★ reiGの『日記シックスは2人いた』 ★

山梨でHRバンドのドラマーをやってます
マツダ・アテンザと野球が大好きです

BEAST IN BLACK/Dark Connection

2021-11-02 | 北欧メタル
いま一番期待しているヘヴィメタルバンド、アントン・カヴァネン率いるBEAST IN BLACKの、2年振り3作目のアルバム『Dark Connection』が発売されました!

前作『From Hell With Love』は俺的2019年ベストアルバムに輝く大傑作で、全盛期のBON JOVIクラスの名曲「Sweet True Lies」を筆頭に、全曲最高級のメロディを持った作品でしたが、今作も全編美メロの嵐で、勝るとも劣らない出来に仕上がっています。
アルバムカバーをパッと見ると、恒例の野獣がいなくて心配になりましたが、よく見たら女性の眼鏡にバッチリ映っているという…。

シンセとダンサブルなビートを大フィーチュアしながら鋼鉄感を全く失わない、ダサカッコいい音像と演奏は、今は亡きBLESSED BY A BROKEN HEARTくらいしか近いものは無い、今となっては唯一無二の音楽性です。
ライブでは往年のACCEPTみたいなフォーメーションプレイも出るという、まさに80年代ド真ん中のようで、でも実はありそうでなかったバンド。
今まで以上に売れて欲しいし、再来日したらライブを観に行きたいです。

"Sweet True Lies" のMVはコチラ↓
https://youtu.be/4waVZXKE0GU


読書日記(2012年末~2013年前半)

2013-06-12 | 
○隻眼の少女/麻耶雄嵩 ≪なにが「ちょっぴりツンデレ」やねん≫
 日本推理作家協会賞と本格ミステリ大賞をダブル受賞したという話題作。後者はともかく協会賞を獲るくらいだから普通のミステリーに日和ったのか?と思いきや、やはり麻耶は麻耶だった・・・。読む者全てを唖然とさせる、というか遥か彼方に置いてきぼりにしてしまう結末は不変。この究極のバカミスに賞をあげようと思った人たちこそ最大のミステリーだとも思うが、「探偵の絶対性」を深く考察したゆえの作品であることは間違いない(ような気がする)。あと、帯タタキの大嘘っぷりには爆笑。

○残穢/小野不由美 ≪実話風超恐怖怪談≫
 小野流百物語『鬼談百景』と同時出版され、ある意味で内容もリンクしている実話風ホラー。何しろ怖く、怖さでは『屍鬼』さえも超えたかもしれない。ある家にまつわる恐怖体験を、家や地域の歴史を遡って調査していくというストーリーで、怪異の起源が少しずつ紐解かれていくさまは、ある意味ミステリーの興奮にも近い。ゆったりとした展開の割りに終盤は凄い駆け足で、あと100ページあれば更に傑作になった気もするが、ラストの悪夢のような光景はちょっと忘れ難い。本人含め何人もの作家が実名登場しているところは、作者の旦那も登場した『ウロボロスの偽書』みたい。

○のぞきめ/三津田信三 ≪怖さは最上級≫
 ホラーミステリー「刀城言耶」シリーズで大人気の作者のノンシリーズ作品。同じ作者の「家」ものに近い雰囲気で、怖さでいえば三津田作品で最高の部類で、たいへん面白く読めた。この作者のいつものパターンで、結末が微妙にぼかされているのは良いのか悪いのか・・・。個人的にはミステリー趣向は除いてホラー一直線でいってほしかった。

○祝山/加門七海 ≪超怖い実話怪談風ホラー≫
 最近増えてきた、作者が実名(又はそれを髣髴とさせる名前)で搭乗する実話怪談風ホラー。ひとことで言えば怖い、超怖い。『残穢』『のぞきめ』と同じく、ラストが駆け足すぎるところが残念。

○怪談徒然草/加門七海 ≪自意識過剰女の恐怖≫
 霊能作家(?)加門氏の実体験や直接聞かれた話をまとめたという実話怪談集。「三角屋敷」のヤバさ恐ろしさは凄まじいものがあるが、全体的にみるとちょっと自意識過剰では?と言いたくもなる。とりあえず、友達にはなりたくない(笑)。

