非国民通信

ノーモア・コイズミ

各紙の思惑

2024-05-04 16:47:53 | 編集雑記・小ネタ

憲法改正「賛成」63%、9条2項「改正」は最多の53%…読売世論調査(読売新聞)

 読売新聞社は憲法に関する全国世論調査(郵送方式)を実施し、憲法を「改正する方がよい」との回答が63%(前回昨年3~4月調査61%)と、3年連続で6割台となった。憲法を「改正しない方がよい」は35%(前回33%)だった。

 

改憲機運「高まってない」70% 自民支持層でも6割超 朝日新聞社世論調査(朝日新聞)

 国民の間で、憲法を変える機運は「高まっていない」という受け止めが70%に上っていることが、朝日新聞社の全国世論調査(郵送)でわかった。憲法改正が必要だと思う人や自民支持層でも機運は「高まっていない」という回答がそれぞれ63%、64%と目立つ。

 

改憲「賛成」27% 2年連続で減少 毎日新聞世論調査(毎日新聞)

 日本国憲法は3日、1947年の施行から77年を迎える。毎日新聞が4月20、21の両日に実施した全国世論調査では、岸田文雄首相の在任中に憲法改正を行うことについて尋ねたところ、「賛成」との回答は27%で、「反対」との回答の52%を下回った。

 

改憲論議、65%が「急ぐ必要ない」 9条改正は51%が「必要」 共同通信憲法世論調査(産経新聞)

 共同通信社は1日、憲法記念日の5月3日を前に憲法に関する郵送方式の世論調査結果をまとめた。岸田文雄首相が9月までの自民党総裁任期中に意欲を示す憲法改正の国会議論に関し「急ぐ必要がある」は33%にとどまり、「急ぐ必要はない」の65%と差が開いた。改憲の進め方は「慎重な政党も含めた幅広い合意形成を優先すべきだ」が72%で、「前向きな政党で条文案の作成に入るべきだ」の24%を上回った。9条改正の必要性は「ある」51%、「ない」46%だった。

 

 憲法記念日を迎えて世論調査結果が発表されているところですが、自社による調査を放棄した産経はさておき各紙の主張が見え隠れするところでしょうか。ただ過去最多を唄う読売報道でも前年調査からは微増に止まっているところもあり、「大きな変化はない」というのが客観的な評価になるかと思います。明確な改憲反対派である朝日新聞などはロシアが外交交渉の余地なく急に侵攻してきたかのごとき偏向報道を続けており、むしろ朝日新聞の熱心な読者であるほど軍拡支持に回りそうなものですけれど、実際はそうなっていないのが興味深くもあります。まぁ民主党が右にすり寄っても右派からは毛嫌いされたまま、似非リベラル層もそのままと、支持傾向に変化がないのと同じ構造なのかも知れません。

コメント
  • Twitterでシェアする
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

目次

2024-05-04 00:00:00 | 目次


なんだかもう、このカテゴリ分けが全く無意味になりつつあります……

社会       最終更新  2024/ 4/14

雇用・経済    最終更新  2024/ 4/ 7

政治・国際    最終更新  2024/ 4/29

文芸欄      最終更新  2024/ 2/23

編集雑記・小ネタ 最終更新  2024/ 5/4

 

Rebellion (rebellion0000) は Twitter(現X) を利用しています

 

↑暇ならクリックしてやってください


 このサイトはリンクフリーです。 

 

コメント
  • Twitterでシェアする
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

広島市の方針はダブルスタンダードではない

2024-04-29 14:19:18 | 政治・国際

「ダブルスタンダードではない」 8・6式典の招待国めぐり広島市長(朝日新聞)

 8月6日の平和記念式典で、ロシアとベラルーシの代表の招待を見送る広島市の方針について、松井一実市長は24日の定例会見で「式典の円滑な挙行に影響を及ぼす可能性がある」と理由を説明した。パレスチナ自治区ガザ地区で戦闘を続けるイスラエルの代表は例年通り招待するといい、「ダブルスタンダードではない。式典をちゃんとやりたいという立場だ」と強調した。

 市は、ウクライナへの侵攻を理由に、ロシアと同盟国ベラルーシの招待を3年連続で見送る方針を明らかにしている。市民活動推進課によると、ウクライナを支援する国が参列を見送る可能性などを懸念したという。

 松井市長は会見で、「一方の戦闘は容認し、もう一方は容認しないという風に見えるのでは」との質問に対し、「それは受け止める方の意思ですから、私としてはどうしようもありません。片方の戦争が良くて、片方の戦争が悪いとは一言も言っていない」と説明した。その上で「ダブルスタンダードは取っていない。(広島市は)平和都市です」と話した。(魚住あかり)

