打越正行の研究室 UCHIKOSHI Masayuki's laboratory

このブログでは、広島と沖縄で暴走族・ヤンキーの若者を対象とした参与観察調査をしてきた打越正行の研究を紹介しています。

このホームページについて

2050年04月15日 23時00分59秒 | お知らせ


 訪問していただきありがとうございます。

 ここは所属先の和光大社会理論・動態研究所や所属していた都立大、研究者情報検索のRead&ResearchmapFieldnetに掲載させてもらっている、私の論文や口頭発表のリストをまとめたブログ形式のホームページです。そちらも更新しますが、運営が本人でないため最新情報はこっちに掲載します。

 ここに掲載している論文や口頭発表などは、すべて広島や沖縄で貴重な話を聞かせていただいた方々のおかげでできあがったものです。それらの概要などを公開しています。ぜひご覧になっていただき、興味があればご連絡ください。

 できれば、すべての論文を読んでもらいたいですが、私の研究の中身や方法を簡潔に知ってもらえるものとしては、以下の3本をおすすめします。

(1)「建築業から風俗営業へ――沖縄のある若者の生活史と〈地元〉つながり」
(2)「暴走族のパシリになる――『分厚い記述』から『隙のある調査者による記述』へ」
(3)「つくられたしーじゃ・うっとぅ関係――沖縄の建設業の社会史」

 もちろん、これら以外の論文も読んでもらえれば大変ありがたいです。

 以下、簡単な研究の紹介です。

 かつては広島市と関東圏、そして沖縄で暴走族やヤンキーの若者の参与観察を行ってきました。すべての土地で出会いに恵まれていることに感謝しています。調査では暴走族のアジトに通い、下積みを重ねてきました。その結果、パシリから中堅クラスにポジションが変わりつつあると感じていましたが(2010年夏)、それは単なる勘違いでした(2011年夏)。それどころか、ビーチパーティの場所取りを頼まれたのに車内で昼寝したり、釣り大会の移動中にディーゼルの現場号にガソリンを給油するといったありえないミスを繰り返してしまい、パシリさえも降ろされそうです(2012年夏)。バイクに乗ったりそれを見物していた若者たちも現在では、サラ金の回収業、台打ち、性風俗店の経営、ボーイ、型枠解体業、鳶、塗装、彫師、バイク屋、ホスト、キャバクラ、弁当屋、主婦になりました。彼・彼女たちへの継続調査を現在も行っています。

2016年4月、やっとのことで、首都大にて博士号(博士:社会学)を取得しました。引き続き、調査・研究に邁進します。

博士論文

ダウンロード可能な論文などは以下の書庫からどうぞ
打越正行の書庫

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更新情報(2024年)

2024年05月27日 13時46分11秒 | お知らせ
 
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人が人を理解するとはどういうことか?――〈生活-文脈〉理解から考える

2024年05月26日 19時28分51秒 | お知らせ


■宮内洋・打越正行、2024年5月26日、「人が人を理解するとはどういうことか?――〈生活-文脈〉理解から考える」『〈生活-文脈〉理解のすすめ――他者と生きる日常生活に向けて』(北大路書房)刊行記念トークイベント(UNITÉ).

 

■ 『〈生活-文脈〉理解のすすめ』刊行記念トークイベント
日時:2024年5月26日(日)15:00-16:30
場所:本と珈琲の店 UNITÉ(東京都三鷹市下連雀4-17-10 SMZビル1F)
登壇者:
 宮内 洋(群馬県立女子大学)
 打越 正行(和光大学)

 

来店参加(1980円)

オンライン参加(1320円)

【以下、UNITÉさんのHPより転載】

人が人を理解するとはどういうことだろうか。『〈生活-文脈〉理解のすすめ――他者とと生きる日常生活に向けて』(北大路書房)は、この問い、地域社会を這いずり回る4人の研究者が向き合った書籍です。

わたしたちは、自らの価値観に基づいて他者を判断し、自分の理解を超えたものを反射的に非難してしまうことがあります。そうした中、他者の言動をその日常生活の背景に基づいて、理解しようと努める姿勢が、本書で提唱される「〈生活-文脈〉理解」です。シンプルな考え方でありながら、その実践は容易いことではないように思います。一方で、相手の文脈を辿っていくことで当初の理解とは別の考えに至ることもあるという主張には確かな希望を感じます。

