昨年、他劇団ではあるが、上演され名高い賞を受賞した今話題の演劇であります。ストーリーはわかっていたが、劇団と演出が変わるとこれほど変化するものなのか、と驚いた演劇でした。
現代の戦争に見立てることは我々観客のなすべき姿勢であろう。最近続いている戦争の気運がどうしても気になり、この劇の時代である第2次世界大戦とは思えぬ背景と彼女たちの心根がずしんと我々の心に引っ掛かり、重くのしかかる。
ラストの . . . 本文を読む
ほの暗い女性の物語である。母親、妹はもうこの世にいないが、妹はときどき姉と会話をしに来る。子供時代からの姉のうら寂しい人生の記録である。その姉をごひいきことねさんが演じている。コロナ時代に見ていないので、ずいぶん久しぶりの対面。もうそれだけで実はうれしい。
その主人公、ちょっとした会話からずいぶん精神をやられているかな、と思う。普通の人とは感情面の起伏が激しい。見ていていたたまれない。琴音さんを . . . 本文を読む
何か思いつめたものがある二人のロードムービー。幼馴染、そばにいてくれるだけでいい友、さあ火の鳥を探して当てもない旅に出る、、。
最初なんだかなと思ったが、慣れてくると、気にならなくなる。それが映画というものさ。ところどころ人生の真実がまばゆく見えてきて、素晴らしい人生賛歌に静かに感動してしまった、、。
ラストは思い切り、ハッピーにしちゃって、でもこの時代、許すよ。いい映画だ。 . . . 本文を読む
WINNY開発者とWINNYによる警察内部資料流出とを対比させ、ソフト開発者の自由、すなわち人間の自己解放の自由さをテーマにした作品だと思われるが、ちょっと長いかな。
テーマはもう途中で十分観客に伝わるので、その他の発展があればもっと重圧で深みが増したかなと思う。2時間ずっと裁判劇に終始している。観客はそんなものを見たいのだろうか、と。
とはいえ、東出はさておき、この映画、三浦貴大が最初顔を見 . . . 本文を読む
原作はずいぶん前だが、読んだことがある。結構ミステリーとして面白かった記憶があった。そして映画を見ていると、、、。
あまり知らい俳優たち(けれど一般の人たちからはそこそこ有名らしいが、、)、映像の稚拙さ、展開の妙がないことなどから、ありきたりのB級映画かなと思う。なにより、ミステリーなのに怖さが欠如しているのが痛い。突っ込みどころの多いのも難点。 . . . 本文を読む
予告編がよかったので行って来ました。なるほど今どき珍しい男女の心のひだを鮮明に映し出した秀作でした。
今どき珍しいと言ったのは、この映画、男女のプラトニックラブを描いていて、それを男女の人生の核にしているからです。昔懐かしい名作映画「終着駅」に妻の夫を加えたトリプルの男女トライアングルにしている感じで、そこがとても新鮮でした。
3人で会っていて、旦那が横にいるにかかわらず、愛する男と会話を交わ . . . 本文を読む
アキンの映画、期待したんだけどなあ。前半は人種差別の悲哀さ、たくましさを描いて秀逸。けど、後半はなんだか、ただのグレ映画だなあ。何を描きかったのか分からん。ドイツでヒットしたのいうが、主人公を知っているかどうかで、違うのか。よく分からん映画でした。 . . . 本文を読む
うーん、噂に違わぬ映画作り。3時間、画面にくぎづけだ。話は、何かどこかにあったようで、シンプルだが、だからこそ映像のダイナミズムが冴える。美術が圧倒的。俳優陣も豪華絢爛。S・ランプリングなんて表情をヴェールで隠しているのに、目力がすごい。さすがだねえ。映画料金、お得な感じがするほど堪能できました。 . . . 本文を読む
評価しづらい映画ですね。感想は書けるけど、今までのようなノーランの流麗な画調があまり見られず、ずっと鳴り響いている音響だけがノーランだと知らしめています。
映画構成としてはオッペンハイマーとストローズの善悪の対比が見事ではある。色彩もカラーとモノクロ。ストローズを悪者に強調することでオッペンの罪深さを薄める効果はあるのかなあ。ほんとアメリカ的でもあります。
私が一番この映画を見てて、劇場全体が . . . 本文を読む
カフカ原作の迷宮作である。演劇、映画でも結構制作されているが、これは珍しく日本映画。さて、どう料理するか、、。
かなり予想していたものとは違っているなあというのがまず感想。カフカの片鱗が見えず、あの底深く見えない不条理というか不気味さがない。これでは審判が泣いている。この作品を日本で制作するという事だけでも意欲作ではあるが、、。 . . . 本文を読む
クロサワ作品のリメイクだが、思ったよりクサくなかった。この作品のテーマがストレートに伝わっている。さすが、カズオ・イシグロの脚本がいい。やはりこのテーマはほのぼの「絵に描いた餅」なんだが、それでも我々、人間である限りポジティブに捉えたい。秀作です。感動しました。 . . . 本文を読む
日本人にはわからないソ連圏の圧政時代を生き抜いてきた人たちの絶え絶えの息遣いがそこに聞こえる。もう老齢に達してしまった彼らこそまだ未来はあると考える。一つの国の過去と未来を覚めた感覚で見据えた遺言とでもいえようか、そこには苦渋とかすかな喜びが見える。 . . . 本文を読む
遺灰を故郷のシチリア島に埋葬してほしいという偉大な作家らしい男の遺言通りに運ぶ風景詩とでもいおうか。それぞれ映るエピソードはちと冗漫。時間感覚がタヴィアーニとは違うのか、長い。 . . . 本文を読む
マンホールの入ってから、脱出する手立てにかなり苛立つが、慣れてくると面白くなる。そして中盤以降思いがけない仕掛けが用意してあるので、なんだか二重におやつをもらった感のあるエンタメものでした。粗い所があるのは許せます。さすが、熊切! . . . 本文を読む
人生でも一番淡くいや一番強く人を愛することを想っている瞬時、それは青春のひと時だ。でもそれはあの桜の花吹雪のようにふわっと舞い散ってしまい、かすかにあとさきだけが残る。青春の美しさと強さと哀しみ、それを知りえるものだけが分かり得る珠玉の映画だと思います。 . . . 本文を読む