今日のセミナー

2014-05-17 16:26:30 | セミナー

Zirnsak, M., Steinmetz, N. A., Noudoost, B., Xu, K. Z. and Moore, T. : Visual space is compressed in prefrontal cortex before eye movements. Nature, Vol.507, 504-507, 2014
Abstract(日本語要約)
NEWS & VIEWS

サッケード直前の視界は奇妙にねじれた状態になっている……という話なんだけど,

確かに今回の実験結果だけを見ればこういう結論に至るのは納得なのですが,サッケード直前って視覚が不安定になってますよね?たぶん。だから,みかけの視力が低下した影響によってこういう実験結果になっているのではないかと…。違いますかね?

とりあえず,眼球運動をつかさどっているはずの前頭眼野(FEF)に,なぜ視覚受容野があるのでしょうか。


今日のセミナー

2014-04-19 16:19:29 | セミナー

Kirkton, R. D. and Bursac, N. : Engineering biosynthetic excitable tissues from unexcitable cells for electrophysiological and cell therapy studies. Nat. Commun., Vol.2, Article num.300, 2011
Abstract


今日のセミナー

2014-03-29 16:11:12 | セミナー

Wu, Q., Clark, M. S. and Palmiter, R. D. : Deciphering a neuronal circuit that mediates appetite. Nature, Vol.483, 594-597, 2012
Abstract(日本語要約)

「食欲を調節する神経回路の解明」

ヒトジフテリアトキシン受容体発現マウスを使って、視床下部のAgRPニューロンを破壊実験をおこなうと、マウスに食餌量および体重の減少がみられ飢餓状態となってしまうことが知られている。著者らによる、Cell(2009年)の報告では、AgRPニューロン破壊後にFos活性化が見られた部位にブレタゼニル(GABAA受容体部分的作動薬)を投与すると、PbN(橋結合腕傍核)の場合において、AgRPを破壊されたマウスの食餌量と体重に回復がみられ、このことからAgRPニューロンからPbNへGABA作動性のシグナルがなくるとPbNが過活動をおこし、マウスが食欲不振になったと考えらえた。
 味覚嫌悪学習習の研究では、PbNの外側部で内臓性の不快感に対して応答性があることが知られているが、AgRP破壊マウスで食欲抑制性応答が出現するのは、おそらくPbNの過活動によるものと推測される。ではPbNの過活動は脳のどの部位からの入力によって引き起こされるのだろう?というのが今回の論文のテーマです。実験からは、孤束核(NTS)のグルタミン酸作動性ニューロンからのPbNの興奮性の入力や脳幹部に投射する縫線核セロトニン作動性ニューロンの興奮性の入力がPbNの過活動の原因で、AgRPニューロン破壊マウスの食欲不振を起こしていることが示された。さらに、AgRPニューロンを破壊しない場合は、PbNのグルタミン酸作動性の出力を弱める(AgRPDTR/+;Slc17a6l0x/loxマウスのPbNにCreリコンビナーゼを投与し、グルタミン酸の放出量を抑える)と食餌量と体重で増加がみられた。今回の研究から、PbNの摂食と体重を双方向に調節するハブとしての役割が明らかになった。

 電気生理学的手法でマウス孤束核吻側部の味覚ニューロンの神経活動を記録している自分は、日頃から、マウスのNTS吻側部は領域も狭く深さ(厚み)が薄くて、侵襲にとても弱いと感じでいる。それで、今回の論文とサプリメントを読んでみて、著者らがrNSTと言っている部位が自分のイメージする孤束核よりも尾側寄りにあるような印象を受けたし、試薬投与部位を限局するのは難しいそうだと感じた。とは言っても、今回の研究は、行うには大変な実験系であることが想像できる。たまたま、吐き気や食欲不振のメカニズムについて調べていた時に、読んだ論文。読むにあたって視床下部ニューロンについて、いろいろと調べることが出来て勉強になった。


今日のセミナー

2014-03-01 16:04:09 | セミナー

Elipot, Y., Hinaux, H., Callebert, J. and Rétaux, S. : Evolutionary shift from fighting to foraging in blind cavefish through changes in the serotonin network. Curr. Biol., Vol.23, Issue 1, 1-10, 2013
Abstract


今日のセミナー

2014-02-01 15:59:13 | セミナー

Yartsev, M. M. and Ulanovsky, N. : Representation of three-dimensional space in the hippocampus of flying bats. Science, Vol.340, No.6130, 367-372, 2013
Abstract


今日のセミナー

2013-12-14 16:01:44 | セミナー

Anguera, J. A., Boccanfuso, J., Rintoul, J. L., Al-Hashimi, O., Faraji, F., Janowich, J., Kong, E., Larraburo, Y., Rolle, C., Johnston, E. and Gazzaley, A. : Video game training enhances cognitive control in older adults. Nature, Vol.501, 97-101, 2013
Abstract(日本語要約)

