高知の自然 Nature Column In Kochi

南四国で見かけた蛾をおもに紹介していましたが、現在更新を中止しています。

更新休止のお知らせ

2018年09月13日 17時42分38秒 | Weblog
2010年3月20日より更新を休止しています。
以降は新たに「ブログ高知の自然2」
http://nabega1225.cocolog-nifty.com/blog/
に移行して更新を続けていますのでそちらをごらんください。

アカモンナミシャク

2010年03月19日 09時46分39秒 | Weblog
アカモンナミシャクは種名の通り前翅が緑色の地に赤い丸い紋があり、後翅は純白の美しいナミシャクである。

この画像の個体は今ひとつ色が薄いが、羽化したての新鮮な個体はうっとりするほど鮮やかな色彩をしている。
(以前2008年2月16日にはもっと色鮮やかな個体をこのブログで紹介している。)

高知県では低山地で春に灯火に飛来するが、数少なく年間1~2頭程度までしか出会えない。
これまでの発見記録を調べると一番早いのが2月15日で、一番遅い記録が4月19日で、発生のピ-クは3月下旬から4月中旬といったところだろうか。

本州では関東以西、四国、九州に分布している。
幼虫はシラカシを食べる。

(撮影:土佐市高岡町 2009.3.5)

イボタガ

2010年03月18日 09時20分37秒 | Weblog
これまで続けてきた番外編の八重山諸島の蛾シリーズは紹介できそうな画像の在庫も切れたので前回で一旦終了して、今後は本来の高知県の蛾にもどします。
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今年の春初めて出会った大型の蛾といえばこのイボタガになる。
高知では多くはないが山間部では毎年出会う。
目立つ眼状紋は大きく、この模様と大きさには何度出会っても圧倒させられてしまう。

低山地では3月~4月に見られる。
標高1000m以上では5月に見られるが、一番遅いものは6月2日という記録が残っている。

40年ほど前は我が家の庭のモクセイで発生して夜明かりに飛来したことを覚えているが、現在は市街地で見かけることはほとんどなくなった。

北海道、本州、四国、九州、屋久島に分布している。
幼虫はイボタノキ、モクセイ、トネリコ、ネズミモチ、ヒイラギ、マルバアオダモを食べる。

(撮影:土佐市高岡町 2010.3.5)

ワイルマンネグロシャチホコ(西表島編15)

2010年03月17日 08時59分38秒 | Weblog
ワイルマンネグロシャチホコが灯火に飛来した。

見つけたときは沖縄にも分布しているホソバネグロシャチホコかもと思ってしまったたが、後でよく調べると違っていることがわかった。

ホソバネグロシャチホコの沖縄の個体は一様に暗色となり、このような黒い帯がみられないことで区別できる。
♂は両櫛歯状の触角の枝がワイルマンンネグロの方が著しく長い。
また、ホソバネグロよりからだが一回り大きく、何だか威張っているような感じを受けてしまう。

ワイルマンという呼び名は変わっているが、これは学名の命名者Wilemanからついたらしい。

石垣島、西表島、台湾に分布している。
長崎市で見つかった記録があるが、これは偶産であろう。
幼虫はヒサカキで飼育できる。

(撮影:西表島大富 2007.5.15)

ヤエヤマチズモンアオシャク(西表島編14)

2010年03月16日 09時01分25秒 | Weblog
予定していた場所は強風でライトトラップはできそうにない。
仕方なくふもとに降りて谷間の比較的風の弱いポイントに変更した。

ここは点灯時は風も弱く何とかいけそうに思えたが、夜がふけるにつれ風は次第に強くなるばかりで蛾の飛来もほとんどなく、今夜は諦めるかと思いかけていた。

ふと蛾幕を見ると美しい黄緑色のアオシャクが止まっているではないか。
高知県では低山地でアシブトチズモンアオシャクによく出会うのだがそれとは違う。
八重山諸島にはマダラチズモンアオシャクがいるがそれとも全く違うことは模様からすぐに察しがついた。

どこかで見たことあるなとは思ったが、講談社の蛾類大図鑑のも出ていない。
後日ネットの掲示板で訪ねた結果、やっとこれはヤエヤマチズモンアオシャクであることがわかった。
アオシャクの仲間で大きさと色模様の美しさではこれが1番に見える。

西表島、東南アジアに分布している。
幼虫の食草はわかっていない。

(撮影:西表島白浜 2007.5.16)

ムラサキトガリシャク♀(石垣島編13)

2010年03月15日 08時56分25秒 | Weblog
ライトトラップから少し離れた地面に美しいうす紫色の大型の蛾が止まっている。

前翅先端が尖り、斜めの筋模様がある特徴から考えるとカキバトモエしか頭に浮かばない。
それにしては色模様がずいぶん違うようだが八重山ではこのように変異するのだろうかと思っていた。