○嫌な物語 ≪まさにタイトルどおり≫
 タイトル通り「嫌な物語」ばかりを集めたアンソロジー。「くじ」「すっぽん」など既読作品も多かったが、「ナイト・オブ・ホラー・ショー」「赤」「言えないわけ」がとても気に入った。ハードカバーしか出ていなくて10年以上前に図書館で借りて読んだきりの「善人はそういない」を手に入れられたのも嬉しかった・・・と思ったら、既にちくま文庫で出ていたとは。

○カンタン刑/式貴士 ≪エログロの極地≫
 知る人ぞ知るSF作家、式貴士のホラー系作品を集めたアンソロジー。あまりのグロさが有名な「カンタン刑」や、よく出版できたな?という監禁もの「おれの人形」も面白いが、女の執念と壮絶なオチが恐ろしい「鉄輪の舞」が一番気に入った。

○窓鴉/式貴士 ≪タイトルはダジャレだがストーリーは美しい≫
 『カンタン刑』のエログロ恐怖路線とは一線を画す、式貴士の別の一面であるロマンティックな短編を集めたアンソロジー。特に「窓鴉」「Uターン病」「マスカレード」の美しさ、儚さは格別(昔の少女マンガみたい)。

○天狗・立春大吉/大坪砂男 ≪世紀の怪作≫
創元推理文庫からまさかの全集発売、ていうかその前に全集出すべき人が他にもいるとも思うが、その全集の1と2を読了。有名な「天狗」は語り口のイカレ具合、トリックと動機のぶっ飛び具合に有無を言わさぬパワーがあるが、傑作かといわれるとなんとも。「涅槃雪」「三月十三日午前二時」は抒情的で良かったが、「立春大吉」や「赤痣の女」等は文章に癖がありすぎて、ちょっとついていけない。

○いま、殺りにゆきます RE‐DUX/平山夢明 ≪実話怪談の極北≫
 映画化もされた、都市伝説系の実話怪談を書かせたら右に出るもののない作者の傑作集。もう二度と読みたくないくらい嫌な話のオンパレード(褒め言葉)。ちなみに作者は『残穢』に登場して大活躍している。

○日本探偵小説全集(5) 浜尾四郎集 ≪今でも十分読める≫
 検事・弁護士にして子爵、貴族院議員にまでなった夭折の作家、浜尾四郎の傑作集。代表作「殺された天一坊」などは、いま発表されても十分に通用する完成度を持っていると思う、「グリーン家殺人事件」に触発されたという戦前随一の傑作本格推理長編「殺人鬼」も、トリック・犯人設定に若干の古臭さはあるものの、時代性を感じさせない文章は素晴らしく読みやすく、推理過程の構築度も申し分ない。

○東西ミステリーベスト100/文藝春秋編 ≪新・ミステリー愛好者のバイブル≫
 25年以上前に企画された伝説のミステリーベストの現代版。旧企画は、高校・大学時代の自分にとってまさにバイブルだった。旧企画と新企画であまり順位が変わらない作品と、評価が一変してしまった作者・作品があるのが面白い(旧企画では全くランキングに入らなかった山田風太郎が大ブレイクしていたりとか、一部有名作品を除くハードボイルド株や「レドメイン家」株が暴落していたりとかの一方、クリスティや横溝正史の評価は不変)。

○四畳半神話大系/森見登美彦 ≪無意義な毎日への賛歌≫
 アニメ化もされた作者の出世作。「あの時ああすれば良かった」「俺は環境次第でもっとできる」「こんな退屈な毎日はつまらない」「あいつは嫌な奴だ」といった、よくある愚痴に対する強烈なアンチテーゼ。主人公は時を遡って別の道を選び直しても、結局変わらない無意義な学生生活を過ごしてしまうが、しかしあるきっかけから、うんざりしていたその「無意義な毎日」に対する見方を根本的に変えていく。結局、楽しい毎日を送るかつまらない毎日を送るかは、自分の心次第だということ。ちなみに小説とアニメでは、アニメの方が文学的でさえあると思う。

○暦物語/西尾維新 ≪怪奇を装った夫婦漫才小説≫
 『化物語』シリーズの最新作。これまでの作品の補完的な短編集ということだが、ストーリー云々よりも夫婦漫才のキレが半端なかった。講談社BOXって高いしかさばるし、つまんなかったらさっさとAmazonで売っちゃおうと思っていたが、これでは売れない。

