竹取翁と万葉集のお勉強

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後撰和歌集 巻16 歌番号1155から1159まで

2024年04月18日 | 後撰和歌集 現代語訳 巻16
歌番号一一五五
原文 以多久己止己乃武与之遠止幾乃飛止以不止幾々天
読下 いたく事好むよしを、時の人言ふ、と聞きて

原文 多可従乃美己
読下 高津内親王

原文 奈本幾々尓満可礼留衣多毛安留毛乃遠計遠布幾々寸遠以不可和利奈左
和歌 なほききに まかれるえたも あるものを けをふききすを いふかわりなさ
読下 直き木に曲がれる枝もあるものを毛を吹き疵を言ふがわりなさ
解釈 真っすぐな木にも曲がった枝もあるのにね、ただ、毛を吹き別けて疵を探し出して悪口を言うような細かな欠点を見つけて批評するのは道理には合いません。
注意 漢語成句「吹毛求疵」(韓非子:「不吹毛而求小疵、不洗垢而察難知」毛を吹きて小疵を求めず)を引用する。詞書の「こと(事)」は風流や漢詩を意味し、「とき(時)」は流行を追い駆けるのような意味合いです。

歌番号一一五六
原文 美可止尓堂天万川利多万日个留
読下 帝に奉りたまひける

原文 佐加乃幾佐為
読下 嵯峨后

原文 宇徒呂者奴己々呂乃布可久安利个礼者己々良知留者奈者留尓安部留己止
和歌 うつろはぬ こころのふかく ありけれは ここらちるはな はるにあへること
読下 移ろはぬ心の深く有りければここら散る花春に逢へるごと
解釈 私には帝への変わることなくお慕い申し上げる気持ちは深くありますが、一方では、帝の身の回りではたくさんに散らす花がおありのようで、まるで季節が春になったかのようです、(若い女たちとお盛んですね。)

歌番号一一五七
原文 己礼可礼於无奈乃毛止尓満可利天毛乃以比奈止之家留尓
於无奈乃安奈左武乃加世也止毛宇之个礼者
読下 これかれ女のもとにまかりて物言ひなどしけるに、
女の、あな寒の風や、と申しければ

原文 与美飛止之良寸
読下 詠み人知らす

原文 堂万多礼乃安美女乃満与利布久加世乃左武久者曽部天以礼武於毛日遠
和歌 たまたれの あみめのまより ふくかせの さむくはそへて いれむおもひを
読下 玉垂れのあみ目の間より吹く風の寒くはそへて入れむ思ひを
解釈 貴女の部屋の美しい御簾の網目の間から、吹く風が寒いのであれば、吹き込むその風に載せて入れましょう、私の恋焦がれる思いの火を。

歌番号一一五八
原文 於止己乃毛乃以比个留遠左波幾个礼者加部利天
安之多尓川可者之个留
読下 男の物言ひけるを、騒ぎければ、帰りて、
朝につかはしける

原文 与美飛止之良寸
読下 詠み人知らす

原文 之良奈美乃宇知左者可礼天多知之可八三遠宇之本尓曽々天者奴礼尓之
和歌 しらなみの うちさわかれて たちしかは みをうしほにそ そてはぬれにし
読下 白浪のうち騒がれて立ちしかば身を潮にぞ袖は濡れにし
解釈 昨夜の貴女の閨で、白浪が打つ騒ぐではありませんが、貴女と言い争いをして共寝をせずにそのままに帰って来ましたので、我が身を辛いと思うほどに、白浪の浪雫のような潮に濡れたとばかりに、私の袖は辛い思いで流す涙に濡れてしまいました、(さて、機嫌は直りましたか。)

歌番号一一五九
原文 加部之
読下 返し

原文 与美飛止之良寸
読下 詠み人知らす

原文 止利毛安部寸堂知佐者可礼之安多奈美尓安也奈久奈尓々曽天乃奴礼个无
和歌 とりもあへす たちさわかれし あたなみに あやなくなにに そてのぬれけむ
読下 とりもあへず立ち騒がれしあだ浪にあやなく何に袖の濡れけん
解釈 共寝をすることもなく、なにもすることがなく、ただ、立ち騒がしく帰って行った貴方、意味もなく打ち寄せる浪に何ほどの道理もないように、何を理由に貴方の袖は濡れたのでしょうか。(私は、もう、昨夜のことは気にもしていませんよ。)

コメント
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