あるコリア系日本人の徒然草

反日・嫌韓が言われて久しいですが、朝鮮民族として、また日本人として、ありのままの感情を吐露していこうと思います。

久方ぶりのご挨拶

2005年09月15日 | その他日々雑談
大変ご無沙汰しています。約半年ぶりの更新です。いろいろと心配してくださった方、有難うございます。私pontakaは、決して死んでしまったわけではないのですが、いろいろと忙しくなって、blogの方を完全にすっぽかしておりました。この間にコメントなど書いてくださった方、またメールをわざわざ下さった方、ご返事差し上げられなくて、本当にすいません。一応全部読んでいますので、お許しのほどを。。。

それにしても、この半年の間にいろいろとありました。私事では、

1)勤務地・勤務内容ががらっと変わる。
2)自転車通勤により、サイクリングの面白さに目覚める。
3)サイクリング中に車との接触事故を起こして、鎖骨骨折する。
4)衆議院選挙の立候補に誘われる。
5)友達に私pontakaが誰か、ばれる。

1)以前の実験系研究から今回、理論系研究に移ったので、頭の使い方の変化に少々苦労していますが、そのうち慣れるでしょう。blogを更新できなかった一番大きな理由です。研究内容は、残念ながらconfidentialです。

2)20万くらいのロードバイクを購入しました。アメリカのトレックというブランドのものです。サイクリング好きの方にはめちゃくちゃ有名どころですが、ツール・ド・フランス7連覇したランス・アームストロングが乗っているブランドです。ロードバイク(ドロップハンドルのやつ)って本当に軽くて、あっという間に時速40kmほどのスピードが出ます。初めて乗ったときは感動して、通勤するのにわざわざ遠回りしたりしてます。

3)自転車にはまると一度は大きな怪我をやらかすようですが、僕も見事にやらかしてしまいました。生活道路のカーブで車が飛び出してきて、接触事故を起こし、僕はそのまま逆側の土塀に左肩から激突。その瞬間、鎖骨骨折だと分かりました(僕が医師でなくとも、分かったと思います)。このため、blog復帰が遅れてしまいました。ちなみに、ドライバーは逃走しました。ナンバーは見る暇も無かったのですが、ドライバーが若いお姉ちゃんだったことだけは確かです。

4)なんと、知り合いの方から誘われちゃいました。びっくりしました。政治に興味ないことはないのですが、立候補するにはやはり勇気が要りますねえ。今までにも帰化したコリア系の議員の方はいらっしゃるのですが、自分のことになると少し抵抗があり、今回は辞退させていただきました。このあたりの心情などは、また改めて書いてみようかな、と思います。

5)友達いわく、コメント欄に僕の職業が書いてあるのを見て、すぐに分かったそうです。まあ、そうかもしれませんねえ。

この半年での世間一般での大きな出来事としては、このブログ的には、6)中国韓国での反日暴動、7)衆議院選挙での自民党圧勝、8)阪神優勝マジック点灯などでしょうか。韓国での反日運動の高まりは正直に言って、僕を鬱にしてしまいます。基本的に関係ないとはいえ、やはり気になるんでしょうね。あと、自民党圧勝についての考察は、あらゆるところでなされていると思いますが、僕なりの考えを今度まとめてみようと思ってます。

ということで、今日は長い眠りからの復帰のご挨拶ですが、今後も何卒よろしくお願いします。

目次 (Feb. 5, 2005 - )

2005年09月14日 | 目次
目次を作ってみました。目次は常に、最新記事の次(上から2番目のエントリ)に掲載しておきます。興味のある記事にアクセスするには、便利かもしれません。また、記事を探しやすいよう、少し順番を入れ替えています。

≪プロフィール≫
はじめまして(Feb. 5, 2005)
pontakaとは?(Feb. 5, 2005)

≪生い立ち≫
生い立ち その壱(在日と知らされるまで)(Feb. 6, 2005)
生い立ち その弐(在日と知らされた時)(Feb. 6, 2005)
生い立ち その参(帰化するまで)(Feb. 8, 2005)
生い立ち その四(政治団体に所属してみて)(Feb. 9, 2005)
生い立ち その五(結婚そして海外生活)(Feb. 11, 2005)
生い立ち その六(帰国後現在まで)(Feb. 20, 2005)

≪メインのお話≫
国籍と民族(Feb. 6, 2005)
在日とは、どういう外国人か? (歴史とからめて)(Feb. 7, 2005)
在日とは、どういう外国人か? (国籍取得条件とからめて)(Feb. 8, 2005)
靖国神社の問題点(A級戦犯問題と宗教観) 其の壱(Feb. 12, 2005)
靖国神社の問題点(A級戦犯問題と宗教観) 其の弐(Feb. 20, 2005)
通名と本名 其の壱(創氏改名編)(Feb. 19, 2005)
なぜ日本は朝鮮半島にこれほど恨まれるのか?(Feb. 20, 2005)
コリア系日本人からの視点(Feb. 26, 2005)
コリアと友好を築く意義(Feb. 28, 2005)
日本とドイツの戦後(謝罪と賠償) 其の壱(Mar. 7, 2005)
日本とドイツの戦後(謝罪と賠償) 其の弐(Mar. 8, 2005)
日本とドイツの戦後(謝罪と賠償) 其の参(Mar. 10, 2005)
日本とドイツの戦後(謝罪と賠償) 其の四(Mar. 14, 2005)
日本とドイツの戦後(謝罪と賠償) 其の五(Mar. 17, 2005)
日本とドイツの戦後(謝罪と賠償) 其の六(Mar. 25, 2005)
日独戦後(謝罪と賠償)暫定議論場(Mar. 23, 2005)
保守派・リベラル派とは(Mar. 30, 2005)

≪アンケート等≫
コリアン・ザ・サード(らーさんのBlog)の100の質問に対する答え(Feb. 11, 2005)
他の人の昨日のアンケート結果を見て思ったこと(Feb. 13, 2005)
自分の政治的傾向の数値化(Feb. 23, 2005)
自分の政治的傾向の数値化の結果(前半)(Feb. 23, 2005)
自分の政治的傾向の数値化の結果(後半)(Feb. 23, 2005)
朝日新聞と産経新聞の比較 (政治的傾向の数値化より・前半)(Feb. 23, 2005)
朝日新聞と産経新聞の比較 (政治的傾向の数値化より・後半)(Feb. 23, 2005)
The Political Compassの考察 (テストのバイアス)(Feb. 24, 2005)
日本語版ポリティカルコンパス(Apr. 10, 2005)

≪趣味・仕事など≫
健康マニア
スタートレック
スタートレック (Deep Space 9:DS9)
Ally McBeal(邦題:アリー・マイ・ラブ)
"Ally McBeal" 面白かったお話 その1
"Ally McBeal" 面白かったお話 その2
"Ally McBeal" 面白かったお話 その3
料理
チジミのレシピ
鳥重のレシピ(訂正版)
海鮮パジョンのレシピ
トックのレシピ
豚の角煮のレシピ

≪その他日々雑談≫
「サッカー」対北朝鮮戦が終わって
一休み
台湾問題を振り返って (靖国問題との類似性:内政問題と国際問題)
うんざり。
コメントについて
中国「反国家分裂法案」全容明らかに
北朝鮮の提出した遺骨鑑定の真偽
なんだかなあ。(竹島・日の丸・君が代)
御返事お待ちください
久方ぶりのご挨拶

≪ご質問・リクエスト等≫
御質問・リクエストなどのコーナーです
ほのぼのとしたお話、募集中。

日本語版ポリティカルコンパス

2005年04月10日 | アンケート等
昨日長い出張から帰ってきました。アメリカの4都市を回ったのですが、かなりへろへろです。ちょっと今の体には、まだきつかったようです。それにしてもアメリカは広いです。更新を楽しみにしてくださった方、すいません。また、いろいろとコメントを下さった方、少しずつ返事をお返ししようと思っています。

それでは今日は簡単に、ちまたでうわさになっている日本語版ポリティカルコンパスを試してみようと思います。

Q1-1. 子どもは三歳までは母親の手で育てるべき
「まったく同意できない」
男が子供を育てても、何の問題も無いだろう。

Q1-2. 夫婦は同姓であるべきだ
「あまり同意できない」
別姓にしたければすればいいし、同姓にしたければすればいい。

Q1-3. 既婚女性は働くとしても、家族に迷惑をかけない範囲で働くべき
「やや同意する」
自分の意見としては、既婚男性も既婚女性もともに、家族のことを考えるべきだと思う。女性だけ考えろというのは、おかしい。

Q1-4. 改憲して自衛隊を防衛戦力として正式に位置づけるべき
「同意する」
軍隊を持たない国は、国としての体をなしていないと考える。

Q1-5. 移民は極力排除すべきだ
「まったく同意できない」
移民排斥は、僕のもっとも嫌いとするところ(僕が移民の子孫だし)。国民の強さは、その多様性から生まれるとも考える。

Q1-6. 公務員に採用していいのは日本国籍を持つものだけだ
「やや同意する」
基本的に公権力の行使には日本国籍が必要と考えるが、そうではないポジションに関しては、必要ないと考える。また、高度技術者などに関しては、考慮の余地があるとも考える。

Q1-7. 食料自給率は上げるべきである
「同意する」
当然だと思う。今のままの自給率では、有事の際にどうするつもりか?食料とエネルギーは、最も基本的なものだと思う。

Q1-8. 夫婦仲が悪くなっても婚姻関係を継続すべきだ
「まったく同意できない」
決定的に夫婦仲が悪くなれば、さっさと離婚すべきだ。

Q1-9. 既婚者は配偶者以外の者と肉体関係を持ってはならない
「同意する」
自説だが、男も女も不倫は法律で取り締まるべきだ。淫行条例があるのに、なぜ分別のある大人は不倫条例などで罰せられないのか。

Q1-10. 性交してよいのは大人だけだ
「あまり同意できない」
大人の定義を20歳以上と解釈したが、分別があれば10台で性交しても構わないだろう。僕もやってたし。

Q1-11. 売春は現状どおり規制すべきだ
「あまり同意できない」
個人的に売春・買春両行為ともあまり好きではないが、実質上あまり規制がかかっていない現状では、いっそ規制解除してもよいと思う。その方が、やくざの資金源からむしろ断ち切られると思う。もっとも売春を行う地域などに関しては、一定のルールを設けるべきだと思う。

Q1-12. 有害な表現は規制すべき
「あまり同意できない」
有害の定義がとても難しく、言葉狩りになる恐れがあるので、基本的には規制すべきだとは思わない。しかし、もし自浄能力が無く、だれが見ても分かるようなひどい表現が止まらないようであれば、体制側に規制をかけられてもしょうがないと考える。

