4月19日は、饅頭の祖とされる林浄因(りん・じょういん)の命日だ。この日、奈良市の漢國(かんごう)神社境内にある「林(りん)神社」で、饅頭祭りが営まれる。今年も、私はお参りしてきた。当日の様子は毎日新聞奈良版(4/20付)に紹介されていたので、私の写真とともに全文を抜粋しておく。
※トップ写真は、漢國神社境内にある林神社の祠(ほこら)。すべて4/19の撮影
梅木宮司さんの祝詞奏上。この一枚だけは、奈良新聞(4/20付)の記事サイトから拝借した
林神社にまんじゅう奉納 例大祭 限定販売に長蛇の列
南北朝時代、中国から日本にまんじゅう作りを伝えた林浄因(りんじょういん)の命日にちなむ例大祭「饅頭(まんじゅう)祭り」が19日、奈良市の漢国(かんごう)神社内にある林(りん)神社で営まれた。
全国の菓子業者がまんじゅうなどを奉納し、江戸時代の名物の復刻版として限定販売された「奈良饅頭」には祭礼前から長い行列ができた。
全国の菓子業者からお供えされた菓子
林浄因は元王朝時代の中国から渡来し、林神社近くで初めて小豆あんの入ったまんじゅうを作ったとされる。江戸時代にはまんじゅうは奈良名物として全国で知られており、当時の史料にはまんじゅうの中央に赤い点を打った「奈良饅頭」の絵図や記述が残る。
私も1時間並んで、4種類の「復刻版奈良饅頭」(1箱600円)を買い求めた。メーカーは向かって左から、千代乃舎(ちよのや)竹村(奈良市東向南町)、萬春堂(奈良市三条栄町)、吉方庵(桜井市三輪)、千珠庵きく川(五條市五條)。すべて、こし餡の薯蕷(じょうよう)饅頭だ
祭りでは昨年から復刻版奈良饅頭を当日限定で販売しており、この日は県内の和菓子業者4社が製造した計500箱(2個入り600円)が約1時間で売り切れた。
食べ比べてみたが、「少しソフト」「少し甘め」程度の僅差で、すべておいしかった!
「和菓子応援団長」を名乗り、趣味のまんじゅう研究を復刻販売につなげた元教員の太鼓打源五郎=本名・小関吉浩=さん(62)は「林神社でたまたま参拝客からまんじゅうのことを聞かれ、自分で調べ始めたのがきっかけ。和菓子の盛り上がりにつながればうれしい」と話した。祭礼では同神社の梅木春興宮司の発案で作られた「まんじゅう数え歌」の合唱なども奉納された。【稲生陽】
饅頭祭りの日に催された挽き茶会。抹茶、きりこ(あられ)、火打焼がついて@600円
なおこの日は、NPO法人「奈良の食文化研究会」の企画で、特別に「中曽(なかぞし=橿原市)の挽(ひ)き茶会」も開催されていた。昨年(2023.10.29)、挽き茶の体験交流会が同会の主催で行われた。奈良新聞(2023.10.30付)が詳しく報じていたので、以下に全文を紹介しておく。
江戸のお茶文化継承 - 橿原で挽き茶体験交流会
煎茶を石臼で粉末にした「挽(ひ)き茶」の体験交流会が29日、奈良県橿原市中曽司(なかぞし)町の同町本町会館で開かれた。NPO法人奈良の食文化研究会主催。同会会員や地元住民ら約40人が、県内では同町だけに残っており、江戸時代初期から伝わるという挽き茶(抹茶)を入れ、茶の子(お茶うけ)とともに味わう喫茶文化を楽しんだ。
飲み方は、ごはん茶わんよりも少し大きめのわんに自家製の挽き茶を入れ、少量のお湯を注いで茶せんで十分に泡立てる。その後、少しの塩とお湯を足してキリコ(あられ)をお茶が隠れるまで浮かばせて、飲んだり食べたりする。
この日の交流会は同本町自治会が協力。参加者は地元の主婦6人の指導で挽き茶を入れ、インゲンのごま和えやサトイモなどの茶の子とともに味わった。
子どもの頃、ほうじ茶にきりこ(あられ)を浮かべておやつにしたことがあるが、抹茶は珍しい
同会の木村隆志理事長は「廃れつつある県内のお茶文化を残す一助になればとの思いでイベントを企画した。今後とも文化を継続してほしい」とあいさつ。参加した亀田忠彦市長もあいさつし、「橿原市が誇れるお茶の文化を広く伝えていきたい」と話した。
茶の子(茶菓子)は、千代乃舎竹村(奈良市東向南町)の名物・火打焼
体験会ではまた、的場輝佳・奈良女子大学名誉教授による「大和のお茶」と題した講演や、同町の挽き茶の語り部である松嶋好子さん(97)の挽き茶に伝わる話の説明もあった。この後の交流会では生駒亭茶千こと、生駒市の茶せん職人、久保建史さんによる茶せんにちなんだ創作落語の披露などもあった。
同会会員で地域商品プロデュ―スに携わる、大阪府吹田市の原野知有紀さん(45)は「挽き茶は初めて。お茶というよりもおやつという感じ」。大阪市から同町に移住して約40年という主婦の栗本悦子さん(74)は「初めての体験だったが、挽き茶は香ばしくておいしかった」とそれぞれ感想を述べた。
