Some Like It Hot

お熱いのがお好きな映画ファンtakのつぶやき。
キネマ旬報社主催映画検定2級合格。

2024年4月のプレイリスト

2024-04-30 | 今日のBGM



◆2024年4月のプレイリスト
2024年4月に聴いていた愛すべき30曲

1 Spring Gate(the brilliant green)
ブリグリは季節ごとに聴きたい曲がある。
2 井上順のプレイボーイ講座12章(小西康陽とプレイボーイズ)
あぁこういうの好き❤️。女たらしにも、人たらしになれない自分には。
3 Only Solutions(Journey)
映画「トロン」で使用された楽曲。
4 Jump(Van Halen)
84年特集の音楽番組にて。かつて、ヘビーメタルとハードロックの違いをバスドラムの数!と思っていた私💧
5 Moment Of Glory(Rod Stewart)
朝イチに聴くロケンロール🎸は気持ちをアゲる⤴️
6 やさしく歌って(ペドロ&カプリシャス)
ロバータ・フラックの名曲。恐れ多くもカラオケで歌ってた時期がある私💧
7 ドラマティック・レイン(香坂みゆき)
クールなアレンジがひたすらカッコいいカバー。
8 Feelin' Alright(Joe Cocker)
映画「デュエット」ではヒューイ・ルイスが歌唱。サントラ収録のそっちもナイス。
9 石狩挽歌(北原ミレイ)
若い頃、何故かカラオケで歌ってた時期があるのです🎤♪
10 天道虫(THE YELLOW MONKEY)
このカッコよさはなんなんだろね。

11 Cruel Summer(Bananarama)
「ゴーストバスターズ」の予告編で流れるから懐かしくなりまして。
12 It's My Life(Paul Anka)
ビッグバンドジャズにアレンジされたBon Jovi楽曲。My Wayの作者が、"I did it my way"と歌うサビに思わずニヤリ。
13 Bad Reptation(Joan Jett)
映画「ランナウェイズ」のエンドクレジットで使用された。
14 Legendary(Bon Jovi)
声帯手術を乗り越えたジョンのボーカル。昔から変わらない庶民の賛歌が胸を打つ。
15 東京ラッシュ(細野晴臣&Yellow Magic Band)
森高千里のカバーも好きだけど、オリジナルの脱力感はリピートしたくなる。
16 Always(Atlantic Star)
癒しの名バラード。
17 Head Over Heels(GO-GO's)
ベリンダのボーカル好みなんです。
18 蒼いフォトグラフ(中川翔子)
松田聖子のカバー。シングルB面のこの曲を選ぶセンスのよさ♡
19 黄砂に吹かれて(工藤静香)
あー、カラオケ行きたい🎤
20 サウンドスケープ(TRUE)
「響け!ユーフォニアム2」OP曲。TRUEさんの歌声は、年度初めでお疲れ気味の僕みたいなおいさんにも元気をくれる。

21 The Power Of Love(Frankie Goes To Hollywood)
映画「異人たち」で歌詞が台詞に引用されるなど、印象的な使われ方をしていた。
22 What Is Love(Haward Jones)
多数のシンセを操るハワードが当時カッコよく見えたもんでございます🎹
23 とくするからだ(PUFFY)
見事な人になりましょう♪
24 Get Wild Continual(TM Network)
何ヴァージョン目なのかは知らないが、オリジナルの面影と当世風なアレンジが心地よい。
25 大人の恋、もしくは恋のエチュード(野宮真貴)
カジヒデキ作の歌詞が不器用な恋を綴る大人のラブソング。
26 Some Enchanted Evening(魅惑の宵)(Richard Rodgers)
ミュージカル「南太平洋」より。
27 香菜、頭をよくしてあげよう(筋肉少女帯)
明日君を図書館に連れて行こう/泣ける本を君に選んであげよう
いつか恋も終わりが来るのだから/一人ででも生きていけるように
28 Tomorrow Never Dies(Sheryl Crow)
007映画主題歌。ミシェル・ヨーの大活躍が楽しい。
29 Always On My Mind(Pet Shop Boys)
映画「異人たち」の感動的ないい場面で使用された。
30 Fly Me To The Moon (In Other Words) (宇多田ヒカル)
いろんなカバーがあるスタンダード。ハネた16分音符が心地よい。









