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バランスやら現実やら呼吸やら

2024年04月18日 | 読書
 Re31『星の子』(今村夏子 朝日文庫)。芥川賞作家とは知っていた。初めて読む。こうした一人称設定で書かれる話は途中で入ってこない場合もあるが、サスペンスでもないのに読みきった。大きなうねりのある展開とはいえなくても、細やかな描写が飽きさせない。数年前映画化(芦田愛菜主演)されている。観てみたい。



 発刊された頃に手にし、数年後にまた読み、今回再々読。Re32『悩むことはない』(金子兜太 文春文庫)。やはり味わいのある語りだ。いつまでも初心者の自分からみると、「川柳」ではないかと思う句がいくつもある。結局何を描くかがポイントだとすれば、金子はあきらかに人物、人間がクローズアップされるからだ。

 改めて頷いたのは小沢昭一との対談のあるくだり。小沢が「世間で悪いと言われていることを一つくらいやっていないと、精神のバランスがとれない」と語ると、金子は「ちょっと不義理」「ちょっと不道徳」と受ける。老齢期のゆとりの持ち方を指南された気になった。80代と90代の会話が沁みてくる齢ということ。


 Re33『現実入門』(穂村弘 講談社文庫)。風呂場で再読。このエッセイは傑作だ。穂村ワールド全開で実に楽しめる。この構成にどれほどの「計算力」があるのか予想させない流れ?が見事だ。「人生の経験値」など如何ほどのものかと思わせる。大切な視点は、語の発見、想像への没頭、問いの巡らしに飽きないこと。


 あまりにもピタリとくる書名に惹かれ注文した。Re34『朗読ダイエット』(ドリアン助川 左右社)。ダイエットは断念したが、ドリアンの朗読の仕方は垣間見たい。やはり呼吸法かと思う。身体をどう響かせるかが肝心と理解できる。その訓練がきっと健康維持に役立つはず…と高齢者モードの自分にできることを探す。