透明タペストリー

本や建築、火の見櫓、マンホール蓋など様々なものを素材に織り上げるタペストリー

「マティス 自由なフォルム」

2024-04-24 | A あれこれ

 
六本木ヒルズ森タワーから俯瞰した国立新美術館(撮影:2023.04.13)
設計:黒川紀章・日本設計  


 国立新美術館の空間構成は単純明快だ。ウェーブしている曲面の外壁が特徴のエントランスホール、その後方に横一列に並ぶ展示室。

3層吹き抜けのエントランスホールに入ると、行きたい展示室が簡単に分かる構成になっている。2007年に開館したこの美術館には何回も行った。

現在この美術館でマティス展が開催されている(会期:5月27日まで)。21日(日)はあちこち見て歩いたけれど、一番行きたかったのはこの展覧会だった。

今回は150点を超える作品が展示されているとのことで、見ごたえがあった。

展示作品を鑑賞していくと、次第に色や形が単純化されていく様子が分かって、興味深かった。ポスト印象派に属するマティスはモネに代表される印象派の絵画のはっきりしない曖昧な色、曖昧な形から離れていく・・・。

展示作品の一部は写真撮影が許可されていた。


シンプルな色と形。ここまで単純化できれば言うことなし。


マティスの切り紙絵

切り紙絵には曖昧な要素が全くない。色も形もきっちり決まる。マティスが晩年に到達した表現。すばらしい。


会場にロザリオ礼拝堂の内部が再現されていて、びっくり。原寸大とのこと。


マティス展には何年も前にも行った。会場は東京都美術館だったような・・・。ネットで調べて、2004年に国立西洋美術館で開催されていたことが分かった。この年のダイアリーにはチケットが貼ってあった。12月10日に新宿で24会が開催され、参加していた。翌11日にマティス展を鑑賞していた。


マティスの絵は色が鮮やかだ。好きだな、マティスの絵。


週末東京の記は以上!


駒止稲荷神社の狛犬

2024-04-24 | C 狛犬


 旧安田庭園内に祀られている駒止稲荷神社。この神社のことは知らなかった。刀剣博物館が閉館していたので、予定を変更してこの庭園を散策していて社殿の前に狛犬が鎮座していることに気がついた。

神社の近くに「駒止石」の説明板が設置されていた。その説明を要約すれば、三代将軍家光の時代、寛永8年(1631年)の秋に台風に見舞われ、隅田川が大洪水になった。家光は本所川の甚大な被害を憂慮、被害状況を調べさせようとした。濁流が激しく、誰もが尻込みする中、旗本の阿部豊後守忠秋は馬を繰って川を渡り、被害状況を調べて回った。その際、馬を止めて休憩したことろが駒止石。
当時の地元の住民が忠秋の徳を敬い、この地に駒止稲荷を祀ったという。

 
社殿前の狛犬を見る。小ぶりだがなかなか迫力がある。社殿に向かって左側、吽形の狛犬の顔の表情が厳しい。阿吽の形。吽形の狛犬には角か? 上部が欠損していて判然としないが、一般的には獅子は宝珠、狛犬は角だから。では阿形の頭部の様子は? 確認しなかった。

 
社殿を背に狛犬を見る(位置関係に注意)。


阿形の獅子の台座。刻字されていた奉納年は欠損していて確認できない状態。「昭和三・・・・日」 昭和の狛犬だということは分かる。


 


旧弾正橋(八幡橋)を観る

2024-04-24 | A あれこれ


※ タイトルの旧弾正橋が旧弾性橋となっていました。ある方にご指摘いただき、訂正しました。拙ブログには誤字が多くお恥ずかしい限りです。言葉の誤用もありそうです。本稿の構造的な解釈も私見につき、誤りがあるかもしれませんが、それは言うまでもなく、私の理解不足によるものです。

 富岡八幡宮から徒歩で数分のところに国の需要文化財に指定されている、この旧弾正橋(八幡橋)がある。この橋のことを、うさぎさんの「今日のころころこころ」というブログで知り、いつか見てみたいと思っていた。ようやく願いが叶った。