Q1-13. 首相の靖国参拝には問題はない
「あまり同意できない」
エントリでも話したが、現在の靖国のあり方をまず何とかすべきだと思う。しかし、今となっては靖国参拝を続けるべきだとも思う。

Q1-14. 入学式や卒業式には国旗掲揚および国歌斉唱をおこなうべきだ
「同意する」
校歌・校旗の方が国歌・国旗よりも尊重されるほうがおかしい。もし国歌・国旗がいやなのであれば、校歌・校旗もやめるべきだ。もっとも、強制でなく自発的に国歌・国旗を尊重して欲しいが、むりやり拒否を煽る教師に対しては、ある程度強制力の伴う指導も必要だと考える。それがいやなら、国歌・国旗を拒否する学校に転任すべきだ。

Q1-15. 製造業(ものつくり)には特に力を入れるべきだ
「やや同意する」
基本的に同意するが、ハードウェアだけでなくソフトウェアの方にも同等の力を注ぐべきだ。

Q1-16. 外資による企業買収は問題だ
「あまり同意できない」
国の機密に関わる事業に関しては、外資買収は問題になるが、それ以外は何も問題がないと考える。むしろ企業の多様化という観点からは、歓迎すべきだと思う。

Q1-17. 人前結婚式は不快に思う
「まったく同意できない」
何が問題か、まったく理解できない。

Q1-18. 昭和天皇には戦争責任はない
「あまり同意できない」
これはとても難しい。個人的には、昭和天皇は戦争犯罪は犯していないが、戦争責任はあったと考える(それなりの発言力があったと考えるから)。戦後落ち着いた時点で退位できなかったのか、とも考える。

Q1-19. 専門家の発言は信じる
「あまり同意できない」
真の専門家ならある程度信用するが、昨今あまりに自称専門家が多すぎる

Q1-20. 親が年老いたら子どもが世話をするべきだ
「あまり同意できない」
子供が親の世話をするのは理想だが、親が自活できれば面倒を見る必要は無いし、自活できなければ、しっかりとした福祉施設で面倒を見てもらうのも別に問題は無いと思う。基本的には親の意見を尊重したい。

Q1-21. 毎日仏壇に向かって感謝をささげる
「あまり同意できない」
このような行為を行う方には敬意を払うが、自分としては仏壇に何の思い入れも無い。感謝は心の中でするものであり、形式には重きを置いていない。

Q1-22. 未成年でも、殺人犯なら氏名や顔は公開してよい
「同意する」
殺人・レイプ・監禁・強盗など重大犯罪に関しては、年齢に関係なく(例え低年齢でも)氏名・顔を公表すべきと考える。

Q1-23. 難民の受け入れには消極的になるべきだ
「まったく同意できない」
国際社会における先進国として、難民は積極的に受け入れるべきだ。また、日本社会にもっと多様性を持ち込むべきだ。

Q1-24. 例え間違っていたとしても、わたしは自分の国が大好きだ
「あまり同意できない」
郷土愛のような気持ちは変わらないであろうが、もし自分の国がファシズムに走り、自分の力でどうしようもなくなったら、躊躇無く別の国に移住する。

Q2-1. 地方へは財政配分を現状どおり厚くすべき
「あまり同意できない」
地方への必要な援助は積極的に行うべきだが、現在の状況はあまりにも無駄が多すぎると思う。

Q2-2. 健康保険対象外の診療に対しては慎重になるべき
「あまり同意できない」
安全性などの問題か無制限に拡大すべきだとは思わないが、貴重なデータ収集の観点からも、あまり慎重になる必要も無いと思う。

Q2-3. 高等教育の財政保障は、現状どおり機関補助を主とするべき
「やや同意する」
普通教育ではなく高等教育とはいえ、教育分野を民間ですべてまかなうことには抵抗がある。優秀な人材を育てるには国がある程度関与することが重要ではないか。民間が主になるとコストパフォーマンスだけを考えるようになり、採算の取れないであろう分野(特に文学・芸術など)がおろそかになる可能性がある。

Q2-4. 労働者の解雇条件は現状程度の規制が必要
「あまり同意できない」
現状の解雇条件が厳しいために、労働者を辞めさせるための陰湿な嫌がらせなどが減らないのだと思う。能力の無いものはもっと普通に解雇でき、またその受け皿として、中途採用が大幅に増えていけば、人材の流動化が進み健全な社会になると思う。

Q2-5. 派遣・有期労働者の労働条件は現状程度の規制が必要
「やや同意する」
派遣・有期労働者は、(例え能力が高くても)正規採用者に比べ待遇面などで明らかに劣るため、労働条件の規制は必要だと考える。

Q2-6. 大型店舗の出店は現状程度の規制が必要
「やや同意する」
環境などを考えた時、ある程度の規制はやむを得まい。

Q2-7. 海外からの輸入には、極力関税を掛けるべき
「あまり同意できない」
食料などを除いては、基本的には自由市場に任せるべきだと考える。

Q2-8. 裁量労働制の適用範囲はこれ以上緩和してはならない
「あまり同意できない」
裁量労働制は、能力のある人間にとって有利な取り決めと思われるので、基本的には賛成だが、悪用すれば単なる賃金減らしになり兼ねないので、監視をしながら適用範囲を広げるべきだと考える。

Q2-9. 公立施設は公的組織が運営するべきだ
「やや同意する」
基本的にはそう思うが、場合によっては非営利組織が運営してもよいと思う。

Q2-10. 小学校の給食は公的に供給すべきだ
「同意する」
初等教育における食事には、公的機関が責任を持つべきだと思う。

Q2-11. 老後は公的年金だけで暮らせる年金制度にすべき
「やや同意する」
基本的にこの形が理想。しかし今後想定される高齢化社会においては、やや無理があると思う。

Q2-12. 教育は国が財政保障すべき
「同意する」
教育のような国の根幹に関わる部分は、国が保障すべき。

Q2-13. 地域ごとに介護サービスのばらつきがあるのは問題
「やや同意する」
理想としては、日本国内どこも同じ介護サービスを受けられるようにすべきだと思うが、地域によって必要性も変わってくるとも思う。

Q2-14. 為替市場の参加者は、実需家のみが占めるべき
「あまり同意できない」
市場開放の意味から、実需家のみが占めるべきとは思わないが、何らかのルールも必要だと考える。

Q2-15. 高所得者の税率は高くすべき
「やや同意する」
高所得者の方が低所得者よりも生活の余裕があるため、税率は高くすべきだと思うが、極端に高くすると勤労意欲に影響するので、そのあたりは考慮すべき。

Q2-16. 企業には環境問題への取り組みは期待できない
「あまり同意できない」
高度成長期と異なり、企業イメージを考えて、環境問題に対し自主的に取り組むようになっていると思う。

Q2-17. いわゆるグローバルスタンダードの受け入れには慎重になるべきだ
「あまり同意できない」
国際社会の一員として、基本的にはグローバルスタンダードを受け入れるべきだと思う。もっとも各国によってそれぞれの事情はあるだろうから、そういったものに対しては個別に対処すればよいと思う。

Q2-18. 福祉は救貧ではなく、普通の人の暮らしを支えるために存在する
「あまり同意できない」
福祉は基本的に弱者救済のためにあると考える。ただし、弱者が自立できる方向で救済をすべきだと考える。

Q2-19. 市場競争より規制のほうが消費者をよりよく守る
「あまり同意できない」
過当競争は、共倒れになったり品質低下を引き起こして、消費者も結果損をするが、健全な市場競争は消費者にとってよいと思う。

Q2-20. 過疎地には、投資効果が割に合わなくてもインフラ整備を為すべきだ
「やや同意する」
投資効果ばかり考えていたら、過疎地はどんどんさびれていく。もっとも、そのインフラ整備が地元の人間にとって本当に必要とされているのかどうか、熟考する必要がある。

Q2-21. 不景気時には公共事業を実施すれば景気が回復する
「あまり同意できない」
一過性に景気浮揚する可能性はあるかもしれないが、成熟した先進国にとっては根本的解決にならず、結局景気は本格的回復をしないと思う。

Q2-22. 企業は、取引先や従業員、地域住民等の株主以外のステークホルダーにも配慮すべきだ
「同意する」
そうでないと企業イメージが傷つき、結局企業にとっても損である。

さて結果は次のようでした。

政治的な右・左度(保守・リベラル度) -1.67
経済的な右・左度(市場信頼派・政府介入派) -0.68
あなたの分類はリベラル左派(リベラリスト)です。

僕の場合は、本家The Political Compassの場合と比較して、政治経済両ポイントとも若干上がったものの、結果は似たようなものになり、自分の予想とあまり変わらなかったです(本家の結果はこちら)。人によってはずいぶんと変わる人もいるようです。結果に大きな違いの出た方は、その原因を考えてみるのも興味深いかもしれませんね。

今日はこのあたりで休みます。それでは皆様、今後もよろしくお願いします。

保守派・リベラル派とは

2005年03月30日 | メインのお話
以前コメント欄で、「保守派・リベラル派とは何ぞや」と質問されたことがあるので、今日はこのことについて考えてみます。ここではあくまで私の考え方について述べるのであり、一般の定義とは少しずれるかもしれません。

元来リベラル派というものはなく、保守派に対する反対は革新派だったと思います。この分類はイデオロギー的なものであり、保守派とはいわゆる体制を守る側(体制派)であり、革新派とはその体制に反対する側(反体制派)だと思われます。ところがイデオロギー対立の冷戦も終了し、現在では純粋な意味での革新派は、ほとんど存在しない(もしくは存在意義が無い)と思われます。そのかわり、個人の人権が重要視されるに伴い、リベラル派というのが保守派に対立するものとして台頭してきたのだと思われます。

個人と全体(組織)ということを考えた時、リベラル色が強くなるほど個人を重要視し、逆に保守色が強くなるほど全体(組織)を重要視することになります。この分類は、少し前に話題になっていたThe Political Compassの縦軸に相当すると思われます(「The Political Compassの考察 (テストのバイアス)」参照)。すなわち、極端なリベラル派は全体をまったく顧みずアナーキズムと化し、逆に極端な保守派は個人をまったく顧みないためファシズムと化すのでしょう。

リベラル派の欠点として、しばしば「売国的」発言・行動が見られることが挙げられますが、なぜでしょうか。私が考えるに、リベラル派というのは個人の利益を前面に押し出すあまり、その個人が属している組織(この場合自分の国家)と対立し、ひいてはそれを否定することがあるからでしょう。その結果、別の組織(この場合他国家、もしくは敵国家)を利することになり、それが「売国的」発言・行動とみなされるのだと思われます。また、かつての革新派の人々がリベラル派に鞍替えしたことも、大きな影響があるのかもしれません。

