上田次郎の助手な日々

現在の研究テーマは,「サンマは尾頭付きの方が得なのかに関する一般的な考察」です.

教育低下のスパイラル

2006-11-30 20:27:12 | 研究
今日,興味深い考察を聞きました.

教職課程を受講している学生さんは,教育実習にいかなければなりません.その教育実習で,とんでもないことが繰り広げるらしいです.
まともに教えることができないらしいのです.それは初めてだから当然と思うかも知れませんが,想像の範疇を超えているらしいです.
大学の学生実験において,電気回路の直列や並列がわからない学生がいます.その人たちが中学校で理科を教えなければいけないことになると,さぁたいへんです.生徒に教わっちゃったりします.

結局そういう人たちが大学を卒業して中学校や高校の先生になってしまいます.程度の問題はありますが,年々レベルが落ちていることは確実です.
するとその人に教わる生徒のレベルはもちろん低くなります.
その生徒たちが何年かして大学に入ってきたときは,以前よりもよりレベルが低くなってしまいます.その学生がまた卒業して,教職に就いて...


なんとも先行きの暗い考察でしょうか.デフレスパイラルみたい...
どっかでこのスパイラルを止められるのでしょうか.教育再生委員会の小谷美香子さんは,水中で息を止めるようにこの悪循環を止めてくれるのでしょうか.(またミスターさん,だじゃれがお上手)




Science誌審査幻覚か(...厳格化でした)

2006-11-29 20:13:50 | 研究

Science誌の審査が従来より厳格化するらしいです.

 「米サイエンス誌が論文の審査厳格化、韓国の不正受けて」

内容は結構厳しく,
「社会的に注目される研究など不正が起きやすい分野の論文について、論文に記載されていない実験データの提出も求めるなど、審査を厳格化する。」
とのこと.データの量が多かったりして全部は載せれない場合,”...(not shown)”とかを使ったりしていますが,そのときのデータも提出が要求されるときもあるんですね.

 この記事の中で気になったのは次の文章です.

「科学者への信頼を前提としてきた長年の審査姿勢を改め、不正の可能性に常に目を光らせる態勢へと移行する。」

今の世にあって,信頼を前提としているシステムはすごく貴重だと思います.それが不正の可能性を前提にしなければいけないのはなんとも寂しく思うと共に,ついに由々しき世界になってしまった感が否めませんね.



 「委員会は、世界的に注目されるサイエンスへの掲載は「研究者の地位や名声、研究費の獲得につながる」とし、今や同誌の存在自体が不正行為の誘因となることを指摘。一部の論文審査を厳格化するほか、個々の研究者の役割分担を細かく記述するなどの対策を勧告した。」

結局,サイエンスやネイチャーなどの雑誌名のネームバリューに極度に依存している,研究成果の評価基準の貧困さがゆがみの原因となっているのでしょう.
もっと真っ当な研究成果が,真っ当に評価されるシステムはできないのでしょうか.不正を犯してまでサイエンスに掲載しても,注目はされるけれども予算を獲得する際には別の基準が設けられているので,ネームバリューによる依存度が低減する方法.たとえば,実験系だと公開実験において再現性を確認するとか...難しいかも知れませんが,再現性を問われたときに,「装置が今は使えない状態なので,その実験結果は今は得られない」という言い訳もよく聞きますので...(今はというよりも二度と,の間違いではないの?)

 

 


理系離れの温床

2006-11-23 23:01:17 | 研究
昨日の続きですが,学力の低下の問題と共に最近理系離れも問題になっています.
当事者である私は人ごとではありません.

それの理由を職場で話していたのですが,結論としては,理系離れ自体が本質ではなく,それは水上に現れた現象であって,問題の本質はむしろ別の所にあるということです.

社会でも理科でも数学でも,どれも知的好奇心をくすぐる要素というものはあります.その中で,子供達があえて理系教科を選ばなくなっていくということがあるでしょうか.他の要因がない場合,純粋な確率だけで言うと,どの年代でも理系に興味を持つ生徒は同じ割合だけあると思います.
ではどんな要因が働いているのか?
理系教科,特に数学や物理といったものは他の教科に比べて取っつきにくい分野です.両者とも積み上げ教科であり,簡単な事柄から始まってより複雑で難しい問題へと移っていく性質のものです.この取っつきにくさが災いしています.
少々脳みそに汗をかかないと数学などは理解できません.しかしその汗をかこうとする意欲,または汗をかいてでも理解しなければならないという危機感,というのものが年々無くなっていっているのではないかと思います.
それは取りも直さず,社会自体が脳みそに汗をかいていろいろ考えることをやめた”ぬるい”社会になってしまったからだと思います.ちょっと考えてわからなければ思考を停止する傾向,難しそうな事象は避けようとする傾向が強くなっているのではないでしょうか.理系離れは,その傾向の一つの結果がたまたま顕在化しただけではないでしょうか.