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宇宙戦争

2024-04-29 | 映画(あ行)

■「宇宙戦争/War Of The Worlds」
(スティーブン・スピルバーグ/2005年・アメリカ)

主演=トム・クルーズ ダコタ・ファニング ティム・ロビンス

 子供の頃、小学校中学年向け位の少年少女文学全集みたいな本が家にあった。けっこう本好きな子供だったので親が奮発して買い与えてくれたのだ(感謝)。妹は「秘密の花園」や「若草物語」を繰り返し読んでいた。その中で僕が夢中になって繰り返し読んだのは3冊。ジュール・ベルヌ「海底二万里」と「空飛ぶ戦闘艦」、そしてH・G・ウェルズ「宇宙戦争」。夏休みの読書感想文の宿題で自由課題だったときに、迷わず選んだのも「宇宙戦争」だった。僕としてはとても思い入れのある原作。これをCG全盛の今、スピルバーグがどう映像にするのか。そこにまず興味があった。

 スピルバーグはウェルズの原作がおそらく大好きに違いない。結末は大胆に変えられちゃうのか?「インデペンデンス・デイ」みたいになったらどうしよう?と心配したけれどそれは杞憂だった。「ジョーズ」や「ジュラシック・パーク」、「未知との遭遇」がうまかったのは危難が次第に近づいていくことを表現するところ。ところが今回は大した予兆も見せない。確かに嵐とか雷とか起るけれど、以前の作品と比べると、唐突な印象を受ける。突然得体の知れないものが出てきて、いきなり街が破壊されて・・・。この変化は何だろう。これはやはり同時多発テロの影響。逃げまどう市民、崩れ落ちる建物はあの記憶を呼び起こすはず。観客は異星人への畏怖と怒りに満ちることになる。戦い続ける州兵たちの姿も痛々しいが、原作を尊重したラストには時代が時代だけにエコロジカルなメッセージを見るかのようでもある。ともかくアメリカ万歳!みたいな映画になっていないところが好感。

 トム・クルーズは叫ぶ、走る、泣く、わめく・・・これまでのヒーロー像はどこへやら。しかも不器用な父親役ってところが面白い。ダコタちゃんが歌ってと言う子守歌を知らないトムが、ビーチボーイズのLittle Deuce Coupeを歌う。ここに僕はかなりグッときました(つーか涙腺ゆるみました)。子供にこれまでかかわってこなかった遊び人の父親。子守歌も歌えない彼が歌ってあげられるのがお気楽なビーチボーイズの曲。でも歌詞にもあるように”お前は僕の宝物”。そこを娘に伝えたいその一心ってのがいいのね。しかし最後は三本足に手榴弾投げ込んだりと大活躍。あ、やっぱりトムの映画だ。

 地下室に隠れているときに触手のようなものが探ってくる場面、原作でもとても印象的なところだ。僕は原作でここを読むのがすごく怖かったのだが、スピルバーグもおそらく同じ思いがあるのだろう。地下室のシーンの緊迫感はこっちまで息が詰まりそう。そういえば「マイノリティ・リポート」に出てくる追跡メカ”スパイダー”も目が追いかけてくるもの。その原点って、実は「宇宙戦争」にあるのかもね。そうそう、見終わって思ったことがもうひとつ。「インデペンデンス・デイ」で侵略者がウィルスに(ネタバレ・反転させてね)にやられちゃうのも、実は古典たる「宇宙戦争」に対するオマージュだったのかな?。

(追記)・・・原作やジョージ・パル監督の映画版が前提としてあることを知っておかないと、古くさい映画に見えちゃうだろうな。でもハッキリ言う。そこがいいんです!。


↓文中に登場した映画とビーチボーイズのLittle Deuce Coupe



コメント (4)
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ちひろさん

2024-04-29 | 映画(た行)


◾️「ちひろさん」(2023年・日本)

監督=今泉力哉
主演=有村架純 風吹ジュン 豊嶋花 リリー・フランキー

海沿いの街のお弁当屋さんで働いているちひろさんを中心に、彼女をとりまく人々が少しずつ変わっていく姿を描いた好編。ネトフリで配信が始まって以来好評を目にしていて、そんないい話を一部だけのものにするなんて…映像コンテンツは商品だけどみんなが観られてナンボじゃないのか、とちょっとイラついていた。DVDで観られるようになり、めったに新作を借りない僕が迷わずセレクト。