<抄録>
認知制御とは、ヒトが目標達成に向けて複雑な環境と相互作用することを可能にする一連の神経過程と定義される。複数の目標を同時に達成しようとする際(マルチタスク行動)にはいつも、ヒトはこのような認知制御過程に対処することを強いられ、その結果、基本的な情報処理能力の制限に起因する干渉が生じる。テクノロジーが氾濫する現代社会では、マルチタスク行動があらゆる所で見られるようになっていることは明らかであり、高齢化が進むヒト集団におけるマルチタスク行動の難しさと認知制御能力の低下については多くのエビデンスが集まっている。本論文では、特別に設計した三次元ビデオゲーム(ニューロレーサー)によって評価されるマルチタスク課題の成績が、20~79歳の年齢に関連して直線的に低下することを示す。マルチタスク訓練モードに適合させたニューロレーサーを実行することで、60~85歳の高齢者のマルチタスク処理時におけるコストは、対照群(シングルタスク実施群や訓練非実施群)のよりも低く、20歳の未訓練被験者のレベルを超えるところにまで達し、この改善は6か月間持続した。また、脳波により測定された加齢による認知制御神経指標の低下は、マルチタスク訓練によって改善した(前頭正中部のθ波パワーと前頭後部のθ波コヒーレンスが増大した)。重要なことに、この訓練による成績向上は訓練していない他の認知制御能力(注意の持続や作業記憶の改善)にも及び、前頭正中部のθ波パワーの増大から、訓練による注意の持続と6か月後までのマルチタスク遂行能力の向上維持が予測される。今回の知見は、高齢者の脳の前頭前野の認知制御系にはロバストな可塑性があることをはっきり示しており、特別に設計したビデオゲームが、若者から高齢者までの認知能力の評価や、その基盤となる神経機構の検討に使用でき、また認知能力強化の有効な手段となることを示した、我々の知るかぎりで最初のエビデンスである。

<感想>
今回、“ドライビングゲームを用いた訓練による認知機能の改善”に関する論文を読んだ。同時処理能力や注意をはじめとする認知機能が年齢を重ねるごとに低下するという事実は、これまでにも多く報告されており、高齢者の主観的経験からも明らかである。そのような中、“加齢に伴う認知機能低下の予防や改善”に関心が集まり、本邦においても数年前にゲームを用いた脳トレブームが到来した。ゲームを用いた脳トレは手軽であり、日々の生活に取り入れやすい。しかし、ゲームを用いた脳トレの効果については、賛否両論あり、個人的には、これまでやや否定的な意見の方が多い印象を受けていた。効果が否定的というよりも、効果検証が曖昧なものが多く見受けられた。しかし、今回のニューロレーサーを用いた研究は、介入による効果検証に複数の認知課題における行動指標、および脳波による生理学的指標の両方を用いて行われた。マルチタスクモードで訓練したグループはシングルタスクモードで訓練したグループや訓練を行わないグループよりも、マルチタスクの成績に加え、ワーキングメモリや持続的注意の成績も向上し、さらに、前頭前野が活発になっているという結果が示された。シングルタスクモード群も脳波による解析では活性化がみられていたが、行動指標と生理学的指標の双方においてマルチタスク訓練の効果が示されたことは意義深い。著者らも述べていたが、今後、認知症をはじめとする疾患群においても効果がみられるかが気になるところである。
また、本研究は、ニューロレーサーにおけるマルチタスク訓練モードの効果を示すものであったが、マルチタスク訓練は他の課題にも取り入れることが出来る。確かにニューロレーサーは運転という多くの人が日常生活で行う実生活に即した行動を訓練に取り入れており、操作方法も簡便で魅力的なツールであるが、高齢者にはゲームが嫌いな人、運転を行わない人、デジタルよりもアナログを好む人、など様々である。したがって、“何がよいか”ではなく、“どのような事が良いか”について明らかにすることで、一人一人に応じた認知トレーニングの提供につながるのではないかと感じた。そのためにも、今後、ニューロレーサー以外のマルチタスク訓練における認知機能改善効果についても研究が行われ、エビデンスが積み重ねられることを期待したい。
 今回、セミナー中にいろいろなご指摘をいただき、読み込み不足を痛感したが、とても良い勉強になった。


今日のセミナー

2013-11-16 15:53:01 | セミナー

Ramirez, S., Liu, X., Lin, P. A., Suh, J., Pignatelli, M., Redondo, R. L., Ryan, T. J. and Tonegawa, S. : Creating a false memory in the hippocampus. Science, Vol.341, No.6144, 387-391, 2013
Abstract