日本は科学に対する国民の認識が非常に貧弱な国です.明らかに後進国です.科学技術立国とはいうものの,それは一部のコアな技術者達が必死に頑張ってきただけであって,国民全体ではないはずです.むしろ9割以上の人たちは科学自体をまともに理解しようとはしていなかった.だからこそ,国民そろってマイナスイオンという意味不明の物質を信じていたり,小学校で綺麗な氷を作るため,水に話しかけたりしてしまいます.(水に綺麗な言葉をかけてやると,綺麗な氷の結晶ができると主張しているトンデモ本がある)
そんな科学後進国において,さらに理系離れという問題が生じているとは,皮肉を通り越して滑稽にさえ感じます.いつもドラえもんの道具に頼り切っているのび太が,「僕,科学きらいなんだ」と発言するほど滑稽なことです...




いろいろな低下の温床

2006-11-22 22:09:15 | 研究
学生の学力低下は本当に深刻になってきたなぁ,と今日も講義で感じました.
その学力低下の原因として,内田樹の研究室で述べておられました.

学生の学力の低下は大学の責任ではなく,国民全員の責任であるとのことです.
折しも今日,全く同じことを職場の同僚と話していましたので非常に頷くところがあります.
煎じ詰めれば,同年代の学力競争において,自分の学力を上げるよりも全体の平均を下げる方が,相対評価社会においては少ない労力で目的を果たせるため,全体の学力低下は必然であるという考えです.もちろんそれがすべてとは思えませんが,主要因のひとつだと思います.

このような現象は何も日本の生徒の学力だけに現れる問題ではないと思います.研究の世界においても同様の傾向が出てくるときがあります.最近の研究業界は非常に競争が激化し,データを捏造してまでも論文を出す例も多く見かけられるほどです.そのような状況において,インパクトファクターの高い雑誌に論文を多く出すことが良い成果と認められる傾向にあります.
投稿論文における,いわゆるアクセプト(掲載可)か否かを決定するのは同分野の研究をしている研究者(レフリー)です.苦労した研究の成果がパブリッシュされるかどうかはそのレフリーの判断一つにかかっています.
しかしそのとき,レフリーは考えます.
「どうもショボショボな論文だ.落としてやろうか.いや,まて.もしここでかなり厳しい判断をすると,次に私が投稿する論文も同じように厳しい判断をされてしまう.ここは多少緩い評価をして,次に投稿する私の論文のハードルも下げておく必要がある.」
このような判断が順次繰り返されると,だんだんその分野の論文の質が下がります.一旦質の低い論文がパブリッシュされると,その後はそのレベルが基準となり,より質の低い論文もパブリッシュされるようになります.
「あの程度の質でもパブリッシュされてるんだから,こんなものでもいいでしょ」ということになります.だんだんレフリーの判断基準も狂ってきますので,結局瞬く間にその研究分野の論文の質が下がっていきます.
実際,私の普段読んでいる雑誌の論文の質も年々下がっているように思えます.雑誌社から査読に回ってくる論文も,めちゃめちゃひどいのがあります.

もちろん研究の質には自分なりの一線を持っていて,そのレベルだけは死守しようとしている研究者の方が圧倒的に多いと思いますが,そのような業界においてでも論文の質の低下が現れています.
況わんや,今の日本の子供の学力においては止めることのできない必然だとしても仕方ありません.


しかし,そうはいっても一つ気になるのは,絶対的に習うべき内容自体は変わらないのでは無いかと思います.
「そんなんも知らんのか!」
と一喝するものです.それを死守すれば,上述しました足の引っ張り合いにおける全体の質の低下をある程度食い止めることができると思うのですが.
「そんなことも知らんのか!」というのものを「そうかぁ理解できないかぁ.じゃぁそれは知らんでええかぁ」ということなっているのでしょうか...




学生さん,親に顔を見せてあげてくださいの令

2006-11-20 23:13:12 | 研究
大学の再編が進んでいるとのことです.
それは当然.学生数が年々減少し,大学の予算も年々激減です.しかし高っい高っい給料をもらっている教授や学長や理事達は相変わらず既得権を思う存分行使しています.それはそれは大学経営も大変になるのは必然です.