宿に帰り図鑑を取り出して現物と比較してみると全く別物ではないか。
では何者か、ページをめくって探す中でムラサキトガリシャクが合致することがわかった。

講談社の蛾類大図鑑には♂の個体しか図示されてない。
♀はずっと大きく前翅も丸みを帯びていて形状が異なることからすぐには気づかなかったのだ。
それにしてもこれがシャクガの仲間とは思えなかった。

高知県では同属のハスオビトガリシャクが見られるが、♀はこれほど大きくなく、さらに前翅の形状も雌雄の差異は少ない。

石垣島、西表島、台湾、中国西部、マレー半島、ボルネオ、スマトラ、インドに分布し、いくつかの亜種に分かれている。
八重山での採集例はあまりなく、この旅でもこの1頭しか得られなかったので少ない種ではないだろうか。

(撮影:西表島大富 2007.5.17)

マルモンイラガ(西表島編12)

2010年03月14日 09時45分13秒 | Weblog
灯火に見覚えのないイラガが飛来してきた。

茶色の地に焦げ茶色の丸い紋がある。
その時は何だかわからなかったが、後で調べてこれはマルモンイラガであることがわかった。

講談社の蛾類大図鑑には未記載の種である。
今回の旅ではこの1頭のみの発見で、採集例も少なく稀少種といえるのではないだろうか。

石垣島、西表島、台湾、中国に分布している。
幼虫や食草はわかっていない。

(撮影:西表島大富 2007.5.17)

ヒメスカシドクガ(西表島編11)

2010年03月13日 09時57分29秒 | Weblog
灯火に緑がかった白い蛾が飛来してきた。

ドクガの仲間ということはすぐにわかったが、このような色のドクガは記憶にない。
初めて見つけたときは、もしかしたら日本未記録種かもと思ってしまった。

後日図鑑で調べるとこれは分布からヒメスカシドクガであることがわかった。
生きているときはこのように緑色をおびているのだが死んでしまうとこの色は消え、全体がただの白色になってしまうのだ。
それでわからなかったということに気づいた。
このような白色のよく似たドクガは他にも数種いるが、これほど緑がかった個体は記憶にない。
美しいこの色が標本になるとすぐに消えてしまうのはいかにも残念である。

西表島では今回この1頭しか出会うことがなかったが後日、石垣島では5頭飛来したので石垣島では少なくないようだ。

石垣島、西表島、台湾に分布している。
幼虫の食草はわかっていない。

(撮影:西表島大富 2007.5.15)

ツマグロクチバ(西表島編10)

2010年03月12日 09時04分19秒 | Weblog
前翅外側が黒いツマグロクチバを発見した。

この画像の♀は種名の通り薄茶色と黒い部分の境目がはっきりして色の違いが鮮やかな感じがするが、同夜に見つけた♂の黒い部分はこれほど濃くなく、こげ茶色のため境目が目立たず汚れた地味な感じに見えてしまうので、比べると♀の方がきれいだ。

特に興味深いことは♂の後翅が極端に小さいことである。
これでは飛びづらいのではと思ってしまう。
♀の場合はミノガやフユシャクのように翅が退化しているものもあるが、
♂の後翅が小さいことに何か意味があるのだろうか。

慶良間諸島、石垣島、西表島、熱帯アジア、インドに分布している。
幼虫や食草はわかっていない。

(撮影:西表島大富 2007.5.17)

サビモンルリオビクチバ(西表島編9)

2010年03月11日 09時56分51秒 | Weblog
夜の9時過ぎ、シロアリの大群の乱舞がややおさまってきた頃ライトトラップの白布を見ていると黒い大きな蛾がスーっと横切る。
これはもしかして・・・・・
白布はすでにシロアリの大群に完全に占領されてもはや蛾の止まるスペースなど全くない。

一端見失っってしまったが、ほどなく戻ってきて今度は地面に止まってくれた。
見ると後翅に青く光る紋がある。
かねてから狙っていたサビモンルリオビクチバだ!

ドキドキしながらそっと近寄り何とか撮影することができた。
一端止まると飛び立つことはあまりなくそれほど敏捷ではないようだ。
止まって時間がたつと後翅の青い紋は前翅の下に隠してしまうので早めに撮影する方がよい。

少ない種と思っていたが、今回の旅では西表島で2頭、石垣島でも2頭得ることができたのでラッキーだったかもしれない。

日本では石垣島と西表島に分布している。
沖縄本島では時折見つかるので定着しているのかもしれない。
奄美大島でも記録がある。
国外ではフィリピン、ボルネオ、インドに分布している。

幼虫はウコギ科フカノキ属のシェフレラで見つかっている。

(撮影:西表島大富 2007.5.15)