 

 平和記念式典にロシアとベラルーシを排除しつつイスラエルを招待するという広島市の方針について、一部で「ダブルスタンダード」との声が上がっています。この批判を市長側は否定しているところですが、確かにダブルスタンダードではないのでしょう。まず国内「異分子」の武力による排除が招待資格の喪失に繋がるのであれば、ロシア系住民への弾圧を続けてきたウクライナは10年前から排除されていなければならなかったはずです。判断の基準はもっと別にあって、その基準に沿って一貫した対応を続けていること自体は間違いないと言えます。

 先般はアメリカ議会でウクライナ支援の法案が通ったと報じられました。ただ、その「支援」対象にはウクライナだけではなくイスラエルも含まれているわけです。我らが宗主国の判断としてウクライナとイスラエルは等しく支援の対象である以上、その処遇に差を設けてしまえばこれまで共有してきた「価値観」が損なわれてしまいます。ウクライナとイスラエルで扱いを変えることこそがダブルスタンダードであり、等しく招待しようとする広島市の方針には一貫性が認められるべきです。

 

イスラエルとウクライナへの防空支援に差 エストニア首相、西側に苦言(AFP BB)

 イランは今月1日に在シリア大使館領事部がイスラエル軍に空爆されたことへの報復として13日、300を超える無人機とミサイルをイスラエルへ向けて発射した。だが、米英仏ヨルダン軍の支援を受けたイスラエルの防空部隊がほとんどを撃墜したため、被害は限定的に抑えられた。

 この状況を受け、カラス氏は欧州連合(EU)首脳会議の開始前に報道陣に対し、EUの目前で起きているウクライナ侵攻について、「イランのイスラエルに対する攻撃を退けるために各国が行った協力を見るに、われわれにはもっとできることがあるはずだ」「ウクライナに同様の方法で防空支援を提供し、(ロシアによる)攻撃が通るのを防ぐことができるはずだ」と述べた。

 

 こちらは欧州でも際だって日本と価値観を共有しているエストニア首相による発言を取り上げたものですが、一定の批判こそあるもののイスラエルは今なお欧米から強い支援を受けている、同じNATO未加盟国でもウクライナ以上に守られている実態が窺えます。外交において常に「価値観の共有」を掲げてきた日本としては当然、イスラエルへの連帯を示すことに矛盾はない、平和式典へのイスラエルの招待はやはり一貫した判断であると言うことが出来ます。

 

ウクライナ大統領、ロシアとの戦争へのイスラエルの参加呼びかけ(ロイター)

中東での戦争扇動、ロシアを利することに=ウクライナ大統領(ロイター)

ゼレンスキー氏、イランの攻撃非難 ウクライナも支援必要と訴え(ロイター)

 ウクライナの支配を続けているゼレンスキーもまた一貫して、イスラエルとの連帯を掲げてきました。ウクライナとイスラエルは同志であり、片方を招待して片方を除外するとなれば、その理念を全否定することになってしまいます。ゼレンスキーを国会に招待し「閣下」と呼びかけてきたのが我が国であることを鑑みれば、イスラエルもまた盟友と見なした方が矛盾はないと言えるでしょう。日本とウクライナ、イスラエルは同じ国を宗主を仰ぐ同志国であり、そこからイスラエルを仲間はずれにするという判断はあり得ないわけです。

 これも過去に何度か書いてきたことですが、そもそも日本が反省している戦争とは何でしょうか? アメリカとの太平洋戦争は概ね反省されています。しかし日清戦争、日露戦争、シベリア出兵や日中戦争はどうでしょう。日清戦争や日露戦争が「悲惨な戦争」として語り継がれている場面を私は寡聞にして知りません。それは当時の従軍者が既に死に絶えていることもあるかも知れないですが、結局のところ「悲惨な戦争」=「負けた戦争」でしかないのではないかとも思います。

 より具体的に言えば日本はアメリカと戦ったことだけを反省している、もう二度とアメリカには逆らわない、というのが戦後日本の「反省」なのでしょう。ゆえに実際に日本が侵攻したアジア地域に対しては醜悪な自己正当化が目立つ、反省どころか逆ギレ的な対応を政府すらもが見せてきたわけです。戦争全般ではなく、アメリカに背いて敗れたことを反省する、そうした式典から「アメリカの意向に従わない国」を排除し、「アメリカの傘下にある国」を招く、これは人道的でも平和的でもないかも知れませんが、決してダブルスタンダードではない、むしろ一貫性のある判断なのだと断言することが出来ます。