その中,大学はいろいろと策を弄しています.先日の「茶髪に一万円の令」もその一つです.
三重県の四日市大学は,学生に帰省費用を補助するという作戦を思いついたようです.
大学が学生の帰省旅費を補助

学生が夏休み等に帰省する際,その地域に応じて1万5000円から5000円の帰省費用をもらえる制度とのことです.
補助金をもらうためには母校の高校を訪れなければいけないことと,報告書を出さなければいけないとのこと.しかしそれだけのことで1万5000円ももらえるのならば,労力に対する対価としてはなかなかおいしい.
しかし今年は対象者250人のところ,利用した学生はたった1人だったらしい...
え?なんで?

帰省しないという理由が大きいかも知れませんが,母校まで訪れてまで...という面倒くささが災いしているのかも知れません.確かに親が,「帰ってこい!」と言わない限り帰省しない学生も多いので,帰省するときも親がお金を出してくれるのでしょう.そんな学生には1万5000円はあまり魅力ではないのかも知れません.
大学側は,この制度によって「面倒見の良い大学」というものをアピールしたいらしい.しかし実際にはあんまり効果はないということでしょうか.
合コンで鍋をしたときにみんなの分を強引によそってあげて,面倒見の良さをアピールするくらい効果はないのかも知れません.

良い学生を集めたいのはどの大学も共通なのですが,本質はそうではないと思います.うわべやデザインだけを取り繕ってブランドで売ろうとしても質が伴わなければ,1年で故障タイマーが働くソニーと同じになってしまいます.


......ただ問題は,質の評価基準があいまいなのですけどね.




ノートンドクター...ヤブ医者か.

2006-11-15 23:20:50 | 研究
それはいつも突然訪れる.
青天の霹靂という言葉を考えた人はたぶん偉い.

ブルーバック...

別に青い鞄が欲しかったわけではないのですが,職場のメインPCのwindowsが立ち上がらなくなりました.再起動を次の瞬間,windowsの立ち上げ画面の代わりに現れたのはかの有名な青い画面です.
『Hardware error』
との冷酷なたった1つの言葉と共に...

早速別のノートPCで原因をググりましたが,どこを見ても結局は,
「OS再インストールしかないでしょう」
との冷たいお言葉でした......無念.結局,OS再インストールしました.


トラブルの原因はわかりました.ノートンです.
最近ノートンが原因でPCの挙動がおかしかったので,ノートンを入れ直そうと思い立ちました.アンインストールをしたところ,エクスプローラの挙動がますますおかしくなりました.それにもめげず,再インストールをおこなったところ,なんとインストールの途中でフリーズ!マウスは動きますが,一向にインストールが進んでいない様子.そこで,業を煮やしたバカな私は物理的スイッチによって強制シャットダウン.そして再立ち上げだ,と思っていたらそのまま立ち上がらなくなりました.

おそらくノートンインストール中にレジストリにさわっていたのでしょう.それがいきなりシャットダウンされたものだから,さぁたいへんという感じだったのでしょう.ヤブ医者ノートンめ!

そこからがもう大変です.机はたたきつけるは,腹いせにノートンのCDと説明書はほおり投げ,しかもそれだけでは気が済まなく何度も踏みつけるは(この!この!),それはそれは大変でした.....自分を押さえるのが.


結局,再インストールに1日かかりました.
今の私のPCにノートンの姿が無いのは言うまでもありません.(ウイルス対策ソフトは別のソフトに乗り換えました)




そういえばこの前の土曜日...

2006-11-14 23:01:35 | 研究
先週の土曜日にバレーをやっていました.セルビアモンテネグロとの一戦はおもしろかったです.しかし木村さゆりのサーブが妙に見えるのは私だけでしょうか.
しかしすごく頑張っているのが伝わってきて,非常に心地よいです.

その裏で,ビートたけしが6時間の生放送をやっていました.ついでに爆笑問題もいました.たけしの討論会といえばTVタックルのぐだぐだぶりが印象的ですので,どうかなと疑いつつ,でも6時間も生でやるのは何かあるのかな,とささやかで儚い期待もしつつちょっと見ました.


......やっぱりぐだぐだでした.