不思議な魅力をもった作品。
「ちひろさんなら大丈夫。あなたなら何処にいても孤独を手放さずにいられるから」
クライマックス、風吹ジュンのひと言が心にしみる。その意味を考えさせられる。誰にも干渉されず、自分の居場所があって、自ら他人に深入りはしない。でも他人と関わることを拒絶してるわけでもなく、むしろサラッと人をつなぐ役割を果たしてくれる。

ここで使うべき言葉とは違うかもしれないが。ちひろさんは人たらしの一面がある。愛想が良くて、人を悪く言わない、人の話を聞いてくれる。決して周囲のご機嫌とりでも、人づきあいが上手でもない。それでもクライマックスの屋上シーンのように周囲の人をつないでしまう。

その一方で自分の孤独を抱えている。不安だってないわけじゃないだろう。でも自分で自分の機嫌をとれる人なんだろう。ストレスが溜まったらラーメンを食べ、海を眺める。人恋しくなったら、女友達に寄り添って、異性との愛を求めないけれど欲しくなったらそれを隠さない。甘え上手なところもある。

そんなちひろさんの過去は、"店長"リリー・フランキーから少しだけ語られる。そのわずかな言葉と、ボロボロの靴を履いたリクルートスーツ姿の彼女がビルの屋上に佇む映像は何よりも雄弁だ。必要とされる存在だと感じられないことの辛さと、形はどうあれ必要だと思ってもらえることの大切さ。劇中登場する2つの面接シーンに涙してしまった。コロナ禍の数年間に、人との距離感やつながりを考えさせられただけに、本作や「PERFECT DAYS」が多くの人の心に染みるのだろう。

食事のシーンも、家族や人とのつながり、自分を養い元気づけること、誰かを思うことにつながっていて、映画化にあたりよく練られた演出だと思った。美味いもんなら誰と食べようと一人で食べようと美味いはず。でも家族との食事がプレッシャーでしかない女子高校生オカジが、マコト少年が世界一と言う母ちゃんの焼きそばを食べる場面。こっちまでもらい泣きしてしまった。マコト少年の花束のエピソードもよかった🥹

多くの人と同様に「あまちゃん」で有村架純を知ったのだけど、女優としての彼女を僕は甘く見ていた。この映画でみせるいろんな表情と芝居に感動した。近頃の日本映画の重たそうなムードから僕はどうも敬遠しがち。不勉強だなと痛感。






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南太平洋

2024-04-27 | 映画(ま行)


◾️「南太平洋/South Pacific」(1958年・アメリカ)

監督=ジョシュア・ローガン
主演=ミッチー・ゲイナー ロッサノ・ブラッツィ ジョン・カー ファニタ・ホール

うちの親父殿世代には、きっと思い出深い映画なんだろう。8トラック(懐)のカーステレオで、このミュージカル映画の代表曲「魅惑の宵」を聴きながら、映画とロッサノ・ブラッツィについて話していた記憶がある。当時はメロドラマの色男役を多数演じていた人。あーそうだそうだ、僕も「旅情」は観たことある。ベネチアを旅行するアメリカ女性をしつこく口説くイタリア男だった。「南太平洋」では、ポリネシアで農園を営むフランス人の中年寡(やもめ)役。従軍看護士のアメリカ女性に恋をするのだが、どうも暗い過去があるらしい。

ブラッツィの歌は吹替えのようだが、彼をめぐるエピソードは、中年男とヤンキーガールのコテコテメロドラマなので、持ち前の魅力が発揮されているのだろう。彼女を丘の上から見送りながら、
この恋を逃してはならなーいー♪
と歌う野太い低音に、恋する男の執念を感じる。若い頃これを観てたら、多分暑苦しいヤツとしか思えなかっただろう。

映画ではもう一つの恋が描かれる。ポリネシア海域に展開する敵兵力偵察のためにやってきた若い中尉が、バリハイ島に住む現地の娘に恋をするエピソードだ。アメリカ兵たち相手に仕事をする現地の肝っ玉母ちゃんみたいな女性が、彼に向かって高らかに歌うのは、このミュージカルの代表曲「バリハイ」。
バリハイ島があんたを呼んでいるー♪
女性との関わりが欲しい部下の兵士たちと共に島に渡った中尉。美女たちとエキゾチックな祭りを部下が楽しんでいる間に、肝っ玉母ちゃんが中尉と美しい娘を引き合わせる。片言のフランス語でしかコミュニケーションがとれないけれど、二人は確実に恋におちた。イチャイチャする二人を見ながら肝っ玉母ちゃんは言う。
「いい婿になるよ!」
婿探しだったのかっ!🫢