今回は、そんな「〈生活-文脈〉理解」をより深めるべく、共著者の宮内洋さん、打越正行さんに、本書の成立過程から〈生活-文脈〉理解の意義と魅力についてお話しいただきます。YouTubeの切り抜き動画やX(twitter)の140文字で相手を理解した気になってしまう現代だからこそ、〈生活-文脈〉理解はますます求められていくのではないでしょうか。

安易な「いいね」で済ませるのではなく、人と人は分かり合えないと極端に悲観するのでもないかたちで、人が人を理解するとはどういうことなのか。そのことをじっくり考え、一歩を踏み出す時間になれば嬉しいです。ご参加お待ちしております。 

 

【日時】2024/5/26(日)15:00~16:30 (延長の可能性あり)
*こちらのイベントは、イベント終了後、アーカイブ視聴が可能となります。
*視聴可能期間は 2024/5/26〜2024/6/26までの1か月間です。

 

【登壇者プロフィール】

宮内 洋(みやうち・ひろし)
 1966年生まれ。群馬県立女子大学文学部教授。専門は、発達研究・文化研究。主な著書に、『体験と経験のフィールドワーク』(北大路書房,2005年)、『質的心理学講座第1巻 育ちと学びの生成』(共著)(東京大学出版会,2008年)、『〈当事者〉をめぐる社会学:調査での出会いを通して』(共編著)(北大路書房,2010年)、『共有する子育て:沖縄多良間島のアロマザリングに学ぶ』(共編著)(金子書房,2019年)など。

打越 正行(うちこし・まさゆき)
 1979年生まれ。和光大学現代人間学部専任講師、特定非営利活動法人 社会理論・動態研究所研究員。専門は、社会学、沖縄、参与観察。主な著作に『ヤンキーと地元』(筑摩書房、2019年)、『地元を生きる』(岸政彦ほか編著、ナカニシヤ出版、2020年)『サイレント・マジョリティとは誰か』(川端浩平ほか編著、ナカニシヤ出版、2018年)、『最強の社会調査入門』(木下衆ほか編、ナカニシヤ出版、2016年)など。

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沖縄の建設業からみる日本型雇用システム――建設現場の男性たちの社会関係・身体・感覚から読み解く

2024年05月25日 19時25分30秒 | 口頭発表

 

■打越正行、2024年5月25日、「沖縄の建設業からみる日本型雇用システム――建設現場の男性たちの社会関係・身体・感覚から読み解く」第82回西日本社会学会シンポジウム『就労をめぐる不安定さと困難』久留米大学.

 

要旨

 本報告は沖縄の建設業から、特にそこで働く男性たちの社会関係、身体、感覚にもとづいて、日本型雇用システムの欺瞞を暴くことを目的とする。ここでいう欺瞞とは、沖縄の建設業で働く男性らが日本型雇用システムに依存しているのではなく、日本型雇用システムこそが、彼らに依存しているということである。彼らは、厳しい上下関係を形成し、暴力をいとわない身体をつくりあげ、閉鎖的な空間感覚/現在志向の時間感覚を身に付ける。それらはなんらかの指導や支援が行き届かない結果として表れるものではない。そうではなく、彼らが沖縄の建設業を生き抜く過程で積極的に身に着けたものであり、同時に身に着けざるをえない彼らの生き方としての文化である。その文化のダイナミズムを読み解きながら、日本型雇用システムが、沖縄の建設業に依存してきた現実を明らかにする。

 

■第82回西日本社会学会 大会シンポジウム「就労をめぐる不安定さと困難」
日時:2024年5月25日(土)14:00-17:00
場所:久留米大学 御井キャンパス(〒839-8502 福岡県久留米市御井町 1635)

 

報告者

 

第1報告:打越 正行(和光大学)
「沖縄の建設業からみる日本型雇用システム――建設現場の男性たちの社会関係・身体・感覚から読み解く」

 

第2報告:金本 佑太(神戸学院大学)
「若年無業者の社会的排除の実態と社会的包摂に向けた支援のあり方――地域若者サポートステーション事業利用者の事例から」

 