 日本で語られる「平和」とは、アメリカによって天下が統一され、アメリカによる惣無事令に違反する国がない状態を意味しています。アメリカの支援を受けたイスラエルによるパレスチナ人のホロコーストは、この平和と矛盾するものではありません。しかしそれはアメリカの傘下にある国々の間の閉ざされた平和であり、現実にはアメリカの支配下にない独立した国々が着実に力を蓄えているわけです。来るべき未来に広島市や日本が適応できるのかどうか、そのためには根本的な価値観の転換を求められる気がしますね。

コメント
  • Twitterでシェアする
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

信念こそが人を動かす

2024-04-27 21:14:06 | 編集雑記・小ネタ

作家の知念氏に賠償命令 コロナワクチン巡る投稿で名誉毀損(産経新聞)

 新型コロナウイルスのワクチンに関するツイッター(現X)での書き込みについて、医師でミステリー作家の知念実希人氏から「デマ」と投稿され名誉を毀損されたとして、元衆院議員で弁護士の青山雅幸氏が550万円の損害賠償などを求めた訴訟の判決で、東京地裁は23日、2件の投稿が青山氏の社会的評価を低下させたと認め、110万円の賠償と削除を命じた。

 青山氏は2021年6月、ワクチン接種と不妊との関連性を否定するような政府の見解に対し、「『中長期的リスクは全く不明』が正しい」などとツイッターに書き込んだ。これに対し、知念氏は「デマだ」と投稿した。

 下山久美子裁判官は青山氏の書き込みは「ワクチンで不妊になるとの見解を述べているとは認められない」と指摘。知念氏の投稿は「副作用について虚偽を述べたとの印象を与える」と判断した。

 

 人は事実ではなく信念でこそ動く、社会を動かすのは利害でも事実でもなく信念である、そう私はブログで何度となく書いてきました。司法も然り、騒音問題や原発を巡る訴訟では裁判官の思想信条が何よりも優先された判例を見せられてきたところです。今回もまた同様、裁判官に強い信念があったのであろうな、と私は確信しています。

コメント
  • Twitterでシェアする
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

イランには期待しています

2024-04-21 21:10:56 | 政治・国際

G7外相会合「イランに制裁科す用意」 ロシアの凍結資産は活用模索(朝日新聞)

 イタリア南部カプリ島で開かれていた主要7カ国(G7)の外相会合は19日、共同声明を採択し、閉幕した。同日早朝にイランで起きたイスラエルによるとみられる攻撃については事態の悪化防止を呼びかけたが、直接の言及は避けた。ロシアの侵攻が続くウクライナには、全面支援の姿勢をあらためて打ち出した。

 G7は、日本、フランス、米国、英国、ドイツ、イタリア、カナダの7カ国と欧州連合(EU)が参加する枠組み。昨年の日本に続いて、今年はイタリアが議長国を務めている。

 会合の議題の中心は、シリアにある自国の大使館への空爆をめぐって、イスラエルに報復したイランへの制裁拡大だった。G7は声明で、イランによる攻撃を「最も強い言葉で非難する」と強調。「地域の不安定化と事態のエスカレートにつながる受け入れられない一歩だ」と指摘した上で、イランの今後の行動に応じて「制裁を科す用意がある」と表明した。

 一方で、19日早朝に米メディアなどが報じたイスラエルによるイランへの攻撃については、「すべての当事者に事態のエスカレートを防ぐように強く求める」と述べるにとどめた。

 

 イラン側に対して一方的に制裁を科そうとする一方でイスラエルには申し訳程度のコメントにとどめる姿勢を以て、日米欧のダブルスタンダードであると批判する向きもあります。確かにアメリカとその衛星国の二重基準は随所で発揮されてきたところですが、この件に関しては一貫性を見せているのではないでしょうか。ただ、その一貫性の基準が人道や正義ではなく「アメリカを宗主と仰いでいるかどうか」にあるだけの話です。

 2014年にウクライナでクーデターが発生し、ロシア系住民への攻撃も始まりましたが、それでキエフ政権が制裁を受けるようなことはありませんでした。そして事態が好転しないまま2022年を迎えロシアによる直接介入が始まったところで日米欧はロシアへの制裁を強めることになったわけです。一方イスラエルでは建国以来パレスチナ人への迫害は続いており、ガザ地区などはさながらゲットーの様相を呈してきたところですが、しかし同様に日米欧からの制裁がイスラエルに及ぶことはありませんでした。そしてイランがイスラエルへ直接の介入を行った結果が、今回の制裁強化です。東欧及び中東における「アメリカ政府の代理人」への攻撃は断固として許さない、そんな日米欧の一貫した姿勢がG7外相会合にも現れていると言えるでしょう。