初めはいろいろとVTRを見せていまして,今の小学校とか給食費払わないバカ親インタビューとかを流していました.それはそれで驚くバカぶりでしたが,それを受けてのスタジオトークは最悪.誰かが議論しようとしているのを変にちゃかすタケシ.人が聞こうが聞くまいが一人で熱く語ろうとする太田.そしていつも通り,くだらんボケを無理矢理かます,これまた太田.本当に太田はおもしろくないです.ボケの間(ま)を完全にはずしています.(わざと?そういうスタイルのボケ?)

まぁ太田はどーでもいいとしましても,その後の番組はもうぐだんぐだん.全く不要なクイズは出てくるは,呼ばなくてもいい久米さんは出てくるは,ほんとうに呼ばなくてもいい石原都知事まで...このころにはすでにバレーも終わっていましたが,見る気もしませんでした.
いったい6時間もゴールデンに枠を設けて,何をしたかったんでしょうか.ゴールデンにワイドショーをやっただけです.東海林さんでも出したらよかったんです.現場の東海林さん.
大きなしゃもじを持って隣の晩ご飯もやればよかったんです.
「どうもどうもぉ...”隣のバカ親”. 知ってる?お母さん.わたし,知ってる? ”隣のバカ親”」
「今日はもうバカ親っぷりは終わっちゃった?見せてくださいよぉ...子供の携帯電話の明細書. 一ヶ月6万円!いいですねぇ.バカ親ですねぇ.」






節約篇5

2006-11-13 23:17:40 | 研究
シリーズでお届けしている大学予算節約篇ですが,良い節約案も募集しています.
普段の研究・教育生活に支障がない節約案を目指しています.むしろ無駄なモノを削って働きやすくなったらより良いです.

通信費は削れないでしょうか.Webは無料ですので,電話はすべてIP電話化.通信はSkypeを基本とする.まぁ,今でもメールが主流ですが,メールを打つのが面倒くさい人もいますし,メールのタイムラグが嫌いな人もいますので音声通話は残す必要があります.
電話の特徴は基本料金が必ず課金されることですから,すべての電話が外線番号を持っていると非常なコストになっていると思います.
職員全員がほぼ1つの電話を持っているとしますと(だいたい持っています),3000台.基本料金だけで,一ヶ月2000円×12ヶ月=2万4000円.大学全体で,24000円×3000台=7200万円です.すべてが外線ダメということになっても困りますので,500台は残すとすると,24000円×2500台=6000万円になります.

基本料金だけで年間6000万円.
これに通話料も加わります.通話料の把握は難しいですが,ざっくり月1000円とします.年間で1万2000円.大学全体で,12000円×2500台=3000万円.

基本料金と通話料を合計しますと,年間9000万円が浮きます.また学内科研費の募集枠が増やせますね.

昨日までの額と合計すると,トータルで4億4400万円
人件費に換算すると,教授クラスが45人くらい雇えます.助手だと65人くらい雇えますね...







結局は何がしたいのか...

2006-11-12 00:12:30 | 研究
先日,学生実験に挑みました.
まぁ,毎週ありますので特に勢い込んで挑まなくてもいいのですが.


例のゆとり一期生ですが,徐々に全体的な傾向が明確になってきました.
傾向はやる気ありあり組となしなし組の2極化です.
なんとここでも個人的に大嫌いな,2極化という現象が出てきました.


昔の大学ですと放任主義が多かったので,やる気のない学生は放置されていました.私も,高いお金を払って自分で好んで大学に来ているので勉強しようがしまいが自分たちの責任でいいと思います.はっきり言って大学はそういうところです.
そしてやる気のない学生は卒業できないのが当たり前になるべきですね.

まぁやる気のない学生は昔からいましたから今更どうこうというのは無いのですが,今は職業上,何かを教える必要が生じているので悩ましいところです.
問題は2点あります.まず一つ目は,やる気のない学生にそもそも教える必要があるかということです.講義でもそうですが,研究室に所属している学生にも,ゼミなどの機会があります.どこでも同じですが,ゼミでは教科書の輪読や,雑誌の発表会などがあります.輪読なので一応学生が交代で発表しますが,やる気のない学生の発表はぐだぐだです.そのような場合,だいたいの先生はできの悪さを怒りつつ,内容を理解させようと説明します.しかし,当の学生は全く聞いてないか,もしくは理解していません.怒られているので若干反省の色を浮かべながら聞いている風ではありますが,次の発表の時も同じようなぐだぐだです.この場合,双方にとって時間の無駄です.大学という場ではありますが,無理に教えようとする意味はどこにもありません.
「そうはいってもちょっとでも学生のためになる」とか「教育を放棄したたんなる怠慢」という意見はありそうですが,それはおそらく楽天的で自己満足的な発想でしょう.