第3報告:二階堂 裕子(ノートルダム清心女子大学)
「過疎地域における外国人の就労と生活――グローバル経済社会を生き抜く生活戦略としての越境労働」

 

コメンテーター
王 美玲(台湾・淡江大学)
堤 圭史郎(福岡県立大学)

 

司会:二階堂 裕子(ノートルダム清心女子大学)

 

大会プログラム

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青年期の労働をとおして考える〈生活-文脈〉理解――沖縄のヤンキーのフィールドワークから/脇の甘いフィールドワーカーがフィールドに巻き込まれた軌跡

2024年05月20日 13時03分29秒 | 書いたもの(DL不可)

 

■宮内洋・松宮朝・新藤慶・打越正行、2024年5月20日、『〈生活-文脈〉理解のすすめ――他者と生きる日常生活に向けて』北大路書房.(全208ページ、ISBN:978-4762832543)

 

■打越正行、2024年5月20日、「青年期の労働をとおして考える〈生活-文脈〉理解――沖縄のヤンキーのフィールドワークから」宮内洋ほか編『〈生活-文脈〉理解のすすめ――他者と生きる日常生活に向けて』北大路書房、29-80.

 

■概要

 生身の身体を伴った,生活する人間を,同じく,生活する人間が理解するとはどういうことか? 地域社会を這いずり回る4人の研究者が,乳幼児期の食(共食の体験),青年期の労働(沖縄のヤンキー),成人期の政治行動(市町村合併),老年期の社会関係(孤独・孤立)をとおして考える。フィールドワークの「原点」へ。

 

■目次

まえがき

第1章 乳幼児期の食をとおして考える〈生活-文脈〉理解――〈生活-文脈〉とは何かについて

1.はじめに:ヒトの発達における環境について「狼に育てられた子」から考える 

2.食をとおしてみる人間の発達 

3.〈生活― 文脈〉とは何か 

4.まとめにかえて:なぜいま〈生活― 文脈〉理解が必要となるのか

 

第2章 青年期の労働をとおして考える〈生活-文脈〉理解――沖縄のヤンキーのフィールドワークから

1.『ヤンキーと地元』で書いたこと 

2.戦い方から現実に迫る 

3.沖縄の建設業を生きる 

4.沖縄のヤンキーの〈生活― 文脈〉理解:長きにわたって奪いつづける関係をもとに

 

【第2章 補論】脇の甘いフィールドワーカーがフィールドに巻き込まれた軌跡

1.パシリ気質の父親 

2.脇の甘いフィールドワーカー 

3.〈生活― 文脈〉理解と、観察者の変化 

4.時間をかけて馴染ませる

 

第3章 成人期の政治行動をとおして考える〈生活-文脈〉理解――市町村合併の事例から

1.はじめに:市町村合併論議と住民の〈生活-文脈〉 

2.住民の生活圏と「村の精神」という文脈:鈴木榮太郎の議論 

3.農民の日常生活と「生活組織」という文脈:有賀喜左衛門の議論 

4.群馬県旧富士見村における市町村合併問題 

5.群馬県旧榛名町における市町村合併問題 

6.政治グループにみる地域社会における政治行動と〈生活―文脈〉理解

 

第4章 老年期の孤独・孤立をとおして考える〈生活-文脈〉理解――高齢者の「文脈」なき「生活」理解を超えて

1.はじめに:鎌をめぐる出来事から 

2.高齢者の「孤独」・「孤立」をめぐって 

3.「文脈」なき「生活モデル」? 

4.高齢者の〈生活― 文脈〉理解から 

5.さらなる〈生活― 文脈〉理解に基づく福祉実践へ 

6.おわりに:「文脈」をふまえた「生活」理解

 

終 章 〈生活-文脈〉理解の視点から永山則夫の「転職」を再考する

1.はじめに:永山則夫と二冊の本 

2.永山則夫の転職 

3.永山則夫と虐待 

4.トラウマによる〈逃走〉の可能性 

5.おわりに:見る人自身の〈生活― 文脈〉

 

あとがき

 

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シマの身体/路上の感覚――与論、沖縄の旅路から(2023年度フィールドワーク記録集)

2024年04月10日 14時18分36秒 | 書いたもの(DL不可)

 

■打越正行ほか編著、2024年4月10日、『シマの身体/路上の感覚――与論、沖縄の旅路から(2023年度フィールドワーク記録集)』.