 軍事力の行使そのものを悪と見なすのであれば、ロシアやイランよりもまずキエフ政権やシオニスト政権を倒さなければならなかった、それこそが戦争への「抑止力」と見なされるべきです。しかるに日米欧諸国は戦争の火種を見守りつつ、そこに根本的な解決のための介入をしようとする国家を非難しているのが現状で、では実際に戦争を望んでいるのはどちらなのか、本当に平和を追い求めているのはどちらなのかと疑問に感じないでもありません。

 遙かな昔、エルサレムの住民はバビロニア王国の征服によって強制移住の憂き目に遭いました。この「バビロン捕囚」はアケメネス朝(ペルシャ)の再征服によって解放の勅命が下されるまで続いたわけですが、同様の状態に置かれているパレスチナ人を解放できそうなのは、ペルシャの末裔であるイランしかないのかも知れません。欧米諸国は口ではイスラエルに自制を求めるようなポーズを取っても、その行動に制限を課すようなことはしていない、あくまで同じ宗主を奉じる同志国として実質的には支援関係を続けています。周辺のアラブ諸国にもイスラエルを止めるだけの力がない中、期待できるのはやはりイランしかない、というのが率直な感想ですね。

 もう一つ歴史を振り返ると、かつてロシアはウクライナでスウェーデンと戦い、これに勝利したことで大国への道を歩み始めました。今もまたロシアはウクライナでNATOと戦っているわけですが、これに勝利すればNATOの東進を止められる、歴史の転換点にも繋がるでしょうか。冒頭の事例が端的に示すように、現代はアメリカとの関係が国際社会における善悪の基準となっています。アメリカの傀儡であれば蛮行も許され、アメリカと敵対する国には反撃すらも許されない、そんな道理の通らないパクス・アメリカーナの時代が「今」なのです。そうした非対称性を突き崩す役割を、ロシアやイランに私は期待しています。

コメント
  • Twitterでシェアする
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

「理系」を巡って思ったこと

2024-04-14 23:38:35 | 社会

 近年、理工系の学部で「女子枠」を導入する大学が急増しているそうです。元より男女の偏りが顕著な学部であるだけに、それを是正しようとする意図自体は評価されるべきものでしょう。もっとも同じ理系科目が入試に用いられる医学部などは女性受験者の方が強い場面も見られるわけです。将来的な外科医志望者を確保すべく逆に女性の合格者を制限していたケースもまた近年で告発されており、それを鑑みるとどうなんだろうと感じるところもあります。

 一般には最も入試難度の高くなる医学部において、男性側に下駄を履かせてバランスを取ることすらあった実態を考慮すると、単純な学力面では女性の大学受験者を優遇する必要性はないと言って良いでしょう。医学部に進学しても特定の診療科に女性が偏在してしまう、学力は十二分なのに理工系を進学先に選ぶ女性は少ない、こうした「偏り」をどうにかしなければならないのは当然ですが、しかるに「女子枠」を設けるような現行の試みが上手くいっているかと言えば首を傾げないでもありません。

 医学部と歯学部は入学時点で明確に隔てられているのに、外科と精神科、泌尿器科と眼科が全て同じ学部というのも、考えてみると少々不思議な話です。「医学部」と「歯学部」の二つだけに分けるのではなく、「内科学科」「皮膚科学科」「放射線科学科」等に分かれていても良い、そこで外科学科が女性受験者に不人気ならば女子枠を設ける、逆に女性の応募が多数派になる学科には男性枠を設ける、それだったら釣り合いは取れそうな気がしないでもありません。ただ18歳の時点で細かく専門を決めさせることのデメリットもまた大きいでしょうか。でも歯医者になるコースだけは18歳の時点でガッツリ定まっていることを考慮すると、意外になんとかなる気もします。

 個人的に最悪だと思ったのは数年前の「リケジョ」ブームですね。これは完全に女性をおもちゃにしている、その旗頭として起用されたのが小保方晴子という作られたアイドルであり、輝かしいキャリアを歩んできた一方で研究内容は真っ当とは言いがたい代物であったことは象徴的です。これも背後には理系分野での女性の活躍を期待する意図から産まれたものではあったのでしょうけれど、中身のない偶像を(男性達が)作り上げたところで何の意味もありません。

https://www.titech.ac.jp/student-support/students/extracurricular/organizations

 ちなみにこちらは女子枠を大きく設けている東京工業大学の公式ページですが、曰く「文化系の大学とは異なり、本学は、実験・実習・演習など、とかく勉学に追われ~」だそうです。以前にも取り上げましたけれど、「理系」を自認する人々の中には「文系」を敵視する人が一定数います。まぁ文系学部と言いますと、低成長と格差拡大を理論的に支えてきた経済学や、アメリカ政府の広報官のような国際政治学もある、「英語で」授業をしていることを誇り語学留学の斡旋にばかり積極的な英会話学校もどきも増えているだけに、一定の批判はあってしかるべきでしょう。