では今度は、保守派の欠点として、しばしば「移民排斥的」発言・行動が見られることが挙げられますが、なぜでしょうか。私が考えるに、保守派は個人の属している組織(自分の国家)の利益を前面に押し出し、そのためにその組織と異なる性質を持つ組織(他国家もしくは敵国家)に対して排他的になり、最終的にその別組織に属する個人(他国民もしくは敵国民)をも排斥するようになるからでしょう。ある意味、「個人」と「その属している組織(属性)」が区別できていないのかもしれません。

どちらも欠点を持ち、また同時に長所を持っていると思われます。確固たる「組織」がなければ、「個人」の自由も保証されず、無秩序と混乱を引き起こすだけだと思われます。また逆に「個人」の自由がなければ「組織」が硬直化し、最後は「組織」そのものもだめになるでしょう。「民主主義」というシステムは、この「個人」と「組織」のバランスを保つには、一番ましなものだと思われますが、未熟な「民主主義」国家においては、そのバランスがうまくとれない可能性があります。

未熟な「民主主義」とは、何でも「多数決万能主義」にしてしまい、「少数意見」を無視する状況だと考えます。これは、保守派・リベラル派どちらが政権をとっても同じことだと思われます。「多数派」が「少数派」の意見を無視し、また攻撃し続ければ、「少数派」は(自分の意見が反映されないために)意見を言う意欲を失い、最後は口をつぐんでしまうことになります。当然中間層も「何となく多数派」になびき、ますます「多数派」が増えて、最終的に「全体主義」のような状態に陥ります。

「保守派」はもともと向かう先がファシズムなので、分かりやすいのですが、興味深いのは、「リベラル派」が政権を取った場合です。「リベラル派」の本来向かう先はアナーキズムであるのに、未熟な「民主主義」システムにおいては、「保守派」同様に「全体主義」に向かう傾向があるということです。これは、未熟な「民主主義」システムそのものが、いかに危険かを示しているのかもしれません。

逆に成熟した「民主主義」においては、多数決の前に多くの話し合いが持たれます。この話し合いにおいて「多数派」は「少数派」の意見を汲み取ろうとします。もちろん最後は多数決で決まるわけですが、この方式だと「少数派」の意見も反映される可能性があり、また「多数派」のブレーキ役になると考えられます。

最後にちょっと脱線しますが、最近「ネット右翼」なる言葉が聞かれます。私はこの言葉が好きでないので使いませんが、ネット上において、「中間層」が「右よりの言説」に煽られて集まる集団のことを指していると思われます。「ネット右翼」が「ネットファシズム」と揶揄されたりする原因は、上述した未熟な「民主主義」において見られる、「少数派」の意見の無視・攻撃が行われるからだと思います。そのため「少数派」は意見を言う意欲を失い、「中間層」が「何となく多数派」になびき、ファシズムのような雰囲気になるのでしょう。韓国における「反日」も同じような状況なのかもしれません。特に政府自ら「反日」を煽っているため、少数派の「親日」が意見を言えない状況になり、全体主義のような様相を示してしまうのでしょう。

私の「リベラル派」「保守派」に対する理解は、こんな感じです。今晩から出張ですので、数日間ご返事できませんが、皆さんご自由にコメントを残してくださって結構です。帰国後ご返事差し上げます。

豚の角煮のレシピ

2005年03月27日 | 趣味・仕事など
今日は和風料理の「豚の角煮」のレシピです。角煮といえば薩摩か琉球料理ですが、多分日本酒を使うか泡盛を使うかが最大の違いだと思います。ここでは日本酒を使ったレシピを書きます。男のクッキングですから、かなり大雑把になるのはお許しを。(所要時間3日)

≪用意するもの≫
・豚ばら肉かたまり(できれば黒豚)、もしくは角煮用 1kg
・太ネギの緑の部分 1-2本
・ショウガ 塊半分くらい
・塩 適量
・胡椒 適量
・酒 500ccほど
・しょうゆ 適量((大さじ5杯ほど?)
・黒砂糖 適量(大さじ5杯ほど?)

まず、豚ばら肉を(塊であれば3cmほどのスライス切りにして)お鍋に入れ、沸騰させた塩水で10-15分ほどゆでます。塩は、パスタをゆでる時くらい入れます。こうすることで表面上の臭みを取ります。その塩水を捨てた後、再度水を入れます。そこへ、5cmほどに切った太ネギの緑の部分、スライスにしたショウガ、ほんの少量の塩を入れ、数時間弱火で煮込みます。豚肉から大量の脂が出てくるので、丁寧に掬い取ってください。

出来る限り脂を取ったら、一晩冷蔵庫に寝かせてください。翌日脂が表面に固まっているので、それをスプーンでかきとってください。もう一度温めて豚ばら肉以外は(ネギ・ショウガも含め)すべて捨て、再度水を入れます。そこへ酒・しょうゆ・黒砂糖・塩少量・胡椒少量を入れて、味を整えます。その後、落し蓋をして、また弱火で数時間煮込みます。またまた脂が出てくるので、丁寧に掬い取ります。

その後また一晩冷蔵庫に寝かせてください。翌日表面に固まった脂をかきとり、温めなおします。まだ浮いている脂を全部取れば出来上がりです。とにかく大事なことは、脂を出来る限り頑張って取ることです。これがいい加減だと、ゼラチン部分がおいしくならないです。また火にかける時間が長くなると、ゼラチン部分が剥がれ易くなるので、そっと扱ってください。高級な水・お酒を使うと、さらにおいしくできます。

豚の角煮は冷蔵庫でしばらく保存が出来ますので、ゆっくりお楽しみあれ。また冷蔵庫から食べる分だけ出したら、電子レンジでチンして、お好みで辛子をつけてください。ではBon appetit!!

日本とドイツの戦後(謝罪と賠償) 其の六

2005年03月25日 | メインのお話
前回に引き続き、「日本における賠償・補償問題」です。今回は対外的な問題ではなく、「日本国内における補償問題」をドイツの場合と比較しながらお話します。ちなみに、今日のお話で「賠償」編は終わりです。(前回のお話はこちら

(4) 日本における賠償・補償問題

≪国内における補償問題≫

日本は国家賠償はしっかりやっているが、個人補償はあまり積極的に行っていない、としばしば言われます。日本が締結した2国間条約などでは、国家賠償の中から個人補償が行われていますが、国家賠償の対象者とならなければ個人補償を受けられないとも言える訳です。では、(本来補償を受けるべきと私が考える)どのような人たちが、個人補償を受けられないのでしょうか?

a) 民間の一般日本人

日本政府は、(現在)日本国籍を持つ軍人・軍属に対しては、恩給法や援護法などで比較的手厚い支給を行っています。一定年数以上軍人として勤めた者以外にも、戦傷病者・戦没者・戦犯者・それらの遺族なども対象となっています。ところが、空襲などの被害にあった数十万(百万以上?)の民間人には、一切補償が行われていません。私の知る限り、民間人で援護法の対象になっているのは、原爆被災者(とその遺族)のみだと思います。

【注記:この原爆関連の援護法は、日本では珍しく「国籍条項」がなく、日本に居住する外国人(いわゆる在日韓国・朝鮮・台湾人)に対しても、日本人と同様に補償金が支払われています。一方、外国に居住する者の補償に関しては、2国間条約に依存します。】

ドイツの場合は、「其の弐」にも書いた連邦補償法によって、ドレスデン爆撃などの被害者に補償が行われています。また、当時の(ナチスに対する)政治犯や兵役忌避者などに対しても補償金が支払われています。日本における「治安維持法」違反者に対して補償金を支払っているようなもの、と考えれば分かりやすいかもしれません。

この他にも、満州・朝鮮半島からの民間の帰還者に対しても補償をされていないと思います。彼らはそれこそ無一文で日本に帰還したわけですから、その時の苦労は想像を絶するものがあると思います。また軍人と違って、身を守る武器も持っていなかったのですから。「中国残留孤児」の補償問題もこの一環かもしれません。

同様の例はドイツにも存在し(「其の参」参照)、現ポーランド・チェコ領域から追放された数百万のドイツ人が、この類の帰還者(難民)に相当すると思われます。ドイツ政府は、これら帰還者に対し補償金・年金などをを支払っています。もっとも、上述の連邦補償法による補償金と比較して少なすぎる、との批判が出ており、この不満が、最近の財産返還訴訟につながっているのでしょう。

このように見ると、同じ日本国籍を持つ者でも、軍人・軍属と民間人に大きな差があり、(特にドイツと比較した場合)民間の被害者に対して非常に冷淡だと思われます。

b) 旧植民地(朝鮮半島・台湾)出身者で日本に居住する者

いわゆる在日韓国・朝鮮人、在日中国(台湾)人がこれに相当します。「在日とは、どういう外国人か? (国籍取得条件とからめて)」のエントリでもお話しましたが、サンフランシスコ条約に伴って、日本に居住する在日韓国・朝鮮人、在日中国(台湾)人は、日本国籍を喪失しました。それに従い、旧日本軍の軍人・軍属であっても、恩給法・援護法の対象者からはずれることになります(国籍条項のため)。

この「国籍条項」を軍人・軍属に対して設けている国は、第二次世界大戦参戦国のうち日本だけだと思われます。アメリカ・イギリス・フランスは、何の制限条項も設けていません。ドイツの援護法に関しては「居住地条項」が存在しています(「其の弐」参照)が、この条項を日本に適用すると、すべての在日韓国・朝鮮・台湾人が援護法の対象者になると考えられます。

想像するに、当時の日本政府の考えとして、「これら旧日本軍所属の外国人の処遇は2国間条約によって決定すればよい」、というものだったのかもしれません。また、「数十万に及ぶ植民地出身者の旧日本軍軍人・軍属への補償金を削減できる」、との実利的理由があったのかもしれません。もっとも、日本政府の考え方も時代を経るに従って変化し、ずいぶん改善されることになります。そのあたりを、時系列を追って書いていこうと思います。

1952年、中華民国(台湾)と日華平和条約締結。この条約においては、旧日本軍所属台湾人の処遇は無視される。

1962年、援護法の解釈運用について微妙な変化。厚生省は、「帰化により日本国籍を取得し、戸籍法の適用を受けることとなった朝鮮・台湾出身者などは、帰化許可の日から遺族援護法の適用がある」との見解を示す。

1965年6月22日、韓国と日韓基本条約締結(「其の壱」参照)。付随する請求権協定にて、本国在住韓国人の請求権はすべて解決済みとなる。実際、本国に住む韓国籍の旧日本軍軍人・軍属に対して、韓国政府から補償が行われる。ただし、在日韓国人・在韓日本人に関しては、請求権協定第2条第2項(a)にて対象外とされる。