この橋のことは何も知らないので、橋のたもとに設置されていた案内板の写真を載せる。その説明文から一部引用したい。**アーチを鋳鉄製とし、引張材は錬鉄製の鋳錬混合の橋てありかつ独特な構造手法で施工してある。**


側面から橋の全形を見る。

この橋は写真に付けた番号順に1 アーチ、2 床版(人の歩く床面)、3 吊材、4 タイロッド、以上の要素で構成されている。3の吊材によって吊り上げた2の床版を1のアーチによって支えるという構造。これはブランコと基本的には同じ構造でブランコの支持フレームが1、人が座る座板が2、座板を支持フレームから吊り下げている鎖が3に相当する。更にこの橋は1のアーチが2の荷重で変形して下方に下がるのを防ぐために4を設置している。説明文によると、1に鋳鉄が使われ、引張材である3と4に錬鉄が使われているという。


写真③で示した3は吊り材1本、3は吊り材は吊元では1本だが、分岐して2本にしていることを示している。片面4カ所で吊っているが、内側の2カ所は2本、外側2カ所は1本。

この吊り材の他部材との接合部に注目した。以下、その様子を写した写真。


吊材上端の様子


格子状に補強部材を設置した床版(こういうのもワッフルスラブって言うのかな)を吊り上げている様子。吊材は2本。


吊棒1本の箇所の下端の様子。この橋の一番の見どころ。

床版を角型の梁材 6で受けて、棒鋼 1でアーチに吊っている。2と3はタイロッド、4本。前述したが、床版が自重と人の荷重で下方に下がろうとすると、引張材であるタイロッドが抵抗、アーチを助けて床版の位置を保持する。なお、写真⑦の4は橋の両側の構面の面内変形を防ぐブレース。5は橋の手すりの支持材(つっかい棒)。6の下に設置されている接合部品(鋳造品だと思われる)の両端に菊の紋章が施されている。


橋の端部の様子。タイロッドをボルト留めしている。上下2本のタイロッドを1本にまとめている、と推測されるが、確認しなかった(ダメじゃん)。

構造力学的な要求に素直に従って、必要部材をきちんと配置している。いいなぁ、こういうの。


現地で気がつかなかったこともあって、的確な写真があまりなかった。トリミングして、説明的な写真にしたが、どうも・・・、この橋はまた観たい。


週末東京の記 2

2024-04-22 | A あれこれ

 21日 朝9時半、地下鉄門前仲町駅で友人と待ち合わせ。徒歩で富岡八幡宮へ向かう。この神社には狛犬を見るために2015年の9月に来たことがある(過去ログ)。


参拝して、すぐ近くの次の目的地へ。



旧弾正橋(八幡橋)国の重要文化財に指定されている建造物。この橋については別稿で。


門前仲町駅に戻り、大江戸線で両国に向かう。両国では東京都復興記念館と刀剣博物館を見る予定だった。




東京都慰霊堂  内観

東京都復興記念館は都立横網町(*2)公園にある施設で、この公園には東京都慰霊堂もある。どちらの施設も今まで知らなかった・・・。

東京都復興記念館の館内には関東大震災と先の大戦による東京の惨状を伝える写真や絵画などが数多く展示されていた。関東大震災の発生が1923年(大正12年)、この震災で東京は甚大な被害を受けた。それからわずか18年後、1941年(昭和16年)に第二次世界大戦が勃発する。東京は壊滅的な状況に。

復興記念館で受け取った資料には北は北海道から南は九州・沖縄まで、主要な戦災都市一覧が載っている。それから東京空襲一覧も。東京空襲というと、1945年(昭和20年)3月10日の大空襲がよく知られているが、資料によると、約9か月の間に100回以上もあったとのこと。知らなかった、と正直に書く。

戦後、この国は毎年のように自然災害による大きな被害を受け続けてきた。それでも災害列島で生きていくというこの国の人たちの意志。


展示品には火の見櫓のある風景を描いた絵もあった。


横網公園のすぐ近くの旧安田庭園内に刀剣博物館がある。刀剣博物館は槇 文彦の設計。歩きながら友人に槇 文彦の作品を紹介する。幕張メッセ、東京体育館、代官山のヒルサイドテラス、テレビ朝日の社屋、青山のスパイラル・・・。それから「新国立競技場を神宮外苑の歴史的文脈の中で考える」(*2)という論考。