昨年、好評だった「中曽司の挽き茶体験交流会」は、今年も開催が予定されているそうで、私も体験してみたいものだ。
※トップ写真は、漢國神社境内にある林神社の祠(ほこら)。すべて4/19の撮影
梅木宮司さんの祝詞奏上。この一枚だけは、奈良新聞(4/20付)の記事サイトから拝借した
林神社にまんじゅう奉納 例大祭 限定販売に長蛇の列
南北朝時代、中国から日本にまんじゅう作りを伝えた林浄因(りんじょういん)の命日にちなむ例大祭「饅頭(まんじゅう)祭り」が19日、奈良市の漢国(かんごう)神社内にある林(りん)神社で営まれた。
全国の菓子業者がまんじゅうなどを奉納し、江戸時代の名物の復刻版として限定販売された「奈良饅頭」には祭礼前から長い行列ができた。
全国の菓子業者からお供えされた菓子
林浄因は元王朝時代の中国から渡来し、林神社近くで初めて小豆あんの入ったまんじゅうを作ったとされる。江戸時代にはまんじゅうは奈良名物として全国で知られており、当時の史料にはまんじゅうの中央に赤い点を打った「奈良饅頭」の絵図や記述が残る。
私も1時間並んで、4種類の「復刻版奈良饅頭」(1箱600円)を買い求めた。メーカーは向かって左から、千代乃舎(ちよのや)竹村(奈良市東向南町)、萬春堂(奈良市三条栄町)、吉方庵(桜井市三輪)、千珠庵きく川(五條市五條)。すべて、こし餡の薯蕷(じょうよう)饅頭だ
祭りでは昨年から復刻版奈良饅頭を当日限定で販売しており、この日は県内の和菓子業者4社が製造した計500箱(2個入り600円)が約1時間で売り切れた。
食べ比べてみたが、「少しソフト」「少し甘め」程度の僅差で、すべておいしかった!
「和菓子応援団長」を名乗り、趣味のまんじゅう研究を復刻販売につなげた元教員の太鼓打源五郎=本名・小関吉浩=さん(62)は「林神社でたまたま参拝客からまんじゅうのことを聞かれ、自分で調べ始めたのがきっかけ。和菓子の盛り上がりにつながればうれしい」と話した。祭礼では同神社の梅木春興宮司の発案で作られた「まんじゅう数え歌」の合唱なども奉納された。【稲生陽】
饅頭祭りの日に催された挽き茶会。抹茶、きりこ(あられ)、火打焼がついて@600円
なおこの日は、NPO法人「奈良の食文化研究会」の企画で、特別に「中曽(なかぞし=橿原市)の挽(ひ)き茶会」も開催されていた。昨年(2023.10.29)、挽き茶の体験交流会が同会の主催で行われた。奈良新聞(2023.10.30付)が詳しく報じていたので、以下に全文を紹介しておく。
江戸のお茶文化継承 - 橿原で挽き茶体験交流会
煎茶を石臼で粉末にした「挽(ひ)き茶」の体験交流会が29日、奈良県橿原市中曽司(なかぞし)町の同町本町会館で開かれた。NPO法人奈良の食文化研究会主催。同会会員や地元住民ら約40人が、県内では同町だけに残っており、江戸時代初期から伝わるという挽き茶(抹茶)を入れ、茶の子(お茶うけ)とともに味わう喫茶文化を楽しんだ。
飲み方は、ごはん茶わんよりも少し大きめのわんに自家製の挽き茶を入れ、少量のお湯を注いで茶せんで十分に泡立てる。その後、少しの塩とお湯を足してキリコ(あられ)をお茶が隠れるまで浮かばせて、飲んだり食べたりする。
この日の交流会は同本町自治会が協力。参加者は地元の主婦6人の指導で挽き茶を入れ、インゲンのごま和えやサトイモなどの茶の子とともに味わった。
子どもの頃、ほうじ茶にきりこ(あられ)を浮かべておやつにしたことがあるが、抹茶は珍しい
同会の木村隆志理事長は「廃れつつある県内のお茶文化を残す一助になればとの思いでイベントを企画した。今後とも文化を継続してほしい」とあいさつ。参加した亀田忠彦市長もあいさつし、「橿原市が誇れるお茶の文化を広く伝えていきたい」と話した。
茶の子(茶菓子)は、千代乃舎竹村(奈良市東向南町)の名物・火打焼
体験会ではまた、的場輝佳・奈良女子大学名誉教授による「大和のお茶」と題した講演や、同町の挽き茶の語り部である松嶋好子さん(97)の挽き茶に伝わる話の説明もあった。この後の交流会では生駒亭茶千こと、生駒市の茶せん職人、久保建史さんによる茶せんにちなんだ創作落語の披露などもあった。
同会会員で地域商品プロデュ―スに携わる、大阪府吹田市の原野知有紀さん(45)は「挽き茶は初めて。お茶というよりもおやつという感じ」。大阪市から同町に移住して約40年という主婦の栗本悦子さん(74)は「初めての体験だったが、挽き茶は香ばしくておいしかった」とそれぞれ感想を述べた。
昨年、好評だった「中曽司の挽き茶体験交流会」は、今年も開催が予定されているそうで、私も体験してみたいものだ。