もう一つの問題がもっと深刻ですが,そもそも学生自身のやる気と実践へのハードルが極端に低いことです.先ほどのぐだぐだ発表の学生でも,本人は結構努力したと思っています.たしかに本人なりには努力しているようです.ですので本人の中では相対的に90%くらいの力で挑んでいます.しかし一般的に求められる絶対的な評価では20~30%しかやっていないレベルです.つまり本人の中でハードルが非常に低いのです.これはかなり厄介です.いくら注意しても本人は良くやっていると思ってますから反発こそすれ,反省はできません.よって,こちらも効果的な発言をすることができません.
じゃぁ,「ここまでをいついつまでに必ずやりなさい.それくらいはできて当然です」と宣言すればいいと思ってしまうかも知れませんが,そうもいかない.それを言うと,自分が考えていたレベルからあまりにもかけ離れているので,当然すぐにあきらめます.ともすれば,今巷で大流行のアカハラとも言われかねません.
徐々にハードルを上げていけばいい,というのが単純な思考の解答ですが,それができる学生ははじめから自分で危機感を感じて,自己ハードルを上げているでしょう.


結局,大学では非常に困難でしょう.理由は簡単です.危機感を持てないからです.大体においてそうゆう学生も就職するとちゃんと仕事をするようになります.それは簡単.給料をもらっているからです.仕事をしなくなると給料をもらえなくなるという危機感からちゃんと言われた仕事をします.
危機感を大学で持たそうとすると,しっかり勉強しないと単位がでなくて卒業ができなくなるということでしょう.しかし,そんな厳しい卒業基準は現状では難しいらしいです.学生を卒業させないと,いつものごとくありがたいお言葉を述べる文科相から文句が来るそうです.あまり何も考えない従順な労働者を輩出しないと都合が悪いからでしょうか.




またまた節約案4

2006-11-11 22:55:37 | 研究
さてますますせっぱ詰まる大学の予算ですが,節約案を探しています.
しかもどかっ!と減らせる無駄なところを探しています.トイレの洗面台の鏡に,『節水』と書くことではありません.


最近,町中で百円パーキングを山ほど見かけるようになりました.おそらく利用先がすぐにはない土地をとりあえずパーキングにしているところも多いのでしょう.これらの百円パーキングは全部無人です.無人で24時間稼働しています.しっかり料金も取ります.

一方,最近の大学は入口の門にゲートがありまして許可車しか入れないようになっています.カードか何かを入れるとゲートが開くようになっているのが多いのではないでしょうか.
ではビジターはどうするのでしょうか?ビジターは一回いくらかのお金を払ってゲートを開けてもらいます.そのために大学の門にはだいたい門番のような守衛さんがいます.そして愛想の欠片さえもなくした様子で応対してくれます.
この愛想を忘れてしまった守衛さん,必要ないと思います.愛想がないから必要ないのではなくて,百円パーキングは無人なので大学の門のゲートも同じように無人で稼働可能でしょう.いえ確実に可能です.

人件費を計算します.だいたい一つの門に常時2人の門番さんがいます.大学全体でゲートはいくつくらいあるでしょうか.大学にもよりますが,6個ぐらいはあります.2人×6個でのべ人数12人となります.一人当たりどれくらいの給料なのかは知りませんが,大学が支払う分(税金や厚生年金負担分も含めて)は700万円くらいでしょうか.ということは12人×700万円で8400万円が年間の人件費となります.
現在でも電動ゲートは稼働していますので,門番さんから自動ゲートに換えるための新たな費用は発生しません.

結局,年間8400万円が節約できることになります.
科研費で言うと基盤(A)が5テーマ分くらいでしょうか.これだけで学内競争資金の募集ができます.


昨日までの額と合計すると,トータルで3億5400万円が節約できたことになります.
まだまだ微々たるものですねぇ...





お金の削減の話3

2006-11-10 22:13:24 | 研究
電気代節約のために,歩行者の心まで暗くする暗い廊下と,動いているのに乗ってはいけないエレベータに抗議をすべく大学のお金節約案を募集しています.

昨日は,まず2億4000万円を減らしました.


今日は電子ジャーナルが節約ポイントです.