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バンドマンの夢追い〈ライフコース〉/〈ライフコース〉から排除される沖縄のヤンキー

2024年03月05日 13時25分05秒 | お知らせ

 

■野村駿・打越正行、2024年3月5日、「バンドマンの夢追い〈ライフコース〉/〈ライフコース〉から排除される沖縄のヤンキー――周辺、外部から社会をみる」UNITÉ.

 

 野村駿さんの新刊『夢と生きる バンドマンの社会学』(岩波書店)は、バンドマンへのインタビュー調査をもとに、現代の「夢追い」の実態に迫った著作です。一般的に夢を追うことは良いこととして推奨されます。しかし、本書で記述されるのは「標準的ライフコース」(=学校を卒業してすぐに正社員となり、経済的自立を果たして結婚、新しい家族をつくるといった生き方)という文化規範に影響を受け、夢を追い難くなる様子です。夢を追い始め、夢を追い続け、そして夢を諦める。「夢追い」は継続しながらも、夢の中身と語り方を変えながら、夢と向き合うバンドマンの姿が印象的です。

 「標準的なライフコース」という規範は、バンドマンに限ったことではありません。沖縄のヤンキーを調査する打越正行さんは、「ライフコースからの排除 沖縄のヤンキー、建設業の男性と暴力」(『現代思想 〈2019 3(vol.47-4) 特集:引退・卒業・定年』(青土社))のなかで、彼らが学校、就職、世帯持ちといった「標準的なライフコース」から、また暴走族や建設業といった、もうひとつのライフコースからも排除される様子を描いています。そして、彼らのライフコースは沖縄の歴史と構造が刻印された証左であることも論じられており、文化規範だけではなく社会的な条件も影響していることがわかります。

 バンドマンを研究する野村さんと、沖縄のヤンキーを研究する打越さんは、全く異なる社会を描きながらも、「標準的ライフコース」の「外側」、「周辺」の社会を描いていると言う点において、共通しているようにみえます。しかし、そもそも彼らの生き方を「周辺」や「外部」と位置付け、現状の「標準」や「普通」を疑わない態度をこそ疑うべきなのかもしれません。特定の「良き生」が暗黙的に了解され個人の生き方を規定している今、お二人の対話が問い直しの契機になれば嬉しいです。学生から社会人まで、奮ってご参加ください。

 

【日時】2024/3/5(火) 19:30~21:00 (延長の可能性あり)

*こちらのイベントは、イベント終了後、アーカイブ視聴が可能となります。

*視聴可能期間は 2024/3/5~2024/4/5 までの1か月間です。

https://www.unite-books.com/event

 

『夢と生きる バンドマンの社会学』 (野村駿/岩波書店) https://unite-books.shop/items/65c5df738fd8870f03cc4fb0

 

【登壇者プロフィール】

 野村駿(のむら・はやお)

 1992年生まれ。秋田大学教職課程・キャリア支援センター助教。専門は、教育社会学、労働社会学。主な著作に、『夢と生きる バンドマンの社会学』(岩波書店、2023年)、『調査報告 学校の部活動と働き方改革――教師の意識と実態から考える』(共著、岩波ブックレット、2018年)、『部活動の社会学――学校の文化・教師の働き方』(内田良編、岩波書店、2021年)など.   

 

 打越正行(うちこし・まさゆき)

 1979年生まれ。和光大学現代人間学部講師、特定非営利活動法人 社会理論・動態研究所研究員。専門は、社会学、沖縄、参与観察。主な著作に『ヤンキーと地元――解体屋、風俗経営者、ヤミ業者になった沖縄の若者たち』(筑摩書房、2019年)、『地元を生きる――沖縄的共同性の社会学』(岸政彦ほか編著、ナカニシヤ出版、2020年)『サイレント・マジョリティとは誰か――フィールドから学ぶ地域社会学』(川端浩平ほか編著、ナカニシヤ出版、2018年)、『最強の社会調査入門――これから質的調査をはじめる人のために』(木下衆ほか編、ナカニシヤ出版、2016年)、『持続と変容の沖縄社会――沖縄的なるものの現在』(谷富夫ほか編者、ミネルヴァ書房、2014年)など.

