月の瓶詰~ブログ版~

こぼれゆく時の欠片を瓶詰に。

『鎌倉殿と執権北条氏』、雑感。

2022-05-01 15:38:11 | モノガタリ
春。我が職場も新人を迎え、また新たな一年が始まった。
ここ数年はコンスタントに若手を採用しているから、
職場の平均年齢も随分若返った。

就職した時、私は十数年ぶりの新人だった。
だから、すぐ上の先輩であっても、年齢はそれだけ離れている。

時流れて。

この採用の空白が、時限爆弾のように効いてきている。
役職を務められる人がいないのだ。
片っ端から手当たり次第に昇任させているが、それでも足りない。
単純に、数が足りないから。適性の前に、ソモソモいないのだ。

部長は課長を兼ね、課長は課長補佐を兼ね、課長補佐は係長を兼ね…
それで何とか、組織としての体裁を保っている。
しかしながら、部長には部長の仕事があり、
現実的には課長の仕事まで取り組める訳ではない。
課長も然り。課長補佐も然り。
実際の仕事は、どんどん下流へと流れてゆく。

かくして。

ワタクシもとうとう、ヒラにして係長業務デビュー!(^^;

うーむ、こういう仕事、柄じゃないんだがなあ…。
とはいえ、降りかかる火の粉は払わねばならぬ。その一心で奔走する毎日。

ふと、考える。

大河ドラマに登場するような歴史上の人物は、どうだったんだろう。

柄じゃねえんだよなあと思っていたのか。
それとも、千載一遇のビッグチャンスとばかり、胸を躍らせていたのか。


大河ドラマ「鎌倉殿の13人」考証チームのひとり、坂井孝一先生の
『鎌倉殿と執権北条氏 義時はいかに朝廷を乗り越えたか』(NHK出版新書)を
読みました。

元々三部作扱いと知ってはいたものの、タイトルからして
これさえ読めば一番手っ取り早いのではないか…など
セコイことを考えたのは内緒です(^^;
しかしまあ、うまく重複を避けてありまして。
『承久の乱』と『源氏将軍断絶』も読まねばならぬか…。(※ポチっと注文)

個人的には、タイトルどおりの部分よりも伊東氏周辺が興味深かったです。
ただ、八重さんの件はどうなのかなあ…。
きっと坂井先生はいい人なんだろうな、とは思いましたが(^^;
だって、「江間再嫁」の意味をあのように読み解かれるのですから。
私は当然、監視だと思っていましたからね…(^^;;
それに、近くに異母姉がいる環境こそ、罰を身に染みて感じさせるにうってつけ…


(^^;;;;;


あ、大河は今夜の回もどす黒い展開ですね。鎌倉初期、そうでなくては!


負けに不思議の負けなし―『日本軍兵士』を読んで

2021-10-11 17:50:41 | モノガタリ
山下曲はこれからも聴くし、いきものさんのファンも続けるし、
我らが帝王櫻井さんの結婚には正直安心したし(※待ってました派)、
相変わらずの模範解答にはさすがやねーと思ったし…
とあれこれ原稿を考えているうちに、『呪術廻戦』第17巻で思考が爆発四散しました(^^;
そんなこんなで二次小説方面は当分書けそうにもないので、
とりあえず随分前に読んだ新書本の感想から。

積読本のひとつ、
吉田裕 著『日本軍兵士―アジア・太平洋戦争の現実』(中公新書)を読みました。
記録によれば、2年前に入手していたようです。
確か店頭でたまたま見かけて買ったはず…。
こういう出会いも、コロナ禍で随分少なくなってしまいました。
昨年は書店自体がしばらくお休みでしたし、そうこうしているうち
週末に出かける習慣自体がなくなって、もうネット書店でいいや…と。
でも、ネット書店で買う場合は決め打ちなんですよね。
偶然手に取るということは、ほぼない。

さて、この本。
帯には「2019新書大賞第1位」、
「2018年度アジア・太平洋賞特別賞」との記載がありますが、
購入した決め手はそれでなく。
歴史小説を読んでいると、しばしば問題になってくるのが兵站の話。
かの大戦の折、
あれだけ拡大した戦線において兵站をどう維持していたのか、
素朴な疑問として元々関心がありました。

で、兵站の維持ですが…。(遠い目)

もう数頁読んだ時点で、
敗色濃厚を通り越して負けるしかないことが分かってしまうのですよ。
本来であればとても合格できないような人々が、
さしたる訓練もなく武器も持たされず(!)戦地に送り込まれる。
揚力で威力が削がれてしまうにも関わらず、あえて用いられる航空特攻。
開発が追い付かず弾が戦車に通用しないため、陸上でも特攻。
食料に飯盒や水筒等の道具。衣類に背嚢。
通信機器。土木作業のための重機。医療。
何もかもが不足している。
分かってはいてもどうしようもないから、そのまま突き進むしかない…。

