいです。早熟すぎます。
なんかそういう時代劇っぽいものに心を動かされるらしいです。
着物に異様な執着を見せます。
男色（ホモ）の歴史を語らせると、止まりません。
観阿弥世阿弥の世界から話し出します。
あとは女体が凄い好きっぽいです。
僕も成人男性としてそれなりには好きですが、せつこちゃんには負けます。
僕はアニメの女の子を可愛いとは思っても興奮しないですが、せつこちゃんは普通にイケるようです。
最近のお気に入りは「涼宮ハルヒの憂鬱」というアニメらしいです。

今まで女性に余り縁が無かった僕に彼女ができました。
ちょっと個性的だと思っていた彼女の名前はせつこちゃん。
押しに押しまくられて付き合う形になった僕なのですが、彼女は今はやりのおたくでした。
世間では腐女子と言うのでしょうか。
自分で自分のことをアキバ系という彼女ですが、日々の彼女の行動は中々エキセントリックなので、これを記録しとけば面白いかなと、関西人の血が騒いでいるところです。

三つ年下の彼女は、普段はドＳで僕を困らせることだけに情熱を傾けていますが、ちょっとは可愛いところもあるはずだ。それを発見していきたいと思います。