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映画・演劇のレビュー

『NO.10』

2024-04-18 10:30:00 | 映画
監督のアレックス・ファン・バーメルダムの第10作記念作品。彼が脚本、音楽も手掛けたワンマン映画。これ見よがしな描写の数々。何が起きているのかなかなかわからないまま話は進む。で、あり得ない映画でした。何がしたいのか、わけワカメ。前半は謎。後半は唖然。これをこんな感じで作る意味がわかりません。意味深な描写には何の意味もなく、ラストで宇宙に放出するキリスト教伝導のアイテムには茫然自失。SF映画だったんで . . . 本文を読む
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『劇場版 再会 長江』

2024-04-17 14:42:00 | 映画
日本人監督の竹内亮が捉えた中国。10年以上前に作ったTVドキュメンタリー番組でやり残したことをやり遂げるために日本を離れて中国で暮らし映画を作る。そんな人がいたってだけで興味深い。もちろん映画自体も実に面白いし。実はあまり期待してなかっただけにこれは思いもしない拾い物だったのだ。見れてよかった。たった10年で中国は大きく変わった。これはそのことを実感させられる映画である。今回の2020年からの映像 . . . 本文を読む
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濱野京子『となりのきみのクライシス』

2024-04-16 07:30:00 | その他
小学6年生の男女が主人公。子どもの権利って何かを考える児童書。図書館の分類はYA小説になっていたが、主人公たちと同世代にまずは読んでもらいたい。それから少し下の年代にも。だから児童書の棚に欲しい本だ。子どもを巡るさまざまな問題をストレートに描く。そこには酷い大人たちが随所に登場して、子どもたちの前に立ちはだかる。彼らはしっかり立ち向かう。だから爽やかで気持ちいい。  お話はクラスでの問 . . . 本文を読む
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ほしおさなえ『まぼろしを織る』

2024-04-15 20:19:00 | その他
『活版印刷三日月堂』シリーズは読んだことはないけど、「言葉の園のお菓子番」シリーズはちゃんと読んでる。それにこれはポプラ社から出ているから読むことにした。あと表紙の写真とタイトル。なんだかお話は重そうだけど、読もう。ほしおさなえの本を読むのは初めてではないけど、シリーズ物ではなく、単発の渾身の力作を読むのは初めてだ。今まで読んだ幾分軽いタッチの作品とはまるで違う。だけど、やはりこれは彼女らしい作品 . . . 本文を読む
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『劇場版 TOKYO MER』

2024-04-14 16:11:00 | 映画
昨年のGW公開の大ヒット作品が早くもAmazonプライム・ビデオに登場した。ウチの孫のリンちゃんたちもハマって熱狂していたというから、僕も後学のために見ることにした。   いやぁ泣いた、泣いた。こんなベタなベタベタのドラマを見て泣くなんて恥ずかしいけど、涙腺は緩む。知らぬ間に涙が出てくる。泣かすわ。   確かによく出来ている。ファンの方たちのツボをしっかり押さえた上でイ . . . 本文を読む
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『ハント・フォー・ザ・ワイルダーピープル』

2024-04-13 22:01:00 | 映画
『ジョジョ・ラビット』のタイカ・ワイティティ監督がまたやってくれた。はちゃめちゃで感動的な作品である。かなりの問題児が主人公の映画。彼はふてぶてしくてかわいくない。   だけどこんな男の子を主人公にしたバディー映画って、確実にあの傑作『ジョジョ・ラビット』と似ている。今回のふたりもあの作品の少年とヒトラーにつながる。これはそんな映画である。この少年と彼の保護者になるじいさんの話だ。 . . . 本文を読む
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吉田篤弘『78』②

2024-04-13 10:45:00 | その他
後半に入るといきなり転調する。5話目の『ゆがんだ球体の上の小さな楽団』からだ。大昔の楽団の話。ここからさまざまな物語が微妙なバランスでつながり、再び最初の3人の話にいきなり戻ってくるけど、それさえ大きな『78』世界の思い出に思える。すべてが過去のなかに取り込まれていく。ここに流れる時間は過去と現在、もしかしたら未来までもが渾然一体となっている。最初はハイザラとバンシャクの話だったはずなのに、しかも . . . 本文を読む
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『12日の殺人』

