チェルフィッチュ「スーパープレミアムソフトWバニラリッチ」/KAAT神奈川芸術劇場大スタジオ/12月18日(木)夜観劇
コンビニエンス・ストアを舞台に、そこで働く男女と、指導に来る本部スタッフと、買い物客が登場。コンビニという業態、品ぞろえ、ここで働く人々の意識と社会的な評価、スタッフと客との関係などが、作者の岡田利規独特の、バイアスの掛かった目で表現される。
一番に感じたことは、ずいぶん分かりやすい。なぜか。その一番の理由は、手や体をクネクネさせたりして、意味不明な動きをするのだが、それがキャラクターを補強する動きだと感じられたからだ。いつもは、なぜ、こんな動きをするんだろう、何を意味しているのだろう、とずっと考えさせられる。ところが今回は「ああ、この動き、この人物が、心の中に、何か不安定なものを抱えていることの表現として、受け取っておけばいいのでは」と最初から思えて、そのまま見ていたら、せりふもいつもよりすんなり入ってきた。
これまでだと、まず、リアルに演技する俳優が出てきて、見た目や話し方などで、個性の強さというアクの強さを感じさせる。そこで十分インパクトがあって、いろいろ想像力を刺激される。そのうちに、さらに、リアルではない手や腰などの動きを始める。だから、役のキャラと意味不明な動きを別々に解釈しようとしてしまい、付いていきにくくなる。今回の出演者は、手などの奇妙な動きを、キャラづくりの一部としてはっきり意識しているようにも見えた。
この作品は、世界9カ国15都市で公演してきたもの。海外の観客に見せる、ということを意識した時、こういう分かりやすさへと向かったのだろうか。音楽をずっと流し続けるので、初めは気になったが、「海外向け」となれば、何となく許せた。ことしの秋、チェルフィッチュがヨーロッパで受けている、と聞いた時、向こうの人にどこが受けているのだろう、などと頭に浮かんだ不安が、この舞台を見たことでかなり薄らいだ。
(写真は、会場の神奈川芸術劇場のロビーを外から撮影。この日、神奈川県が誇る水源、宮ケ瀬湖から来たモミの木のツリーが飾られていた)
コンビニエンス・ストアを舞台に、そこで働く男女と、指導に来る本部スタッフと、買い物客が登場。コンビニという業態、品ぞろえ、ここで働く人々の意識と社会的な評価、スタッフと客との関係などが、作者の岡田利規独特の、バイアスの掛かった目で表現される。
一番に感じたことは、ずいぶん分かりやすい。なぜか。その一番の理由は、手や体をクネクネさせたりして、意味不明な動きをするのだが、それがキャラクターを補強する動きだと感じられたからだ。いつもは、なぜ、こんな動きをするんだろう、何を意味しているのだろう、とずっと考えさせられる。ところが今回は「ああ、この動き、この人物が、心の中に、何か不安定なものを抱えていることの表現として、受け取っておけばいいのでは」と最初から思えて、そのまま見ていたら、せりふもいつもよりすんなり入ってきた。
これまでだと、まず、リアルに演技する俳優が出てきて、見た目や話し方などで、個性の強さというアクの強さを感じさせる。そこで十分インパクトがあって、いろいろ想像力を刺激される。そのうちに、さらに、リアルではない手や腰などの動きを始める。だから、役のキャラと意味不明な動きを別々に解釈しようとしてしまい、付いていきにくくなる。今回の出演者は、手などの奇妙な動きを、キャラづくりの一部としてはっきり意識しているようにも見えた。
この作品は、世界9カ国15都市で公演してきたもの。海外の観客に見せる、ということを意識した時、こういう分かりやすさへと向かったのだろうか。音楽をずっと流し続けるので、初めは気になったが、「海外向け」となれば、何となく許せた。ことしの秋、チェルフィッチュがヨーロッパで受けている、と聞いた時、向こうの人にどこが受けているのだろう、などと頭に浮かんだ不安が、この舞台を見たことでかなり薄らいだ。
(写真は、会場の神奈川芸術劇場のロビーを外から撮影。この日、神奈川県が誇る水源、宮ケ瀬湖から来たモミの木のツリーが飾られていた)