【請求権協定第2条第2項:この条文の規定は、次のもの(この協定の署名の日までにそれぞれ締約国が執った特別の措置の対象となったものを除く)に影響を及ぼすものではない。
(a) 一方の締約国の国民で1947年8月15日からこの協定の署名の日(1965.6.22)までの間に他方の締約国に居住したことがあるものの財産、権利及び利益。】

1965年12月18日、「日韓請求権協定」の発効。この発効の前に、在日韓国人元軍人・軍属らに次の通達あり。【本人の意思とは無関係に日本の国籍を喪失した韓国人等の場合には、日韓特別のとりきめ「日韓請求権協定」の発効の日(65年12月18日)前に帰化して日本の国籍を取得すれば、平和条約発効のときに遡って恩給が受けられる。】 もっとも、この日以降に帰化した在日韓国人に関しては、恩給を遡って受け取ることはできず、帰化許可の日から遺族援護法の適用あり。

1987年、「台湾住民である戦没者遺族等に対する弔慰金等に関する法律」が制定。この法律により、台湾住民で旧日本軍軍人・軍属の戦没者・戦傷病者・その遺族に対して、弔慰金が支給。

1994年、村山内閣が旧日本軍所属の台湾人に対して未払い賃金の支払いを決定(「其の四」参照)。韓国人の元軍人軍属の未払い賃金に関しては、日韓請求権協定にて解決済み。

2000年、「平和条約国籍離脱者の戦没者遺族への弔慰金等支給法」が制定。この法律により、在日韓国・朝鮮人、在日中国(台湾)人で、旧日本軍軍人・軍属の戦没者・重度戦傷病者・その遺族に対して、弔慰金が支給。

以上が補償方法の大雑把な変化の経緯ですが、非常に複雑で理解しにくいものになっています。ここまでの日本政府の対応の変化を書いていて、私が感じるのは、やはり「在日」という存在の不正常さです。以前から何度も申し上げているように(「在日とは、どういう外国人か? (国籍取得条件とからめて)」参照)、旧植民地出身者の在日外国人に対して「国籍選択権」を与えていれば、たとえ「国籍条項」があろうとこれほど複雑な事態にならなかったのに、との感想です。2000年の在日元軍人・軍属弔慰金支給法にしても、日本人の元軍人・軍属と比べ給付金支給の基準が厳しく、また給付額も少ないために、不満が出ています。

もっとも、在日外国人元軍人・軍属に対する補償の遅れ・条件の厳しさは、日本政府にすべて責任を押し付けるわけにも行かず、韓国政府・台湾政府が彼らの処遇を棚上げしてきたことにも、多大な責任があると思われます。また、北朝鮮との請求権問題はまだ全く解決されておらず、在日朝鮮人元軍人・軍属などに対する補償問題も含め、今後紆余曲折があると考えられます。

「平和条約国籍離脱者」すなわち「在日」にまつわる戦後補償問題は、この他にも「年金問題」「戦犯問題」などさまざまあります。個人的には、サンフランシスコ平和条約時に「国籍選択権」を付与していれば、すべての「在日」問題が解決していたのに、と歯がゆく思えます。もしくは、恩給法・援護法も、上述した原爆に関する援護法のように、「国籍条項」ではなくせめて「居住地条項」にしていれば、と残念に思えてならないです。繰り返しになりますが、軍人・軍属の恩給・補償に対して「国籍条項」を設けているのは日本だけですので、私にはそれが正常な姿だとは思えません。


以上で、やっと「賠償」編が終了しました。すべて書き終えた感想としては、「疲れたー」の一言です(笑)。最初書き始めたときは、これほど長くなるとは思っておらず、ちょっと舐めていました。でも今回できる限りまとめたことで、日本ドイツともに何が問題かはっきりしてきたので、とてもよかったです。

印象に残ったことは、やはり日本の「個人補償」の少なさです。おそらく戦後間もない頃は、現在と比較して「個人の権利」に対する意識が希薄であり、そのため「国家賠償」によってすべてを解決しようとした日本の姿勢に、それほど問題は無かったと思います。ただ、日本があまり「個人補償」に積極的でない理由の一つとして、日本国民に対してすら「個人補償」を行っていないからかもしれません。さらに、中華人民共和国・朝鮮民主主義人民共和国との「補償問題」は、大至急解決してもらいたい問題です。また、様々なところで顔を出す「国籍条項」ですが、在日に対する「国籍選択権」と絡めて、問題解決を図って欲しいものです。

一方ドイツは、講和条約の欠如から「個人補償」を中心にせざるを得なかったとはいえ、「個人の権利」を尊重する現代においては、(日本式と比較されることで)逆に評価されるようになったのかもしれません。ただ第三者から見ていると、「いつになったら終わるんだろう」という不安感があります。個人補償の最低ラインも、どんどん拡大解釈されている感じがします。

それでは、皆さんのご意見・ご感想をお待ちしております。「謝罪」編に関しては、僕がもうちょっとやる気が出たら書き始めます。今はちょっと疲れ果てているもので。。。あと、僕の書いた内容で間違っている場所があれば、遠慮なく御指摘ください。僕も単なる一素人ですので。

日独戦後(謝罪と賠償)暫定議論場

2005年03月23日 | メインのお話
現在、「日本とドイツの戦後(謝罪と賠償)」シリーズを書いており、あと2-3回で終了する予定です。それに従い、「日本とドイツの戦後(謝罪と賠償) 其の壱」のコメント欄で、(少々フライング気味ではありますが)総合的な議論が始まっています。今日は、その議論中での「藤原」さんと「摂津守」さんのコメントに対する私の返事を、エントリに挙げたいと思います。彼らのコメントは(少々長いですが)非常に分かりやすく、また鋭い質問でありますので、まだ読まれていない方は是非御覧になってください。


>藤原さんへ

大変詳しい説明、ありがとうございます。僕のエントリより分かりやすいかもしれません。それぞれの項目に従って、用語の定義について僕の意見を書いてみます。

①戦争犯罪の定義(戦争犯罪3類型)について

藤原さんの定義でまず間違いないと思います。もっとも東京裁判では、「c) 人道に対する罪」が「b) 通例の戦争犯罪」に含まれており、ニュルンベルグ裁判の基準を東京裁判に踏襲させれば、戦犯のうちの何人かは「c) 人道に対する罪」で裁かれたであろう、とも言われています。事実、東京裁判での起訴状第三類が、「通例の戦争犯罪および人道に対する罪」と、二種の罪概念をほとんど区別して使っておらず、この説の根拠となっています。「a) 平和に対する罪」では計45人が有罪になっているため、立派に裁かれていますね。

②戦争犯罪の定義の変化(国際犯罪4類型)について

「c) 人道に対する罪」は、もともとホロコーストを目的に(戦後)新設されたもののはずです。特にユダヤ人は別に敵国人でもなんでもないわけですから、「b) 通例の戦争犯罪」に含まれないのだと思います。従って、やはりホロコーストそのものは、「戦争犯罪3類型」において、「c) 人道に対する罪」に相当すると思います。もっとも、ドイツの戦後補償については僕のエントリにも書きましたが、ドイツはホロコーストだけに補償しているわけではありません。自由主義史観グループが何故このような主張をするのか、全く理解できず、彼らのグループを僕が信用していない一因です。しかも西尾さんはドイツが専門のはずなのに。これでは悪質なプロパガンダと言われてもしょうがないでしょう。

③戦後処理の方法について

1、戦時賠償(=国家賠償)について

結局「敗戦国が戦争責任を全面的に担う」という不文律が成立しているのでしょうね。韓国に関しては、彼らの解釈では「乙巳条約(第二次日韓条約)=非合法」としているため、請求権を求めたのでしょうね。僕のエントリにも書いていますが、ドイツ・イスラエル間(ルクセンブルグ協定)でも似たような問題が生じてます。イスラエルは戦前無かった国であるにもかかわらず、この協定は補償協定のみならず国家賠償の正確を持ち合わせていたためです。同様に、日本の韓国への経済協力金も事実上の「賠償金」としての性格を持ち合わせているのでしょう。韓国人・日本人ともに賠償・補償の使い方がしっかり区別できていないのは、そのとおりだと思います。

2、戦後補償(=個人補償)について 

「個人補償は国籍を問わずに個人に補償するものです」とのくだり、まさにここを理解していない人が多いですね。次回(其の六)で書く予定ですが、日本政府は(軍人以外の)日本人に対する個人補償も非常に冷淡な部分があります(ドイツと比較して)。詳しくは「其の六」を読んで下さい(3月23日現在まだ書いていません)。

3、準賠償について

これは、あいまいなものですね。しかし「謝罪」と「賠償」はまた別物であり、それをリンクさせようとするから、問題が生じるのだと思います。「謝罪」編もまだ書いていないのですが、その際に触れようと思います。

4、経済協力金について

主に日韓基本条約について述べておられますが、僕の感想は少し異なります。この前の文書公開にて、日本側が個人補償を打診したにもかかわらず、韓国側が国家賠償を求めたという経緯が明らかになっています。日本が「経済協力金」を強弁したのは、「国家賠償」を支払う必要が無い、というスタンスのためであり、「個人補償」をしたくないわけではなかったのかな、と僕自身勝手に推測しています。したがって、この形式に関してはやはり、「国としてお金を受け取りたかった」韓国政府の責任だと思わざるを得ません。もちろん、「個人への補償と謝罪」を強調すべきだった、という藤原さんのご意見には僕も同意します。また、両国の秘密主義が、両国民の間にいろいろな誤解・しこりを生んだことも間違いないでしょうね。

「理屈・法理」と「気持ち」が一致しないことはままあります。藤原さんの最後に述べておられる≪外交は「金」でするものではなく、「口」でするものです≫とのくだりは、まさに僕の感性に響いてきます。だからこそ、僕はこのシリーズの一番最初に、「謝罪・賠償は行う必要は無いが、戦前の継承国家として責任を感じるべきだ」と書いたわけです。もちろんその感情を態度で示さなければいけない。しかし、このあたりはそれこそ「理屈・法理」とは関係ないことなので、難しいことです。最大の日本側の問題は、議員・閣僚の見解があまりにばらばらだからでしょう。「作る会」の教科書に関しても、政府の公式見解とずれている部分があり、それにもかかわらず中枢部にいる与党議員がバックアップしたりする。この矛盾だらけの姿勢が、相手により不信感をもたらす一因だと感じます。このあたりのことは、「謝罪」編で詳しく書く予定です。