非常に読みやすい文章で、淡々と突きつけられる事実の数々。
そして何となく、この精神構造は各組織(特に危機管理の局面)で
今も脈々と受け継がれているような気がするのでした。



読みやすさとは―『執権 北条氏と鎌倉幕府』を読んで

2021-05-16 17:25:22 | モノガタリ
いよいよ来年、大河ドラマに鎌倉北条一族が帰ってきます \(^^)/
…ということで、いろいろもろもろそろそろ思い出しておかねばまずいなと。

細川重男(著)『執権 北条氏と鎌倉幕府』(講談社学術文庫)を読みました。

細川先生のお名前は、ついったーの中世史クラスター界隈でもよく目にしておりまして。
今回の「鎌倉殿の13人」は、どうやら細川先生系の義時さん像になりそうという予感もあり。
まずはこの本だろう、と手に取った訳です。

北条義時、果たしてどういう人物か。

わたくし、鎌倉北条一族を推しておりますが、何を隠そう
その中でもダントツ不動の一位が北条義時ドノなのでございます。
すべての始まりは吉川英治さんの『新・平家物語』。
ああいう、冷ややかなまでの頭の良さ…いや、あの作品は清盛さんが最高なのですがね。
甘さを捨てきれないところが…

ええと、何の話でしたっけ(^^;

そうそう、それで順当に永井路子さんの作品群へと向かいまして、
鎌倉初期のあれこれ(※詳しくは来年の大河で是非!)が大好きになり。
時おりしも、大河ドラマ「北条時宗」の影響で各書店には関連書がずらり。
奥富敬之先生の『鎌倉北条一族』や
安田元久先生(編)の『鎌倉・室町人名事典 コンパクト版』等々、
懐かしの新人物往来社にはとりわけお世話になりました。

さて。
歴史関係の本といえば、どういう読者を想定しているかで
その内容はかなり異なってきます。前提とする知識のレベル、そして文体。
小説や、作家による歴史エッセイ。これは一般読者を想定しているので、当然易しい。
著者が研究者でも、大河ドラマにあわせて書店が並べているような本、これも易しい。

さあ、そこで今回の『執権 北条氏と鎌倉幕府』です。
原本は講談社選書メチエ。うーん、ちょっと読むのに骨が折れそうだなあ…と思っていました。

結果として。
確かに、少々読みにくい部分がありました。
でもそれは、内容が難しすぎたからでも、文体が硬かったからでもありません。
その逆です。…くだけすぎていて読みにくい(^^;

内容は確かです。
義時さんと時宗さんに絞って書いてありますが、
「はじめに」の言葉を借りれば、きちんと「基調低音」の響きが分かります。
執権・得宗というものを概観するにはお薦めの一冊です。
それだけに、何だかちょいちょいアレなのが若干気になるところ…(^^;;
いや、意外に義時さんを評価されているんだなとは思ったんですけどね。

あ、後半になるにつれ、普通の文体になっていくので読みやすくなります(^^;;;
内容は前半もまともなんですけどね…。そしてくだけていない部分の方が面白かったり…



そしてじゅじゅつにずぶずぶと。

2021-05-05 18:56:27 | モノガタリ
いやー、お久しぶりでございます。
って前回の更新…新型コロナウイルスがここまで世界を変えてしまうとは、
まだ気づいていなかった頃ですね。
広島公演の方がよかったかなあなんて思っていた頃です。
M-1ツアー、後半は中止になってしまったんですよね。福岡だから見られた。
いきものさんは独立前。あらしさんも休止前。

そしてそして…、鬼滅にがっつりはまるとは予想もしていなかった頃です。
まあ、それは無限列車編を公開翌日に見た時点ですら、
まったく想定できなかった事態なのですが。
那田蜘蛛山編ですよね、すべては。
第17話該当部分ですよね。


ハァー…、我妻さんってさあ…(※恐ろしく長くなりそうなので割愛)


で、順当に鬼滅沼から呪術沼ですよ。アッハッハ。
交流戦からアニメを見始め、パンダ先輩と三輪ちゃんから入って。
結局は全員が好きになって…
まあ、特に2年生…と言いつつ1年ズ…と言いつつ過去編…(以下無限)。

現時点での最新刊(第15巻)とファンブックまで読み終え、
ようやくこの連休に小説本へと到達しました。
第一弾『逝く夏と還る秋』、第二弾『夜明けのいばら道』。


漫画のノベライズ版って、今まではあまり読んでこなかったんですよ。
独特のノリが苦手でして。
何かこう…言葉やテンポがうわすべりしているというか、少々寒いことが多くて。
地の文のあり方も…って全部ブーメランで返ってきてますけどね!?
(昨年末からpixivさんでお世話になっております ^^;)

もうこれは、漫画…映像で存在している世界を文章化するからには、
避けられぬ宿命だと思っていました。

が。
今回の『呪術廻戦』の小説本。


…何これ何これ何これ!ちゃんと小説、ちゃんと『呪術廻戦』なんですけどー!?