その場面で流れる✋🫱手振りが楽しい楽曲がHappy Talk。あー、知ってる♪このミュージカルナンバーだったのか。

そんな楽曲は確かに素晴らしいのだけれど、ミュージカルシーンになると、画面の色彩が突然変わる。舞台照明を意識しての演出らしいが、テレビの色彩設定がおかしいのかと疑ってしまう。コピーガードが働いて色調が不安定になるVHSの映像を思い出してしまった。てか、そんな現象と一緒にしては、ジョシュア・ローガン監督に失礼ですよねー💧

女性を賛美する楽しい曲There Is Nothin' But A Dameが好き。第二次世界大戦下のポリネシアが舞台なので、字幕で"敵"と訳されているのは"Japanese"。クライマックスは歌唱シーンが控えめになって、危険な任務に就いた中尉とフランス男が話の中心となっていく。このパートに力を注ぐと冒険活劇ぽく仕上がりそうだし、人種偏見もテーマとして含まれるだけに、もっと描きようがあるだろうと古臭く感じる方もあると思う。だがそれも時代。バリハーイ♪のメロディがしばらく頭に残ること必至。





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パリで一緒に

2024-04-20 | 映画(は行)


◾️「パリで一緒に/Paris - When It Sizzles」(1963年・アメリカ)

監督=リチャード・クワイン
主演=オードリー・ヘプバーン ウィリアム・ホールデン トニー・カーティス

ローマの休日」以降のオードリー主演作で観たことがないのはあと数本。そのうちの一つが本作「パリで一緒に」だった。観るチャンスはなくもなかったけど、敬遠してたんだろうな。だって、ウィリアム・ホールデンが何故か苦手なんだもの。

いろんな名作にあれこれ出演してるし、カッコいい西部劇もあるし、名優だとは認めてるんだけど、昔から印象に残っている主演作は、とにかく体たらくか女たらし。コテコテのメロドラマのイメージ。僕がクラシックかぶれの若造だった頃から、その印象は変わらない。僕のホールデンのイメージは「戦場にかける橋」よりも「慕情」、「ワイルドバンチ」よりも「サンセット大通り」、「第十七捕虜収容所」よりも「ピクニック」。印象が悪い最大の原因は、「タワーリング・インフェルノ」の憎まれ役よりも「麗しのサブリナ」のプレイボーイの次男役。結構観てるなww

さて、本作「パリで一緒に」はどうかと言うと、僕が期待する(?)嫌いなウィリアム・ホールデンが堪能できる映画だった😩。新作映画のシナリオがいっこうに進まない脚本家。悩んでる訳ではなく、単に仕事そっちのけで遊んでいるだけ。タイピストを雇ってプロデューサーとのアポイントまでに書き上げようとする顛末を描いた作品だ。雇われたタイピストがオードリー・ヘプバーン。こちらは誰もが期待する笑顔もファッションも素敵な役柄で、ズケズケとものを言い、脚本にケチをつける。しかし彼女から聞いた話や、彼女自身のイメージから、発想は膨らんでいき、脚本は進み始める。その間にも脚本家氏はタイピストに不意打ちのキス、話のノリで抱きしめる。あー、やっぱり嫌いなホールデンだよ😠

二人が編み出したストーリーは、劇中劇として二人が演ずるロマンティックコメディとして進行する。せっかくパリが舞台なのに、いかにもセットに見える作り物感漂うカフェテリアの舞台が用意される。それは二人の空想。しかし、話が進んでいくに従って、その舞台はだんだん見応えのある風景に変わっていく。ほほー、ホテルの一室からカメラが出ないと思ってたら、なかなかゴージャスな映像になっていく。結末はまぁお約束のラブ展開なのだが、どうも納得いかず。オードリーは期待通りに素敵なんだけど、最後まで嫌いなホールデンだった。