 とはいえ文系学部でも英会話と英会話と語学留学など、とかく英語に追われて忙しい学校もありますし、理系学部でも暇を持て余しているところはいくらでもあります。そして学部を問わず経済的な問題で勉強「以外」に忙しい学生だっていくらでもいるわけです。東工大は難関大学として自らを誇るところはあるのかも知れませんが、他の何かを貶めないと自らを誇ることが出来ないとしたら、それは随分と残念な話、「お里が知れる」振る舞いであるとは言えます。

 東工大ではサークル活動のための時間として水曜日の午後があてられているとのこと、大学に入ってまで学校に時間割が決められているというのも私としてはちょっと嫌ですが、それ以上に「これと同じことを体育会系に言えるのか?」と思いました。「文系と違って自分たちは忙しいんだ」とマウントを取る姿は余所でも普通に見られますけれど、では「体育会系と違って~」と、反撃されそうな相手にも喧嘩を売ることが出来るのか、そこを私は問いたいです。

 加えてもう一つ、拘束時間の長さを誇るべきではない、とも思います。教授の実験に付き合わされ研究室に泊まり込む日々が続いたとして、では時間を費やせば成果が得られるかと言えば、それは全く別の話ですから。会社でも労働時間が長ければ評価されてしまう、仕事をした気分になってしまう傾向が見られますけれど、これこそまさに日本企業が抜け出せずにいる誤った考え方であるはずです。どれだけ時間を費やしたところで成果を生まなければ意味がない、意味があるのは拘束時間の長さではなく成果である、そこは意識されなければなりません。

コメント
  • Twitterでシェアする
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

アメリカのために戦う部隊なのに

2024-04-11 22:19:07 | 編集雑記・小ネタ

陸上自衛隊の第32普通科連隊、公式Xで「大東亜戦争」と表現(朝日新聞)

 陸上自衛隊大宮駐屯地(さいたま市)の第32普通科連隊が、X(旧ツイッター)で同隊の活動を紹介する際に、「大東亜戦争」という言葉を使って投稿していた。政府は太平洋戦争を指す言葉として、この呼称を公式文書では用いていない。同隊は7日、取材に公式アカウントであることを認めた上で、「本日はコメントすることができない」とした。

 同隊は5日、硫黄島(東京都)で日米合同で開催された戦没者の追悼式に参加したことをXの公式アカウントで紹介。「大東亜戦争最大の激戦地硫黄島」「祖国のために尊い命を捧げた日米双方の英霊のご冥福をお祈りします」などと投稿した。

 日本は1940年、欧米からアジアを解放し「大東亜共栄圏の確立を図る」との外交方針を掲げ、41年12月の開戦直後に「大東亜戦争」と呼ぶことを閣議決定した。戦後、占領軍の命令で「大東亜戦争」の呼称は禁止された。

 

 大日本帝国の精神の引き継ぐ自衛隊としては至って自然な感覚だったのだと思われますが、公式Xで「大東亜戦争」と表記したことが一部で物議を醸しているようです。冥福を祈る対象は「日米双方の英霊」とのことで、ここに(日本以外の)アジア人が入らないあたりに自衛隊側の真意が窺えるところでしょうか。実態を伴わなかったことを別にすれば「欧米からアジアを解放」という大東亜共栄圏の大義名分自体は悪くないものと思います。しかるに現代において日本が仮想的と見なしているのはアジアの国々であって、いわば「アジアからアジアを開放」して「アメリカの覇権を確立する」ことが外交方針となっているわけです。この点では戦前から明確に意識が違うところ、それが良いものかどうかは別ですが……

コメント
  • Twitterでシェアする
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

何が給料を引き上げるのか

2024-04-07 23:09:30 | 雇用・経済

 さて連合などの発表によれば「定期昇給を含む」賃上げ率は5%を上回るところが多い、中小企業でも4%台後半が平均なのだそうです。私の勤務先も定期昇給を含めた賃上げ率は結構な高い数値となっていますが──残念ながら誰もが定期的に昇給するわけではなく、昇進するのは一部の人に限られる、微々たるベアの上昇で我慢せざるを得ない人もまた多いのではないでしょうか。私も成果手当に関しては決して悪くない評価をもらっていますけれど、入社当時と大差ない給料のまま働き続けています。