今日のセミナー

2013-10-19 15:46:59 | セミナー

Killian, N. J., Jutras, M. J. and Buffalo, E. A. : A map of visual space in the primate entorhinal cortex. Nature, Vol.491, 761-764, 2012
Abstract(日本語要約)

<抄録>
脳:霊長類内側嗅皮質にある視覚空間地図

場所に依存して変調する海馬体ニューロンの活動は、記憶の形成や想起の際に、文脈情報を組織化するための手段となっている。空間表現の特徴的な一例はグリッド細胞のもので、ラットとコウモリの内側嗅皮質(EC)で観察されているが、霊長類では単一ユニットとしては報告されていない。今回、頭を固定したサルのECで、自由視条件下で視覚記憶課題を遂行中の空間表現を検討した。サルに多数の複雑図形を連続的に見せ、それぞれのイメージにおいて視野中の複数の異なる場所を注視したときに活動電位を発する個々のニューロンを同定した。これらの発火領域には、空間自己相関でよく知られた六角構造に対応する三角形のタイル敷き詰めと類似の空間周期性が見られた。また、これらのニューロンはシータ帯域の振動活動を示し、嗅脳溝からの距離に応じて空間スケールが変わる。この性質はげっ歯類で以前に明らかにされた性質と同じである。こうした空間表現は、複雑な視覚情景の中で刺激内容の符号化を定めるための枠組みを提供している可能性がある。総合して、今回の結果は、霊長類でのグリッド細胞の存在を直接示すもので、ECニューロンが、視覚探索の際に動物の移動を伴わなくとも空間の符号化を行っていることを示唆している。

<感想>
今回、大学院のセミナーとして、抄読会で「視覚空間地図」について発表させていただきました。論文で取り扱っているグリッド細胞などの場所関連細胞は、自分自身初めて耳にしたので、概念や実験手順などを理解するのに大変苦労したと同時に、そのような言語化したりすることが難しい抽象的な概念を科学的に落とし込んで様々に研究されているのを目の当たりにし、大変感銘を受けました。
 論文を読んで、環境を選ばず、同じような場所を同じ風に認識できる(そのときに信号が活動する)ことで、「視覚空間地図」構成の一助となり、自身の場所を知る手掛かりにできたり、また嗅脳溝からの距離に比例して空間スケールが変わることが人間の大脳皮質の感覚のホムンクルスに類似しているななどと考えられたり非常に興味深かったです。ただし、視線と脳の電気活動のみで今回のことは証明されているので、それだけで言い切れるのか、入力の際に他に関与・調査できる方法・表現型はないのかという疑問は残りました。今回グリッド細胞で、視覚からの入力の部分は少し学べたので、ボーダー細胞や頭方位細胞などからの情報も加えながら、さらにそれを統合する仕組みについては更に興味深く思いました。
最後に理解が追い付いておらず、拙い発表であったにもかかわらず、発表前・発表中にご教授いただけ、大変勉強になりました。私が専攻しております、精神科の分野でも、海馬など大脳辺縁系の機能は精神症状に大いに関係しており、今回学んだことを今後の診療・研究に役立てていきたいと考えております。ご指導ありがとうございました。


今日のセミナー

2013-08-24 15:26:02 | セミナー

Pfeiffer, B. E. and Foster, D. J. : Hippocampal place-cell sequences depict future paths to remembered goals. Nature, Vol.497, 74-79, 2013
Abstract(日本語要約)
NEWS & VIEWS(日本語要約)

とうとうわれわれ人類は未来予知の力を手に入れた。限定的だけど

従来はreplay(再帰)だと思われていたニューロン応答が,predict(予測)だったという話。ただ単に一次元直線走路でやられていた実験を二次元空間でやろうとしただけだと思うんだけど,思いもよらぬ重大な結果が得られた。こういうことがあるから研究は面白い。

ちょっと前の論文で,ニューロン応答が逆順でreplayされるというのがあったけど,直線系路上で直前に通った場所を折り返してもう一度通ろうとしているときに,折り返し地点でpredictしていると考えると,ちょうどつじつまが合う。


今日のセミナー

2013-07-20 15:17:19 | セミナー

Ortega, F., Gascón, S., Masserdotti, G., Deshpande, A., Simon, C., Fischer, J., Dimou, L., Chichung, Lie D., Schroeder, T. and Berninger, B. : Oligodendrogliogenic and neurogenic adult subependymal zone neural stem cells constitute distinct lineages and exhibit differential responsiveness to Wnt signalling. Nat. Cell Biol. Vol.15, 602-613, 2013
Abstract