原語をきちんと聴きながら丁寧に鑑賞したら言葉選びがきっと面白いんだろうと思った。英語がもっと得意だったらなぁー😣。音楽も衣装もゴージャスな映画なのに、今ひとつ気持ちがあがらない作品でした。

 ◇

あれ?こんな二人が出てくる映画、他にあったよな。何だっけ…と考えて思い出した。

借金に追われる小説家が、期限までに新作を仕上げるために速記者を雇うラブコメ。ロブ・ライナー監督の「あなたにも書ける恋愛小説」だ!。あれも二人が書く小説の内容を二人が演じる劇中劇が登場する。そっかー、あれは「パリで一緒に」へのオマージュだったのかもな。そう思ったら、「パリで一緒に」がちょっとだけ素敵な映画に見えてきたw






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デュエット

2024-04-18 | 映画(た行)


◾️「デュエット/Duets」(2000年・アメリカ)

監督=ブルース・パルトロウ
主演=マリア・ベロ ポール・ジアマッティ グゥィネス・パルトロウ ヒューイ・ルイス アンドレ・ブラウアー

「デュエット」は、カラオケ大会に集まる6人の男女を追った群像劇。賞金目当てのカラオケハスラーであるリッキーに元妻が亡くなったと電話が入る。葬儀場で初対面した実の娘リブを遠ざけるリッキーだが、2人は行動を共にするようになる。セールスで出張続きのトッドは、家庭に嫌気がさして旅に出る。その道中で知り合った黒人レジー。彼は脱獄囚で追われていた。そして恋人を寝取られて自暴自棄のビリーは、酒場で知り合ったカラオケハスラー、スージーと成り行きで行動を共にすることになる。6人は高額賞金がかかったカラオケ大会に向かう。

音楽で結ばれる絆は深い。人をつなぐもう一つの言語とまで言うとオーバーかもしれないけれど、大なり小なり音楽を通じて関わった人々は、長い付き合いだったり、強い印象を受けていることが多い。僕もそう感じている。この映画の中でも、ギクシャクしていた関係が歌を挟んで変わっていく。

リッキーは「娘を紹介させてくれ」とリブをステージに上げ、スモーキー・ロビンソンのCrusin'を一緒に歌う。リブにとっては亡くなった母がよく歌っていた思い出の曲。トッドとレジーは、オーティス・レディングのTry A Little Tenderness。警察の目を逃れようとするハラハラと音楽の快感が同居する名場面。この2曲の見事なハーモニーは映画の中でも注目すべき圧巻のステージ。音楽好きなら、これを目的に観ても損はない。

自暴自棄になって、騒ぎを起こすトッドが痛々しい。貯まったマイレージでホテルに泊まりたいという願いが叶えられないことがきっかけで、トッドはレジーの銃で大暴れ。その彼をレジーが叱る場面がいい。
「中流家庭なんて牢獄だ」
「ほんとの牢獄を知りもしないくせに」
それでもレジーが最後までトッドを見捨てない姿はこの映画の感動ポイントだ。

実は映画に先行してサントラ盤を購入して聴いていた。グウィネス・パルトロウが歌うキム・カーンズのBette Davis Eyes、映画冒頭でヒューイ・ルイスが歌うジョー・コッカーのFeelin' Alrlghtが好き。ポール・ジアマッティはトッド・ラングレンのHello It's Meを歌って激しく踊る。切なさが好きな曲だけに笑いのネタにされる場面なのはちと残念かなー。マリア・ベロが歌うボニー・レイットのI Can't Make You Love Meもなかなか。



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ランナウェイズ

2024-04-16 | 映画(ら行)


◾️「ランナウェイズ/The Rnuaways」(2010年・アメリカ)

監督=フローリア・シジスモンディ
主演=ダコタ・ファニング クリステン・スチュワート マイケル・シャノン ステラ・メイヴ

ランナウェイズが活動していた1970年代後半は、やっと洋楽に目覚め始めた頃。聴いてたのはBCRやAbbaとか健全なものが中心だった。洋楽に詳しい友達から、こんなひと言を言われたことがある。
😼「takは育ちがいいから、ビートルズは聴いても、不良ぽいストーンズは似合わねー」
へ?音楽にそんな垣根があるもんかと思ったのだが、世間が"不良ロック"なイメージを持つジャンルは実際後追いで聴くことになる。育ちがいいとはちっとも思わないけど、言葉の呪縛って怖い。ランナウェイズは、当時存在は知っていたものの、色モノのイメージが強くって。もし聴いてたら母に「お父さんが喜びそうな女バンドなんか聴いて!😭」と怒られたに違いないw

