習慣HIROSE

映画・演劇のレビュー

佐藤正午『冬に子供が生まれる』

2024-05-07 01:08:00 | その他
今日は子どもの日。だからこの小説を読むことにした。佐藤正午の新刊である。懐かしい。彼のデビュー作『永遠の1/2』は出版された時に読んで、この人はまるで村上春樹みたいだ、と思ったことを覚えている。久しぶりに彼の新作を読んで、この感じが好きだったことを思い出す。謎だらけのまま話は進行する。  初期の作品は毎回必ず読んでいたが、やがて間遠になった。直木賞受賞で話題になった『月の満ち欠け』も読 . . . 本文を読む
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『早朝始発の殺風景』

2024-05-06 18:18:00 | 映画
wowowのオリジナルドラマだ。27分の6話完結というショートシリーズ。僕はwowowには加入してないからリアルタイムでは見れないけど、Amazonに降りてきたら見ることは可能だ。ただあまりドラマは見ない。出来るなら映画が見たい。ただ、面白い作品なら関係ないけど。 さて、このドラマ。少し期待した。冒頭のシーンはいい。だけどその後はかなり微妙。とりあえずまず2話まで見た。一応主人公は奥平大兼と山田 . . . 本文を読む
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阿部暁子『カラフル』

2024-05-05 06:24:00 | その他
阿部さんは僕は初めて読む作家なのだが、かなりの著書があり有名な作家みたいだ。なんとなく読み始めたが、さすがに上手いし、しっかり読ませてくれる。   こういう「学園もの」はあまりにたくさんあり、玉石混交。漫画がほとんどだけど、たまに小説だってある。軽くて楽しい。   この小説は高校の入学式の日から始まる。早朝の駅、ホーム。車椅子の少女、六花とぶっきらぼうな少年、伊澄との出 . . . 本文を読む
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和田誠『わたくし大画報』

2024-05-05 06:13:00 | その他
2019年に亡くなられた和田誠が82年に出版した私事を書いた珍しいエッセイ集の再出版。74年から81年までの記述だが、まるで古びない。今読んでも新鮮だ。軽いエッセイなのに、刺激的な記事が続いて止まらない。4,50年が経ても古くならないどころか、今なお新しい。しかもあの頃の気分をリアルに再現する。(当たり前だけど)なんでもない身辺雑記や新作映画や芝居の紹介。とは言え40年前の新作である。なのにどうし . . . 本文を読む
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『霧の淵』

2024-05-04 07:33:00 | 映画
奈良国際映画祭の制作した映画。監督はインディーズで映画を撮ってきてこれが劇場用長編映画デビューとなるという村瀬大智。もちろん河瀬直美がプロデュースした。奈良県大峰山の麓にある集落、川上村。そこにある寂れた老舗旅館が舞台になる。義父とそこを切り盛りする母(水川あさみ)と中学生の娘(新人の三宅朱莉)。 特別なドラマは皆無。ある日、認知症気味の義父がいなくなる。ふたりは探しに出るが、見つからない。仕方 . . . 本文を読む
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『エドガルド・モルターラ ある少年の数奇な運命』

2024-05-03 17:48:00 | 映画
マルコ・ベロッキオ監督作品。強烈な映画だった。宗教って怖いな、と思った。19世紀イタリアでこんなことがあっただなんて驚きである。描かれるのはエドガルド・モルターラ少年だけでなくローマ教皇の苦悩や、カトリックとイタリア軍との戦いまで。子どもを理不尽に奪われた一家の戦いと、たったひとり誘拐されて全く知らない世界で生きることになった少年の戦いが並行して描かれていく。ある家族の話はやがて、国レベルの内紛に . . . 本文を読む
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小川糸『なんちゃってホットサンド』

2024-05-03 14:46:00 | その他
小川糸の日記エッセイ集最新刊。2021年の1月から12月まで。まさにコロナ直撃の日々が描かれるが、彼女はマイペース。まず、4月まで読んだが、瀬戸内を旅して、石垣島に行って、美味しい山菜を食べて。楽しそう。  途中から5冊挟んで再びこの本に戻ってきた。東京オリンピックをフランスと共催して2024年に行うという提案がフランスから打診されていたということをこの本で知り(知らなかった!)改めてショックを受 . . . 本文を読む
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中島京子『うらはぐさ風土記』