最近はGoogleの発展がめざましいモノがあります.
Goolgeのすばらしいところは,すべてタダということです.すくなくともユーザーには.
その中で,研究者がよく使うのがGoogle Scholarです.
これは研究論文の検索エンジンです.便利なところは,著者の名前で検索するとその著者の論文が検索にヒットしますが,その論文が何件別の論文にサイトされたかというのも出てきます.またどの論文にサイトされたかというのもずらずら~とでてきます.
このような機能として,以前からWeb of Scienceというサービスがありました.しかしこれは有料です.おいくらか知りませんが大学レベルでサービスを受けるとなると年間数千万円のレベルではないでしょうか.1つの雑誌の購読も大学単位となると数百万円なので,膨大な雑誌の検索及び統計機能となればそのくらいの値段だと思います.それと同じ機能がGoogleではタダです.しかも検索はGoogleの方が早いです.うちの大学もWeb of Scienceサービスがありますが,Goolgeの前には無意味です.予算の無駄遣いです.しかもしきりにWeb of Scienceが使えるから使ってもいいよぉ,と導入した方々は得意満面におっしゃいます.おもわずパンチしました.


というわけで,とりあえずざっくり3千万円の削減に成功しました.
トータル2億7000万円の削減になりました.
投資に回すキャッシュが増えました.






お金の話2 (予算削減編)

2006-11-09 22:08:53 | 研究
前回の記事でeicyaさんからコメントをいただいたように,運用によって財源の増大を謀るのも一つの手だと思います.
実際,この前他の教員の方と話していたら運用の話が出ました.
大学全体での予算規模というのは大きいので,投資に回せるお金も結構な額になります.後は,しっかりと目減りさせない運用者の選抜と,そもそも国民の税金の大学予算をリスク商品に回して良いものかどうかという問題が残るだけです.たやすいことです.
早稲田大学はすでにおこなっているので,私大は大丈夫なのでしょう.国立や公立はどうかな...減らしたときがたいへんですものねぇ.年度末辺りに,いきなり買い物ができなくなってしまっても寂しいですし.


まずは節約からということで節約方法ですが,もちろん蛍光灯を消すというのは愚の骨頂です.
とりあえず最もやりやすいところからというと,MS-Officeの全廃が非常に効率的です.
大学なのでアカデミック版が購入できますが,それでも3万5000円します.高!
だいたい大学の職員が何千人かわかりませんが,だいたい3000人とします.ほぼ全員がPCを使っていてしかも最近は一人に2台,3台と使用しますので,PC台数はざっくり4000台くらいでしょうか.そのうちWordを使っている人がほとんどです.
「いや,俺は使っていない!」という超Tex派の人もいるかもしれませんが少数派ですので,ざっと4000個のOfficeライセンスが必要です.実際PC購入と一緒に買っているのでしょう.すると3万5000円×4000個としたいところですが,スタンダートとかを使っている人もいますので,ちょっと低く見積もって3万円×4000個とします.
すると,1億2000万円.
ということは,ビジネスソフトのスタンダードをすべてOpenOfficeに換えてしまうとこの額が浮きます.

ちょっとしんどいけれども,OSまで頑張ってLinuxに換えてしまうと,さらに1億2000万円(Windowsの価格を3万円くらいとして)が浮きます.計2億4000万円.
OpenOffice化は是非するべきです.



と言うわけで,まずは2億4000万円の削減に成功しました.
次は何を減らしましょうか...






お金の話 (大学予算節約篇)

2006-11-08 20:03:08 | 研究
今の教授の方々は1000万円を超える年収をもらっていると経済誌に書いていましたがほんとでしょうか.それにひきかえ助手はささやかな給料です.実際,食べるだけで精一杯です.
そこで節約は欠かせないスキルです.
世の中にはいろいろな節約術があるもので,テレビでも多くの節約おばちゃんが登場して,独自の節約術を教えてくれます.

この節約術ですが,実は運用が最も難しいです.なんでもかんでも仕入れた節約術を全部実行すればいいってもんではありません.
なぜなら紹介されている節約術のほとんどはQOL(Quality of Life)つまり生活の質を下げる方に働きます.その分お金が節約されるので当然といえば当然ですが,問題はコストパフォーマンスです.