本作はそのランナウェイズの結成から解散までを描いた作品。ギターのジョーン・ジェットが音楽プロデューサーに女子でバンド組みたいと名乗りをあげ、メンバーが集まっていく過程が示される。街でくすぶって男の玩具になっちゃうよりも、飲んだくれの父親を抱える家に縛りつけられるよりも、何かで自分を示したい。そんな気持ちが彼女たちを駆り立てていく。

シェリーのオーディションのためにあのCherry Bombが創られていく様子。あまりのテキトーさ、こんな酷い歌詞だったのかと驚かされた。まさに不良ロック。そりゃ小学生の時に言われた言葉もわかる気がするw。
「聴く男どもがどう思うか。煽ってギリギリでかわせ。チンコで考えるんだ。」
すげえ日本語訳w。でもその激しい音楽と、シェリー・カーリーの煽情的なイメージが、バンドの成功とは裏腹に色モノのイメージを決定づけてしまったのは間違いない。

日本での人気がこれでもかと描かれる。僕は当時お子ちゃまだったから知らなかったけれど、日本での熱狂ぶりって激しかったんだな。ただランナウェイズの写真集が当時出版されていたのは知っている。映画の中でも、日本から来たカメラマンが、「いいねぇー、いいねぇー♪」と言いながらセクシーな表情のシェリーを撮る場面が出てくる。そういえばあの写真集は、雑誌GOROの別冊だったよね…おぉ!あの「いいねぇー♪」は篠山紀信センセイじゃねえか!その写真が原因でシェリーと他のメンバーが対立する場面の痛々しさ。音楽に理想があったのにストレートに受け止められない現実。離れたかったはずの家族が恋しくなる気持ち。気づかないうちに、世間の玩具にされてしまっていた自分たち。

映画のラストはその後の彼女たちが描かれる。ヒット曲を出したジョーンが出演するラジオ番組に、シェリーが電話する印象的な場面で幕を閉じる。ロックンロールは終わらない。

ジョーン・ジェットは代表曲I Love Rock'n Rollも好きだが、個人的にI Hate Myself for Loving Youが好き。あんたに夢中なアタシにヘドがでるわ♪表現は悪いが結局行き着くのは誰かを思う愛。その境地をルーズなロケンロールで歌う。最高やん。不良ロックを遠ざけられた少年は、そんなこと言う大人になったのでしたw

クリステン・スチュワートのジョーン、ひたすらカッコいい。ダコタ・ファニングのシェリーも大熱演。ワンシーンだけだが、子供たちを残して再婚相手とシンガポールへと去るシェリーの母親が登場する。おっ!テイタム・オニールだ!。かつてオスカーを受賞したそばかすの少女は、こんな役やる大人になってたのか(懐)





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葬送のフリーレン

2024-04-14 | テレビ・アニメ



「葬送のフリーレン」は他のアニメとはひと味違う。僕の周囲でフリーレンにどハマりしてるのはちょっと年齢層が高め。職場でも
👱🏻‍♂️「あれっ、もうこんな時間。今日は時間が経つのが早いですよねぇ」
😌「人間の時間は…早いね」
👨🏻‍🦱「××さん、細かくチェックするんですね、さすがだなぁ」
😁「一級魔法使いだからね」
😎「勇者××ならそうする」
とまぁ、かつてガンダムの名言をビジネス会話に入れたがった大人たち並みに、時にフリーレン構文を交えながら会話する始末だ。

対して、若い世代も見てない訳じゃないけれど、進んで話題にしてこない。アニメ好きのうちの子供たちは最初から関心を示さなかった。確かに派手さはないし、魔法少女でもないしw。赤い石のついたフリーレンの杖が、
Stand By Ready, Set Up
と魔法少女のアイテムみたいに喋り出すこともないしw