>摂津守さんへ

藤原さんもおっしゃっている通り、鋭い質問ばかりですね。以下、僕の個人的意見としてお聞きください。

①「戦争責任」の定義

「戦争責任」の定義が、第一次世界大戦後と第二次世界大戦後でどう変化したのか、僕には分かりません。もっとも「戦争責任」に明確な(文で規定された)定義があるわけではないと思います。藤原さんへの回答にも書いたように、前の2回の大戦においては、「国家間の戦争責任については、敗戦国が全面的にそれを担う」という不文律に従っているのかもしれません。もっとも国家と個人にまで「戦争責任」の定義を広げると、戦勝国戦敗国とは関係ないと思います。第二次世界大戦後こういった拡大解釈が広く適用されつつあり、アメリカ政府による日系人強制収容に対する「謝罪と補償」が行われたことなど、よい例かもしれません。

②「侵略国」の定義

藤原さんと同様、この言葉自体が誤訳だと思われます。少し歴史事実を時系列に従って書いてみます。

1907年、ヘーグ条約にて「開戦に関する条約」が成立。これにより、明瞭かつ事前の通告を行わずに戦争を開始してはならないことになる。
≪注釈:従って、日清戦争・日露戦争において宣戦布告前に日本軍が攻撃したことは、1907年以前であるため問題にならない。逆に日華事変(いわゆる日中戦争)・真珠湾攻撃の場合は問題になる。≫

1928年、パリにて「不戦条約」が締結。"War"は、"Defensive War"と"Offensive War"とに分類されるが、そのうちの後者がこの条約にて違法とされた。
≪注釈:"Defensive War"は「防衛(自衛)戦争」と訳されている。"Offensive War"は「攻撃戦争」であり、英語では別名"Aggressive War"と呼ばれている。これを「侵略戦争」と一般に訳されているのだが、日本語の「侵略」と英語の"Aggressive"は明らかに意味が異なる。従って本来ならば「侵攻戦争」とでも訳すべきである。≫

第二次世界大戦後、ニュルンベルグ裁判・東京裁判によって、日本ドイツ両国の戦争行為が「侵攻戦争」と判断。その戦争開始責任が上述の「a) 平和に対する罪」で裁かれる。

1974年、「侵攻」の定義に関する決議が国連で行われ、明確にその定義が示される。さらに第5条にて「侵攻戦争は国際の平和に対する罪」と認定される。

このように見ると、日中戦争・第二次世界大戦当時は、まさに「侵攻戦争」に対する認識の変化の過渡期にあったと思われます。事実、パリ不戦条約にて「侵攻戦争」の違法化を図ったにもかかわらず、アメリカ・イギリスから留保を付けられます。特にイギリスは、「自国の平和と安全のために特別かつ死活的な利益を構成する諸地域」について自衛権は認められる、との見解を出しています。植民地に関しては言うまでもなく自衛権が認められる、としています。

これを日本に当てはめると、日韓併合に関してはヘーグ条約以前ですらあったので、「侵攻」も何も関係ないと思われます。日中戦争(日華事変)に関しては、難しいところです。まず、それ以前の満州事変を抜きにしては語ることはできません。日本側からするとイギリスの場合と同様に、満鉄の権益を守るための自衛による紛争だと言えるかもしれませんが、満州国建国まで持っていったのは、いくらなんでもやりすぎだと思われます。しかも、宣戦布告をせずどんどん攻撃が拡大しているため、ヘーグ条約にすら違反している可能性があります。

さらに、満州国そのものが国際連盟に承認されず、リットン報告書が出されています。当時国際連盟はアメリカも参加しておらず、非常に弱い組織であったのは間違いないことですが、それでもそれなりの拘束力があり、だからこそその報告書に反発した日本が脱退することになります。こう考えると、厳密な言葉の定義に従うと「侵攻」かどうか分からないが、その実際の状況はかなり「侵攻」に近いものだと思います。しかも日華事変の時も、宣戦布告せずにどんどん攻撃が拡大しているし。太平洋戦争に関しては、「侵攻」云々する以前に、宣戦布告すら満足にできていなかったので、どうしようもないです。

今現在振り返ってみると、リットン報告に従って、「満州に対する中華民国の主権を認める一方で、日本の満州における特殊権益を確保」しておけば、敗戦の憂き目を見なかったのに、と個人的に考えています。しかし、まあ現在の民主主義を我々が謳歌できるのも、敗戦があったからこそだとも思うので、これでよかったんかな、とも思います。

③a項、c項と戦争犯罪について

戦争犯罪のa項c項は、純粋にドイツ・日本を裁くための事後法であり、それ以外に適用された例は(ローマ条約以前には)ないと思われます。ただ現在の国際認識においては、「人道に対する罪」に関しては「法の不遡及」が例外的に認められ、また時効も存在しない、というのが主流になりつつあります(ボスニア紛争などから)。あと、藤原さんのコメントに対して少し異議を申し上げると、ドイツも「a) 平和に対する罪」で21人が有罪判決を受けていると思います(違ってたら御免なさい)。

④原爆投下について

本来の東京裁判の趣旨からすると、「原爆投下」は「b) 通例の戦争犯罪」もしくは「c) 人道に対する罪」に相当すると思います。しかし実際の東京裁判は「敗戦国の罪を問う」裁判であったため、どうしようもありませんね。その意味で、藤原さんのおっしゃる「連合国の都合で免罪になった戦争犯罪」というのは、非常に的を得た御発言だと思います。

⑤謝罪について

「謝罪」については僕自身まだエントリに挙げていないのですが、国際法とは一切関係の無いことだと思います。「謝罪する意義」としては、まさに外交・国益のためのパフォーマンスだと考えています。従って不必要な謝罪はする必要が無く、そのような時に「遺憾」という言葉が外交上使われるのだと思われます。また、「反省」に関しては「謝罪」とは明確に異なり、「過去の不幸な事実に対して明確に責任を感じる」といったものでしょうか。

また、藤原さんの仰る「謝罪=責任認める=何らかの義務発生」という表現も、なかなか本質を突いているかもしれません。「責任を認める」ことに関しては、「一度すればよい」ことであり、従って「一度何らかの義務(補償など)を行えばよい」ことだと考えています。しかし、いったん責任を認めれば、それを否定するようなことを一切言及すべきではなく、そのような首尾一貫した姿勢が「反省」につながるのだと思います。この「責任の否定」が一度でもなされると、再度「謝罪」からやり直さなければなりません。このあたりのことを分かっていない政治家が、(保守派革新派問わず)多いのではないか、と思います。

もう一つ難しい問題は、「国家に対する謝罪」と「国民に対する謝罪」です。「国家に対する謝罪」は基本的に戦争行為に基づくものであり、一度謝罪すれば「責任を回避しない限り」十分だと思われます。しかし、「国民に対する謝罪」は、本来、それぞれの異なった行為(強制労働・生体実験・虐待など)に対して、それぞれ行われなければならないものだと考えます。もっとも「国民に対する謝罪」の結果発生する「何らかの義務」に関して、もし国家間で「国民に関する取り決め」が別途あれば、そちらで「解決済み」ということになります。

この「謝罪」に関しては、また後のエントリで詳しく論じるつもりです。


僕がこのシリーズを終了するまで、しばらくこの場所を議論の場とするつもりなので、ご意見のある方は、それぞれコメントをお書きください。また、かなり深く難しいテーマなので、僕に対してだけコメントを書くのではなく、お互いに勝手に議論しあっても結構です。ではどうぞ遠慮なく。

御返事お待ちください

2005年03月21日 | その他日々雑談
連休中にもかかわらず出張中で、今ホテルから投稿しています。皆さんからいろいろなコメントを頂いているようで、大変ありがたいのですが、もう少し御返事お待ちください。火曜日の夜には家に帰りますので、その時にまとめて御返事する予定です(一部水曜日になったら御免なさい)。それにしても、僕のブログは、皆様の様々なご意見のコメントによって成り立っているようなものなので、本当にありがたいと思っております。前々から機会を見て感謝の気持ちを述べたいと思っておりましたので、この場を借りて深く御礼申し上げます。今後も無理のないペースで進めていきたいと思っておりますので、何卒よろしくお願いいたします。

"Ally McBeal" 面白かったお話 その3

2005年03月19日 | 趣味・仕事など
アリーの面白話、最終編です。今回はSeason 4について書き出してみますが、Final SeasonであるSeason 5は全然面白くなかったので、ここでは省略します。

1) AllyがLarryと事務所で出会うシーン
2) Larryの息子がDetroitからBostonに突然やってきたシーン
3) Larryの息子の母親がLarryとよりを戻そうとしたシーン
4) Larryが息子のために、Detroitへ戻ってしまったシーン
5) JohnがMelanieと結ばれるシーン
6) MelanieがJohnから訳のわからない理由で去ってしまうシーン
7) Nelleがセックスのうまいメキシコダンサーに溺れるシーン
8) チャリティでNelleを競り落した男性が、実は終身刑の医師だったシーン
9) 同じチャリティで、Lingにすさまじい値段がついたシーン
10) またまた同じシーンで、Richardがゲイに競り落されたシーン
11) 事務所にJacksonが始めて現れたシーン
12) Allyが寝室でリモコンと間違って、Jacksonの「むすこ」を握ってしまったシーン
13) JacksonとLarryが裸で競い合ってるシーン
14) Stingが出てきたシーン
15) LarryとStingがデュエットするシーン
16) Larryの元奥さんがLarryの鼻にクリームつけて遊んでるのを、Allyが見つけて、クリームを頭からぶっ掛けたシーン
17) Larryがメモだけ残して、Allyの前から去って行ったシーン

Season 4は、ストーリー的にもっとも面白かったです。特にLarry演じるRobert Downey Jr.は最高です。早くドラッグ中毒から立ち直って欲しいものです。Mellanie演じるAnne Heche、Larryの息子の母親演じるFamke Janssenも個人的に大好きです。Famke Janssenの外見は、僕のストライクゾーンど真ん中です。

最後に、なんといってもStingの登場でしょう。StingのことはPolice時代から大好きだったので、ドラマながら感激してしまいました。最後のRobert Downey Jr.とStingのDuetも最高だったし。またAllyのようなはまれるドラマに出会いたいものです。見たことない人は、ぜひとも一度御覧下さい。

日本とドイツの戦後(謝罪と賠償) 其の五

2005年03月17日 | メインのお話
前回の「日本における賠償・補償問題」の続きです。今回は、「中国との補償問題」「近隣諸国との領土問題」について、お話しようと思います。(前回のお話はこちら