刀剣博物館のエントランスに休館の表示が・・・。残念。展示品を見たかったわけではなく、ここのカフェで休憩したかった。


縁甲板の型枠を使ったコンクリート打ち放しの壁。槇さんの建築はとにかく美しい。


旧安田庭園を歩く。





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庭園内の駒止稲荷神社。狛犬がいる! ここの狛犬については稿を改める。


次はマティス展。両国から大江戸線で六本木へ。大江戸線の両国駅まではかなり距離があることを昨年(2023年4月)回向院に行った時に知った(過去ログ)。追記(04.23):自宅で地図を見て、ずいぶん遠回りしていたことが分かった。
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両国国技館前の太鼓櫓 用途違えど、櫓は櫓。

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こんな蓋があった。 既に12時近くになっていた。美女と一緒だから、六本木のおしゃれな店で食事をしようとおじいさんは考えた。

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2階のレストランに高級車。どうやって店内に入れた? 

例によって食レポは無し。


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マティス展については別稿で。


マティス展鑑賞後、消防博物館へ向かう。少し雨がぱらついているが傘をさすほどでもない。消防博物館は2012年、2016年に来ているから、今回が3回目。

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前からあったのかな、この火の見櫓の模型。記憶にないなぁ。展示してある消防信号板と同じものが自室にある(*3)。

展示品をざっと見て、消防博物館の近くのカフェへ。この時、午後4時ころだった。


友人は聞き上手。阿川佐和子さんの「さしすせそ」の「そうなんだ」をよく使う。「すごいね」も。そのせいなのだろうか、話が尽きない。前回もそうだった。気がつけば6時。あっという間に2時間経っていた。ぼくは夜8時発のあずさで帰ることにしている。

地下鉄を丸の内線、南北線と乗り継いで神楽坂へ。時間がない。タイム イズ モウネェ。ゆっくり食事、とはいかず、1時間も経たないうちにさようなら、お元気で。終日つき合ってくれた友人に感謝。

友人は飯田橋から地下鉄、ぼくは総武線で新宿へ。出発時刻の10分くらい前に新宿に着いて、あずさに乗り込んだ・・・。疲れたな。ビールでも飲んで眠りたいところだけど、車の運転があるからそれは出来ない。

**とても楽しく、刺激を受けて帰ってきました。ありがとうございました。(後略)** 友人からメッセ―ジが届いた。

夜11時近くに帰宅。スマホで歩数を確認するとおよそ14,800歩。二日間でおよそ24,000歩。東京するといつもよく歩く。

大変有意義な週末東京であった。


 

*1 両国には国技館がある。横網を間違えて横綱と表記するケースが案内表示板はじめ印刷物などにもよくあったという。今回も綱を網に訂正したと思われる案内表示を見かけた。

*2 正確に覚えていなかったので帰宅後に確認した。


自室の壁に立てかけてある消防信号板

*3 何年か前のこと、ある自治体で火の見櫓を解体するという情報を得た。担当課の課長にお願いして、火の見櫓に設置されていた消防信号板をいただくことができた。


 


週末東京の記 1 

2024-04-22 | A あれこれ

 先週末、東京した。今回の上京目的は大学時代の恩師を囲む会に参加すること、国立新美術館で開催中のマティス展の鑑賞だった。

本稿と次稿に分けて週末東京、20日(土)と21日(日)の様子を時系列に沿って記録しておきたい。


20日、塩尻駅7時18分発の特急あずさ8号で東京に向かう。現在あずさは全席指定だ。進行方向右側の窓側の席を予約していた。左側の車窓からも火の見櫓は見えるけれど、右側の方がその数が多いと思われることと、後述することがその理由。


山梨県北杜市 特徴的な山容の甲斐駒ヶ岳(*1)の麓に立っている火の見櫓を撮った。たぶんこの辺りのはず、とスマホを構えてスタンバイしていた。スマホ写真のなんとなくパサついた感じがあまり好きではないが、記録写真だからと割り切って撮影する(4以降の写真は持参したカメラで撮影したもの)。