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『プリズン・サークル』上映会

2024年02月17日 20時21分03秒 | お知らせ

■『プリズン・サークル』上映会

 

 『プリズン・サークル』は、日本の刑務所を内部から記録した初のドキュメンタリー映画です。当日は坂上香監督をお招きして、上映会とトークイベントを開催します。

場所:和光大学 J棟 401教室

日時:2024年2月17日(土)

プログラム

 14:00 あいさつ

 14:05 『プリズン・サークル』上映会(136分)

 休憩

 16:30 坂上監督と学生たちによるトーク

 17:30 学内のどこかで懇親会(予定)

※ 無料、申込不要、先着100名、視覚障害者/聴覚障害者の視聴環境あり

主催:和光大学 人間科学科

 

※ 当日の様子については、以下のNoteを参照してください。

こころのなかに空席の椅子を置く ー『プリズン・サークル』の上映イベントから(たっこ)

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更新情報(2023年)

2024年01月12日 20時12分13秒 | お知らせ
 
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パシリとしての参与観察――つかえる部外者から、つかえない内部関係者へ

2023年12月20日 20時32分43秒 | 書いたもの(DL不可)

 

■打越正行、2023年12月20日、「パシリとしての参与観察――つかえる部外者から、つかえない内部関係者へ」社会理論・動態研究所編『理論と動態』16: 32-50.

DOI: https://doi.org/10.51112/16/32

 

概要
 本稿は、パシリ(雑用係)としての参与観察の意義について考察することを目的とする。私は20年近く、広島市と沖縄で暴走族、ヤンキーの若者のパシリという立場で参与観察を実施してきた。そこで調査対象者から教わったことは、沖縄の建設業を生き抜く過程で身につけたパシリとしての生きざまであった。そこで、能力を欠いた状態(貸し)と、いつでもいつまでも社長や先輩に時間を差し出す(借り)ことによって関係がつくられていた。その関係は貸しと借りが完済されないことでつくられる贈与的な社会関係といえる。本稿では、このパシリという立場を参与観察における有効なものとして整理した。
 パシリが参与観察の有効な立場であることを論証するために、参与観察における調査者を、調査対象社会の部外者(観察者)か内部関係者(参加者)かという社会の内外の尺度となる軸と、調査対象社会で与えられた役割を果たしているか否かの貢献度の軸を交差し、そこにパシリを位置付けた。その区分によると、(1)つかえない部外者、(2.1)つかえる部外者、(2.2)つかえない内部関係者、そして(3)つかえる内部関係者の4つの立場に整理できる。社会調査において対象者とラポール(信頼関係)を築くことがめざされ、到達すべき立場とされてきたのは、つかえる部外者である。そこでは、調査対象者との利害関係は、回避、もしくは最小化し、生じてしまう借りと貸しはその場で完済すべきものであった。対照的に、つかえない内部関係者であるパシリとしての参与観察は、調査対象者との間に貸しと借りが生まれることを積極的に位置付け、また調査対象社会の生活や調査対象者の人生に巻き込まれていくことを避けるものではない。そのような不安定な地位にあることや、社会関係(利害関係)に巻き込まれる立場であるパシリは、参与観察を行う際に有効となりえることについて論述した。

キーワード:パシリ、参与観察、つかえない内部関係者

 

社会理論・動態研究所

 

 

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『根っからの悪人っているの? 被害と加害のあいだ』刊行記念対談イベント「壁を超えて対話するために」

2023年11月03日 23時40分53秒 | お知らせ

 

■『根っからの悪人っているの? 被害と加害のあいだ』刊行記念対談イベント「壁を超えて対話するために」

日時:2023年11月3日(金)18:00-19:30

会場:小鳥書房(東京都国立市富士見台1-8-15/JR南武線谷保駅から徒歩約5分)+オンライン配信

登壇者プロフィール

・坂上香(さかがみ・かおり)さん

1965年大阪府生まれ。ドキュメンタリー映画作家。NPO法人out of frame代表、一橋大学大学院社会学研究科客員准教授。映画作品に『Lifers ライファーズ 終身刑を超えて』『トークバック 沈黙を破る女たち』『プリズン・サークル』(文化庁映画賞・文化記録映画大賞受賞)、著書に『プリズン・サークル』(岩波書店)などがある。