 ここで私は思ったのですが、御用組合の連合傘下にある企業と、戦う組合が多数派を形成している企業、そして組合のない企業と、それぞれ賃上げ率に目立った差はあるのでしょうか? 大企業と中小企業という会社規模に分けて賃上げ率は発表されていますけれど、組合の方向性の違いや有無による分類があるのなら、それは興味深いところです。

 時には組合の要求に対する満額回答どころか、組合要求を上回る賃上げ率を発表する企業もあります。あるいは組合が会社のイエスマンで、微々たる賃上げでも「苦渋の決断」であっさり受け入れてしまうケースもあります。一般には組合がなければ会社への要求を通しにくいとされるものですが、しかし組合のない企業の賃金水準が組合のある企業に比べて大きく劣るかと言えば、同程度の事業規模であれば顕著な差はありません。賃上げと組合の因果関係はどこまで実存するのか、そこも気になります。

 かつてヘンリー・フォードは低コストな自動車生産で市場を席巻しましたが、それは日本企業が得意とする人件費削減によるものではなく、むしろ大幅な賃上げを行っていたわけです。フォードは賃上げだけではなく1926年には早くも週40時間労働を取り入れるなど労働時間の削減においても時代の先端を歩んでいたと伝えられます。しかしフォードは一貫して労働組合の結成には否定的で、フォード社における組合の完全な結成は社長の代替わりを待つしかありませんでした。

 組合潰しのためには暴力の行使すら厭わなかったヘンリー・フォードが、従業員に対しては同業他社を大きく上回る賃上げを提示してきたことは、賃上げのメカニズムを考える上で興味深い例と言えます。組合側は当然のこととして賃上げを自らの成果と誇るところですけれど、しかし組合がなければ賃金が上がらないかと言えばそうでもありません。労働者の代表として組合の存在意義がなくなることは考えにくい一方で、本当に組合が役目を果たせているのかは問われるべきものがあるでしょう。

 また新卒社員の初任給に関しては、5%どころではない大幅な賃上げが発表されるケースが相次いでいます。既存の社員は1万円の賃上げでも大幅アップなのに、新卒初任給は3万アップ、5万アップ、なかには8万アップなどという企業も出ているわけです。こうした企業の中には一定の勤続年数を重ねた社員よりも初任給の方が上回る事態も発生しているようで、確かに勤続10年の私の給料よりも高い給与で新卒を募っている会社が今となっては珍しくない、何だかなぁと思います。

 新卒社員の初任給の引き上げもまた、組合の要求によって実現されたものではないはずです。組合が会社と微々たる賃上げを巡ってプロレスを続けているのを尻目に、若い社員を確保したい会社は初任給ばかりを大きく引き上げているわけで、ここでもやはり組合の有無なんかよりも会社側のニーズや市場原理の方が人件費を動かすのだなと意識させられます。雇用側からすれば何も知らない新卒の若者の方が勤続20年の氷河期中年よりも価値がある、そう思ったら組合の要求などなくとも賃金は(一方だけが)上がる、そういうものなのでしょう。

 採用抑制が絶対の正義だった時代に入社した人々は20万程度の横並び初任給から昇給とも無縁で働き続けてきた一方で、企業が若い子の確保を競う時代に入社した人々は最初から25万、30万と景気の良い給料を提示されています。もっとも世界に目を向ければ10万円以下の月給で働く人もいる、パートタイムの外国人労働者でも日本円で50万円以上の月給を得られる国もあるわけです。高い給料を得るために必要なのは組合の交渉でも本人の努力でもない、時と場合の巡り合わせが最も大切なのだと断言する他ありません。

コメント
  • Twitterでシェアする
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

本当に孤立しようとしているのは

2024-03-31 22:15:30 | 雇用・経済

林官房長官がロシアを非難 国連北朝鮮パネル延長めぐる拒否権行使(朝日新聞)

 林芳正官房長官は29日の記者会見で、国連安全保障理事会で北朝鮮に対する経済制裁の履行状況を監視する「専門家パネル」の任期延長が否決されたことについて、「遺憾だ」と語った。拒否権を行使したロシアを「理事国の重責に反する」と非難した。

 パネルの任期は4月30日までで、延長には決議の採択の必要があった。常任理事国で北朝鮮との関係を深めるロシアが28日の安保理会合で拒否権を行使し、パネルの活動停止が決まった。