2024-05-03 10:17:20 | その他
毎日山のような本を抱えて、それを読むことが本業か?、という勢いで読書三昧の日々を送っている。61歳で仕事をやめてもう3年になる。その間、母親を亡くし、実家の処分や相続関係で大変だったり、生まれて初めてハローワークに通って新しい仕事を探してみたりもした。(その結果僕に出来る仕事はないとわかった)   30年振りに日本に帰って来た女性が沙希が主人公。離婚してアメリカから東京に。うらはぐさ . . . 本文を読む
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『辰巳』

2024-05-02 21:08:00 | 映画
『ケンとカズ』の小路紘史監督、第2作。なんと8年ぶりとなる新作であり、今回も自主制作だ。困難な状況を切り抜けてものにした渾身の一作である。そして今回もまた過激な映画に仕上がっている。何よりもまず主人公のふたりの面構えがいい。遠藤雄弥と森田想。もちろんそのふたりだけでなく、登場するすべてのヤクザ、チンピラたちのツラ構えが凄まじい。残酷描写もたいがいである。全く容赦ない。死体から身元を隠すために耳やら . . . 本文を読む
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『青春』

2024-05-02 19:44:00 | 映画
なんてストレートなタイトルだろう。映画自体もそのタイトルのまんま。ストレートな青春映画で3時間35分の大長編大作。まぁ、ワン・ビンだからこれでも長くはない、浙江省湖州市織里の工場が舞台だ。ここは巨大な工場地帯で、その一角にある小さな町工場に出稼ぎで来ている若者たち。彼らの日常が描かれる。 そして、何もお話はない。ずっと工場内(子ども服の縫製工場)での労働が描かれるばかり。それと仕事が終わった後の . . . 本文を読む
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碧野圭『凜として弓を引く 初陣篇』

2024-05-01 23:21:00 | その他
シリーズ第3作だ。高校2年になり、部員も男女3名ずつになって、初めて試合に出ることが可能になった初陣からスタートする。今回は学校のクラブ活動がメインになる。弓道会から学校に舞台を完全に移し、試合会場での出来事がお話の中心を為す。だから初陣篇。たった6人の同好会だけど、公式戦に挑戦して関東大会出場を目指す。よくあるスポーツ学園ドラマになる。最初の驚きはもうなく、予定調和になるのは残念だが、飽きさせる . . . 本文を読む
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小野寺史宜『うたう』

2024-05-01 07:43:00 | その他
『ひと』『まち』『いえ』に続くシリーズの第4作。どうせなら、『うた』にすればいいのに、と思ったが、敢えて『うたう』。意思が入っている。能動的に。27歳になった絹枝はうたう。亡くなった母に合唱団に誘われたときは、ためらった。あれは14歳だった。  お話はそこから始まり、大学で彼女が一緒になった3人の話になる。彼らとバンドを組んだ。ギターの伊勢。ベースの堀岡。ドラムの永田。そしてボーカルは . . . 本文を読む
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山崎ナオコーラ『あきらめる』

2024-05-01 06:33:00 | その他
なんとSFなのか、と驚くが、あまり関係なくてほっとする。(ほっとする必要はないけど)朝の散歩の話題で、火星に移住とかいう話をするところから始まって、えっ、と思うがこれはナオコーラである。SFなんかじゃない。  彼女がそんな大胆なことはしないし、いや、する。要するにどちらでも同じことなのだ。たとえSF世界の話であろうと、いつもと同じくらいにいつものナオコーラなのである。  今 . . . 本文を読む
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村山由佳『二人キリ』

2024-05-01 05:11:00 | その他
阿部定を村山由佳が描く500ページに及ぶ大長編。吉蔵の息子である吉弥の視点から定へのインタビューを通して描かれる。吉弥の友人である映画監督は大島渚がモデルなのか。それなら吉弥は若松孝二か? もちろんフィクションだけど、吉蔵の妾の子という視点の設定は凄い。現実の阿部定による調書や、当時の新聞記事を使いながら、虚実皮膜の間で、作家である村山由佳の視点から真実に迫る力作。  吉弥による関係し . . . 本文を読む
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『シティハンター』

2024-04-29 10:08:32 | 映画
佐藤祐市監督作品である。彼はそつなくさまざまな映画を作る職人監督だから、少し期待して見たのだが。Netflixで配信公開作品で、日本では今人気No.1。(Netflixのヒットランニングですが)主人公の冴羽リョウを鈴木亮平が演じる。これは言わずと知れた80年代に大ヒットした漫画で、これまでも何度もアニメ化されてきたし、アニメ映画にもなり、イタリア映画にもなったけど、日本では今回が初の実写映画化であ . . . 本文を読む
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