中央東線は甲府盆地を大きく東側に迂回して、塩山駅を過ぎてから、徐々に登っていく。この辺りの車窓の俯瞰的な風景が中央東線では一番好きだ。進行方向右側に席をとるのは、この風景を見たいからというのも理由。


山梨県上野原市 今までこの火の見櫓には気がついていなかった、と思う。少し後方を振り返るようにして見ていて、この火の見櫓に気がついた。あわててスマホを向けた。何とか火の見櫓を写すことができた。 やぐらセンサーの感度はこのところ極めて良好だ。


東京駅に9時59分、定刻に着いた。丸の内北口を出てオアゾの丸善に向かう。ここは上京すれば必ず立ち寄る書店。店内の上質で落ち着いた雰囲気が好ましい。




『生物から見た世界』ユクスキュル/クリサート(岩波文庫2023年第34刷)
『国道16号線 日本を創った道』山瀬博一(新潮文庫2023年)

「先生を囲む会」は目黒雅叙園で11時30分から。時間に余裕がないので、予め決めていた2冊を買い求めて、東京駅に戻る。



山手線の高輪ゲートウェイ駅で電車を降りて、隈 研吾設計の駅の様子を見て、次の電車に乗る。このくらいホームが明るいと好い。まだ乗降客はまばら。


目黒駅で他の参加者と合流、目黒雅叙園に徒歩で向かう。東京は坂の街、急な坂道を下る。5、6分ほどで雅叙園に着いた。






        

参加者は先生と奥さん、上高地仲間の3人、幹事のSTさん、私の7名。カノビアーノの個室で幹事のSTさんがオーダーしたイタリア赤ワインと共にコース料理を味わう。イタリア料理の味を表現する言葉を持たないので、省略。11時30分から2時間、楽しい時間はあっという間に過ぎて・・・。 

記念写真を何枚も撮影した。再会を約束して先生を囲む会はお開きに。先生は奥さん運転の車で帰宅された。STさんとも分かれた。


上高地仲間3人と庭園美術館(*2)辺りまで、酔い覚ましの散歩。

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以前、満席で入店できなかったレストラン・・・。

その後、目黒駅近くの居酒屋で2次会。私の予定に合わせてもらい、4時半過ぎにお開き。


地下鉄を乗り継いで某所へ向かった。

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6時半ころ、Mが予約していた焼き肉屋さんへ。店員さんが提示したQRコードをスマホで読み取って、表示された画面で飲み物などを注文するシステム。おじ(い)さんには、ハードルが少し、そう少しだけ高め。

焼肉は久しぶり。どの肉もなかなか美味かった。支払いはMがしてくれた。ごちそう様でした。

東京ではいつもよく歩く。20日も地下鉄の乗り換えや駅から目的地までの移動でよく歩いた。歩数は約9,300歩だった。


*1 甲斐駒ヶ岳(かいこまがたけ)南アルプス(赤石山脈)の北端に位置する山、標高2,967m。
*2 庭園美術館には何回も行ったことがある。(過去ログ


 


100円と20円の普通切手

2024-04-19 | D 切手



 既に複数回書いたが、国の文化審議会は辰野町小野下町の火の見櫓を国登録有形文化財にするよう文部科学大臣に答申した。これは3月15日のことだった。このことについて複数の新聞社から取材を受けた。その内の1社、たつの新聞社から掲載紙(3月16日付)が2部郵送されてきていた。

帯封に貼られていた140円分の切手、内訳は100円切手1枚と20円切手2枚だった。どちらも普通切手だが、目にする機会は少ない。100円切手の図柄はサクラソウ、20円切手はニホンジカ。サクラソウは実際の切手の色より、紫がかって写っている。背景は実際にはもっと濃いピンク色だ。私はこの写真の色の方が好きだ。


 


春うらら

2024-04-18 | A 火の見櫓のある風景を描く

560
春うららな雰囲気が表現できたから良しとしておこう。

なんとも描きにくい風景・・・。スケッチだから時間をかけない。線描は現場で30分、着色は自宅で45分。

新緑の5月になったら描こう。


 


花のイラストの切手

2024-04-18 | D 切手



 知人から送られてきたポスト カードに貼られていた63円切手。

あれ? 消印が切手の下に押されている・・・。よく見ると切手のところに2本の波線がある。こんな消印もあるんだ・・・。消印を注意して見ることはないので今まで気がつかなかった。この波線にも名前があるんだろうな。

これは何の切手? 