例えばタマゴ.どこかのスーパーでタマゴが50円安いというだけで,かなりのお得感を感じ,おばちゃん達は喜び勇んでタマゴを2パック買っていきます.しかし,たまたまタマゴが安いときに買って,「あー,お得だった」と思えばいいのですが,実際はそうではなくタマゴが安いか否かを常に気にするようになります.夜も眠れないほどです.この前より20円高くなっているともう大変です.買うかどうかスーパーの片隅で5分は悩みます.
しかし,もしタマゴが50円高いとします.50円プラスすれば赤玉タマゴが買えたりします.その高いタマゴを買い続けたとします.週に1パック買うとして1ヶ月で4パック.200円の節約金額です.あれだけいつも悩んでいる割には節約効果は低いです.食品に関しては他も同様で,いくら頑張って日々悩み抜いても節約金額は3000円くらいではないでしょうか.確かに金額だけ見ると「3000円も」と思うかも知れませんが,この節約に対する情熱のかけ方が精神的に大損害です.精神的な労力も円に換算すると差引で赤字です.
ちょうど1円玉を落としたときと同じように赤字です.落とした1円玉を拾う行為をするエネルギーが1円以上します.
水道代や電気代も同様です.特に電気代は蛍光灯をこまめに消す人がいますが,これは間違い.逆に電気代がかかります.蛍光灯は点灯時のグローランプの動作に電力が多く費やされますのでこまめな点滅は逆効果だったりします.しかも蛍光灯はいくらつけていても,他の電気代に比べれば微々たるものです.特に見たくないときはテレビを消している方がよっぽどいいです.これらの生活に密着した節約術は,効果の割には生活を圧迫しますので,コストパフォーマンスは最低です.

これらの節約金額をざっくり試算しますと,一ヶ月にめちゃくちゃがんばり続けて5000円とします.一年で6万円です.しかしめちゃくちゃ頑張ることは持続できませんので,5万円くらいになります.10年で50万円です.30年の長いスパンで150万円です.「150万円も」と驚いてはいけません.何事も割合で見なければ行けません.サラリーマンの生涯賃金の平均が2億5000万円といわれています.それに対する150万円の割合は,0.6%です.30年間頑張って頑張って折り込みチラシを見続けて,ようやく0.6%です.

それに対し,もっと大きな金額が動くとき,人は盲目になることがしばしばです.車と家です.車と家は非常に大きな金額にもかかわらず,その相場や原材料費からしてその価格が妥当か否かというのは実はよくわかっていません.2500万円のマンションと3000万円のマンションの違いもよくわからないことがしばしばです.500万円も違うのにです.先ほどの150万円の節約金額の3倍以上です.しかも,値段交渉によって100万円単位で値が動きます.30年かけた節約がいっぺんでひっくり返る金額です.コストパフォーマンス超高です.


こう考えると,最もすべきことはQOLを下げてしまう節約に全勢力を注ぐのではなく,いづれ来るべきほんの数日の住宅交渉または車購入の交渉のための準備に全勢力を注ぐべきと言うことになります.


以上のことはオーバーではなく本当のことだと信じていますが,現在の大学の逼迫した財政状況にも同様のことがいえると思います.
今,大学の予算がどんどん削られる中,あらゆる節約が要求されています.
特にいらいらするのが,電気代の節約です.
うちの大学の廊下は暗いです.真っ暗です.お客さんが来ようと,オープンキャンパスの日であろうと,一般公開の日であろうと暗いです.廊下の蛍光灯をつけません.つけるとすぐ消されます.先ほども書きましたが,蛍光灯をつけていてもたいした節約効果は得られません.むしろ暗い廊下は精神を後ろ向きにさせます.
また,エレベータが使えません.6階でも7階でも階段を要求されます.健康にはいいですが,学生はそんなお達しは気にしません.ガンガンエレベータを使います.使ってないのは職員だけ.職員が階段で上がっている間に,学生がエレベータで上がります.職員の階段登攀運動は無意味になります.節約効果は0に近いと私は信じています.

しかし,逆に,別のところで無駄な予算をガンガン使っているのは想像に難くありません.
もっとコストパフォーマンスの高い予算節約法はいくらでも考えられるだろうに,我々は日々,10円安いタマゴを求めて折り込みチラシを握りしめスーパーに走らなければ行けない研究の日々を送ります.



プリンストン高等研究所物語

2006-11-07 23:44:32 | 研究
本のご紹介です.

近くに市立の図書館があります.蔵書数は恐ろしく少なく,5歩歩けば図書室内の端から端まで移動できるくらいです.
その稀少な蔵書の中に目を引く題名がありました.

「プリンストン高等研究所物語」

現在もありますが,超有名な科学者たちを集めた研究所(プリンストン高等研究所)がこの本の舞台です.
時代は第2次世界大戦終了まもない頃.登場人物は有名な面々です.
誰もが知ってる白髪のおっちゃんアインシュタイン.
現在のPCの原点であるノイマン型コンピュータを開発した,フォン・ノイマン.
数学における論理証明の限界を示したゲーデル.