(4) 日本における賠償・補償問題

≪中華人民共和国との補償問題≫

この問題のそもそもの発端は、中国が戦後、中華人民共和国と中華民国(台湾)に分裂したことだと思われます。このため、両政府ともサンフランシスコ平和(講和)条約を締結しませんでした。日本政府は当初、中華民国(台湾)を正当中国政府と認め、同年、日華平和条約を締結しました。この条約により、中華民国(台湾)との間の請求権問題は解決されました。

一方、中華人民共和国(中国)とは1972年の日中共同声明にて、中国側の賠償請求権の放棄が確認されました。この共同声明により、日本政府は正式に、中国の正当継承国家を中華人民共和国と認め、台湾とは国交断絶することになりました。

問題は、この日中共同声明にて明確に放棄されたのは、国家賠償請求権のみであり、国民の個人請求権に関しては何の言及もない、ということです。サンフランシスコ平和条約第14条では、「連合国は、連合国のすべての賠償請求権、戦争の遂行中に日本国及びその国民がとった行動から生じた連合国及びその国民の他の請求権並びに占領の直接軍事費に関する連合国の請求権を放棄する。」と規定されており、連合国及びその国民の請求権の放棄が謳われています。

同様の条項は、日ソ共同宣言・日韓基本条約など、その後の二国間条約でも認められますが、日中共同声明では、「中華人民共和国政府は、日中両国民の友好のために、日本国に対する戦争賠償の請求を放棄することを宣言する」と述べられているに過ぎず、個人の請求権の明確な放棄が盛り込まれていません。最近、中国人による戦後補償請求裁判が頻発しているのは、このためだと考えられます。

従って、日中両政府は、すみやかに個人の補償請求権に関する取り決めを行わなければいけない、と思います。また、「其の壱」でも書きましたが、中国政府自身、日本からの多額のODA援助を「事実上の賠償」と考えているようなので、このODAでもって補償請求権と相殺できるか、についても話し合わなければいけないでしょう。ただし、この補償請求権に関する取り決めについては、留意せねばならない事項が存在します。

一つ目の留意事項として、「サンフランシスコ平和条約第26条」が挙げられます。「其の四」でも書きましたが、第26条において、「日本がこの条約で定めるよりも大きな利益を与える協定を他の国と結んだときは、同一の利益をこの条約の当事国にも与えなければならない」という規定が存在します。もし日本が中国に対し新たな補償条約を締結して多額の補償金を支払った場合、この第26条により、アメリカを初めとする他の連合国も、日本に対して新たな補償条約の締結を要求することができます。このような事態は、日本にとってはまさに悪夢でしょう。

かつて、この第26条の行使が問題になりかけたことがあります。1956年の日ソ共同宣言に至る交渉過程で、日本政府は一時期、「二島返還論でやむなし」と考えたようです。しかしこの時、アメリカ側から、「もし日本が二島返還論で決着させるのなら、アメリカは平和条約第26条を行使して沖縄を返還しない」と牽制されます。事実、択捉島・国後島の総面積は沖縄本島より広いので、アメリカの牽制もそれなりの根拠があったようです。この領土問題については、後にもう少し詳しく述べます。

もう一つの留意事項が、「日本国民の財産請求権問題」です。サンフランシスコ条約やその後の2国間条約において、日本国民の財産請求権は国家の請求権と同様放棄されています(中には異論をつける人もいるようですが、ここでは分かりにくくなるので触れません)。しかし日中共同声明においては、中国国民の請求権が失われていないのと同様に、日本国民の請求権も失われていません。このことが意味するのは、「満州に資産を持っていた個人は、その財産を中国政府に請求できる」ということです。まさに、「其の参」で話したような「ドイツ強制移住者の財産請求権問題」の日本版です。

これらの留意事項を踏まえた上で、日中両政府間で綿密な話し合いが必要だと思われます。現在日本政府の行っている戦後処理事業の一例として、中国における「遺棄化学兵器処理事業」などが挙げられます。この事業金は被害者に分配されているにもかかわらず、「これは補償金ではない」として、被害者団体の集団提訴が予定されています。このようなあいまいな解決法は、日中両国にとって何のメリットももたらさないし、両国民の感情を逆撫でするだけだと思われます。すなわち、中国側からは「補償も謝罪もなく誠意がない」と不満が出るし、日本側からは「金銭的に支援しているのに、あとどれだけ支払わなければいけないのか」といった感情です。結局、「包括的でかつ最終的な補償協定の締結」が必要不可欠であり、これなくしてはいつまでも日中間の戦後問題は解決しないと思われます。

≪近隣諸国との領土問題≫

諸外国との戦後問題において、領土問題もまた大きなウェイトを占めています。この領土問題は、ドイツにおいては完全に解決しているために、日本の問題が相対的に大きく浮かび上がっています。皆さんもよくご存知のように、ロシアとは北方領土問題、中国とは尖閣諸島問題、韓国とは竹島問題を抱えています。

上でも述べたように、北方領土問題においてはアメリカの思惑も手伝って、日ソ共同宣言の中で択捉島・国後島について一切言及されませんでした。ソビエト側からすると、「宣言の中に言及されていないことは問題にすらならない」と言えますし、日本側からすると、「宣言の中に言及されていないことは問題を棚上げしただけだ」と言えます。もっとも、1993年の東京宣言において、択捉島・国後島も含めて問題認識されたので、以下に述べる竹島問題と比較すると、まだましなのかもしれません。

この先送り解決法(?)が悪しき前例となり、尖閣諸島問題・竹島問題も棚上げにされます。今話題になっている竹島問題ですが、その領有権に関しては、他のサイトなどで詳しく解説されているので、ここでは改めて述べません(「竹島問題の基礎知識」参照)。私が問題とするのは、日韓基本条約の中で、竹島・独島の名前すら出てこないことです。唯一竹島問題に関連する条項は、「この協定の解釈及び実施に関する両締約国の紛争は、まず、外交上の経路を通じて解決するものとする」の部分だけだと思われます(間違っていたら御指摘ください)。

従って、かつてのソビエトのように、韓国側からすると「独島(竹島)は言及さえされておらず、紛争事項でないから問題にすらならない」と言い訳できるわけです。国際司法裁判で決着をつけるのがもっとも良い方法だと思われますが、約50年前に日本政府が韓国政府に提案して一蹴されて以来、日本政府が同様の提案を韓国政府に行ったという話は、聞こえてきません。私には詳しい経緯は分かりかねますが、基本条約の中で竹島問題を明確にしなかったことは、予想以上に大きなダメージなのもしれません。

一方、領土問題を解決させたドイツ(西ドイツ)は、どうだったのでしょうか?「其の弐」でも少し述べましたが、西ドイツ政府は「実効支配地域=領土」というスタンスをとりました。そのため、フランス・ポーランド・チェコに、「固有の領土」も含め大幅な領土割譲を強いられました。こういった前例があるため、韓国のノ・ムヒョン大統領は、「領土問題に関しても日本はドイツの解決法を参考にして欲しい」と思っているのかもしれません。

領土問題に関しては、私個人としてはどうすればよいのか分かりません。日本国・相手国ともに国際司法裁判で決着をつけるのが、もちろんベストな方法でしょうけれど、どちらかがこの解決法を拒否した時点で終わりです。従って、何度も粘り強く交渉するしか他なく、原則論だけにこだわらず、「領土を割譲する場合にはどういった利益を享受できるのか」も含めて、現実的な話し合いをする必要があるのかもしれません。

今日のお話はここまでです。次回は「日本国内における補償問題」についてお話しする予定です。

追記(Mar. 18th):
日本政府の公式見解としては、日中間の請求権問題は、1952年の日華平和条約にて解決済みとしているようです。この見解についての私の意見を含めた議論については、コメント欄をお読みください。

なんだかなあ。(竹島・日の丸・君が代)

2005年03月17日 | その他日々雑談
「竹島の日」制定で、韓国ではえらいことになってますね。あいかわらずやってんなあ、というあきらめに似た気持ちです。ただ、頼むから「日の丸」は燃やすな。非常に気分が悪い。別にカッターで指を切ろうと、焼身自殺しようと、はたまた小泉人形を焼こうと全く構わないが、人様の国歌国旗を侮辱するのは、戦争中以外はやめてくれ(ちなみに僕はリベラル派ですよ)。竹島の領有権に関しては、もういろんなところで説明し尽くされているので、僕の書くことは何もないです。ただちょっと違う観点から説明を加えてみましたので、今書いている「謝罪と賠償」シリーズの「其の五」を読んでみて下さい。

今日発表された韓国の対日新ドクトリンは、まあ「謝罪と賠償」路線で今後も行きますよ、という発表ですね。この前の3.1独立宣言記念日のノ・ムヒョン大統領発言を基に、竹島問題が絡んでさらに強硬な態度になっています。それにしても、竹島の領有権は日本も昔から言っているわけで、今回特に「過去の過去の植民地侵奪と同じ」と発表するのは、全くもっておかしい。政府がマスコミに煽られているとしか思えない(産経の記事参照)。未熟な民主主義が衆愚政治と化す良い例かもしれない。まあ、今回の日本政府の冷静な対応は、僕は評価しています。こちらはこちらで淡々とやればいいのです。

あと、「謝罪と賠償」シリーズにも書きましたが、日本側は韓国に対して、「賠償・補償」に関してはすべて解決済みです。中国と韓国がよくいっしょに語られますが、まったく状況は違います。もし日本側が今後金銭的に出すとすれば、それはあくまで「善意の基金」であることをよく理解してもらいたいです。もっとも、「日本は反省していない」と言われる原因は一部あると考えているので、そのことは「謝罪と賠償」シリーズの「謝罪」編に書くつもりです。

「日の丸」が出てきたついでに、国旗国歌に対する僕のちょっとした個人的感想を。僕は「日の丸」が大好きです。とにかくあのシンプルなデザインといい、大きすぎず小さすぎない赤い丸のすわりのよさ。ただし、旧日本軍や自衛隊で使っている「自衛艦旗」(赤い丸から赤線がいっぱい出ているやつ)は好きじゃないです。はっきり言って、センスが悪い。自衛隊の人、ごめんなさい。でもこれが僕の感性です。もうちょっとすっきりした旗はなかったんかいな。

国歌に関しては、「生い立ち」でも書いたように、何の抵抗感もありません。ただ特に好きというわけでもないです。なぜか?あんまり格好よくないから。まあ、日本の神秘性をかもし出している旋律なので、これはこれでいいのかな、とも思いますが。僕の一番好きな国歌は、ロシア(旧ソ連)のものです。とにかく雄大な曲で格好いい。それに元気も闘志も湧いてくる。