2024-04-13 08:33:00 | 映画
ドミニク・モル監督によるサスペンス・スリラー。というよりも刑事の日常を描く生活のスケッチ。派手な見せ場は皆無。地味すぎてしんどいくらい。だけど、映画は面白い。前任者の定年退職の夜から始まる。お別れパーティーが密かに行われる。その日から新しく班長になった男が主人公。就任初日に残酷な殺人が起きた。夜中に21歳の女性が灯油をかけられて焼死した。彼らのチームが捜査に当たる。それが12日のこと。映画は冒頭で . . . 本文を読む
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渋谷天外&鈴木健之亮プロデュース『生命のぬくもり』

2024-04-12 21:55:00 | 演劇
劇団往来と渋谷天外のコラボ企画。前半は恋川純の剣戟ショーと天外、恋川、要冷蔵の「にわか」(客からお題をもらってする即興寸劇らしい)3題。10分の休憩を挟んで後半は松竹新喜劇のネタを渋谷天外を中心にして、往来の役者たちと恋川純の劇団の混成チームで贈る。まさか松竹新喜劇を見るなんて思いもしなかった。きっと50年以上見たことがなかったはず。子どもの頃土日の昼にTVで藤山寛美の劇場中継を見ていた記憶はある . . . 本文を読む
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『貴公子』

2024-04-12 13:04:00 | 映画
新しいタイプのアクション映画に挑む『THE WITCH 魔女』シリーズのパク・フンジョン監督最新作。まさかこんなふざけた映画だとは思わなかった。これは凄い。平然とこんな映画を作るパク・フンジョンは半端ではない。もちろん褒めている。ラストのアクションまでずっと一心に同じ調子でめちゃくちゃやってくれる。宣伝では「ラスト20分、予測不可能」と煽っているが、ラストの説明は反対にウザい。それよりもっと華麗に . . . 本文を読む
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『アメリカン・フィクション』

2024-04-12 09:29:55 | 映画
先日発表されたアカデミー賞6部門ノミネートに輝くこの傑作映画は日本では劇場公開されず配信公開。結果的に圧勝した『オッペンハイマー』よりこちらの方が面白い。 これは一応コメディには分類されてはいるが、この映画が描く世界は怖い。この映画が描く黒人差別に対する視線は冷ややかで厳しい。笑えない。無意識の差別。良識ある白人層が善意から理解ある自分アピール。ステレオタイプの認識で自分たちのこと正しいと思って . . . 本文を読む
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『寄生獣 ザ・グレイ』

2024-04-12 05:26:00 | 映画
山崎貴監督による映画化2部作は傑作だったが、今回の韓国版はまる違う作品になっている。同じ原作からこんなにも違う話を紡ぐってそれはそれで凄い。こちらはまずテンポのいいアクション映画だ。Netflixによる配信ドラマで全6話からなる。   主人公を女性に設定して寄生された彼女と相棒になるヤクザな男が、逃亡しながら寄生獣を追い詰めていく。原作から設定と世界観をもらって舞台を韓国に移したオリ . . . 本文を読む
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吉田篤弘『78』

2024-04-11 17:32:00 | その他
この文庫本を今日から読み始めたのは偶然である。誓って意図はない。もう手元に読む本がないし、今日から1年週に3日仕事に行く。そのタイミングで手にして行きの電車の中で読み始めた。吉田篤弘の2005年作品。この文庫は2009年に刊行されている。  だから15年間図書館の棚に置いてあったのだろう。だけど,本はとてもきれいで誰も(たぶん)読んだ形跡がない。懐かしい気分になり、ゆっくり読み出す。1 . . . 本文を読む
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柴崎友香『つかのまのこと』

2024-04-11 05:44:00 | その他
これは映画『寝ても覚めても』の後、東出昌大を主人公にして、柴崎友香が写真家の一橋織江とコラボした作品。俳優によりイメージした小説を写真という表現で具現化した映像と一体化した世界は不思議な空間を提示する。家に宿る幽霊という設定で誰もいない古い家を浮遊する東出昌大を描く小説は彼を撮った写真と相まって、物語の映像化に収まらない不思議な世界を作る。   冒頭の20ページは写真に短い文が添えら . . . 本文を読む
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坂道の階『それは、満月の夜のことでした』

2024-04-09 20:54:00 | 演劇
今年の『階』は「坂道の階」。階は久野那美のプロデュース公演。公演ごとに集まり終了後解散する。今回は七井悠のひとり芝居。40分の中編。   彼はそれまでお家でのんびりしていたのか。夜中にコンビニに行く。もう1本、ビールを買いに行った帰り道。たった1本の500ミリ缶を片手に持ち家に帰る途中。街灯の明かりに誘われて、満月の夜に出会う。そこから始まるファンタジー。それはまるで絵本のようなお芝 . . . 本文を読む
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