それらの登場人物達の当時の研究所内での様子が淡々と書かれています.
フォンノイマンのコンピュータ開発のあけぼの秘話,老体アインシュタインの量子論に対する苦悩など科学ファンには興味深いのではないでしょうか.

ただ疲れました.
ゲーデルの不完全性定理にまつわる記述はなかなか難解で,しかも日本語訳が原著の直訳らしく非常に解読困難です.何回か読み返しても意味が頭に入ってきません.
またこの題名から期待されるのは,アインシュタインやその他の科学者の当時の思考内容(量子論やコンピュータの一番最初の発想はどのように出てきたのかなど)や,科学的トピックに関する知の巨人達の考えなどが書かれていることです.
しかし物語の大半は,研究所内の政治的紛争の内容などに終始していて,あまりおもしろいものではありませんでした.(最後は読み飛ばすことも多かったです)


装丁がおしとやかなので惹かれましたが,2300円ほども出してもいいものかどうかは疑問です.図書館で借りて読まれることをお薦めします.


その中でもややおもしろかったこと.
超一級の数学者ゲーデルが教授になれるかどうかという物語がトピックの一つにありました.ゲーデルは研究所内で自分が教授になれないことをアインシュタインに相談しています.こんな人達でも教授という地位にこだわるんだというこが,少し新鮮な驚きであり,少しガッカリでもありました.数学のような超純粋な抽象思考分野の人でも俗社会の地位にこだわるんですね.
もう一つは,ノイマンのコンピュータ開発です.現在ではPCの役割は偉大ですが,その当時,鮮明な人たちをしてもコンピュータは単なる計算の道具ということ意外に何の役に立つのか想像を巡らすことができなかったんですね.すべての実在の『実体』はすべて『情報』というものに置き換えられ,その対応は一対一です.そこで初めて『実体』と『情報』の等価性が示されたとのことです.この概念を初めて生み出したのはすごいことだと思います.




これはまた違う対決

2006-11-06 00:02:59 | 研究
対決列島学生実験です.

机の上になにげに置いておいた「ですますカード」が効いたのか,こっそりと隠し持っていた「ですノート」を見つけて恐れをなしたのか理由はわかりませんが,かの学生の語尾には「です」がついていました.

とりあえずホッとしたのも束の間,また新手が現れました.まさにドラクエのモンスターのようです.

その学生は手を顎に当て,実験室の一点を見つめながら思慮深い面持ちでたたずんでいました.そしてぽつりぽつりとその重い口を開いた.

学生:「先生,科学的に説明するってどういうことですか?」(目はマジです)

次郎:「...なん? 科学的な説明? 科学的事実を根拠として,相手が理解し納得するような発言をすることではないの?」

学生:「それが科学的ですか?じゃぁ,論理的な説明って何ですか?」

次郎:「...あん? 論理的な説明? 自称の真偽を判断しつつ,議論が進む前後で矛盾が生じないように話を進めながら,何らかの真または偽であることを導くことではないでしょか?」

学生:「それが論理的ですか? うーん,そうなのかなぁ.じゃぁ,論理って何ですか?」

次郎:「...あーん?論理って何って訊いた?...うーん,ほしたら君は『空』って何,って訊かれたらなんて答えるの?」

学生:「空って何? うーん,空かぁ......(またどこか一点を見つめる)」

次郎:「もし君がその質問に対し『空』の説明をしたら,その説明した言葉一つ一つの定義をしていかなければいけませんね.ほしたら『定義』っていう言葉の定義もしなければいけなくなりますね.言葉というものはそもそも,ある程度の量の『前提』とされている多くの人の間で疑いなく認識されているものが必要で,その前提によってなんらかの『説明』というものが成り立ってるんでしょ?」

学生:「そう思ったら,僕は言葉って言うのは偽善だとおもうんですよぉ.」


......ん~,もはや意味不明です.

しかし,何かのものを深く考えるというのはいいことだと思います.内容はどうあれ...
特に若い頃はいろいろ意味の不明なことをあれやこれやと考えることがあります.それが読んだ本に影響されたものか,ドラマのセリフに影響されたものか,起源はどうあれ深い思考はより論理的な思考回路の構築へ結びつくと思います.
今日の学生は,プラトン的思考の輪をグルグル回っていましたが,そういうのもいつかは良い影響として身になるのでしょう.