はあ…あまりのクオリティの高さに打ちのめされました(ってどういう立ち位置)。
原作にない景色なのに、間違いなくそこにあったと確信できる。
小説版を読むことで、原作の解像度が上がる。
虎杖たち学生だけでなく、大人たちのことも、まさかの真人までも。
1年ズの思いやりにグッと来つつ、棘先輩とか、京都校のメンツとか…。


愛ですよ、愛。
作品への、登場人物への、深い愛。つまりはこの世界への、人間への、深い愛。


いやはや、佳い小説に出会えました。
その中でもとりわけお気に入りは、「散歩道の後に」です。
この後に彼らを待つ現実…



M-1ツアースペシャル2020 in 福岡。

2020-01-19 16:19:50 | お笑い
2020.1.11、「M-1ツアースペシャル2020」の福岡公演を見てきました!
(和牛インフォさんの御蔭で、チケット発売を知ることができ…ありがたやありがたや)
折角ですので、感想めいたものを書き残しておきたいと思います。
…ええと、お笑いは好きですが詳しくはございません(^^;
今までに生で見た漫才は、舞台「噂の男」の劇中漫才(確か中川家さん監修)と、
「M-1ツアースペシャル2019」福岡公演(←王者不在の追加公演)くらい。
メジャーな番組をなんとなーく見ているレベルの茶の間ファンです。

…ということで。


会場について。
福岡サンパレスは、後ろの方でも舞台を充分近く感じる、
…つまりは前後左右がぎゅっと詰まったホールでありまして。
長時間座っているのは、なかなかしんどいものがありました(^^;
座席のクッションも比較的硬め。終演後、イタタタ…と言っている人多し。
あ、お手洗いは新しくて広くて、待ち時間が短かったです。
全体的構造は古い施設で、部分的に改修が進んでいる感じ。
そうそう。前年はなかったグッズ販売が… \(^^)/
ジャニヲタの皆さんは恐れる必要ナシですが、それなりに並びました。
入口が分けてあって、チケットがなくても買える仕組みです。
全(吉本所属)ファイナリストのグッズがある訳ではなく、
アインシュタインさん・EXITさん・和牛さんあたりのグッズが多かったかなあ。
迷った末、アイドルみたいな表情の(そこはかとなく面白い ^^;)和牛さんクリアファイル、
イラストが絶妙に似ているアインシュタインさんのメモ帳などを購入しました。
…職場で使うか。(^^;;


出演順。(※敬称略)
11:00開演~13:10頃終演
前説)メタルラック
1)EXIT 2)くらげ 3)アインシュタイン 4)インディアンス 5)ダイタク
6)からし蓮根 7)オズワルド 8)ニューヨーク 9)すゑひろがりず 10)見取り図
11)和牛 12)ミルクボーイ

15:00開演~17:25頃終演
前説)ぶんぶん丸
1)EXIT 2)インディアンス 3)ニューヨーク 4)和牛 5)くらげ
6)ダイタク 7)アインシュタイン 8)からし蓮根 9)オズワルド 10)すゑひろがりず
11)見取り図 12)ミルクボーイ

追加公演まですべて見られる猛者もいらっしゃったようで。すごい…!
見る側も体力勝負ですよ。私は笑いすぎて顔が筋肉痛になりました(←人生初)。


各組感想。
☆ 前説二組
福岡よしもとの芸人さん。
クセのない面白さで、場の空気がとてもよかったです(^^)
前説後に幕が上がると、舞台にはセンターマイクが静かに光っており…。
震えるほど格好よかったです。

☆ EXIT
どんぐりころころ / 高齢化社会・相撲
二公演とも切り込み隊長はこのコンビ。花も実もある証拠ですな!
ミルクボーイ・ぺこぱ・和牛だけでなく、千鳥までパクる手並みは鮮やかとしか…(笑)。
昼公演は、兼近さんのパジャマ姿まで拝見できるという特典付きでした。

☆ くらげ
女心・キャバ嬢
二公演とも同じネタですが、二回目の方が面白く感じました。
観客が笑い始めるタイミング含め、間のわずかな違いが大きく影響するネタなんだろうなあと。
個人的には、沖縄出身…じゃない人と、沖縄出身じゃない人じゃない方の人との掛け合いが
もっと見たいなあという。
今は、ボケの言葉をツッコミが受け取るだけになっているというか。
笑いがボケだけのものになっているのが勿体ないなあと…。
わかんねぇけど。わかんねぇけどな!