・打越正行(うちこし・まさゆき)

1979年広島県生まれ。社会学者。和光大学現代人間学部専任講師、特定非営利活動法人社会理論・動態研究所研究員。著書に『ヤンキーと地元』(筑摩書房)『地元を生きる 沖縄的共同性の社会学』(岸政彦ほか編著、ナカニシヤ出版)などがある。

 

https://peatix.com/event/3706228/view

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青年期の〈生活-文脈〉理解――『ヤンキーと地元』を中心に

2023年09月12日 20時58分23秒 | 口頭発表

 

■打越正行、2023年9月12日、「青年期の〈生活-文脈〉理解――『ヤンキーと地元』を中心に」〈生活-文脈〉理解研究会シンポジウム『生涯発達と〈生活-文脈〉理解』愛知県立大学.

 

趣旨

 人びとが生活を営み、人生を歩む。そのことを相互に理解することが、いま難しくなっている。その一方で、特定の人びとをできあいのカテゴリーやわかりやすい基準で評価しあう、そのような安易な理解が蔓延っている。理解の難しさゆえに、わかりやすさに飛びつく傲慢な態度と、難しさゆえに慎重な態度がとられる。その結果、傲慢さと慎重さは、理解を蓄積し進めることから遠ざけてしまう。
 そのような状況に抗するために、〈生活-文脈〉理解研究会では人びとの語りをその生活文脈に沿って理解することを愚直に積み重ねてきた。当日は、〈生活-文脈〉理解について紹介し、教育現場や支援の現場での応用可能性について、それぞれの研究成果にもとづき報告、議論が展開される。

報告:宮内 洋(群馬県立女子大学)、打越 正行(和光大学)
   新藤 慶(群馬大学)、松宮 朝(愛知県立大学)

司会:新藤 慶

場所:愛知県立大学 長久手キャンパス

日時:2023年9月12日(火)14:30-17:00

主催:〈生活-文脈〉理解研究会

 

 

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距離・時間・ディテール――生活史/エスノグラフィーを書き、読む

2023年09月01日 13時20分20秒 | 書いたもの(DL不可)

 

■石岡丈昇・打越正行・岸政彦、2023年9月1日、「距離・時間・ディテール――生活史/エスノグラフィーを書き、読む」『現代思想(生活史/エスノグラフィー――多様な〈生〉を記録することの思想)』青土社、51(11): 8-21.

 

アマゾン

 

青土社

 

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エスノグラフィ 生活史を書き、読む

2023年06月03日 22時53分59秒 | お知らせ

 

■石岡丈昇・岸政彦・打越正行、2023年6月3日、「エスノグラフィ 生活史を書き、読む」『タイミングの社会学――ディテールを書くエスノグラフィ』(青土社)刊行記念トークイベント(UNITE).

 

【以下、UNITEさんのHPより転載】

 石岡丈昇さんによる『タイミングの社会学――ディテールを書くエスノグラフィー』(青土社)が5月下旬に刊行されます。

 本書の刊行を記念して、石岡さんと同じく社会学者の岸政彦さんと打越正行さんとともに、エスノグラフィー/生活史を書くことと読むことについて、議論を重ねていただきます。

 『タイミングの社会学』は、フィリピン・マニラの貧困地区を舞台とするエスノグラフィーです。例えば本書には、明日家を失うかもしれない――しかし本当に政府通達通り撤去が行われるのかすらわからない――人びとが登場します。「Xデー」がいつ来るのかわからず、自分自身で自分の予定を立てることができないまま、相手の出方を窺いながら日々を過ごし、疲労感だけが蓄積されていく……言ってみれば「タイミングの自己決定」を奪われる人びとのサバイバルのありかたがここに描かれていきます。

 本書にはまた、エスノグラフィーの名著も多く紹介されています。地中海に浮かぶサルディーニャ島の住人や、ボリビアの先住民族、ブエノスアイレスの環境汚染地域で暮らす人びとの姿……それらを読み込むことは、マニラを生きる人びと、ひいては日本に生きる私たちのあり方を理解し、言葉をつくる営みに繋がっていきます。