僕の国旗国歌に対する感情はこんな感じなんですが、僕はやっぱり、学校ではちゃんと国旗に対し脱帽して敬意を表し、国歌を歌ったほうがいいと思う。その方が明らかにきりっとしているし、見てても気持ちいいと思うんだけど。自分の国歌国旗に敬意を払えない人は、他国のものにも敬意を払えないと思う。そうしたら、当然相手を侮辱することになるだろうし。

もちろん、僕はリベラル派なので、東京都のように強制するのは嫌いです。自発的にできるのに越したことはないですから。でもあからさまに生徒に対して先生が国旗国歌を悪く言うのも、ちょっとした洗脳でめちゃめちゃ変でしょう。こういった先生に対して教育委員会側が指導するのは、現時点ではしょうがないことでしょうね。

好きなこと書いていたら、無茶苦茶な文章になってますね。まあ、たまにはこんな感想文も許してください。

日本とドイツの戦後(謝罪と賠償) 其の四

2005年03月14日 | メインのお話
前回、ドイツにおける賠償・補償問題を書きました。今回から2回(ひょっとしたら3回)に分けて、ドイツの場合と比較しながら、日本における問題点を話していこうと思います。(前回のお話はこちら

(4) 日本における賠償・補償問題

≪日米両国における補償請求裁判の問題≫

日本においても、ドイツとは異なった類の問題が、いくつか見受けられます。まずは、ドイツに大きな困惑をもたらした、1999年米国カリフォルニア州で公布された州法に基づいた集団訴訟について、述べたいと思います。

ドイツ同様、この訴訟では多くの日本企業・日本政府が標的にされました。原告としては、連合国元捕虜、強制連行被害者、従軍慰安婦などなどです。結論から先に申し上げますと、ほぼすべての訴訟において、原告の申し立ては却下されたようです。まず連合国元捕虜の場合は、サンフランシスコ平和条約第14条において賠償請求権が放棄されたとして、合衆国連邦裁判所は解決済みとの姿勢を明確にしました。

このとき原告側は、オランダの例(サンフランシスコ講和条約後に、日本政府はオランダ人元抑留者に対して個人補償を行った)を挙げて、サンフランシスコ講和条約では個人請求権は失われていない、との立場をとりました。しかし裁判所側は、こういった個人補償は二国間で話し合われるものであり、(連合国元捕虜に)個人請求権はない、としました。

さらに原告側は、平和条約第26条の「日本がこの条約で定めるよりも大きな利益を与える協定を他の国と結んだときは、同一の利益をこの条約の当事国にも与えなければならない」という規定を根拠に、「日本はその後、他の6ヶ国と結んだ協定で賠償請求権を認める好条件を与えたから、連合国国民も請求できる」と主張しました。これに対しても裁判所側は、「第26条の適用請求を決定するのは条約の当事者である米政府であって、原告個人ではない」と指摘しました。

このように見ると、連合国元捕虜に関しては、日本側は何の心配もする必要がないように思えますが、将来相手政府が平和条約第26条を持ち出して適用請求を決定すると、さらに莫大な賠償・補償金が発生しかねないことを、考慮に入れておかねばならないでしょう。このことは、後で話す中国との交渉にも影響すると思われます。

その他のアジア諸国の強制連行被害者・従軍慰安婦などに関して、連邦裁判所側は、日本政府は各国の政府とそれぞれ二国間条約を締結しており、その中で賠償請求権問題は解決済み、としました。これら一連の裁判においては、ドイツ政府と対照的に、日本政府が平和条約・二国間条約などで賠償請求権問題を解決してきたため、さらなる追加金を出さずに済んだようです。ただし、今回の強制連行訴訟などに関して、日本とドイツの(見かけの)対応の違いを比較されるのは如何ともし難く、日本企業のドイツ企業に対する相対的なイメージダウンは避けられないようです。

私個人の意見としては、(東欧諸国における)強制連行労働に関しては、法的にはドイツもすでに解決済みであったようで思われます。だからこそ、「補償」ではなく「基金」という形をとったのでしょう。このことは、日本における「アジア女性基金」の設立にも通じるものがあると思われます。ドイツ企業側からすると、「其の参」でも書きましたが、「一種の宣伝をかねた慈善事業」といったニュアンスがあったのではないでしょうか?これは長期的に考えた時、とても優れた企業戦略だと思われます。日本企業側が裁判に勝った現在、どのようにイメージアップしていくのか、問われているのかもしれません。

ちなみに、同じような種類の訴訟(特に強制連行・強制労働訴訟)は、日本においても頻発しています。被告は日本政府と企業ですが、大雑把に言って、企業側は「強制連行・強制労働は国の政策だった」ことを理由に責任を回避し、政府側は事実関係に関しては議論を避け、もっぱら「時効」「国家無答責の法理」を理由に「未払い賃金」「補償」「慰謝料」の支払いを拒否しています。現在までのところ、最高裁まで行ったケースに関しては、政府側の言い分がほぼ100%認められています。(注:国家無答責の法理とは、大日本帝国憲法のもと、「官吏は天皇に対してのみ責任を負い、公権力の行使に当たる行為によって市民に損害を加えても、国家は損害賠償責任を負わない」というものです。)

もっともイメージ戦略を見据えて、裁判の途中で原告側に和解金を支払う企業もあります(新日鉄・日本冶金工業など)。国際的な企業イメージを考えると、このような例は今後も増えていくと思われます。次回は、最大の問題点である中国との補償問題について書こうと思います。

さて、ここでちょうどいい機会なので、「強制連行」「従軍慰安婦」問題に関する私のスタンスを述べさせていただきます。ちなみに両問題とも日本政府としてはあいまいにしているものの、その存在と政府の(間接的かもしれない)関与に関しては、一応肯定しています。

「強制連行」に関しては、朝鮮半島・台湾の例と中国の例と、明確に分ける必要があると思っています。朝鮮半島・台湾に関しては、「徴用」が純粋な意味での「強制連行」だと思われます。もっとも、当時朝鮮半島・台湾出身者は「日本人」であり、徴兵徴用は日本人としての義務でした。次に、「徴用」以前にあった「官斡旋」についてですが、これは微妙な問題で、建前上「強制」ではないが末端の官吏によって「強制」された人もいたんだろう、との印象です。この強制性を総督府首脳部が認識していたのかどうかについては、よく分かりません。また、後述する「従軍慰安婦」問題と同様、管理責任もあるのかもしれません。それ以前の「募集」に関しては、強制性はほとんどなかっただろうと思っています。実際「募集」によって予定の人員が集まらなかったようです。このように見ると、以前にも書いた「創氏改名」における強制性と似たような議論かもしれません。(「通名と本名 其の壱(創氏改名編)」参照)

現在の裁判でも争点の一つになっているのが、強制労働中の賃金の未払い問題です。当時強制貯金というものがありましたが、戦後この強制貯金が支払われないままになっている人が多くいます。また次回以降にも書きますが、賃金の未払い問題は強制労働だけに発生しているものではなく、朝鮮半島出身者の軍人軍属に対しても、(旧日本軍の)賃金の未払い問題が生じています。もっとも韓国に対しては日韓基本条約で解決済みであり、北朝鮮に関しては今後の展開が待たれます。また、台湾出身者に関しては、台湾との間に請求権協定がなかったため、1994年に村山内閣が未払い賃金の支払いを済ませています。

中国人に対する「強制連行」に関しては、2003年に外務省が「華人労務者事業場別就労調査報告書」を公表したことから、戦争中に実在したようです。この公表以前には、日本政府は基本的にその存在を確認できないと否定してきたため、訴訟の原告側からは反発を受けているようです。実際日本政府は戦前戦中の文書公開に非常に消極的であり、このことが戦後責任問題をさらにややこしくしているような印象を受けます。

私の印象としては、特に中国人に対する「強制連行労働」に関しては、ナチスドイツの東欧におけるものとよく似ているようです。その他連合国捕虜に関しては、内地への強制連行があったのかどうかについては私は知りませんが、現地での過酷な労働は存在したようで、日米ともに裁判において、連合国元捕虜が証言しています。

次に「従軍慰安婦」問題ですが、こちらは上述の「強制連行・強制労働」以上に紛糾しているようです。まずはその呼称自体を問題視する方もいるようですが、1938年に陸軍が「軍慰安所従業婦など募集に関する件」についての通達を行っていることから、呼称に関して問題があるとは考えていません。最大の問題点は軍に強制性があったかどうかですが、私は今のところ、軍そのものに強制性があったと結論付ける証拠はない、と考えています。

そう考える主な理由としては、元従軍慰安婦の証言を参考にすると、たとえ強制があっても、それはただ単に、悪質な斡旋業者による強制のように思われるからです。問題は、軍による監督・管理がしっかり行き渡っていたか、ということかもしれません。公開文書によると、ある程度悪質な業者を取り締まっていたようですが、軍による管理がもっと徹底されていたのならば、現在のような問題はあまり起きなかったのではないか、とも思えます。結局この問題に関しても、戦前戦中文書の全公開が待たれます。その結果軍による強制性がなければ、胸を張って「軍に強制性はなかった」と主張できると思います。

今日のお話はここまでです。それではまた次回ということで。

北朝鮮の提出した遺骨鑑定の真偽

2005年03月13日 | その他日々雑談
少し前から話題になっているようですが、北朝鮮の提出した遺骨鑑定に関して、帝京大学の吉井講師が「自分は偽物と断定していない」と"Nature"のインタビューに答えたそうです。この"Nature"の記事に対して、細田官房長官が「この記事はウソだ」と言い、今度は逆に、この記事を書いたDavid Cyranoski記者が「捏造なんてするわけがない。私は科学的なことに興味があるだけだ」と答えています。保守派・革新派の方々も、それぞれのブログで意見を公表されています。

DNA is burning issue as Japan and Korea clash over kidnaps(Natureの原文記事)
北朝鮮遺骨問題第2ラウンド(とりあえず)
遺骨問題・・・おそれていた事態(インターネット民主主義実験室)
【オペレーション】「北朝鮮の提出した遺骨は捏造」という鑑定結果は捏造(mumurブログ)

以前も書きましたが、僕はあまり時事問題に口出しする気はないし、職業も伏せておきたかったのですが、この"Nature"の記事が日本北朝鮮ともに政治利用されそうなので、あえて僕の意見を書きます。

まず僕の専門職上、帝京大学がどのような方法論をとったか、完璧に理解できますし、僕自身同様のことを行うことができます。上のNature記事を読んだところ、非常に真っ当な記事との印象です。この記者さんも反論しているように、この記事からはなんの政治的匂いもしてきません。サイエンスに携わったことのある人なら分かると思いますが、この"Nature"という雑誌は、それこそそこらへんの雑誌とは全く格が違うし、政治的なものからは完全に独立しています。サイエンスの分野では、もっとも信頼性の高い雑誌の一つです。