28話を終えて、大人の琴線に触れる理由が理解できた気がした。勇者が活躍する時代が終わったところから始まる物語。それは、勇者ヒンメル御一行との旅を振り返りつつ、エルフであるフリーレンが人間を理解していくまでの物語。エピソードの中には、激しいバトルが描かれるものもあるが、大半は様々な"気づき"が用意されている。それは若いフェルンやシュタルクの成長でもあり、フリーレンがかつて自分にかけられた言葉の意味や、ヒンメルの気持ちを理解する瞬間でもある。

大人は昔を懐かしむばかりで…と世間の若い子は言うけれど、過去を振り返ることの意味を「葬送のフリーレン」は教えてくれる。振り返って何かに気づくことで、また一歩生き方が深くなる。人はいくつになっても成長できる。大人世代にも「フリーレン」にハマる人が多いのは、振り返ることを肯定してくれる優しさがあるからだ。

「なんで知ろうとしなかったんだろう」
ヒンメルの葬儀の後でフリーレンが呟く。大人に刺さるのは、きっと後悔の数が多いから。だから振り返ることは多くなる。

若い世代には彼ら彼女らの成長が描かれ、フリーレンや老いたかつての英雄たちにも昔なかった知恵や思慮が身につく姿が描かれる。ほんっとにいい話だ。

今どきのアニメだから激しいバトル描写も必要な要素。一方で、スネたフェルンやミミックに頭を突っ込むフリーレンが出てくる回にはこっちまでニコニコしてしまう。また、後半の一級魔法使い試験に臨む様々なキャラクターの誰かに、自分を重ねる方もあるかもしれない。ファンタジーなのにどこか自分を重ねられる何かがこの作品にはある。

印象的な台詞もあるのだけれど、台詞に過剰に頼っていない印象を受ける。口元の描かれ方と声優のちょっとした息遣いが、これ程雄弁なのかと驚く場面が幾度もあった。そしてEDテーマ曲、miletのAnytime Anywhereが誰かを思い続ける気持ちの尊さを教えてくれるのだ。




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ココ・アヴァン・シャネル

2024-04-12 | 映画(か行)

■「ココ・アヴァン・シャネル/Coco Avant Chanel」(2009年・フランス)

監督=アンヌ・フォンティーヌ
主演=オドレイ・トトゥ ブノワ・ポールヴールド アレッサンドロ・ニヴォラ マリー・ジラン

ファッション界で並ぶ者のない成功を手にしたココ•シャネルの若き日々を描いた作品。当時のフランスは女性の生き方にまだ真の意味で自由がなかった時代。映画で見る限り、男性にすがる生き方がよしとされていたようだ。シャネルも酒場で歌っていたところを将校エティエンヌ・バルサンに見初められ、彼のお屋敷に居候することになる。そこで出会う英国人男性カペルとの恋。そして彼の協力でココは個性と才能を発揮し始める。

正直なところ、僕はこの映画にシャネルがいかにしてあのシャネルスーツを作るに至ったのかを知ることができるか、と期待していた。彼女がポロを観戦しているときに、寒さから騎手のセーターを借りたことがそのきっかけとされている。確かにポロをする場面は登場するが、ルーツを感じさせる場面ではなかった。

この映画が重視しているのは特に恋物語の方だ。”本当の私を理解してくれる男性”。そして彼との悲しい結末。シャネルを通じて、観客に「あなたの相手はあなたを理解してくれていますか?」と問いかけられているかのようだ。

「あなたは私を恥じているでしょう?」
とバルサンに言う場面は印象に残る。人誰もがつきあう相手から様々な影響を受ける。それは男も女も同じだ。シャネルが女性をコルセットから解放して動きやすいファッションを考案したのも、つきあっている男性からの影響が多大にあるのは事実なんだろう。

お屋敷での退屈な日々の描写が淡々と続くことに途中飽きてしまいそうになった。「成功の秘密」って部分は観客の想像や予備知識に委ねられたような感じ。でもこの映画を観る上ではそこを受け入れないといけないのかな、というのが感想。ハリウッド映画のように「伝記」としてわかりやすく示してくれることは、そもそもこの映画の目的ではないのだ。いろいろな経験をしながら、主人公が人間として強くなっていく姿が中心なのだ。

マリー・ジランが出演しているのも嬉しい。


オドレイ出演のシャネルCM。



コメント (2)
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愛と哀しみのボレロ

2024-04-11 | 映画(あ行)


◾️「愛と哀しみのボレロ/Les Uns Et Les Autres」(1981年・フランス)