☆ アインシュタイン
オラオラデート / バーに行きたい
歓声がすごい…!
何というか、ネタそのものよりも
(ネタなんだけど)二人のキャッキャとふざけたやり取りの方が魅力を感じました。
漫才がうまい人たちも、コントが面白い人たちも当然すごいんだけど、
TVで活躍する芸人さんたちだってすごいんだぞ…と言いたいワタクシとしては、
久々にTVスターが現れたなという感触で。今後の活躍がとっても楽しみなのです。

☆ インディアンス
昔ワルかった / 理想の結婚生活
えっと…インディアンスさん、優勝しました?しましたよね??
というくらい、すさまじい爆発力でした。最っ高に面白かった~
ボケの暴走が楽しすぎます…。ホント、優勝してませんかね?本当の本当に??
お昼の回は、直前が出番だったEXITさんをとりあえず連れてきちゃうという趣向も。

☆ ダイタク
一卵性のさしすせそ / 自己紹介の歌
あいんしゅたいんさんに続き、一卵性の双子…φ(..)
熊本トークやお墓参りの話等々、"今"・"ここ"だからこその内容も。

☆ からし蓮根
ガソリンスタンド・CA / 転校生・友達できるかな(とメモしているけど何だったっけ…^^;)
南キャンしずちゃん系の怪物に、オーソドックスなツッコミで対していく面白さ。
ああ、M-1決勝では実力を発揮しきれていなかった感じですねえ…。惜しい。
それがあまりに惜しまれるから、上沼さんはああいう発言をされたのだろうなあ。
(和牛さんの芸に信頼があるからこそ、ああやって引き合いに出されたのだと思っておりますよ!)

「話を変えマース」(^^;

☆ オズワルド
昔話・結婚式の余興 / 明晰夢・音階
歌が上手い。
…いや、鉱脈が多そうなコンビだなあ!と嬉しくなったのですよ (σゝω・)σ
おぎやはぎさんと同じく、M-1では不利な系統の漫才だと思うけれど、
これからもネタを見続けたいと思ったコンビ。

☆ ニューヨーク
ヤンキー・映画を撮りたい / 演技力・ダブルデート
M-1決勝から大いに印象が変わったのはこのコンビでした。
歌ネタより、こういう漫才の方が好きだなあ…。ク○映画は正直ちょっと見てみたい。

☆ すゑひろがりず
10回クイズ・山手線ゲーム・算数の文章問題 / スーパーマリオ・山手線ゲーム・はじめてのおつかい
いやもう、待ってました 乾杯からして楽しすぎる。
伝統芸能と現代文化とが絶妙に混じり合って、とにかく最高。翁は足が速すぎ~\(^^)/

☆ 見取り図
なぞかけ / 心理テスト・キャバクラ
しゃべりがすさまじく上手くなってる…!(※昨年のM-1ツアー比)
なぞかけの途中、ネタが飛んだのかな?と思う瞬間もあったのですが、
実に楽しそうに、うまーくやり過ごしてありました。
盛山さんは、ちょこちょこ爆竹を召し上がっておられたようで(笑)。

☆ 和牛
引越業者 / CM
歓声がすごい…!(Part 2)
昨年のM-1ツアーで拝見したネタが、まさに引越業者でありまして。
いやはや、微調整が進んでさらに完璧へと近づき…そう、強固に閉じられた世界になってきたなあと。
十年以上前になりますか、"二人の会"の「宮城野」というお芝居を拝見したことがあるのですが、
それに近いものを感じました。物理的な距離は近いけれど、観客とは最も隔絶した完全世界。
…たぶん、それはM-1という賞レースが求める漫才とは違うもので。
「5年頑張ってきた」という台詞に拍手が起きてしまったことから
ネタが一瞬飛びかけたり、「チ○チ○出したろかな」「誰がマンドラゴラ」と下ネタ迷路に入ったり、
そんな粗さがあった昼公演の方がどこか楽しそうでもあり、これぞ漫才という感じもしたなあ。

☆ ミルクボーイ
おかんの好きなゲーム・お薬 / おかんの好きな雑誌・野菜
最後に王者として登場するプレッシャーは如何ばかりか…という心配は雲散霧消。
声の安定感が半端じゃない もはやベテランの様相。
アスパラとベーコンの件については、即実写化を希望します(^^)
…ところで、「好きなお薬」とはこれ如何に


いやはや、どのコンビもとりどりに面白くて最高でしたー
長尺のネタが得意なコンビもあれば、M-1に最適化したネタを複数持っているコンビもあり。
ぺいぺいどーむの近くに劇場ができたら、九州でも漫才を見られる機会が増えるかなあ。
楽しみです。