 林氏は専門家パネルについて、「関連安保理決議の実効性を向上させるための重要な役割を果たしてきた」と評価。ロシアの対応を「国連および多国間主義の軽視であり、グローバルな核不拡散体制を維持するという安保理理事国としての重責に反する行為で残念だ」と強く非難した。制裁の完全履行に向けて、「米国、韓国をはじめとする同志国とこれまで以上に緊密に連携しながら、更なる対応を検討していく」と語った。

 

 イスラエルを巡ってはアメリカも国連で拒否権を行使したばかりですが、それを日本政府が非難したという話は聞きません。林官房長官曰く「理事国の重責」とやらが存在するらしいですけれど、これは果たして全ての理事国に等しく課されるものなのでしょうか。ある国が拒否権を行使したときは沈黙を守り、別の国が拒否権を行使したときは政府の代表が公然と相手国を非難する、両者の違いをまずは説明する必要があるように思います。

 アメリカによる拒否権の行使については黙認する一方で、アメリカの傘下にない国による拒否権の行使を認めないのであれば、それこそ国連の存在意義を否定するものです。異なる立場の国々が話し合うからこそ国際的な枠組みには意味があるのであって、アメリカという特定の国の見解だけを優先するのであれば、わざわざ国の代表が集う必要などありません。アメリカの意向に付き従うだけならば、国連ではなくワシントンから指令を受け取れば済む話でしょう。

 ともあれ結果として日本は「米国、韓国をはじめとする同志国とこれまで以上に緊密に連携」と、今まで以上に身内での排他的な結束を高めていく方針を表明しています。日本からすればアメリカとその衛星国こそが「国際社会」であって、「同志国」の間で連携できてさえいれば国際協調ということになるのかも知れません。しかし現実には日本の思い描く「国際社会」は少数派に過ぎず、とりわけアジア地域においては顕著である、かつての経済や軍事面での先進的地位も失われつつある中、本物の国際社会から日米欧が孤立していると言った方が現実に近いところすらあるはずです。

 フィンランドとスウェーデンが正式にNATO入りし、これをロシアの戦略が裏目に出た結果だと囃し立てる論者は少なくありません。しかし元からアメリカの衛星国に過ぎなかった国が中立の建前を捨てただけとも言えますし、逆に非NATO諸国の関係はどうなったかも考えてみる必要があるように思います。今回の引用に現れているようなロシアと北朝鮮の関係強化などを見るに、むしろ非NATO諸国の連携が強まっている、日米欧の一層の地盤沈下を招いているところはないでしょうか。

 アメリカを再び偉大な国とすべく、バイデン政権は自国に従属しない国々との対決姿勢を強めてきました。結果として日米欧の排他的結束は大いに強まりましたけれど、それ以上にアメリカに傘下に入らない国々の関係を深める結果を招いているとも考えられます。元来ロシアからすればNATO諸国もビジネスパートナーであり、その意向には気を遣わねばならないものでした。しかし日米欧からの一方的な非難を前に「吹っ切れた」ところがあるわけで、これまでアメリカとその衛星国との関係に配慮して控えてきた国々──イランや北朝鮮など──との協力関係を深めているのが現状です。

 中国からしても、ロシアとは互いに牽制し合う相手であって、必ずしも友好的な関係ばかりではありませんでした。むしろ空母の調達などソ連時代の兵器技術の入手ルートであるウクライナの方が関係性は深かったとすら言えます。しかし同様にアメリカからの一方的な非難や不当な制裁を科され続ける中で、生存戦略としてロシアとある程度までは協力せざるを得ないところまで中国が追い詰められているのが実態ではないでしょうか。

 つまり世界をアメリカの敵と味方へ明確に線引きしてきたバイデン外交が、アメリカに従わない国々の結束を深める結果を招いている、実態として非ドルでの決済も急速に広まりつつあり、「アメリカ(及び衛星国)なしの」独立した国々の連合が浮かび上がりつつあるわけです。そして現在のところ日本の外交はバイデン政権へ全面的に乗っかっている状況ですが、支離滅裂なトランプが大統領の座を取り戻せば、恐らく日本は「はしごを外される」結果になることでしょう。そうなったときアメリカの尖兵として振る舞ってきた日本は周辺のアジア諸国とどう向き合うのか、必然的に問われることになります。

コメント
  • Twitterでシェアする
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

定期昇給とはなんぞや

2024-03-24 22:20:20 | 雇用・経済

春闘の賃上げ率、2回目集計も5・25%と高水準…中小は4・50%(読売新聞)