ネットで調べてグリーティング切手「ライフ・花」で、発行日は2023年9月27日だと分かった。シンプルな花のイラストだが、これでバラの花(ですよね)だと分かるのだから人間の認知能力ってすごい。 

**違う場所、違う時間を生きてきた3人の女が、「女とは?!」をテーマに3人展を開催します。** 

送られてきたのは松本市内のギャラリーで開催される作品展の案内カードだった。最終日に行くことができるかもしれない・・・。


 


「カワセミ都市トーキョー」を読む

2024-04-18 | A 読書日記


朝カフェ読書@スタバ 2024.04.15

『カワセミ都市トーキョー』柳瀬博一(平凡社新書2024年)を読んだ。

「カワセミを知れば、東京の地理と歴史が見える」は本書の第3章の副題。東京に暮らすカワセミたちの観察から見えてくる東京という都市の姿。そう、本書は東京の姿を論じた都市論。

著者の柳瀬さんは**人間、意識していないものは、目に前にいてもまったく見えない。**(94頁)と書いているが、私も同じことを拙著の「はじめに」で次のように書いた。**知識がないとものは見えないのです。火の見櫓に興味を持ち始めて知識を得るようになって、風景の中に立っている火の見櫓に気がつくようになりました。**

柳瀬さんは**観察を続けるうちに、見え方が変わる。つまり「他人事」じゃなくなる。観察対象が三人称ではなく、二人称になる。「お前」や「君」になる。**(295頁)と書いている。

なるほど。柳瀬さんは個体識別したカワセミ夫婦、親子の観察記を例えば次のように書いている。

**「ほら、まだ躊躇がある! だから狩りに失敗するんだ!」
「はいっ」
「じゃ、もう一度」
「だめだめ、フォームがなってない。もっと、こう流線形に」
「はいっ」
「じゃ、もう一度」
指導に飽きたのか、父さんはさらに上流に飛び去った。
残された2羽は素直に練習を繰り返す。**(155頁)

こんな風にカワセミたちの言葉を解するように観察すれば、いろんなことが分かってくるだろうな。

本書の副題は「「幻」の鳥はなぜ高級住宅街で暮らすのか」。

答えは東京に数多く存在する、湧水がつくり出した小流域源流の谷地形が人もカワセミも好きだから。なんだか、「チコちゃんに叱られる!」の答えのようにあっさりしているが、番組と同様に、本書には詳細な解説が書かれている。本稿ではその内容の紹介は省略するが、簡潔に記された箇所だけ引用する。**小流域は、生き物としての人間がサバイバルするために必要不可欠なものがまとめてパッケージされている地形だからである。**(234頁)人間に限らず、動物、もちろん鳥とっても。

そして**東京の地形は、小さな流域 = 小流域がフラクタルに並んだ流域地形の集合体である。**(25頁)と柳瀬さんは指摘する。このことを示す、国土地理院のウェブサイトから引用したカラーの図が掲載されている。

都内各地(例えば皇居、赤坂御所、白金自然教育園)にカワセミがもともと生息していた、あまり人の手の入っていない「古い野生」が残っている。「古い野生」と「新しい野生」である都市河川とが接続して、カワセミたちが次第に「新しい野生」に適応して生息するようになっていった、という流れ。

河川の汚染でいったん奥多摩辺りまで生息域を後退させていたカワセミが河川の浄化が進んだ都内に戻ってきて、東京の「新しい野生」にも適応した。そこでのカワセミの餌は外来生物と汽水魚、巣は河川のコンクリート護岸の水抜き穴。


本書で環世界という言葉、概念を知った。意味内容を本書から引く。**あらゆる生物に客観的世界は存在しない。それぞれの生物固有のセンサー  =  感覚器がとらえる空間と時間のみが、それぞれの生物の主観的な世界である。ユクスキュルはそう定義した(*1)。そんな個々の生物の主観的な世界を「環世界」と名づけた。**(263頁)