まず帝京大学の方法論ですが、非常に感度が高いかわりに、他人の汗や指脂由来のDNAなどにも反応してしまう欠点があります。すなわち、日本側に渡される前に北朝鮮の人などがこの遺骨に触れていれば、当然その人のDNAにも反応してしまうわけです。しかもこの可能性は非常に高いと思われます。すなわち、高温にさらされた後、破壊に耐えた遺骨のDNAと、これら外来由来の何の処理もされていないDNAの量比によって、この実験の成功の可否が決まるわけです。

このような実験の性質上、「横田めぐみさんのDNAが検出された」場合には、「この遺骨の中に横田めぐみさんのものが含まれる」と断定できるわけですが、今回のように「横田めぐみさんのDNAが検出されない」場合には、「この遺骨の中に横田めぐみさんのものが含まれない」とは断定できないわけです。また他の人のDNAが検出されたのは、上で述べたように、他人の汗や指脂由来のDNAが検出されたと考えるのが一般的ではないかと考えられます。このようなことが記事の中でも、簡単に説明されています。

また、もうひとつの問題点として、追試がうまくいっていないことが挙げられます。サイエンスの分野では、追試可能であることが絶対条件なのですが、残念ながら帝京大学自身、またその他の大学グループもうまく行っていないようです。こういったことから、学問的にはまだまだ信用性がうすいと言われても、至極真っ当な意見だと思います。このようなことから、日本政府もまだ経済制裁に踏み切らないのかな、と勘ぐったりしていますが。

ちなみに、僕の北朝鮮に対する姿勢は、「コリア系日本人からの視点」に書いています。今回は例外的に、微妙な時事問題に、政治的な視点からではなく、専門家の一人として口出しさせてもらいました。

トックのレシピ

2005年03月11日 | 趣味・仕事など
重たい話が続いたので、久々に男のクッキングのお時間です。在日コリアンやコリア系日本人のブログを見て、「トック」なる食べ物が話に出てきて、「一体何だろう?」と不思議に思っていらっしゃる方も多いと思います。「お正月にトックを食べるかどうか?」ということが、コリア系・在日コリアンと大和系の最大の違いかもしれません。

トックとは韓国のお餅の一種で、お雑煮にして(正月に)食べます。もっとも我が家では、正月以外にも食べています。形は小さ目の小判型をしています。トックの他に、トッポギという棒状のお餅もありますが、こちらは主に炒め物に使います。

両方とも日本のお餅と異なって、もち米でなく普通の米から作られているため、ほとんど伸びません。ということで、一般の日本人の方には(餅として食べると)違和感があるかもしれません。僕の妻も、「おいしいけれど、これは餅じゃない」と言ってます。ちなみにトックは、コリアンスーパーマーケットやインターネットで手に入れることができます。また、冷凍しておけるのでとても便利です。

前振りはこれくらいにして、レシピを書いていきます。準備するものは、トックの他は「鳥重のレシピ(訂正版)」に書いたものとほとんど同じです。トックは、スープに入れる前に食べる分だけ取り出し、5分から10分水に浸しておきます。

スープは手抜きして、鶏がらスープのもとで作ります。やることは、ただ単にマニュアルに従ってお湯に鶏がらスープのもとを溶かすだけです。鶏がらスープ500ccにつき、薄口醤油を小さじ1杯だけ入れます。そこに、薄く切ったしいたけ、薄く輪切りした白ネギ、「鳥重のレシピ(訂正版)」に従って煮詰めて作った地鶏を入れ、しばらく弱火で煮込みます。地鶏とスープが一体の味になれば、終了です。

この地鶏スープを食べる分だけ別の鍋に取り、水で浸しておいたトックを入れます。1-2分簡単に煮て、トックが柔らかくなれば出来上がりです。あとはお椀にすくい、かまぼこ・白菜キムチ・素卵・三つ葉・刻みのりを盛り付けるだけです。お好みでヤンニンジャンを加えると、もっと美味しくいただけます。では、Bon appetit!!

日本とドイツの戦後(謝罪と賠償) 其の参

2005年03月10日 | メインのお話
「其の壱」「其の弐」で、日本ドイツ両国の戦後賠償・補償方法を書いてきました。それを踏まえて、両国それぞれにおける問題点を考えてみたいと思います。まずは、ドイツにおける問題点を述べたいと思います。(前回のお話はこちら

(3) ドイツにおける賠償・補償問題

ドイツにおけるほぼすべての問題点は、やはり(日本におけるサンフランシスコ条約のような)講和条約・平和条約を締結していないことから始まると思われます。ドイツ政府は1990年の「2プラス4条約」にて「賠償請求権問題は解決済み」との姿勢ですが、西側諸国の間ではうやむやの状態になっているようです。実際ギリシャやオランダなどからは、「抑留者問題・虐殺事件に関する請求権は失われていない」として、ドイツ政府に補償を求める声が出ているようです。もっともこれら西側諸国も、ドイツとの間の深刻な外交問題に発展するのを嫌っており、水面下の交渉が続けられています。

この講和条約の欠如は、「其の弐」で書いた「c) 民間企業による強制労働者に対する補償」にも影響します。以前にも述べたように、1999年米国カリフォルニア州で公布された州法に基づいて、元強制労働者を中心に集団訴訟・一括訴訟が行われ、またドイツ企業に対する大規模な不買運動が起こります。さらに、原告団の中に相当数の(アメリカ兵を含む)連合国兵捕虜がいたことから、米議会・世論が大きな関心を持つようになります。

事態を重く見たドイツ政府と企業は、補償基金を設立する代わりに、ドイツ企業がアメリカで二度と訴えられない「法的安定性」を得られるよう、アメリカ政府に仲介を求めました。これを受けてアメリカ政府側も、「裁判でなく補償基金を唯一の救済策とすることが米国の国益になる。訴訟の棄却を勧める」との声明を出し、裁判所に提出しました。この結果、主な原告もこの「補償基金案」を受け入れ、ほとんどの訴訟が棄却されました。

この補償基金設立には、ドイツ国内でもいろいろと反対意見があったようです。主たる反対意見としては、「ドイツはいつまで延々と補償し続けなければならないのか」といったものです。さらに、今後また新たな補償問題が発生した時、どこでラインを引くのか、という問題もあります。このことに対して、現ドイツ政府は明確に回答できないでいるようです。

結局この補償事業に関しては、ドイツ政府・企業とも、「道義的責任」に加えてグローバルなビジネス戦略を考えたものだと思われます。ドイツ企業と同様アメリカ企業でも、当時ナチス下でユダヤ人に強制労働させていたGMやエクソン・スタンダード石油が、自発的に犠牲者へ補償することを決定しています。一種の「企業による慈善事業」と考えればよいのかもしれません。

上述した問題点は、基本的に講和条約の欠如から生まれたものなので、日本においてはあまり問題にならないと思われます。ただし、後半の「民間企業による強制労働者に対する補償」に関しては、サンフランシスコ講和条約の中で少々問題になりかねない個所があります。そのことについては、次回お話しようと思います。

さて、これとは別にもう一つの大きな問題があります。それは、「旧ドイツ帝国領内で現在ポーランド・チェコ領になっている地域」における、ドイツ人の財産請求権問題です。まずはポーランドの例から見ていきます。

第二次世界大戦の結果、オーデル・ナイセ川以東のドイツ領土からドイツ人は全員追放され、ポーランド人が居住するようになりました。戦後しばらく西ドイツ政府は、この領土割譲を一方的なものだと非難していました(ドイツ固有の領土との主張)。しかし、1970年のポーランドとの国交正常化に伴い、西ドイツのブラント首相はこの国境線を認め、領土問題に終止符を打ちました。

ここで問題となったのが、ポーランドから追放されたドイツ人の財産権です。国交正常化以降ドイツ政府の公式な立場としては、「ドイツ人の財産権という私権は国家の領土主権の放棄と無関係に存続する」というものでした。この公式見解を受けて昨年、ドイツ強制移住者団体が財産の返還などを求めて、ポーランドの裁判所や欧州人権裁判所に提訴しました。深刻な外交問題に発展することを恐れたドイツのシュレーダー首相は、「強制移住者の補償要求を支持しない」と表明しました。またポーランド政府側も、「国際問題化させずに、ドイツ国内で解決して欲しい」との要望を伝えます。

ところが、ポーランド議会はこの提訴に強く反発し、「ドイツに対する戦争賠償の請求決議」を可決します(棄権一人で残り全員賛成)。もっともポーランドに賠償請求権はなく(国交正常化に伴い賠償請求権を放棄したため)、この決議は単なる牽制のようです。ポーランドにも、戦後ソ連領になった地域から追放されたポーランド人移住者への補償問題があり、国内で解決しようとしています。だからこそ、ドイツ政府が財産権請求問題解決に積極的でないことに、反発を感じているのかもしれません。

一方チェコの場合、「ズデーデン・ドイツ人問題」というのが存在します。ズデーデン・ドイツ人とは、1945年から47年の間に、旧チェコスロバキアから追放されたドイツ人を指します。ポーランド同様、当時のベネシュ・チェコスロバキア大統領の決定により、これらドイツ人の資産も一方的に没収されました。冷戦終結後、ハベル大統領が公式に遺憾の意を表明しましたが、チェコ政府の立場としては、「過去の終結した事実であり、資産の返還・補償には応じない」というものです。

当然、ズデーデン・ドイツ人団体も財産請求を求めて提訴する動きがあります。ズデーデン・ドイツ人団体の主張としては、次のようなものです。「ナチス時代にチェコ人に対して行われた重大な犯罪は、可能な範囲において補償された。しかし一方で、故郷放逐者に対して行われた不正は、まったく手つかずのまま放置されている。」

ポーランド・チェコから戦後強制移住させられたドイツ人は、数百万人に及ぶと言われています。ドイツ政府は、彼らに何もしてこなかったわけではなく、独自に補償・年金を支払っているようです。もっとも、彼らが所有していた財産に比較すると全く十分なものではなく、不満を募らせているようです。さらに、シュレーダー首相率いる与党革新政党の社会民主党(SDP)は、この問題解決に消極的なのですが、野党保守政党のキリスト教民主同盟(CDU)・キリスト教社会同盟(CSU)は、この強制移住者団体を強力に支持しています。従って、SDPが政権政党である限り、あまり問題にはならないと思いますが、CDUに政権交代が行われると、両国との外交的緊張が高まる恐れはあります。

この財産権請求問題は、日本と中国の間にも当てはまる場合があると思われます。これについては、次回お話しします。

今日はここまでです。それでは次回、「日本における賠償・補償問題」を見ていきましょう。