監督=クロード・ルルーシュ
主演=ジョルジュ・ドン ロベール・オッセン ニコール・ガルシア ジェームズ・カーン

この映画を初めて観たのは中学3年の冬。映画雑誌を毎月買い始めて、興味のベクトルが多方面に無節操に広がっていた頃だった。欧州映画にも興味津々。ハリウッド製ヒット作ばかりが映画じゃねぇだろ、と映画雑誌を眺めながら思っていたマセガキ。されど地方都市の映画館でヨーロッパ映画が上映される機会は少なくて。そんな時期に地元の映画館で「愛と哀しみのボレロ」上映の報が。マセガキは前売券を地元デパートのプレイガイドで購入し、公開日を楽しみに待ったのだ。

この映画を観たことで、映画を通じた視野が一気に広がった。映画を芸術として初めて意識する経験だったとも思う。知ってる出演者はジェームズ・カーンくらい。でも初めて観る欧米各国の役者たちの熱のこもった演技に感動した。ホロコーストの嵐が当時のヨーロッパをいかに揺さぶったのかを知るきっかけになった。華麗な音楽。ジョルジュ・ドンのバレエ。胸が苦しくなり、音楽でワクワクし、クライマックスのボレロでなんかすごいものを観たぞ、と高揚感でいっぱいになった。残念だったのは、当時まだ地元映画館にはドルビーステレオの音響設備がなく、「愛と哀しみのボレロ」終了後、「レイダース 失われた聖柩」で初登場したこと。

マセガキ少年はその年から、アカデミー賞の真似をして年間ベストを選出するようになる。第1回の監督賞は本作でクロード・ルルーシュ!なんて生意気な俺。

それからウン十年経った2024年3月、「午前十時の映画祭」で久々の鑑賞。14歳の頃と同じく感激したけれど、マセガキ時代とは違って、いろんなものを吸収しているから、映画の良さにいろいろ理由づけができる。出演者の他の作品を観ているのは当然だけど、その経験値以上に、少年だった自分が"違いが分かる"おっさんになってることを、認識することになったのだ(笑)。

例えば、ボレロを踊ったジョルジュ・ドンについて。後に興味がわいて振付のモーリス・ベジャールのドキュメンタリー映画も観た。あの振付の裏側を知り、ジョルジュ・ドンの踊りがいかに全身を酷使しているものなのかを知った。今回改めて観て気づいたのは、腹筋でリズムをとっていること。拍の頭でお腹が大きく凹んでるから、全身の動きが大きくなる。あの頃じゃ気づかなかった。さらに、空中で足先が交差するアントルシャ。これをスローで捉えた映像には惚れ惚れする。

もともとフランシス・レイが好きだったから、ミシェル・ルグランとタッグを組んだ本作には14歳で観た時も音楽に感動した。ウン十年後の僕は、ジャズミュージシャンとしてのミシェル・ルグラン作品が好き。CDも何枚か購入して、アレンジや演奏の凄さを思い知った。メロディはレイ、アレンジはルグランが手がけているようだ。同じ楽曲がアレンジ違いで繰り返し奏でられる。その使い分けの見事なこと。戦時中は歌詞がなかった「サラのセレナーデ」が、物語の進行と共にアレンジが変わる。ドイツの占領下となった前後で、パリで奏でられる音楽はガラリと装いを変える。アレンジで時代の変化、演奏する側の変化を表現している。

登場人物はとにかく多いし、同じ役者が二代、三代演じるから、ボーっと見てると混乱しそうな映画ではある。14歳のオレ、理解してただろうな?w。でも、その複雑さを感じさせないのは、ルルーシュ監督の映像によるスマートな進行にある。帰還した音楽家の家がパーティで盛り上がるのと対照的に、窓越しに向かいの家で訃報が伝えられる場面。カットは変わらないし、ズームしてるだけ。上手いよなぁ。

改めて観ると、リシャール・ボーランジェやジャック・ヴィルレなど、ウン十年の間に好きになった映画に出演した面々の若い頃も見られる。初めて観た時もエブリーヌ・ブイックスに惚れたのだけど(マセガキw)、やっぱりお綺麗。彼女も二世代を熱演している。

映画の良さはもちろん、自分があの頃とは観る目が変わっていることを改めて思い知る映画鑑賞でした。観ることは糧になってる。それは実感。






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