○俺の妹がこんなに可愛いわけがない(12)/伏見つかさ ≪見事な結末≫
 大ヒットライトノベルが遂に完結。広げまくった風呂敷にどうやって収拾をつけるつもりかハラハラしながら読んだが、作者は上手く落ちをつけた。これはこれでどうかと思う部分もないではないが、これ以外の結末では誰も納得しないだろう。お見事。

○緑色の目の白いネコ、古い屋敷に残された話/レ・ファニュ ≪古き良き怪奇小説≫
 金の星社の児童向け恐怖小説シリーズ「世界こわい話ふしぎな話傑作集」から刊行されたレ・ファニュの作品集。兄弟の陰惨な確執を描いた『古い屋敷に残された話』は子供に読ませたい話ではないが、大人が読むぶんにはすごく面白い。それ以外の話はさすがにちょっと古臭い。やっぱりレ・ファニュだったら、「カーミラ」「クロウル奥方」「緑茶」あたりだな。

読書日記(2012年10月)

2012-11-07 | 
○謎の物語/紀田順一郎編 ≪リドル・ストーリー傑作選≫
 その後の展開や事件の真相などをあえて描写せずに読者の想像に委ねた小説形式を「リドル・ストーリー」という。古くは小泉八雲の「茶わんの中」などに始まり、特に高名なのが、ストックトンの「女か虎か」だ。恋人の処遇について、虎に喰い殺されるのと憎いライバル女の夫にされるのとどちらを選ぶか?という究極の選択もので、その選択の結果は皆さんのご想像におまかせ!という話。ある意味とんでもなく他力本願の放置プレイもいいところで、一から十まで全て説明された解決を好む最近の若い読者にはウケないだろうが、これが当時大評判となり、ジャンルの代名詞とまでなった。この本は、それら2作以外にも、木々高太郎の「新月」、モフェットの「謎のカード」、ブッツァーティの「なにかが起こった」等、リドル・ストーリーの傑作・有名作揃いのアンソロジー。特に「新月」は、久々に読んだけど素晴らしく余韻を残す良い小説だ(木々は自分の高校の大先輩でもあったりする)。一般的な概念でのリドル・ストーリーとはちょっと違う気もするが、ジェイコブズの「おもちゃ」も心に残る話だった。

○ギャシュリークラムのちびっ子たち/E・ゴーリー ≪陰惨かつユーモラスなABC≫
 「Aは~(A is for ~)」というABC数え歌の形式で綴られる、26人の子供たちの非業の死。悲惨で救いのない絵本だが、どこかしらユーモラス。しかし、斧はちょっとエグかった。

○おぞましい二人/E・ゴーリー ≪淡々とした雰囲気が怖い≫
 60年代に英国を震撼させた『荒野の殺人鬼』、ブレイディ&ヒンドレーをモデルとして書かれた絵本とされているが、ストーリーはほぼフィクション。あまりにも淡々と描かれた殺人カップルの一生が逆に戦慄を誘う。

○うろんな客/E・ゴーリー ≪子供かぁ≫
 ゴーリーの代表作といわれる絵本。確かにブラックだが、悲惨な要素は無い。可愛くとも不気味とも思える不思議な生物「客」は子供の隠喩だとの解説を読み、なんとなく納得した。

○鬼談百景/小野不由美 ≪小野流百物語≫
 一部で静かな盛り上がりを続けている実話怪談。これはブームの中心である雑誌『幽』に、小野不由美が連載した実話(風)怪談を集めた短編集。よく考えたら「くらのかみ」以来、約10年ぶりの新作だった(ゴーストハントのリライトは除く)。リアリティとイマジネーションという相反する要素を兼ね添えたホラー作家である作者が、長年コツコツ収集してきたという実話怪談に触発されて書いた作品だけに、どの話も本当にありそうで怖い。ちなみに、「悪夢の棲む家」の過去の事件を下敷きにしたと思しき話も収録されていて、ゴーストハントファンとしては思わずニヤリとさせられた。

○ポドロ島/L・P・ハートリー ≪異様で不条理な恐怖≫
 古典的怪奇小説とモダン・ホラーの懸け橋的作者の短編集を再読。無人島に巣食う得体の知れない恐怖を描いた表題作「ポドロ島」は、他にも幾種類か和訳があるが、この訳が一番しっくりくる。はたして犯人は怪物か船頭か、はたまた筆者か、それとも全てが妄想か・・・。他では「動く棺桶」「島」「愛し合う部屋」が良い。でも「動く棺桶」はただのギャグだよね?

○心霊探偵八雲5/神永学 ≪竜頭蛇尾だがキャラものとしては十分読める≫
 遂に宿敵・七瀬美雪の半生が明らかに。前半部分は過去最高に面白かった。しかし、あまりに飛躍した展開や登場人物の思考が多かったり、○○が実は○○だったりで、後半はかなり残念な感じ。いくらなんでも八雲父は超人過ぎますがな。完全にキャラものになった感があるが、ファンとしてはそれなりに楽しめた。

○僕は友達が少ない ゆにばーす/平坂読 原作 ≪違和感ゼロ≫
 人気ラノベ『はがない』のトリビュート短編集。各話とも原作の作風・文体をよく掴んでいて、ほとんど違和感無く楽しめた。ちなみに「三二四駆」は、本当にそういうパチモン商品があったのだろうか?世代的に若干上なので分からん。でも昔は「モビルフォース ガンガル」とか「パクパクマン」とか、パチモン天国だったよね~(笑)

読書日記(2012年前半)

2012-09-28 | 
○覇王の死/二階堂黎人 ≪編集者は死んでしまえ≫
 二階堂の看板シリーズ、蘭子ものの最新作。シリーズ前作『双面獣事件』や他のシリーズものから、作者のあまりの衰えっぷりが推察されてはいたが、それでも蘭子の本格ものならもしかすると・・・という淡い期待から買ってしまった自分がバカだった。「日本にある外国人だけの移住村」という発想は悪くないと思うが、普通なら伏線を織り込みつつ隠して最後にビックリ的なそのネタを全く隠さずに話は進み、でも何か意味はあるのかもと思っていたら、結局たいした意味は無かった。なんだったんだニューホーリー村・・・。生涯の好敵手だったはずのラビリンスの扱いもあまりに中途半端だし。そして、「あの彼」の子を生んでしまった(と思われる)蘭子がまったくもって意味不明、ていうか奴とやっちゃったのかよ・・・。前作読了時も書いたが、この駄文を書いた作者も作者だが、これをお客に売っても良いと判断した編集者こそ責められるべきだと思う。金返せ、ていうか慰謝料加えて金よこせ。もう次こそ絶対買いません。さようなら二階堂黎人。

○神様ゲーム/麻耶雄高 ≪人を選ぶ傑作トラウマ小説≫
 講談社の少年向けミステリーシリーズ『ミステリーランド』の一冊として上梓されたものの、そのあまりの衝撃的展開と無慈悲なまでに突き放したラストに、「トラウマ小説」の名を欲しいままにし、大絶賛と大批判を浴びた作品。ノベルス化を機に再読。あの「銘探偵」メルカトル鮎を生んだ作者だけに一筋縄でいかないというか、ついてこれる奴だけついてこいという作品だが、よくよく読むとミステリーとしての完成度は恐ろしく高く、間違いなく麻耶の最高傑作といえると思う。トラウマ的にも、さすがに小学生に読ませるのはどうかと思うが、高校生以上の人間が読む分には全く問題ない(よね?)。ある「超自然的要素」が原理主義的本格推理マニアに受け入れられないようだが、本策におけるその要素は狂言回しとしての役割であって、ミステリーの根本にかかわる問題ではないことを理解するべきである。

○蛍/麻耶雄高 ≪嫌がらせかリスペクトか≫
 正直ネーミングはどうかと思うが、山奥に建つ異形の建築物「ファイアフライ館」を舞台にした。いわゆる「館」ものミステリー。館・大学サークル・数年前の惨劇・連続殺人・叙述トリックと、露骨に綾辻を意識した作風で、前半までは「十角館」や「霧越邸」あたりを読んでいるかのような既視感も。しかしそこは麻耶、後半は叙情的かつ爽快な綾辻系パズラーを意図的に放棄、彼独特のイヤ~な世界観を読者に押し付けまくってくる。パッと見には綾辻ファンへの嫌がらせとしか思えないが、もしかしたら先輩が大好きなのかも(笑)。2つある叙述トリックの片方が最初からバレバレなのもワザとなのか?

○さまよう刃/東野圭吾 ≪映画は駄作だが原作は佳作≫
 先に映画版を観てしまったのだが、寺尾聡の演技のみが光り、ぶっちゃけ映画としては明らかな駄作だったこの作品、原作小説はなかなかの力作だった。いつもながら脇役が魅力的で、特にペンションオーナーの娘は良いキャラクターだった。ストーリー的には、正義漢・東野らしい展開で罪と罰の難問に一歩踏み込んではいるが、結論まではうやむやにしているような気も。

○黒笑小説/東野圭吾 ≪くだらないが面白い≫
 『超・殺人事件』に代表される、東野の別の一面である出版業界を舞台にした作品を中心としたスラップスティック・コメディ集。魑魅魍魎が跋扈する(と言われる)出版業界、実際にこんな連中が居てもまったくおかしくない気がする。まったくもってくだらないといえばくだらないが、面白く読めることは間違いない。

○犯罪ホロスコープ(1)/法月綸太郎 ≪現代に蘇ったクイーンの冒険≫
 法月綸太郎シリーズの短編集。12星座にちなんだ事件を綸太郎が解決していくという、クイーンやポワロの短編集に夢中になった人にはたまらない趣向。ただ、かなり強引に星座にこじつけた話もあるにはある。本格推理短編としては、どの話も切れ味上々。「功績」や「パズル崩壊」ほどの域には達していないが、残る6星座分も楽しみ。

○ついてくるもの/三津田信三 ≪終わり良ければ・・・≫
 怪奇・伝奇的推理小説の刀城言耶シリーズで人気の作者の、『赫眼』に続く2冊目のホラー短編集。前作とは異なり、実話怪談風の体裁をとっている話が多くを占めているが、ほぼ全て創作だろう。特に、表題作「ついてくるもの」「八幡藪知らず」「裏の家の子供」あたりが気に入ったが、どの作品も十分怖い。しかし、最後に収録された刀城ものの短編「椅人の如き座るもの」だけは完全に蛇足かつ駄作。まるで、捨て曲を良かれと思ってボーナストラックとして収録したら全体の流れを台無しにしてしまったロック・アルバムのよう。

○八月の暑さの中で・南から来た男/金原瑞人 編訳 ≪瑞々しい文体で名作怪談を≫
 翻訳ヤングアダルト小説界の重鎮が厳選した、古典的英米怪奇小説のアンソロジー。2冊とも岩波少年文庫刊なのでつまり子供向けで、グロい話や残酷な話は全く選ばれていないが、文・装丁とも大人の鑑賞にも十分堪える。どちらかといえば、前者の方が怪奇的、後者は叙情的なセレクトが多いか。半分以上が既読作品だったが、少年向けの瑞々しい文体で訳され、新たな命を与えられた作品たちはとても新鮮に感じる。特に、世紀の怪作(傑作とは言えないと思う)「ボドロ島」が新訳で読めたのはちょっと感動的だった。ちなみに編者は感動の傑作ホラーファンタジー、クリフ・マクニッシュ作の『ゴーストハウス』の訳者でもあることに気がついた。

○憑かれた鏡~エドワード・ゴーリーが愛する12の怪談 ≪怖い絵と怖い話の競演≫
 絵本作家として有名なゴーリーがセレクトした、英国怪奇小説のアンソロジーで、各話の扉に編者自身がイラストをつけている。この絵がまた、作品のイメージを何倍にも膨らませるような秀逸なもの。特に「空家」「夢の女」「判事の家」には本当にゾッとさせられた。掲載作品も「猿の手」「信号手」のような古典中の古典から、比較的無名な作家の隠れた名作まで、見事としか言いようのないラインナップ。個人的には、『ドラキュラ』が有名すぎて他の作品が霞んでしまっているB・ストーカーの「判事の家」が特に怖かった。

○ゴースト・ハント/H・R・ウェイクフィールド ≪最後の英国怪奇小説家≫
 長いこと「防人」など一部作品しか知られていなかった“最後の英国怪奇小説家”ウェイクフィールドの短編集。国書刊行会から出ていた『赤い館』を底本として新訳短編を大幅に加えた本だが、どうせなら「防人」も新訳して入れて欲しかった。それはともかくとして、(良い意味でも悪い意味でも)古臭い怪奇譚ばかりかと思っていたら、意外とモダンなセンスの作品も含まれていることに驚かされた。もちろん期待通りの古典的幽霊屋敷ものもありで、非常に面白かった。ちなみに「防人」「ゴースト・ハント」「目隠し遊び」の3作を読み比べると、舞台・ストーリー展開はほぼ同じなのに味付けが全く異なっており、それぞれに違った恐怖を味わえるところが大変興味深い。ところでファーストネームとセカンドネームのイニシャルはギーガーと一緒だね・・・。

○怪談実話 無残百物語 ゆるさない/黒木あるじ ≪嫌な話(誉め言葉)≫
 新耳袋を先駆けとして、綾辻夫婦まで巻き込んで盛り上がりが止まらない実話系怪談。なかでもこの作品集は不気味な話・生理的に嫌な話が目白押しで、単なる幽霊譚や不思議話に飽きた人には最適。逆に気が弱い人、グロが苦手な人は絶対読んじゃ駄目。

○たましくる/堀川アサコ ≪全てがチグハグな駄作≫
 最近流行のホラー風味ミステリー。頭脳明晰なイタコと死者の声が聞こえてしまう女性のコンビという、この手のテンプレに従ったキャラ造形だが、割と平凡な事件で超常現象が殆ど出てこず、設定を生かしきれていないような?時代背景が古くてシリアスなストーリーの割に妙に軽い文体もダメ。ゴーストハントシリーズや心霊探偵八雲のレベルには全く及ばない。

○化物語/西尾維新 ≪21世紀の言の葉使い≫
 アニメ化もされた大ヒットラノベ。世界観は「怪異」を中心としたラノベ的ファンタジーだが、実質的な作品のテーマは「会話」。それも掛け合い漫才である。本を開くとよくわかるが、一般的に会話が多いラノベのなかでも圧倒的に地の文が少なく、ほぼ全編これ会話。主人公とヒロインたちの繰り広げる夫婦漫才(ダジャレ多数含む)が延々と淡々と続く。そう書くとメチャクチャつまらなそうな本に思えるが、これが破壊的なまでに面白い。作者の持つ、言葉に対する類まれなセンスの賜物だろう。

○僕は友達が少ない/平坂読 ≪リア充は死ね!(笑)≫
 まずタイトルに致命的な誤りがあって、正確には「僕には友達がいない」(笑)。それはともかく、友達がいない残念な高校生達が“リア充”を目指して友達作りの練習に励む部活“隣人部”の巻き起こす騒動を中心とした、残念系ラブコメ。主人公が「とらドラ!」の竜児と「俺妹」の京介を足して2で割った感じなのをはじめとしてテンプレ的なキャラクターも多いが、ヒロインの夜空、幸村、マリアなどの奇想天外で残念なキャラ造形はとても面白い。「周囲の人間の行動や思惑を一方的な思い込みで勘違いして描写した一人称」という文章形態だけでなく、邪気眼少女や理系腐女子など「俺妹」との類似点は多いが、こちらはこちらで十分に魅力的で個性的な世界を持っている。

○わたしたちの田村くん/竹宮ゆゆこ ≪個人的には相馬さんが好み≫
 名作ラノベ『とらドラ!』の作者のデビュー作。それなりに面白く読めたが、あまりにイタい空回りを続ける田村くんのエキセントリックなキャラには引くしかなかった。ある意味、串枝の原型か。

○ゴールデンタイム/竹宮ゆゆこ ≪作者の伝えたいものが全く分からない≫
 同じく『とらドラ!』の作者の新作。今度の舞台はラノベには珍しい大学。主人公の多田万里は、大人しいくせに時々ブチ切れて調子に乗った空回りをみせるという、田村くん2世的キャラクター。ヒロインの加賀香子は、ゴージャスお嬢様なのにアレコレすごく残念というキャラで華々しくデビューしたものの、回を追うごとに四畳半フォーク的地味キャラに変貌。正直、キャラに対する感情移入先が見つからない。万里の「霊魂」がまだ本筋に大きく絡んでこなかったりとか、やなっさんと岡ちゃんの恋が全然発展しなかったりとか、何故か「なな」と読むキャラが二人いたりとか、5巻を経てもストーリーの全貌が全く見えず混沌とした状態で、今のところ大変微妙な感触。『とらドラ!』は何かの奇跡だったのだろうか?

9/22(土)はHangar Hallでプチ・シェンカーナイト!

2012-09-13 | SSG/アダムスキー

来週土曜夜、SSGの2ヶ月振りの山梨でのライブを行います!
タイトルは『 ~プチ・シェンカーナイト~ 復活祭Ⅱ 2012 』、
場所は「Hangar Hall(中巨摩郡昭和町河西622-1)」です。

千葉から、日本最高峰のMichael SchenkerマニアであるJICKさん擁する
「くぇん一郎バンドNEO」を招聘し、
また、同じく対バンの「Pasadena」さんも、
バンド史上初(?)のシェンカー曲をセットに入れてこられるという、
マイケル・シェンカーだらけのハードロック大会です!

前売り(置きチケ含む)は1ドリンクサービスとなりますので、
ご来場される方はぜひ、前もってメンバー等にご連絡ください。
それでは、多くの皆様のご来場とご声援をお待ちしております!!


≪日時≫ 9月22日(土) 18時00分開場
≪場所≫ 山梨Hangar Hall(中巨摩郡昭和町河西622-1)
≪料金≫ ¥1,500(前売は1drinkサービス)
≪出演≫
 くぇん一郎バンドNEO(from 千葉)
 Pasadena
 しっかりしぇんか~グループ(SSG)

8/4夜は久々の東京公演!新宿Crawdaddy Clubです!!

2012-07-31 | SSG/アダムスキー

今週土曜夜、SSGとして1年振りの東京公演を行います!
5月に続き、「宇宙征服」さんと2バンドでのイベントです。
タイトルは『白船漂流2012 Monsters Of あざと~す!』、
場所は「Crawdaddy Club(新宿区歌舞伎町2-28-15 KビルB1F)」です。
ミュージックチャージは2,000円ですが、
なんと浴衣にてご来場の方は半額!女性のみ・・・と言いたいところですが(笑)、男性もOKです!
それでは、多くの皆様のご来場とご声援をお待ちしております!!

≪日時≫ 8月4日(土) 18時30分開場
≪場所≫ Crawdaddy Club(新宿区歌舞伎町2-28-15 KビルB1F)
≪料金≫ ¥2,000(+1ドリンク) ※浴衣でご来場の方は男女問わず入場料半額
≪出演≫
 宇宙征服(as UFO)
 しっかりしぇんか~グループ(as Michael Schenker Group)

明日、七夕の午後は桜座無料ライブ!

2012-07-06 | SSG/アダムスキー

明日、七夕の午後は、
しっかりしぇんか~グループ今季二度目の参戦ライブ、『LIVE AID 甲府 in 桜座』!
開場は午後2時で、SSGの出番は午後3時からです。
他の出演バンドは、パープリン、マイルストーンなど、全7バンド。
後援の「スーパーやまと」さんには大感謝!
ちなみに写真は、今朝の新聞記事です。
それでは、甲府市中心街は桜町通りの「桜座」でお待ちしております!!

また、7/21のHangar Hall、8/4の新宿Crawdaddy Clubも併せてよろしくお願いいたします~

明日はSSGライブ(黒船襲来III)!

2012-05-25 | SSG/アダムスキー

今週土曜夜は、しっかりしぇんか~グループの今季初ライブ『黒船襲来III 2012』開催!
日本最高峰のトリビュートバンド「宇宙征服」さんを観に来られるもよし、
県内外にその名を知らしめつつある、
“甲斐のマイケル・シェンカー”しっかりしぇんか~の入魂ギタープレイを観に来られるもよし、
Koteiさんが操るメロトロンやムーグ・シンセ等の珍しいキーボード群の音色を味わいに来られるもよし、
宇宙生物ベロニカさんとreiGパウエルがパワフルにぶっ叩く、
美しく光るアクリルクリアのツーバスドラムを観に来られるもよし!
昭和町Hangar Hallでお待ちしております!!

また、7/7の甲府桜座、7/21のHangar Hall、
8/4の新宿Crawdaddy Clubも、併せてよろしくお願いいたします~

1日1メタ(GALNERYUS/PHOENIX RISING)

2012-02-04 | ジャパメタ


ガルネリウスの最新アルバムは、歌も演奏も曲も最高だ。
文句のつけようがないし、ライヴも観てみたい。

しかし、だ。
このスーパーのBGMのようなキーボードの音色はなんとかならなかったのか?
アルバム全編を通して、どこかで聴いた音だと思っていたら、
バッキングはANGRAの1stや90年代のASIA、ソロはイェンス・ヨハンソンだった。
20年前の音・・・。
もちろん、ああいうのが好きなのはわかる。
俺も好きだし、当時のあれはあれでいい。
しかし今の時代に、スタジオアルバムでこの音はヤバい、死ぬほどダサい。

現代メタルでは、たとえばNIGHTWISHのような遥かにシンフォニックな音か、
BLESSED BY A BROKEN HEARTのようなダンサブルな音、
または逆に、OPETHのような70年代的ヴィンテージキーボードの音しか通用しない。
もっと音を引っこませていればここまで気にはならないだろうが、
このようにギターと同等の存在感を主張したいのであれば、一考してほしい。
というか、しないとマズい。
結局、「やっぱ様式美とかメロスピってダサいオタク音楽だよね~」となってしまう。
大好きなバンドである彼らには、そうなってもらいたくない。

何度も言うが、昔のバンド、昔のアルバムはあれでいい。
それが好きなマニアは居るし、俺もそうだ。
しかし今を生きたいなら、新しいファンを呼び込みたいなら、これでは無理だ。

SYUという稀有なテクニックとセンスとルックスを併せ持つギタリストと、
久武さんというメタルを知り尽くしたプロデューサーに、
それが分からないはずはないと信じたいのだが・・・。

読書日記(2012年1月)

2012-02-03 | 
どうも、今週はあまりの寒さと風の強さに野球がずっと中止でとても残念なreiGデス。
さて、今年最初の読書感想を。


○奇面館の殺人/綾辻行人
 前作『びっくり館の殺人』から6年振りの館シリーズ。
 だが、『びっくり館』もその前の『暗黒館』もある意味で番外編的存在であるため、
 正統的なシリーズ作品としては、実に『黒猫館』以来20年振りとも言えるかもしれない。
 直近の長編作品『Another』もホラーとはいえ久々の力作だったので、
 ワクワクしながら読んだがハッキリ言って期待外れで、
 著者本人は「初期の作風に近い正統派パズラーを」と考えて書いたと言うけど、完全に似て非なるもの。
 いつもながらの「ある仕掛け」などいかにも綾辻らしい部分はあるし、
 相変わらず気を使って叙述していることは認めるが、
 そもそもの解決につながる証拠が、作品世界の登場人物以外には意地悪なほど些末であるうえに、
 その登場人物なら皆、気づいてもおかしくない事象であること、
 被害者の首を切断した理由が、あまりに作品世界の特異な状況に依存していることなど、
 本格ミステリーとしては欠陥品だと思う。
 また、某メイドキャラの造形が本気かギャグか全く分からなくて困惑した(笑)
 完全に、綾辻の、綾辻による、綾辻マニアのため(だけ)の作品。
 1,300円と5時間を返してください。

○メルカトルと美袋のための殺人/麻耶雄嵩
 新本格ムーブメント随一の変態、麻耶雄嵩の第一短編集。
 世界一邪悪な探偵である銘探偵・メルカトル鮎は、
 本人も作中で言及しているように短編向き(というか長編ではキツイ)。
 続編である爆笑コント集『メルカトルかく語りき』と比べるとオーソドックスな本格ミステリーだが、
 やはりメルのキャラは強烈のひとことに尽きる。
 特に「遠くで瑠璃鳥の啼く声が聞こえる」と「小人閑居為不善」の2作が気に入った。
 ところで、早く『神様ゲーム』も文庫化してくれないだろうか?

○人面屋敷の惨劇/石持浅海
 著者曰く、「綾辻館」には敵わないが「石持館」にはなった、とのことだが、
 なるほどこれが彼の「館」なら、石持もこの程度かという感じ。
 あまりに状況が突飛かつ説明不足過ぎてついていくのが精一杯で、
 「館」ならではの重厚感は全く味わえない。
 というか、「人面」なのに鉛筆描きの絵って(笑)
 ティッシュペーパーを喉に詰めるという殺害方法も爆笑もので、
 四肢を縛り上げて無抵抗だからって、よく噛まれなかったね?
 この作者お得意のパターンではあるが、
 それまで一介の地味な登場人物だった人が唐突に頭脳明晰な閃きをみせて事件解決、
 というラストにも納得がいかない。
 いかにも石持らしい論理の弄びで、そんなんでよく犯人が観念するなという感じ。
 結局、何を書きたいのかよく分からなくて読者は置いてきぼり。


あと来週、かつて大好きだった二階堂黎人による蘭子シリーズの新作が出るんだけど、
前作『双面獣事件』が世紀の珍作だったから、買うの迷うんだよなあ・・・。