 フィールドで遭遇し、思考し、書き記し、またそれらを読み継ぐこと。ここにディテールから立ち上がる、社会学の理論と実践が浮かび上がるのです。

 

 今回のイベントでは、沖縄を中心としたフィールドワークをすると同時に、『東京の生活史』(筑摩書房)や『沖縄の生活史』(みすず書房)などで、生活史をともに聞き書く実践を行ってきた岸政彦さんと、『ヤンキーと地元』(筑摩書房)で暴走族のエスノグラフィーを描き出しながら、沖縄の歴史や社会構造と暴力の問題を考えてきた打越正行さんをゲストにお迎えします。

 まったく異なるフィールドで出会った人びとの経験が、どこか重ね合わされて浮かび上がってくるのはなぜなのか――。それぞれのエスノグラフィー/生活史の書き方や読み方について縦横無尽に語りつくす貴重な一夜となります。どうぞ奮ってご参加ください。

 

【日時】6/3(土) 17:00~18:30 (延長の可能性あり)

*こちらのイベントは、イベント終了後、アーカイブ視聴が可能となります。

*視聴可能期間は 2023/6/3~2023/7/3 までの1か月間です。

【プロフィール】

石岡丈昇(いしおか・とものり)

1977年生まれ。社会学者。日本大学教授。主な著書に、『ローカルボクサーと貧困世界——マニラのボクシングジムにみる身体文化』(世界思想社、2012年)、『質的社会調査の方法――他者の合理性の理解社会学』(岸政彦・丸山里美と共著、有斐閣、2016年)、『アスリートたちが変えるスポーツと身体の未来――セクシュアリティ・技術・社会』(山本敦久編、岩波書店、2022年)、『人間と社会のうごきをとらえるフィールドワーク入門』(新原道信編、ミネルヴァ書房、2022年)など。

岸政彦(きし・まさひこ)

1967年生まれ。社会学者・作家。京都大学大学院教授。主な著作に『同化と他者化――戦後沖縄の本土就職者たち』(ナカニシヤ出版、2013年)、『街の人生』(勁草書房、2014年)、『断片的なものの社会学』(朝日出版社、2015年)、『ビニール傘』(新潮社、2017年)、『大阪』(柴崎友香と共著、河出書房新社、2021年)、『リリアン』(新潮社、2021年)、『東京の生活史』(編著、筑摩書房、2021年)、『生活史論集』(編著、ナカニシヤ出版、2022年)、『沖縄の生活史』(石原昌家と共に監修、沖縄タイムス社編、みすず書房、2023年)など。

打越正行(うちこし・まさゆき)

1979年生まれ。社会学者。和光大学講師、特定非営利活動法人 社会理論・動態研究所研究員。主な著作に『ヤンキーと地元――解体屋、風俗経営者、ヤミ業者になった沖縄の若者たち』(筑摩書房、2019年)、『持続と変容の沖縄社会――沖縄的なるものの現在』(谷富夫ほか編著、2014年、ミネルヴァ書房)、『最強の社会調査入門――これから質的調査をはじめる人のために』(木下衆ほか編、ナカニシヤ出版、2016年)、『サイレント・マジョリティとは誰か――フィールドから学ぶ地域社会学』(川端浩平ほか編著、ナカニシヤ出版、2018年)、『地元を生きる――沖縄的共同性の社会学』(岸政彦 、上原健太郎 、上間陽子と共著、ナカニシヤ出版、2020年)など。

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俺の妹と父ちゃんは、ちゃんと国から感謝状もらってるけど警察署から。俺はちゃんと逮捕状もらってるよ(笑)

2023年05月12日 13時45分31秒 | 書いたもの(DL不可)

 

■打越正行、2023年5月12日、「俺の妹と父ちゃんは、ちゃんと国から感謝状もらってるけど警察署から。俺はちゃんと逮捕状もらってるよ(笑)」石原昌家・岸政彦監修、沖縄タイムス社編『沖縄の生活史』みすず書房、114-122.(全880ページ、ISBN:978-4622095989)

 

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