私たちも、個々人が後天的に獲得した言語と知識と経験と好みがつくりだす文化的な環世界にいる。同じ時間に同じ空間にいても見えているものはそれぞれ違う。別の世界にいる、ということを私も経験的に知っている。他者とは違う自分だけの環世界

柳瀬さんはコロナ禍で行動が制限されていた期間に偶々近所の川でカワセミに出会ったとのこと。それからカワセミの観察を続けて本書の出版につなげた。すばらしい。 漫然とカワセミを観察していたのであれば、カワセミは柳瀬さんの環世界には入り込まず、その生態は明らかにはならなかっただろう。

やはり何事にも一所懸命取り組まなくては・・・。


*1 『生物から見た世界』ユクスキュル/クリサート(岩波文庫)を読んでみたい。



花すだれ

2024-04-17 | A 火の見櫓っておもしろい


(再)東筑摩郡朝日村 2024.04.17

桜花 すだれのごとし


 


ブログ記念日

2024-04-16 | A あれこれ

 今日、4月16日は私のブログ記念日です。

2006年4月16日、この日にブログを始めました(過去ログ)。時の経つのは早いもので、ブログ開始から18年経過しました。

以下、2022年の記事に手を加えて再掲します。

外界からの刺激に反応するということが生きていることの証です。低次の刺激への反応は例えば日射しがまぶしくて手をかざす、騒音に耳をふさぐというようなことが例示できます。瞳孔は光に反応して大きさを変化させますが、これは最も低次な刺激にたいする生体反応ですよね。

高次の刺激(情報)、例えば音楽や絵画、映画、メディアが伝えるニュースなどから私たちは様々な刺激を受け、音楽のリズムに合わせて体を動かしたり、映画を観て涙したり、ニュースに驚いたり、怒ったり、悲しんだり、と様々な反応をします。そしてこのような反応を「ねえ、聞いて、聞いて」「これ見て」と、家族や友人に伝えたいという欲求は程度の差こそあれ、誰にもあるでしょう。ブログによる情報発信もこのような欲求によるものですよね。書き手が受けた様々な刺激・情報に対する反応・応答を発信する行為と捉えることができるでしょう。ブログを閲覧していただく多数の方々の存在が、情報発信することを意義付けています。

ブログはすっかり日常生活の一部となりました。18年も続けているのですから。

拙ブログを閲覧していただいている皆さん、ありがとうございます。これからもよろしくお願いします。


 


28会の花見

2024-04-16 | A あれこれ

 退職すると人とのつながりが薄れ、「孤独」を味わうことになりかねない、とよく言われる。「孤独」を感じることで、心だけでなく体の健康も損なうリスクがあるという。嬉しいことに友人に恵まれ、28会(同い年の幼なじみ)、33会(中学の同級生)、24会(高校の同期生)、それぞれの仲間との楽しい交流が長年続いている。

昨日(15日)は二八会(28会)の花見だった。何年か前までは桜の木の下でやっていたが、今年は多々美屋が会場だった。花よりだんご、だんごより酒。とはいえ桜も飾って、カンパ~イ!


参加者は7人 TD君とKB君は今回欠席 
3脚を使い、セルフタイマーで撮ったので7人全員写っている。

  


山梨の酒「くず星」を飲む 


FM君はそば打ち名人 のし棒14本!


締めは名人のそば 実に美味い 

乾杯から2時間半経過。全員でさっと片付けて、お開き。また次回。


 


桜花爛漫 火の見櫓と桜 in 塩尻市片丘

2024-04-15 | A 火の見櫓っておもしろい


(再)塩尻市片丘南熊井 3柱66型トラス脚 2024.04.15

期間限定 火の見櫓と桜




 


桜花爛漫 火の見櫓と桜 in 松本市寿南

2024-04-15 | A 火の見櫓っておもしろい


(再)松本市寿南(寿小池公民館)2024.04.15








 


春のフォトアルバム in 松本

2024-04-14 | A あれこれ

                    

 

13日 春爛漫の松本 街なかを歩いた。歩数はおよそ9,200歩。