 連合が22日発表した2024年春闘の第2回集計結果(21日午後5時時点)によると、平均賃上げ率は前年同期比1・49ポイント増の5・25%だった。15日に公表した初回集計の5・28%とほぼ同じで高い水準を維持している。

 賃上げ率は、基本給を底上げするベースアップ(ベア)と定期昇給を合わせた額で集計した。回答数は1446組合で、初回から倍増した。ベア分は3・64%となる。賃上げ額は4825円増の1万6379円で、ベアは4668円増の1万1262円だった。

 大手に続き、中小企業の交渉が始まっている。組合員数300人未満の企業の賃上げ率は1・11ポイント増の4・50%だった。初回集計の4・42%よりもわずかに上昇している。

 

 さて春闘も結果が揃いつつありますが、これまでに比べれば随分と良い数値が並んでいるようです。大企業であればベースアップと定期昇給を合わせて平均5.25%、中小企業でも4.5%とのことですので、このペースが続けば多少は希望も見えてくるでしょうか。私の勤務先の親会社グループも今年は業界平均を上回る賃上げを行ったらしく、その企業名が紙面を賑わせたりもしていました。しかるに組合から渡された資料に記載の賃上げ額とメディア報道で伝えられている賃上げ率がどう一致しているのか、今ひとつ私には分からなかったりします。

 私の勤務する企業グループの場合、純粋にベアと呼べる基本給部分については数百円程度の増に止まり、比率としては「ほぼ0」でした。一方で評価に応じて支払われる成果給については8000円超のアップだそうで、これをベースアップに含めて良いのかどうか疑問に思うところですが、平均的な評価であれば恩恵にあずかれるとは言えます。これに家族構成に応じた扶養手当の増額を含めると総額で1万円に到達する計算になり、大幅な賃上げを勝ち取ったと、組合はそう誇っているところです。

 単身者も今は珍しくないだけに、扶養手当を満額で計算して成果をアピールする組合の姿勢には疑問を感じないでもありません。でもパワハラ上等で接待漬けの古い体質が抜けない御用組合からすれば、結婚して世帯を持ち家族を養う、それが「普通」なのでしょう。ともあれ組合の公表するモデルケースでは1万円の賃上げ、一応は私が入社して以来の最大幅ではあります。しかしメディアの報道によると、勤務先グループの賃上げ率は組合の誇るよりもずっと大きいらしいのです。

 冒頭の引用のように、賃上げ率はベアと定期昇給の合算で発表されるのが通例です。私の勤め先の場合も、組合の発表額に「定期昇給」を追加すれば新聞やテレビで報じられているような賃上げ率に合致するものと推測されます。ただ定期昇給の「定期」とは、「誰でも定期的に」という意味ではありません。社員としての等級が一つ上がった場合の昇給分と組合のアピールする賃上げ分を合算すれば、だいたいメディアで伝えられている賃上げ率に近い計算結果が得られます。しかし昇進しなければ「定期昇給」分などないわけで、この場合はどういう計算になるのでしょうか?

 近年、初任給ばかりを大きく引き上げようとする会社も見られるようになりましたが、それまでも初任給は横ばいが基本で少なくとも下がっては来ませんでした。ただ初任給が維持されてきたにも拘わらず、日本で働く人は30年前よりも貧しくなってしまったわけです。それは結局のところ入社した後の賃上げがなかったからで、昔は入社10年もすれば給料は倍になった、一方で氷河期の採用ともなれば入社10年でも新人時代と大差ない給与のまま据え置かれているケースが珍しくありません。定期昇給が重なっていれば親世代と同じ程度の賃金を得られたはずの人が、定期昇給とは無縁で入社当時と変わらない賃金で働き続けている、日本が貧しくなった原因はそこにあるように思います。

参考、年功序列でないことだけは確かだ

 もちろん私の勤務先でも昇進を重ねる人はいます。そういう「定期昇給」を重ねる人であれば、報道にあるような大幅な賃上げと矛盾しないのでしょう。しかし、長く働いていても昇給の機会から遠ざけられている人もまた少なくありません。その場合はメディア上で流布される華々しい賃上げ率とは大きくかけ離れた給与しか得られないわけです。長く真面目に働いていれば定期的に昇給する、そんな仕組みがあれば社員も希望がもてる、仕事へのモチベーションも上がるのでしょうけれど、現実は真逆です。人件費を減らして内部留保を積み上げる上では効果的であったのかも知れませんが、その結果として日本社会はどうなったのか、日本の経済的地位はどうなったのか、顧みられるべきものは少なくないと言えます。

コメント
  • Twitterでシェアする
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする