とある綾野剛ファンの思い出語り

気がつけば人気俳優の綾野剛さん。たまたまデビュー以来見ていたものとして、少しだけ思い出を語っています。

はじめに

2052-01-22 23:37:58 | 綾野剛
 ファンだ、と胸張れるほどキチンと追いかけていたわけではないけれど、デビュー作から見ていた者として……
 
 公式などのバイオグラフィーや写真検索ではわかりづらいブレイク以前の活動について、なにかしら伝わるものがあれば、と脳内曝します。

 基本的にあくまでも「作品」の中の綾野さんを見ているので、裏話やプライベートなエピソードについての記事はほぼありませんのでご了承ください。

お誕生日に寄せて(ごく私的な自分語り)

2024-01-26 04:31:40 | 日記
 ご無沙汰しています。
 あるいは初めまして。

 前回の記事がMIU404の頃なので、3年半ぶりになりますか。
 その間に、綾野さん関連ではまあいろいろとあったっぽいのですが、そのあたりの自分のアンテナは根元からポッキリ折れていますので、書くこととてございませぬ。

 この間、フッと……本当にフッと思い出した、多少イタい、ごくごく私的な思い出の話です。

 もう何年前か思い出せません。綾野さんが連続ドラマなど露出し始める前、自分が得られる情報源がビジュアルボーイしか無かった頃なので、2006年以前のことだと思います。

 ビジュアルボーイ掲載の綾野さんの週イチ日記で、ビジュアルボーイデビュー何周年かについての記事の中で綾野さんは、自分がファンに思いを伝えることができるのは今ここだけなのだ、と感慨深げな言葉の後、ファンに向けて感謝を述べられました。
 なんだか自分はどうしようもなく居ても立ってもいられなくなって、初めてビジュアルボーイの中のファンレター機能を使って、こちらこそありがとうございます、と書き始めました。
 遠い空の下であの美しい人が頑張っている…そう思うととても力づけられるのだ、と。
 そのようなことを書き送りました。

 次の週。
 ビジュアルボーイのオプション機能で、特定の俳優を登録しておくと、日記が更新されると自動的に内容がメールが配信され、しばらく前から利用していました。
 メール本文の書き出しは「Me Westさんへ ありがとうございます。」とありました。
 実は、メール配信を利用すると、日記の冒頭に登録者のニックネームが「〇〇さんへ」と自動的に挿入される仕様になっていました。
 だから、それは、私個人への返信ではなく、ファン全員へ向けた言葉で、おそらく私の他にも多くの祝いの言葉が届けられたのだ……と頭ではわかっていました。
 それでも……いかにも綾野さんらしい熱く真摯な言葉で綴られた感謝を述べてくださった、そのきっかけのひとしずくに自分のなけなしの勇気を振り絞った行動があったのだ……と……。
 静かな喜びが胸を満たしました。

 当時配信されていた壁紙などを保存していたガラケーはとっくの昔に破損し、配信メールを受信していたメーラーはPC買い替えの際にうっかりと初期化され、メール配信を利用するより前の日記をせっせとテキスト起こしして保存しておいた外付けハードディスクもとうとうこの年末に使えなくなりました。
 形のあるものはすべて失われ、ただ自分の中に残るのみ。
 
 どういうわけか。
 ふわりと、あのときの、泣きたくなるような思いの残り香が横切ったので、書き残しておきます。
 お付き合いありがとうございました。
 
 綾野さん、42歳のお誕生日おめでとうございます。
 早く「カラオケ行こ!」見に行かねば。

ふと気が付くと……

2022-01-24 21:18:57 | 綾野剛
 このブログを開設してから丸十年と数日経っていました。
 そして、あと二日で綾野さんは不惑を迎えられます。

 カーネーションに於いて天から降ったか地から湧いたか、多くの視聴者にとって突然現れたように思えたであろう綾野さんについて、触れる手掛かりになればと始めたブログでした。
 ブレイク前からのファンの方は自分以外にも大勢いらしたはずなのですが、思い出を言語化して、まとめて提示しているところはなかなか無いようで、思いがけなく多くの方に見ていただけました。

 今更自分が語ることは何も無いのですが。
 どうか綾野さんが自分をいたわって
(ね、もうちょっとだけでもいたわって)
 末永く演技を続けられますように。

役作り セカンドステージ

2020-09-14 19:11:17 | 綾野剛
 お久しぶりです。
 あるいは、はじめまして。

 MIU404のヒットにより改めて綾野剛さんの存在を認識した方が、検索の結果こちらにお越しになった可能性があるかもしれません。
 当方は朝ドラ「カーネーション」での綾野さんのブレイク以前の作品についてはそれなりに、ブレイク以後はポツリポツリと自分の感想を載せているブログです。

 さて、MIU404は自分も楽しく見ていましたが、ちょっとなかなか感情を整理することができそうにないので、まだ記事としては手が出せません。
 代わりに、色々(ほんとうにいろいろ)ネットに出た記事の中から、次の記事に触れたいと思います。
 (ちょっと妄想・思い込み過多)
 
「綾野剛 みんなが幸せになれる作品ってどんなのだろう エンタメ! NIKKEI STYLE」

 本文は各々読んでいただくとして(必要最小限の引用はさせていただきますが)、自分はなんともしみじみとしてしまいました。
 綾野さんの役作りについてはこのブログでも過去に触れたことがありますが、ああ、とうとう、やっと、次のステップに行かれたのだな…と。
 抜き身の刀という表現に、まったくその通りだったよな、と笑ってしまって、やっと鞘を得たのかよ、と(笑)
 ただ、彼という刀は他者を傷つけるものではなく、自分自身に向かうもので、彼が大きな役、深い役として立ち現れるのを目撃するたびに、その後ろに彼が役を自らのものにするために流した血を幻視していました。(あぶねーな我ながら)
 ほんとに、やっと鞘を得たのかよ…。ほんとにほんとだな?

 また、以前からずっと「来た仕事は可能な限り受ける」と言い続けていた人が、ちょっと違うことを言っている。ずっとある意味「自分が無い」と同等のことを言い続けていた人が…。自分の可能性について触れている。

 またまた。
>>それまでは、自分の身を削りながらやる作品がどうしても多かったし、
 ほんとそれな。ほんとそれな。
 自覚あったんですか。
 『ようやくかぁ』ってこっちのセリフですよ!

 とにかく。
 第2ステージ、おめでとうございます。
 ひたすら血を流しながら走り続けていた人が、不思議なことに走りまくる役柄の中で、振り返り、周囲を見ることを覚えた…。
 ゼロか100か、しかない人だとわかっているから、これからも全力疾走し続けるのだろうけど、体…だけじゃなくていろんなものを労り、気を付けつつ、新しい綾野剛を見せてくださるとうれしいです。

モニタリングと距離感と

2020-04-20 23:44:22 | 綾野剛
「こういう時だからこそ」

 皆様いかがお過ごしでしょうか。

 非常事態宣言が出される数日前、2020年4月頭に放送された「モニタリング」
 潜入ロケという企画に挑戦した綾野さんの姿がありました。

 以前から自分が座長となったドラマでは撮影現場で大変に気を遣い、共演者のみならずスタッフ一同を巻き込んで雰囲気を盛り上げている、という話は漏れ伝わっていましたが、ああ、こうやってスタッフをタラしているのだな、と(笑)

 番組の綾野さんがどれほど情熱的でストイックだったか、という話は今更私が語るまでもないかと。
 自分はちょっと「距離感」にこだわって少し話をしたいかな、と思います。

 大変楽しく番組を見たのですが、これ、もし収録が数週遅れたらそもそも成立しなかっただろうな、と思いました。
 ひな壇にタレントがずらりと並ぶバラエティ自体、今は作ることが難しい状況でしょうし、ハグとかもあり得ない。

 綾野さんの人との距離感がちょっとおかしい…というか近すぎる、というのはかなり以前から感じていたことでした。
 スイッと人の懐に入り込んでいって、垣根無く話をして、ハグなどの身体接触もサラリと行う。
 …これ、有名人だからいいようなものの、一般ピープルが行ったらただの不審者ですよ?
 というわけで、ブレイクする前の『渋谷』の役作りではカメラ持ってウロウロして通報されたり、取材対象の街の少女に警戒心抱かせて逃げられたりしたらしいです。
 まえにNHKの地方ロケ番組見たときも思ったのですが、綾野さん有名になって良かったなあ、近付いて喜ばれる立場になっていて良かったなあ…。
 綾野さんの顔と名前を千人に一人は知っているようになってほしい、と願った頃もあったんだよなあ…。

 綾野さんが番組スタッフをタラして、現場のカメラマンたちをタラして、触れ合い、一丸となって喜びを分かち合う、そんな番組を撮ることが間に合って良かった。閉塞感に気持ちがふさがりつつあった私たちに一陣の風を吹かせることができて良かった。

 新しいドラマが無事に収録を再開し、放送されることを願っています。


 ところで11年前の『スミレ人形』トークショーの頃から「綾野さんはとても良い匂いがする」という話を聞くのですが、残念ながら未体験。ストリートライブは極寒の中だったせいかそんな記憶はないのです。気になる~。

「影裏」

2020-04-08 00:31:40 | 綾野剛
 今年の2月、久しぶりに劇場で見た綾野さんの映画。
 去年も色々出演されていたけれど、綾野さんの俳優としての存在感が高まるにつれて出演作の内容がヘビーになっていって…
 正直、年を食ってくると、重い話を見る気力体力が無くなってくる。
 で、あー行かなきゃ、とか思っているうちにいつの間にか上映終了してる。

 これも軽い話とは言えないけど、まあ行かなきゃなと思ったタイミングがよかったわけで。

 事前の情報で、内向的な青年が転勤先で心を開いた同僚が姿を消し、探すうちに知らなかった側面を知る…ということは知っていた。
 なので、人の心の闇にグイグイ切り込んでいく話なのかな、と思っていたら、交流の部分の描写が全体のほとんどで、影の部分うんぬんは割とサラッと終わってしまった。

 ていうかさ、この主人公。
 内向的とか、翻弄され…とかいって、実は結構なファム・ファタルよね?
 や、男性だけどさ、その言葉がぴったりくる。
 かつての恋人、思いっきり彼に運命を翻弄された感を漂わせていたし。
 同僚だってキッカケとか当初の思惑はともかく、結構妙な感じに絡めとられてない?

 自分はタバコの煙苦手だし、禁煙場所でタバコ吸う男なんてしょうもないと思うけど、タバコを挟む指を映した画面はとても男性の色気を表していると思った。
 映画スターのタバコの持ち方を男たちが真似をする、そんな時代がかつて在ったんだよね。

 ところで、この作品でも綾野さんは潔く脱いでいて、ついついフォロワーさんと裸談義で盛り上がり、潔すぎる脱衣は色気を伴わないという結論になりました(笑)

「すみれ人形」トークショー ネタバレ編

2019-01-12 02:56:17 | その他映画
 「すみれ人形」再販のツイートを見て何気なく此処の記事のことをつぶやいたら監督自らリツイートされたり意外な反響があったので、せっかくなので当時の日記をノーカットでお届けします。映画本編のネタバレがっつりあります。苦情は受け付けません(笑)
 エゴサがなんぼのもんじゃい(ヤケ)

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 上映が終わって、場内が明るくなると、観客が一斉にガヤガヤと話し始めたのが印象的。
 10分の休憩の間にスクリーンの前に机と椅子とお水とマイクが用意されました。

 監督の金子雅和さんはびっくりするくらい若かったです。30歳そこそこくらいじゃないかしら。ラフな格好で、最初会場スタッフの方かと(笑)
 主演の腹話術師、小谷建仁さんは以前に「Life」で障害を持った若い芸術家役で見ていて印象的な人だなあと思っていたのですが、実際拝見すると、画面で見るよりずっと顔小さい! 細かいストライプで襟の白いシャツがよく似合って王子様みたいでした。
 片腕のストリッパー役、山田キヌヲさんは、映画の役とはまるで違った印象でした。映画では妖艶で神秘的な女性だったのですが、とても可愛らしい、元気でお茶目な感じの方。大正ロマンなおかっぱと柄の大きな着物がよくお似合いでした。
 主人公の幼なじみの樹木医、松岡龍平さんはオールバックの髪型と、今風に手入れされたお髭がよくお似合いで、ばりばりの関西弁でした。
 猟奇殺人犯、綾野さんはグレーでコーディネイト。てろんとした長袖Tシャツは胸元が大きく開いて、ペンダントがゆらり。グレーのベストと、グレーのハーフパンツ。脛は丸見えで、自分からは見えませんでしたが足元はサンダル履きだったらしい。濃いグレーの帽子をかぶっていて、黒縁の大きめな眼鏡。髪に強めのパーマをかけたという話でしたが、後ろでくくっているのか今一つ分からず。前髪が片目を常時隠している状態でした。

 今書いた順番に客席から見て左から座っていかれ、トークショー開始。
 綾野さんは名乗った後「豊かな時間にしましょう」と一言。今まで各種トークショーレポでもそう話していることは知っていたし、日記などでも必ず書いているので、綾野さんの決まり文句なのでしょう。
 松岡さんと綾野さんは「初めまして」だったそうで。映画冒頭、主人公の妹を襲うシーンしか出番がなかった綾野さんは、他のメインキャストさんとはまったく絡みがなかったようで。撮影初日だったので小谷さんは様子見に来ていたらしいです。元同じ事務所ですしね。

 撮影の思い出は、みなさんとにかく「寒かった」ことに終始したようで。
 山奥で、滝の前で水も凍り付いてる川に入ったり、吹きっさらしで何も遮る物のない廃墟で撮影したり、とにかく大変な現場だったようです。
 ロケの場の気温がマイナス3度で、都内に戻ってきて温度計を見ると2度で「あったかいな~」と言った話とか。
 もともとは映画学校の卒業制作だったらしく、撮影が押したりしているうちに、就職の決まったスタッフなどが一人抜け二人抜けしていき、自分の撮影を終えた山田さんがお手伝いとして駆け回っていたようです。たき火炊いたりお芋を焼いたり(笑)

 そういう話題にまったく入れない綾野さん。おまけに自分の撮影の時の様子をまるで覚えていないらしく、かーなーり緊張していました。
 ひとつ覚えているのは、女優さんを殴るシーンで、パシーンと鼻に当たってしまった、ということだそうで。見ていた小谷さんにも聞こえたとか。4テイクして、それが採用となったらしい。

 その話を受けて山田さんが、そういえば、と自分も当てられた話を。ケーブルカーで小谷さんに襲われるシーンがあるのですが、そこでガツーンと。(いや、見ていて、あそこマジ当たりしてるんじゃないかとは思ったんだ) 顔に青タンができて慌ててメイクさんと冷やしたそう。でもその痛みより、血糊を付けた手でべっとり手すりを掴むのだけれど、寒さで血糊があっというまに固まってしまって、手を離そうとするとべりべりべり……痛てててて……で、そっちのほうが痛いくらいだった、と。

 一通り思い出話が終わると、観客からの質問タイム。
 全部は覚えていないので、主だったものだけ書きます。

 まずは、腹話術人形はどうなったかという話。……グッジョブな質問です。
 まだ金子監督の実家の蔵にあるそうです(笑)
 口元の動くアップ用とロング撮影用の2体あって、片方は撮影で血糊つけてバラバラに壊してしまいましたが、口動く方はなんだか処分できないまままだ実家だそうで。
 やっぱり人形を処分しようと思うと御祓いとか必要そうですものね。

 以前のトークショーで皆さん「すみれ人形じゃなくて金子人形になります」とおっしゃっていましたが、今もお気持ちは変わりませんか、という質問。
 頭の上にハテナマークを浮かべていた綾野さん以外のキャストは笑っていました。
 どうやら金子監督はかなり画にこだわりのある方で、キャストに注文をつけまくっていたらしく。
 山田さんが水の入ったグラスを例にして
 「例えばこう立っているとすると」(自分の前30センチのところにグラスを置く)
 「『違います。こうです』と」(10センチほどななめにずらす)
 「…………どう違うんですか~~!!っと」
 というようなことらしいです。
 まあ、そのこだわりが美しい画面を生んだのでしょうから。
 綾野さんは自分にはそんな細かい指示はなかったと寂しそうに。
 飛んでください、走ってください、叩いてください、笑ってください。だけだったとか。
 皆さん、再び金子人形になる気持ちに変わりはないそうで。
 というか、松岡さんは最近一緒にお仕事したそうです。
 綾野さんもなにか話があったらしいのですが、スケジュールが合わなかったとか。

 綾野さんファンを名乗る人からは猟奇殺人犯を演じる上で思ったこと、という質問があったのですが。
 すみません。このことについての回答を私はまったく覚えていないのです。
 実はトークショーの間、私にはずっと気に病んでいることがありました。
 所詮、綾野さんの役は冒頭に出てくるだけの端役であり、他のメインキャストの皆さんとは作品に対する役割の比重が違う。ぶっちゃけ不在でもトークは成立するのです。
 それなのに、その場に集まった観客の多くはおそらく(私を含めて)綾野さんが目当てで、もし綾野さんへの質問が集中したら作品への貢献度とのバランスが大きく崩れるし、ほかの方々へも失礼じゃないかな、気を悪くされないかな、と心配していました。
 なもので、「綾野さんファンなのですが」という声が聞こえたとたんにもう「ぅわちゃ~っ」と頭ぐるぐるしてしまって。なんかもう全然聞いていませんでした。

 でも実際のところは、綾野さん名指しの質問はもうひとつだけくらいで、皆さん空気を読んでいるのか、あとはキャスト全員に向けてであったり、主役の方に対しての質問でした。
 監督や他のキャストの方も、どんな文脈だったかは忘れましたが、綾野さんの役は冒頭だけだったけど、物語のきっかけになっているのだから、とフォローしてくださいました。
 ぐるぐる悩んでいた自分がちょっと考えすぎだっただけのようです。

 綾野さん自身の様子はどうだったかというと。
 トークショーの間ずっと目立っていました。
 話に入れない+覚えていない+客席との距離が超近いてことで、緊張のあまりかなり挙動不審者になっておられて、キョドった仕草や言葉ひとつひとつがやたら可愛らしく、いちいち笑いを呼んでいたのです。
 わからない話題でも一生懸命に大きく相づちを打ったり。
 何度も水を飲むのだけれど、テーブルから少し遠くて、手を伸ばすたび松岡さんの前を遮る形になって、いちいち申し訳なさそうだったり。
 そして……。
 綾野さん自身は観客ともっと関わりたい、という気持ちがかなり強いようでした。
 数えるほどの質問しか受けられないことをひどくもどかしそうにされていて……。
 途中で突然、「えーと、じゃあ、皆さん左を向いてください」(皆左向く)
「右を向いてください」(皆右向く)
「僕には皆さんを動かす力があります」
 場内爆笑(てか失笑?)
 司会進行を勤めていた金子監督が「僕は会場の空気を掴んでいなかったのか」とがっくり。
 正直、個人的には、メインキャストでなかった綾野さんが会場と強く関わろうと前に出るのはどうなんだろうという気がしなくもなかったのですが、主役の小谷さんはひどく物静かな方だったし(たぶんほとんど自分から話していない)、松岡さんは振られれば関西弁で楽しげに話されますがやっぱり前に出てくる人じゃなかったし、これでバランス良かったのかなあとも思います。ちなみにあの中でトークを引っ張っていたのは間違いなく山田さんです。

 なんか変な方向の話しちゃったけど、もう少し質疑応答の内容を。

 右手に対するこだわりについて。
 なんでも「右手」という小説があるらしく、それの内容は映画と全く違う物らしいのですが、映画を作るときに思い出して……ということで。それについて綾野さんはまったく聞いていなかった、と(笑)

 綾野さんが冒頭女優さんを追いかけるシーンは大変ではなかったか。
 気持ちよかった。前に人がいると追い越したくなる(笑) あっというまに追いついてしまって、あれもういいの?と。……いう感じだったそうです。
 女優さんが逃げている図を画面右下からばっと入ってくるところの傾斜は3階建てくらいの高さで、そこを綾野さんは軽々飛び降りたそうですが、監督曰く、ロケ隊が同じようにやってみたら実に格好悪くて、綾野さんは軽々だったので驚いたと。DVDに格好悪い様子がおまけで入っているのでぜひ見比べてほしいとのこと。

 小谷さんは劇中腹話術をしていたけれど、事前に師匠について特訓していたそうだがそのときのようすは。
 筋が良いと誉められたそうです。
 もともと滑舌があまり良くないんです。口元もごもごさせていたからそれがよかったんじゃないかな……とは、小谷さんの照れ隠しでしょうか。今はもう女の子の声は出せないそうで。

 役を落とし込むときに気を付けていること。
 ……すいません、あまりよく覚えていないのですが、皆さん台本をしっかり読むということとあまり作り込みすぎない(監督の要求に対応しなくてはいけないから)という答えだったと思います。
 綾野さんは、どこかの記事で同じことを読んだ気もするのですが、その役の欠落した部分を探す癖がある、ということでした。その役がどこが欠落しているか、どんなところがダメ人間なのか考える、と。どうやって転ぶかより、どうやって起きあがるかのほうに興味がある、と。

 今後どんな役をやってみたいか。
 小谷さんは普通の人間の役を……と答えて笑いを取っていました。普通って何かというと難しいですが。とりあえず人殺しじゃない役ですかね?
 あれー? 山田さんと松岡さんの分の記憶がぶっとんでる。……綾野さんが小芝居やらかしたせいだな。低い兄貴声で「はい電話相談室……恋愛相談? そんなの知らん、ガチャン」なんてやらかすから。おかしな役をリアルにやってみたいそうで。

 うーん、まだなにかあった気もしますが、思い出せません。何かあれば追記で。

 金子監督は、卒業製作で2005年に撮影した作品が2008年に公開され、2009年にDVD化されたということにしみじみと感慨にふけっていらしたようでした。

 某スレその他の情報によれば、出待ちしていた人達と綾野さんでプチサイン&握手会みたいになったとか、綾野さん良い香りがしていたとか。
 自分は夜行バスの時間があったので、終わったら速攻移動しました。ああ、羨ましい。

「パンク侍、斬られて候」

2018-12-25 01:24:55 | 綾野剛
 大体ここに書くときは観てから一年くらい寝かせているのだけれど、これは今年の初秋に観たもの。

『ものすごくうるさくて、ありえないほど近い』という小説(&映画)があるらしい。題名しか知らないのだが、『パンク侍~』を見終わって私の頭に浮かんだのは「ものすごくうるさくて、ありえないほど寂しい」というフレーズだった。

 『シャニダールの花』でも綾野さんを起用した石井監督。人気のクドカン脚本。そして原作はロックミュージシャンであり芥川賞作家の町田康さん(冒頭で主人公に斬られる男役でしたね)。これだけの面子で作ってるんだからすごい作品なんだろうな、とは思うけれど、楽しめたかというと……。
 ああ、頭の良い人には世界はこういう風に見えてるのだな。馬鹿ばっかり。何かに熱狂して群がる群衆(おそらくロックに熱狂する若者に対する揶揄)も誰もかれも、自分自身もみんな馬鹿。
 そういう立ち位置というか、考え方というか、それがロックというものなんだろうか。
 自分はそういう精神から縁遠く過ごしてきた。たぶん物語の中の語り手からすれば唾棄すべき愚者。
 頭が良くてロックな人からすれば、世界はただひたすら愚かしく……それはひどく寂しいことなのではないのだろうか。
 あのスコンっと白い空間のように。
 アナーキズムとかニヒリズムとかいうらしいけど、おいらばかだからわかんないや。

 作中に「KU☆SO」とかもっとピーな言葉てんこ盛りで、げっそりと食欲が失せましたね(笑)

 しかし綾野さんは楽しそうでしたね。
 あの方こういう露悪的な役を振ると本当に生き生きピチピチ演じますな。尻ぺんぺんとか股間攻撃とか。いや、相変わらずいい尻でしたが。(残念ながら綾野さんの尻とか太ももの大盤振る舞いにはまるきり心躍らないのです)
 あと、過去記事読まれた方はお気づきかもしれませんが、わたくし豊川悦司さんの若い頃結構好きで見てまして、久々に見てやっぱ素敵だなあ、と。小物だったけど。
 なんやかんやで共演されているところを見るのは嬉しかったです。

「亜人」

2018-12-19 01:54:43 | 綾野剛
 ご無沙汰しております。

 このブログに記事を書くときは頭の中で何度も内容をシミュレートしているので、実はとっくの昔に書いて上げた気になっておりました(苦笑)

 亜人と呼ばれる新人類を描いた人気コミックの実写映画…だそうです。
 連れ合いは読者だったようですが、私は触れたこともありませんでした。
 で、ぼちぼち映画広告が各種メディアに載り始めた頃の話。
 原作と同じ講談社系の漫画雑誌を読んでいた連れ合いがカラーで載っていた宣伝を見て「うぉ」と呻き「佐藤…似合ってる…」と。
 そうかそうか、さすが佐藤健くんはキャラに似合っているのか、と納得。
 ワタシ「綾野さんも出ているんだよ」
 ダンナ「うん、佐藤…」
 ワタシ「うん、佐藤くんと綾野さん、共え…」
 ダンナ「(写真を指差しながら)佐藤。大量殺人鬼」
 ワタシ(あ、役名…!?)
 という絵に描いたようなやり取りがありました(笑)

 というわけで、連れ合いと観に行きました。
 ダンナは主人公のモチベーションに納得いかない箇所があったらしく、見終わってブツブツ言ってました。
 私は「妹は原作でもあんなに感じ悪いの?」
 「足の悪い人いたけど亜人になる前に体悪くしてたらリセットされないの?」
 「細胞一個からでも再生できるみたいだけど記憶は何処に宿っているの?」
 とダンナを質問攻め。

 まあとにかく。
 オープニングの時点で何となく「NIGHT HEAD」を思い出しておりました。
 主人公が麻酔もされずに人体実験を繰り返されるところではあまりに痛そうで、正直 半ば貧血気味。
 途中から繰り返される大量殺戮場面のほうが平気で見られる…というのは、現実と乖離しているからでしょうか。

 映画の見どころはアクションシーンなのは間違いなく、るろうに剣心で向き合った二人が再び肉弾戦を繰り広げるわけですが……。
 政府に挑みまくっている佐藤はともかく、単なる研修医の主人公が身体バキバキってどうなの?(笑)
 たけるくんと綾野さんで競うように体作っていたらしいけど、何か見失ってませんか?(笑)

 あ、綾野さんについて何も書いてない。
 殺し屋とかチンピラとかまあいつもの路線なわけですが、殺した人数では最高記録かな、と。
 歌を歌いながら自転車を漕いでいるシーンがなぜか印象に残っています。

「武曲 MUKOKU」

2018-05-11 00:44:49 | 綾野剛
 またまたお久しぶりです。
 この作品については本当はもっと早く感想を書くつもりだったのですが、気付いたら公開から一年近く経っていました。
 先日BSでも放送されたので、まあいい機会だろうと。

 映画が始まって5分もしないうちに思ったことは、15年前だったら確実にこの高校生の役は綾野さんがやっていただろうな、と(15年前には原作書かれていないし綾野さんまだデビューしてません)。透明感のある、どこか神秘的で、不思議な色気のある若者。
 でも今現在の綾野さんは、飲んだくれの鬱屈を抱えたやさぐれ男がぴったりとハマるのも事実。

 しかしいくら先輩とはいえ、学生たちにあんな暴力を振るっていたら、本人たちはともかく保護者が黙ってないのじゃないかとハラハラしてました。

 綾野さんの役は、ある意味わかりやすかったのです。
 父親の抑圧。反発と尊敬と愛情。自分の犯した罪への自責。酒に堕ちた自分への嫌悪。
 高校生がなんだか不思議で。
 音楽が大事で、偶々剣道の才能が有って。それほど興味なさげなのに、一生懸命に稽古する。
 原作は彼がメインらしいので、もっと心理を描いているのかしら。

 見ていて思ったのは、設定も筋立てもお約束のようでいて、まるで今まで見たことのない映画だな、と。
 そしてそのどこに連れていかれるかわからない感触が、自分は不思議と心地よかった。

 普通に考えると、クライマックスは嵐の中の決闘シーンでしょう。
 けれども、その後も画面的には地味な展開が続く。
 スカッとアクションを求めて見た男性など物足りないという感想も見た。
 でも作り手が本当に描きたかったのはチャンチャンバラバラだけではなくて、私などには捉えることができないけれど、痛ましいほどの苦闘の先の救済と再生なのではなかろうか。

 ラストシーン。どんだけ裸にひん剥かれている綾野さんより、こういうほうが色気があるなあと思うのでありました、個人的に(笑)