竹取翁と万葉集のお勉強

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後撰和歌集 巻16 歌番号1160から1164まで

2024年04月19日 | 後撰和歌集 現代語訳 巻16
歌番号一一六〇
原文 堂以之良寸
読下 題知らす

原文 与美飛止之良寸
読下 詠み人知らす

原文 堂々地止毛堂乃万佐良奈无三尓知可幾己呂毛乃世幾毛安利止以不奈利
和歌 たたちとも たのまさらなむ みにちかき ころものせきも ありといふなり
読下 たたちともたのまさらなん身にちかき衣の関もありといふなり
解釈 この恋路は真っすぐな路だと、私に期待を寄せないでください、身に近い衣、その名前のような「許呂母の関」があるというではありませんか。
注意 平安時代初期の「許呂母の関」の場所は推定では愛知県の三ケ日の付近で、鎌倉時代以降の宮城県の「衣川の関」とは関係がありません。

歌番号一一六一
原文 止毛多知乃比左之久安者佐利个留尓万可利安日天
与三者部利个留
読下 友だちの久しく逢はざりけるに、まかりあひて
よみ侍りける

原文 与美飛止之良寸
読下 詠み人知らす

原文 安者奴万尓己比之幾三知毛志利尓之遠奈止宇礼之幾尓万与不己々呂曽
和歌 あはぬまに こひしきみちも しりにしを なとうれしきに まよふこころそ
読下 逢はぬ間に恋しき道も知りにしをなどうれしきにまどふ心ぞ
解釈 貴方に逢わない間は、一途に恋焦がれる恋路を知りましたが、どうしてでしょう、このように貴方にお逢いすると、その嬉しい気持ちに、ただ、これからどうしていいのか判らずに戸惑うばかりです。

歌番号一一六二
原文 堂以之良寸
読下 題知らす

原文 与美飛止之良寸
読下 詠み人知らす

原文 伊可奈利之布之尓可以止乃美多礼个无志日天久礼止毛止个寸三由留八
和歌 いかなりし ふしにかいとの みたれけむ しひてくれとも とけすみゆるは
読下 いかなりし節にか糸の乱れけん強ひて繰れども解けず見ゆるは
解釈 どのような節目にでしょうか、紡ぐ糸が乱れるように貴方の気持ちが乱れたのでしょうか、無理に紡ぐ糸を繰って巻き取る、その言葉の響きではありませんが、無理してやって来てくれた貴方のお気持ちが、打ち解けないように見えるのは。

歌番号一一六三
原文 飛止乃女尓加与比个留三川个良礼者部利天
読下 人の妻に通ひける、見つけられ侍りて

原文 可天宇保宇之
読下 賀朝法師

原文 三奈久止毛飛止尓志良礼之与乃奈可尓志良礼奴也万遠志留与之毛可奈
和歌 みなくとも ひとにしられし よのなかに しられぬやまを しるよしもかな
読下 身投ぐとも人に知られじ世の中に知られぬ山を知るよしもがな
解釈 我が身を投げて死んだとしても、不倫の恋に死んだとは人には知られたくないものです、そのために、世の中で人が知らない山を知るすべはないでしょうか。

歌番号一一六四
原文 加部之
読下 返し

原文 毛止乃於止己
読下 もとのをとこ(元の男)

原文 与乃奈可尓志良礼奴也万尓三奈久止毛多尓乃己々呂也以者天於毛者武
和歌 よのなかに しられぬやまに みなくとも たにのこころや いはておもはむ
読下 世の中に知られぬ山に身投ぐとも谷の心や言はで思はむ
解釈 世の中で人が知らない山で、お前が不倫の恋に人知れずに身を投げて死んだとしても、お前がそのことを評判にだけはしないで欲しいと願う気持ちがあっても、私が人々にお前の不倫の恋のことを言わないで置くとは思わない。

コメント
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